(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022044999
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】ナット部材
(51)【国際特許分類】
F16B 37/04 20060101AFI20220311BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
F16B37/04 K
F16B7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150447
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 史日呼
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA08
3J039BB02
3J039GA03
3J039GA07
(57)【要約】
【課題】枠材と連結部材とを容易且つ適切に固定可能なナット部材を提供する。
【解決手段】側面部20に沿って溝部22が設けられた枠材2を連結固定させるのに用いられるナット部材1であって、溝部22に側面部20の外側から挿入可能な前後幅D1で、且つ溝部22の内側面24のフランジ部25に溝部22の内側から掛合可能な左右幅W1に形成された掛合部12と、フランジ部25の端面相互の間隙Sに嵌挿可能な左右幅W2に形成されたヘッド部13とを備え、掛合部12の前面部61に固定ボルト4を螺合接続可能なネジ孔10が設けられ、掛合部12の上面部65にヘッド部13が設けられ、掛合部12を溝部22に間隙Sの外側から挿入させ、左右方向に回動させることによりフランジ部25に掛合され、さらに後方へ傾倒回動させて、ヘッド部13を間隙Sに嵌挿させることにより、溝部22に保持される構成とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面部に沿って溝部が設けられた長尺の枠材を連結固定させるのに用いられるナット部材であって、
前記溝部に前記側面部の外側から挿入可能な前後幅で、且つ前記溝部の両内側面に設けられたフランジ部に前記溝部の内側から掛合可能な左右幅に形成された掛合部と、
前記フランジ部の端面相互の間隙に嵌挿可能な左右幅に形成されたヘッド部と、を備え、
前記掛合部の前面部に、固定ボルトを螺合接続可能なネジ孔が設けられ、
前記掛合部の上面部に、前記ヘッド部が設けられ、
前記掛合部を前記溝部に前記間隙の外側から挿入させ、左右方向に回動させることにより前記フランジ部に掛合され、さらに後方へ傾倒回動させて、前記ヘッド部を前記間隙に嵌挿させることにより、前記溝部に保持されるように構成された、ナット部材。
【請求項2】
前記ヘッド部の後面部に、前記溝部の内底面に設けられた被嵌合部に嵌合可能な位置決め用の嵌合部が設けられた、請求項1に記載のナット部材。
【請求項3】
前記掛合部は、前記溝部の内側面相互の溝内幅と略同一の左右幅に形成された、請求項1または2に記載のナット部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として工場の仕切壁や架台、棚などの構造物の枠材を連結固定させるのに用いられるナット部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、押出成形等により一方向に連続して形成される2つの長尺の枠材を連結固定させる構造として、各枠材の側面部に設けられた溝部にそれぞれ、ネジ孔を有する板状のナット部材を挿入掛合させるとともに、それら各枠材の側面部相互間に連結部材をあてがい、連結部材の貫通孔を通じてナット部材のネジ孔に固定ボルトを螺合接続させることで、2つの枠材相互を連結固定させるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
特許文献1の枠材連結構造で用いられているナット部材は、短手方向の寸法が溝部の開口幅より小さく、長手方向の寸法が溝部の開口幅より大きい略長方形状に形成されており、固定ボルトの先端に螺合接続された状態で枠材の側面部外側から溝部に挿入し、さらに固定ボルトを締め付けて溝部内で回動させることにより、溝部の両内側面に設けられたフランジ部をナット部材と連結部材とで挟持固定するように構成されている。
【0004】
特許文献2の枠材連結構造で用いられているナット部材は、溝部の断面形状と略同形の断面台形状に形成されており、固定ボルトの先端に螺合接続された状態で枠材の端面側から溝部に挿入し、さらに固定ボルトを締め付けて溝部内で回動させることにより、溝部の両内側面に設けられたフランジ部をナット部材と連結部材とで挟持固定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-295419号
【特許文献2】特開2002-81427号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2のナット部材はいずれも、溝部内で回動させて周面部を溝部の内側面に押接させることで、溝部内で位置決め保持されるように構成されているため、外部からの経年的な負荷や振動等により上記押接状態が解消されれば、溝部に沿ってずれたり、回動して溝部から脱落したりする虞があった。また、このものでは、上記のように周面部を溝部の内側面に押接させる前の状態では、溝部の決められた位置に保持されないため、固定ボルトを締め付ける際に位置ずれし易く、連結部材の取付精度にばらつきが生じる問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、枠材と連結部材とを容易且つ適切に固定可能なナット部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のナット部材は、以下の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明は、側面部に沿って溝部が設けられた長尺の枠材を連結固定させるのに用いられるナット部材であって、
前記溝部に前記側面部の外側から挿入可能な前後幅で、且つ前記溝部の両内側面に設けられたフランジ部に前記溝部の内側から掛合可能な左右幅に形成された掛合部と、
前記フランジ部の端面相互の間隙に嵌挿可能な左右幅に形成されたヘッド部と、を備え、
前記掛合部の前面部に、固定ボルトを螺合接続可能なネジ孔が設けられ、
前記掛合部の上面部に、前記ヘッド部が設けられ、
前記掛合部を前記溝部に前記間隙の外側から挿入させ、左右方向に回動させることにより前記フランジ部に掛合され、さらに後方へ傾倒回動させて、前記ヘッド部を前記間隙に嵌挿させることにより、前記溝部に保持されるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記ヘッド部の後面部に、前記溝部の内底面に設けられた被嵌合部に嵌合可能な位置決め用の嵌合部が設けられる。
【0011】
好ましくは、前記掛合部は、前記溝部の内側面相互の溝内幅と略同一の左右幅を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のナット部材によれば、掛合部を溝部の内側に設けられたフランジ部に掛合させ、且つヘッド部をフランジ部の端面相互の間隙に嵌挿させることで溝部に取り付け保持されるから、溝部に沿ってずれ難いし、ネジ孔に接続された固定ボルトとともにその周方向へ回動することもない。また、溝部の任意の位置に保持させておくことができるから、ネジ孔に固定ボルトを螺合接続させる際に位置ずれし難い。これにより、枠材に対して連結部材を容易且つ適切に固定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態のナット部材の使用状態の一例を示す図である。
【
図2】実施形態のナット部材の使用状態の一例を示す図である。
【
図3】実施形態のナット部材の前面側斜視図である。
【
図4】実施形態のナット部材の後面側斜視図である。
【
図5】実施形態のナット部材の正面図(1)、左側面部(2)、背面図(3)、および平面図(4)である。
【
図6】実施形態のナット部材を枠材に取り付ける手順1を示す図である。
【
図7】実施形態のナット部材を枠材に取り付ける手順2を示す図である。
【
図8】実施形態のナット部材を枠材に取り付ける手順3を示す図である。
【
図9】実施形態のナット部材の他の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るナット部材を、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0015】
図1および
図2に示すように、本実施形態のナット部材1は、押出成形等により一方向に連続して形成される2つの長尺の枠材2を板状の連結部材(以下、「連結板」という)3により連結して固定させるものであって、主として工場の仕切壁や架台、棚などの構造物を組立形成するのに用いられる。
【0016】
本実施形態では、一方の枠材2の側面部20に他方の枠材2の端面部21を当接させて直角に組み合わせるとともに、両枠材2の側面部20によって構成される直角面に連結板3をあてがい、ナット部材1および固定ボルト4によって固定させる。
【0017】
枠材2は、側面視略正方形状に形成されており、その4つの側面部(以下、「枠材側面」という)20にはそれぞれ、端面部21相互間に亘って枠材2の延長方向に連続する断面略コ字状の溝部22が形成されている。枠材2の中央部には、端面部21相互間に亘って枠材2の延長方向に連続する断面略円形状の中空部23が形成されている。
【0018】
溝部22は、枠材側面20の長縁相互間の中央部に設けられている。溝部22の対向する両内側面(以下、「溝内側面」という)24にはそれぞれ、上記中央部に向かって突出するフランジ部25が形成されている。フランジ部25は、溝部22の開口側の端縁部に沿って形成されており、これらフランジ部25の端面相互の間隙Sが溝部22の開口部となる。
【0019】
溝部22の内底面(以下、「溝内底面」という)26には、後述する嵌合爪17の被嵌合部として、枠材2の延長方向に連続する2つの細幅の断面略V字状の溝(以下、「嵌合溝」という)27が平行に形成されている。嵌合溝27はそれぞれ、対応する枠材側面20の外側から見て、上記間隙Sの下方対向位置に設けられている。
【0020】
連結板3は、略直角のL字状に折曲形成された板体であり、上記間隙Sを枠材側面20の外側から覆うようにして枠材2に固定される。連結板3の各板半体30における側縁相互間の中央位置にはそれぞれ、固定ボルト4のボルト軸41を挿通するためのボルト挿通孔31が形成されている。上記各板半体30と固定ボルト4のボルトヘッド42との間にはそれぞれ、ワッシャ5が環装される。
【0021】
図1~
図8に示すように、ナット部材1は、上下に延長され且つ上記間隙Sに挿通可能な前後幅および左右幅を有する柱状の軸体11と、軸体11の下端部に設けられ、軸体11の外周左右方向に延出する略角柱状の掛合部12と、軸体11の上端部に設けられ、軸体11の外周前後方向に延出する略角柱状のヘッド部13とを備えている。
【0022】
なお、本実施形態では、軸体11の延長方向をナット部材1の上下方向、軸体11と直交する方向の一方、掛合部12の延長方向をナット部材1の左右方向、軸体11と直交するヘッド部13の延長方向をナット部材1の前後方向として説明する。従って、それら各方向は、枠材2に対するナット部材1の実際の取付姿勢における上下方向、左右方向、および前後方向とは必ずしも一致しない。
【0023】
また、本実施形態では、ナット部材1は、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料により形成されるが、枠材2および連結板3相互を所望の強度で連結固定可能であれば、高強度高弾性率を有する合成樹脂やセラミックなど、その形成材料に何ら限定されない。
【0024】
掛合部12は、前後幅D1が上記間隙Sの幅寸法、即ち、溝開口幅S1以下に形成され、左右幅W1が溝開口幅S1より大きく、且つ溝内側面24相互間の寸法、即ち、溝内幅S2以下に形成されている。本実施の形態では、掛合部12の前後幅D1は、溝開口幅S1と略同一に形成され、掛合部12の左右幅W1は、溝内幅S2と略同一に形成されている。これにより、掛合部12は、下面部64を溝部22側へ向けた姿勢で、溝部22に枠材側面20の外側から挿入させることができる(
図6参照)。また、上記のように溝部22に挿入させた後、軸体11を中心として左右に回動させることで、フランジ部25に掛合させることができる(
図7参照)。
【0025】
掛合部12の前面部61における左右間の中央位置には、固定ボルト4を螺合接続可能なネジ孔10が設けられている。ネジ孔10は、掛合部12の前面部61から後面部62に亘って貫設されている。
【0026】
掛合部12の左右の側面部63はそれぞれ、前後間の中央部から前後の端縁部に向かって傾斜する断面略V字状の曲凸面に形成されており、それら曲凸面の頂部相互間の寸法が溝内幅S2と略同一に形成されている。従って、掛合部12は、上記のように溝部22に挿入させた状態(
図6に示す状態)において、前面側側縁部および後面側側縁部の各コーナー部が溝内側面24に干渉しないように、軸体11を中心として左右に回動させることができる。また、上記のように軸体11を中心として略90度回動させることで、上記頂部がそれぞれ溝内側面24に当接されるから、掛合部12の溝部22内での左右方向への移動が阻止されるとともに、溝部22の延長方向への移動も抑制される。
【0027】
掛合部12の上下幅H1は、溝部22内におけるフランジ部25と溝内底面26との間の寸法、即ち、溝内高S3より小さく形成されている。掛合部12の前後幅D1も同様、溝内高S3より小さく形成されている。
【0028】
掛合部12の下面部64は、溝部22に挿入された状態において、溝内底面26に近接対向して配される。一方、掛合部12の上面部65は、溝部22に挿入された状態において、フランジ部25の内側面に近接対向して配される。
【0029】
また、掛合部12の下面部64は、後縁部が上向きの傾斜面に形成されている。一方、掛合部12の上面部65は、前縁部が下向きの傾斜面に形成されている。即ち、掛合部12は、下面側後縁部および上面側前縁部の各コーナー部が傾斜面に形成され、下面側前縁部および上面側後縁部の各コーナー部は、略直角の凸面に形成されている。従って、掛合部12は、上記のように溝部22に挿入させた後、左右方向へ略90度回動させた状態(
図7に示す状態)において、軸体11を前方へ傾倒させる方向への回動が阻止される一方、後方へ傾倒させる方向への回動が許容される。
【0030】
ヘッド部13は、前後幅D2が溝内底面26に設けられた嵌合溝27の底部から枠材側面20までの寸法、即ち、溝深さS4と略同一に形成され、左右幅W2が溝開口幅S1と略同一に形成されている。従って、掛合部12を上記のように溝部22内で略90度回動させ、さらに軸体11を後方へ略90度傾倒させることで、ヘッド部13は、前面部71を枠材側面20に略面一致させた状態で、フランジ部25相互の間隙Sに嵌挿保持される(
図8参照)。なお、ヘッド部13の前後幅D2は、上記のようにヘッド部13を間隙Sに嵌挿させたときに、左右の側面部73の少なくとも一部がフランジ部25の内側端面に当接係合可能であれば、溝深さS4より小さく形成されてもよい。また、ヘッド部13の左右幅W2は、上記のようにヘッド部13を間隙Sに嵌挿させたときに、ヘッド部13の略全体を溝部22の内部まで押し込み可能であれば、溝開口幅S1より大きく形成されてもよい。
【0031】
ヘッド部13の側面部73は、前面部71側から後面部72側へ向かって縮幅するテーパ面に形成されており、そのテーパ面の頂部相互間の寸法、即ち、側面部73の前縁部寄りの幅寸法が溝開口幅S1と略同一に形成されている。従って、上記のようにヘッド部13が間隙Sに嵌挿された際(
図8に示す状態)には、側面部73の前縁部寄りの位置がフランジ部25の端面に押接係合される。これにより、ヘッド部13が溝部22内で左右方向へ移動するのが阻止されるとともに、溝部22に沿って移動するのも抑制される。また、ヘッド部13の側面部73が前方から後方に向かって縮径するテーパ状に形成されていることで、溝部22に対する軸体11の傾倒方向に多少のずれが生じていても、ヘッド部13は、フランジ部25の端面に沿って間隙Sの中央位置へ導かれる。これにより、ヘッド部13を適切に間隙Sに嵌挿させることができる。
【0032】
ヘッド部13の後面部72には、溝内底面26に設けられた嵌合溝27に嵌合可能な嵌合部として、下面部74から上面部75に亘って上下方向に連続する2つの細幅の断面略V字状の突起(以下、「嵌合爪」という)17が平行に形成されている。
【0033】
嵌合爪17は、ヘッド部13の後面部72の左右の側縁部に沿って設けられており、その左右の離間距離は、溝内底面26に設けられた2つの嵌合溝27の離間距離と一致している。従って、上記のようにヘッド部1が間隙Sに嵌挿された際(
図8に示す状態)、2つの嵌合爪17はそれぞれ、溝内底面26の対応する嵌合溝27に嵌合される。これにより、ヘッド部13の溝部22内での左右方向への移動がより確実に阻止される。また、嵌合爪17と嵌合溝27とが押接係合することで、ヘッド部13が溝部22に沿って移動するのも抑制される。
【0034】
ヘッド部13の前面部71における左右間の略中央位置には、軸体11の外周延長面上に至る前方視略矩形状の凹没部14が形成されており、前面部71の左右の側縁部に沿って細幅板状の側板部15を形成している。従って、ナット部材1を溝部22から取り外す際に、ヘッド部13が間隙Sに強固に嵌挿されていても、上記凹没部14を画成する左右の側板部15の撓みによって、ヘッド部13を間隙Sから比較的容易に抜脱させることができる。しかも、このものでは、ヘッド部13の側面部73が前方から後方に向かって縮径するテーパ状に形成されているから、側面部73の前縁部寄りの位置とフランジ部25の端面との押接状態が解除されれば、ヘッド部13を間隙Sからより容易に抜脱させることができる。
【0035】
ヘッド部13の上面部75には、前縁部に沿って左右方向に連続する細幅の断面略コ字状の突片(以下、「引掛け爪」という)16が形成されている。従って、ナット部材1を溝部22から取り外す際に、ヘッド部13が間隙Sに強固に嵌挿されていても、上記引掛け爪16にマイナスドライバーや取り外し用の工具などを引掛けることで、ヘッド部13を間隙Sからより容易に抜脱させることができる。
【0036】
このように、本実施形態のナット部材1によれば、掛合部12を溝部22のフランジ部25に掛合させ、且つヘッド部13をフランジ部25相互の間隙Sに嵌挿させることで、溝部22の所定位置に取り付け保持されるから、たとえナット部材1の周辺部に外部負荷や振動が加わっても、ナット部材1は、溝部22に沿ってずれ難いし、固定ボルト4とともにその周方向(左右方向)へ回動することもない。これにより、枠材2に対して連結部材3を適切に固定された状態で保持することが可能である。
【0037】
しかも、このものでは、上記のように溝部22の任意の位置に取り付け保持させておくことができるから、固定ボルト4をナット部材1に螺合接続させる際に位置ずれし難く、枠材2に対して連結部材3を容易且つ適切に固定させることも可能である。
【0038】
また、このものでは、ヘッド部13をフランジ部25相互の間隙Sに嵌挿させた際に、ヘッド部13の後面部に設けられた2つの嵌合爪17が溝内底面26に設けられた2つの嵌合溝27に嵌合されるから、外部負荷や振動等に起因する溝部22の延長方向へのずれや左右方向への回動をより確実に防止できる。よって、枠材2に対して連結部材3をより適切に固定状態で保持することが可能である。また、固定ボルト4をナット部材1に螺合接続させる際に、より一層位置ずれし難いから、枠材2に対して連結部材3をより容易且つ適切に固定させることも可能である。
【0039】
さらに、このものでは、掛合部12の左右幅W1が溝内幅S2と略同一に形成されていることで、掛合部12を溝部22のフランジ部25に掛合させた際にその側面部63が溝内側面24に当接されるから、外部負荷や振動等に起因する溝部22の延長方向へのずれや左右方向への回動を一層確実に防止できる。よって、枠材2に対して連結部材3をより適切に固定状態で保持することが可能である。また、固定ボルト4をナット部材1に螺合接続させる際に、より一層位置ずれし難いから、枠材2に対して連結部材3をより容易且つ適切に固定させることも可能である。
【0040】
上記実施形態では、
図1および
図2に示したように、直角に組み合わせた2つの枠体2相互をL字状の連結板3により連結固定させる場合について説明したが、
図9に示すように、ナット部材1は、平行に並べた2つの枠体2相互を平板状の連結板3により連結固定させるのに用いることもできる。また、図示しないが、ナット部材1は、吊下げフックや化粧パネルなど他の連結部材を枠体2の溝部22に連結固定させるのに用いることもできる。
【0041】
また、上記実施形態では、ヘッド部13に並設された2つの嵌合爪17を、枠材2の溝内底面26に並設された2つの嵌合溝27に嵌合させることによって、ナット部材1のずれや回動を阻止するように構成されたものを説明したが、嵌合爪17および嵌合溝27はそれぞれ、単数のみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。また、嵌合爪17および嵌合溝27は、ナット部材1のずれや回動を適切に阻止可能であれば、円形状や矩形状、曲線状など、その凹凸形状に何ら限定されない。
【0042】
また、上記実施形態では、ヘッド部13に嵌合部としての嵌合爪17が設けられる一方、枠材2の溝内底面26に被嵌合部としての嵌合溝27が設けられたものを説明したが、ヘッド部13に嵌合部としての細幅溝状の凹部が設けられる一方、枠材2の溝内底面26に被嵌合部としての細幅リブ状の凸部が設けられたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ナット部材
2 枠材
3 連結板
4 固定ボルト
10 ネジ孔
11 軸体
12 掛合部
13 ヘッド部
17 嵌合爪(嵌合部)
20 枠材の側面部
22 溝部
25 フランジ部
27 嵌合溝(被嵌合部)
61 掛合部の前面部
65 掛合部の上面部
D1 掛合部の前後幅
D2 ヘッド部の前後幅
S 間隙
W1 掛合部の左右幅
W2 ヘッド部の左右幅