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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044862
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】車両用報知装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20220311BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20220311BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B60T17/22 C
B60T7/12 A
B60T13/74 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150214
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】植竹 忠一
(72)【発明者】
【氏名】井ノ山 弘史
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB12
3D048CC51
3D048HH18
3D048HH41
3D048HH71
3D048QQ12
3D048RR13
3D049BB08
3D049CC04
3D049HH38
3D049HH51
3D049KK08
3D049QQ01
3D049RR00
3D049RR01
3D049RR06
3D049RR13
3D246BA05
3D246DA02
3D246GA01
3D246GC11
3D246HA55A
3D246HB21A
3D246HB24A
3D246HB25C
3D246JB05
3D246JB11
3D246MA37
(57)【要約】
【課題】凍結をより確実に予防しつつ、ユーザーの利便性と車両停車時の安全性を確保できる車両の車両用報知装置を提供すること。
【解決手段】車両用報知装置1は、車両10が停車状態であるか否かを判定する停車状態判定部31と、停車状態と判定される場合に、電動駐車ブレーキ装置の作動要求の有無を判定する電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部32と、外気温情報を取得する外気温情報取得部46と、降雨雪情報を取得する降雨雪情報取得部45と、前記外気温情報が所定閾値以下であった場合、運転者に電動駐車ブレーキ装置を作動させない旨を報知する報知判定部34と、外気温情報と降雨雪情報に基づき前記所定閾値を補正する補正部36と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータにより駆動される制動力発生機構が車両の車輪に所定の制動力を付与し保持する電動駐車ブレーキ装置を備える車両の車両用報知装置であって、
前記車両が停車状態であるか否かを判定する停車状態判定部と、
前記停車状態判定部により前記車両が停車状態と判定される場合において、前記車両の前記電動駐車ブレーキ装置を作動させる要求の有無を判定する電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部と、
前記車両の外部の外気温情報を取得する外気温情報取得部と、
前記車両の外部の降雨雪情報を取得する降雨雪情報取得部と、
前記外気温情報取得部によって得られた外気温情報を所定閾値と比較し、所定閾値以下であった場合、前記車両の運転者に前記電動駐車ブレーキ装置を作動させない旨を報知する報知判定部と、
前記外気温情報取得部から取得される外気温情報と前記降雨雪情報取得部から取得される降雨雪情報に基づき、前記所定閾値を補正する補正部と、
を含む車両用報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載部品の電動化が進み、駐車ブレーキにも電動駐車ブレーキが利用されている。一般に、電動駐車ブレーキにおいては、寒冷地において凍結する問題が指摘される。
【0003】
このような課題に対し、外気温に基づき駐車中に凍結する虞があると判断される場合、運転者に警告・報知を行い、電動駐車ブレーキを作動させずに停車させ、凍結を予防する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-7654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、駐車ブレーキを作動させずに駐車させるためには駐車可能な場所が限定されたり、輪留めを設ける必要が生じたりする等、停車時の安全性及びユーザーの利便性が著しく損なわれる。
【0006】
以上から、本願の解決すべき課題は、電動駐車ブレーキの凍結をより確実に予防しつつ、ユーザーの利便性及び車両停車時における安全性を確保することができる、車両用報知装置を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0008】
本適用例に係る車両用報知装置は、電動モータにより駆動される制動力発生機構が車両の車輪に所定の制動力を付与し保持する電動駐車ブレーキ装置を備える車両の車両用報知装置であって、前記車両が停車状態であるか否かを判定する停車状態判定部と、前記停車状態判定部により前記車両が停車状態と判定される場合において、前記車両の前記電動駐車ブレーキ装置を作動させる要求の有無を判定する電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部と、前記車両の外部の外気温情報を取得する外気温情報取得部と、前記車両の外部の降雨雪情報を取得する降雨雪情報取得部と、前記気温取得部によって得られた外気温情報を所定閾値と比較し、所定閾値以下であった場合、前記車両の運転者に前記電動駐車ブレーキ装置を作動させない旨を報知する報知判定部と、前記外気温情報取得部から取得される外気温情報と前記降雨雪情報取得部から取得される降雨雪情報に基づき、前記所定閾値を補正する補正部と、を含む。
【0009】
上記適用例に係る車両用報知装置によれば、走行中に降雨雪が検知された場合において、電動駐車ブレーキ装置の作動・非作動判定における所定閾値を降雨雪情報に基づき補正することができる。これにより、電動駐車ブレーキの凍結リスクが比較的高くなる降雨雪環境下での所定閾値をより高く設定することが可能となり、結果として電動駐車ブレーキの凍結をより確実に予防しつつ、ユーザーの利便性及び車両停車時における安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用報知装置を含む電動車両の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電動駐車ブレーキの部分断面を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両用報知装置の制御システムブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両用報知装置が実行する報知制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
【0012】
図1には、本発明の一実施形態に係る車両用報知装置1を含む電動車両(以下車両という)10の概略構成図が示されている。
【0013】
図1に示す車両10は例えばトラックであり、エンジンや走行用モータ等の動力発生部11が搭載されている。動力発生部11の出力軸はデファレンシャル機構である動力伝達部12及び駆動軸13を介して左右の駆動輪(車輪)14と接続されている。車両10は、動力発生部11が駆動力を発生させ、当該駆動力が動力伝達部12及び駆動軸13を介して左右の駆動輪14に伝達されることで走行する。
【0014】
車両10はまた、駐車時に駆動輪14に対して制動力を発生させて保持する電動駐車ブレーキ装置20を備える。電動駐車ブレーキ装置20は、例えばディスクブレーキタイプで、駆動輪14とともに回転するディスクロータ15の外周の一部を挟み込んで配置される。
【0015】
車両10はさらに、動力源スイッチ41、シフト操作部42、及び報知部43を運転席付近に備える。また、車両10は、車速センサ等の車速取得部44、降雨雪情報取得部45、外気温情報取得部46を備える。
【0016】
このように構成された車両10の各部は、車両10に搭載された制御部30に接続されている。制御部30は、電子演算装置から構成される制御ユニットで、例えばECUであり、車両用報知装置1の各コンポーネントや各種センサとCAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークを介して通信可能である。本実施形態では、制御部30は、主に予めインストールされた所定のプログラムに従って動作し後述する電動駐車ブレーキ装置20を制御する機能を有する。
【0017】
図2は、電動駐車ブレーキ装置20の部分断面を示す図である。具体的には、ディスクロータ15と電動駐車ブレーキ装置20の配置関係と、電動駐車ブレーキ装置20の概略構造を示す図である。電動駐車ブレーキ装置20の配置は車両左右方向で対称となっているため、以下図2に示す車両左側について説明し、車両右側の説明は省略する。
【0018】
電動駐車ブレーキ装置20は、アクチュエータ21を、制動力発生機構であるキャリパ22に一体化したキャリパ一体型構造のいわゆるモータオンキャリパ型である。キャリパ22は、ディスクロータ15の円板面を左右両側から挟み込む位置に対向して配置される1対のブレーキパッド23a、23b(以下、特に区別する必要がないときはブレーキパッド23という)、を備える。キャリパ22は、これらブレーキパッド23a、23bを左右方向に互いに近づく方向又は互いに離れる方向に移動させる機能を有する。なお、ブレーキパッド23の材質は摩擦力の高い複合材、ディスクロータ15の材質は鉄等の金属である。
【0019】
キャリパ22は、ブレーキパッド23bの右側に配置されて右方向に延びる左開口の円筒形のシリンダ24を有する。シリンダ24は、その内側に、左右方向に摺動する右開口の略円筒形のピストン25を有し、さらにその内側に、左右方向に移動するスラストナット26と、スラストナット26の右端で固定された軸ねじ27を有する。
【0020】
アクチュエータ21は、シリンダ24の円筒端241と一部を接して固定されている。アクチュエータ21は、その内部に、電動モータ28と、電動モータ28の出力を減速する減速機29とを有する。減速機29の出力軸は、軸ねじ27を介してスラストナット26に接続され、電動モータ28の回転によりスラストナット26が左右に移動する。
【0021】
アクチュエータ21は制御部30と通信可能に接続され、制御部30は電動モータ28の回転を制御する。電動モータ28の回転により駆動されたキャリパ22は、車両10の駆動輪14に所定の制動力を付与し保持する。具体的には、電動駐車ブレーキ装置20が使用される場合、制御部30は、スラストナット26を介してピストン25が左方向に移動するよう電動モータ28を制御する。その結果、キャリパ22は、ピストン25の動きに連動して、ブレーキパッド23a、23bをディスクロータ15に押し当て、所定の制動力を発生させる。そこで、制御部30は、モータの回転を止める制御を行い、当該所定の制動力を保持する。一方、電動駐車ブレーキ装置20が解除される場合、制御部30は、ピストン25が右方向に移動するよう電動モータ28を制御する。その結果、ブレーキパッド23a、23bがディスクロータ15から離れ、制動が解除される。
【0022】
このように構成された、電動駐車ブレーキ装置20は、外気温が低い場合にブレーキパッド23とディスクロータ15の間に水分が残った状態で作動させられると、ディスクロータ15にブレーキパッド23が凍結で貼りつき、制動を解除できないことがある。そのため、車両10は、外気温情報取得部46から取得した外気温情報に応じて電動駐車ブレーキ装置20を作動させるか作動させないかを判定し、作動させないと判定した場合には報知部43により車両10の運転者にその旨報知する報知制御を行う車両用報知装置1を備える。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係る車両用報知装置1の制御システムブロック図である。本図を参照して、車両用報知装置1の構成と機能を以下に説明する。
【0024】
車両用報知装置1は、主に、電動駐車ブレーキ装置20、制御部30、報知部43、及び各種スイッチ・センサ等から構成される。
【0025】
制御部30は、停車状態判定部31、電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部32、電動駐車ブレーキ制御部33、報知判定部34、記憶部35、補正部36を有している。
【0026】
制御部30は、また、制御部30にそれぞれ接続された、電動駐車ブレーキ装置20、動力源スイッチ41、シフト操作部42、報知部43、車速取得部44、降雨雪情報取得部45、及び外気温情報取得部46等の各種スイッチ・センサからの情報を取得する機能を有している。
【0027】
動力源スイッチ41は、例えば、運転者がエンジンや走行用モータ等の動力源をオン・オフするためのスイッチであり、オン・オフ状態や回転数等の動力源の状態情報を制御部30に出力する機能を有する。シフト操作部42は、例えば、運転席のコンソールやインスツルメントパネル等に設置される走行シフトを切り替えるためのシフトレバー等である。
【0028】
車速取得部44は、例えば駆動輪14の回転数を検知して車速を取得するための車速センサである。降雨雪情報取得部45は、例えば、車両10のフロントガラスやルームミラー等に設置された光学式雨滴センサであり、車両10の外部の降雪雨の有無を検知して降雪雨情報として取得する機能を有する。または、降雨雪情報取得部45はワイパー等の使用状態から車両10の外部の降雪雨の有無の情報を取得してもよい。外気温情報取得部46は、例えば、車両10の車体外に設置される温度センサや湿度センサ等であり、本実施形態においては外気温情報として車両10の外部の摂氏又は華氏温度で表される外気温を取得する機能を有する。
【0029】
停車状態判定部31は、車速取得部44から取得した車両10の車速情報に基づいて車両10が停車状態であるか否かを判定する機能を有する。
【0030】
電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部32は、停車状態判定部31により車両10が停車状態であると判定された場合において、シフト操作部42から取得したシフトレバーの位置を示すシフトポジション情報に基づいて、車両10の電動駐車ブレーキ装置20を作動させる要求の有無を判定する機能を有する。具体的には、電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部32は、シフト操作部42のシフトポジションがパーキング(P)である場合に、電動駐車ブレーキ装置20を作動させる要求が有ると判定する。
【0031】
報知判定部34は、電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部32の判定結果と、外気温情報取得部46から取得した外気温と、に基づいて、電動駐車ブレーキ装置20を作動させるか否かを判定する。作動させると判断した場合には、電動駐車ブレーキ装置20を作動する。一方、作動させないと判断した場合には、報知部43において、電動駐車ブレーキ装置20を自動で作動させない旨を、車両10の運転者に報知する機能を有する。具体的には、報知判定部34は、電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部32から作動要求ありの判定結果を受けて、外気温情報取得部46から取得した外気温が所定の温度閾値以下か否かを判定し、所定の温度閾値以下であった場合に上述の報知を行う。
【0032】
記憶部35は、制御部30内のメモリ等で構成され、制御部30と通信する車両用報知装置1の各構成部品が取得又は出力した情報を記憶する。ここで、降雨雪情報取得部45を含む各情報取得部は、常時、所定の時間間隔で情報を取得している。それに伴い、記憶部35は、それら各情報取得部が取得した情報、特に降雨雪情報取得部45が取得した降雨雪情報について、過去の履歴も含めて記憶部35に記憶している。
【0033】
補正部36は、降雨雪情報取得部45から取得した降雨雪情報と、外気温情報取得部47から取得した外気温と、に基づいて、報知判定部34の所定の閾値を補正する機能を有する。
【0034】
報知部43は、例えば、運転席のインスツルメントパネル等に搭載される音声再生機能を有する表示装置等で構成され、運転者等に各種報知を行う機能を有する。
【0035】
電動駐車ブレーキ制御部33は、報知判定部34の判定結果に基づいて電動駐車ブレーキ装置20を制御する機能を有する。
【0036】
このように構成された車両用報知装置1は、制御部30により、停車時までの降雨雪の有無と、現在の外気温と、に基づいて電動駐車ブレーキ装置20を作動させるか否か判定し、作動させると判定した場合には電動駐車ブレーキ装置20を作動し、作動させないと判定した場合には電動駐車ブレーキを作動させない旨を車両10の運転者に報知して、輪止めを行う等適切な対応について注意を促すための報知制御を行う。
【0037】
図4には、本実施形態に係る車両用報知装置1の制御部30が実行するが報知制御ルーチンを示すフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って説明する。なお、当該報知制御ルーチンは、車両10の動力源である動力発生部11が始動した時点でスタートする。
【0038】
まず、ステップS1として、制御部30は、報知判定部34が保持する外気温に関する所定の温度閾値(図4においてTxと表記)を第1の設定温度(図4においてT1と表記)に設定してステップS2に進む。第1の設定温度(T1)は例えば、後述する第2の設定温度(図4においてT2と表記)より低い-1~-5℃に設定される。
【0039】
ステップS2として、制御部30は、所定の時間間隔ごとに降雨雪情報取得部45から降雨雪情報を取得し記憶部35に記憶してステップS3に進む。
【0040】
ステップS3として、制御部30は、停車状態判定部31において、車速取得部44からの車速情報に基づいて車両10が停止している状態であり、かつ、動力源スイッチ41からのオン・オフ情報に基づいて動力発生部11のシャットダウン要求を受信しているかを判定する(駐車要求判定)。当該判定が真(Yes)の場合は、ステップS4に進む。一方、偽(No)の場合はステップS2を繰り返す。
【0041】
ステップS4として、制御部30は、報知判定部34おいて、外気温情報取得部46から現在の外気温(図4においてTaと表記)を取得してステップS5に進む。
【0042】
ステップS5として、制御部30は、報知判定部34において、ステップS2で取得し記憶部35に記憶された降雨雪情報の履歴に基づいて、スタートから現時点までに降雨雪が検知されたか否かを判定する(降雨雪判定)。当該判定において、真(Yes)の場合は、ステップS6に進む。一方、偽(No)の場合はS7に進む。
【0043】
ステップS6では、すなわち上記ステップS5の降雨雪判定において真(Yes)と判定された場合、制御部30は、補正部36において、降雨雪情報取得部45から取得した降雨雪情報と、外気温情報取得部46から取得した外気温(Ta)とに基づいて第1の設定温度(T1)の補正値である第2の設定温度(T2)を決定し、報知判定部34に保持されている所定の温度閾値(Tx)の値を第2の設定温度(T2)に変更補正して、ステップS7に進む。第1の設定温度(T1)から第2の設定温度(T2)への補正値幅は外気温(Ta)に基づいて適宜決定され、第2の設定温度(T2)は例えば、0℃に設定される。
【0044】
ステップS7として、制御部30は、ステップS4で取得した現在の外気温(Ta)が、報知判定部34が保持する所定の温度閾値(Tx)以下であるかを判定する(外気温判定)。当該判定結果が真(Yes)である場合、ステップS9に進む。一方、判定結果が偽(No)である場合、ステップS8に進む。
【0045】
ステップS8では、すなわち上記ステップS7の外気温判定において偽(No)と判定された場合、制御部30は、電動駐車ブレーキ制御部33を介して電動駐車ブレーキ装置20を作動させて、ステップS10へ進む。
【0046】
一方、ステップS9では、すなわち上記ステップS7の外気温判定において真(Yes)と判定された場合、制御部30は、電動駐車ブレーキを作動させずに、報知部43にその旨を警報音や警報表示等により運転者に報知して、ステップS10に進む。
【0047】
ステップS10として、制御部30は、車両10のシャットダウンを完了して当該ルーチンを終了する。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両用報知装置1によれば、外気温情報取得部46から取得される外気温と降雨雪情報取得部45から取得される降雨雪情報に基づき、所定の温度閾値を変更補正することで、走行中に降雨雪があった場合には、所定の温度閾値を通常より高い温度に設定することができる。これにより、降雪雨の中での走行により電動駐車ブレーキ装置20に水分が残っている可能性が高い場合において、外気温判定における所定の温度閾値を通常時の設定値である第1の設定温度より高い第2の設定温度に補正して電動駐車ブレーキ装置20の作動を判定するため、凍結リスクを減少することができる。一方で、走行中に降雨雪がなかった場合は、電動駐車ブレーキ装置20に各部に水分が残っている可能性が低くその分凍結リスクが減少するため、所定の温度閾値を通常時の設定値である第1の設定温度T1とすることにより、不要な報知を削減できる。すなわち、電動駐車ブレーキの凍結をより確実に予防しつつ、ユーザーの利便性及び車両停車時における安全性を確保することができる
【0049】
以上で本発明に係る車両用制御装置の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0050】
上記実施形態では、降雨雪情報は、車両10に搭載された雨滴センサにより取得していたが、車両外部から得られる情報を利用又は併用してもよい。例えば、車両10に搭載されるナビゲーションシステム(図示せず)や、GPS情報とインターネット情報を組合せて現在地の降雨雪情報を取得してもよい。また、外気温情報の取得についても同様に、車載センサに限らず、外部からの現在地の外気温情報を取得してもよい。これにより、より正確な報知制御を行うことができる。
【0051】
上記実施形態では、電動駐車ブレーキ装置20のブレーキパッド23とディスクロータ15の凍結による貼りつきのリスクに対して第1の設定温度及び第2の設定温度を決定し報知制御を行っているが、電動駐車ブレーキ装置20のほかの可動部品(例えばアクチュエータピン)の凍結のリスクを考慮してこれら設定温度を決定してもよい。これにより、電動駐車ブレーキの凍結をより確実に予防できる。また、電動駐車ブレーキ装置20はモータオンキャリパ型であったが、いわゆるセンターブレーキ型のように、ワイヤ等を介してキャリパ22を駆動するタイプであってもよい。
【0052】
上記実施形態では、報知判定部34は、外気温情報として外気温に基づいて報知判定を行っていたが、さらに湿度情報を考慮して報知判定を行ってもよい。また、ディスクロータ15又はブレーキパッド23に別途備えられた温度センサから取得したブレーキ温度をさらに考慮して報知判定を行ってもよい。これにより、より正確な報知制御を行うことができる。
【0053】
上記実施形態では、報知判定部34は、図4のルーチンにおいてスタートから現在までの降雨雪情報を参照して降雨雪の有無を判定していたが、現在から直近の所定期間の履歴、例えば数時間さかのぼった履歴までを参照して降雨雪の有無を判定してもよい。長時間の走行ではブレーキングにより発生する熱で電動駐車ブレーキ関連部品に残留する水分が少なくなることもあるため、直近数時間の降雨雪情報を参照することで、より正確に報知制御を行うことができる。
【0054】
上記実施形態では、電動駐車ブレーキ制御部33は、電動駐車ブレーキ装置20を駆動させるための駐車要求判定の条件として、シフト操作部42においてパーキングが選択されたという情報を用いるが、車両10に別途備えられる電動駐車ブレーキスイッチのオン・オフ状態情報を用いてもよい。これにより、車両10が備える装備にあわせた報知制御を行うことができる。
【0055】
上記実施形態では、電動駐車ブレーキ装置20は、動力が伝達される駆動輪14に対して設置されていたが、非駆動輪も含め、車両10に設置されるいずれの車輪に対して設置されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 車両用報知装置
10 車両
11 動力発生部
12 動力伝達部
13 駆動軸
14 駆動輪
15 ディスクロータ
20 電動駐車ブレーキ装置
21 アクチュエータ
22 キャリパ
23a、23b ブレーキパッド
24 シリンダ
25 ピストン
26 スラストナット
27 軸ねじ
28 電動モータ
29 多段ギアシステム
30 制御部(ECU)
31 停車状態判定部
32 電動駐車ブレーキ装置作動要求判定部
33 電動駐車ブレーキ制御部
34 報知判定部
35 記憶部
36 補正部
41 動力源スイッチ
42 シフト操作部
43 報知部
44 車速取得部
45 降雨雪情報取得部
46 外気温情報取得部
図1
図2
図3
図4