(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044948
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】熱交換器および排煙処理装置
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20220311BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20220311BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
F23J15/00 F
F28F21/08 F
F28F9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150356
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】徳重 信
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇雄
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 研治
(72)【発明者】
【氏名】仮屋 英治
(72)【発明者】
【氏名】荒若 宏人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 輝
(72)【発明者】
【氏名】平山 涼介
(72)【発明者】
【氏名】三坂 環奈
【テーマコード(参考)】
3K070
3L065
【Fターム(参考)】
3K070DA04
3K070DA48
3K070DA53
3K070DA58
3L065FA19
(57)【要約】
【課題】熱交換器および排煙処理装置において、伝熱管における腐食の発生を抑制することで耐久性の向上を図る。
【解決手段】排ガス通路に排ガスの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管を有する第1熱交換部と、第1熱交換部より排ガスの流れ方向の上流側の排ガス通路に排ガスの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管を有する第2熱交換部と、第1伝熱管における排ガスの流れ方向における下流側の端部に熱媒体を供給する第1供給ラインと、第1伝熱管における排ガスの流れ方向における上流側の端部から第2伝熱管における排ガスの流れ方向における上流側の端部に熱媒体を供給する第2供給ラインと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス通路に排ガスの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管を有する第1熱交換部と、
前記第1熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管を有する第2熱交換部と、
前記第1伝熱管における前記排ガスの流れ方向における下流側の端部に熱媒体を供給する第1供給ラインと、
前記第1伝熱管における前記排ガスの流れ方向における上流側の端部から前記第2伝熱管における前記排ガスの流れ方向における上流側の端部に前記熱媒体を供給する第2供給ラインと、
を備える熱交換器。
【請求項2】
前記第1供給ラインは、熱回収された前記熱媒体を直接前記第1伝熱管に供給する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第2熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第3伝熱管を有する第3熱交換部を有し、前記第1供給ラインは、前記第3伝熱管から前記第1伝熱管に前記熱媒体を供給する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
熱回収された前記熱媒体を直接前記第3伝熱管における前記排ガスの流れ方向における上流側の端部に供給する第3供給ラインを有し、前記第1供給ラインは、前記第3伝熱管における前記排ガスの流れ方向における下流側の端部から前記第1伝熱管に前記熱媒体を供給する、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第3伝熱管は、ステンレス鋼により形成される、
請求項3または請求項4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、
熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、
集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、
脱硫後の前記排ガスを再加熱する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱交換器が適用される再加熱器と、
を備える排煙処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排煙処理装置などで使用される熱交換器、熱交換器を備える排煙処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備などに設けられる排煙処理装置は、熱回収装置と、電気集塵装置と、脱硫装置と、再加熱装置などから構成される。排煙処理装置にて、ボイラから排出される排ガスは、電気集塵装置により含有するばいじんが除去され、脱硫装置により含有する亜硫酸ガスが除去される。このとき、熱回収装置は、排ガスから熱を回収する。再加熱装置は、熱回収装置が回収した熱により脱硫後の排ガスを再加熱し、白煙の排出を抑制する。
【0003】
再加熱装置は、排ガス通路に配置される複数の伝熱管を有する。再加熱装置は、複数の伝熱管内に高温の熱媒体を流動させ、熱媒体と排ガス通路を流れる排ガスとの間で熱交換することで、排ガスを加熱して昇温する。再加熱装置は、完全向流方式として、排ガス通路を流れる排ガスの流れ方向に対向するように、伝熱管内に熱媒体を流動させる。すなわち、排ガス通路を流れる排ガスの流れ方向と、伝熱管内を流れる熱媒体の流れ方向とを逆方向にすることで、温度差を最も効率良く利用して熱交換を行う。
【0004】
ところが、再加熱装置に流入する排ガスは、腐食性不純物含有ミストが含まれる。そのため、再加熱装置の入口側に配置される伝熱管は、腐食性不純物含有ミストの付着と蒸発の事象が繰り返し生じている。すると、伝熱管に対して、腐食性不純物の濃縮と乾湿が繰り返し行われることで、早期腐食してしまうおそれがある。このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された熱交換器は、高温予熱向流方式であって、高温加熱部および低温加熱部より排ガスの流れ方向の上流側に予熱部を設けることで、再加熱装置の入口側における排ガスの温度を上昇させ、伝熱管の早期腐食を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の再加熱装置は、排ガスの流れ方向に沿って予熱部、低温加熱部、高温加熱部の順に配置し、熱媒体を予熱部、高温加熱部、低温加熱部の順に流動させる。すなわち、排ガスの流れ方向に対する熱媒体の流れ方向は、予熱部で同方向、高温加熱部および低温加熱部で逆方向となる。そのため、熱交換効率が低下してしまう。また、予熱部に隣接する低温加熱部の伝熱管は、最も低温の熱媒体が流れることとなり、伝熱管の腐食が発生しやすいという課題がある。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、伝熱管における腐食の発生を抑制することで耐久性の向上を図る熱交換器および排煙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の熱交換器は、排ガス通路に排ガスの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管を有する第1熱交換部と、前記第1熱交換部より前記排ガスの流れ方向の上流側の前記排ガス通路に前記排ガスの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管を有する第2熱交換部と、前記第1伝熱管における前記排ガスの流れ方向における下流側の端部に熱媒体を供給する第1供給ラインと、前記第1伝熱管における前記排ガスの流れ方向における上流側の端部から前記第2伝熱管における前記排ガスの流れ方向における上流側の端部に前記熱媒体を供給する第2供給ラインと、を備える。
【0009】
また、本開示の排煙処理装置は、排ガスの熱の一部を回収する熱回収装置と、熱回収後の前記排ガスに含まれるばいじんを除去する集塵装置と、集塵後の前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、脱硫後の前記排ガスを再加熱する前記熱交換器が適用される再加熱器と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の熱交換器および排煙処理装置によれば、伝熱管における腐食の発生を抑制することで耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の熱交換器としての再加熱装置を表す概略構成図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態の熱交換器としての再加熱装置を表す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0013】
<第1実施形態>
[排煙処理装置]
図1は、第1実施形態の排煙処理装置を表す概略構成図である。
【0014】
第1実施形態において、
図1に示すように、排煙処理装置100は、各種の発電プラントや工場などにて、ボイラ111から排出される排ガス(排煙)Gが煙突112から放出される過程で、排ガスGに含まれるばいじんや硫黄酸化物(SOx)を除去するものである。
【0015】
排煙処理装置100は、熱回収装置101と、電気集塵装置102と、送風装置(誘引通風機)103と、脱硫装置104と、再加熱装置105と、送風装置(脱硫通風機)106とを備える。送風装置103,106が駆動することで、ボイラ111から排出される排ガスGは、熱回収装置101、電気集塵装置102、脱硫装置104、再加熱装置105を通って煙突112に送られる。なお、熱回収装置101の上流側に脱硝装置を設けてもよい。
【0016】
ボイラ111は、2つの排ガス通路121a,121bが設けられる。排ガス通路121aは、熱回収装置101aと電気集塵装置102aと送風装置103aが設けられ、排ガス通路121bは、熱回収装置101bと電気集塵装置102bと送風装置103bが設けられる。2つの排ガス通路121a,121bは、下流側が排ガス通路121cに合流する。排ガス通路121cは、脱硫装置104と再加熱装置105が設けられる。排ガス通路121cは、下流側が2つの排ガス通路121d,121eに分岐する。排ガス通路121dは、送風装置106aが設けられ、排ガス通路121eは、送風装置106bが設けられる。2つの排ガス通路121d,121eは、下流側が排ガス通路121fに合流する。排ガス通路121fは、煙突112に連結される。また、排ガス通路121cにおける脱硫装置104の上流側と排ガス通路121fとを連結する排ガス通路121gが設けられる。排ガス通路121gは、開閉弁122が設けられる。
【0017】
熱回収装置101(101a,101b)は、ボイラ111から排出された排ガスG(例えば、約140℃)と熱媒体(水や蒸気など)との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱回収装置101で熱回収された排ガスG(例えば、約90℃)は、電気集塵装置102(102a,102b)に導入される。電気集塵装置102は、排ガスGからばいじんを除去する。
【0018】
電気集塵装置102でばいじんが除去された排ガスGは、脱硫装置104に導入される。脱硫装置104は、石灰石(CaCO3)により、排ガスG中の硫黄酸化物を吸収除去し、副生成物として石膏(CaSO4.2H2O)を生成する。脱硫装置104は、ミストエリミネータ123を有する。ミストエリミネータ123は、脱硫後の排ガスGからミストを除去する。
【0019】
脱硫装置104により脱硫処理された排ガスG(例えば、約50℃)は、ガスガスヒータの再加熱装置105に導入される。再加熱装置105は、熱回収装置101との間で熱媒体を循環する過程で、熱回収装置101により回収された熱により排ガスGを再加熱する。熱回収装置101と再加熱装置105とは、第1熱媒体循環ラインL11および第2熱媒体循環ラインL12により連結される。第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131が設けられる。循環ポンプ131を駆動することで、再加熱装置105の熱媒体を第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に戻す。第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。循環ポンプ131により熱回収装置101の熱媒体を第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に供給する。この過程で、必要に応じてヒータ132を作動することで、熱媒体を加熱する。
【0020】
排ガスGは、脱硫装置104で脱硫処理されることで温度が低下し、低温のままでは拡散しにくく白煙になるおそれがある。再加熱装置105は、拡散および白煙低減を目的として排ガスGを再加熱することで昇温(例えば、約90℃)させ、煙突112から大気に放出する。
【0021】
[再加熱装置の構成]
図2は、第1実施形態の熱交換器としての再加熱装置を表す概略構成図である。第1実施形態では、本発明の熱交換器を、上述した排煙処理装置100における再加熱装置105に適用して説明する。
【0022】
図2に示すように、再加熱装置105は、中温予熱方式の熱交換器である。再加熱装置105は、高温加熱部(第1熱交換部)11と、低温加熱部(第2熱交換部)12とを備える。高温加熱部11および低温加熱部12は、排ガス通路121cに配置される。
【0023】
高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21を有する。第1伝熱管21は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部21aが第1ヘッダ22に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部21bが第2ヘッダ23に連結される。
【0024】
低温加熱部12は、高温加熱部11より排ガスGの流れ方向の上流側に配置される。低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31を有する。第2伝熱管31は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部31aが第1ヘッダ32に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部31bが第2ヘッダ33に連結される。
【0025】
第2熱媒体循環ライン(第1供給ライン)L12は、下流側の端部が高温加熱部11の第1ヘッダ22に接続される。接続ライン(第2供給ライン)L21は、一端部が高温加熱部11の第2ヘッダ23に接続され、他端部が低温加熱部12の第2ヘッダ33に接続される。第1熱媒体循環ラインL11は、上流側の端部が低温加熱部12の第1ヘッダ32に接続される。
【0026】
また、第1熱媒体循環ラインL11は、循環ポンプ131とドレンタンク133が設けられ、第2熱媒体循環ラインL12は、ヒータ132が設けられる。そして、蒸気供給源(図示略)からヒータ132、ドレンタンク133に対して蒸気ラインL13が設けられ、ドレンタンク133に蒸気ドレンラインL14が設けられる。そして、蒸気ラインL13は、開閉弁134が設けられる。
【0027】
そのため、熱回収された高温の熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から直接高温加熱部11の第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向における下流側の端部21aに供給される。第1伝熱管21の熱媒体は、排ガスGの流れ方向における上流側の端部21bから接続ラインL21により低温加熱部12の第2伝熱管31における排ガスGの流れ方向における上流側の端部31bに供給される。第2伝熱管31の熱媒体は、第1熱媒体循環ラインL11に排出される。
【0028】
[再加熱装置の作動]
熱回収装置101(101a,101b)は、排ガスG(例えば、約140℃)と熱媒体(例えば、約80℃)との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱が回収された排ガスG(例えば、約90℃)は、電気集塵装置102および脱硫装置104(いずれも、
図1参照)を通って再加熱装置105に流れる。一方、熱を回収した熱媒体(例えば、約120℃)は、第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105に送られる。
【0029】
再加熱装置105にて、熱媒体(例えば、約120℃)は、第2熱媒体循環ラインL12から直接高温加熱部11の第1ヘッダ22に導入され、複数の第1伝熱管21の端部21aに供給される。高温加熱部11は、熱媒体が端部21aから端部21bに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。このとき、熱媒体の流れ方向は、排ガスGの流れ方向と逆方向になる。
【0030】
高温加熱部11で熱交換した熱媒体(例えば、約90℃)は、第1伝熱管21から第2ヘッダ23に排出される。第2ヘッダ23に排出された熱媒体は、接続ラインL21により低温加熱部12の第2ヘッダ33から複数の第2伝熱管31の端部31bに供給される。低温加熱部12は、熱媒体が端部31bから端部31aに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。このとき、熱媒体の流れ方向は、排ガスGの流れ方向と同方向になる。
【0031】
高温加熱部11で熱交換した熱媒体は、接続ラインL21により低温加熱部12の第2ヘッダ33に供給され、複数の第2伝熱管31における排ガスGの上流の端部31bに供給される。そして、熱媒体は、複数の第2伝熱管31を排ガスGの流れ方向と同方向に流れる。そのため、低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する第2伝熱管31の温度が上昇しやすくなり、排ガスGに同伴する腐食性不純物含有ミストの蒸発が促進される。すると、第2伝熱管31への腐食性不純物の付着が抑制され、早期腐食が抑制される。
【0032】
その後、低温加熱部12で熱交換した熱媒体(例えば、約80℃)は、第2伝熱管31から第1ヘッダ32に排出される。再加熱装置105で加熱された排ガスG(例えば、約90℃)は、煙突112(
図1参照)で処理される。一方、熱を放出した熱媒体(例えば、約80℃)は、第1ヘッダ32から第1熱媒体循環ラインL11に排出され、第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に送られる。
【0033】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の熱交換器としての再加熱装置を表す概略構成図である。第2実施形態では、本発明の熱交換器を、上述した排煙処理装置100に適用して説明する。
【0034】
[再加熱装置の構成]
図3に示すように、再加熱装置105Aは、高温予熱並流方式の熱交換器である。再加熱装置105Aは、高温加熱部(第1熱交換部)11と、低温加熱部(第2熱交換部)12、高温予熱部(第3熱交換部)13とを備える。高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13は、排ガス通路121cに配置される。
【0035】
高温加熱部11は、複数の第1伝熱管21を有する。第1伝熱管21は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第1伝熱管21は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部21aが第1ヘッダ22に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部21bが第2ヘッダ23に連結される。
【0036】
低温加熱部12は、高温加熱部11より排ガスGの流れ方向の上流側に配置される。低温加熱部12は、複数の第2伝熱管31を有する。第2伝熱管31は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第2伝熱管31は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部31aが第1ヘッダ32に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部31bが第2ヘッダ33に連結される。
【0037】
高温予熱部13は、低温加熱部12より排ガスGの流れ方向の上流側に配置される。高温予熱部13は、複数の第3伝熱管41を有する。第3伝熱管41は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される。第3伝熱管41は、排ガスGの流れ方向の下流側に位置する端部41aが第1ヘッダ42に連結され、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する端部41bが第2ヘッダ43に連結される。
【0038】
第2熱媒体循環ライン(第3供給ライン)L12は、下流側の端部が高温予熱部13の第2ヘッダ43に接続される。接続ライン(第3供給ライン)L22は、一端部が高温予熱部13の第1ヘッダ42に接続され、他端部が高温加熱部11の第1ヘッダ22に接続される。接続ライン(第2供給ライン)L21は、一端部が高温加熱部11の第2ヘッダ23に接続され、他端部が低温加熱部12の第2ヘッダ33に接続される。第1熱媒体循環ラインL11は、上流側の端部が低温加熱部12の第1ヘッダ32に接続される。
【0039】
上述したように、高温加熱部11は、第1伝熱管21を有し、低温加熱部12は、第2伝熱管31を有し、高温予熱部13は、第3伝熱管41を有する。ここで、第1伝熱管21と第2伝熱管31と第3伝熱管41は、円筒管の外周面にらせん形状をなすフィンが固定されたフィンチューブであるが、フィンがらせん形状をなすフィンチューブに限定されるものではなく、また、フィンのないチューブであってもよい。そして、第1伝熱管21および第2伝熱管31は、炭素鋼(耐硫酸鋼)で製作することが好ましく、第3伝熱管41は、ステンレス鋼で製作することが好ましい。すなわち、ステンレスは、伝熱性能が良くないものの、耐食性に優れており、更なる耐食性向上を図る必要がある場合には、ステンレス鋼が好ましい。
【0040】
そのため、熱回収された高温の熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から直接高温予熱部13の第3伝熱管41における排ガスGの流れ方向における上流側の端部41bに供給される。第3伝熱管41の熱媒体は、排ガスGの流れ方向における下流側の端部41aから接続ラインL22により高温加熱部11の第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向における下流側の端部21aに供給される。第1伝熱管21の熱媒体は、排ガスGの流れ方向における上流側の端部21bから接続ラインL21により低温加熱部12の第2伝熱管31における排ガスGの流れ方向における上流側の端部31bに供給される。第2伝熱管31の熱媒体は、第1熱媒体循環ラインL11に排出される。
【0041】
[再加熱装置の作動]
熱回収装置101(101a,101b)は、排ガスG(例えば、約140℃)と熱媒体(例えば、約80℃)との間で熱交換することで、排ガスGから熱を回収する。熱が回収された排ガスG(例えば、約90℃)は、電気集塵装置102および脱硫装置104(いずれる
図1参照)を通って再加熱装置105Aに流れる。一方、熱を回収した熱媒体(例えば、約120℃)は、第2熱媒体循環ラインL12により再加熱装置105Aに送られる。
【0042】
再加熱装置105Aにて、熱媒体(例えば、約120℃)は、第2熱媒体循環ラインL12から直接高温予熱部13の第2ヘッダ43に導入され、複数の第3伝熱管41の端部41bに供給される。高温予熱部13は、熱媒体が端部41bから端部41aに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。このとき、熱媒体の流れ方向は、排ガスGの流れ方向と同方向になる。
【0043】
熱回収装置101で熱回収された熱媒体は、第2熱媒体循環ラインL12から直接高温予熱部13の第2ヘッダ43に供給され、複数の第3伝熱管41における排ガスGの上流の端部41bに供給される。そして、熱媒体は、排ガスGの流れ方向と同方向に流れる。そのため、高温予熱部13は、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する第3伝熱管41の温度が上昇しやすくなり、排ガスGに同伴する腐食性不純物含有ミストの蒸発が促進される。すると、第3伝熱管41への腐食性不純物の付着が抑制され、早期腐食が抑制される。
【0044】
高温予熱部13で熱交換した熱媒体(例えば、約110℃)は、第3伝熱管41から第1ヘッダ42に排出される。第1ヘッダ42に排出された熱媒体は、接続ラインL22により高温加熱部11の第1ヘッダ22から複数の第1伝熱管21の端部21aに供給される。高温加熱部11は、熱媒体が端部21aから端部21bに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。このとき、熱媒体の流れ方向は、排ガスGの流れ方向と逆方向になる。
【0045】
高温加熱部11で熱交換した熱媒体(例えば、約95℃)は、第1伝熱管21から第2ヘッダ23に排出される。第2ヘッダ23に排出された熱媒体は、接続ラインL21により低温加熱部12の第2ヘッダ33から複数の第2伝熱管31の端部31bに供給される。低温加熱部12は、熱媒体が端部31bから端部31aに流れるとき、排ガス通路121cを流れる排ガスGとの間で熱交換することで、排ガスGを加熱する。このとき、熱媒体の流れ方向は、排ガスGの流れ方向と同方向になる。
【0046】
高温加熱部11で熱交換した熱媒体は、接続ラインL21により低温加熱部12の第2ヘッダ33に供給され、複数の第2伝熱管31における排ガスGの上流側の端部31bに供給される。そして、熱媒体は、排ガスGの流れ方向と同方向に流れる。そのため、低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する第2伝熱管31の温度が上昇しやすくなり、排ガスGに同伴する腐食性不純物含有ミストの蒸発が促進される。すると、第2伝熱管31への腐食性不純物の付着が抑制され、早期腐食が抑制される。
【0047】
その後、低温加熱部12で熱交換した熱媒体(例えば、約80℃)は、第2伝熱管31から第1ヘッダ32に排出される。熱を放出した熱媒体(例えば、約80℃)は、第1ヘッダ32から第1熱媒体循環ラインL11に排出され、第1熱媒体循環ラインL11により熱回収装置101に送られる。一方、再加熱装置105Aで加熱された排ガスG(例えば、約90℃)は、煙突112(
図1参照)で処理される。
【0048】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る熱交換器は、排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される第1伝熱管21を有する高温加熱部(第1熱交換部)11と、高温加熱部11より排ガスGの流れ方向の上流側の排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される第2伝熱管31を有する低温加熱部(第2熱交換部)12と、第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向における下流側の端部21aに熱媒体を供給する第2熱媒体循環ラインL12または接続ラインL22(第1供給ライン)と、第1伝熱管21における排ガスGの流れ方向における上流側の端部21bから第2伝熱管31における排ガスGの流れ方向における上流側の端部31bに熱媒体を供給する接続ライン(第2供給ライン)L21とを備える。
【0049】
第1の態様に係る熱交換器は、高温の熱媒体が第2伝熱管31における排ガスGの流れ方向における上流側の端部31bに供給され、複数の第2伝熱管31を排ガスGの流れ方向と同方向に流れる。そのため、低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する第2伝熱管31の温度が上昇しやすくなり、排ガスGに同伴する腐食性不純物含有ミストの蒸発が促進される。その結果、第2伝熱管31への腐食性不純物の付着が抑制され、第2伝熱管31における腐食の発生を抑制することで耐久性の向上を図ることができる。
【0050】
第2の態様に係る熱交換器は、第2熱媒体循環ラインL12は、熱回収された熱媒体を直接第1伝熱管21に供給する。これにより、高温加熱部11により排ガスを効率良く再加熱することができる。
【0051】
第3の態様に係る熱交換器は、低温加熱部12より排ガスGの流れ方向の上流側の排ガス通路121cに排ガスGの流れ方向に沿って配置される第3伝熱管41を有する高温予熱部(第3熱交換部)13を有し、接続ラインL22は、第3伝熱管41から第1伝熱管21に熱媒体を供給する。これにより、高温の熱媒体を高温加熱部11に供給することができ、高温加熱部11により排ガスを効率良く再加熱することができる。
【0052】
第4の態様に係る熱交換器は、熱回収された熱媒体を第2熱媒体循環ラインL12(第3供給ライン)により直接第3伝熱管41における排ガスGの流れ方向における上流側の端部41bに供給し、接続ラインL22は、第3伝熱管41における排ガスGの流れ方向における下流側の端部41aから第1伝熱管21に熱媒体を供給する。これにより、高温の熱媒体が第3伝熱管41における排ガスGの流れ方向における上流側の端部41bに供給され、複数の第3伝熱管41を排ガスGの流れ方向と同方向に流れる。そのため、高温予熱部13は、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する第3伝熱管41の温度が上昇しやすくなり、第2伝熱管31への腐食性不純物の付着が抑制される。
【0053】
第5の態様に係る熱交換器は、第3伝熱管41は、ステンレス鋼により形成される。これにより、第3伝熱管41の腐食を抑制して耐久性の向上を図ることができる。
【0054】
第6の態様に係る排煙処理装置は、排ガスGの熱の一部を回収する熱回収装置101と、熱回収後の排ガスGに含まれるばいじんを除去する電気集塵装置102と、集塵後の排ガスGに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫装置104と、脱硫後の排ガスGを再加熱する再加熱装置105とを備える。これにより、再加熱装置105にて、低温加熱部12は、排ガスGの流れ方向の上流側に位置する第2伝熱管31の温度が上昇しやすくなり、排ガスGに同伴する腐食性不純物含有ミストの蒸発が促進される。その結果、第2伝熱管31への腐食性不純物の付着が抑制され、第2伝熱管31における腐食の発生を抑制することで耐久性の向上を図ることができる。
【0055】
なお、上述した実施形態にて、再加熱装置105は、高温加熱部11と低温加熱部12を備え、再加熱装置105Aは、高温加熱部11と低温加熱部12と高温予熱部13を備える。この場合、第1伝熱管21、第2伝熱管31、第3伝熱管41の長さや本数は、使用形態に応じて適宜設定すればよいものである。
【0056】
また、上述した実施形態では、本発明の熱交換器を排煙処理装置100の再加熱装置105に適用して説明したが、別の熱交換装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
11 高温加熱部(第1熱交換部)
12 低温加熱部(第2熱交換部)
13 高温予熱部(第3熱交換部)
21 第1伝熱管
21a,21b 端部
22 第1ヘッダ
23 第2ヘッダ
31 第2伝熱管
31a,31b 端部
32 第1ヘッダ
33 第2ヘッダ
41 第3伝熱管
41a,41b 端部
42 第1ヘッダ
43 第2ヘッダ
100 排煙処理装置
101,101a,101b 熱回収装置
102,102a,102b 電気集塵装置
103,103a,103b 送風装置
104 脱硫装置
105,105A 再加熱装置(熱交換器)
106,106a,106b 送風装置
111 ボイラ
112 煙突
121a,121b,121c,121d,121e,121f,121g 排ガス通路
122 開閉弁
123 ミストエリミネータ
131 循環ポンプ
132 ヒータ
133 ドレンタンク
134 開閉弁
L11 第1熱媒体循環ライン
L12 第2熱媒体循環ライン(第1供給ライン、第3供給ライン)
L13 蒸気ライン
L14 蒸気ドレンライン
L21 接続ライン(第2供給ライン)
L22 接続ライン(第1供給ライン)
G 排ガス