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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044765
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】フットボールキャップ
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/008 20210101AFI20220310BHJP
   A42B 1/08 20060101ALI20220310BHJP
   A42B 1/22 20060101ALI20220310BHJP
   A42B 1/00 20210101ALI20220310BHJP
【FI】
A42B1/008 Z
A42B1/08 Z
A42B1/22 B
A42B1/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010785
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2019106419の分割
【原出願日】2019-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三荷 克己
(57)【要約】
【課題】高い冷却機能を有し、ヘディングを行うサッカー競技においても好適に使用することが出来るフットボールキャップを提供する。
【解決手段】クラウン部とつば部を有するフットボールキャップであって、下記(1)~(3)を満たす第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し、前記第4領域には高吸水シートを有し、前記第1領域及び第2領域には高吸水シートが配置されていないことを特徴とするフットボールキャップである。(1)前記フットボールキャップは、高さ方向、横方向、縦方向を有しており、前記縦方向は前記高さ方向及び横方向と垂直に交わる方向である。(2)前記第1領域は、前記フットボールキャップを前記縦方向に4等分割したときに前記つば部を有する領域である。(3)前記第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域はこの順で配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウン部とつば部を有するフットボールキャップであって、
前記フットボールキャップは、下記(1)~(3)を満たす第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し、
前記フットボールキャップは、前記第4領域に高吸水シートを有し、前記第1領域及び第2領域には高吸水シートが配置されていないことを特徴とするフットボールキャップ。
(1)前記フットボールキャップは、高さ方向、横方向、縦方向を有しており、前記縦方向は前記高さ方向及び横方向と垂直に交わる方向である。
(2)前記第1領域は、前記フットボールキャップを前記縦方向に4等分割したときに前記つば部を有する領域である。
(3)前記第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域はこの順で配置されている。
【請求項2】
前記第4領域に存在する前記高吸水シートの内側にはメッシュ層を有し、
前記高吸水シートの外側にはメッシュではない布帛を有している請求項1に記載のフットボールキャップ。
【請求項3】
織布または編布で構成された滑り止め材を有し、前記滑り止め材はキャップの周方向に延在している請求項1または2に記載のフットボールキャップ。
【請求項4】
前記滑り止め材は繊維径が1μm以下のナノ繊維を含む糸を用いて構成されている請求項3に記載のフットボールキャップ。
【請求項5】
前記滑り止め材は、前記高吸水シートが設けられている部分には備えられていない請求項3または4に記載のフットボールキャップ。
【請求項6】
前記クラウン部のうち頭頂部に相当する部分には、前記高吸水シートが設けられていない請求項1~5のいずれか一項に記載のフットボールキャップ。
【請求項7】
前記つば部の中央部分を含むつば部の中央領域と前記クラウン部の少なくとも一部が、連続した一体の生地で構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載のフットボールキャップ。
【請求項8】
前記つば部は芯材を有し、
前記キャップは、前記芯材の上側にある上側生地と、前記芯材の下側にある下側生地を有し、
前記芯材は、肌側に近い近位側縁部と肌側から遠い遠位側縁部を備え、
前記上側生地と前記芯材が、前記近位側縁部で固定されていない部分を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフットボールキャップ。
【請求項9】
キャップの右側及び左側には、キャップの周長を調整するための調整手段が設けられている請求項1~8のいずれか一項に記載のフットボールキャップ。
【請求項10】
前記調整手段が面ファスナーである請求項9に記載のフットボールキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却機能を有するキャップであり、特にサッカー競技を行う際に着用するキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却機能を有する部材を備えた帽子が知られている。例えば特許文献1には、帽子のクラウンのうち、つばがある部分に蓄冷剤入り帽体用袋体を設けた帽子が記載されている。
【0003】
特許文献1には、人のほぼ額の形状に形成された織布製の薄型の袋体の中に所定量の顆粒状の吸水性ポリマーからなる蓄冷剤を封入し、袋体の前面又は背面に、袋体の取り外しが自由にできるように雌雄一組とする面ファスナー等からなる取付材を設けたことを特徴とする蓄冷剤入り帽体用袋体が記載されており、特許文献1の図5では、帽子のつばがある部分にこの袋体を備えている様態が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3052637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の冷却機能つきの帽子は、つばがある面を前面とし、当該面の内面に蓄冷剤入り帽体用袋体が設けられている。この様態の帽子は、サッカー競技を行う際に着用するには、冷却の機能面において未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サッカー競技においても、好適に額を冷却しながらプレーすることが出来るフットボールキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明のフットボールキャップとは、クラウン部とつば部を有するフットボールキャップであって、下記(1)~(3)を満たす第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を有し、前記第4領域には高吸水シートを有し、前記第1領域及び第2領域には高吸水シートが配置されていないことを特徴とするフットボールキャップである。(1)前記フットボールキャップは、高さ方向、横方向、縦方向を有しており、前記縦方向は前記高さ方向及び横方向と垂直に交わる方向である。(2)前記第1領域は、前記フットボールキャップを前記縦方向に4等分割したときに前記つば部を有する領域である。(3)前記第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域はこの順で配置されている。
【0008】
本発明のフットボールキャップは、第4領域に高吸水シートが設けられており、高吸水シートの配置された面が額側となるように着用される。このように着用することで、つば部を有する第1領域が後頭部に配置される。この時、高吸水シートの部分を水に濡らして着用することで、含まれている水分が気化する際に額の熱を奪い、額を冷却することができる。このように、つばが配置されておらず、高吸水シートが配置されている第4領域を額側にあてて着用することで、サッカー競技を行う際に、額を冷却しながら好適にヘディングをすることができる。
【0009】
前記第4領域に存在する前記高吸水シートの内側はメッシュ層を設け、前記高吸水シートの外側にはメッシュではない布帛を設けることが好ましい。
【0010】
織布または編布で構成された滑り止め材を有し、前記滑り止め材はフットボールキャップの周方向に延在させることが好ましい。
【0011】
また、前記滑り止め材は繊維径が1μm以下のナノ繊維を含む糸を用いて構成されていると好ましく、前記滑り止め材は、前記高吸水シートが設けられている部分には備えられていない構成とすることがより好ましい。
【0012】
前記クラウン部のうち頭頂部に相当する部分には、前記高吸水シートを設けない構成とすることが好ましい。
【0013】
前記つば部の中央部分を含むつば部の中央領域と前記クラウン部の少なくとも一部が、連続した一体の生地で構成することも好ましい。
【0014】
前記つば部は芯材を有し、前記キャップは、前記芯材の上側にある上側生地と、前記芯材の下側にある下側生地を有し、前記芯材は、肌側に近い近位側縁部と肌側から遠い遠位側縁部を備え、前記上側生地と前記芯材が、前記近位側縁部で固定されていない部分を有する構成とすることが好ましい。
【0015】
キャップの右側及び左側には、キャップの周長を調整するための調整手段が設けられていると好ましく、前記調整手段として面ファスナーを用いることがより好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフットボールキャップは、つば部の設けられていない第4領域に冷却機能を有する高吸水シートが配置されているため、頭部のうち、額を好適に冷却することができ、尚且つ、つば部が邪魔にならず好適にヘディングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るフットボールキャップを横(y方向)から見た側面図を表す。
図2】本発明の実施の形態に係るフットボールキャップを図1のAの方向から見た側面図を表す。
図3】本発明の実施の形態に係るフットボールキャップを下から見た斜視図を表す。
図4】本発明の実施の形態に係るフットボールキャップを下から見た斜視図を表す。
図5】本発明の実施の形態に係るフットボールキャップを下から見た斜視図を表す。
図6図2に示す実施の形態に係るフットボールキャップのVI-VI線における断面図を表す。
図7図6に示す実施の形態に係るフットボールキャップの断面図のうち、Cで示した部分の一部を拡大した図を表す。
図8】比較例1の形態のキャップを横(y方向)から見た側面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のフットボールキャップとは、クラウン部とつば部を有するフットボールキャップであって、下記(1)~(3)を満たす第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を
有し、前記第4領域には高吸水シートを有し、前記第1領域及び第2領域には高吸水シートが配置されていないことを特徴とするフットボールキャップである。(1)前記フットボールキャップは、高さ方向、横方向、縦方向を有しており、前記縦方向は前記高さ方向及び横方向と垂直に交わる方向である。(2)前記第1領域は、前記フットボールキャップを前記縦方向に4等分割したときに前記つば部を有する領域である。(3)前記第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域はこの順で配置されている。
【0019】
前記第4領域には高吸水シートが設けられており、前記高吸水シートの配置された面を額にあてて着用することで、必然的につば部が後頭部に配置される。これにより、サッカー競技におけるヘディングのパフォーマンスを低下させることなく、額を冷却することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係るフットボールキャップに関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0021】
図1、2は本発明の実施の形態に係るフットボールキャップの側面図を表し、図3~5はフットボールキャップを下から見た時の斜視図を表す。また、図6は、図2に示す実施の形態に係るフットボールキャップのVI-VI線における断面図を表している。図7は、図6に示すキャップの断面図のうち、Cで示した部分の一部を拡大した図を表しており、横方向つまりy方向の向きにおける断面図を示している。具体的には、図7の4a側が肌側に相当し、4b側が外側に相当する。以下では本発明のフットボールキャップを単に「キャップ」と称すことがある。
【0022】
本発明の実施の形態に係るフットボールキャップは、サッカー競技を行う際に着用される帽子である。
【0023】
本発明の実施の形態に係るキャップ1は、クラウン部2とつば部3を有する。前記キャップ1は、下記(1)~(3)を満たす第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d及び第4領域2eを有し、前記第4領域2eには高吸水シート4を有し、前記第1領域2b及び第2領域2cには高吸水シート4が配置されていないことを特徴とするフットボールキャップである。(1)前記キャップ1は、高さ方向、横方向、縦方向を有しており、前記縦方向は前記高さ方向及び横方向と垂直に交わる方向である。(2)前記第1領域2bは、前記キャップ1を前記縦方向に4等分割したときに前記つば部3を有する領域である。(3)前記第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d及び第4領域2eはこの順で配置されている。
【0024】
本発明の実施の形態に係るキャップ1のクラウン部2は、キャップのうち、頭に当接する部分である。クラウン部2は、頭全体を覆う形であってもよいし、頭頂部を覆っていないサンバイザーのような形であってもよい。
【0025】
本発明の実施の形態に係るキャップ1のつば部3は、キャップ1のうち、クラウン部2の縁から周囲へ差し出た部分である。
【0026】
本発明の実施の形態に係るキャップ1は、キャップ1を縦方向に4等分割したときに生じる第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d及び第4領域2eを有している。ここで
いう縦方向とは、キャップにおける高さ方向及び横方向と垂直に交わる方向である。具体的には、図1で示す実施の形態の場合、キャップにおける高さ方向がz、横方向がyであり、これらと垂直に交わるxで示す方向が縦方向である。
【0027】
本発明の実施の形態に係るキャップ1の第1領域2bは、前記キャップ1をx方向に4等分割したときに前記つば部3を有する領域である。
【0028】
本発明の実施の形態に係るキャップ1の第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d及び第4領域2eはこの順で配置されている。キャップ1の第4領域2eには高吸水シート4が配置されるが、第1領域及び第2領域には高吸水シートは配置されない。
【0029】
高吸水シート4は、自重よりも多くの水を吸収することができるシートであり、本発明の実施の形態に係るキャップ1をかぶる際は、高吸水シート4の部分を水に濡らし、高吸水シート4の部分が額側になるように配置して着用する。これにより、含まれている水分が徐々に気化する際に額の熱を奪い、額を冷却することができる。また、高吸水シート4は、額への冷却機能だけでなく、ヘディング時の額への衝撃を吸収する衝撃緩衝材としての機能を果たすこともできる。
【0030】
クラウン部2及びつば部3を構成する生地は、不織布、編布、織布などから適宜選択すればよいが、激しい運動を伴うサッカー競技を行う際にかぶるキャップであるため、通気性を高めるとともに、人頭へのフィット性を高めるために、編布で構成された部分を含む構成とすることが好ましい。
【0031】
クラウン部2及びつば部3を構成する生地の素材については特に限定されず、例えばポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、綿、絹等を用いることができるが、ポリエステルを用いることが好ましい。また、熱中症防止や人頭への遮熱効果を高めるために、クラウン部2及びつば部3を構成する生地は赤外線反射素材から構成されていることが好ましい。さらに、日焼け防止の観点から、クラウン部2及びつば部3を構成する生地はUVカット機能も有していることが好ましい。
【0032】
本発明の実施の形態に係るクラウン部2及びつば部3を構成する生地の素材は、例えば、芯部に赤外線反射セラミックを配合したポリエステルフィラメント等を使用することで、赤外線を反射する機能を持たせることができる。
【0033】
また、本発明の実施の形態に係るクラウン部2及びつば部3を構成する生地は、チタンやセラミック、カーボン等の微粒子をポリエステルなどの化学繊維自体の中に練り込む方法や、生地に紫外線吸収剤や紫外線錯乱剤を塗る方法によって、UVカット機能を持たせることができる。しかしながら、生地に紫外線吸収剤や紫外線錯乱剤を塗る方法は、洗濯によってUVカット機能が低下しやすい。本発明の実施の形態に係るキャップ1は、サッカー競技に使用されるため、着用中にかいた汗を多量に吸収していることが予想される。これに伴い、キャップ1は、洗濯を繰り返し行いながら使用されることが想定される。このため、本発明の実施の形態に係るクラウン部2及びつば部3を構成する生地は、チタンやセラミック、カーボン等の微粒子を化学繊維自体の中に練り込む方法によってUVカット機能を持たせることが好ましい。
【0034】
クラウン部2及びつば部3を構成する生地における、波長280nmから400nmの紫外線をどれだけ遮蔽しているかを表す紫外線遮蔽率は、60%以上であると好ましく、80%以上であるとより好ましく、90%以上であるとさらに好ましい。また、クラウン部2及びつば部3を構成する生地における、UVが遮蔽されていない肌に対する影響と比較して布でUVによる影響を低減させることのできる程度を示す数値を表すUPF値は、
15以上であると好ましく、25以上であるとより好ましく、40以上であるとさらに好ましい。
【0035】
クラウン部2及びつば部3を構成する生地の素材は、例えば、複合紡糸技術と練りこみ技術により、芯部に赤外線反射セラミックを配合し、鞘部に酸化チタンを配合したポリエステルフィラメントを含んでいると好ましい。
【0036】
高吸水シート4の大きさや形は、第4領域2eを含む場所に設けられていれば特に限定はされず、任意の大きさや形にすることができる。高吸水シート4の形は、長方形や台形、菱形等の四角形、円形、楕円形、多角形、星形等にすることができるが、額の形状に合わせた長方形または台形にすることが好ましい。高吸水シート4の大きさについては、例えば、長方形にする場合、長辺の長さは5cm以上が好ましく、8cm以上がより好ましく、10cm以上がさらに好ましい。短辺の長さは2cm以上が好ましく、3cm以上がより好ましく、5cm以上がさらに好ましい。長辺及び短辺の長さの上限は、第4領域2eを含む場所に設けられていれば特に限定されないが、例えば長辺の長さは、20cm以下や18cm以下、15cm以下にすることができ、短辺の長さは、12cm以下や10cm以下、8cm以下にすることができる。
【0037】
図1~6に示した本発明の実施の形態においては、高吸水シート4を1つ設ける構成となっているが、第4領域2eを含む場所に設けられていれば、配置される高吸水シート4の数については問わない。例えば、5cm四方の高吸水シート4を横に二つ並べて、長方形を形作るような構成であってもよい。このような構成とすれば、必然的に、高吸水シート4が周辺の生地に固定される部分が増えるため、高吸水シート4の耐久性を高めることができる。
【0038】
また、高吸水シート4を2枚重ねる構成としてもよい。例えば、長辺が12cm、短辺が6cmの長方形の高吸水シート4を2枚重ねて配置する構成としてもよい。高吸水シート4を2枚重ねて設けることで、高吸水シート4による冷却機能を高めることができる。また、高吸水シート4によるヘディング時の衝撃緩衝材としての機能も高めることができる。
【0039】
高吸水シート4が、高吸水シート4の周辺の生地に固定される部分の長さは、高吸水シート4が周辺の生地に固定されていればよく、例えば、高吸水シート4の縁を固定するだけの長さを有していればよい。
【0040】
高吸水シート4として、例えば、高吸水繊維を含んでいる不織布、織布、編布や、顆粒状の吸水性樹脂等を袋体に封入したもの、顆粒状の吸水性樹脂を適当な繊維に付着させたものを有するもの等を使用することができる。本発明の実施の形態に係るキャップ1は、高吸水シート4に吸収させた水が蒸発する時に生じる気化熱により額から熱を奪い、額を冷却するものである。そのため、キャップ1に設けられる高吸水シート4は、保水性をより高めることができる高吸水繊維でできた不織布であると好ましい。また、本発明の実施の形態に係るキャップ1は、サッカー競技をする際に着用するものである観点からも、キャップ1に設けられる高吸水シート4は、プレーや洗濯などによる衝撃が加わった場合でも形崩れしにくい不織布であることが好ましい。
【0041】
また、高吸水シート4に使用する高吸水繊維としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアスパラギン酸ナトリウム、セルロース等を使って作られた物が使用できるが、ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とするポリマーであるとより好ましい。
【0042】
非吸水状態の高吸水シート4を構成する高吸水繊維の直径の上限は特に限定されないが、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。また、高吸水シートを構成する高吸水繊維の直径の下限は特に限定されないが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。なお、ここでいう高吸水繊維の直径とは、単繊維の直径を意味する。単繊維の断面形状が円形でない異形断面の場合には、単繊維の異形断面の外接円と内接円の直径の平均値を繊維径とする。
【0043】
高吸水シート4の吸水性能については、吸水性能が低すぎると気化熱による額の冷却を充分に行うことができないおそれがあるため、高吸水シートの自重の40倍以上であると好ましく、50倍以上であるとより好ましく、60倍以上であるとさらに好ましい。高吸水シートの吸水性能の上限は高ければ高いほどよいが、例えば自重の1000倍以下、200倍以下、100倍以下にすることができる。ここで示した吸水性能は純水に対する吸水性能である。
【0044】
図6、7で示すように、本発明の実施の形態に係るキャップ1の高吸水シート4の内側にはメッシュ層4aが配置され、高吸水シート4の外側にはメッシュではない布帛の層4bが配置されると好ましい。実施の例として示している図1、2、6、7のように、メッシュではない布帛の層4bが外側に配置され、クラウン部2の生地とメッシュではない布帛の層4bが、縫合や接着等の方法によって固定される物であってもよいが、メッシュではない布帛の層4bとクラウン部2の生地が同じ生地で、一体となっている構成としてもよい。
【0045】
また、見た目や耐久性が悪くなるため、通常は行われないが、高吸水シートの外側に生地を配置せず、高吸水シートが露出しているものや、露出した状態の前記高吸水シートに紫外線吸収剤や紫外線錯乱剤を塗る方法によってUVカット機能を持たせたものであっても実施すること自体は可能である。
【0046】
本発明の実施の形態に係るキャップは、高吸水シート4の内側にメッシュ層4aが配置されることで、高吸水シート4が吸収している水分の気化を容易にし、額の冷却を効率よく行うことができる。また、内側にメッシュ層4aがあることで、洗濯時のダメージや高吸水シート4と肌との間で生じる摩擦を抑えることができ、耐久性を向上させることができる。
【0047】
メッシュではない布帛の層4bは、メッシュ以外の不織布、編布、織布であれば特に限定されないが、通気性を高めるとともに、人頭へのフィット性を高めるために、編布で構成された部分を含む構成とすることが好ましい。また、熱中症防止や人頭への遮熱効果を高めるため、メッシュではない布帛の層4bは赤外線反射素材から構成されていることが好ましい。さらに、日焼け防止の観点から、メッシュではない布帛の層4bを構成する素材はUVカット機能も有していることが好ましい。
【0048】
メッシュではない布帛の層4bを構成する生地の素材は、例えば、芯部に赤外線反射セラミックを配合したポリエステルフィラメントを使用することで、赤外線を反射する機能を持たせることができる。
【0049】
メッシュではない布帛の層4bを構成する生地は、チタンやセラミック、カーボン等の微粒子をポリエステルなどの化学繊維自体の中に練り込む方法や、生地に紫外線吸収剤や紫外線錯乱剤を塗る方法によってUVカット機能を持たせることができる。しかしながら、本発明の実施の形態に係るキャップ1は、サッカー競技に使用されるため、着用中にかいた汗を多量に吸収していることが予想される。これに伴い、繰り返し洗濯して使用され
ることが想定される。このため、メッシュではない布帛の層4bを構成する生地は、チタンやセラミック、カーボン等の微粒子を化学繊維自体の中に練り込む方法によってUVカット機能を持たせることが好ましい。
【0050】
メッシュではない布帛の層4bを構成する生地における、波長280nmから400nmの紫外線をどれだけ遮蔽しているかを表す紫外線遮蔽率は、60%以上であると好ましく、80%以上であるとより好ましく、90%以上であるとさらに好ましい。また、メッシュではない布帛の層4bを構成する生地における、UVが遮蔽されていない肌に対する影響と比較して布でUVによる影響を低減させることのできる程度を示す数値を表すUPF値は、15以上であると好ましく、25以上であるとより好ましく、40以上であるとさらに好ましい。
【0051】
メッシュではない布帛の層4bを構成する生地の素材は、例えば、複合紡糸技術と練りこみ技術により、芯部に赤外線反射セラミックを配合し、鞘部に酸化チタンを配合したポリエステルフィラメントが含まれていると好ましい。
【0052】
本発明の実施の形態に係るキャップ1のクラウン部2に、アイレット8を設けることも好ましい。アイレット8を設けると、キャップ1をかぶった際には、キャップ1の中の空気がアイレット8から抜けるため、クラウン部2がふくらまず頭にフィットし、また、アイレット8があることでキャップ1をかぶっている間の通気性を確保することができ、頭部の熱を逃がすこともできる。図2~5ではアイレット8を2個設ける構成となっているが、アイレット8の数はこれに限定されることはなく、適宜必要な数のアイレット8を必要な箇所に設けることが出来る。例えば、下限は1個以上、上限は10個以下などにすることができる。
【0053】
図3に示すように、本発明の実施の形態に係るキャップ1に、ビン皮7を設けることも好ましい。ビン皮7は、キャップの内側に周方向に延びるように備えられる。ビン皮7がクラウン部2の周方向に延びるように設けられる場合、ビン皮7は10mm~40mm程度の幅で設ければよい。ビン皮7を備えることで、汗が顔に滴るのを防ぐとともに、クラウン部2の縁に汗染みができるのを防ぐことができる。
【0054】
ビン皮7の素材は特に限定されないが、後述する滑り止め材5よりも吸水性と速乾性の優れた素材を選択することが好ましい。このとき、図3に示すように、高吸水シート4による額への冷却を妨げることがないよう、前記高吸水シート4が設けられている部分において、ビン皮7が備えられていないことが好ましい。
【0055】
図4に示すように、本発明の実施の形態に係るキャップ1に、滑り止め材5を設けることが好ましい。滑り止め材5は、キャップ1の内側に設けられる限りその取付位置は特に限定されず、クラウン部2の内面全体に設けてもよく、クラウン部2の内面の一部に設けてもよいが、クラウン部2の周方向に延びるように設けられていることが好ましい。滑り止め材5がキャップ1の周方向に延びるように設けられる場合、滑り止め材5は5mm~30mm程度の幅で設ければよい。このとき、高吸水シート4による額への冷却を妨げることがないよう、図4に示すように、前記高吸水シート4が設けられている部分において、滑り止め材5が備えられていないことが好ましい。
【0056】
また、図5図6のようにキャップ1の内周にビン皮7を設け、前記ビン皮7の内側に沿うように滑り止め材5を設けることも好ましい。このように滑り止め材5がキャップ1に設けられていれば、着用者が激しい動きをしても、キャップ1がずれたり脱げたりしにくくなる。また、ビン皮7も共に配置されることで、汗が顔に滴るのを防ぐとともに、クラウン部2の生地への汗染みを防止することができる。このとき、高吸水シート4による
額への冷却を妨げることがないよう、前記高吸水シート4が設けられている部分において、ビン皮7及び滑り止め材5が備えられていないことが好ましい。また、ビン皮7及び滑り止め材5が図5の実施形態のように、キャップ1の周方向に延びるように設けられる場合、ビン皮7よりも滑り止め材5の方が小さい幅となる構成にすることが好ましい。
【0057】
前記滑り止め材5は、織布または編布を含む構成とすることが好ましい。また、前記織布または編布の繊維径が1μm以下のナノ繊維を含む糸を用いて構成されていることがより好ましい。本発明において、ナノ繊維とは繊維径が1μm以下の繊維を意味する。なお、ここでいうナノ繊維の繊維径とは、単繊維の直径を意味する。単繊維の断面形状が円形でない異形断面の場合には、単繊維の異形断面の外接円と内接円の直径の平均値を繊維径とする。ナノ繊維の繊維径は、好ましくは900nm以下であり、好ましくは850nm以下であり、より好ましくは800nm以下である。ナノ繊維の繊維径の下限は特に限定されないが、ナノ繊維の製造容易性の点から、ナノ繊維の繊維径は100nm以上が好ましく、150nm以上が好ましく、200nm以上がより好ましい。
【0058】
滑り止め材5を構成するナノ繊維の種類は特に限定されず、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、あるいは合成繊維等を用いることができる。ナノ繊維が合成繊維である場合、ナノ繊維の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類等が挙げられる。ナノ繊維の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形、星形等が挙げられる。
【0059】
本発明の実施の形態に係るキャップ1のうち、頭頂部2aには、高吸水シートが配置されないことが好ましい。この領域に高吸水シートを配置すると、高吸水シートに含まる水分によって頭皮や頭頂部の髪の毛が濡れ、それによってキャップ内の湿度が高まるため、それを不快に感じる場合は快適にキャップを着用することができないおそれがある。このため、頭頂部には高吸水シートを配置しないことが好ましい。
【0060】
本発明の実施の形態に係るキャップ1のうち、第1領域2b及び第2領域2cには高吸水シートを配置しない。サッカーに限らず、スポーツを行う際、頭の重心が安定しない場合には、競技者のパフォーマンスが低下するおそれがある。本発明の実施の形態に係るキャップ1は、第1領域2bにつば部3を設け、第4領域2eに高吸水シート4を設けることで、高吸水シート4に水を吸収させた際に、つば部3の重みと高吸水シート4の重みにより、キャップの縦方向において重みのバランスをとることができる。これにより、つば部3の重みと高吸水シート4の重みによって頭の重心を安定させることができる。
【0061】
本発明の実施の形態に係るキャップ1のうち、第3領域2dに高吸水シートが配置されないことも好ましい。この領域に高吸水シートを配置すると、高吸水シートに含まれる水分によって頭皮や髪の毛が濡れ、それによってキャップ内の湿度が高まるため、それを不快に感じる場合は快適にキャップを着用することができない。また、高吸水シートを過度に大きく設けるとキャップ自体の生地に厚みが出る面積が広くなるため、キャップの外観を損なう場合がある。また、高吸水シートを大きくしすぎると、高吸水シートに水を吸収させた際にキャップの重量が増し、頭が重いと感じる場合があり、快適にキャップを着用することができないおそれがある。このため、第3領域2dには高吸水シートを配置しないことが好ましい。
【0062】
吸水時の高吸水シート4の質量は、つば部3の質量の4倍以下であると好ましく、3倍以下であるとより好ましく、2倍以下であるとさらに好ましい。また、吸水時の高吸水シート4の質量は、つば部3の質量の1/4倍以上であると好ましく、1/3倍以上であるとより好ましく、1/2倍以上であるとさらに好ましい。
【0063】
つば部3と吸水時の高吸水シート4の質量については、下記のようにして求める。キャップ1のつば部3の質量は、乾燥状態で計量する。高吸水シート4の質量は、容器内に貯めた水に30秒間浸し、引き上げて30秒間吊した後に計量する。計量の際は、最小表示0.1gで、0.1g単位で計量できる秤を使用する。
【0064】
図3~6に示すように、つば部3の芯材3eは、芯材3eを横方向(y方向)に3等分したときに、中央部分に相当する部分である中央領域3aと、中央領域を挟むように存在する側部領域3bを有しており、芯材3eの中央領域3aに相当するキャップ1の上側生地とクラウン部2の少なくとも一部は、連続した一体の生地で構成することができる。つば部3の芯材3eを覆う上側生地とクラウン部2の一部を連続した一体の生地で構成することで、つば部3とクラウン部2を繋ぐための縫い目が少なくなり、つば部3を有する部分でもクラウン部2の周方向への伸びが容易になる。このため、クラウン部2の周長が着用者の頭の形状や大きさに順応しやすくなる。
【0065】
図6に示すように、前記つば部3は芯材3eを有し、キャップ1は、前記芯材3eの上側にある上側生地と、前記芯材3eの下側にある下側生地を有し、前記芯材3eは、肌側に近い近位側縁部3cと肌側から遠い遠位側縁部3dを備え、前記上側生地と前記芯材3eが、前記近位側縁部3cで固定されていない部分を有する構成とすることが好ましい。
【0066】
また、前記芯材3eの中央領域3aに相当するキャップ1の上側生地と前記芯材3eが、中央領域3aに相当する前記近位側縁部3cで固定されていない構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、キャップを着用する際、芯材3eの中央領域3aに相当するキャップ1の上側生地と芯材3eの間にあそびができる。このため、本発明の実施の形態に係るキャップ1は、着用者の頭の形状や大きさにフィットしやすくなる。
【0067】
本発明の実施の形態に係るキャップ1には、つば部3が設けられているが、つば部3は着用時に着用者の前側に配置されずに後側に配置される。キャップ1を着用した際に、着用者の前側につば部3が配置されないことにより、キャップ1をかぶっていてもサッカー競技に支障をきたすことがなく、好適にヘディングすることができる。
【0068】
本発明の実施の形態に係るキャップ1は、つば部3が後側になるように着用される。そのため、つば部3の長さが長すぎると、サッカー競技中につば部3が肩や背中に当たって、キャップ1の装着位置がずれたり、キャップ1が落下したりするおそれがある。そのため、図3~6で示す、つば部3の芯材3eのキャップ1のx方向における長さLは、90mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましく、70mm以下であることがさらに好ましい。また、つば部3の芯材3eのキャップ1のx方向における長さLの上限について、特に好ましくは60mm以下である。つば部3の芯材3eの長さLの下限は特に限定されないが、つば部3の芯材3eの長さLは、例えば30mm以上であればよく、40mm以上であるとより好ましい。ここでいう長さLは、つば部3のうち、x方向に一番長い長さを持つ部分を測定した物である。
【0069】
キャップ1の右側および左側には、クラウン部2の周長を調整するための調整手段6が設けられていることが好ましい。キャップ1に調整手段6が設けられることにより、クラウン部2の着用者の頭へのフィット性を高めることができる。このとき、調整手段6は、図2のように、キャップ1の右側および左側にそれぞれ1つずつ設けられることが好ましく、高吸水シート4が備えられた部分を避けて調整手段6を設けることがより好ましい。このような構成とすることで、本発明の実施の形態に係るキャップ1は、高吸水シート4が左または右にずれることなく額の位置に配置させた状態で、尚且つ高吸水シート4の部分にシワができにくい状態で、クラウン部2の周長を調節することができる。また、上記
構成により、本発明の実施の形態に係るキャップ1の調整手段6の操作性を高めることや、ヘディングの邪魔にならないようにすることができる。
【0070】
クラウン部2の周長を調節する調整手段6としては、一般的に帽子に使用される、面ファスナー、ベルト、フック、バックル等を用いることができる。
【0071】
調整手段6に金属やプラスチックでできたような堅い部品や、突起があるような部品が含まれる場合は、キャップ1をかぶってヘディングをした際に、ケガの原因となり得る上、ヘディングの精度を低下させるおそれがある。このため、調整手段6として面ファスナーを用いることが好ましい。面ファスナーとしては、例えば、フック部材とループ部材の組み合わせ、表面にフックとループの両方が形成された1対の部材により、対向した当該部材どうしが着脱可能となる部材等が挙げられる。
【0072】
調整手段6として、図1および図2では、クラウン部2に面ファスナーのフック部材またはループ部材6a及び、ループ部材またはフック部材6bが設けられている。フック部材またはループ部材6aとループ部材またはフック部材6bの大きさに特に限定はなく、フック部材またはループ部材6aの幅や長さとループ部材またはフック部材6bの幅や長さがそれぞれ同じ長さであってもよいし、違う長さであってもよいが、ループ部材またはフック部材6bの幅や長さがフック部材またはループ部材6aの幅や長さよりも長くすることが好ましい。上記のように調整手段6を構成することで、調整手段6の操作性が向上し、より簡単にクラウン部2の周長を調節することができ、クラウン部2の周長を調節可能となる範囲を広げることができる。
【実施例0073】
(実施例1)
クラウン部とつば部を有するフットボールキャップであって、キャップの第1領域にはつば部が、第4領域には高吸水シートが設けられているキャップである。
【0074】
実施例1のキャップのクラウン部及びつば部を構成する生地は、ポリエステルで構成された編布であり、つば部の芯材の長さLは50mmとした。
【0075】
実施例1に備えられた高吸水シートの素材は、ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とするポリマーを直接紡糸した繊維を含む不織布で、高吸水シートを構成する繊維の繊維径は30μmである。この高吸水シートの吸水性能は自重の80倍である。また、高吸水シートの形状は、長辺が12cm、短辺が6cmの長方形とした。
【0076】
実施例1のキャップに備えられたつば部の質量は24.0gで、実施例1のキャップに備えられた高吸水シートの吸水時の質量は19.9gであり、つば部の質量は吸水時の高吸水シートの質量の約1.2倍である。
【0077】
実施例1に備えられた高吸水シートの外側にはポリエステルの編布が、高吸水シートの内側にはメッシュ層が配置されている。
【0078】
(比較例1)
クラウン部とつば部を有するキャップであって、第1領域に相当するつば部のある部分に高吸水シートが設けられており、これは従来から知られている冷却機能つきのキャップの様態である。図8は比較例1の様態を示している。高吸水シートが配置される領域以外のキャップの構成については、実施例1と同様である。
【0079】
被験者8名(小学生)に実施例1のフットボールキャップ及び比較例1のキャップをか
ぶってサッカー競技を行ってもらった。その際に、どちらのキャップの方がより冷たく感じることができたかについて、被験者8名に対して聞き取り調査を実施した。その結果を表したのが表1である。
【0080】
被験者からの聞き取りで、より冷たく感じることができたと回答があったキャップには当該欄に○を、実施例1及び比較例1のキャップについて冷たさに差を感じなかったと回答があった場合は両者のキャップの欄に-を記載した。
【0081】
高吸水シートを構成する素材及び高吸水シートの大きさは、実施例1と比較例1で同じ素材、同じ大きさのものを使用した。被験者には、実施例1と比較例1のどちらのキャップをかぶる際にも、高吸水シートが配置されている部分を水で濡らしてから着用してもらった。
【0082】
また、被験者には、実施例1と比較例1のどちらのキャップをかぶる際にも、サッカー競技におけるヘディングに支障をきたさないよう、被験者にはつば部を後側に向けて着用してもらった。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示したように、被験者8名のうち、2名は実施例1と比較例1のキャップで、冷たく感じる度合いに差がなかったと回答した。しかし、比較例1のキャップの方が冷たく感じることができたと回答した被験者は1名もおらず、残り6名の被験者は全員、実施例1のキャップの方が冷たく感じることができたと回答した。従って、サッカー競技を行う際、本発明の実施の形態に係る実施例1のキャップは、従来から知られている形態の比較例1のキャップよりも好適に頭部を冷却することができるものである。
【0085】
以上の通り、本発明のフットボールキャップは、着用することによって、ヘディングを行うサッカー競技をしている際にも、頭部、特に額を好適に冷却することができるものである。
【符号の説明】
【0086】
1: フットボールキャップ
2: クラウン部
2a: 頭頂部
2b: 第1領域
2c: 第2領域
2d: 第3領域
2e: 第4領域
3: つば部
3a: 中央領域
3b: 側部領域
3c: 近位側縁部
3d: 遠位側縁部
3e: 芯材
4: 高吸水シート
4a: メッシュ層
4b: メッシュではない布帛の層
5: 滑り止め材
6: 調整手段
6a: フック部材またはループ部材
6b: ループ部材またはフック部材
7: ビン皮
8: アイレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8