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特開2022-44889ディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044889
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/023 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
F01N3/023 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150267
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】520345863
【氏名又は名称】株式会社岡本
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 典大
【テーマコード(参考)】
3G190
【Fターム(参考)】
3G190AA02
3G190AA12
3G190BA41
3G190BA46
3G190CA03
3G190CA13
3G190CB18
3G190CB19
3G190CB23
3G190CB26
3G190DA43
(57)【要約】
【課題】ディーゼルエンジンの構造を複雑化させることなく、目詰まり状態が発生したDPFマフラーが捕集したPMを効率的に除去できることで、DPFマフラーの再生が可能なディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の提供を課題とする。
【解決手段】マフラーを軸方向と交差する方向に切断して分解する切断分解工程Bと、切断分解工程Bで複数個に分解されたマフラーを洗浄する洗浄工程Cと、洗浄工程Cにより洗浄されたマフラーを乾燥させる乾燥工程Dと、乾燥工程Dにより乾燥されたマフラーを溶接により接合することで前記複数個に分解されたマフラーを一体化させる溶接工程Eとを少なくとも備えると共に、切断分解工程Bにおいては、隣接するフィルター間の位置において、マフラーの軸方向と斜めに交差する方向にマフラーを切断することを特徴とするディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を空けて配置された複数個のフィルターを備えるディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法であって、マフラーを軸方向と交差する方向に切断して分解する切断分解工程と、前記切断分解工程で複数個に分解されたマフラーを洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程により洗浄されたマフラーを乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥されたマフラーを溶接により接合することで前記複数個に分解されたマフラーを一体化させる溶接工程とを少なくとも備えると共に、前記切断分解工程においては、隣接するフィルター間の位置において、マフラーの軸方向と斜めに交差する方向にマフラーを切断することを特徴とするディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは軽油を燃料とする内燃機関である。このディーゼルエンジンの燃焼室では、空気を吸入して高温高圧に圧縮する。そして、高温高圧に圧縮された空気に軽油を噴射して燃焼させて、燃焼により生じた排気ガスが燃焼室内から排出される。この排気ガスの成分は、主として二酸化炭素、水蒸気であるが、排気ガスの中には、一酸化炭素、窒素酸化物、粒子状物質(Particulate matter)(以下、PMとする。)も含まれる。このPMには、人体に被害をおよぼす恐れがある有害な物質が含まれている。よって、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスからPMを除去するための装置としてDPF(Diesel particulate filter)(以下、DPFとする。)を備えたいわゆるDPFマフラーが用いられている。特に、ディーゼル自動車においては、自動車排出ガス規制により、DPFマフラーの装着が義務化されている。
しかしながら、このDPFマフラーは、長時間使用していると、捕集したPMが蓄積されて、DPFの目詰まり状態が発生する。
従来、このような目詰まり状態が発生したDPFマフラーは、新しいDPFマフラーと交換されて廃棄されるものが一般的であった。
資源の有効活用の観点から、このような目詰まり状態が発生し、廃棄されるDPFマフラーを再生する技術として、洗浄剤などで洗浄するものがあったが、排気ガスの入口側若しくは排気ガスの出口側から、或いはセンサーボスの位置から洗浄水を流入させて洗浄する構成である為、ある程度はPMを除去できるものの、依然としてDPFマフラーにPMが多く残存するという問題があった。
一方、DPFマフラーの目詰まり状態を防止するための技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-133221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、排ガス浄化方法及び装置に関するもので、ディーゼルエンジンとDPFとの間に、フィルター再生用加熱装置であるバーナー装置を配置し、簡単な構成により排ガスの温度に応じて粒子状物質の捕集効果を切り替えられるようにできるメリットがある。
しかしながら、バーナー装置をディーゼルエンジンに取り付ける構成であることから、ディーゼルエンジンの構造を複雑化してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記従来技術にあった問題を解決し、ディーゼルエンジンの構造を複雑化させることなく、目詰まり状態が発生したDPFマフラーが捕集したPMを効率的に除去できることで、DPFマフラーの再生が可能なディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため本発明のディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法は、所定の間隔を空けて配置された複数個のフィルターを備えるディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法であって、マフラーを軸方向と交差する方向に切断して分解する切断分解工程と、前記切断分解工程で複数個に分解されたマフラーを洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程により洗浄されたマフラーを乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥されたマフラーを溶接により接合することで前記複数個に分解されたマフラーを一体化させる溶接工程とを少なくとも備えると共に、前記切断分解工程においては、隣接するフィルター間の位置において、マフラーの軸方向と斜めに交差する方向にマフラーを切断することを第1の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載のディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法によれば、マフラーを軸方向と交差する方向に切断して分解する切断分解工程を備えることから、DPFマフラーが再生可能なものであるかの判断を目視や検査により容易且つ効率的に行うことができる。
また、切断分解工程で複数個に切断されたマフラーを洗浄することから、フィルターで捕集したPMをより効率的かつ大量、確実に除去することが可能となる。
また、乾燥工程においても複数個のマフラーを完全に乾燥させることができ、マフラー内部に水分が残存することによって、再生後の使用時に急な熱上昇が発生することに伴う水蒸気爆発によってフィルターが破損することを防止することができる。
更に、切断分解工程においては、隣接するフィルター間の位置において、マフラーの軸方向と斜めに交差する方向にマフラーを切断する構成とすることで、溶接工程において、分解されたマフラーを一体化させた際に、溶接二番に負荷される応力を効果的に分散させることができ、一体化させた後(再生後)のDPFマフラーの耐久性の低下を確実に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの全体を示す図で、(a)は外観の斜視図、(b)は内部構造を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の処理工程の流れを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の処理工程を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の処理工程と、溶接後のマフラーの断面を示す図で、(a)はディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の処理工程を模式的に示す図で、(b)、(c)、(d)は溶接後のマフラーの断面を示す図である。
図5】従来のディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の処理工程と、溶接後のマフラーの断面を示す図で、(a)はディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法の処理工程を模式的に示す図で、(b)、(c)、(d)は溶接後のマフラーの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法について説明する。
【0010】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法によって再生されるディーゼルエンジン用マフラーについて説明する。なお、本実施形態においては、自動車用マフラーとして以下の説明を行うものとする。勿論、本発明は、自動車用マフラーに限って適用可能なものではなく、鉄道車両用マフラーなど、他のディーゼルエンジン用マフラーにも適用可能なものである。
【0011】
図1(a)に示すように、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法によって再生されるディーゼルエンジン用マフラーは、DPFフィルターを内蔵するいわゆるDPFマフラー1で、筐体10と、フィルター20とで構成される。
【0012】
前記筐体10は、DPFマフラー1の骨格を構成するもので、ステンレス製の筒状部材で形成されている。
また、長手方向一端側(本実施形態のおいては長手方向左側)が排気ガスの入口となっており、長手方向他端側(本実施形態のおいては長手方向右側)が排気ガスの出口となっている。
更に、排気ガスの入口側には、排気ガスを浄化させるためのエアクリーナーを備えている。また、筐体10の上部には、各種センサー取付用のセンサーボス12を2個備えている。なお、筐体10の形状、大きさや、センサーボス12の形状、配置位置、大きさ、数などは本実施形態のものに限るものではなく、再生するDPFマフラーの種類によって適宜変わるものである。
また、図1(a)に二点鎖線で示すように、筐体10内には、入口側から出口側に向かって、酸化触媒フィルター21、DPFフィルター22、選択的触媒還元フィルター23が所定の間隔を空けて配置されている。
【0013】
前記酸化触媒フィルター21は、排気ガスに含まれる炭化水素や一酸化炭素を酸化させて浄化させるもので、図1(b)に示すように、白金で表面コーティングされた通路21aを有するストレートハニカム構造のフィルターで形成されている。
【0014】
前記DPFフィルター22は、PMを捕集するためのセラミック製のフィルターで、図1(b)に示すように、目封じ壁22aを有し、ハニカム構造を互いに目封じしたような構造のフィルターで形成されている。また、壁面に微細な穴22bを有し、排気ガスが穴22bを通過することで、PM30を捕集する構造となっている。
【0015】
前記選択的触媒還元フィルター23は、尿素水噴射部(図示しない)から筐体10内に噴射される尿素水のアンモニアにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物を窒素に還元させるもので、図1(b)に示すように、セラミックで表面コーティングされた通路23aを有するストレートハニカム構造のフィルターで形成されている。
以上のような構成からなるDPFマフラー1によって、排気ガス中に含まれる炭化水素や一酸化炭素、窒素酸化物は浄化されると共に、PM30が捕集される。より具体的には、図1(b)の黒矢印で示す排気ガスの流れに沿って、排気ガスの入口側から筐体10内に入った排気ガスは、酸化触媒フィルター21、DPFフィルター22、選択的触媒還元フィルター23をこの順に通過して、排気ガス中に含まれる炭化水素や一酸化炭素、窒素酸化物は浄化されると共に、PM30が捕集される。
【0016】
次に、図2図5も参照して、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法について説明する。
【0017】
まず、図2を参照して、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法は、切断分解工程Bと、洗浄工程Cと、乾燥工程Dと、溶接工程Eとで構成される。
【0018】
前記切断分解工程Bは、トラック等で使用された結果、捕集したPMが蓄積されて目詰まり状態となったDPFマフラー1を切断して分解する工程である。
具体的には、隣接するフィルター間の位置において、DPFマフラー1の軸方向と斜めに交差する方向にDPFマフラー1を切断する。より具体的には、図1(b)に示すように、酸化触媒フィルター21とDPFフィルター22との間の位置においては切断線K1により、DPFフィルター22と選択的触媒還元フィルター23との間の位置においては切断線K2によりDPFマフラー1を切断する。なお、切断はステンレス製の筒状部材を切断可能な切断用工具を用いて行う。
これにより、図3に示すように、DPFマフラー1が、切断面M1、M2を備える3個のパーツに分解(分離)される。この状態において、図3に示すように、それぞれのパーツ内にあるフィルターが目視で確認できる状態となっている。
その後、3個のパーツのそれぞれに対して、再生不能な損傷がないかどうかの検査を行い、検査を通過したものに限り、以下の工程を継続し、DPFマフラー1を再生させる。
【0019】
前記洗浄工程Cは、切断分解工程Bにより分解された各パーツに対して洗浄を行うことで捕集したPMを除去する工程である。具体的には、所定の水量、水圧を負荷して各パーツの洗浄を行う。また、この工程において、本発明では複数のパーツに分解させた状態で各フィルターの洗浄を行うことが可能(特に、DPFフィルター22を直接洗浄可能)であることから、従来の排気ガスの入口側若しくは排気ガスの出口側から、或いはセンサーボスの位置から洗浄水を流入させて洗浄する構成に比べて、フィルターに洗浄水が届くまでの距離を短くすることができ、これによって、負荷する水圧を効果的に低減させた状態でも各フィルターを確実に洗浄することが可能である。
なお、洗浄工程Cで使用する洗浄液は公知の洗浄液を用いることができる。
【0020】
前記乾燥工程Dは、洗浄工程Cで洗浄された各パーツを乾燥させて内部に溜まった水分を蒸発させる工程である。なお、内部に溜まった水分を完全に乾燥可能な方法であれば、自然乾燥など、如何なる乾燥方法を用いてもよい。
【0021】
前記溶接工程Eは、乾燥工程Dで乾燥された各パーツを接合させる工程である。具体的には、図4(a)に示すように、ステンレス用の溶接ワイヤーを用いてMIG(Metal insert gas weiding)溶接により溶接を行う。
【0022】
以上の工程により、目詰まり状態となっていたDPFマフラー1の目詰まりが解消された状態で、DPFマフラー1が再生される。
【0023】
以上の構成からなる本発明の実施形態に係るディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法は、以下の効果を奏する。
【0024】
DPFマフラー1を軸方向と交差する方向に切断して分解する切断分解工程Bを備えることで、DPFマフラー1が再生可能なものであるかの判断を目視や検査により容易且つ効率的に行うことができる。この点、従来の排気ガスの入口側若しくは排気ガスの出口側から、或いはセンサーボスの位置から洗浄水を流入させて洗浄し、DPFマフラーを再生させる技術においては、非分解であるため、そもそも各フィルターの状態を目視することができず、再生可能な状態にあるかどうかの検査が難しく、不確実なものであるという問題があった。よって、本発明の切断により分解するという構成により、従来技術に存在した問題を確実に解決でき、この点において極めて産業上の有用性が高いディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法とすることができる。
【0025】
また、切断分解工程Bで複数個に切断、分解(分離)された各パーツを洗浄する構成とすることで、フィルターで捕集したPMをより効率的かつ大量、確実に除去することが可能となる。
これに対して、従来の排気ガスの入口側若しくは排気ガスの出口側から、或いはセンサーボスの位置から洗浄水を流入させて洗浄し、DPFマフラー2を再生させる技術においては、図5(a)に示すように、そもそも真ん中に配置されるDPFフィルター22に洗浄水が届き難いことから、目封じ壁22aを有したハニカム構造内にPMがどうしても残存し易く、PMの除去が不十分になるという問題があった。加えて、DPFフィルター22は目封じ壁22aを有したハニカム構造であることから、DPFフィルター22に洗浄水の水量、水圧を届かすためには、水圧を上げざるを得えず、この水圧の上昇により、酸化触媒フィルター21、選択的触媒還元フィルター23の触媒のコーティングが流れ落ちて、機能を失うことで再生が不能となるという問題があった。よって、本発明の切断により分解するという構成により、水圧を上げることなくPMを確実かつ大量に除去できることで、酸化触媒フィルター21、選択的触媒還元フィルター23の触媒のコーティングが流れ落ちることを確実に防止できる。この点においても極めて産業上の有用性が高いディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法とすることができる。
なお、図5におけるDPFマフラー2においては、既述した本発明の実施形態に係るDPFマフラー1と同一部材、同一機能を果たすものには同一番号、同一符号を付し、以下詳細な説明を省略するものとする。
【0026】
また、乾燥工程Dにおいても複数個のパーツを完全に乾燥させることができ、各パーツ内部に水分が残存することによって、再生後の使用時に急な熱上昇が発生することに伴う水蒸気爆発によってDPFマフラー1が破損することを防止することができる。
【0027】
更に、切断分解工程Bにおいては、隣接するフィルター間の位置において、DPFマフラー1の軸方向と斜めに交差する方向にDPFマフラー1を切断する構成とすることで、溶接工程Eにおいて、分解された各パーツを一体化させた際に、溶接二番に負荷される応力を効果的に分散させることができ、一体化させた後(再生後)のDPFマフラー1の耐久性の低下を確実に抑えることが可能となる。
具体的には、図4(a)の切断線K3、K4、K5の各切断線で再生後のDPFマフラー1を切断した状態を見た場合、図4(b)~図4(d)に示すように、断面形状の変化を緩やかな変化とすることができる。よって、再生後のDPFマフラー1の使用状態(例えば、振動や揺れが発生する状態)において、溶接二番41に応力が集中することを効果的に防止することができる。従って、再生後のDPFマフラー1の耐久性の低下を効果的に抑えることができ、耐久性に優れた再生マフラーとすることができる。
これに対して、図5(b)に示すように、仮に、DPFマフラーの軸方向と直交する方向にDPFマフラーを切断分解し、溶接する構成とした場合において、図5(b)の切断線K6、K7の各切断線で再生後のDPFマフラーを切断した状態を見た場合には、図5(c)、図5(d)に示すように、断面形状の変化が急激な変化となる。よって、再生後のDPFマフラーの使用状態(例えば、振動や揺れが発生する状態)において、溶接二番41に応力が集中する。これによって、再生後のDPFマフラーの耐久性の低下を招くという問題が生じる。よって、本発明のDPFマフラー1の軸方向と斜めに交差する方向にDPFマフラー1を切断する構成により、このような問題が生じることを防止でき、この点において極めて産業上の有用性が高いディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法とすることができる。
【0028】
なお、切断分解工程Bにおいて、DPFマフラー1をマフラーの軸方向と斜めに交差する方向に切断する切断線(切断線K1、切断線K2)の傾斜角度や傾斜方向は本実施形態のものに限るものではなく、マフラーの軸方向と斜めに交差する方向にマフラーを切断するものであれば、切断するDPFマフラーの種類に合わせて適宜変更可能である。但し、隣接するフィルター間の位置において切断することが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のディーゼルエンジン用マフラーの洗浄再生方法は、ディーゼルエンジンの構造を複雑化させることなく、目詰まり状態が発生したDPFマフラーが捕集したPMを効率的に除去した状態で再生可能なことから、ディーゼルエンジン用マフラーの産業分野において有用であり、産業上の利用可能性が大きい。
【符号の説明】
【0030】
1 DPFマフラー
2 DPFマフラー
10 筐体
11 エアクリーナー
12 センサーボス
20 フィルター
21 酸化触媒フィルター
21a 通路
22 DPFフィルター
22a 目封じ壁
22b 穴
23 選択的触媒還元フィルター
23a 通路
30 PM
31 PM
40 溶接ビード
41 溶接二番
B 切断分解工程
C 洗浄工程
D 乾燥工程
E 溶接工程
K1 切断線
K2 切断線
K3 切断線
K4 切断線
K5 切断線
K6 切断線
K7 切断線
M1 切断面
M2 切断面
H 排気ガスの流れ
図1
図2
図3
図4
図5