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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044667
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】動物患者用遠隔診察システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/14 20060101AFI20220310BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
H04N7/14 110
H04N7/14
H04N7/18 U
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004153
(22)【出願日】2022-01-14
(62)【分割の表示】P 2021533764の分割
【原出願日】2020-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】515158272
【氏名又は名称】株式会社PECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純
(57)【要約】
【課題】画像と音声の双方の品質を損なうことなく、円滑な遠隔診察を支援することができる動物患者用遠隔診察システムを提供すること。
【解決手段】本開示の動物患者用遠隔診察システムは、カメラ部を備えたユーザ端末と、当該ユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物病院端末とを含み、前記ユーザ端末は、前記カメラ部で取得した取得情報を前記動物病院端末に送信し、前記動物病院端末は、受信した前記取得情報を表示部に表示する、動物患者用遠隔診察システムにおいて、少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記動物病院端末の前記表示部に表示される取得情報の情報量が第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替えられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部を備えたユーザ端末と、当該ユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物病院端末とを含み、
前記ユーザ端末は、前記カメラ部で取得した取得情報を前記動物病院端末に送信し、
前記動物病院端末は、受信した前記取得情報を情報表示部に表示する、動物患者用遠隔診察システムにおいて、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記動物病院端末の前記情報表示部に表示される取得情報の情報量が第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替えられる、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記カメラ部は、前記取得情報を前記第1データ量で取得する第1取得モードと、前記第2データ量で取得する第2取得モードとの双方に切替え操作が可能であり、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記切替え操作がなされる、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記ユーザ端末と前記病院端末との前記通信は、単位時間当たりの通信量が前記第1データ量である第1通信方式と、前記単位時間当たりの通信量が前記第2データ量である第2通信方式との双方に切替え操作が可能であり、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記切替え操作がなされる、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項4】
請求項1に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記ユーザ端末は、前記カメラ部を利用して、前記第1データ量による通信を行い前記動物病院端末とビデオ通話シーケンスを開始するビデオ通話シーケンス部と、
前記第1データ量から前記第2データ量への切替え操作を前記ビデオ通話シーケンスが行われている間に受け付け可能とする受付部とを更に備える
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項5】
請求項4に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記病院端末のいずれかは、前記カメラ部で取得した情報と、前記切替えを行うためのUIオブジェクトとを表示するためのオブジェクト表示部とを更に備え、
前記受付部は、表示された前記UIオブジェクトへの選択操作を受け付ける、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記病院端末のいずれかは、前記第2データ量に切替えた際に少なくとも静止画像又は動画映像のいずれかを記録するための記録部を更に備える、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記第1データ量よりも、前記第2データ量の方が通信されるデータ量が多い、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項8】
カメラ部を備えたユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物患者用遠隔診察端末であって、
前記ユーザ端末の前記カメラ部で取得した取得情報を受信する手段と、
受信した前記取得情報を情報表示部に表示する手段と、
少なくとも当該動物患者用遠隔診察端末又は前記ユーザ端末に対する操作に応じて、前記情報表示部に表示される取得情報の情報量を第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替える手段と、を備える
動物患者用遠隔診察端末。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動物患者用遠隔診察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介して、医師から離れた場所にいる患者に対して行われる診察行為(以下「遠隔診察」という)が注目されている。
【0003】
特許文献1には、遠隔診察を支援する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-306698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ネットワークの通信速度等には限界がある。このため、画像が高画質になるほど音声が低音質になる結果、本来なら届くはずの音声が相手方に届かなかったり、相手方が聞き取りにくかったりする問題が生じ得る。一方、音声が高音質になるほど画像が低画質になる結果、本来なら見えるはずの画像が相手方に見えなかったり、相手方が見えにくかったりする問題が生じ得る。
【0006】
特に、動物患者の場合、子犬等のように動物の体が小さい場合や、カエル等の爬虫類のようにもともと成体であっても大きさが小さいものも診察対象となり得ることから、患部(皮膚表面、眼球、口腔内等)の様子を視覚的に正確に把握することが誤診等を防ぐためには重要となる。
【0007】
そこで、本開示は、特に動物患者に対する診察用途として画像と音声の双方の品質を損なうことなく、正確な遠隔診察を支援することができる動物患者用遠隔診察システムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、カメラ部を備えたユーザ端末と、当該ユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物病院端末とを含み、前記ユーザ端末は、前記カメラ部で取得した取得情報を前記動物病院端末に送信し、前記動物病院端末は、受信した前記取得情報を表示部に表示する、動物患者用遠隔診察システムにおいて、少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記動物病院端末の前記表示部に表示される取得情報の情報量が第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替えられる、動物患者用遠隔診察システムが得られる。
【0009】
また、本発明の他の開示によれば、カメラ部を備えたユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物患者用遠隔診察端末であって、
前記ユーザ端末の前記カメラ部で取得した取得情報を受信する手段と、
受信した前記取得情報を情報表示部に表示する手段と、
少なくとも当該動物患者用遠隔診察端末又は前記ユーザ端末に対する操作に応じて、前記情報表示部に表示される取得情報の情報量を第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替える手段と、を備える
動物患者用遠隔診察端末が得られる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、診察中における優先度に応じて、取得情報を複数の情報量に切替えられる構成としたことから、画像と音声の双方のニーズに応じた品質を選択して正確な遠隔診察を支援することができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1の実施形態に係る動物患者用遠隔診察システム1の構成例を示す図である。
図2図1のユーザ端末10の機能ブロック構成図である。
図3】記録部130に格納されるサービス管理テーブル1001の一例を示す図である。
図4図1の動物病院端末20を示す機能ブロック構成図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る遠隔診察方法に係るフローチャートの一例である。
図6】本実施形態の情報処理においてユーザ端末10に表示される画面構成例を示す図である(その1)。
図7】本実施形態の情報処理においてユーザ端末10に表示される画面構成例を示す図である(その2)。
図8】本実施形態の情報処理において動物病院端末20に表示される画面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示は、以下のような構成を備える。
[項目1]
カメラ部を備えたユーザ端末と、当該ユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物病院端末とを含み、
前記ユーザ端末は、前記カメラ部で取得した取得情報を前記動物病院端末に送信し、
前記動物病院端末は、受信した前記取得情報を情報表示部に表示する、動物患者用遠隔診察システムにおいて、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記動物病院端末の前記情報表示部に表示される取得情報の情報量が第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替えられる、
動物患者用遠隔診察システム。
[項目2]
項目1に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記カメラ部は、前記取得情報を前記第1データ量で取得する第1取得モードと、前記第2データ量で取得する第2取得モードとの双方に切替え操作が可能であり、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記切替え操作がなされる、
動物患者用遠隔診察システム。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記ユーザ端末と前記病院端末との前記通信は、単位時間当たりの通信量が前記第1データ量である第1通信方式と、前記単位時間当たりの通信量が前記第2データ量である第2通信方式との双方に切替え操作が可能であり、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記切替え操作がなされる、
動物患者用遠隔診察システム。
[項目4]
項目1に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記ユーザ端末は、前記カメラ部を利用して、前記第1データ量による通信を行い前記動物病院端末とビデオ通話シーケンスを開始するビデオ通話シーケンス部と、
前記第1データ量から前記第2データ量への切替え操作を前記ビデオ通話シーケンスが行われている間に受け付け可能とする受付部とを更に備える
動物患者用遠隔診察システム。
[項目5]
項目4に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記病院端末のいずれかは、前記カメラ部で取得した情報と、前記切替えを行うためのUIオブジェクトとを表示するためのオブジェクト表示部とを更に備え、
前記受付部は、表示された前記UIオブジェクトへの選択操作を受け付ける、
動物患者用遠隔診察システム。
[項目6]
項目1乃至項目3のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記病院端末のいずれかは、前記第2データ量に切替えた際に少なくとも静止画像又は動画映像のいずれかを記録するための記録部を更に備える、
動物患者用遠隔診察システム。
[項目7]
項目1乃至項目4のいずれかに記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記第1データ量よりも、前記第2データ量の方が通信されるデータ量が多い、
動物患者用遠隔診察システム。
[項目8]
カメラ部を備えたユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物患者用遠隔診察端末であって、
前記ユーザ端末の前記カメラ部で取得した取得情報を受信する手段と、
受信した前記取得情報を情報表示部に表示する手段と、
少なくとも当該動物患者用遠隔診察端末又は前記ユーザ端末に対する操作に応じて、前記情報表示部に表示される取得情報の情報量を第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替える手段と、を備える
動物患者用遠隔診察端末。
【0013】
<概要>
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
本実施形態の動物患者用遠隔診察システム1は、画像と音声の双方の品質を損なうことなく、円滑な遠隔診察を支援しようとするものである。本実施形態の動物患者用遠隔診察システム1では、動物病院端末の表示部に表示される画像情報のデータ量が第1データ量及び第2データ量の何れかに柔軟に切り替わり得る。なお、本実施の形態においては、特に第1データ量及び第2データ量の2種類の切り替え操作を説明するが、複数種のデータ量に切り替わることとしてもよい。
【0015】
<システム構成>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る動物患者用遠隔診察システム1の構成例を示す図である。図示するように、本実施形態に係る動物患者用遠隔診察システム1は、ユーザ端末10と、動物病院端末20とを備える。ユーザ端末10と、動物病院端末20とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。なお、本構成は一例であり、ある構成が他の構成を兼ね備えていたり、他の構成が含まれていたりしてもよい。
【0016】
本実施形態においてネットワークNWはインターネットを想定している。ネットワークNWは、例えば、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0017】
ユーザ端末10は、例えば、動物患者の飼い主R1が操作する端末である。かかる端末は、飼い主R1により操作され得る。例えば、ユーザ端末10は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0018】
動物病院端末20は、例えば、動物病院に勤務する、獣医師R2が所有する、または貸与されている端末である。かかる端末は、獣医師R2により操作され得る。例えば、動物病院端末20は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0019】
図1では、一台のユーザ端末10と一台の動物病院端末20のみを図示しているが、動物患者用遠隔診察システム1には、複数台のユーザ端末10と複数台の動物病院端末20が接続されていても良い。
【0020】
図1の動物患者用遠隔診察システム1において、ユーザ端末10のカメラ部110で撮像された動物患者の患部の撮像画像を、動物病院端末20で共有しながら獣医師は動物患者に対して遠隔診療を行う。
【0021】
<ユーザ端末10>
図2は、図1のユーザ端末10の機能ブロック構成図である。ユーザ端末10は、カメラ部110と、通信部120と、記録部130と、制御部140とを備える。
【0022】
カメラ部110は、CMOS又はCCDなどの撮像素子を用いて電子撮影する機能を有する。また、カメラ部110は、制御部140の制御により、撮像によって取得した画像データを例えばJPEGなどの圧縮したデジタルデータに変換し、記録部130に記録したり、通信部120を通じて動物病院端末20に出力したりすることができる。撮像画像は静止画であっても動画像であってもよく、動画像の場合には、制御部140の制御により、動画像の一部を切り出して、静止画像として記録部130に保存することも可能であるとする。また、撮像して得られる画像は、動物病院端末20での診察に必要なだけの情報量を持った精密な画像であるものとし、画素数又は画質を指定可能であるものとする。
【0023】
カメラ部110は、撮像に用いる撮像素子の画素数を変更できる機能を有しており、少なくともユーザ端末10又は動物病院端末20の操作に応じて、例えば、800×600(48万画素)の精細モード、640×480(30万画素)の標準モード、1600×1200(192万画素)の高精細モードの中から、任意の撮影画素モードに設定可能である。標準モードは、請求の範囲に記載された第1取得モードの一例となる。高精細モードは、第2取得モードの一例となる。
【0024】
通信部120は、ネットワークNWを介して動物病院端末20と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
記録部130は、各種制御処理又は制御部140内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM、ROM等から構成される。記録部130は、請求の範囲に記載された記録部の一例となる。また、記録部130は、第1データ量から第2データ量に切替えた際に少なくとも静止画像又は動画映像のいずれかを記録する機能を有する。第1データ量及び第2データ量の詳細については後述する。さらに、記録部130は、動物病院端末20と通信を行ったデータを一時的に記憶することもできる。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記録部130又はユーザ端末10外に構築されていてもよい。
【0026】
制御部140は、記録部130に記憶されているプログラムを実行することにより、ユーザ端末10の全体の動作を制御するものであり、CPU又はGPU等から構成される。制御部140は、品質変更部141及びビデオ通話シーケンス部142を有する。品質変更部141及びビデオ通話シーケンス部142は、記録部130に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるユーザ端末10により実行される。
【0027】
品質変更部141は、記録部130に格納されるサービス管理テーブル1001を参照して、ユーザ端末10と動物病院端末20との通信に適用する画像データ又は音データの品質の設定又は変更をする。品質変更部141は、請求の範囲に記載された受付部の一例となる。
【0028】
図3は、記録部130に格納されるサービス管理テーブル1001の一例を示す図である。
【0029】
図2の記録部130は、サービス管理テーブル1001を格納する。サービス管理テーブル1001は、サービスIDと、サービスプランに対応する各種動作パラメータと、要求元のユーザ端末10及び着信先の動物病院端末20のIPアドレスとを対応付けて格納している。各種動作パラメータの例としては、画像のフレームレート(fps :frames per second)、画像の解像度、画像(又は音)のビットレート(kbps :kilobit per second)、データ伝送の符号化方式などである。動作パラメータは、ユーザ端末10又は動物病院端末20が受信する画像データ又は音データの品質に影響を及ぼし得るパラメータが含まれる。なお、サービスプランに対応する内容は、これに限られるものではなく、画像データ又は音データの送信遅延時間(ms)、実行速度(kbps)、遅延揺らぎ(ms)、エラー率(%)等の伝送品質に関するパラメータを管理してもよい。ここで、サービス管理テーブル1001の内容は、予め動物患者の飼い主R1者又は獣医師R2によって設定された動作パラメータである。
【0030】
品質変更部141は、サービス管理テーブル1001に基づいて、ユーザ端末10に提供されているサービスプランのサービスIDを「s103」と特定する。品質変更部141は、少なくともユーザ端末10又は動物病院端末20の操作に応じて、サービス管理テーブル1001に基づき、「s103」より品質の高いサービスプランを抽出し得る。「s103」の動作パラメータは、フレームレートが「10fps」、解像度が「SD(Standard Definition:標準画質映像)」、ビットレートが「64kbps」、符号化方式が「MPEG-2」である。このため、これらの動作パラメータがより品質の高いサービスを提供するのに適した設定となり得るサービスプランが抽出される。例えば、「s101」、「s102」、「s201」、「s201」等が抽出候補とされる。「s103」の符号化方式「MPEG-2」は、請求の範囲に記載された第1通信方式の一例となる。「s102」の符号化方式「H.264/SC」は請求の範囲に記載された第2通信方式の一例となる。
【0031】
ビデオ通話シーケンス部142は、カメラ部110を利用して、第1データ量による通信を行い動物病院端末20とビデオ通話シーケンスを開始する機能を有する。ビデオ通話シーケンスでは、ユーザ端末10と動物病院端末20との間でビデオデータが共有される。
【0032】
<動物病院端末20>
図4は、図1の動物病院端末20を示す機能ブロック構成図である。動物病院端末20は、カメラ部210と、通信部220と、記録部230と、制御部240とを備える。
【0033】
カメラ部210は、CMOS又はCCDなどの撮像素子を用いて電子撮影する機能を有する。また、カメラ部210は、制御部240の制御により、撮像によって取得した画像データを例えばJPEGなどの圧縮したデジタルデータに変換し、記録部230に記録したり、通信部220を通じてユーザ端末10に出力したりすることができる。撮像画像は静止画であっても動画像であってもよく、動画像の場合には、制御部240の制御により、動画像の一部を切り出して、静止画像として記録部230に保存することも可能であるとする。また、撮像して得られる画像は、画素数又は画質を指定可能であるものとする。
【0034】
通信部220は、ネットワークNWを介してユーザ端末10と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0035】
記録部230は、各種制御処理又は制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記録部230は、ユーザ端末10との通信内容を一時的に記憶している。記録部230は、ユーザ端末10の記録部130同様、請求の範囲に記載された記録部の一例となり得る。
【0036】
制御部240は、記録部230に記憶されているプログラムを実行することにより、動物病院端末20の全体の動作を制御するものであり、CPU又はGPU等から構成される。
【0037】
<処理の流れ>
図5を参照しながら、本実施形態の動物患者用遠隔診察システム1が実行する処理の流れについて説明する。図5は、本開示の第1の実施形態に係る遠隔診察方法に係るフローチャートの一例である。本フローチャートの開始前に、ユーザ端末10及び動物病院端末20は動物患者用遠隔診察システム1にログインしているものとする。
【0038】
まず、動物病院端末20は、通信部220を介して動物患者に関する動物患者情報を受信する(ステップS101)。ここでの動物患者情報は、例えば、名前、ニックネーム、動物患者ID等のアカウント情報と、パスワード又はパスフレーズ、ICカード又はスマートカード、指紋又は虹彩等の認証情報を含み得る。ここで、動物病院端末20は、動物患者情報を受信するとともに、以降の処理でユーザ端末10との接続を確認するために必要な情報も、あわせてユーザ端末10から取得するものとする。
【0039】
次に、動物病院端末20の制御部240は、受信した動物患者情報を基に、ユーザ端末10又は記録部230から動物患者データを取得する(ステップS102)。ここでの動物患者データは、例えば、名前、年齢、性別、希望の診療科、診察の種類、以前に動物患者用遠隔診察システム1を利用した際の担当獣医師又は日時等の診療に必要な情報を含み得る。また、ここでの診察の種類には、例えば、再診、初診、予約診断等が含まれ得る。必要に応じて、動物患者データに症状の説明等を含めてもよい。
【0040】
次に、ユーザ端末10の制御部140は、通信部120を介して画面共有要求を動物病院端末20に対して送信する(ステップS103)。
【0041】
次に、動物病院端末20の制御部240は、動物病院端末20からの画面共有要求を受け、画面共有を開始する(ステップS104)。
【0042】
動物病院端末20側の画面共有要求の受け入れにより、ユーザ端末10側でも、制御部140により、画面共有が開始される(ステップS105)。以降の画面共有の実行中は、カメラ部110による撮像画像が音声と共に、又は、撮像画像のみ単独で、ユーザ端末10と動物病院端末20で出力されているものとする。
【0043】
画面共有の開始後、ユーザ端末10のカメラ部110により患部画像の撮像が行われ、動物病院端末20との画面共有が行われる。撮像に対する指示は、動物病院端末20から行い得る。図6は、本実施形態の情報処理においてユーザ端末10に表示される画面構成例を示す図である。ユーザ端末10のディスプレイD10は、領域A10及び領域A11と、ボタンB10とを含む。ディスプレイD10は、請求の範囲に記載された表示部の一例となる。領域A10には、獣医師R2の上半身が表示される。領域A11には、動物患者とその飼い主R1が表示される。ボタンB10は、ビデオ通話シーケンスの開始のリクエスト(以下、「ビデオ通話リクエスト」という)の指示を受け付けるためのオブジェクトである。
【0044】
例えば、飼い主R1が相手先ユーザを獣医師R2としてボタンB10を指定すると、その操作をユーザ端末10の制御部140が検出し、それをもって、制御部140は通信部120を介して、ビデオ通話リクエストを動物病院端末20に対して送信する(ステップS106)。
【0045】
動物病院端末20側のビデオ通話リクエストの受け入れにより、ユーザ端末10のビデオ通話シーケンス部142は、ビデオ通話シーケンスを開始する(ステップS107)。ビデオ通話シーケンスでは、ユーザ端末10と動物病院端末20との間で、ビデオデータが送受信される。
【0046】
図7は、本実施形態の情報処理においてユーザ端末10に表示される画面構成例を示す図である。ユーザ端末10のディスプレイD10は、領域A10及び領域A11と、ボタンB11とを含む。領域A10及び領域A11は図6に示されている領域と同じであるため詳細な説明は省略する。ボタンB11は、ユーザ端末10と動物病院端末20との通信に現在適用中のサービスプランよりも上位のサービスプランへの切り替え操作を受け付けるためのオブジェクトである。ボタンB11は、請求の範囲に記載されたUIオブジェクトの一例となる。UIオブジェクトとは、ユーザ端末10上で動作しているアプリケーション・プログラムの画面において、そのアプリケーション・プログラムに対して入力を行うための画像オブジェクト、例えば、アイコン、ボタン、スイッチ、スライドバー、メニュー項目等であり、例えば、動物患者の飼い主R1の選択操作等によって、表示される情報又は表示制御の内容を特定し得るものである。
【0047】
例えば、飼い主R1がボタンB11を指定すると、その操作をユーザ端末10の品質変更部141が検出し、それをもって、品質変更部141は、サービス管理テーブル1001から現在適用中のサービスプランよりも上位のサービスIDを検索開始する。具体的には、品質変更部141が、サービス管理テーブル1001から現在使用中のサービスプランのサービスIDは「s103」であることを抽出する。次に、品質変更部141が、サービス管理テーブル1001内から、上位のサービスプランのサービスIDを抽出する。この場合、「s103」より品質の高いサービスを提供するのに適したサービスIDとして、例えば「s201」が抽出される。「s201」の動作パラメータは、フレームレートが「30fps」、解像度が「8K」、ビットレートが「1024kbps」、符号化方式が「H.264/SC」である。さらに、品質変更部141は、各動作パラメータを読み出して、ユーザ端末10と動物病院端末20との通信に適用する。図8は、本実施形態の情報処理において動物病院端末20に表示される画面構成例を示す図である。動物病院端末20のディスプレイD20は、領域A20及び領域A21を含む。ディスプレイD20は、請求の範囲に記載された表示部の一例となる。領域A20には、動物患者とその飼い主R1が表示される。領域A21には、獣医師R2の上半身が表示される。かくして、より上位の通信品質が保たれた状態で、獣医師R2は、動物病院端末20のディスプレイD20(図7)を介して、動物患者の創傷口等の患部(以下、単に「創傷口」という)の確認を行い、動物患者を診断し、その結果をユーザ端末10経由で飼い主R1に伝える(ステップS108)。ディスプレイD20は、請求の範囲に記載された情報表示部の一例となる。
【0048】
上述したボタンB11に相当するUIの機能として、静止画の取得や動画の取得が関連付けられていてもよい。また、ボタンB11は、動物病院端末20に表示をすることとしてもよい。この場合、獣医師R2の所望とするタイミングで画像等を取得することが可能となり操作性が上がるとともに正確性も向上できる。
【0049】
ここで、変更前後の2つのパラメータを比較すると、解像度が「SD」から「8K」に変更されている。このように、ビデオ通話シーケンスにおいて飼い主R1と獣医師R2とが対面で会話している最中に、獣医師R2から飼い主R1が、例えば、創傷口を見せるよう求められた場合であっても、解像度を上げることで、飼い主R1は、ユーザ端末10を介して高画質で動物病院端末20のディスプレイD20に創傷口を撮像した創傷口画像を表示させ得る。
【0050】
創傷口画像は、動物病院端末20の記録部230に記録され得る。記録部230は、請求の範囲に記載された記録部の一例となる。なお、例えば、創傷口について一枚の写真のみを獣医師R2が飼い主R1に送るよう指示を出したような場合には、高精細モードに設定したカメラ部101で創傷口を撮像することにより取得した静止画像を、飼い主R1は、ユーザ端末10を介して動物病院端末20に送信し得る。このような場合には、撮像時の解像度が重視されるので、創傷口画像が動物病院端末20側に届くのであれば、通信時の解像度は問わない。そして、動物病院端末20は、ユーザ端末10から受信した静止画像を、動物患者のカルテ情報を管理するためのデータベース等で管理し得る。
【0051】
診断後、ユーザ端末10の制御部140は、飼い主R1の入力に応じて、画面共有を終了し、動物病院端末20に対して通知する(ステップS109)。
【0052】
また、ユーザ端末10からの画面共有終了の通知により、動物病院端末20側でも画面共有が終了される(ステップS110)。ここで、ステップS108とステップS109の順序が逆となり、動物病院端末20からユーザ端末10に対して、画面共有の終了を通知してもよいものとする。
【0053】
最後に、ユーザ端末10及び動物病院端末20の双方は、動物患者用遠隔診察システム1からログアウトを行い、 本実施形態の動物患者用遠隔診察システム1が実行する処理が完了する。
【0054】
一般に、ネットワークの通信速度等には限界がある。このため、画像が高画質になるほど音声が低音質になる結果、本来なら届くはずの音声が相手方に届かなかったり、相手方が聞き取りにくかったりする問題が生じ得る。一方、音声が高音質になるほど画像が低画質になる結果、本来なら見えるはずの画像が相手方に見えなかったり、相手方が見えにくかったりする問題が生じ得る。
【0055】
この点、本実施形態の動物患者用遠隔診察システム1は、少なくともユーザ端末10又は動物病院端末20の操作に応じて、動物病院端末20のディスプレイD20に表示される情報の情報量が第1データ量及び第2データ量のいずれかに切替えられる。従って、画像と音声の双方の品質を損なうことなく、円滑な遠隔診察を支援することができる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るユーザ端末10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0058】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0059】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0060】
1 動物患者用遠隔診察システム
10 ユーザ端末
110 カメラ部
130 記録部
142 ビデオ通話シーケンス部
20 動物病院端末
230 記録部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-02-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部を備えたユーザ端末と、当該ユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物病院端末とを含み、
前記ユーザ端末は、前記カメラ部で取得したビデオデータを前記動物病院端末に送信し、
前記動物病院端末は、受信した前記ビデオデータを情報表示部に表示する、動物患者用遠隔診察システムにおいて、
前記動物病院端末からの指示に応じて、前記ユーザ端末は、前記カメラ部の設定を変更して、前記ビデオデータの解像度よりも高い解像度の静止画像を取得し、取得した前記静止画像を前記動物病院端末に送信する、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記カメラ部は、前記ビデオデータを前記第1データ量で取得する第1取得モードと、前記第2データ量で取得する第2取得モードとの双方に切替え操作が可能であり、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記切替え操作がなされる、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の動物患者用遠隔診察システムであって、
前記ユーザ端末と前記病院端末との前記通信は、単位時間当たりの通信量が前記第1データ量である第1通信方式と、前記単位時間当たりの通信量が前記第2データ量である第2通信方式との双方に切替え操作が可能であり、
少なくとも前記ユーザ端末又は前記動物病院端末の操作に応じて、前記切替え操作がなされる、
動物患者用遠隔診察システム。
【請求項4】
カメラ部を備えたユーザ端末が、前記カメラ部で取得したビデオデータを前記動物病院端末に送信し、
前記ユーザ端末とネットワークを介して通信可能に接続された動物病院端末が、受信した前記ビデオデータを情報表示部に表示し、
前記ユーザ端末は、前記動物病院端末からの指示に応じて、前記カメラ部の設定を変更して、前記ビデオデータの解像度よりも高い解像度の静止画像を取得し、取得した前記静止画像を前記動物病院端末に送信する、
動物患者用遠隔診察方法。