(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044975
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】サービス提供システム、記録装置、制御プログラム、方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/10 20130101AFI20220311BHJP
G09C 1/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
G06F21/10
G09C1/00 640E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150398
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 大成
(57)【要約】
【課題】購入情報に対する入力ミスや不正使用を抑制することができるサービス提供システムを提供することを目的とする。
【解決手段】端末20は、購入情報をサーバから購入する場合に、ワンタイムキーをサーバに送信する。サーバ30では、ワンタイムキーに識別情報が含まれていると判断された場合に、購入情報と、ワンタイムキーに含まれていた識別情報とを含むトークンを端末20に送信する。MFP10では、トークンに識別情報が含まれると判断された場合に、トークンに含まれる購入情報に応じて、利用枠を追加する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録装置と、端末と、サーバと、を備えるサービス提供システムであって、
前記記録装置は、装置側コントローラと、ユーザインタフェースと、記録エンジンと、を有し、前記サーバとネットワークを介して接続されておらず、
前記端末は、前記サーバとネットワークを介して接続されており、
前記装置側コントローラは、
前記サーバから購入された購入情報に応じた利用枠まで、前記記録エンジンにより被記録媒体に画像を記録させることが可能な記録処理と、
自装置の識別情報を少なくとも含む第1暗号化情報を出力する出力処理と、を実行し、
前記端末は、前記購入情報を前記サーバから購入する場合に、前記第1暗号化情報の入力操作を受付け、入力された前記第1暗号化情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、サーバ側コントローラを備え、
前記サーバ側コントローラは、
前記端末から前記第1暗号化情報を受信した場合に、前記第1暗号化情報に前記識別情報が含まれているか否かを判断するサーバ側判断処理と、
前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記購入情報と、前記第1暗号化情報に含まれていた前記識別情報とを含む第2暗号化情報を前記端末に送信する送信処理と、を実行し、
前記装置側コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介して前記第2暗号化情報の入力を受付けた場合に、前記第2暗号化情報に前記識別情報が含まれるか否かを判断する装置側判断処理と、
前記識別情報が含まれると判断された場合に、前記第2暗号化情報に含まれる前記購入情報に応じて、前記利用枠を追加する追加処理と、
を実行するサービス提供システム。
【請求項2】
前記購入情報には、前記利用枠の上限が定められており、
前記装置側コントローラは、前記記録処理の実行により前記利用枠の上限に達した場合に、前記出力処理を実行する請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記装置側コントローラは、前記出力処理において、乱数を含めた前記第1暗号化情報を出力し、
前記サーバ側コントローラは、
前記送信処理において、前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記購入情報及び前記識別情報に加えて、前記第1暗号化情報に含まれていた前記乱数を含む前記第2暗号化情報を前記端末に送信し、
前記装置側コントローラは、
前記装置側判断処理において、前記第2暗号化情報に含まれる前記乱数が、前記第1暗号化情報に含めた前記乱数と一致するか否かの判断と、前記第2暗号化情報に前記識別情報が含まれるか否かの判断とを行い、
前記追加処理では、前記乱数が一致するとの判断と、前記識別情報が含まれるとの判断とを共に行った場合に、前記購入情報に応じて前記利用枠を追加する請求項1又は2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記装置側コントローラは、前記出力処理において、
今回購入予定の前記購入情報における利用枠を示す情報を含めた前記第1暗号化情報を出力し、
前回購入済みの前記購入情報がある場合に、前回購入済みの前記購入情報における前記利用枠を前記第1暗号化情報に含める請求項1~3のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
前記購入情報は、前記利用枠の上限が定められており、
前記装置側コントローラは、前記出力処理において、現在の前記利用枠を前記第1暗号化情報に含ませ、
前記サーバ側コントローラは、前記送信処理において、前記利用枠の上限から前記現在の利用枠を引いた値に応じて、今回購入予定の前記購入情報における前記利用枠を算出する請求項1~3のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項6】
前記装置側コントローラは、前記出力処理において、前記記録装置における消耗品の残量又は消耗品の使用量を示す消耗品情報を、前記第1暗号化情報に含め、
前記サーバ側コントローラは、前記サーバ側判断処理において前記識別情報が含まれていると判断されており、かつ前記第1暗号化情報に含まれる前記消耗品情報が、所定の判定値に達している場合に、前記記録装置に前記消耗品を発送させるための処理を実行する請求項1~5のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項7】
前記装置側コントローラは、前記出力処理において、前記記録装置における消耗品の残量又は消耗品の使用量を示す消耗品情報を、前記第1暗号化情報に含め、
前記サーバ側コントローラは、前記サーバ側判断処理において前記識別情報が含まれていると判断されており、かつ前記消耗品情報に応じて判断される利用枠が、前記第2暗号化情報に含ませる前記購入情報に応じた利用枠よりも下回っていると判断された場合に、前記記録装置宛に前記消耗品を発送させるための処理を実行する請求項1~5のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項8】
前記装置側コントローラは、前記ユーザインタフェースを介して前記第2暗号化情報の入力を受付ける前に、前記ユーザインタフェースを介した操作により前記第1暗号化情報の再出力を要請された場合に、前記出力処理において、要請された前記第1暗号化情報を再出力する請求項1~7のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項9】
前記端末は、前記サーバに対して、前記第1暗号化情報の送信とともに、前記購入情報を購入するための課金処理を実行し、
前記サーバ側コントローラは、前記サーバ側判断処理において、再出力された前記第1暗号化情報を前記端末から受信した場合に、前記再出力された前記第1暗号化情報に基づいて、既に、前記課金処理が完了しているか否かを判断し、
前記課金処理が完了していると判断された場合、前記第2暗号化情報を前記端末に再送信する請求項8に記載のサービス提供システム。
【請求項10】
前記装置側コントローラは、アクティベーション情報の入力に応じて、前記記録装置を、前記記録処理に対する実行指示を受付けない無効化状態から、前記記録処理に対する実行指示を受付け可能な有効状態に遷移させるアクティベーション処理を実行し、
前記サーバ側コントローラは、前記記録装置が前記無効化状態である場合に、前記識別情報を含む前記アクティベーション情報を、前記端末に送信する有効化情報送信処理を実行し、
前記装置側コントローラは、前記アクティベーション処理において、前記ユーザインタフェースを介して入力を受付けた前記アクティベーション情報に、前記識別情報が含まれているか否かを判断し、前記識別情報が含まれていると判断した場合に、前記記録装置を前記無効化状態から前記有効状態に遷移させる請求項1~9のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項11】
装置側コントローラと、ユーザインタフェースと、記録エンジンと、を備え、
前記装置側コントローラは、
サーバから購入された購入情報に応じた利用枠まで、前記記録エンジンにより被記録媒体に画像を記録させることが可能な記録処理と、
自装置の識別情報を少なくとも含む第1暗号化情報を出力する出力処理と、
前記第1暗号化情報の出力後に、前記ユーザインタフェースを介して、前記サーバにより作成された第2暗号化情報の入力を受付けた場合に、前記第2暗号化情報に前記識別情報が含まれるか否かを判断する装置側判断処理と、
前記識別情報が含まれると判断された場合に、前記第2暗号化情報に含まれる前記購入情報に応じて、前記記録処理の利用枠を追加する追加処理と、
を実行する記録装置。
【請求項12】
サーバのサーバ側コントローラで読み取り可能な制御プログラムであって、
前記サーバは、当該サーバと、端末と、記録装置とを備えるサービス提供システムに適用され、前記サービス提供システムは、前記サーバにより発行される購入情報に応じた利用枠まで、記録装置により記録媒体に画像を記録させることが可能なサービスを提供し、
前記サーバ側コントローラに、
端末から送信された第1暗号化情報を受信した場合に、前記第1暗号化情報に前記記録装置を識別するための識別情報が含まれているか否かを判断するサーバ側判断処理と、
前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記購入情報と、前記第1暗号化情報に含まれていた前記識別情報とを含む第2暗号化情報とを前記端末に送信する送信処理と、
を実行させる制御プログラム。
【請求項13】
記録装置と、端末と、サーバと、を備えるサービス提供システムで実行される方法あって、
前記記録装置は、前記サーバとネットワークを介して接続されておらず、
前記端末は、前記サーバとネットワークを介して接続されており、
前記記録装置は、
前記サーバから購入された購入情報に応じた利用枠まで、記録エンジンにより被記録媒体に画像を記録させることが可能な記録処理と、
自装置の識別情報を少なくとも含む第1暗号化情報を出力する出力処理と、を実行し、
前記端末は、前記購入情報を前記サーバから購入する場合に、前記第1暗号化情報の入力操作を受付け、入力された前記第1暗号化情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記端末から前記第1暗号化情報を受信した場合に、前記第1暗号化情報に前記識別情報が含まれているか否かを判断するサーバ側判断処理と、
前記識別情報が含まれていると判断された場合に、前記購入情報と、前記第1暗号化情報に含まれていた前記識別情報とを含む第2暗号化情報を前記端末に送信する送信処理と、を実行し、
前記記憶装置は、
ユーザインタフェースを介して前記第2暗号化情報の入力を受付けた場合に、前記第2暗号化情報に前記識別情報が含まれるか否かを判断する装置側判断処理と、
前記識別情報が含まれると判断された場合に、前記第2暗号化情報に含まれる前記購入情報に応じて、前記利用枠を追加する追加処理と、
を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリペイド型のサービスに用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリペイド型のサービスを提供するサービス提供システムが記載されている。具体的には、サービス提供システムは、サーバと、このサーバとネットワークを介して接続されていない記録装置とを備えている。記録装置によりサービスを提供させる場合、まず、管理者は、サーバに対して支払いを完了させることで、サーバから購入情報を取得する。そして、管理者は、購入情報を、記録装置に入力することで、記録部によるサービスの提供を開始することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のサービス提供システムでは、記録装置の管理者は、サーバにより発行された購入情報を、ユーザインタフェースを介して記録装置に直接入力する必要がある。そのため、購入情報の入力時において入力ミスが生じることが懸念される。また、サーバにより発行された購入情報を、複数の記録装置に入力することで、不正にサービスの提供を受けることが可能になることも懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、購入情報に対する入力ミスや不正使用を抑制することができるサービス提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係るサービス提供システムでは、記録装置と、端末と、サーバと、を備えており、記録装置は、装置側コントローラと、ユーザインタフェースと、記録エンジンと、を有している。サーバとネットワークを介して接続されておらず、端末は、サーバとネットワークを介して接続されている。装置側コントローラは、購入情報に応じた利用枠まで、記録エンジンにより被記録媒体に画像を記録させることが可能な記録処理と、自装置の識別情報を少なくとも含む第1暗号化情報を出力する出力処理と、を実行する。端末は、購入情報をサーバから購入する場合に、第1暗号化情報の入力操作を受付け、入力された第1暗号化情報をサーバに送信する。サーバのサーバ側コントローラは、端末からの第1暗号化情報を受信した場合に、第1暗号化情報に識別情報が含まれているか否かを判断するサーバ側判断処理と、識別情報が含まれていると判断された場合に、購入情報と、第1暗号化情報に含まれていた識別情報とを含む第2暗号化情報を端末に送信する送信処理と、を実行する。装置側コントローラは、ユーザインタフェースを介して第2暗号化情報の入力を受付けた場合に、第2暗号化情報に識別情報が含まれるか否かを判断する装置側判断処理と、識別情報が含まれると判断された場合に、第2暗号化情報に含まれる購入情報に応じて、記録処理の利用枠を追加する追加処理と、を実行する。利用枠は、記録装置により実行可能な記録処理の上限を定める情報である。例えば、利用枠は、被記録媒体の枚数、被記録媒体がロール紙である場合の記録可能な被記録媒体の長さ、インクやトナー等の記録媒体の量、更には、記録媒体の打ち込み量(デューティ)を含む概念である。
【0007】
上記構成では、記録装置の管理者は、購入情報をサーバから購入する場合に、端末を操作することで、記録装置により出力された第1暗号化情報を端末からサーバに送信する。サーバでは、サーバ側コントローラにより第1暗号化情報に識別情報が含まれていると判断された場合に、購入情報と、第1暗号化情報に含まれていた識別情報とを含む第2暗号化情報を端末に送信する。管理者は、端末を操作して、サーバから受信した第2暗号化情報を、記録装置のユーザインタフェースを介して記録装置に入力する。記録装置では、装置側コントローラにより、入力された第2暗号化情報に識別情報が含まれると判断された場合に、第2暗号化情報に含まれる購入情報に応じて利用枠を追加する。これにより、記録装置の管理者が利用枠を前払いする際に、記録装置とサーバとは、記録装置を識別する識別情報の有無に応じて、一方から送信される情報の確かさを判断することができる。また、記録装置に対してサーバが発行した購入情報は、識別情報とともに端末を介して記録装置に入力されるため、購入情報を他の記録装置に対して不正に使用することを防止することができる。
【0008】
本発明は、種々の形態により実現することが可能であり、サービス提供システムを構成する記録装置や、サーバのサーバ側コントローラが実行する制御プログラム、方法の発明としても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、購入情報の入力ミスや不正使用を防止できるプリペイド型のサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】アクティベーション処理を説明するタイミングチャート。
【
図4】購入チケットの購入時における処理を説明するタイミングチャート。
【
図5】購入チケットの購入時におけるデータの流れを説明する図。
【
図6】
図4のS38で実行される処理を説明するフローチャート。
【
図7】第2実施形態において
図4のS31で実行される処理を説明するフローチャート。
【
図8】
図4のS36で実行される処理を説明するフローチャート。
【
図9】第3実施形態に係る購入チケットの購入時における処理を説明するフローチャート。
【
図10】第4実施形態に係る購入チケットの購入時における処理を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態係に係るサービス提供システムを、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すサービス提供システム100は、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Productの略称)10と、端末20と、サーバ30とを備えている。サーバ30と、端末20とはネットワーク200に接続されている。本実施形態では、ネットワーク200は、インターネットであってもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよいし、LANとインターネットとの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク200は、有線の他、無線でもよいし有線と無線の組み合わせにより構成されていてもよい。具体的には、サーバ30とMFP10とは、ネットワークの一部を構成する不図示のルータとの間で無線により接続されている。本実施形態では、MFP10が記録装置の一例である。
【0012】
上記構成のサービス提供システム100では、MFP10と端末20とは、記録サービスを提供する店舗に配置されており、サーバ30は各店舗を管理する本店等に配置されている。記録サービスの提供を受けるユーザは、店舗上で、店舗管理者に料金を支払うことにより、MFP10を使用して記録サービスの提供を受けることができる。また、MFP10による利用枠は、サーバ30によりプリペイド方式で管理されており、店舗管理者は、MFP10の利用が利用枠の上限に達した場合に、端末20を操作することで、サーバ30から購入チケットを購入する。購入チケットは、利用枠を追加する情報であり、本実施形態では、記録可能な記録媒体の数である。例えば、購入チケットでは、100枚の利用枠で、サーバ30から購入することが可能である。
【0013】
MFP10のハードウェア構成について説明する。MFP10は、バス11、記録エンジン12、読取部13、ユーザインタフェース14、コントローラ17及びメモリ18を備えている。MFP10を構成する各部は、バス11を介して通信可能に接続されている。以下では、インタフェースを単にIF(Interface)とも称す。
【0014】
ユーザIF14は、MFP10を操作するユーザとコントローラ17との間に介在するインタフェースである。具体的には、ユーザIF14は、タッチパネル15と、操作キー16とを備えている。タッチパネル15は、ユーザによる操作を受付けるための操作アイコンを表示し、操作アイコンが受付けた操作に応じた信号をコントローラ17に出力する。操作キーは、ユーザによる操作を受付け、受付けた操作に応じた信号をコントローラ17に出力する。なお、ユーザIF14は、バス11に直接接続されるもの以外も、不図示の入出力IFを介してバス11に接続可能な外部装置であってもよい。この場合においても、ユーザIF14は、ユーザによる操作を受付けるタッチパネル又は操作キーを備えるものであってもよい。
【0015】
記録エンジン12は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷するプリント動作を実行する。具体的には、コントローラ17は、印刷ジョブを解析し、被記録媒体に対して記録媒体を吐出することにより画像を印刷する。記録エンジン12の記録方式としては、記録媒体としてのインクを吐出するインクジェット方式や、感光体にトナー像を形成し、形成されたトナー像を被記録媒体に転写する電子写真方式などを採用することができる。読取部13は、原稿に記録されている画像を読み取って画像ファイルを生成するスキャン動作を実行する。コントローラ17は、読取部13に、ADF(Auto Document Feeder)又は読取り台にセットされた原稿を読み取らせることで、画像ファイルを作成させ、作成された画像ファイルを、印刷ジョブとして記録エンジン12に印刷させることができる。また、MFP10は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。記録エンジン12によるプリント動作と、読取部13によるスキャン動作とを組み合わせたコピー動作は、複合動作の一例である。なお、MFP10は、FAXプロトコルに準拠した方式で画像データを送受信するFAX部を備えていてもよい。
【0016】
コントローラ17は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略称)等により構成されており、MFP10を構成する各部を制御する。メモリ18は、RAM、ROM、フラッシュメモリーが組み合わされて構成されており、コントローラ17が実行する各種プログラムを保存している。本実施形態では、コントローラ17が装置側コントローラの一例である。
【0017】
次に、サーバ30の構成について説明する。サーバ30は、バス31と、コントローラ32と、ユーザIF33と、通信IF34と、メモリ35とを備えている。これらの構成要素は、バス31を介して互いに通信可能にされている。
【0018】
ユーザIF33は、ユーザとサーバとの間に介在するインタフェースであり、ユーザによる操作を受付ける操作キーを備えている。通信IF34は、サーバ30をネットワーク200に接続する。また、通信IF34は、端末20との間で、基地局を介した移動通信システムを利用した無線通信を行うものであってもよい。
【0019】
コントローラ32は、CPUを備え、メモリ35に記憶されたプログラムを実行することで、サーバ30の各部を制御する。メモリ35は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリーが組み合わされて構成されている。また、メモリ35は、コンピュータであるコントローラ32が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ32が読み取り可能なストレージ媒体とは、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。本実施形態では、コントローラ32がサーバ側コントローラの一例である。
【0020】
メモリ35には、OS(Operating Systemの略称)40と、メールアプリ41と、制御プログラム42と、が記憶されている。以下では、プログラムを実行するコントローラ32のことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「制御プログラム42が」という記載は、「制御プログラム42を実行するコントローラ32が」ということを意味する場合がある。なお、メールアプリ41及び制御プログラム42の機能には、OS40の機能を利用して実現するものも含む。
【0021】
なお、本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラの処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラの処理を表している。コントローラ32による処理は、OS40を介したハードウェア制御も含む。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ32が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能な形式で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0022】
OS40は、メールアプリ41と制御プログラム42とに対して、OS40が備える機能の利用、及びメールアプリ41と制御プログラム42との間の通信を可能にするAPI(Application Programming Interface)を備えている。メールアプリ41は、端末20との間でメールの送受信を行うことが可能なアプリケーションプログラムである。メールアプリ41は、メールアドレスを宛先としてメールを送信するアプリケーションの他、電話番号を宛先としてメールを送信するSMS(Short Message Serviceの略称)であってもよい。制御プログラム42は、各店舗に備えられたMFP10を管理するための処理を行うプログラムである。制御プログラムによる具体的な処理については後述する。
【0023】
メモリ35には、データを記憶するためのデータ記憶領域を有している。データ記憶領域には、管理情報ACと、共通鍵KEYとが記憶されている。管理情報ACは、各店舗に配置されているMFP10を管理するための情報である。
図2に示す管理情報ACには、アカウント名、メール情報、シリアルナンバー、消耗品ID、住所が記録されている。アカウント名は、端末20がサーバ30にアクセスする際に要求される情報であり、端末20毎に固有に定められた情報である。メール情報は、端末20のメールアドレス又は電話番号である。シリアルナンバーは、MFP10を固有に識別するための識別情報である。消耗品IDは、MFP10の消耗品を示す情報であり、例えば、被記録媒体、インク、感光体、搬送ローラなどの型番が含まれる。住所は、各店舗の住所である。
【0024】
端末20は、スマートフォン、又は携帯電話であり、サーバ30と同様、コントローラ、メモリ、ユーザIF、通信IFを備えている。端末20のメモリには、メールアプリが記憶されており、このメールアプリによりサーバ30との間で、メールを介した通信を行うことができる。
【0025】
次に、MFP10、端末20、及びサーバ30の間で実行される各店舗のMFP10を管理するための処理を説明する。
図3は、MFP10を各店舗に導入する際に、MFP10を無効状態から有効状態に遷移させる処理である。なお、無効状態は、MFP10において、記録処理に対する実行操作を受付けない状態であり、有効状態は、記録処理に対する実行操作を受付け可能な状態である。
【0026】
店舗にMFP10が導入された場合、まず、店舗管理者は端末20を操作してアカウントの登録を行う。具体的には、店舗管理者は、端末20を操作することで、アカウント登録画面を表示させる。そして、アカウント登録画面上での操作により、アカウント名及び店舗の住所を入力する。なお、アカウント登録画面は、サーバ30によりブラウザ画面として提供されてもよいし、端末20にダウンロードされたアプリケーションプログラムにより表示されてもよい。本実施形態はブラウザ画面が提供されものとする。
【0027】
ステップ10(以下、単にS10と称す)で、端末20は、店舗管理者により受付けた操作に応じたアカウント登録要求を、サーバ30に対して送信する。本実施形態では、端末20は、アカウント名、パスワード、メール情報、住所等を含むアカウント登録要求を作成し、作成されたアカウント登録要求を、サーバ30を宛先として送信する。なお、端末20は、メールアプリにてアカウント登録に必要なアカウント名、住所をボディ領域に含むメールデータを作成し、サーバ30のアドレスをあて先として作成したメールデータを送信することで、アカウント登録要求を行ってもよい。
【0028】
S11では、サーバ30の制御プログラム42は、アカウント登録要求を受けると、アカウント登録処理を行う。アカウント登録処理では、アカウント登録要求を送信した端末20に対して、アカウント名、パスワード、メール情報、住所等の各項目が管理情報ACに登録される。なお、制御プログラム42は、アカウントが登録されたことを示す登録完了通知を、端末20に送信するものであってもよい。
【0029】
次に、店舗管理者は、MFP10の電源を投入する。MFP10の電源が投入されることにより、コントローラ17が起動し、S12で、タッチパネル15にシリアルナンバーを表示させる。なお、シリアルナンバーの表示は、例えば、MFP10の電源が最初に投入された場合に限り、タッチパネル15に表示されるものであってもよい。店舗管理者は、タッチパネル15に表示されたシリアルナンバーを確認すると、端末20のブラウザ画面に対してサーバ30へログインするログイン画面を表示させる。そして、店舗管理者は、ログイン画面にアカウント名とパスワードを入力してサーバ30にログインする。サーバ30は、端末20のブラウザ画面に製品登録画面を表示させる。店舗管理者は、製品登録画面にシリアルナンバーやMFP10の消耗品の型番を入力する。端末20は、シリアルナンバーの入力を受けると、S13で、入力を受付けたシリアルナンバーやMFP10の消耗品の型番をサーバ30に送信する。
【0030】
サーバ30では、S14で、制御プログラム42が端末20から送信されたシリアルナンバーや消耗品の型番を、アカウント名に対応づけて、管理情報ACに登録する。S15では、制御プログラム42は、アクティベーションキーを作成する。制御プログラム42は、S14で管理情報ACに登録したシリアルナンバーを暗号化することで、アクティベーションキーを作成する。具体的には、制御プログラム42は、共通鍵を用いてシリアルナンバーを暗号化する。
【0031】
S16では、制御プログラム42は、S15で作成されたアクティベーションキーを、端末20に送信する。本実施形態では、制御プログラム42は、管理情報ACから送信先の端末20のメール情報である電話番号を読み出し、読み出した電話番号を宛先とするSMSにより、アクティベーションキーを端末20に送信する。
【0032】
S17では、端末20は、ネットワーク200を介してサーバ30から受信したアクティベーションキーを表示する。具体的には、店舗管理者が端末を操作することで、端末20に、メールのボディ領域に含まれるアクティベーションキーを表示させる。
【0033】
店舗管理者は、MFP10のユーザIF14を操作して、端末20により受信されたアクティベーションキーを、MFP10に入力する。S18では、コントローラ17は、ユーザIF14を介して入力を受付けたアクティベーションキーを、共通鍵により復号化して、シリアルナンバーを取り出す。S18の復号化で用いられる共通鍵は、S15の暗号化で用いられた共通鍵とペアとなる共通鍵である。
【0034】
S19では、コントローラ17は、S18で取り出したシリアルナンバーと、自装置に定められたシリアルナンバーとの一致の有無を判断する。コントローラ17は、一致していると判断した場合(S19でYES)、S20において、アクティベーション処理を行う。アクティベーション処理により、MFP10は、無効状態から、記録サービスを提供可能な有効状態となる。一方、コントローラ17は、一致していないと判断した場合(S19でNO)、S21において、報知処理を行う。具体的には、コントローラ17は、シリアルナンバーの入力操作を再度行うことを促す画像をタッチパネル15に表示させる。
【0035】
S21で報知処理が行われた場合、店舗管理者は、タッチパネル15に表示された画面を確認することで、端末20を操作して、再度、シリアルナンバーの入力操作を行う。そして、コントローラ17は、S13~S18の処理を経由した後、S19で、シリアル番号が一致していれば、S20のアクティベーション処理を行う。
【0036】
次に、MFP10を有効状態に遷移させた後の処理のうち、利用枠を追加するためのプリペイド処理について、
図4~
図6を用いて説明する。
【0037】
図4のS30では、コントローラ17は、MFP10の記録済み枚数が利用枠の上限に達したか否かを判断する。利用枠の上限は、コントローラ17に記録されており、記録処理が実行される毎にカウントが減算される。本実施形態では、上述のように利用枠の上限は、1回の購入チケットにより購入された被記録媒体の枚数である。S30を否定判定すると、待機する。一方、コントローラ17は、S30を肯定判定すると、S31に進み、ワンタイムキーを作成する。
【0038】
図5に示すように、コントローラ17は、自装置に定められたシリアルナンバーN1、乱数N2、及び消耗品情報を暗号化することで、ワンタイムキーN3を作成する。乱数N2は、コントローラ17がS31での処理を実行する都度、発生させる値である。S31での暗号化は、共通鍵KEY1(
図5)を用いて行われる。本実施形態において、ワンタイムキーが、第1暗号化情報の一例である。
【0039】
消耗品情報は、MFP10が使用する消耗品の残量を示す情報であり、具体的には、管理情報ACに登録されている消耗品IDにより示される消耗品それぞれに作成される。コントローラ17は、記録処理が実行される毎に、消耗品それぞれの残量をカウントし、カウント後の消耗品の量を消耗品残量として記録する。例えば、消耗品IDが、「被記録媒体」の型番であれば、記録処理が実行される毎に、被記録媒体の枚数が減算されていく。消耗品IDが、「インク」の型番であれば、記録処理が実行される毎に、インク残量が減算されていく。
【0040】
S32では、コントローラ17は、S31で作成したワンタイムキーN3をユーザIF14に表示させる。店舗管理者は、MFP10のタッチパネル15に表示されたワンタイムキーを確認すると、端末20を操作して、MFP10の利用枠を追加するために、課金入力画面上でワンタイムキーN3の入力を行う。課金入力画面は、店舗管理者による課金操作を受付けるためのフォーム画面であり、画像データとして端末に記憶されている。これ以外にも、制御プログラム42が、端末20に対してブラウザ画面として課金入力画面を提供するものであってもよい。
【0041】
S33では、端末20は、店舗管理者により、課金入力画面上で入力されたワンタイムキーN3をメールによりサーバ30に送信する。
【0042】
サーバ30では、ワンタイムキーN3を受信すると、S34で、制御プログラム42は、ワンタイムキーN3を復号化して、シリアルナンバーN1、乱数N2、消耗品情報を取り出す。S34での復号化は、S31で用いられた共通鍵KEY1とペアとなる共通鍵KEY2を用いて行われる(
図5)。
【0043】
S35では、制御プログラム42は、S34で取り出したシリアルナンバーN1と、管理情報ACに記録されているシリアルナンバーとの一致の有無を判断するサーバ側判断処理を行う。制御プログラム42は、S35でシリアルナンバーが一致していると判断すると、(S35でYES)S36に進む。
【0044】
制御プログラム42は、S36において、ワンタイムキーから取り出されたシリアルナンバーN1、乱数N2、及び購入チケットを暗号化することで、トークンN4を作成する(
図5)。購入チケットは、記録サービスにおける利用枠を追加するための情報であり、S35での判断処理が肯定判定されたことを条件に制御プログラム42により発行される。例えば、購入チケットにより、100枚分の被印刷媒体に対する記録サービスを提供することが可能となる。本実施形態では、トークンN4が、第2暗号化情報の一例であり、購入チケットが、購入情報の一例である。
【0045】
S37では、制御プログラム42は、S36で作成されたトークンN4を、メールアプリ41により送信させる。メールアプリ41は、ボディ領域にトークンN4を含むメールデータを作成し、端末20を宛先として、メールデータを送信する。本実施形態では、制御プログラム42によりS37で実行される処理が、送信処理の一例である。
【0046】
S38では、S34で復号化された消耗品情報から、消耗品の不足の有無を判断する。S38の処理において、MFP10に対して消耗品の不足の有無が判断され、不足している消耗品に対しては、店舗に対して消耗品が郵送される。
図6は、制御プログラム42により、S38で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【0047】
S50では、制御プログラム42は、不足の有無の判断する対象となる消耗品を設定する。本実施形態では、管理情報ACにおいて、シリアルナンバーに対応づけて記録された消耗品IDで指定される全ての消耗品に対して、不足の有無が判断される。
【0048】
S51では、S50で設定した消耗品に対して、S34で復号化された消耗品情報を用いて、不足の有無を判断する。本実施形態では、消耗品情報により示される消耗品の数又は量が、消耗品それぞれに定められた判定値に達しているか否かを判断する。例えば、S50で判断対象に設定した消耗品が「被印刷媒体」である場合、判定値は、被記録媒体に不足が生じるとして定められた残数を示している。そのため、S51において、消耗品情報により示される被印刷媒体の枚数が、判定値以下である場合、すなわち判定値に達している場合、被印刷媒体が不足していると判断し、消耗品情報により示される被印刷媒体の枚数が、判定値よりも上回っている場合、被印刷媒体は充足していると判断する。
【0049】
S51において、制御プログラム42は、消耗品は充足していると判断すると、S53に進む。S53では、管理情報ACに記録されている全ての消耗品に対して不足の有無を判断したか否かを判断する。S53を否定判定すると、S54に進み、不足の有無を判断する消耗品を変更する。そして、S51に進み、変更後の消耗品に対して不足しているか否かを判断する。
【0050】
一方、消耗品が不足していると判断すると、S51を肯定判定して、S52に進む。S52では、不足していると判断された消耗品を通知対象に設定する。S52を終了するとS53に進み、管理情報ACに記録されている全ての消耗品に対して不足の有無を判断していなければ、S51に戻る。S53を肯定判定すると、S55に進み、通知対象となる消耗品が存在するか否かを判断する。S52で、通知対象となる消耗品を設定している場合、S55を肯定判定して、S56に進む。
【0051】
S56では、S52で通知対象に設定した消耗品を対象とする通知処理を行う。本実施形態では、通知処理において、消耗品を管理する消耗品管理サーバに対して、店舗を宛先とする消耗品の発注を行う。消耗品管理サーバは、ネットワーク200を通じて、消耗品の発注を受けると、指定された店舗に、消耗品を郵送するための処理を行う。S56を終了した場合、
図4のS40に進む。なお、S55で、通知対象となる消耗品が存在しないと判断すると、
図4のS40に進む。
【0052】
図4のS35で、制御プログラム42は、シリアルナンバーが一致していないと判断すると(S35でNO)、S39に進み、端末20から送信されたシリアルナンバーN1が正しくないことを端末20に通知する。具体的には、制御プログラム42は、メールアプリ41により、ボディ領域にシリアルナンバーが正しくないことを示す画像を含むメールデータを作成させ、このメールデータを端末20に送信させる。即ち、端末20に対して、トークンN4は送信されない。
【0053】
端末20は、サーバ30からトークンN4をメールにより受信した場合、S40で、受信したトークンを表示させる。例えば、店舗管理者は、端末を操作して、受信したメール本文を表示することにより、トークンN4を表示させる。店舗管理者は、MFP10のユーザIF14を操作して、トークンN4をMFP10に入力する。
【0054】
S41で、コントローラ17は、店舗管理者により入力されたトークンN4を復号化して、シリアルナンバーN1、乱数N2、及び購入チケットを取り出す。S41の復号化に用いられる共通鍵KEY3は、S36で用いられる共通鍵KEY4とペアとなる共通鍵が用いられる(
図5)。
【0055】
S42では、コントローラ17は、S41で復号化されたシリアルナンバーが自装置に定められたシリアルナンバーと一致するか、及びS41で読み出された乱数が、S31で生成した乱数と一致するか否かを判断する装置側判断処理を行う。
【0056】
コントローラ17は、S42で、シリアルナンバー及び乱数が共に一致すると判断した場合(S42でYES)、トークンN4から復号化された購入チケットは適正であると判断し、S43に進み、購入チケットにより利用枠を追加する追加処理を行う。追加処理により、MFP10の利用枠が追加されることで、MFP10を用いた記録サービスの利用を継続することが可能となる。
【0057】
一方、コントローラ17は、S42で、シリアルナンバーN1又は乱数N2が一致しないと判断した場合(S42でNO)、トークンN4から復号化された購入チケットは適正でないと判断し、S44に進む。S44では、コントローラ17は、ユーザIF14に、トークンN4の入力が適正に行われなかったことを表示させる異常報知を行う。例えば、タッチパネル15に、トークンN4の入力が適正でないため、店舗管理者に、再度のトークンN4の再入力を促す画面を表示させる。また、再入力されたトークンN4にてS42の判断が否定された場合、コントローラ17は、店舗管理者にワンタイムキーの再入力を促す異常報知を行ってもよい。店舗管理者は、異常報知を認識した場合、端末20を操作して、ワンタイムキーの入力操作を再度行う。
【0058】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
MFP10のコントローラ17は、自装置を識別するためのシリアルナンバーを少なくとも含むワンタイムキーを出力する。MPF10を管理する店舗管理者は、購入チケットをサーバ30から購入する場合に、端末20を操作して、端末20からMFP10により出力されたワンタイムキーをサーバ30に送信する。サーバ30の制御プログラム42は、ワンタイムキーにシリアルナンバーが含まれていると判断された場合に、購入チケットと、ワンタイムキーに含まれていたシリアルナンバーとを含むトークンを端末20に送信する。コントローラ17は、ユーザIF14を介して入力を受付けたトークンにシリアルナンバーが含まれると判断された場合に、この購入チケットに応じて、利用枠を追加する。これにより、店舗管理者が購入チケットを購入する際に、MFP10とサーバ30とは、MFP10を識別するシリアルナンバーの有無に応じて、一方から送信される情報の確かさを判断することができる。また、MFP10に対してサーバ30が発行した購入チケットは、シリアルナンバーとともに端末20を介してMFP10に入力されるため、購入チケットを他のMFP10に対して不正に使用することを抑制することができる。
【0059】
購入チケットには、利用枠の上限が定められており、コントローラ17は、記録処理の実行により、購入チケットに定められた利用枠の上限に達した場合に、ワンタイムキーを出力する。これにより、利用枠の上限に達した都度、MFP10からワンタイムキーが自動で出力されるため、店舗管理者に購入チケットの購入を適正なタイミングで通知することができる。
【0060】
制御プログラム42は、ワンタイムキーに、シリアルナンバーが含まれていると判断された場合に、購入チケット及びシリアルナンバーに加えて、ワンタイムキーに含まれていた乱数を含むトークンを端末20に送信する。コントローラ17は、端末20から送信されたトークンに含まれる乱数が、ワンタイムキーに含めた乱数と一致するか否かの判断と、トークンにシリアルナンバーが含まれるか否かの判断とを行い、乱数が一致するとした判断と、シリアルナンバーが含まれるとの判断とを共に行った場合に、購入チケットに応じて利用枠を追加する。これにより、MFP10と、サーバ30との間で、シリアルナンバーの一致の有無と、乱数の一致の有無とが共に判断されるため、購入チケットに対する確からしさの判定精度をいっそう高めることができる。
【0061】
コントローラ17は、消耗品情報を、ワンタイムキーに含め、制御プログラム42は、ワンタイムキーにシリアルナンバーが含まれていると判断されており、かつワンタイムキーに含まれる消耗品情報が、所定の残量判定値を下回っている場合に、MFP10宛に消耗品を発送させるための処理を実行する。これにより、サーバ30から購入チケットを購入する際に、消耗品の不足の有無が判断されるため、MFP10の管理における利便性をいっそう高めることができる。
【0062】
制御プログラム42は、MFP10が無効化状態である場合に、シリアルナンバーを含むアクティベーションキーを、端末に送信する。コントローラ17は、ユーザIF14を介して入力を受付けたアクティベーションキーに、シリアルナンバーが含まれているか否かを判断し、シリアルナンバーが含まれていると判断した場合に、MFP10を無効化状態から有効状態に遷移させる。これにより、MFP10の記録処理が有効化される前に、サーバで保持するシリアルナンバーが、MFP10で保持するシリアルナンバーと一致しているか否かの判断を行うことができる。
【0063】
(第1実施形態の変形例)
購入チケットにより購入される利用枠は、被記録媒体の記録可能枚数に限定されない。例えば、被記録媒体がロール紙である場合、記録を行うロール紙の長さ寸法を利用枠として購入するものであってもよい。これ以外にも、記録エンジン12により消費されるインク量やトナー量、更にはインクの打ち込み量を利用枠として購入するものであってもよい。
【0064】
サーバ30の制御プログラム42が、S38で、消耗品の不足を判断する処理は、消耗品の残量に基づく判断に限られず、消耗品の使用量に基づいて行われてもよい。この場合、MFP10は、消耗品の残量の代わりに消耗品の使用量をサーバ30に通知し、サーバ30は、MFP10から通知された使用量が所定の判定値を超えていたら消耗品が不足していると判断する。消耗品の使用量は、印刷した被記録媒体のページ数であってもよいし、印刷に使用した消耗品のドットカウント値であってもよい。
【0065】
サーバ30の制御プログラム42が、S56で、店舗に消耗品を発送させるために行う処理は、消耗品管理サーバに消耗品を発送させるための通知を行うことに限定されない。例えば、制御プログラム42は、消耗品の購入を通知する情報を含めたトークンを作成し端末20に送信する場合や、トークンとともに消耗品の購入を通知する情報を端末20に送信してもよい。この場合において、店舗管理者は、端末20により表示された消耗品の購入を通知する情報を確認すると、消耗品管理サーバに、消耗品の購入を発注すればよい。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ個所には同じ符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0067】
第1実施形態では、購入チケットにより購入可能な利用枠は固定(100枚)されていた。これに代えて、本実施形態では、購入チケットにより購入可能な利用枠は、端末20による操作に応じて設定可能である。
【0068】
図7は、本実施形態において、コントローラ17により、
図4のS31で実行される処理の手順を示すフローチャートである。S60では、前回、購入チケットを購入済みであるか否かを判断する。前回、購入チケットを購入済みでない場合、S60を否定判定して、S62に進み、今回、購入チケットにより購入予定の入力を受付ける。この場合において、店舗管理者は、MFP10のユーザIF14を操作することにより、今回、購入チケットにより購入予定の利用枠として被記録媒体の枚数を入力する。なお、前回、購入チケットを購入したか否かの判断は、現在から所定期間過去において、購入チケットを購入したか否かで判断すればよい。例えば、現在から、1年間だけ過去において、サーバから購入チケットを購入していれば、前回、購入チケットを購入していると判断すればよい。
【0069】
一方、購入チケットを購入済みである場合、S60を肯定判定して、S61に進む。S61では、前回購入チケットにより購入された利用枠を、今回購入チケットにより購入予定の利用枠に設定する。コントローラ17は、前回購入チケットにより構成された利用枠をメモリ18に記憶している。例えば、前回購入チケットにより購入した利用枠が、「50枚」の被記録媒体である場合、今回購入チケットにより購入される利用枠は、「50枚」に設定される。
【0070】
なお、S62の処理は、MFP10に対する設定により実行の有無が変更されてもよい。具体的には、MFP10に対して、前回購入された利用枠を今回購入予定の利用枠とする処理を適用しない設定を行っている場合、S60を否定判定してS61に進めばよい。
【0071】
S63では、コントローラ17は、利用枠、シリアル番号、及び乱数を暗号化することで、ワンタイムキーを作成する。そして、
図4のS32に進み、作成されたワンタイムキーをユーザIF14に出力する。
【0072】
サーバ30では、
図4のS35において、シリアル番号が一致していると判断すると、S36で、ワンタイムキーから復号化された利用枠に応じた購入チケットを発行する。そして、発行された購入チケットと、シリアル番号、及び乱数を暗号化したトークンを作成する。MFP10では、S43において、トークンから復号化された購入チケットに応じて今回の利用枠を追加する。
【0073】
以上説明した本実施形態では、コントローラ17は、今回購入予定の購入チケットにおける利用枠を示す情報を含めたワンタイムキーを出力する。コントローラ17は、前回購入済みの購入チケットがある場合に、前回購入済みの購入チケットにより示される利用枠をワンタイムキーに含める。これにより、店舗管理者が、購入チケットの購入の際、都度、端末20の操作により利用枠の入力を行わなくとも、購入チケットをサーバ30から購入することができる。
【0074】
(第2実施形態の変形例)
購入チケットにおける利用枠の設定は、サーバ30により設定してもよい。
図8は、本実施形態において、
図4のS36で、制御プログラム42により実行される処理を説明するフローチャートである。本実施形態においても、ワンタイムキーには、現在の利用枠(即ち、被記録媒体の残数)が含まれている。
【0075】
制御プログラム42は、S70で、現在の利用枠を取得する。本実施形態においても、MFP10は、ワンタイムキーに現在の利用枠を含めており、ワンタイムキーを復号化することで現在の利用枠を読み出すことができる。
【0076】
S71では、今回購入予定の購入チケットにおける利用枠を設定する。具体的には、購入チケットにおける利用枠の上限から、S70で取得した現在の利用枠を引いた値に応じて、今回購入予定の購入チケットにおける利用枠を設定する。なお、本実施形態では、利用枠に、記録可能な被記録媒体の枚数を用いているため、利用枠の上限枚数から、現在の利用枠を引いた値が、被記録媒体の枚数となる。
【0077】
S72では、S71で設定した利用枠に応じた購入チケットと、シリアル番号と、乱数とを暗号化することにより、トークンを作成する。
図4のS37に進み、メールアプリ41により、S36で作成されたトークンを含むメールを、端末20を宛先として送信させる。
【0078】
以上説明した本実施形態では、ワンタイムキーには、利用枠の上限が定められており、コントローラ32は、利用枠の上限から現在の利用枠を、今回購入予定の購入チケットにおける利用枠として算出する。これにより、店舗管理者は、購入チケットの購入の際、都度、購入チケットの入力を行わなくとも、必要な数の利用枠を、購入チケットにより購入することが可能となる。
【0079】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同じ個所には同じ符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0080】
本実施形態では、今回購入された購入チケットにおける利用枠と、現在の消耗品の残量に応じた利用枠との比較結果に応じて、消耗品の不足の有無が判断される。
図9は、制御プログラム42により、S38で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【0081】
S50では、制御プログラム42は、不足の有無の判断対象となる消耗品を設定する。本実施形態においても、管理情報ACにおいて、シリアルナンバーに対応づけて記録された消耗品IDで指定される消耗品に対して、不足の有無を判断する。
【0082】
S80では、現在の消耗品残量と、トークンに含ませる購入チケットの利用枠とを用いて、消耗品の不足の有無を判断するための評価値を算出する。本実施形態では、現在の消耗品残量に応じて定められる記録可能枚数から、購入チケットにおける利用枠の上限に応じて定められる記録可能枚数を引いた値を評価値として算出する。なお、購入チケットの利用枠を店舗管理者により入力している場合は、評価値を算出するために用いられる利用枠は、店舗管理者により入力された値となる。
【0083】
S81では、S80で算出された評価値に応じて、対象消耗品における不足の有無を判断する。具体的には、評価値が判定値を下回る場合、購入チケットにおける利用枠を全て消費するまでに、対象となる消耗品が不足することとなる。そのため、評価値が判定値を下回る場合、対象となる消耗品は不足するため、S82を肯定判定し、S52に進む。S52では、対象となる消耗品をS56の通知処理における通知対象に設定する。S52の処理を終了するとS53に進む。一方、評価値が判定値以上である場合、購入チケットにおける利用枠を全て消費しても、対象となる消耗品が不足することはない。そのため、評価値が判定値以上である場合、対象となる消耗品は充足しており、S82を否定判定して、S53に進む。
【0084】
S53では、管理情報ACに記録されている全ての消耗品に対して不足の有無を判断したか否かを判断する。S53を否定判定すると、S54に進み、不足の有無を判断する消耗品を変更する。そして、S51に進み、変更後の消耗品に対して不足しているか否かを判断する。一方、S53を肯定判定すると、S55に進み、通知対象となる消耗品が存在するか否かを判断する。S52で、通知対象となる消耗品を設定している場合、S55を肯定判定して、S56に進み、S52で通知対象に設定した消耗品を対象とする通知処理を行う。S56を終了した場合、
図4のS40に進む。なお、S55で、通知対象となる消耗品が存在しないと判断すると、
図4のS40に進む。
【0085】
以上説明した本実施形態では、コントローラ17は、MFP10における消耗品の残量を示す消耗品情報を、ワンタイムキーに含め、制御プログラム42は、消耗品情報に応じて判断される利用枠が、トークンに含ませる購入チケットに応じた利用枠よりも下回っているか否かを判断し、下回っていると判断された場合に、MFP10宛に消耗品を発送させるための処理を実行する。これにより、消耗品が必要になると予測される場合に、MFP10宛に消耗品を発送させるための処理が行われるため、MFP10の管理における利便性をいっそう高めることができる。
【0086】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第4実施形態において、第1実施形態と同じ個所には同じ符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0087】
本実施形態では、MFP10のコントローラ17は、トークンの入力を受付ける前に、ワンタイムキーを再出力する操作を受付けた場合に、ワンタイムキーを再出力する。
図10は、本実施形態に係る、MFP10、端末20及びサーバ30で実行される処理を説明するタイミングチャートである。
【0088】
MFP10では、コントローラ17により、S31で、ワンタイムキーが作成され、S32で、作成されたワンタイムキーがタッチパネル15により表示される。サーバ30側では、制御プログラム42により、S35で、シリアルナンバーの一致を判断すると、S36で、トークンが作成される。そして、S37においてトークンが端末20に送信されている。
【0089】
その後、例えば、店舗管理者は、トークンを含むメールデータを紛失したことにより、MFP10を操作して、ワンタイムキーの再出力を要求したとする。MFP10のコントローラ17は、ワンタイムキーの出力後に、トークンの入力を受付けていないことを条件に、S101で、ワンタイムキーを再出力する。S101で再出力されるワンタイムキーは、S32で出力されたワンタイムキーと同じ番号である。
【0090】
店舗管理者は、端末20を操作して、ワンタイムキーを再入力する。端末20は、ワンタイムキーの入力を受付けると、S102で、受付けたワンタイムキーをサーバ30に送信する。サーバ30では、端末20から送信されたワンタイムキーを受信すると、S103では、制御プログラム42は、受信したワンタイムキーを用いて、課金処理が完了しているか否かを判断する課金判定を行う。本実施形態では、制御プログラム42は、ワンタイムキーを復号化することで、乱数を取り出す。制御プログラム42は、取り出された乱数が、端末20から前回送信されたワンタイムキー(S33)に含まれる乱数と一致する場合に、課金処理が完了していると判断する。これ以外にも、端末20から今回送信されたワンタイムキーが、端末20から前回送信されたワンタイムキーと一致する場合に、課金処理が完了していると判断してもよい。
【0091】
制御プログラム42は、課金処理が完了していると判断すると、S104でトークンを再作成する。S104で作成されるトークンは、S36で作成されたトークンと同じ情報である。制御プログラム42は、S105で、再作成されたトークンを端末20にメールにより送信する。
【0092】
端末20では、S106で、トークンが含まれるメールを受信すると、トークンを表示する。店舗管理者は、端末20により表示されたトークンを確認すると、MFP10のユーザIF14を操作して、トークンを入力する。なお、説明は省略するが、その後、コントローラ17では、
図4で示したS41~S44の処理が実行される。
【0093】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
コントローラ17は、ユーザIF14を介してトークンの入力を受付ける前に、ユーザIF14を介してワンタイムキーの再出力を要請する操作を受付けた場合に、要請されたワンタイムキーを再出力する。これにより、例えば、端末20を操作する店舗管理者が、ワンタイムキーを紛失した場合でも、MFP10からワンタイムキーを再度出力させることができる。
【0094】
サーバ30の制御プログラム42は、端末20から再出力されたワンタイムキーを受信した場合に、再出力されたワンタイムキーに基づいて、既に、課金処理が完了しているか否かを判断し、課金処理が完了していると判断された場合、トークンを端末に再送信する。これにより、店舗管理者により、ワンタイムキーの再出力が要請された場合に、既にサーバ30への課金が完了していれば、再度の課金が行われることなく、トークンが端末20に送信される。これにより、MFP10の管理における利便性をいっそう高めることができる。
【0095】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
記録装置は、MFP10に限らず、記録処理のみを行うプリンタであってもよい。
【0096】
第1暗号化情報は、店舗管理者が端末20を操作して、サーバ30に送信できる情報であればよく、ユーザIF14が音声出力を行える場合に、MFP10は、音声によりワンタイムキーを出力するものであってもよい。これ以外にも、第1暗号化情報は、文字情報に限らず、バーコードやQRコード(登録商標)といった図形情報であってもよい。
【0097】
第2暗号化情報は、店舗管理者がMFP10のユーザIF14を操作して入力できる情報であればよく、トークンに限定されない。これ以外にも、第2暗号化情報は、文字情報に限らず、バーコードやQRコード(登録商標)といった図形情報であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…MFP、12…記録エンジン、14…ユーザIF、17…コントローラ、20…端末、30…サーバ、32…コントローラ、35…メモリ、42…制御プログラム、100…サービス提供システム