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▶ インテグラ ライフサイエンシーズ エンタープライジーズ, エルエルエルピーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044736
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】超音波外科手術ハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022010030
(22)【出願日】2022-01-26
(62)【分割の表示】P 2019512613の分割
【原出願日】2017-11-15
(31)【優先権主張番号】62/422,635
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521151511
【氏名又は名称】インテグラ ライフサイエンシーズ エンタープライジーズ, エルエルエルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ. コッター
(72)【発明者】
【氏名】プラカシュ マナンダール
(72)【発明者】
【氏名】イゴール ブイ. コセンコ
(72)【発明者】
【氏名】サウラブ ブイ. グプタ
(57)【要約】
【課題】好適な超音波外科手術ハンドピースを提供すること。
【解決手段】熱伝導層(110)と、電気絶縁層(120)とを含む、熱拡散器(100)を備える、超音波外科手術用ハンドピース(12)。熱拡散器(100)は、ユーザにとって不快なホットスポットを低減させる。ハンドピース(12)はまた、トルク下の印加面積を増加させることによって、ポリマー筐体(50)に印加される金属ホーン(11)の力を分散する、回転防止特徴(500)を備え得る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年11月16日に出願された米国仮出願第62/422,635号に対する35 U.S.C. § 119のもとでの優先権およびその利益を主張するものであり、該仮出願の全体の内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、外科手術用ハンドピース、例えば、組織アブレーションのための超音波外科手術用吸引器システムの中のハンドピースに関する。
【背景技術】
【0003】
超音波吸引は、神経外科手術および一般的外科手術における腫瘍および罹患組織の除去のための処置の標準になりつつある。超音波吸引器は、手術部位における組織の超音波断片化と、部位からの組織粒子および流体の吸引とのために使用される。典型的には、超音波外科手術用吸引器は、ハンドピース内に支持される超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに動作可能に接続される超音波振動ホーンまたは先端と、ホーンを中心として位置付けられるスリーブまたは送液筒とを含む。ホーンは、ホーンの遠位先端に隣接して位置する一方の端部と、近位端に隣接して位置する第2の端部とを有する、縦方向に延在する中心ボアを含む。ホーンの近位端は、真空源に係合し、流体の吸引を促進するように適合される。送液筒は、ホーンを中心として位置付けられ、環状通路を画定する。潅注流体が、ホーンの周囲の環状通路を通して外科手術部位に供給され、そこで、血液および組織粒子と混合し、ホーン内のボアを通して吸引される。潅注流体を血液および組織粒子と混合させることによって、血液の凝固が、減速され、その吸引が、補助される。そのような吸引器内の縦方向に振動する先端が、組織と接触させられると、優しく、選択的に、かつ精密に、組織を断片化し、除去する。米国特許第5,015,227号および第4,988,334号は、そのような超音波外科手術用デバイスを開示し、参照することによって本明細書に組み込まれる。市場における公知の超音波吸引器は、CUSA(R) Excel Ultrasonice Surgical Aspirator(Integra LifeSciences Corporation, Plainsboro, New Jersey, U.S.A.)である。
【0004】
ハンドピースは、典型的には、外科手術用先端が締結されるトランスデューサを封入する筐体を有する。筐体は、一般的に、電気安全性のためのポリマー材料から作製され、特に、高電圧電気外科手術レベル(例えば、1750Vp)が、トランスデューサおよび外科手術用先端の金属本体に印加される。CUSA Excel 36kHzハンドピースは、Stoddard, et al.に対する米国特許第6,214,017号に説明され、23kHzハンドピースは、Wuchinich et al.に対する米国特許第4,425,115号および第4,223,676号に説明されている。
【0005】
既存のシステムの中のハンドピースのポリマー筐体は、トランスデューサと関連付けられる集中温度上昇、すなわち、手術中に手の触覚感度が鋭い外科医によって感じられる、いわゆる、「ホットスポット」を生じていた。金属筐体を伴う超音波トランスデューサは、熱伝導性ケースを用いたホットスポットの強度および拡散に起因する、これらの複雑な事態を有していないが、電気安全性要件は、同時超音波および電気外科手術の電力印加を前提として、ポリマー筐体を必要とする。
【0006】
加えて、ポリマー筐体は、時として、プラスチックの低許容応力および噛合する金属回転防止拘束部の集中応力の結果として、トランスデューサの回転に起因して故障する場合があった。市販のCUSA Excel 36kHzハンドピースは、磁歪性であり、看護師が筐体とともに内部ホーンのみを保持しながら外科手術用先端を緊締または弛緩すること等の誤用下で故障し得る、六角特徴を有する。故障したハンドピースの多くは、筐体の中で捻転される。トランスデューサは、その長さに沿って振動し、階段状ホーンおよび縮小直径の特殊外形は、振動を増幅する。多くの場合、外科手術用先端は、十分な音響結合を確実にするように、高いトルク(例えば、25~65インチポンド)下でトランスデューサの内部超音波ホーンに取り付けられなければならない、単回使用デバイスである。トランスデューサの内部超音波ホーンは、一般的に、特殊なトルクレンチを用いて外科手術用先端を緊締しながらトランスデューサを保持するための平坦部またはナット等の六角特徴を有する。加えて、トルクベースが、外科手術用先端を締結および弛緩するためのハンドピースを保持するプラットフォームとして提供される。実践では、時として、看護師または臨床医が、使用前に外科手術用先端を緊締する、または手技後にそれを弛緩する一方で、トランスデューサを保持するためにトルクベースを採用しないことが見出される。圧電トランスデューサは、捻転されたときに破損し得る、外部ケーブルにワイヤによって電気的に接続される、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックを有する。磁歪トランスデューサは、十分な電力を確実にするための磁場内のトランスデューサスタックの位置付けに依存する。効果的な回転防止拘束部が必要とされるが、これらは、電力の喪失、逸脱加熱、および分数調波からの可聴雑音の可能性により、振動中の超音波を筐体に堅く結合してはならない。筐体上に噛合する六角形陥凹を伴う内部ホーン上の六角特徴のみが、外科手術用先端のために必要とされる印加されたトルクにおいて、構造的に故障し得る。
【0007】
故に、当業者は、改良された熱的性能および構造安定性を伴う外科手術用ハンドピースの必要性を認識している。本発明の実施形態は、本必要性およびその他を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,015,227号明細書
【特許文献2】米国特許第4,988,334号明細書
【特許文献3】米国特許第6,214,017号明細書
【特許文献4】米国特許第4,425,115号明細書
【特許文献5】米国特許第4,223,676号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡潔かつ概括的に述べると、本発明の実施形態は、伝導性熱拡散器を組み込み、脳腫瘍除去および肝臓切除術等の長時間使用において外科医の手から不快なホットスポットを排除する、電気外科手術凝固を伴う高出力小型超音波変換器を開示する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、例えば、外科手術用ハンドピースは、筐体、筐体内の電気構成要素、および/または筐体と電気構成要素との間に配置され、熱伝導層と、電気絶縁層とを備える、熱拡散器を備えてもよい。種々の実施形態では、熱伝導層は、電気絶縁層よりも筐体に近くあり得る。
【0011】
加えて、種々の実施形態では、熱伝導層は、複数の熱伝導材料片を備えてもよい。いくつかの実施形態では、2つの熱伝導材料片の間に、重複があってもよい。種々の実施形態では、筐体は、伸長本体を有してもよく、熱拡散器は、電気構成要素の周囲の伸長本体の中に嵌合する、円筒形または部分的に円筒形の形態であってもよい。そのうえ、いくつかの実施形態では、熱伝導層は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、およびそれらの合金から成る群から選択される材料から作製されてもよい。種々の実施形態では、電気絶縁層は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、熱伝導層および電気絶縁層は、接着剤を用いて接合されてもよい。種々の実施形態では、筐体は、電気絶縁材料から作製されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、電気構成要素は、超音波動力型トランスデューサであってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、外科手術用ハンドピースは、縦軸に沿って伸長本体を有する筐体を備えてもよい。種々の実施形態では、超音波動力型トランスデューサは、筐体の伸長本体内に位置付けられてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、熱拡散器は、筐体の伸長本体とトランスデューサとの間に配置されてもよい。種々の実施形態では、熱拡散器は、熱伝導層と、電気絶縁層とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、熱伝導層は、電気絶縁層よりも筐体の伸長本体に近くあってもよい。種々の実施形態では、熱拡散器は、筐体の伸長本体に隣接して配置され、トランスデューサから外向きに半径方向に離間されてもよい。
【0013】
加えて、種々の実施形態では、熱伝導層は、複数の熱伝導材料片を備えてもよい。いくつかの実施形態では、2つの熱伝導材料片の間に、重複があってもよい。種々の実施形態では、熱伝導層は、少なくとも銅から作製されてもよく、電気絶縁層は、少なくともポリテトラフルオロエチレンから作製されてもよい。そのうえ、いくつかの実施形態では、熱伝導層および電気絶縁層は、接着剤を用いて接合されてもよい。
【0014】
種々の実施形態では、超音波外科手術用ハンドピースは、内部表面、縦軸、および/または内部表面上の筐体係合部分を有する、伸長筐体を備えてもよい。いくつかの実施形態では、筐体係合部分は、中心陥凹、中心陥凹から半径方向外向きに向き、縦軸を中心として均等に離間される、複数の尖頭陥凹、および/または隣接する尖頭陥凹を継合する凸状弧と含む、横断面を有してもよい。種々の実施形態では、超音波ホーンは、筐体内に同軸上に含有され、外部表面と、外部表面上のホーン係合部分と含んでもよい。そのうえ、いくつかの実施形態では、ホーン係合部分は、中心部分、半径方向外向きに延在し、縦軸を中心として均等に離間される、複数の尖頭突出部、および/または隣接する尖頭突出部を継合する凹状弧とを含む、横断面を有してもよい。種々の実施形態では、尖頭突出部はそれぞれ、尖頭陥凹のそれぞれと形状が対応してもよく、それと係合可能であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、各凸状弧は、縦軸と略平行である側壁を有してもよく、各凹状弧は、縦軸と略平行である側壁を有してもよい。種々の実施形態では、筐体係合部分は、少なくとも3つの尖頭陥凹を備えてもよく、ホーン係合部分は、少なくとも3つの尖頭突出部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、筐体係合部分は、5~7つの尖頭陥凹を備えてもよく、ホーン係合部分は、5~7つの尖頭突出を備えてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの尖頭陥凹は、丸みを帯びている、または湾曲している、または球体の一部を構成する、陥凹先端部分を有してもよい。種々の実施形態では、少なくとも1つの尖頭突出は、丸みを帯びている、または湾曲している、または球体の一部を構成する、突出先端部分を有してもよい。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の側面によると、筐体と、筐体内の電気構成要素と、筐体と電気構成要素との間に配置される熱拡散器とを備える、外科手術用ハンドピースが提供される。熱拡散器は、熱伝導層と、電気絶縁層とを備え、熱伝導層は、電気絶縁層よりも筐体に近い。より詳細な側面では、熱伝導層は、複数の熱伝導材料片を備え、2つの熱伝導材料片の間に、重複がある。
【0017】
さらに詳細な側面では、外科手術用ハンドピースの筐体は、伸長本体を有し、熱拡散器は、電気構成要素の周囲の伸長本体の中に嵌合する、円筒形または部分的に円筒形の形態である。
【0018】
本発明の実施形態の他の側面によると、回転防止特徴が、トルク下の印加面積を増加させ、それによって、外科手術用先端の緊締または弛緩の間のトランスデューサの回転に起因する外科手術用デバイスの故障を低減させることによって、ポリマー筐体に印加される金属ホーンの力を分散するために提供される。
【0019】
より詳細な側面では、内部表面と、縦軸と、内部表面上の筐体係合部分とを有する、伸長筐体であって、筐体係合部分は、中心陥凹と、中心陥凹から半径方向外向きに向き、縦軸を中心として均等に離間される、複数の尖頭陥凹と、隣接する尖頭陥凹を継合する凸状弧とを含む、横断面を有する、伸長筐体と、筐体内に同軸上に含有され、外部表面と、外部表面上のホーン係合部分とを有する、超音波ホーンであって、ホーン係合部分は、中心部分と、半径方向外向きに延在し、縦軸を中心として均等に離間される、複数の尖頭突出部と、隣接する尖頭突出部を継合する凹状弧とを含む、横断面を有する、超音波ホーンとを備え、尖頭突出部はそれぞれ、尖頭陥凹のそれぞれと形状が対応し、それと係合可能である、超音波外科手術用ハンドピースが提供される。
【0020】
さらに詳細な側面では、筐体係合部分の各凸状弧は、縦軸と略平行である側壁を有し、ホーン係合部分の各凹状弧は、縦軸と略平行である側壁を有する。加えて、少なくとも1つの尖頭陥凹は、球体の一部を構成する陥凹先端部分を有してもよく、少なくとも1つの尖頭突出部は、球体の一部を構成する突出先端部分を有してもよい。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
外科手術用ハンドピースであって、
筐体と、
前記筐体内の電気構成要素と、
前記筐体と前記電気構成要素との間に配置され、熱伝導層と、電気絶縁層とを備える、熱拡散器であって、前記熱伝導層は、前記電気絶縁層よりも前記筐体に近い、熱拡散器と
を備える、外科手術用ハンドピース。
(項目2)
前記熱伝導層は、複数の熱伝導材料片を備える、項目1に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目3)
2つの熱伝導材料片の間に、重複がある、項目2に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目4)
前記筐体は、伸長本体を有し、前記熱拡散器は、前記電気構成要素の周囲の前記伸長本体の中に嵌合する、円筒形または部分的に円筒形の形態である、項目1-3のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目5)
前記熱伝導層は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、およびそれらの合金から成る群から選択される材料から作製される、項目1-4のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目6)
前記電気絶縁層は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される材料から作製される、項目1-5のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目7)
前記熱伝導層および前記電気絶縁層は、接着剤を用いて接合される、項目1-6のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目8)
前記筐体は、電気絶縁材料から作製される、項目1-7のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目9)
前記電気構成要素は、超音波動力型トランスデューサである、項目1-8のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目10)
縦軸に沿って伸長本体を有する、筐体と、
前記筐体の伸長本体内に位置付けられる、超音波動力型トランスデューサと、
前記筐体の伸長本体と前記トランスデューサとの間に配置され、熱伝導層と、電気絶縁層とを備える、熱拡散器であって、前記熱伝導層は、前記電気絶縁層よりも前記筐体の伸長本体に近い、熱拡散器と
を備え、
前記熱拡散器は、前記筐体の伸長本体に隣接して配置され、前記トランスデューサから外向きに半径方向に離間される、
外科手術用ハンドピース。
(項目11)
前記熱伝導層は、複数の熱伝導材料片を備える、項目10に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目12)
2つの熱伝導材料片の間に、重複がある、項目11に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目13)
前記熱伝導層は、少なくとも銅から作製され、前記電気絶縁層は、少なくともポリテトラフルオロエチレンから作製される、項目10-12のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目14)
前記熱伝導層および前記電気絶縁層は、接着剤を用いて接合される、項目10-13のうちの1項に記載の外科手術用ハンドピース。
(項目15)
内部表面と、縦軸と、前記内部表面上の筐体係合部分とを有する、伸長筐体であって、前記筐体係合部分は、中心陥凹と、前記中心陥凹から半径方向外向きに向き、前記縦軸を中心として均等に離間される、複数の尖頭陥凹と、隣接する尖頭陥凹を継合する凸状弧とを含む、横断面を有する、伸長筐体と、
前記筐体内に同軸上に含有され、外部表面と、前記外部表面上のホーン係合部分とを有する、超音波ホーンであって、前記ホーン係合部分は、中心部分と、半径方向外向きに延在し、前記縦軸を中心として均等に離間される、複数の尖頭突出部と、隣接する尖頭突出部を継合する凹状弧とを含む、横断面を有する、超音波ホーンと
を備え、前記尖頭突出部はそれぞれ、前記尖頭陥凹のそれぞれと形状が対応し、それと係合可能である、超音波外科手術用ハンドピース。
(項目16)
各凸状弧は、前記縦軸と略平行である側壁を有し、各凹状弧は、前記縦軸と略平行である側壁を有する、項目15に記載の超音波外科手術用ハンドピース。
(項目17)
前記筐体係合部分は、少なくとも3つの尖頭陥凹を備え、前記ホーン係合部分は、少なくとも3つの尖頭突出部を備える、項目15-16のうちの1項に記載の超音波外科手術用ハンドピース。
(項目18)
前記筐体係合部分は、5~7つの尖頭陥凹を備え、前記ホーン係合部分は、5~7つの尖頭突出部を備える、項目15-17のうちの1項に記載の超音波外科手術用ハンドピース。
(項目19)
少なくとも1つの尖頭陥凹は、丸みを帯びている、または湾曲している、または球体の一部を構成する、陥凹先端部分を有する、項目15-18のうちの1項に記載の超音波外科手術用ハンドピース。
(項目20)
少なくとも1つの尖頭突出部は、丸みを帯びている、または湾曲している、または球体の一部を構成する、突出先端部分を有する、項目15-19のうちの1項に記載の超音波外科手術用ハンドピース。
【0021】
本発明の実施形態の他の特徴および利点は、添付の例示的図面と併せて参照されるとき、以下の発明を実施するための形態からより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図の全体を通して同一部品を指す。また、図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、代わりに、概して、本発明の原理を例証することが、強調される。
【0023】
本発明の実施形態は、図面を参照して本明細書に説明される。
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態による、超音波外科手術用装置の斜視図である。
【0025】
図2図2は、ノーズコーンおよびそれに取り付けられた外科手術用先端を伴う、本発明の実施形態による、超音波外科手術用ハンドピースの側面図である。
【0026】
図3図3は、図2の超音波外科手術用ハンドピースの縦断面図である。
【0027】
図4図4は、図2の超音波外科手術用ハンドピースの一部の別の縦断面図である。
【0028】
図5図5は、ハンドピース筐体が想像線で示された、図2の超音波外科手術用ハンドピースの一部の斜視図である。
【0029】
図6図6は、本発明の実施形態による、熱拡散器の斜視図である。
【0030】
図7図7は、図6の熱拡散器の横断面図である。
【0031】
図8図8は、図7の熱拡散器の側面図である。
【0032】
図9A図9Aは、本発明の実施形態による、熱拡散器複合シートのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層の上面図である。
【0033】
図9B図9Bは、図9AのPTFE層の側面図である。
【0034】
図10A図10Aは、熱拡散器複合シートの銅テープ構成要素の上面図である。
【0035】
図10B図10Bは、図10Aの銅テープ構成要素の側面図である。
【0036】
図11A図11Aは、熱拡散器複合シートの別の銅テープ構成要素の上面図である。
【0037】
図11B図11Bは、図11Aの銅テープ構成要素の側面図である。
【0038】
図12図12は、熱拡散器複合シートを図示する。
【0039】
図13図13は、図12の熱拡散器複合シートの側面図である。
【0040】
図14図14は、図13に示される熱拡散器の一区分の詳細図である。
【0041】
図15図15は、ハンドピース筐体の斜視図である。
【0042】
図16図16-18は、図15のハンドピース筐体の中に熱拡散器を設定するステップを図示する。
図17図16-18は、図15のハンドピース筐体の中に熱拡散器を設定するステップを図示する。
図18図16-18は、図15のハンドピース筐体の中に熱拡散器を設定するステップを図示する。
【0043】
図19図19は、連続動作中のハンドピース温度の試験結果を示す。
【0044】
図20図20は、本発明の実施形態による、超音波外科手術用ハンドピースの縦断面図である。
【0045】
図21図21は、本発明の実施形態による、内部超音波ホーンを含む超音波トランスデューサの斜視図である。
【0046】
図22図22は、図21に示される内部超音波ホーンの一部の斜視図である。
【0047】
図23図23は、ハンドピース筐体の筐体係合部分を図示する。
【0048】
図24図24は、組立状態時のハンドピース筐体および内部超音波ホーンの一部の縦断面図である。
【0049】
図25図25は、図22の線E-Eに沿って得られた内部超音波ホーンの横断面図である。
【0050】
図26図26は、図23の線F-Fに沿って得られたハンドピース筐体の横断面図である。
【0051】
図27図27は、内部超音波ホーンの側面図である。
【0052】
図28図28は、図27の内部超音波ホーンの一区分の詳細図である。
【0053】
図29図29は、図27の線Z-Zに沿って得られた横断面図である。
【0054】
図30図30は、本発明の実施形態による、ハンドピース筐体の切断図である。
【0055】
図31図31は、図30の線D-Dに沿って得られた横断面図である。
【0056】
図32図32は、図31に示されるハンドピース筐体の筐体係合部分の詳細図である。
【0057】
図33図33は、図32に示される筐体係合部分の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
現在開示されている外科手術用ハンドピースの実施形態が、ここで、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、いくつかの図のそれぞれの中の同じであるまたは対応する要素を示す。本明細書で使用されるように、用語「遠位」が、通常使用中に、ユーザからより遠い器具またはその構成要素の部分を指す一方で、用語「近位」は、ユーザにより近い器具またはその構成要素の部分を指す。用語「超音波ホーン」、「超音波先端」、「超音波吸引先端」、「超音波外科手術用吸引先端」、「吸引先端」、「超音波外科手術用先端」、「外科手術用先端」、「ホーン」、および「先端」は、本明細書では同義的に使用される。用語「筐体」、「ハンドピース筐体」、および「トランスデューサ筐体」もまた、本明細書では同義的に使用される。用語「内部超音波ホーン」および「内部ホーン」もまた、本明細書では同義的に使用される。
【0059】
図1-3は、組織を超音波で断片化し、吸引するための超音波外科手術用装置10を示す。概して、超音波外科手術用装置10は、断片化を指示するために外科医によって使用するためのハンドピース12を含む。ハンドピース12は、外科手術用先端14が締結される内部超音波ホーン11に結合される、トランスデューサ19を封入する。トランスデューサは、電気エネルギーを機械的運動に変換する。外科手術用先端14は、トランスデューサ19によって給電され、組織を断片化し、中心チャネル17を介して廃物を吸入するように、超音波で作動されることができる。内部超音波ホーン11は、外科手術用先端14のための接続点を含み、トランスデューサ19から外科手術用先端14に振動を伝達し、手術中に組織を断片化する。外科手術用先端14の遠位端部分13は、送液筒16の遠位端を超えて延在する。内部超音波ホーン11および外科手術用先端14は、チタンまたは当技術分野で公知の他の従来の材料から作製されてもよい。
【0060】
冷却流体を超音波ホーン14に提供する冷却および潅注システムが、温度を許容範囲内に維持するために提供される。ハンドピース12は、滅菌可能プラスチック、金属、または他の好適な材料、またはそれらの組み合わせから形成され得る、筐体50を含む。送液筒16は、潅注流体または液体のための経路を提供し、ハンドピース12の遠位端に接続する。送液筒16は、典型的には、ノーズコーン40を介してハンドピース12に接続する。送液筒16は、送液筒管18を含むかまたはそれに取り付けられる。ノーズコーン40は、筐体50に接続し、外科手術用先端14の近位端部分を被覆する。
【0061】
潅注管22は、上流で送液筒管18に接続し、外科手術中に送液筒管18を通して潅注流体を手術部位に供給する。吸引管24は、吸入力と、手術部位から収集キャニスタ(図示せず)への吸引のための経路とを提供する。電気ケーブル26は、電力を装置に提供する、または切替接続を提供する。
【0062】
図4および5に示されるように、ハンドピース12は、伸長筐体50と、筐体50内に超音波動力型圧電トランスデューサ19等の電気構成要素とを有する。ハンドピース12はまた、筐体50内に熱拡散器100を有する。熱拡散器100は、筐体50と電気構成要素19との間に配置される。熱拡散器100は、内部電気構成要素19の周囲の筐体50の伸長本体の中に嵌合する、円筒形の形態または部分的に円筒形の形態である。
【0063】
筐体は、筐体の内部表面上に近位肩部52と、遠位肩部54とを有する。近位肩部52は、略遠位に向いており、遠位肩部54は、略近位に向いている。肩部52、54は、筐体50の縦軸Lを中心として半径方向に形成され、熱拡散器100が筐体50の内部表面の周囲で定位置にぴったりと着座して留まるために、その間に着座空間を形成する。筐体は、電気絶縁性であり、好ましくは、耐熱性でもある材料から作製される。例えば、筐体は、ポリフェニルスルホンから作製されてもよい。
【0064】
図6-14は、本発明の熱拡散器の例示的実施形態を示す。熱拡散器100は、熱伝導層110と、電気絶縁層120と備える、熱拡散器複合シート150から作製される。熱伝導層110は、材料片の間に重複面積110cを伴う熱伝導材料片110a、110bを備える。
【0065】
熱拡散器を作製するために、好適な寸法のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート等の電気絶縁材料120のシートを採用する。好適な寸法の銅箔テープ等の熱伝導材料片110a、110bを採用する。熱伝導材料片は、同一または異なるサイズであってもよい。洗浄剤、例えば、イソプロピルアルコールを用いてPTFEシートを洗浄し、接着剤対応表面を提供する。PTFEシートの接着剤対応表面上に銅テープ片を置き、接合する。熱伝導材料片110a、110bの間に約5/16インチの重複面積110cを伴って、1つずつそれを行う。PTFEシート上の全ての銅テープ片は、次いで、プラスチック棒によって平滑化される。銅テープまたはPTFE片の縁は、次いで、2つの層がサイズおよび形状において合致し、熱拡散器複合シート150を提供するように切断される。
【0066】
次のステップは、熱拡散器複合シート150を熱拡散器に作製し、ハンドピース筐体の中へそれを設置することである。筐体の例示的実施形態が、図15に示される。プラスチック棒によって熱拡散器複合シート150を屈曲する、または丸め、図16に示されるような略円筒形の形態で熱拡散器100を形成する。熱伝導層は、シリンダの外層であり、電気絶縁層は、シリンダの内層である。重複面積110cのストリップは、熱拡散器上で縦方向に延在する。次いで、図17および18に示されるように、筐体50の中に熱拡散器を置く。随意に、ヒートガンおよびプラスチック棒を使用し、トランスデューサ筐体の内側の熱拡散器を平滑化する。最後に、トランスデューサ筐体の内側の熱拡散器の配置を確認する。
【0067】
熱拡散器シリンダは、筐体の中で跳出しやすく、筐体の中の定位置、例えば、肩部52、54の間の空間の中に留まる。いったん筐体の中に置かれると、熱拡散器シリンダは、開放し、筐体の内部表面に共形化し、図18に図示されるように、端部が小さい間隙130と接触する、または略接触する状態で、定位置に留まる。ハンドピース内の熱伝導層110は、電気絶縁層120よりも筐体50に近い。熱伝導層110は、筐体50に対面し、電気絶縁層120は、電気構成要素19に対面する。
【0068】
図面に示される実施形態は、3つの熱伝導材料片を備える熱伝導層を有するが、熱伝導層は、単一のシートの熱伝導材料または複数の熱伝導材料片を備えてもよい、またはそれから成ってもよいことが理解される。熱伝導材料片の間に、任意の好適な量の重複があってもよく、または重複が全くなくてもよく、熱伝導材料片の間に、間隙があってもよい。同様に、電気絶縁層は、図面に図示されるような単一のシートの電気絶縁材料または複数の電気絶縁材料片を備えてもよく、またはそれから成ってもよく、電気絶縁材料片の間に、任意の好適な量の重複があってもよく、または重複が全くなくてもよく、電気絶縁材料片の間に、間隙があってもよい。熱伝導層および電気絶縁層は、それらの個別の機能を実施するために完全連続層である必要はない。しかしながら、材料片の間に重複面積を伴う3つの熱伝導材料片を含む、示されるような実施形態は、熱膨張によって引き起こされ得る変形を防止するであろうと考えられる。
【0069】
熱伝導層は、金属、黒鉛等の炭素、セラミック、およびある複合材料等の高い熱伝導率を呈する材料から作製される。高い熱伝導率の材料は、ヒートシンク用途で広く使用されている。熱伝導層の熱伝導材料は、好ましくは、約90W/m・Kよりも高い、より好ましくは、約200W/m・Kよりも高い、熱伝導率値を有する。熱伝導材料の実施例は、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、およびアルミニウム合金等のそれらの合金を含む。
【0070】
電気絶縁層は、電気絶縁材料から作製される。電気絶縁材料は、典型的には、1012Ω/sq(オーム/スクエア)を上回る表面抵抗率を伴う材料であると見なされる。ガラス、陶材、紙、ゴム等のポリマー材料、ゴム様ポリマーおよびプラスチック、および複合材料のような材料は、良好な電気絶縁体である。電気絶縁材料の実施例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0071】
熱伝導層および電気絶縁層は、接着剤を用いて接合される、または当技術分野で公知である、機械的手段または他の手段によって接続されてもよい。銅テープ等の金属テープが熱伝導層として使用される場合、銅テープが導電性または非伝導性であり得る接着剤を用いて裏打ちされているため、それを電気絶縁層と接合するための、別個の接着剤は、必要ではない。また、熱伝導層および電気絶縁層は、任意の接着剤または特定の手段によって接合または接続される必要がないことも、考えられる。層は、それらが巻かれて筐体の中へ挿入された後に接触したままであってもよい。
【0072】
好適な接着剤は、限定ではないが、アクリル、エポキシ、アラミド系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリエチレン系、エチレン酢酸ビニル(EVA)系、ポリエステル系、およびポリ塩化ビニル(PVC)系の接着剤を含む。層はまた、両面接着テープ等の接着テープを用いて接合されてもよい。
【0073】
上記で説明される熱拡散器の例示的実施形態は、銅を加えたPTFE熱拡散器である。接着剤側面を伴う銅テープが、熱伝導層として使用される。銅テープは、PTFEポリマーシートを用いて裏打ちされる。銅は、PTFEシート上に設置され、筐体とPTFEシートとの間で保たれる。PTFEシートは、銅が、端子等のトランスデューサスタックの要素のうちのいずれかに接触し、電気的に短絡することを防止する。加えて、PTFEは、振動スタックの任意の要素が本材料に接触する場合に低い摩擦係数を有するが、そのような接触は、設計によって回避される。熱拡散器は、約0.020インチの厚さを有するPTFEシートと、非伝導性接着裏打ちおよび約0.0029インチの総厚を有する銅箔テープとから作製されることができる。
【0074】
熱伝導層、電気絶縁層、および2つの層から形成される熱拡散器複合シートは、限定ではないが、所望の熱伝導および電気絶縁特性、熱拡散器を収容するためのハンドピース筐体内の利用可能な空間、および略円筒形または実質的に円筒形の形態または任意の他の所望の形態を形成するように巻かれるような熱拡散器複合シートの必要な可撓性を含む、いくつかの要因を考慮して、当業者によって容易に決定されることができるような任意の適切な厚さを有してもよい。例えば、熱伝導層は、約0.1インチ未満、好ましくは、0.05インチ未満、例えば、0.001~0.010インチの範囲内の厚さを有してもよく、電気絶縁層は、約0.1インチ未満、好ましくは、約0.05インチ未満、例えば、0.01~0.05インチの範囲内の厚さを有してもよい。
【0075】
熱拡散器複合シートおよびそれから形成される熱拡散器の好適な寸法もまた、熱拡散器を含有する医療デバイスのサイズおよび形状、および所望の熱拡散効果等のいくつかの要因に応じて、当業者によって容易に決定されることができる。熱拡散器内の熱伝導層および電気絶縁層は、それらが重複して十分な熱放散を提供し、短絡を防止する限り、サイズまたは形状において完全に合致する必要はない。
【0076】
図示されるように、いったん熱拡散器シリンダが跳出すると、熱拡散器は、ハンドピース筐体の内側表面に接触するであろうが、熱拡散器は、筐体またはトランスデューサと接触することなく機能するであろうと考えられる。熱拡散器は、筐体および/またはトランスデューサに接合されてもよいが、これは、必要ではない。
【0077】
また、熱伝導層および電気絶縁は、別個に、または連続的に、筐体の中へ設置され得ることも考慮される。例えば、熱伝導シリンダが、最初に、筐体の中に挿入され、定位置に位置付けられてもよく、次いで、電気絶縁シリンダが、筐体に形成された熱伝導スリーブの中に挿入される。熱拡散器は、任意の好適な順序で配列される複数の熱伝導層および複数の電気絶縁層を有してもよい。
【0078】
熱拡散器複合シートが巻かれた後、かつ熱拡散器が筐体の中に設置される前に、熱拡散器の端部は、接触していてもよい、または接触していなくてもよい、または種々の程度に重複してもよい。同様に、熱拡散器が筐体の中に設置された後、熱拡散器の端部は、接触していてもよい、または接触していなくてもよい、または種々の程度に重複してもよい。熱拡散器の遊離端部は、接着剤を用いて、または機械的または化学的手段によって、円筒体に接合されてもよいが、これは、必要ではない。
【0079】
いかなる特定の理論によっても拘束されないが、銅は、端子等の熱的に加熱された要素に接触していない、または伝導性であるため、単純なヒートシンクではないと考えられる。銅の異なる厚さの層が試験されたが、最小限の重複を伴う単一の76マイクロメートル(すなわち、0.003インチ)の厚さのシートが十分であることが、分かった。厚さを2倍にすることが、筐体における温度に殆ど影響を及ぼさなかったのに対し、トランジスタおよび電力供給部のため等の従来の電気的設計におけるヒートシンクサイズおよび体積は、表面積および体積依存性であり、熱の放散に影響を及ぼす。代わりに、熱伝導性である銅は、トランスデューサスタックまたは端子とPTFEシートとの間の空間を通過するトランスデューサスタックのホットスポットから銅まで放射および対流熱を拡散する。集中放射および対流熱は、銅に集中しようとするであろうが、非常に熱伝導性であるため、熱が、銅を中心として拡散する。熱が電場または伝導された電流の形態である場合、拡散し、銅の表面全体を中心として等電位面を形成するであろう。類似性は、銅が等電位温度であろう方法で熱を拡散することである。しかしながら、ある程度の熱が、周囲に失われ、ある程度の熱が、依然として筐体に伝導する。銅シートは、その表面に到達する集中対流および放射熱の非常に熱伝導性の拡散器であり、それによって、ホットスポットと関連付けられる温度を低減させる。
【0080】
熱拡散器の利点は、動作の5分および10分における電気機械データおよび関連付けられる赤外線熱画像で示されるように、ハンドピースおよび外科手術用先端の組み合わせに関して非常に高いストロークで維持される。超音波周波数における高いストロークおよび外科手術用先端および関連付けられるスタックの速度は、神経外科手術および一般的外科手術用途における腫瘍および頑強組織除去の有効性にとって必要である。熱拡散器の機能性はまた、定格寿命使用評定で維持され、トランスデューサの電気機械データに示されるように、2つの2倍寿命評定に試験された。トランスデューサは、2倍定格寿命において体温を2、3度上回るが、ストロークは、初期較正からごく僅かに増加している。本事例における温度は、より一様であり、時間とともに漸近線となり、外科医の鋭い触覚感度にとってあまり不快ではない。いくつかの試験データが、図19に示される。熱拡散器は、外科医によって感じられないように、55℃を上回る不快なホットスポットを41℃未満に、殆どの場合、ほぼ体温(37℃)に低減させることができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態における熱拡散器の組み込みに加えて、例えば、スタックの振動下で加熱を引き起こし得る界面を排除することによって、ホットスポットを低減させることに役立つように、付加的手段がとられてもよい。これは、振動端子から任意の剛性エポキシを除去するステップを含んでもよい。これらの端子は、圧電セラミック円板上の金属化電極に接触する。端子は、超音波振動と関連付けられる高い速度で振動しており、それらはまた、熱伝導性であり、スタックの中の熱を筐体により近づける。ゴムまたはゴム様である減衰化合物は、それらが可撓性フックアップワイヤにはんだ付けされる端子上に設置されてもよい。ホットスポットを低減させるための他の手段は、例えば、25.4マイクロメートル、すなわち、0.001インチ未満の最小限の厚さのプラズマ金属コーティングを使用するステップを含む。
【0082】
ここで、図20-33を参照して、本発明の実施形態の他の側面によると、回転防止特徴を伴う超音波外科手術用ハンドピースが、提供される。回転防止特徴は、構造的故障のリスクを低減させる。超音波外科手術用ハンドピース12は、内側表面550と、縦軸Lと、内側表面550上の筐体係合部分500とを有する、伸長筐体50を備える。筐体係合部分500は、中心陥凹540と、中心陥凹から半径方向外向きに向き、縦軸Lを中心として均等に離間される、6つの尖頭陥凹510と、隣接する尖頭陥凹510を継合する凸状弧520とを含む、横断面を有する。超音波外科手術用ハンドピース12はまた、筐体50内に同軸上に含有され、外側表面450と、外側表面450上のホーン係合部分400とを有する、超音波ホーン11も備える。ホーン係合部分400は、中心部分440と、半径方向外向きに延在し、縦軸Lを中心として均等に離間される、6つの尖頭突出410と、隣接する尖頭突出部410を継合する凹状弧420とを含む、横断面を有する。尖頭突出部410はそれぞれ、尖頭陥凹510のそれぞれと寸法および形状が対応し、それと係合可能である。各凸状弧520は、縦軸Lと平行である側壁530を有し、各凹状弧420は、縦軸Lと平行である側壁430を有する。
【0083】
各凸状弧は、円または楕円等のある他の湾曲形状の一区分である。例えば、各凸状弧は、約0.05~約1.0インチの範囲内、好ましくは、約0.1~約0.5インチの範囲内の半径を有する、円の弧であってもよい。例示的実施形態では、各凸状弧は、約0.2インチの半径を有する。複数の凸状弧の直径または半径測定値は、同じではない可能性がある。
【0084】
同様に、各凹状弧は、円または楕円等のある他の湾曲形状の一区分である。例えば、各凹状弧は、約0.05~約1.0インチの範囲内、好ましくは、約0.1~約0.5インチの範囲内の半径を有する、円の弧であってもよい。例示的実施形態では、各凹状弧は、約0.2インチの半径を有する。凹状弧が対応する凸状弧に対応し、それと係合可能である限り、複数の凸状弧の直径または半径測定値は、同じではない可能性がある。
【0085】
尖頭陥凹のうちの少なくとも1つは、丸い、または湾曲している、または球体の一部を構成する、陥凹先端部分を有してもよい。陥凹先端部分は、約0.005~約0.1インチの範囲内、例えば、約0.01インチの半径を有してもよい。
【0086】
尖頭突出のうちの少なくとも1つは、丸みを帯びた、または湾曲している、または球体の一部を構成する、突出先端部分を有してもよい。突出先端部分は、約0.005~約0.1インチの範囲内、例えば、約0.01インチの半径を有してもよい。
【0087】
本発明の実施形態による、回転防止システムでは、筐体係合部分は、複数の尖頭陥凹、例えば、少なくとも3つ、好ましくは、5~7つの尖頭陥凹を備えてもよく、ホーン係合部分は、複数の尖頭突出部、例えば、少なくとも3つ、または好ましくは、5~7つの尖頭突出部を備えてもよい。図面に示される例示的実施形態は、筐体係合部分の横断面に6つの尖頭陥凹と、ホーン係合部分に6つの尖頭突出部とを有する。6つの尖頭突出部を有するホーン係合部分は、以降では「六角歯」と称される。
【0088】
六角歯設計は、効果的な回転防止拘束部のために使用されることができる。回転の機械的利点を伴う斜面のように見え得る、六角ナットと異なり、歯は、負荷および結果として生じた応力を分散しながら回転に抵抗する広い表面積をもたらす。斜面は、噛合特徴または表面から離れるように六角表面を持ち上げ、カムアウトを引き起こすための機械的利点を提供する。斜面の機械的利点は、直観的であり、ピラミッドのブロック、ジッパー、および他の単純であるが洗練された機械システムを持ち上げるため等の最初期の人的機構で採用される。
【0089】
金属/ポリマー界面の設計は、印加されたトルクに対する抵抗が、応力を分散し、許容限界の下で維持するように、より大きい負荷の下の面積を増加させることを考慮するはずである。単純な六角形の中の応力は、大きく、負荷が印加されるにつれて面積が縮小されるように、六角形の斜面の機械的利点とともに増加する。ポリマーは、局所塑性変形が起こり、局所的応力分布下で割れるのではなく、ポリマーを金属に共形化させ得るという点で、脆性材料に対して寛容である。六角歯では、6つの歯特徴がポリマーにカム作用すると、負荷は、分散され、印加されたトルクに対向する面積は、より広くなる。印加面積は、保持力を6で除算し、より少ない応力集中を引き起こす。歯設計では、機構が故障するために材料が機能しなくなることがしばしばある。六角歯は、歯軌道回転防止機構に基づいて、従来技術のハンドピースの故障モードを克服する。既知の機械加工方法が、ホーンおよび筐体噛合幾何学形状を実用的にする。六角歯設計は、弾性および局所塑性変形の間に負荷分散を増加させる必要性の基礎的理解に基づいて開発された。
【0090】
接触面積が広いほど、フックの法則、すなわち、σ(応力)=F(力)/A(面積)によって決定されるように、所与の保持力またはトルクに対する応力が小さくなる。歯特徴は、開始六角形状に導入され得ることが、決定された。ボールエンドミルが、内部超音波ホーンの六角形の中に歯を作成するために使用されることができ、ブローチが、噛合形状をポリマー筐体に導入するために使用されることができる。歯の噛合特徴は、カムアウトを可能にするのではなく、負荷下の接触面積を増加させることが、認識された。加えて、シミュレーションでは、歯が筐体の6つの歯と噛合し、最大応力を6で除算し、許容応力のための許容力を6で乗算することが、見出された。
【0091】
動作中の場合のように、外科手術用先端を内部超音波ホーンに緊締することに起因する負荷が除去されるとき、内部超音波ホーンの六角歯は、自由に振動する、または縦方向に摺動し、筐体と軽く接触するのみである。内部ホーンの六角歯特徴はまた、超音波の定在波の中で、最小振動の結節点の近くに位置する。
【0092】
内部ホーンの平坦部111が高トルクレベルまでの外科手術用先端の緊締の間に保持されない場合、六角歯は、ポリマー筐体内のトランスデューサの回転を防止する。36kHzトランスデューサの例示的実施形態では、六角歯は、高い繰り返し疲労寿命の6AL 4Vチタン材料に機械加工され、噛合ポリマーは、ポリフェニルスルホン(PPSU)である。ポリエーテルイミドプラスチック等の他の電気絶縁ポリマーもまた利用され得ることが、当業者によって理解される。六角歯は、23kHz、36kHz、または55kHzトランスデューサ等の任意の超音波周波数トランスデューサのために実装されることができる。
【0093】
内部ホーンおよびポリマーケースの長さに沿った六角歯の他の場所も可能であるとともに、六角歯特徴の他の全径および全幅もまた、本発明の実施形態の範囲内である。
【0094】
実際の筐体は、最終的には、必要なトルクを上回る600を上回る締結および弛緩事象まで試験された。加えて、ハンドピースは、風化および脆化が起こり得る、220を上回るオートクレーブ後の定格トルク事象を超えて試験された。トルクベースを使用することなく印加されるトルクが、200を上回る定格使用に適応されていることを前提として、筐体内のトランスデューサを捻転させる故障モードが排除されているという高度な確実性がある。六角歯は、以前は単一または少数の逸脱事象さえも故障を引き起こし得た、定格を上回るトルクにおいて200を超えるトルク事象を可能にする。
【0095】
いくつかの発明の実施形態が本明細書に説明および図示されているが、当業者は、本明細書に説明される機能を実施し、および/または結果および/または利点のうちの1つ以上のものを得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想起し、そのような変形例および/または修正はそれぞれ、本明細書に説明される発明の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であるように意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される、1つまたは複数の具体的用途に依存するであろうことを、容易に理解するであろう。当業者は、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書に説明される具体的な発明の実施形態の多くの均等物を認識する、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、一実施例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内で、具体的に説明および請求される以外の方法で発明の実施形態が実践され得ることを理解されたい。本開示の発明の実施形態は、本明細書に説明される、各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾していなければ、2つまたはそれを上回るそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0096】
本明細書で定義かつ使用されるような全ての定義は、辞書的定義、参照することによって組み込まれた文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されたい。
【0097】
本明細書および本請求項で使用されるような不定冠詞「a」および「an」は、明確にそれとは反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。
【0098】
本明細書および本請求項で使用されるような語句「および/または」は、そのように結合される要素、すなわち、ある場合では接合的に存在し、他の場合では離接的に存在する要素の「いずれか一方または両方」を意味すると理解されたい。「および/または」を伴って列挙される複数の要素は、同一の方式で、すなわち、そのように結合される要素のうちの「1つ以上のもの」と解釈されるべきである。「および/または」という節によって具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、それらの具体的に識別される要素以外に、他の要素が、随意に存在し得る。したがって、非限定的実施例として、「Aおよび/またはB」の言及は、「~を備える」等の非制約的な用語と併せて使用されると、一実施形態では、Aのみ(随意でB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Bのみ(随意でA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0099】
本明細書および本請求項で使用されるように、「または」は、上記で定義されるような「および/または」と同一の意味を有すると理解されたい。例えば、一覧中のアイテムを分離するときに、「または」または「および/または」は、包括的であるものとして、すなわち、少なくとも1つを含むが、いくつかの要素または要素の一覧のうちの1つを上回るものと、随意で、付加的な列挙されていないアイテムとをも含むと解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ」または「~のうちの厳密に1つ」等の明確にそれとは反対に示される用語のみ、または、請求項で使用されるときに、「~から成る」が、いくつかの要素または要素の一覧のうちの厳密に1つの包含を指すであろう。概して、本明細書で使用されるような用語「または」は、「いずれか一方」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、または「~のうちの厳密に1つ」等の排他性の用語が先行すると、排他的代替物(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「本質的に~から成る」は、請求項で使用されると、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0100】
本明細書および本請求項で使用されるように、1つ以上の要素の一覧を指す語句「少なくとも1つ」は、要素の一覧中の要素のうちのいずれか1つ以上のものから選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧内で具体的に列挙される、それぞれの要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、要素の一覧中の要素の任意の組み合わせを除外しないことを理解されたい。本定義はまた、語句「少なくとも1つ」が指す要素の一覧内で具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、具体的に識別されるこれらの要素以外の要素が、随意に存在し得ることも可能にする。したがって、非限定的実施例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、随意に、1つを上回るAを含む、少なくとも1つのA(随意に、B以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Aが存在しない、随意に、1つを上回るBを含む、少なくとも1つのB(随意に、A以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、随意に、1つを上回るAを含む、少なくとも1つのA、および、1つを上回るBを含む、少なくとも1つのB(随意に、他の要素を含む)等を指すことができる。
【0101】
また、明確にそれとは反対に示されない限り、1つを上回るステップまたは作用を含む、本明細書で請求される任意の方法では、方法のステップまたは作用の順序は、方法のステップまたは作用が列挙される順序に必ずしも限定されないことも理解されたい。
【0102】
請求項および上記の明細書では、「~を備える」、「~を含む」、「~を担持する」、「~を有する」、「~を含有する」、「~を伴う」、「~を保持する」、「~から成る」および同等物等の全ての移行句は、非制約的である、すなわち、「限定ではないが、~を含む」を意味すると理解されたい。「~から成る」および「本質的に~から成る」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03に記載されているように、それぞれ、制約的または半制約的な移行句であるものとする。
【0103】
実施形態は、その範囲および不可欠な特性から逸脱することなく、他の形態で具現化されてもよい。説明される実施形態は、したがって、あらゆる点において、例証的であり制限的ではないと見なされるものとする。本発明は、ある好ましい実施形態の観点から説明されているが、当業者に明白である他の実施形態もまた、本発明の範囲内である。
図1
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図9A
図9B
図10A
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図11B
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【外国語明細書】