(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044817
(43)【公開日】2022-03-17
(54)【発明の名称】水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20220310BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220310BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220310BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/06
A61K8/64
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012502
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2020112409の分割
【原出願日】2015-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁王 厚志
(72)【発明者】
【氏名】藤山 一平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 一貴
(57)【要約】
【課題】経時及び温度安定性に優れ、かつ良好な使用感を発揮する水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】(A)アシルアミノ酸リシン及び/又はその塩と、(B)モノオレイン酸ポリグリセリル-5、モノラウリン酸ポリグリセリル-6、モノラウリン酸ポリグリセリル-4、モノパルミチン酸ポリグリセリル-6、及びジラウリン酸ポリグリセリル-6から選択される一種以上とを、水中油型乳化組成物に含有させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アシルアミノ酸リシン及び/又はその塩と、
(B)モノオレイン酸ポリグリセリル-5、モノラウリン酸ポリグリセリル-6、モノラウリン酸ポリグリセリル-4、モノパルミチン酸ポリグリセリル-6、及びジラウリン酸ポリグリセリル-6から選択される一種以上とを含有する、水中油型乳化組成物。
【請求項2】
前記(B)がモノオレイン酸ポリグリセリル-5を含む、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
前記(A)の総含有量が、組成物全体に対して0.01~5質量%である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
前記(B)の総含有量が、組成物全体に対して0.01~10質量%である、請求項1~3の何れか一項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
前記(A)の総含有量と前記(B)の総含有量との質量比が、9:1~1:9である、請求項1~4の何れか一項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項6】
皮膚外用剤である、請求項1~5の何れか一項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項7】
化粧料である、請求項6に記載の水中油型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に好適な水中油型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乳液やクリームなどの皮膚外用剤の剤型としては乳化剤型があり、特に水中油乳化剤型はみずみずしい使用感が得られるため好まれている。
【0003】
エマルションはエネルギー状態が高く不安定な分散系である。そのため、乳化粒子を安定に外相に分散させるために、乳化剤型の調製には通常、界面活性剤を用いて界面張力を低下させる手法がとられている。その際に、界面活性剤のHLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)値が乳化の指標とされ、その調整は熟練の経験に依存するところが小さくない。
また、安定な乳化のためには、組成物全体に対して総量で2~5質量%の界面活性剤が使用されるのが一般的である。
【0004】
ところで、近年“ジェミニ型イオン性界面活性剤”が乳化剤型の調製に用いられている。ジェミニ型イオン性界面活性剤は、一般的なイオン性界面活性剤が連結基により連結した二量体構造を有し、元の単体のイオン性界面活性剤よりも界面活性化能が高いことが知られている。かかる高い界面活性化能を利用した、乳化剤型の化粧料が種々提案されている(特許文献1、2等。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-73991号公報
【特許文献2】特開2013-1698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乳化剤型の調製には適切な界面活性剤の使用が必要とされるところ、HLBや含有量の調整、又は油剤との相性など、考慮すべき事項が多いため、安定なエマルション製造を簡便に叶える指針として定番となるものは未だない。
このような状況に鑑みて、経時及び温度安定性に優れ、かつ良好な使用感を発揮する水中油型乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アシルアミノ酸リシン及び/又はその塩と、特定の界面活性剤とを組み合わせることにより、より微細なエマルションを生成することができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](A)アシルアミノ酸リシン及び/又はその塩と、(B)サーファクチン及びその塩、マンノシルエリスリトールリピッド、並びにポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される一種以上とを含有し、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数12~18の脂肪酸と重合度4~6のグリセリンとのエステルである、水中油型乳化組成物。
[2]前記(A)の総含有量が、組成物全体に対して0.01~5質量%である、[1]に記載の水中油型乳化組成物。
[3]前記(B)の総含有量が、組成物全体に対して0.01~10質量%である、[1]又は[2]に記載の水中油型乳化組成物。
[4]前記(A)の総含有量と前記(B)の総含有量との質量比が、9:1~1:9である、[1]~[3]の何れかに記載の水中油型乳化組成物。
[5]皮膚外用剤である、[1]~[4]の何れかに記載の水中油型乳化組成物。
[6]化粧料である、[5]に記載の水中油型乳化組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、経時及び温度安定性に優れ、かつ良好な使用感を発揮する水中油型乳化組成物が提供される。また、エマルションの調製に際して、界面活性剤のHLBや含有量、又は油剤との相性などについて、複雑な調整を過度に課されることなく、処方成分を選択することができる。さらに、組成物に優れた安定性や良好な使用感を付与しつつ、界面活性剤の含有量を小さくすることができるため、処方の自由度が向上したり、消費者の安全・健康志向にアピールすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の水中油型乳化組成物は、(A)アシルアミノ酸リシン及び/又はその塩と、(B)サーファクチン及びその塩、マンノシルエリスリトールリピッド、並びに特定のポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される一種以上とを含有する。
本発明は、(A)及び(B)の界面活性剤を組み合わせるという手法により、経時及び温度安定性に優れ、かつ良好な使用感を発揮する水中油型乳化組成物を簡便に調整できる点で画期的である。
【0011】
本発明における必須成分である(A)成分は、アシルアミノ酸リシン及び/又はその塩である。
本発明におけるアシルアミノ酸リシンとしては、アシル基が脂肪酸由来のジアシルグルタミン酸リシンが好ましく、さらにジラウロイルグルタミン酸リシン、ジミリストイルグルタミン酸リシン、ジステアロイルグルタミン酸リシン、ジリノレオイルグルタミン酸リシン等が好ましく挙げられる。
また、これらの塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。
アシルアミノ酸リシン又はその塩は、リシン塩酸塩とアシルアミノ酸無水物との合成反応により得ることができる。また、市販品を用いることもできる。
【0012】
本発明における必須成分である(B)成分は、サーファクチン及びその塩、マンノシルエリスリトールリピッド、並びに特定のポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される一種以上である。これらのうちサーファクチン及びその塩、並びにマンノシルエリスリトールリピッドから選択される一種以上が好ましい。
【0013】
サーファクチンは、いわゆるバイオサーファクタントであり、環状ペプチドである2-Deamino-3-(10-methylundecyl)-cyclo[L-Ser*-L-Glu-L-Leu-D-Leu-L-Val-L-Asp-D-Leu-L-Leu-]を指す。サーファクチンの塩としては、ナトリウム塩を好ましく本発明に用い得る。
【0014】
マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)もまたバイオサーファクタントであり、MEL-A、B、C、及びDのいずれも本発明に用いることができ、特にMEL-Bがより好ましい。
【0015】
本発明において(B)成分として用い得るポリグリセリン脂肪酸エステルは、炭素数12~18の脂肪酸と重合度4~6のグリセリンとのエステルである。脂肪酸の炭素数は好ましくは12~16である。脂肪酸は、分岐鎖を有するもの又は直鎖のもののいずれでも
よく、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれでもよい。また、脂肪酸の付加数は特に限定されず、モノ-、ジ-、トリ-、又はそれ以上のいずれでもよいが、モノエステルが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの界面活性剤のHLB値は特に問わないが、3~18のものが好ましい。なお、本明細書においてHLB値は、グリフィンの式より算出した値をいう。
さらに、両親媒性物質の親水部と疎水部の幾何学的割合を表す臨界充填パラメーター(CPP)が1/2~1であることが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの特に好ましい例としては、モノオレイン酸ポリグリセリル-5、モノラウリン酸ポリグリセリル-6、モノラウリン酸ポリグリセリル-4、モノパルミチン酸ポリグリセリル-6、及びジラウリン酸ポリグリセリル-6等が挙げられる。
【0016】
本発明において(A)成分の総含有量は、組成物全体に対して好ましくは0.01~5質量%であり、より好ましくは0.01~3質量%、さらに好ましくは0.05~2質量%である。また、本発明において(B)成分の総含有量は、組成物全体に対して好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.01~3質量%、さらに好ましくは0.05~2質量%である。
さらに、(A)成分と(B)成分の総含有量の合計は、組成物全体に対して好ましくは0.02~11質量%であり、より好ましくは0.02~6質量%、さらに好ましくは0.06~4質量%である。0.02質量%より小さいと乳化安定性を損なう場合があり、11質量%より大きいと製造された組成物を肌に塗布した際に被膜感を生じる場合がある。また、後述の実施例で示されるように、本願発明の水中油型乳化組成物は、(A)成分と(B)成分の総含有量の合計が1質量%であっても、経時及び温度安定性に優れる上に使用感も良好である。このことは、一般的な水中油型乳化組成物における界面活性剤の含有量が2~5質量%であることに比べて、界面活性剤の含有量を小さくすることもできるという本発明の有用性を表す。
また、本発明において(A)成分の総含有量と(B)成分の総含有量との質量比は、好ましくは9:1~1:9であり、より好ましくは8:2~2:8である。2つの異なる性質を有する界面活性剤をこのような質量比で組み合わせて用いることにより、より微細な乳化粒子を形成しやすくなり、水中油乳化型組成物の経時及び温度安定性を向上させやすくなる。
【0017】
本発明の水中油型乳化組成物は、定法に従って製造することができる。
例えば、(A)成分及び(B)成分の界面活性剤、水相成分、及び油相成分を、適当な順番で撹拌混合し、エマルションを生成させればよい。その際に、40~80℃程度に加温すると均一化のため好ましい。
【0018】
本発明の水中油乳化型組成物の内相は、油相成分で構成される。
油相成分は通常油性成分で構成され、油性成分はいわゆる油剤に限らず、25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水と相分離する成分(ただし界面活性剤を除く)を指す。
本発明の水中油型乳化組成物に配合し得る油性成分としては、極性を有する極性油と、極性を有さない非極性油がある。極性油としては、合成極性油、天然油、ビタミンAやE等の油溶性ビタミン等が挙げられ、非極性油としては、炭化水素油、シリコーン油等がある。シリコーン油はその化学構造式により、極性を有する場合もある。本発明によればあらゆる油相成分を安定に乳化することができる。
【0019】
合成極性油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル
、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。さらに、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
【0020】
また、天然油として、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、ワセリン、水添ポリ(C6-12オレフィン)、水添ポリイソブテン等が挙げられる。極性を有しないシリコーン油としてはシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ジメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。極性を有するシリコーン油としてはジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等が挙げられる。
【0021】
本発明の水中油乳化型組成物において油相成分の含有量は、組成物全体に対して好ましくは1~75質量%、より好ましくは3~50質量%、さらに好ましくは5~30質量%になるように添加する。また極性油の割合が多くても乳化でき、油相成分中の極性油の割合として、80%以上でも乳化でき、60%以上でも乳化できる。このような範囲であることにより経時及び温度安定性に優れる水中油型乳化組成物となり、また良好な使用感を発揮する皮膚外用剤となり得る。
【0022】
本発明の水中油乳化型組成物の外相は、水相成分で構成される。
水相成分は、通常は水の他に水溶性成分であり、25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水に溶解する成分(ただし界面活性剤を除く)を指す。
【0023】
水相成分としては、多価アルコールを含有させることが好ましい。多価アルコールを含有することにより、水中油乳化型組成物の温度及び経時安定性をより向上させることができる。
本発明において多価アルコールの含有量は、組成物全体に対して好ましくは1~50質量%、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは25~35質量%である。
多価アルコールの含有量が1質量%より小さいと乳化安定性が得られ難い場合があり、一方50質量%より大きいと水中油型乳化組成物を肌に塗布した際にさっぱりとした感触
が得られ難い場合がある。
【0024】
多価アルコールとしては、2価以上であれば特に限定されないが、3価以上のものが好ましい。
具体的には、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル等が挙げられる。
これらのうち、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコールがより好ましく、グリセリンが特に好ましい。
【0025】
また、本発明の水中油型乳化組成物は、その効果を損なわない限りにおいて、その他の任意成分を含有することができる。
任意成分としては、通常皮膚外用剤に配合し得る成分であれば特に限定されず、他の界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等)、各種有効成分、保湿剤、pH調整剤、増粘剤、防腐剤、紛体類、有機変性粘土鉱物、抗菌剤等が挙げられる。抗菌剤としては、1,3-ブチレングリコールやパラオキシ安息香酸エステルなどの合成系の他、カプリリルグリコール、カプリル酸グリセリル、エチルヘキシルグリセリン、カプリルヒドロキサム酸等の天然抗菌物質も好ましく挙げられる。なお、界面活性剤としては、エチレンオキサイド(EO)基を有さないものが好ましい。
有効成分としては、保湿成分、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられ、1種のみを含有させてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0026】
本発明の水中油型乳化組成物は、微細な乳化粒子が外相に安定に分散しているため、経時及び温度安定性に優れる。また、肌に塗布した際に、被膜感を生じることなく、またさっぱりした感触が得られ、肌に柔軟感を与えることもできるため、良好な使用感を発揮する。
したがって、本発明の水中油型乳化組成物は、皮膚外用剤として好ましく利用できる。特に、化粧料(医薬部外品を含む)が好ましい。
【実施例0027】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
表1に示す処方で、実施例及び比較例の水中油乳化組成物をそれぞれ調製した。具体的には、イ、ロ及びハを80℃に加熱してそれぞれ均一化し、イとハとを混合したところに、ロを加えた後、30℃まで撹拌しながら冷却した。
【0029】
【0030】
<試験例1> 乳化粒子径評価
上記実施例及び比較例の各水中油乳化組成物を、調製後に20℃に1日置いた後、光学顕微鏡(OLYMPUS BX51)にて観察し、その乳化粒子の大きさ及び均一性を以下の4段階で評価した。結果を表1に示す。
◎:乳化粒子は小さく(1μm以下)、均一である。
○:乳化粒子は小さいが(1μm以下)、不均一である。
△:乳化粒子は大きいが(1μmを超える)、均一である。
×:乳化粒子は大きく(1μmを超える)、不均一である。
【0031】
<試験例2> 経時及び温度安定性評価
上記実施例及び比較例の各水中油乳化組成物を、調製後に40℃下に1ヵ月間置いた後、目視により相分離やクリーミング等の状態変化の有無を観察した。結果を表1に示す。
【0032】
<試験例3> 使用性評価
上記実施例及び比較例の各水中油乳化組成物を、女性被験者20名に肌に使用してもらい、その使用感触(べたつき感及び柔軟感)についてそれぞれ以下の5段階で評価してもらった。20名の平均値を評価結果として表1に示す。
(べたつき感)
5:まったくべたつかない
4:ほとんどべたつかない
3:あまりべたつかない
2:べたつく
1:非常にべたつく
(柔軟感)
5:非常に感じる
4:感じる
3:やや感じる
2:感じない(ややかたい)
1:全く感じない(かたい)
本発明により、経時及び温度安定性に優れ、かつ良好な使用感を発揮する水中油型乳化組成物が提供される。さらに、界面活性剤の含有量を小さくすることができるため、処方の自由度が向上したり、消費者の安全・健康志向にアピールすることもできる水中油乳化組成物となり得る。したがって、本発明の水中油型乳化組成物は皮膚外用剤等に好適に利用でき、特に化粧料として好適であるため、産業上非常に有用である。