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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044892
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】バックドア用シェード部材
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20220311BHJP
   B60J 7/00 20060101ALI20220311BHJP
   E04H 15/06 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B60J5/10 Z
B60J7/00 A
E04H15/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150272
(22)【出願日】2020-09-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】504330638
【氏名又は名称】株式会社アイズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井澗 真章
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA08
2E141BB06
2E141EE03
2E141EE04
2E141EE21
2E141EE26
2E141GG20
(57)【要約】
【課題】ハッチバック開口への風雨の浸入を抑制しつつバックドアの閉扉時にその一部が車体外側にはみ出てしまうことを抑制可能なバックドア用シェード部材を提供する。
【解決手段】本発明のバックドア用シェード部材は、自動車のバックドア開口に設けられた環状シール部材の内側でバックドア開口に装着される本体取付領域と、バックドアの側面に装着されるバックドア取付領域と、開状態のバックドアの下端とバックドア開口の下端とをつなぐ傾斜領域と、を有するタープ生地部と、バックドアの下端にタープ生地部を留め付ける第1上側留め具と、バックドア開口の下端にタープ生地部を留め付ける第2下側留め具と、バックドアの開状態において前記タープ生地部の傾斜領域を緊張させる弾性部材と、を含んで構成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のバックドアに具備されて荷室内への風雨の浸入を抑制するバックドア用シェード部材であって、
前記自動車のバックドア開口に設けられた環状シール部材の内側で前記バックドア開口に装着される本体取付領域(11)と、前記バックドアの側面に装着されるバックドア取付領域(12)と、開状態の前記バックドアの下端と前記バックドア開口の下端とをつなぐ傾斜領域(13)と、を有するタープ生地部(10)と、
前記バックドアの下端に前記タープ生地部を留め付ける第1上側留め具(20)と、
前記バックドア開口の下端に前記タープ生地部を留め付ける第2下側留め具(30)と、
前記傾斜領域に沿って固定されるとともに、前記バックドアの開状態において前記タープ生地部の前記傾斜領域を緊張させる弾性部材(40)と、を含み、
前記バックドアが前記開状態から閉状態となるときに前記傾斜領域が前記バックドア開口の内側に向けて折れ曲がることを特徴とするバックドア用シェード部材。
【請求項2】
前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の車幅方向に関して前記傾斜領域の中央が前記バックドア開口の内側に向けて凸の状態となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って前記タープ生地部に固定されてなる、請求項1に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項3】
前記弾性部材の両端に配置されて、前記バックドアが前記開状態であるときに前記弾性部材が前記バックドア開口の内側に向けて湾曲した状態となるように設けられたガイド部材(50)をさらに有する、請求項2に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項4】
前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の側面から見た場合に前記傾斜領域が上に凸となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って固定されてなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項5】
前記自動車の車幅方向に関して、前記第2下側留め具は、前記第1上側留め具よりも前記バックドア開口の内側に配置されてなる、請求項1~4のいずれか一項に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項6】
前記自動車の車幅方向に関して、前記第2下側留め具は、前記環状シール部材の側面部よりも内側に配置されてなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のバックドア用シェード部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のハッチバックドアに取り付けられて車室後部内への風雨雪の浸入や日差しを抑制可能なバックドア用シェード部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の生活に欠かせない自動車は、例えばキャンプなどの趣向性に富んだ利用も多くなされている。かような自動車としては、ハッチバックドアとも称される鉛直方向に沿って跳ね上げ可能な後部ドア(以下、「バックドア」とも称する)を備えたワンボックスタイプやSUVタイプの車両がよく知られている。また、跳ね上げ可能な上記の後部ドアを備える車両としては、上記の他に商用車、車椅子を搭載可能な車(以下、「車椅子搭載車」とも称する)、救急車なども既知である。
【0003】
ここで上記したハッチバックドアは、自動車のバックドア開口(車両後部の荷室につながる開口)に取り付けられており、上限まで開放した開状態では簡易的な屋根としても利用できる。そのため、キャンプなど行楽地において、上記したハッチバックドアを上限まで跳ね上げた開状態で種々のアクティビティが行われている。また、上記した商用車や車椅子搭載車あるいは救急車などにおいては、雨雪天候時における荷物の搭載や人員の乗降の際に、雨や風雪を避ける屋根としてバックドアは機能することがある。
【0004】
例えば特許文献1や特許文献2には、自動車のバックドアを完全に跳ね上げて静止した位置で当該バックドアを天井として利用し当該バックドアの四辺を囲むように吊り下げるシャワーカーテンが提案されている。また、例えば特許文献3においても、後部ドアにカーテンを着脱自在に取り付けたワンボックス車が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3201830号公報
【特許文献2】実用新案登録第3211966号公報
【特許文献3】実開平2-75213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した各特許文献に限らず現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えず以下に述べるごとき課題が存在する。
ここで、ワンボックス車やSUVなどのバックドアは上記のとおり利便性に富んでおり、外部から内部を遮蔽する機能に優れているものの、後述するとおり荷室内への風雨の浸入を適切に防いでいるとは言い難い。
また、上記した商用車や車椅子搭載車あるいは救急車などにおいては、車両の側面方向からの雨や風雪を避けるには不十分な防備状況となってしまっている。
【0007】
上記した特許文献1~3に示される構造では、上限にまで跳ね上げたバックドアの四方をカーテンレールで囲むため、どうしてもレール着脱具とバックドアとの間に隙間が生じてしまう。また、これら特許文献では基本的に四方から遮蔽する目的でカーテンが敷設されるため、自動車のバックドア開口とカーテンとの隙間からも風雨が浸入してしまう。
【0008】
さらに、上記した特許文献1~3ではなるべく容易にカーテンを着脱できるように工夫されているが、これら特許文献1~3に示される構造は基本的に使用の度に着脱を行う思想となっている。一方でバックドアを閉める度にカーテンを外すことは効率性が悪いことから、例えば上記した特許文献においてもバックドアにカーテンをいったん取り付けたらバックドアの開閉時にもそのまま装着状態を維持したいという潜在的なニーズは存在し得る。
【0009】
しかしながらバックドアの開閉時にもそのままカーテンの装着状態を維持した場合には、バックドアを閉める際にカーテンの一部が当該バックドアに挟まれてしまう課題も生じてしまう。
このように利便性をさらに向上させるためには、上記した特許文献1~3においてもいまだに上記した課題を有しており、上記したニーズをも満たすバックドア用シェード部材が強く希求されている。
【0010】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、自動車のバックドア開口内への風雨の浸入を抑制可能であって且つバックドアの閉扉時においてもシェード部材の一部が車体の外側にはみ出ることを抑制して車内側に収納可能なバックドア用シェード部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかるバックドア用シェード部材は、(1)自動車のバックドアに具備されて荷室内への風雨の浸入を抑制するバックドア用シェード部材であって、前記自動車のバックドア開口に設けられた環状シール部材の内側で前記バックドア開口に装着される本体取付領域と、前記バックドアの側面に装着されるバックドア取付領域と、開状態の前記バックドアの下端と前記バックドア開口の下端とをつなぐ傾斜領域と、を有するタープ生地部と、前記バックドアの下端に前記タープ生地部を留め付ける第1上側留め具と、前記バックドア開口の下端に前記タープ生地部を留め付ける第2下側留め具と、前記傾斜領域に沿って固定されるとともに、前記バックドアの開状態において前記タープ生地部の前記傾斜領域を緊張させる弾性部材と、を含み、前記バックドアが前記開状態から閉状態となるときに前記傾斜領域が前記バックドア開口の内側に向けて折れ曲がることを特徴とする。
【0012】
なお上記した(1)に記載のバックドア用シェード部材においては、(2)前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の車幅方向に関して前記傾斜領域の中央が前記バックドア開口の内側に向けて凸の状態となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って前記タープ生地部に固定されてなることが好ましい。
【0013】
また、上記した(2)に記載のバックドア用シェード部材においては、(3)前記弾性部材の両端に配置されて、前記バックドアが前記開状態であるときに前記弾性部材が前記バックドア開口の内側に向けて湾曲した状態となるように設けられたガイド部材をさらに有していてもよい。
【0014】
また、上記した(1)~(3)のいずれかに記載のバックドア用シェード部材においては、(4)前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の側面から見た場合に前記傾斜領域が上に凸となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って固定されてなることが好ましい。
【0015】
また、上記した(1)~(4)のいずれかに記載のバックドア用シェード部材においては、(5)前記自動車の車幅方向に関して、前記第2下側留め具は、前記第1上側留め具よりも前記バックドア開口の内側に配置されてなることが好ましい。
【0016】
また、上記した(1)~(5)のいずれかに記載のバックドア用シェード部材においては、(6)前記自動車の車幅方向に関して、前記第2下側留め具は、前記環状シール部材の側面部よりも内側に配置されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自動車のハッチバック開口への風雨の浸入を抑制しつつ、それでいてなお且つバックドアの閉扉時に挟み込みを抑制しながら装着状態を維持して利便性を大幅に向上させることができる。
また、本発明のバックドア用シェード部材によれば、バックドアを開状態にすることだけで雨や風雪を避けるのに十分な防備状況を簡単に発現させることができ、このシェード部材を外すなどの手間をかけることなくバックドアを閉状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のバックドア用シェード部材が装着された自動車を模式的に示した後方斜視図である。
図2】実施形態のバックドア用シェード部材が装着された自動車を後方から模式的に示した図である。
図3】実施形態のバックドア用シェード部材の模式図である。
図4】バックドア用シェード部材を構成する第1生地と第2生地の模式図である。
図5】バックドアの閉扉におけるバックドア用シェード部材の状態遷移を示した模式図である。
図6】変形例におけるバックドア用シェード部材の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための実施形態について説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、自動車の車高方向をZ方向、このZ方向と直交する自動車の車幅方向をY方向、これらZ方向とY方向とに直交する車長方向をX方向として便宜的に設定した。しかしながら本発明は上述した方向の定義付けに左右されるものではなく、特許請求の範囲を不当に減縮するものでないことは言うまでもない。
【0020】
また、以下で詳述する構成以外の自動車の機構・構造については、上記した特許文献1~3に開示された技術や公知の車両構造などを適宜組み入れて実施することができる。
また、以下では、上下に旋回してバックドア開口を開閉可能な公知のハッチバックドアを備えたワンボックス車を自動車の例として説明するが、本発明はこのワンボックス車に限られずSUVやキャンピングカー、あるいは上記した商用車、車椅子搭載車や救急車などバックドア(ハッチバックドア)を有する種々の自動車に適用が可能である。
【0021】
<自動車200>
まず本実施形態におけるバックドア用シェード部材100を搭載可能な自動車200について説明する。上述のとおり本実施形態の自動車200は、例えばワンボックス車やキャンピングカーであり、例えば図1に示すようにバックドア210、荷台220、バックドア開口230および環状シール部材240を含んで構成されている。
なお上述のとおり以下で説明する構成以外については、公知のワンボックス車やキャンピングカーなどの構造が適用できる。
【0022】
バックドア210は、後述するバックドア開口230に取り付けられて荷台220と車外とを連通または遮蔽する機能を有している。本実施形態のバックドア210は、図1及び2から理解されるとおり、上部210A、側部210Bおよび底部210Cとで構成されている。かようなバックドア210は、バックドア開口230の上部230Aに上部210Aが取り付けられて当該上部210Aを支点に旋回可能とされるように、一般的な公知のバックドア構造が適用されている。
【0023】
荷台220は、例えばワンボックス車やキャンピングカーなどではユーザーの荷物などを載置可能な部位である。本実施形態の荷台220としては、上記した特許文献1~3を含む自動車の後部に配置される公知の荷台構造が適用できる。
【0024】
バックドア開口230は、自動車200の後方端部に設けられた公知の開口構造である。図1に示すように、本実施形態のバックドア開口230は、上部230A、側部230Bおよび底部230Cで構成されている。かようなバックドア開口230も、バックドア210を取り付け可能であれば特に制限はなく、例えば上記した特許文献1~3や公知のワンボックス車やキャンピングカーなどに適用される開口構造を適用してもよい。
【0025】
環状シール部材240は、上記したバックドア開口230に沿って装着され、バックドア210の閉扉時における緩衝機能や雨水などの浸入を抑制するシール機能を有している。本実施形態の環状シール部材240は、ウェザーストリップとも称される公知のゴム製部材である。かような環状シール部材(ウェザーストリップ)240の材質については、特に制限はなく公知の種々のゴム材料が適用できる。
【0026】
また、環状シール部材(ウェザーストリップ)240のバックドア開口230への装着態様についても、後述する第2下側留め具30が取り付け可能な限りにおいて特に制限はなく、公知の種々の設置態様を適用してもよい。
【0027】
<バックドア用シェード部材100>
次に図1~4を参照しつつ、本実施形態におけるバックドア用シェード部材100の構造について詳述する。
【0028】
まず図1及び2に示されるとおり、バックドア用シェード部材100は、上述した自動車200のバックドア210に具備されて荷台220内への風雨の浸入を抑制する機能を有して構成されている。
【0029】
なお図1から理解されるとおり、本実施形態ではバックドア開口230のうち両サイド側(それぞれ側部230B)にそれぞれバックドア用シェード部材100が装着されている。換言すれば、本実施形態では、バックドア開口230のうち両サイド側にそれぞれバックドア用シェード部材100が装着されることが好ましいが、必ずしも一対のバックドア用シェード部材100とする必要はなく風雨の浸入抑制度合いに応じて片側のみ装着される態様であってもよい。
【0030】
より具体的にバックドア用シェード部材100は、タープ生地部10、第1上側留め具20、第2下側留め具30、および弾性部材40を含んで構成されている。
【0031】
タープ生地部10は、図示によって示されるとおり平面視が略三角形状のシート材であって、自動車200のバックドア開口230に設けられた環状シール部材240の内側でバックドア開口230に装着される本体取付領域11と、バックドア210の側部210Bに装着されるバックドア取付領域12と、開状態のバックドア210の上記した下方とバックドア開口230の底部230Cとをつなぐ傾斜領域13と、を有している。
【0032】
そして図1及び図2から理解されるとおり、このとき特にタープ生地部10の本体取付領域11は、環状シール部材240の内側でバックドア開口230に装着されている。より詳しくは、図中における環状シール部材(ウェザーストリップ)240の外側であるラインA側ではなく、環状シール部材240の内側であるラインC側に沿ってバックドア開口230に装着されている。
【0033】
また上記のとおり、タープ生地部10のバックドア取付領域12は、環状シール部材(ウェザーストリップ)240の当たり面の外側(図1中のラインB)でバックドア210の側部210Bに装着されている。
以上の構成によって、車外からの雨水をウェザーストリップでより確実に止水することができ、当該ウェザーストリップの機能を損なうことなく本実施形態のバックドア用シェード部材100を自動車200に装着することができる。
【0034】
かようなタープ生地部10の材質としては、後述する2枚重ねの樹脂シートの他に、例えば防水ビニールシートや麻など公知の種々のシート材が適用できる。なおタープ生地部10のより詳細な構造については、図3及び図4を用いて後述される。また、本実施形態では異なる性質の2枚の樹脂シートでタープ生地部を構成したが、この形態に限られず1枚または3枚以上の任意の数の樹脂シートでタープ生地部を構成してもよい。
【0035】
第1上側留め具20は、上記したタープ生地部10を前記バックドア210の下方(底部210Cに近い側部210Bの下方など)に留め付ける機能を有している。かような本実施形態の第1上側留め具20としては、一例として、公知のコの字金具やL字フックが例示できる。
【0036】
なお本実施形態では上記のとおりコの字金具やL字フックを例示したが、バックドア210の上記した下方にタープ生地部10の一端を留め付け可能な限りにおいて特に制限はなく、例えばクリップや面ファスナーなど公知の種々の着脱機構を適用してもよい。
【0037】
第2下側留め具30は、上記したタープ生地部10を前記バックドア開口230の底部230Cに留め付ける機能を有している。かような第2下側留め具30は、第1上側留め具20と同様に、本実施形態では公知のコの字金具やL字フックが適用されている。
【0038】
なお第2下側留め具30についても、必ずしもコの字金具やL字フックである必要はなく、バックドア開口230の底部230Cにタープ生地部10の一端を留め付け可能な限りにおいてクリップや面ファスナーなど他の公知の着脱機構を適用してもよい。
【0039】
弾性部材40は、前記したタープ生地部10の傾斜領域13に沿って縫い目13stを介して固定されるとともに、バックドア210の上記した開状態においてタープ生地部10の傾斜領域13を緊張させる機能を有している。なお本実施形態では、弾性部材40の両端は、フックや紐など公知の留め具を介して、バックドア210の下側部位(例えば底部210Cや特開2018-39404号に開示される「当接部118、120」など)とバックドア開口230の底部230Cにそれぞれ留め付けられていることが好ましい。かような弾性部材40の具体的な材質としては、上記機能が発揮される限りにおいて特に制限はなく、例えばゴムやバネなど公知の弾性材が適用できる。
【0040】
より具体的に図2などから理解されるとおり、本実施形態のバックドア用シェード部材100においては、前記したバックドア210が開状態であるときに、自動車200の車幅方向(Y方向)に関して傾斜領域13の中央13cがバックドア開口230の内側に向けて凸の状態となるように、弾性部材40は傾斜領域13に沿ってタープ生地部10に固定されている。
【0041】
そして図2から理解されるとおり、本実施形態では、自動車200の車幅方向(Y方向)に関して、本実施形態の第2下側留め具30は、上記した第1上側留め具20よりもバックドア開口230の内側に配置されている。換言すれば、図2において、自動車200の車幅方向(Y方向)に関し、一対の第1上側留め具20間の距離D3は、一対の第2下側留め具30間の距離D2よりも大きくなるように設定されている。
【0042】
また、図2から同様に理解されるとおり、本実施形態では、自動車200の車幅方向(Y方向)に関し、本実施形態の第2下側留め具30は、上記したバックドア開口230の側部230Bや環状シール部材240の側面部よりも内側に配置されている。換言すれば、図2において、自動車200の車幅方向(Y方向)に関し、一対の第2下側留め具30間の距離D2は、バックドア開口230の車幅方向における開口長や環状シール部材240の側面部間の距離D1よりも小さくなるように設定されている。
【0043】
そしてかような設置態様の弾性部材40の作用によって、本実施形態では、バックドア210が前記した開状態から閉状態(バックドア210が閉まった状態)となるときに傾斜領域13がバックドア開口230の内側に向けて折れ曲がる。これにより、バックドア210の閉扉時にタープ生地部10を挟み込むことなくバックドア用シェード部材100のバックドア210への装着状態を維持することが可能となっている。
【0044】
なおこのとき図1に示すように、バックドア210が前記した開状態であるときに、自動車200の側面から見た場合に傾斜領域13が上に凸(図示の「ラインF」で示されるように傾斜領域13が上に向けて湾曲した状態)となるように、弾性部材40は傾斜領域13に沿って固定されることが好ましい。
なお、上記した閉状態に至る過程における状態推移については、後に図5を用いて詳述する。
【0045】
[タープ生地部10の詳細構造]
次に図3及び図4を参照しつつ、本実施形態のタープ生地部10について詳述する。
まず図3に示すように、本実施形態のタープ生地部10は、実質的に同形状の複数の生地部から構成されている。より具体的に本実施形態のタープ生地部10は、異なる性質の第1生地10Aと第2生地10Bとで構成されている。
【0046】
図4に示すように、第1生地10Aは、例えば遮熱・遮光およびUVカット機能を有するポリエステル製生地で構成されている。また、第2生地10Bは、例えば高耐水圧・防風機能を有するポリエステル製生地で構成されている。かような第1生地10Aと第2生地10Bとしては、一例として例えばマスダ株式会社製の「マジカルハーモニー“クロッキー”<MH-9600>」で示される「サマーシールド」と「ナビアーノ」の組み合わせなどが好適例として例示できる。
【0047】
なお本実施形態では第1生地10Aと第2生地10Bは合成繊維のポリエステル製としたが、この態様に限られず少なくとも一方をレーヨンやナイロン、アクリルなど他の合成繊維としてもよいし、化学合成繊維に代えて少なくとも一方を麻・綿・絹などの天然繊維としてもよい。
【0048】
かような構成のタープ生地部10(第1生地10A及び第2生地10B)は、図3及び図4に示すように、それぞれ上記した本体取付領域11と、上記したバックドア取付領域12と、上記した傾斜領域13とを含んで構成されている。これに加え、図4などに示されるように、本実施形態のタープ生地部10(第1生地10A及び第2生地10B)は、バックドア210やバックドア開口230の上端と対向する緩衝領域14(14A及び14B)と、第1上側留め具20と接続される第1接続領域15(15A及び15B)と、第2下側留め具30と接続される第2接続領域16(16A及び16B)を有している。
【0049】
なお第1上側留め具20と第1接続領域15との接続態様や、第2下側留め具30と第2接続領域16との接続態様は、特に限定されず、例えば接着剤を用いた接着固定やクリップなどを用いた物理的な固定など公知の種々の固定手段を適用してもよい。
また図3に示すように、上記した弾性部材40は、これら第1生地10Aと第2生地10Bのいずれか一方に形成された傾斜領域13に沿った縫い目13st(図4では省略されている)によって、上記した開状態において当該弾性部材40がバックドア開口230の内側に向けて凸の状態(内側に向けて湾曲した状態)となるように配設されている。
【0050】
<閉扉時におけるバックドア用シェード部材100の状態遷移>
次に図5もさらに参照しつつ、バックドア210の閉扉におけるバックドア用シェード部材100の状態遷移について説明する。
同図(a)~(d)から理解されるとおり、上記した構造を有するバックドア用シェード部材100は、自動車200におけるバックドア210が閉扉される際に、車体側の雨水は環状シール部材(ウェザーストリップ)240に止水された状況で流れることでバックドア210の開閉状態に依らず車内(荷台220)側に導かれてしまうことが抑制できる。
【0051】
また本実施形態では、上述のとおり第1上側留め具20や第2下側留め具30の取り付け位置である位置Dや位置E(図1図2参照)は、図中の上記したAラインやBラインよりも車体内側(バックドア開口230の中央側)に設置されている。これにより、図5に例示するように、上記閉扉時においてタープ生地部10の傾斜領域13に装着された弾性部材40が縮んでいく際に、生地が車体内側に向かって一纏まりになっていくように意図的に変形させることが可能となっている。
【0052】
以上の構成によって、本実施形態のバックドア用シェード部材100によれば、たとえ強風下でバックドア210を閉扉した際にも、タープ生地部10の生地がバックドア210からはみ出して車外に飛び出ることが防止されて車体内側により確実にタープ生地部10を収納することが可能となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、これら実施形態や変形例に対して更なる修正を試みることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば上記した第2下側留め具30の取付位置Dは、本実施形態では上記のとおり図示されているが、環状シール部材(ウェザーストリップ)240のできるだけ下部に配設することが望ましい。これにより、タープ生地部10の傾斜領域13(図1中のFライン)部分に沿って降りてきた雨水が車内に入り込んでしまうことが更に抑制できる。
【0055】
同様に、例えば第1上側留め具20の取付位置Eは、本実施形態では上記のとおり図示されているが、出来るだけバックドア201の下部に位置させることが望ましい。これにより、バックドア201の上記した開状態の時により広い面積を防雨エリアとすることが可能となり、例えばキャンプやその他の娯楽を上記防雨エリアでより快適に実施することが可能となる。
【0056】
また、上記した実施形態では、傾斜領域13に沿った縫い目13stなどによって上記開状態において弾性部材40がバックドア開口230の内側に向けて凸の状態(内側に向けて湾曲した状態)となるように構成されていたが、この態様に限られない。
図6に変形例におけるバックドア用シェード部材110を示す。このバックドア用シェード部材110は、実施形態で説明したバックドア用シェード部材100の構成に加え、弾性部材40の両端に配置されるガイド部材50をさらに含んで構成されていてもよい。
【0057】
より具体的にバックドア用シェード部材110のガイド部材50は、第1上側留め具20に一方が固定されつつ弾性部材40の一端側をガイドする第1ガイド部材50Aと、第2下側留め具30に一方が固定されつつ弾性部材40の他端側をガイドする第2ガイド部材50Bとを有して構成されている。
【0058】
本変形例のバックドア用シェード部材では、このガイド部材50をさらに有することで、前記したバックドア210が開状態であるときに弾性部材40がバックドア開口230の内側に向けて湾曲した状態となるようにガイドすることができる。これにより、バックドア210が開状態から閉状態となるときにタープ生地部10の傾斜領域13がバックドア開口230の内側に向けて折れ曲がることをより確実に達成することができる。
【0059】
なお上記した実施形態においては、タープ生地部10の本体取付領域11は環状シール部材(ウエザーストリップ)240の内側でバックドア開口230に装着されるとともに、バックドア取付領域12は環状シール部材(ウェザーストリップ)240の外側となるようにバックドア210に装着されていた。
しかしながら上記したタープ生地10の取り付け位置は本発明における好適な一例であって、タープ生地10の車体側やバックドア側の取り付け位置は上記に限定されない。すなわち、タープ生地10の車体側の取り付け位置は環状シール部材240の内側とせず、バックドア210側は環状シール部材240の外側とせずともよい。本発明のバックドア用シェード部材が取り付けられる自動車の車種や仕様などに応じて、本体取付領域11は環状シール部材240の外側に取り付けられてもよいし、バックドア取付領域12は環状シール部材240の内側となるようにバックドア210に取り付けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明のバックドア用シェード部材は、バックドアの開状態において風雨の浸入を抑制しつつ閉扉時には挟み込みが抑制されたバックドア用シェード部材を実現するのに好適であり、例えばレジャー用車両におけるキャンプなどの用途に供することができる。また、上記した商用車や車椅子搭載車あるいは救急車などに向けて供する場合には、雨雪天候時などにおける荷物の搭載や人員の乗降の際に、車両の側面方向からの風雪をも避ける防具として有用となる。
【符号の説明】
【0061】
100 バックドア用シェード部材
10 タープ生地部
20 第1上側留め具
30 第2下側留め具
40 弾性部材
50 ガイド部材
200 自動車
210 バックドア
220 荷台
230 バックドア開口
240 環状シール部材(ウェザーストリップ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のバックドアに具備されて荷室内への風雨の浸入を抑制するバックドア用シェード部材であって、
前記自動車のバックドア開口に設けられた環状シール部材と隣接して前記バックドア開口に装着される本体取付領域(11)と、前記バックドアの側面に装着されるバックドア取付領域(12)と、開状態の前記バックドアの下端と前記バックドア開口の下端とをつなぐ傾斜領域(13)と、を有するタープ生地部(10)と、
前記バックドアの下端に前記タープ生地部を留め付ける第1上側留め具(20)と、
前記バックドア開口の下端に前記タープ生地部を留め付ける第2下側留め具(30)と、
前記傾斜領域に沿って固定されるとともに、前記バックドアの開状態において前記タープ生地部の前記傾斜領域を緊張させる弾性部材(40)と、を含み、
前記第1上側留め具(20)及び前記第2下側留め具(30)の取り付け位置は、前記環状シール部材と隣接して装着される前記本体取付領域(11)の取り付け位置よりも前記自動車の車幅方向に関して車体内側に設置され、
前記バックドアが前記開状態から閉状態となるときに前記傾斜領域が前記バックドア開口の内側に向けて折れ曲がることを特徴とするバックドア用シェード部材。
【請求項2】
前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の車幅方向に関して前記自動車の後方から見た場合に前記傾斜領域の中央が前記バックドア開口の内側に向けて凸の状態となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って前記タープ生地部に固定されてなる、請求項1に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項3】
前記弾性部材の両端に配置されて、前記バックドアが前記開状態であるときに前記弾性部材が前記バックドア開口の内側に向けて湾曲した状態となるように設けられたガイド部材(50)をさらに有する、請求項2に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項4】
前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の側面から見た場合に前記傾斜領域が上に凸となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って固定されてなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項5】
前記自動車の車幅方向に関して、前記第2下側留め具は、前記第1上側留め具よりも前記バックドア開口の内側に配置されてなる、請求項1~4のいずれか一項に記載のバックドア用シェード部材。
【請求項6】
前記自動車の車幅方向に関して、前記第2下側留め具は、前記環状シール部材の側面部よりも内側に配置されてなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のバックドア用シェード部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかるバックドア用シェード部材は、(1)自動車のバックドアに具備されて荷室内への風雨の浸入を抑制するバックドア用シェード部材であって、前記自動車のバックドア開口に設けられた環状シール部材と隣接して前記バックドア開口に装着される本体取付領域(11)と、前記バックドアの側面に装着されるバックドア取付領域(12)と、開状態の前記バックドアの下端と前記バックドア開口の下端とをつなぐ傾斜領域(13)と、を有するタープ生地部(10)と、前記バックドアの下端に前記タープ生地部を留め付ける第1上側留め具(20)と、前記バックドア開口の下端に前記タープ生地部を留め付ける第2下側留め具(30)と、前記傾斜領域に沿って固定されるとともに、前記バックドアの開状態において前記タープ生地部の前記傾斜領域を緊張させる弾性部材(40)と、を含み、前記第1上側留め具(20)及び前記第2下側留め具(30)の取り付け位置は、前記環状シール部材と隣接して装着される前記本体取付領域(11)の取り付け位置よりも前記自動車の車幅方向に関して車体内側に設置され、前記バックドアが前記開状態から閉状態となるときに前記傾斜領域が前記バックドア開口の内側に向けて折れ曲がることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
なお上記した(1)に記載のバックドア用シェード部材においては、(2)前記バックドアが前記開状態であるときに、前記自動車の車幅方向に関して前記自動車の後方から見た場合に前記傾斜領域の中央が前記バックドア開口の内側に向けて凸の状態となるように、前記弾性部材は前記傾斜領域に沿って前記タープ生地部に固定されてなることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
図4に示すように、第1生地10Aは、例えば遮熱・遮光およびUVカット機能を有するポリエステル製生地で構成されている。また、第2生地10Bは、例えば高耐水圧・防風機能を有するポリエステル製生地で構成されている。かような第1生地10Aと第2生地10Bとしては、一例として例えばマスダ株式会社製の「マジカルハーモニー“クロッキー”<MH-9600>(商標)」で示される「サマーシールド(登録商標)」と「ナビアーノ(登録商標)」の組み合わせなどが好適例として例示できる。