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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044900
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】絞り袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/72 20060101AFI20220311BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20220311BHJP
   B65D 30/28 20060101ALI20220311BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20220311BHJP
   A23G 3/28 20060101ALN20220311BHJP
   A47J 43/28 20060101ALN20220311BHJP
【FI】
B65D85/72
B65D33/25 A
B65D30/28 N
B65D75/58
A23G3/28
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150282
(22)【出願日】2020-09-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】391065471
【氏名又は名称】東邦フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】特許業務法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 茂
【テーマコード(参考)】
3E035
3E064
3E067
4B014
4B053
【Fターム(参考)】
3E035AA16
3E035AA19
3E035BA08
3E035BB05
3E035BB08
3E035BC02
3E035BD04
3E035CA02
3E035CA07
3E064AD19
3E064BA26
3E064BA30
3E064BB03
3E064FA03
3E064GA04
3E064HN13
3E064HP01
3E067AA04
3E067AB01
3E067AB16
3E067AB18
3E067AB19
3E067AB21
3E067AB28
3E067AB64
3E067AB81
3E067AB83
3E067AB96
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA23
3E067EB07
3E067EB17
3E067EB32
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GA01
3E067GD07
4B014GU26
4B053AA03
4B053BL01
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】絞出口を閉塞するチャックが、袋本体の内圧で分離して開口するが、袋本体の外側からは開口しにくい絞り袋を提供する。
【解決手段】上端に供給口2が開口されて、下部に絞出口3を有するプラスチックシートからなる袋本体1と、袋本体1の絞出口3の内側に設けられてなるチャック5とを備え、チャック5は、袋本体1の内圧で分離して開口する咬み合い構造を有し、咬み合い構造は、チャック5が分離して開口する嵌合強度がチャック5の内側と外側で異なり、チャック5が分離して開口する嵌合強度が、チャック5の外側よりも内側が小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に供給口が開口されて、下部に絞出口を有するプラスチックシートからなる袋本体と、
前記袋本体の前記絞出口の内側に設けられてなるチャックとを備え、
前記チャックは、
前記袋本体の内圧で分離して開口する咬み合い構造を有し、
前記咬み合い構造は、
前記チャックが分離して開口する嵌合強度が前記チャックの内側と外側で異なり、
前記チャックが分離して開口する嵌合強度が、
前記チャックの外側よりも内側が小さいことを特徴とする絞り袋。
【請求項2】
請求項1に記載の絞り袋であって、
前記袋本体が、
前記チャックの排出側に、
前記袋本体を構成してなるプラスチックシートからなる排出部を有することを特徴とする絞り袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の絞り袋であって、さらに、
未使用状態で前記絞出口を閉塞する離脱部を備えており、
使用時に前記離脱部を分離して、前記絞出口を開口させるよう構成してなることを特徴とする絞り袋。
【請求項4】
請求項3に記載の絞り袋であって、
前記離脱部が、
前記袋本体と一体に形成されてなることを特徴とする絞り袋。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の絞り袋であって、
前記チャックが凸条を有する雄チャックと、
前記凸条が脱着自在に案内される嵌合溝を有する雌チャックとを備え、
前記雄チャックと前記雌チャックが前記袋本体の対向する内面に配置されてなることを特徴とする絞り袋。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の絞り袋であって、
前記咬み合い構造が上下非対称であることを特徴とする絞り袋。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の絞り袋であって、
前記袋本体が、下方に向かって横幅が小さくなるテーパー部を有することを特徴とする絞り袋。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の絞り袋であって、
前記チャックが、
前記袋本体の幅方向に伸びる姿勢で配置されてなることを特徴とする絞り袋。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の絞り袋であって、
前記チャックが、
前記袋本体上端の前記供給口と平行な姿勢に配置されてなることを特徴とする絞り袋。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載する絞り袋であって、
前記チャックの内側の嵌合強度が、
前記チャックの外側の嵌合強度の1/2以下であることを特徴とする絞り袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り袋に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニール、布製の絞り袋が、菓子やケーキなどの製作に広く用いられている。従来の絞り袋は、下端に口金が収められ、内部に菓子の生地やクリームなど内容物が入れられ、絞り袋の供給口側から絞出口側に向かってしごくと、内容物が絞出口から絞り出される。しかしながら、従来の絞り袋は、内容物を使い切れない場合、絞出口を開口状態のまま保存することは、衛生上好ましくない。また、口金という別部材を必要とし、内容物が口金に残り最後まで使い切ることが困難である。
【0003】
泡立て絞り出し用具が開発されている(特許文献1参照)。図9に示す絞り袋900は、開口用ファスナー901と仕切り用ファスナー903を具備し、泡立て工程と絞り出し工程を仕切り用ファスナー903の上部の泡立て部902と下部の絞り出し部904という同一の袋内で行える調理具である。絞り袋900は、開口用ファスナー901を開放して生クリームなど内容物を入れて、まず、上部の泡立て部902で泡立て、次に、仕切り用ファスナー903を開いて、泡立てられた内容物を下部の絞り出し部904に移動させて、下端の開口905から絞り出す。しかしながら、絞り袋900は、開口905に口金がセットされて内容物を絞り出すことを前提にしており、上記従来の絞り袋の問題点は解消されない。
【0004】
他方で、絞り袋ではないが、チャック付きのプラスチック袋が広く一般に市販されている。このチャックは、袋本体上端の開口部を閉塞でき、開閉を繰り返し行える点に特徴がある。さらに、チャック開閉圧に違いを設け、意図せず内容物が出にくい構造のプラスチックチャックを備えた包装容器が開発されている(特許文献2参照)。この構造は、プラスチック袋の内側(内容物側)の開口強度を外側(開口側)よりも大きくして、意図せず袋の内側からの内圧によりチャックが容易に開口して内容物がもれ出さないようにしつつ、外側の開口側からはチャックを容易に開口できる点に特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-29344号公報
【特許文献2】特開2000-262307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、本発明の大切な一目的は、絞出口を閉塞するチャックが設けられ、袋本体の内圧でチャックが分離して開口できると共に、袋本体の外側からは開口しにくい絞り袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の一実施態様の絞り袋は、上端に供給口が開口されて、下部に絞出口を有するプラスチックシートからなる袋本体と、袋本体の前記絞出口の内側に設けられてなるチャックとを備えている。チャックは、袋本体の内圧で分離して開口する咬み合い構造を有し、咬み合い構造は、チャックが分離して開口する嵌合強度がチャックの内側と外側で異なり、チャックが分離して開口する嵌合強度が、チャックの外側よりも内側が小さい。
【0008】
以上の構造の絞り袋は、まず絞出口の内側に設けられたチャックを備えることで、絞り袋の絞出口側を密閉した状態で冷蔵庫などで保存できる。チャックの咬み合い構造が、チャックが分離して開口する嵌合強度がチャックの内側と外側で異なり、チャックが分離して開口する嵌合強度がチャックの外側よりも内側が小さいことで、絞り袋を使用する際、チャックは袋本体の内圧で分離して開口して内容物を絞出口から絞り出せるとともに、絞出口側の袋本体の外側からは開口しにくい利点が得られる。
【0009】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、袋本体が、チャックの排出側に、袋本体を構成してなるプラスチックシートからなる排出部を有する。以上の構造の絞り袋は、絞出口から内側に偏在してチャックが配置されて、チャックと絞出口との間に排出部の分だけ間隔ができ、その範囲で絞出口の開口位置を調整できる。とくに下端部を先すぼみのテーパー形状とする場合、絞出口の開口面積を小さくしながら、チャックの幅を十分な長さとして開閉機能を確実に作用させることができる。また、チャックと絞出口との間のシートを別素材にしたり、複数積層することで強度を向上し、絞出口に切り込み入れたり、様々な形状にするなどできる。
【0010】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、さらに、未使用状態で絞出口を閉塞する離脱部を備えており、使用時に離脱部を分離して、絞出口を開口させるよう構成してなる。以上の構造の絞り袋は、未使用状態で絞出口を閉塞する離脱部を備え、使用時にはじめて離脱部を分離して、絞出口を開口させる構成であるので、未使用状態において密閉された状態で、絞出口及び袋本体内を清潔に保て、衛生上好ましい。
【0011】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、離脱部が、袋本体と一体に形成されてなる。以上の構造の絞り袋も、未使用状態において、絞出口が露出されておらず、絞出口及び袋本体内を清潔に保て、衛生上好ましい。また、一体に形成されることで、製造が容易で、低コスト化を図れる。
【0012】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、チャックが凸条を有する雄チャックと、凸条が脱着自在に案内される嵌合溝を有する雌チャックとを備え、雄チャックと雌チャックが袋本体の対向する内面に配置されてなる。以上の構造の絞り袋は、凸条を有する雄チャックと凸条が脱着自在に案内される嵌合溝を有する雌チャックが袋本体の対向する内面に配置されることで、チャックが絞出口を閉塞できる。凸条を嵌合溝に嵌合させて閉塞するため、チャックが確実に閉塞されたことを使用者が確認しやすい。
【0013】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、咬み合い構造が上下非対称である。以上の絞り袋は、チャックの咬み合い構造を、チャックが分離して開口する嵌合強度がチャックの内側と外側で異なるものとできる。
【0014】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、袋本体が、下方に向かって横幅が小さくなるテーパー部を有する。以上の構造の絞り袋は、しごかれて内容物が袋本体のテーパー部の下端の絞出口に導かれることで、内容物の残りを少なくして、内容物を最後まで使い切ることができる。また、未使用状態において絞出口側が密閉されている場合、絞出口の開口位置を上下に変更して、絞出口の開口面積を調整できる。
【0015】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、チャックが、袋本体の幅方向に伸びる姿勢で配置されてなる。以上の構造の絞り袋は、チャックが、絞り袋の短手方向である袋本体の幅方向に伸びる位置に配置されることで、チャックが斜めに配置された場合に比べ、チャックの幅を短くできる。絞出口がチャックと平行の水平方向に配置されると、チャックと絞出口の間の領域を狭くすることができ、内容物が残存するのを低減できる。
【0016】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、チャックが、袋本体上端の供給口と平行な姿勢に配置されてなる。以上の構造の絞り袋は、チャックの配置姿勢により、チャックの幅を調整できる。
【0017】
本発明の他の実施態様の絞り袋は、チャックの内側の嵌合強度が、チャックの外側の嵌合強度の1/2以下である。以上の構造の絞り袋は、大きな嵌合強度の差があるチャックを使用することで、一方で、内側からは、絞り袋をしごいて内容物を絞り出し易く、他方で、外側からは、意図せずチャックが開口されて内容物がもれ出すことを防止でき、チャックの内側と外側の両側においてそれぞれの機能を十分に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る絞り袋を示す概略正面図である。
図2図2は、図1に示す絞り袋のチャックの要部拡大断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態2に係る絞り袋を示す概略正面図である。
図4図4は、図3の絞り袋の絞出口を開口する状態を示す概略斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態3に係る絞り袋を示す概略正面図である。
図6図6は、本発明の実施形態4に係る絞り袋を示す概略正面図である。
図7図7は、本発明の実施形態5に係る絞り袋を示す概略正面図である。
図8図8は、本発明の実施形態6に係る絞り袋を示す概略正面図である。
図9図9は、従来例に係る絞り袋を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0020】
本発明の絞り袋の内部に充填する内容物を以下に例示するが、内容物を限定する趣旨ではない。まず、内容物の代表例として菓子の生地、ケーキのクリームなどデザートのデコレーションが挙げられるが、これらに限定されることなく、チョコレート、ゼリー、ソース、マヨネーズ、ジャム、味噌など調味料から食料品まで使用できる。さらに食料品以外においてもペットフード、また接着剤、コーキング剤などの工作製品、建築製品、毛染め液、シャンプーなどの日用品、絵の具、インクなどの雑貨、またさらには薬品、医療品に至るまで幅広く使用可能である。内容物の物質状態として、主に粘性のある液体をはじめとする液体状の物質をはじめ、固体が混ざっている物質、比較的小さな固体の物質、さらに多くの気体を含む物質に至るまで広範囲に使用が可能である。
【0021】
本明細書において、チャックの内側とは、チャックよりも内容物側を示し、チャックの外側とは、チャックよりも絞出口側を示す。
[実施形態1]
【0022】
本発明の実施形態1にかかる絞り袋100を図1図2に示す。本発明に係る絞り袋の一例として、図1は本発明の実施形態1に係る絞り袋100の概略正面図を、図2図1に示すチャック5の要部拡大断面図を、それぞれ示す。
(絞り袋100)
【0023】
絞り袋100は、まず一端に供給口2が開口され、他端に絞出口3を有する袋本体1からなる。図1の概略正面図において絞り袋100は、内容物が絞り出される絞出口3側を下に配置する。したがって、絞り袋100は、上端に供給口2が開口されて、下部に絞出口3を有する袋本体1と、袋本体1の絞出口3の内側に設けられてなるチャック5とを備える。
【0024】
絞り袋100は、一対の表面シート1cが連結されて、上端の供給口2と連通した収納空間が形成される。絞り袋100は、熱可塑性のプラスチック、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などプラスチックシートを使用できる。布製に比べて、安価に製造できるプラスチック製は、使い捨てとして使用でき、衛生面で好ましい。またプラスチック製の表面シート1cは薄くでき、しごいて内容物を最後まで絞り出し易い。また、透明なシートとすることで、外部から内容物を視認でき、内容物の残量や状態を容易にチェックできる。
(袋本体1)
【0025】
図1に示す袋本体1は、プラスチックシートからなる一対の表面シート1cの両側のサイド部1aが連結され、上端に供給口2が開口されて、下部に絞出口3を有する。図1の絞り袋100は、上端の水平方向に供給口2が開口されて、供給口2の両端から供給口2に対して垂直方向にサイド部1aが伸びる位置に配置される。図1の供給口2は、袋本体1の上端縁に開口されるが、これ以外の位置、例えば上端縁付近の上部に供給口2を開口することもできる(図1において二点鎖線で表示)。本明細書において、上端とは、上部を含む意味とする。図示しないが、供給口2を水平ではなく、斜めに開口することもできる。
【0026】
図1の絞り袋100の形状は、略ホームベース型である。袋本体1は、下端に向かって横幅が小さくなるテーパー部1bを有し、テーパー部1bの下端を絞出口3とする。テーパー部1bを設けることで、例えば袋本体1を矩形状にした場合に矩形状の下端の両角のように内容物が残る部分をなくすことができ、内容物をスムーズに絞り出せ、最後まで残さず使い切ることができる。サイド部1aの長さ、テーパー部1bの長さ、テーパー部1bの角度、サイド部1aとテーパー部1bとの割合などは内容物及び内容量に応じて適当な範囲に定めることができる。ただし、図示しないが、テーパー部1bを設けず、正面視において供給口2から絞出口3までの横幅が均一である袋本体1とすることもできる。袋本体1が矩形状でも、シールの幅を一定ではなく、袋本体1の下端に向かってシール幅が大きくするなどによって、袋本体1の内面を下端に向かってテーパー状にすることもできる。
【0027】
図1の袋本体1は、両側のテーパー部1b全体に幅広シール9を設ける。チャック5とテーパー部1bとの接合部分は、幅広シール9を設けることが好ましい。通常、チャック5は、一対の表面シート1cの内側に熱圧着されるが、接着剤などで接着することもでき熱圧着以外の方法を否定するものではない。チャック5とテーパー部1b(又はサイド部1a)との接合部分は、チャック5が熱圧着される際に、厚み差による段差ができる。溶断シールの場合、チャック5が熱圧着された部分とチャック5が圧着されてない溶断シールのみの部分との境目に厚み差ができ、これがピンホールが生じる原因となり易い。そこで、チャック5とテーパー部1bとの接合部分に幅広シール9を設けることで、ピンホールによる漏れを防止しつつ、チャックを安定して固定できる。図1の袋本体1は、両側のテーパー部1b全体に幅広シール9を設ける。ただし、図示しないが、チャック5とテーパー部1bとの接合部分付近のみ幅広シール9を設けることもできる。幅広シール9の幅は、内容物及び量に応じて適切な範囲に定められるが、内容物が一般的な菓子の生地やクリームなどの場合、好ましくは、例えば2mm~15mmとする。
【0028】
図1の絞り袋100の袋本体1は、サイド部1aを溶断シール、テーパー部1bを幅広シール9とする。袋本体1は、チューブ状のプラスチックシートをカットし、テーパー部1bに幅広シール9を設けることで製造することもできる。
【0029】
袋本体1は、プラスチックシートからなるが、その素材及び厚みは、内容物の物性、内容量に応じて、さらに内容物を絞り出す際にシートに傷が入る、必要以上に伸縮して破れる、フィルムが剥離する、変色などが生じることないよう適切なものを選択する。袋本体1は、熱可塑性のプラスチック、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などフィルムを使用できる。同一または異なる素材の複数のフィルムを積層、接着することもできる。3枚以上の表面シート1cを積層するサンドイッチ構造にすることもできる。表面シート1cを内層シートと外層シートで異なるシートを使用することもできる。部分的に複数のフィルムシートを積層することもでき、また部分的に異なる素材とすることもできる。例えば、絞出口3付近に強度を向上させて開口形状を星形、ジグザグ、波形など変化を持たせることができ、口金の代用として使用し得る。袋本体1とチャック5を同じ素材又は異なる素材にできる。複数のシートを積層すること、また異なる素材を用いることで、強度を向上できる他、内容物に応じたフィルムを選択できる。外層シートに書込み印刷できる素材を用いたり、書込み印刷できるシートを挟んだり、ポケットを設けたりすることもできる。フィルムシートの厚さは、フィルムの素材、内容物や袋本体1の大きさにもよるが、例えば、好ましくは約0.04mm~0.08mmとする。
【0030】
袋本体1の大きさは、内容物や袋本体1の形状に合わせて適切に定めることができる。例えばSMLなど複数のサイズを設けることができる。例えば、好ましくは、Mサイズで横幅が15cm~25cm、縦が20cm~40cmとする。
(絞出口3)
【0031】
絞出口3は、充填した内容物を絞り出しする口であって、袋本体1の下部に設けられる。袋本体1の上端の供給口2から入れられた内容物が、チャック5が分離して開口されて、絞出口3から絞り出される。図1の絞り袋100は、下端に絞出口3が設けられ、チャック5は、絞出口3の内側に設けられる。絞出口3の開口幅は、内容物及び絞り出し量に応じて適切な範囲に定められる。内容物の粘性が高い場合は、絞出口の開口幅を広くして絞り出し易くし、内容物の粘性が低い場合は、絞出口の開口幅を狭くして絞り出し量を抑制できる。また、内容物の絞り出し量を多くしたい場合は、絞出口の開口幅を広くし、内容物を少量ずつ細く絞り出したい場合、例えばデコレートする場合は、絞出口の開口幅を狭くする。絞出口3の開口幅は、内容物が一般的な菓子の生地やクリームなどの場合、好ましくは、例えば約1cm~4cm、より好ましくは約1cm~2cmとする。
【0032】
図1に示すように、チャック5と絞出口3との間の領域を狭くすることで、内容物の残存を低減できる。さらに、袋本体1がテーパー部1bを備える場合に、絞出口3及びチャック5を配置する位置により、絞出口3の開口面積、絞り出し量を調整できる。
【0033】
ただし、チャック5が、絞出口3から内側に偏在して配置され、チャック5と絞出口3との間に一定の領域を設けることができる。すなわち、袋本体1が、チャック5の排出側に、袋本体1を構成してなるプラスチックシートからなる排出部4を設けることもできる(図1において鎖線で表示)。図1の鎖線で表示する排出部4は、テーパー部1bと同じ角度の延長線上に配置され、テーパー部1bと同様に、両側に幅広シール9が設けられている。排出部4を設けることで、絞り出し量を調整できる。例えば、袋本体1がテーパー部1bを備える場合、チャック5は一定の幅を確保しつつ、絞出口3をチャック5の幅よりも狭くすることで、絞り出し量を調整できる。また、口金を設置使用する場合には、口金がチャック5にかからないようにチャック5と絞出口3の間に一定の間隔を確保できる。なお、排出部4を設ける絞り袋100は、未使用状態で絞出口3を閉塞する離脱部8を備えない点が、後述する図3及び図4の絞り袋200とは異なる。
【0034】
絞出口3を、チャック5と平行な直線状に配置できる。図1のように、絞出口3及びチャック5のいずれもが水平に配置されている場合の他、図示しないが、絞出口3及びチャック5のいずれもが同じ傾きで斜めに配置される場合も含まれる。ただし、これに限定されることなく、チャック5と絞出口3を平行に配置しないこともできる。例えば、チャック5を水平に配置しながら、絞出口3を斜めに開口することもできる。絞出口3を斜めの開口にすることで、開口面積を大きくして絞り出し量を調整したり、絞出口3の形状をジグザグ、波形、曲線、星形など変化を持たせやすくでき、絞り袋100を斜めに持って絞り出す場合に絞出口3を絞り出す先の面に対して水平にできる。逆に、絞出口3を水平に開口しながら、チャック5を斜めに配置することもできる。チャック5を斜めに配置することで、チャック5を水平に配置する場合に比べチャック5の幅を長くでき、またチャック5に加わる内圧のかかり具合、チャック5の開口し易さを微妙に変更調整することができる。
【0035】
図1の絞出口3は、口金などの別途の部材なしに絞り袋100を使用できる。別途の部材を必要ないことで、絞り袋100を安価で提供でき、取付け及び取り外しの手間も必要ない。また、絞出口3を含めた絞り袋100全体がプラスチック製のシートで形成されるため、口金に内容物が残ることがなく、絞出口3に至るまでしごいて、最後まで内容物を絞り出すことができる。ただし、図示しないが、絞出口3の先端に、口金を設けることを排除するものではない。口金は、本体袋1の上の供給口2から入れることができる他、例えば、袋本体1の下の絞出口3側にねじ込んだり、マジックテープなどで取り付けすることもできる。口金を金属製の他、プラスチック製にすることもできる。プラスチック製にすることで、絞り袋100と共に使い捨てにできる。
(チャック5)
【0036】
チャック5は、袋本体1の絞出口3の内側に設けられる。チャック5により、絞出口3側を開放できると共に、絞出口3側を閉塞できる。チャック5が設けられていることで、内容物を入れた後に、絞出口3側を密閉でき、絞り袋100を密閉保存ができるとともに、繰り返し開閉して使用できる。したがって、例えば、開閉が頻繁に行われる場合や少量使用される場合などに適する。チャック5は、袋本体1の内圧で分離して開口し、絞出口3を開放する咬み合い構造を有する。袋本体1を押さえる、上端の供給口2側から捻り絞るなどしごくことで、内容物が入った袋本体1に内圧が加わり、チャック5の雄チャック6の凸条6aと雌チャック7の嵌合溝7aが分離してチャック5が開口されて、絞出口3が開放され、内容物が絞り出される。また、チャック5により絞出口3側を閉塞することで、絞り袋100を密封でき、外気に触れて食品など内容物がいたむことを防止できる。
【0037】
チャック5の咬み合い構造は、チャック5が分離して開口する内圧が、チャック5の内側と外側で異なり、チャック5が分離して開口する内圧が、チャック5の外側よりも内側が小さい点に特長がある。チャック5の内側とは、チャック5よりも内容物側(図2においてチャック5より上側)を示し、チャック5の外側とは、チャック5よりも絞出口3側(図2においてチャック5より下側)を示す。図2において、雄チャック6の凸条6aと雌チャック7の嵌合溝7aの形状の一例を示す。ただし、この形状に限定されるものではない。図2の雄チャック6は凸条6aを、雌チャック7は凸条が脱着自在に案内される嵌合溝7aを有する。雄チャック6の凸条6aと雌チャック7の嵌合溝7aが咬み合う形で連結される咬み合い構造となる。雄チャック6と雌チャック7が袋本体1の対向する表面シート1cの内面に配置され、一対の表面シート1cを外側から押圧して雄チャック6と雌チャック7が咬み合う形で連結され、チャック5が閉塞される。この咬み合い構造を、上下非対称にできる。この構造により、袋本体1側(内側)からの内圧でチャック5が分離して開口されるとともに、外側からは意図せず開口されて内容物がもれ出すことを防止できる。
【0038】
チャック5の咬み合い構造は、チャック5が分離して開口する嵌合強度が、チャック5の内側と外側で異なり、チャック5が分離して開口する嵌合強度が、チャック5の外側よりも内側が小さい。チャック5が袋本体1の内圧により分離して開口する嵌合強度は、絞り袋の大きさ、内容物、内容量などにより、適した範囲に定められる。チャック5が分離して開口する嵌合強度の差が、チャック5の内側と外側で、例えば、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは5倍以上とする。このような大きな嵌合強度の差があるチャック5を使用することで、一方で、内側からは、絞り袋100をしごいて内容物を絞り出し易く、他方で、外側からは、意図せずチャック5が開口されて内容物がもれ出すことを防止でき、チャック5の内側と外側の両側においてそれぞれの機能を十分に発揮できる。また、外側からはチャック5が開きにくいよう嵌合強度を大きくすることで、チャック5が確実に閉塞されたことを確認しやすいメリットもある。
【0039】
チャック5が分離して開口する嵌合強度が、チャック5の内側と外側で異なるチャック5として、例えば、出光ユニテック株式会社製の、MFB-900ツガイ、MFB-901、MFP-306Z2などを使用できる。
これ等のチャックは以下の嵌合強度となる。ただし、以下は嵌合強度は長さ50mmのチャックの嵌合強度である。
[MFB-900ツガイ]
一方の嵌合強度が12N/50mm
他方の嵌合強度が65N/50mm
一方の嵌合強度が他方の嵌合強度の1/5以下である。
[MFP-306Z2]
一方の嵌合強度が10N/50mm
他方の嵌合強度が100N/50mm
一方の嵌合強度が他方の嵌合強度の1/10である。
[MFB-901]
一方の嵌合強度が12N/50mm
他方の嵌合強度が80N/50mm
一方の嵌合強度を他方の嵌合強度の1/6以下である。
【0040】
図2が示すチャック5の咬み合い構造の拡大図において、雄チャック6の凸条6aと雌チャック7の嵌合溝7aの形状が、雄チャック6の中心線(図3において鎖線で表示)を基準に、上下非対称となる。凸条6aの出っ張りと嵌合溝7aの爪の引っ掛かりの大小で、チャック5が分離して開口される内圧が異なる。図2において、チャック5より上が袋本体1側(内側)、チャック5より下が絞出口3側(外側)を示す。凸条6aと嵌合溝7aの引っ掛かりが、チャック5より上の方が下よりも小さいことで、チャック5が分離して開口する内圧が、チャック5の外側よりも内側が小さくなる。すなわち、一方で、袋本体1を握ったり、また袋本体1上端の供給口2側から捻るまたは巻くなどして、袋本体1の内容物側(図2においてチャック5より上側)の内圧を高めることで、チャック5が分離して開口され、絞出口3から容易に内容物を抽出できる。他方で、一旦閉塞されたチャック5は、チャック5の外側(図3においてチャック5より下側)からは意図せずチャック5が開口されにくくできる。仮に絞出口3付近のシートを引っ張るなどして、チャック5の外側から凸条6aと嵌合溝7aを引き離してチャック5を分離する方向に力を加えたとしても、袋本体1の内容物側からのように容易にチャック5が分離して開口されることはない。図2は、あくまで咬み合い構造を説明するための一例を示すに過ぎず、これに限定するものではない。凸条6aと嵌合溝7aの構造、爪の形状、咬み合わせなどにより、チャック5の内側と外側とでチャック5が分離して開口する内圧の差を調整できる。さらに、図示しないが、咬み合い構造を上下対称にした上で、チャック5が分離して開口する内圧が、チャック5の内側と外側で異なり、チャック5が分離して開口する内圧が、チャック5の外側よりも内側が小さいという特長を実現すること否定するものではない。例えば、雌チャック7の嵌合溝7aの上下の爪を異なる素材、弾性力、強度にする、雄チャック6と雌チャック7の引っ掛かり、滑り具合を調整するなどの様々な方法が考えられる。
【0041】
通常、チャック付きのプラスチック袋の場合、プラスチック袋の内側と外側のチャック開閉圧に違いを設けたとしても、チャックの主たる目的は、密閉することと共に、意図せず内容物がもれ出すことを防止する点にある。そのため、プラスチック袋の内側の開口強度を外側よりも大きくして、内側から開口しにくい構造にする。また、チャック付きのプラスチック袋の内容物は多くの場合出し入れされることを前提にするため、外側からは開口し易くすることで、内容物を出し入れする際には容易にチャックを分離できる構造とする。これに対して、本発明は絞り袋100に関するものであり、チャック5は、袋本体1の絞出口3の内側、絞出口3側を閉塞する位置に設けられる。チャック5の機能としては、絞り袋100を使用する際、しごいて袋本体1の内圧を高めて、チャック5が分離して開口されて絞出口3から内容物が絞り出されると共に、絞り袋100が使用されない場合は、チャック5で絞出口3側を閉塞することにある。そこで、チャック5の咬み合い構造において、チャック5が分離して開口する内圧がチャック5の内側と外側で異なり、チャック5が分離して開口する内圧がチャック5の外側よりも内側が小さい点が、チャック付きのプラスチック袋の場合と異なる。
【0042】
図1のチャック5は、袋本体1の下端に開口される絞出口3の真上、絞出口3の内側に圧着して設けられる。チャック5の幅(図1においてチャック5の水平方向の長さ)により、チャック5が分離して開口する内圧を調整することができる。例えば、チャック5の幅が狭いことでチャック5の咬み合いに加わる単位面積当たりの内圧が大きくなり、逆に、チャック5の幅が広いことで雄チャック6の凸条6aと雌チャック7の嵌合溝7aの咬み合いが長くなる。凸条6aと嵌合溝7aの爪の引っ掛かりの大小や形状と合わせて、チャック5の幅によりチャック5が分離して開口する内圧を調整できる。図1のように、袋本体1が、下方に向かって横幅が小さくなるテーパー部1bを有する場合、チャック5を配置する位置によりチャック5の幅を調整できる。
【0043】
図1に示すように、チャック5の幅は、チャック5が設けられる位置の両側のテーパー部1bの間隔を最大にできる。図示しないが、チャック5を、テーパー部1bの間隔の一部に設けることで、チャック5の幅をテーパー部1bの間隔より狭くできる。また、チャック5の間にシール部分などチャック5の存在しない部分を設けることで、チャック5を横に並べて複数設けることもできる。各々のチャック5の幅を狭くすることで、1つのチャック5から絞り出される内容物を少量に調整できる。また、チャック5の幅を狭くすることは、チャック5を閉塞し易い、閉塞状態を確認しやすい、密閉状態にし易いなどのメリットもある。チャック5の材質は、表面シート1cと同じ、もしくは異なるものにできる。
【0044】
図示しないが、チャック5を上下に並べて2重に配置(ダブルチャック)することもできる。例えば、いずれか一方又は双方のチャック5が分離される内圧を小さくしたり、一方のチャック5が開口される内圧を他方よりも小さくしたり、チャック5が分離して開口される内圧を調整できる。また、チャック5が上下に並べて配置されることで、より確実に密閉状態にでき、一方が不意に開口されても二重構造により内容物が漏れない、内容物が外気に触れることを防止できる。
【0045】
以上の絞り袋100は、以下のように使用する。まず、絞り袋100の上端の供給口2から内容物を入れる。次に、絞り袋100内の空気を抜きつつ、絞り袋100の上部を捻る、巻くなどにより、絞り袋100の上部を密閉させる。そして、絞り袋100を握るなどしごいていくことで、絞り袋100の内圧を高め、チャック5を分離させて開口し、絞出口3から内容物を絞り出すことができる。絞り袋100のチャック5を閉じる場合は、まず内容物の絞り出しを止めて、次に、チャック5を挟む両側の表面シート1cの外側を、雄チャック6の凸条6aが雌チャック7の嵌合溝7aに嵌合するよう案内しながら押圧する。
[実施形態2]
【0046】
本発明の実施形態2にかかる絞り袋200を、図3及び図4に示す。本発明に係る絞り袋の一例として、図3は本発明の実施形態2に係る絞り袋200の概略正面図を、図4図3の絞り袋200の絞出口3を開口する状態を示す概略斜視図を、それぞれ示す。
(絞り袋200)
【0047】
図3に示す絞り袋200は、未使用状態で絞出口3を閉塞する離脱部8を備え、絞り袋200を使用する際に離脱部8を分離して、絞出口3を開口させるよう構成してなる。
(離脱部8)
【0048】
離脱部8は、絞り袋200の未使用状態で、絞出口3を閉塞する。図3の絞り袋200は、離脱部8が、袋本体1と一体に形成されてなる。図3に示すように、絞り袋200は、使用時に、離脱部8を分離して、絞出口3を開口させるよう構成してなる。離脱部8が、袋本体1と一体に形成され、絞り袋200の未使用状態において、離脱部8が絞出口3を閉塞することで、密閉された状態で絞出口3及び袋本体1内を清潔に保て、衛生上好ましい。離脱部8が分離されてない未使用状態においては、絞出口3は露出もされていない。使用者が絞り袋を使用する際に、離脱部8を切り外し分離することで、プラスチックシートが破断され、絞出口3が開口される。使用者が離脱部8を分離する位置、すなわち絞出口3の開口位置を決めることができる。離脱部8を分離する位置により、絞出口3の開口面積を調整できる。
【0049】
離脱部8の分離方法は、例えば、ハサミ、カッターなど道具を使用して切り取る他、手で切り離すこともできる。図3に示すように、テーパー部1bに設けられた切り欠け部10をきっかけに切り外すことができる他、目安線を表示する、溝や点線で僅かな切り込みを設ける、分離される部分とその周辺を含めテーパー部1b及びプラスチックシートを切り取り分離され易い素材とすることなど様々な工夫が可能である。いずれにしても、離脱部8を分離して開口される絞出口3は、内容物が絞り出される排出口になるため、衛生上の配慮が不可欠である。
【0050】
図3の絞り袋200は、未使用状態で絞出口3を閉塞する離脱部8を備える。また、図4の絞り袋200は、チャック5と絞出口3との間に一定の領域を設けることで、チャックの排出側に排出部4を有する。排出部4は、袋本体を構成してなるプラスチックシートからなる。図3及び図4の絞り袋200の排出部4及び離脱部8は、袋本体1の下部、チャック5より下の部分であり、下方において離脱部8により密閉された密閉領域となる。図3の排出部4及び離脱部8は、チャック5と、幅広シール9とされた両側のテーパー部1bに囲まれてなる。図4に示すように、密閉領域をカットして、離脱部8を分離することで、袋本体1の下端に絞出口3が開口される。袋本体1の上端の供給口2から入れられた内容物が、袋本体1の内圧によりチャック5が分離して開口されることで、絞出口3から絞り出される状態となる。
【0051】
図3の絞り袋200は、離脱部8を分離する位置により、絞出口3の開口面積を調整できる。絞り袋200は、絞り袋100と同様に、袋本体1がテーパー部1bを備えることで、チャック5は一定の幅を確保しつつ、絞出口3をチャック5の幅よりも狭くすることで、絞り出し量を調整することもできる。ただし、図示しないが、チャック5の真下をカットして分離する場合、チャック5の排出側、つまりチャック5より下の部分を全て離脱部8とすることもでき、チャック5の排出側に残存物が残ることを低減できる。この場合においても、下方に向かって横幅が小さくなるテーパー状である限り、チャック5の位置自体を変更することで絞出口3の開口面積を調整できる。
【0052】
以上の絞り袋200は、以下のようにして使用する。図3の絞り袋200は離脱部8を備える。絞り袋200は、絞出口3を未開口の状態で内容物を充填できる。絞り袋200は、内容物が充填されつつ、供給口2がシールされ閉塞したものを製品として販売する用途に使用できる。この場合、絞出口3を未開口とするので、使用前に不意にチャックが開いても内容物は排出されないメリットがある。図4に示すように、使用時に、離脱部8を切り外して絞出口3を開口して、初めて内容物が排出可能となる。また、絞り袋200の下部の離脱部8を切り外し分離して、絞り袋200の下端に絞出口3を開口した上で、絞り袋200の上端の供給口2から内容物を充填することもできる。以下絞り袋100と同様に、絞り袋200内の空気を抜きつつ、絞り袋200の上部を捻る、巻くなどにより、絞り袋200の上部を密閉させる。そして、絞り袋200を握るなどしごいていくことで、絞り袋200の内圧を高め、チャック5を分離させて開口し、絞出口3から内容物を絞り出すことができる。絞り袋200のチャック5を閉じる場合も、絞り袋100と同様である。
[実施形態3~6]
【0053】
以上の実施形態2に係る絞り袋200では、袋本体1がサイド部1a及びテーパー部1bを両側に有するホームベース型で、排出部4がテーパー部1bの延長線上に形成され、テーパー部1bの両側に幅広シール9が設けられ、未使用状態で絞出口3を閉塞する離脱部8を備えた例を説明した。ただ本発明は、袋本体1及び排出部4(以下において、離脱部8を備える場合と備えない場合の両方を含む)の形状、シールの方法及び場所を、図3で示す例に限定する趣旨ではなく、様々な形状、異なるシール、その組合せとすることができる。例えば、袋本体1に、供給口2に対して垂直方向に下方に伸びるサイド部1aを設けることも、サイド部1aを設けずテーパー部1bのみで構成することもできる。袋本体1は、その外形の形状に関わらず、一定の幅の収納空間を確保できるものであれば、内容物を収納できる。サイド部1aの長さ、テーパー部1bの長さ、テーパー部1bの傾き(角度)、サイド部1aとテーパー部1bとの割合などを内容物や量に応じて設定できる。テーパー部1bのみで構成される場合も、正面視において二等辺三角形型、正三角形型などが考えられる。また、排出部4をテーパー部1bと同じ角度の延長線上とすることができ、排出部4をテーパー部1bと同じ角度の延長線上にしないこともできる。さらに、袋本体1、排出部4のいずれか又は双方の形状を、正面図において、供給口2の中点を通る上下に引かれた袋本体1の中心線を基準として、左右対称にできる他、同中心線を基準として左右非対称にすることもできる。例えば、図示しないが、正面視において辺の長さの異なる三角形、片側のサイド部を底辺、供給口2を高さとする直角三角形型や、一方のサイド部を下底、他方のサイド部を上底、供給口2を高さとする台形型などにできる。さらには、袋本体1のサイド部1a、テーパー部1b、排出部4のいずれかまたは全てを、直線に限らず、曲線や不整形などにできる。動物やアニメのキャラクターなどの形状を模すこともできる。購入者層が子供や女性の場合、機能的な面だけでなく、外形的な見た目も製品の販売戦略において重要な要素となり得る。絞り袋の形状の例を以下に示す。
【0054】
袋本体1及び排出部4の形状、またシールのバリエーションの例として、実施形態3~5に係る絞り袋300、400、500、600として、図5図8にそれぞれ示す。これらの図において、図5は実施形態3に係る絞り袋300、図6は実施形態4に係る絞り袋400、図7は実施形態5に係る絞り袋500を、図8は実施形態6に係る絞り袋600を、それぞれ示している。
【0055】
図5に示す例において、実施形態3に係る絞り袋300は、袋本体1及び排出部4の形状は図3と同様であるが、幅広シール9をテーパー部1bのみならず、サイド部1aの両側にも設けている。絞り袋300が、供給口2を除く表面シート1cの連結部分の全てを幅広シール9にすることで、連結部分の強度を高めることができる。絞り袋300を繰り返し折り曲げる、しごくなどしても、折り曲げが原因で表面シート1cの連結部分に傷が生じるおそれを減少できる。
【0056】
図6に示す例において、実施形態4に係る絞り袋400は、チャック5より上部の袋本体1の形状は図3と同様にホームベース型を形成するが、排出部4の形状が正面視において四角形である。絞り袋400は、排出部4が正面視において四角形であることで、チャック5の幅と同じ絞出口3の開口幅を確保でき、図3と比較して大きな開口により、内容物を多く絞り出すことができる。多量の内容物を絞り出す用途に適する。排出部4の形状は、正面視において長方形または正方形とすることができる。図示しないが、排出部4は正面視における形状を、テーパー部1bと異なる傾斜角を有する等脚台形状とすることもできる。図6に示す絞り袋400は、幅広シール9をテーパー部1b及び排出部4に設けるが、さらにサイド部1aにも幅広シール9を設けることができる。図6の絞り袋400は、未使用状態で絞出口3を閉塞する離脱部8を備える。ただし、図示しないが、排出部4の両側にのみ幅広シール9を設けることで、未使用状態で絞出口3を閉塞する離脱部8を備えないこともできる。
【0057】
図7に示す例において、実施形態5に係る絞り袋500は、サイド部1aを設けずテーパー部1bのみで構成され、袋本体1及び排出部4を合わせた形状が正面視において三角形型である。袋本体1及び排出部4を合わせた絞り袋500自体の形状が三角形であることで、図3にあるサイド部1aとテーパー部1bのと角ができず、その部分に内容物が残ることがなく、またその部分に内圧が集中することもない。図7に示す絞り袋500は、幅広シール9をテーパー部1b及び排出部4の両側に設ける。ただし、図8の絞り袋600に示すように、テーパー部1b及び排出部4の両側に幅広シール9を設けないこともできる。テーパー部1b及び排出部4の両側を溶断シールで連結できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の絞り袋は、チャックで絞出口を閉塞でき、袋本体の内圧でチャックが分離して開口でき、かつ、袋本体の外側からは開口しにくい絞り袋を提供できる。
【符号の説明】
【0059】
100、200、300、400、500、600…絞り袋
1…袋本体
1a…サイド部
1b…テーパー部
1c…表面シート
2…供給口
3…絞出口
4…排出部
5…チャック
6…雄チャック
6a…凸条
7…雌チャック
7a…嵌合溝
8…離脱部
9…幅広シール
10…切り欠け部
900…絞り袋
901…開口用ファスナー
902…泡立て部
903…仕切り用ファスナー
904…絞り出し部
905…絞り口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9