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特開2022-45024計画システム、計画方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045024
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】計画システム、計画方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220311BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150488
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】井出 陽子
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祐一
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽
(72)【発明者】
【氏名】塩塚 優菜
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和久
【テーマコード(参考)】
3F022
5L049
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE04
3F022JJ12
3F022KK01
3F022LL06
3F022MM11
3F022MM13
3F022MM14
3F022MM35
3F022MM38
5L049AA16
5L049CC52
(57)【要約】
【課題】倉庫内における効率の良い荷物の配置と効率の良い入出庫を実現する計画を同時に作成する計画システムを提供する。
【解決手段】計画システムは、倉庫のレイアウト情報に基づいて倉庫の入庫口、出庫口、保管場所、中継地をノードとするネットワークモデルを作成し、入庫予定情報と出庫予定情報に基づいて、搬送機器がノード間を接続する経路を通って入庫口から保管場所まで移動して製品を入庫し、保管場所から出庫口まで移動して製品を出庫したときの、入庫完了時刻、出庫完了時刻、搬送機器の移動距離、保管場所ごとの製品の保管数を算出し、入庫と出庫の遅延時間と、移動距離と、複数種類の製品が混在して所定範囲内に保管されることに対するペナルティ値と、倉庫内の占有率との加重和が最小となるときの搬送機器の移動経路などを算出することにより入出庫計画を作成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得するデータ取得部と、
前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成する入出庫計画作成部と、
を備える計画システム。
【請求項2】
前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、製品の保管場所を示す複数のノードと、前記入庫口を示すノードと前記保管場所の各々を示すノードを接続する第4の経路と、前記出庫口を示すノードと前記保管場所の各々を示すノードを接続する第5の経路と、によって前記倉庫をモデル化したエリア最適化モデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第4の経路を移動させて、入庫に係る製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第5の経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記第4の経路を通って入庫された前記製品の数を示す第1製品数と、前記第4の経路を通って入庫された前記搬送機器ごとの前記製品を示す第2製品数と、前記第5の経路を通って出庫された前記製品の数を示す第3製品数と、前記第5の経路を通って出庫された前記搬送機器ごとの前記製品の数を示す第4製品数と、を算出し、入庫できなかった前記製品の数と、出庫できなかった前記製品の数と、前記移動距離の合計と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記第1製品数と、前記第2製品数と、前記第3製品数と、前記第4製品数と、を算出するエリア最適化部、をさらに備え、
前記入出庫計画作成部は、前記第1製品数が0となった前記第4の経路に係る前記保管場所と、前記第3製品数が0となった前記第5の経路に係る前記保管場所と、を除外して、前記ネットワークモデルを作成する、
請求項1に記載の計画システム。
【請求項3】
前記入庫予定情報と前記出庫予定情報において入庫の予定のみが存在する場合、前記入庫納期が近い前記製品から順に、入庫に係る前記製品と同一の前記製品が保管された複数の前記保管場所を含む領域のうち、最も前記入庫口に近い前記領域を入庫先に選定し、当該入庫先に入庫する計画を作成し、前記入庫先を選定すると、前記入庫納期までに入庫できない場合、次に前記入庫口に近い前記領域を前記入庫先に選定して前記計画を作成する処理を繰り返すことにより、予定された前記入庫の入庫計画を作成する入庫計画部、
をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の計画システム。
【請求項4】
前記入庫予定情報と前記出庫予定情報において出庫の予定のみが存在する場合、前記出庫納期が近い前記製品から順に、出庫に係る前記製品と当該製品とは異なる前記製品とが保管された、複数の前記保管場所を含む領域のうち、最も前記出庫口に近い前記領域を出庫元に選定し、当該出庫元から出庫する計画を作成し、前記出庫元を選定すると、前記出庫納期までに出庫できない場合、次に前記出庫口に近い前記領域を前記出庫元に選定して前記計画を作成する処理を繰り返すことにより、予定された前記出庫の出庫計画を作成する出庫計画部、
をさらに備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の計画システム。
【請求項5】
前記入庫予定情報と前記出庫予定情報において入庫および出庫の予定が存在しない場合、出庫期限が近い前記製品から順に、前記製品と同一の前記製品が保管された複数の前記保管場所を含む領域のうち、前記出庫口から所定の距離以上離れた前記領域に保管された前記製品を、前記出庫口に最も近い前記領域に移動する計画を作成し、所定の時間内に移動できない場合、次に前記出庫口に近い前記領域へ移動させる計画を作成する処理を繰り返すことにより、出庫期限が近い前記製品を前記出庫口の近くに移動させる配替計画を作成する配替計画部、
をさらに備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の計画システム。
【請求項6】
前記入出庫計画作成部は、所定の第1時間に予定された入庫及び出庫について、前記第1時間を分割し、分割後の複数の時間のうち、早い時間から順に当該時間内に予定された入庫及び出庫に対して、前記搬送機器の移動経路と移動順を算出する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の計画システム。
【請求項7】
前記入出庫計画作成部は、1台の前記搬送機器について、予定された入庫及び出庫に対する前記入出庫計画を作成し、前記入庫納期までに入庫できない又は前記出庫納期までに出庫できない前記入出庫計画が作成された場合、当該入出庫計画を破棄し、破棄した前記入出庫計画に係る入庫と出庫については、別の前記搬送機器を用いた前記入出庫計画を作成する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の計画システム。
【請求項8】
倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得するステップと、
前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成するステップと、
を有する計画方法。
【請求項9】
コンピュータに、
倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得し、
前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成する処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計画システム、計画方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫の入出庫作業や棚卸作業は人手によって実行されることが多かった。例えば、倉庫内に区画した入庫先エリア、出荷元エリアに決まった順序で荷物を格納し、夜間などの空いた時間に同一製品を同じエリアにまとめる配替え作業を行う。これに対し、特許文献1には、倉庫から効率良く製品を出庫できるように、製品の出庫予測を行い、出庫が予測される製品を出庫しやすい場所に配置する製品配置システムが開示されている。特許文献2には、倉庫内の荷物の配置を変更する配替え作業に関し、配替え対象の荷物を搬送する搬送機器の走行距離が短くなるように走行ルートを計画する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6457705号公報
【特許文献2】特開2020-093935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の入出庫計画を作成する方法では、入庫、出庫、配替えを個別に計画するため、例えば、入出庫口へ出庫対象の製品を搬送後、同位置に置かれた入庫対象の製品を持ち帰るという、1つの作業のついでに他の作業を行う計画を作成できず、搬送作業に無駄が生じる可能性がある。また、従来の方法では、入出庫作業に必要な搬送機器の台数を最適化することができない。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる計画システム、計画方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の計画システムは、倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得するデータ取得部と、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成する入出庫計画作成部と、を備える。
【0007】
また、本開示の計画方法は、倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得するステップと、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成するステップと、を有する。
【0008】
また、本開示のプログラムは、コンピュータに、倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得し、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上述の計画システム、計画方法およびプログラムによれば、倉庫内で保管する製品の効率的な配置計画及び入出庫計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る計画システムの一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態に係る倉庫のレイアウトを説明する図である。
図3A】本開示の一実施形態に係るパレットの配置計画及び入出庫計画を作成する処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図3B】本開示の一実施形態に係るパレットの配置計画及び入出庫計画を作成する処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図4】本開示の一実施形態に係るエリア最適化処理の一例を示すフローチャートである。
図5A】本開示の一実施形態に係るエリア最適化処理を説明する第1の図である。
図5B】本開示の一実施形態に係るエリア最適化処理を説明する第2の図である。
図6】本開示の一実施形態に係るパレット配置・入出庫同時最適化モデルを説明する第1図である。
図7】本開示の一実施形態に係るパレット配置・入出庫同時最適化モデルを説明する第2図である。
図8】本開示の一実施形態に係るパレット配置・入出庫同時最適化モデルを説明する第3図である。
図9】本開示の一実施形態に係るパレット配置・入出庫同時最適化処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本開示の一実施形態に係る入庫計画、出庫計画、配替え計画を作成する処理を説明する図である。
図11A】本開示の一実施形態に係る入庫計画最適化処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図11B】本開示の一実施形態に係る入庫計画最適化処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図12A】本開示の一実施形態に係る出庫計画最適化処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図12B】本開示の一実施形態に係る出庫計画最適化処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図13】本開示の一実施形態に係る配替計画最適化処理の一例を示すフローチャートである。
図14】本開示の一実施形態に係る計画システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る計画システムについて、図1図14を参照しながら詳しく説明する。
【0012】
<実施形態>
(構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る計画システムの一例を示す図である。
計画システム10は、倉庫内におけるパレットの配置及び入出庫を最適化する計画を同時に作成するシステムである。パレットとは、入出庫する製品を載せる台を表し、倉庫にて保管する製品は、パレット単位で搬送され、配置(保管)される。そのため、本実施形態では、製品の代わりに入出庫する製品を載せたパレットの配置計画及び入出庫計画を作成する。製品の入庫は、搬送機器によって、その製品を載せたパレットを入庫口からパレットを保管する場所へ搬送することによって行い、出庫は、製品の保管場所から出庫口へ出庫対象の製品を載せたパレットを搬送することによって行う。搬送機器は、例えば、有人又は無人のフォークリフトである。パレットの保管場所をロケ(ロケーションの略)と呼ぶ。ロケとは、1つのパレットを配置可能な倉庫内のスペースを表す。1つのロケには、縦方向に複数のパレットを積み上げることができる。更にロケの集合をスタック、スタックの集合をエリアと呼ぶ。また、倉庫では、入出庫の他に配替えと呼ばれる作業が行われる。配替えとは、倉庫内で製品の保管場所を移動させる作業である。配替えは、例えば、出庫に要する時間を短縮させるために、出庫口から遠い場所に保管された製品を、事前に出庫口の近くに移動させる目的で行う。
【0013】
計画システム10は、パレットの入出庫時間を最小化し、倉庫内のパレットの格納率を向上させること等を目的として、パレットの配置場所を決定する配置計画と、パレットを搬送する搬送機器の台数やその搬送経路および搬送順(例えばパレット1を入庫してからパレット2を出庫する等)を計画する入出庫計画を作成する。具体的には、計画システム10は、パレットの搬送と保管を表現する数理モデルを用いて、ある入出庫の予定に対して、配置計画及び入出庫計画を作成し、それらの計画を実行した場合の入出庫時間や倉庫の格納率等を計算する。計画システム10は、所定の制約条件の下で、入出庫時間及び倉庫の格納率等を目的関数とする数理計画問題を解くことによって、目的関数の値を最適化するパレットの配置計画と入出庫計画を同時に作成する。
【0014】
図1に示すように、計画システム10は、データ取得部101と、処理制御部102と、出力部105と、記憶部106と、を備える。
データ取得部101は、倉庫レイアウト情報と、製品情報と、搬送機器情報と、初期在庫情報と、入庫予定情報と、出庫予定情報と、を取得する。
処理制御部102は、パレットの配置計画及び入出庫計画を作成する処理を制御する。処理制御部102は、エリア最適化部103と、計画作成部104と、を備える。
エリア最適化部103は、入庫予定情報と出庫予定情報を分析し、搬送距離の最小化、同種類の製品を分散させない、特定のエリア・搬送機器に作業を集中させない等の観点からエリア最適化モデルを構築して、この数理モデルを数理計画法で解くことにより、具体的なパレットの配置計画及び入出庫計画を算出する前段階として、最適な入庫先エリア、出庫元エリア、各エリアに配備する搬送機器のおおよその数などを決定する。
【0015】
計画作成部104は、エリア最適化部103が決定した入庫先エリアや出庫元エリア等を用いて、具体的なパレットの配置計画及び入出庫計画を作成する。例えば、計画作成部104は、入庫と出庫の両方が予定されている場合には、上記の数理計画問題を解くことによって、パレットの配置計画及び入出庫計画を作成する。計画作成部104は、入庫のみが予定されている場合には入庫計画を、出庫のみが予定されている場合には出庫計画を、入庫も出庫も予定されていない場合には配替計画を、各計画別に用意されたヒューリスティック手法を用いて作成する。
出力部105は、パレットの配置計画及び入出庫計画などの計画情報を出力する。
記憶部106は、データ取得部101が取得した情報などを記憶する。
【0016】
図2は、本開示の一実施形態に係る倉庫のレイアウトを説明する図である。
図2に製品を保管しておく倉庫をモデル化した図を示す。図2示すように倉庫1は、入出庫口2と、配置可能エリア4と、通路3とで構成されている。入出庫口2は、製品の入出庫を行う出入口である。入庫口と出庫口が別々の場所に定義されていてもよい。配置可能エリア3は、マス状に区画され、各マスをロケと呼ぶ。各ロケには製品を載せたパレットが配置される。各ロケにおいて、パレットは段積みされる場合がある。各ロケは奥行き方向と、列方向の番号で表すことができる。奥行き方向とは、パレットの収納、取り出しが可能な方向で、搬送機器は、配置可能エリア3において、奥行き方向を往復してパレットの収納、取り出しを行う。列方向とは、奥行き方向と直交する方向であって、パレットの収納、取り出しが不可能な方向である。また、ロケを奥行き方向でまとめた領域(1又は複数列でまとめた領域)をスタックと呼ぶ。図2の例では、2つのパレットを1度に運び、これらを隣り合う列のロケに配置する搬送機器を想定し、2列のロケの集合をスタックと定義しているが、スタックは、1列のロケの集合であってもよい。倉庫内の整理整頓の観点から、好ましくは1つのスタックには、同じ製品を積んだパレットのみを配置する。同じ製品を載せたパレットだけが配置されているスタックを同一スタック、異なる製品を載せたパレットが1つのスタックに混在して配置されている場合、そのスタックを混在スタックと呼ぶ。また、通路3には図示しない搬送機器が配置される。倉庫1を次のようにモデル化する。入出庫口、各スタックをノード(図2の丸印)として表す。入出庫口に対応するノードはN1、スタックに対応するノードはN6~N17である。更に通路3において、搬送機器が必ず通過する中継地を想定し、中継地をノードとして表す(N2~N4)。中継地には、搬送機器が回転や方向変更を行う位置が選ばれる。また、中継地間の距離が離れすぎないように、中継地は、所定の間隔で配置される。そして、近距離に存在するノード同士を枝で接続する。ノードの接続関係を示す枝L1~L15は、搬送機器の経路であり、その長さはノード間の距離を示す。入出庫口のノードN1から搬送対象のパレットが存在するロケが属するノードN17まで移動する場合、搬送機器は、N1、N4、N17の順に移動する。これらのノードを接続する枝L2、L15を辿ることで、ノードN1とノードN17の間の搬送距離を計算することができる。搬送機器は、スタックに対応するノードへは、必ずそのスタックを担当する中継地を経て移動する。例えば、入出庫口のノードN1から左端のスタックに対応するノードN6まで移動する場合、搬送機器は、N1、N3、N2、N6の順に移動する。後述するように倉庫には、2階建てのものが存在し、そのような倉庫では1階と2階のパレットの搬送にオートレータが用いられる。2階建ての倉庫の場合には、1階と2階を接続するオートレータを1つのノードとして表し、モデル化する(後述)。
【0017】
(動作)
<パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理の全体的な流れ>
次に、パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理の全体像について説明する。
図3A、3Bは、それぞれ、パレットの配置計画及び入出庫計画を作成する処理の一例を示す第1、第2のフローチャートである。
【0018】
まず、データ取得部101が、入力データを取得する(ステップS1)。
例えば、データ取得部101は、倉庫レイアウト情報として、ノードの存在する階数(1階、2階)や種類(入庫口、出庫口、中継地、スタック)、ノード間の接続関係(接続元と接続先)およびノード間の距離を定義した電子ファイル、ノードに所属するロケのIDと列番号および奥行番号などを定義した電子ファイルを取得する。
【0019】
データ取得部101は、製品情報として、製品のID、段積みの上限値、ランクなどが設定されている電子ファイルを取得する。ランクは、過去の出庫頻度の実績などを基に設定される出庫頻度を示す値である。
【0020】
データ取得部101は、搬送機器情報として、搬送機器のID、同時に搬送できるパレット数、移動速度、搬送機器へのパレットの荷積に要する時間、荷降ろしに要する時間などが設定された電子ファイルを取得する。
【0021】
データ取得部101は、初期在庫情報として、初期状態において既に倉庫に配置されている製品を載せたパレットのID、パレットに積載されている製品のID、その製品の出庫期限、そのパレットが配置されているロケのID等が設定された電子ファイルを取得する。
【0022】
データ取得部101は、入庫予定情報として、入庫の予定が確定しているパレットのID、そのパレットに積載されている製品のID、その製品の出庫期限、入庫可能日時、入庫完了目標日時などが設定された電子ファイルを取得する。出庫期限とは、例えば、製品が食品の場合、賞味期限に基づいて設定される期日のことである。
【0023】
データ取得部101は、出庫予定情報として、出庫の予定が確定している製品のID、出庫するパレット数、出庫可能日時、出庫完了目標日時などが設定された電子ファイルを取得する。
データ取得部101は、これらの入力データを取得すると、記憶部106に記録する。
【0024】
次にエリア最適化部103が、エリア最適化処理を実行する(ステップS2)。
エリア最適化処理とは、パレットの配置計画及び入出庫計画の作成に先立って、入庫予定情報と出庫予定情報に基づいて、予定された入出庫の全体に対する大まかなパレットの配置および入出庫方針を決定する処理である。エリア最適化処理では、倉庫のレイアウト及び入出庫をエリア最適化モデルで表し、このモデルを定式化し、この問題を解くことによって、予定された入出庫に対するおおよその入庫先エリア、出庫元エリア、搬送機器台数などを算出する。図4を用いてエリア最適化処理について説明する。
【0025】
図4は、本開示の一実施形態に係るエリア最適化処理の一例を示すフローチャートである。
まず、エリア最適化部103は、ネットワークモデルを構築する(ステップS11)。ここで、図5A図5Bを参照する。図5A図5Bは、それぞれ、本開示の一実施形態に係るエリア最適化処理を説明する第1、第2の図である。図5Aに倉庫のレイアウトの一例を示し、図5Bに、図5Aに示す倉庫のネットワークモデルを示す。図5Aに示すように、倉庫は、1階と2階から成り、1階には、入庫口と出庫口、配置可能エリアが存在する。2階には、配置可能エリアが存在する。1階と2階は、オートレータAおよびオートレータBで接続される。この倉庫を、ノードと、ノード間を接続する枝でモデル化する。まず、倉庫内の搬送機器が移動可能な場所(入庫口、出庫口、中継地、オートレータ、通路、スタック、エリア)にノードを設け、場所間の移動可能な通路を枝とするネットワークモデルを作る。具体的には、入庫口をノードI、出庫口をノードOとする。1階の配置可能エリアのうち入庫側をノード1A、出庫口側をノード1Bとする。オートレータAをノードA、オートレータBをノードBとする。2階の配置可能エリアのうち入庫側をノード2A、出庫口側をノード2Bとする。そして、ノードIとノード1Aを結ぶ入庫枝、ノードIとノードAを結ぶ入庫枝、ノードIとノード1Bを結ぶ入庫枝、ノードIとノードBを結ぶ入庫枝、ノードAとノード2Aを結ぶ入庫枝、ノードBとノード2Bを結ぶ入庫枝、ノード2AとノードAを結ぶ出庫枝、ノード2BとノードBを結ぶ出庫枝、ノードAとノードOを結ぶ出庫枝、ノードBとノードOを結ぶ出庫枝をそれぞれ作成する。エリア最適化部103は、倉庫レイアウト情報に基づいて、図5Bに例示するネットワークモデルを構築する。
【0026】
次にエリア最適化部103は、数理モデルを作成する(ステップS12)。
エリア最適化部103は、ステップS1で取得された入力データと、図5Bに例示するネットワークモデルに基づいて、次の数理モデルを作成する。この数理モデルは、倉庫レイアウトや、入出庫情報等のパレットの配置計画及び入出庫計画に必要な情報に基づいて、搬送機器台数とその運用エリアを決定する数理モデルである。
【0027】
(定数)
1.入庫予定情報の入庫数の合計、出庫予定情報の出庫数の合計。(計画対象期間、例えば、翌日の1日分の入出庫の合計を用いる)
2.倉庫レイアウト情報、製品情報、初期在庫情報に基づく空きロケ数、在庫数。
3.距離コスト、入庫するときのコスト、出庫するときのコスト。(搬送機器の移動距離に応じてコストが設定される。)
4.搬送機器情報の上限値、1つの枝上でパレットを搬送できる上限値。
5.後述する重み係数K1、K2、K3。
【0028】
(設計変数)
ネットワークモデルの各枝に対して、各製品のパレット数と各搬送機器が搬送するパレット数を表す設計変数を設定する。
1.各枝における、各品物のパレット数(実数変数)
2.各枝における、各搬送機器が搬送するパレット数(実数変数)
【0029】
(制約条件)
制約条件として、入庫数上限、出庫数上限、入出庫に関する流量保存則(搬送機器が搬送するパレット数の総和と入出庫完了数は等しい)を設定する。
1.入庫するパレット数は、空きロケ数以下とする。
2.出庫数するパレットは、初期在庫数以下とする。
3.搬送機器が搬送するパレット数の合計と、入出庫完了数が等しい(流量保存則)。
【0030】
(目的関数)
目的関数は、入出庫未完了数、搬送距離、混在スタック数に対するペナルティ値、格納率(倉庫の面積使用率:全スタック中、パレットが置かれたスタックの割合)にそれぞれに個別の重みを付した値の総和である。混在スタック数に関する評価値を目的関数に加えるのは、混在スタックではどの製品がスタック中に配置されているか判別に余計な手間が発生することや、奥側にある製品を取り出しにくいことが原因で、入出庫時間短縮の弊害となる可能性があり、事前に混在スタック数を減らしておく意味がある。
1.入庫できなかった数と出庫できなかった数の最小化
2.搬送機器が移動する距離と製品を搬送する距離の最小化
3.製品が混在する混同スタック数と格納率の最小化
これらの目的のうち1.を最優先とし、2.と3.については任意の重み係数を当たれることができる。つまり、1.を算出する関数をF1、2.を算出する関数をF2、3.を算出する関数をF3とすると、目的関数は、K1・F1+K2・F2+K3・F3を最小化することである(K1>K2、K3)。エリア最適化部103は所定の関数F1~F3を用いて、3種類の目的に関する評価値とその加重和を計算する。
【0031】
次にエリア最適化部103は、作成した数理モデルを解く最適化計算を実行する(ステップS13)。最適化計算には、一般に提供されているGurobi等のソルバーを使用することができる。上記数理モデルを、目的関数が最小となるように解くと、各設計変数、つまり各枝の製品別のパレット数と搬送機器別の搬送するパレット数の最適値が出力される。例えば、設計変数の1.については、図5Bに示すように、入庫口からノード1Aへ7個、入庫口からオートレータAを経てノード2Aへ3個入庫され、また、ノード1Bから出庫口へ5個出庫されるといった解が得られる。また、設計変数の2.については、例えば、入庫口からノード1Aへ搬送する7個について、搬送機器1によって4個、搬送機器2によって3個といった解が得られる。なお、設計変数は実数変数であるが、制約条件が単純なため、基本的には整数値の解が得られる。解が小数値となった場合、エリア最適化部103は、四捨五入や切り上げなどの端数処理による整数化を行う。
【0032】
最後にエリア最適化部103が、最適化計算の結果を記憶部106に記録する(ステップS14)。例えば、エリア最適化部103は、最適解として算出された上記の設計変数1、2を記録する。これらの値から、入庫するパレットを配置すべきエリア、出庫すべき製品を載せたパレットが配置されているエリア、入出庫に必要なエリアごとの搬送機器の台数を算出することができる。
【0033】
図3Aに戻る。次に処理制御部102が、問題を小問題に分割する(ステップS3)。例えば、翌日の入庫予定情報および出庫予定情報に基づいて、1日分のパレット配置計画及び入出庫計画を作成する場合、上記のステップS2では、1日分全体の入庫、出庫を対象としてエリア最適化処理を行うが、具体的な入出庫計画を作成するこれ以降の処理については、1日分の入出庫計画を作成するという問題を単位時間毎(例えば、1時間毎)の計画を作成するという小問題に分割する。具体的には、例えば、入庫予定情報および出庫予定情報に翌日の24時間分の入出庫の予定情報が含まれる場合、処理制御部102は、最初の1時間(0時間目:0~60分)に予定されている入出庫に対する配置計画及び入出庫計画を作成する小問題1、次の1時間(1時間目:60~120分)に予定されている入出庫に対する配置計画及び入出庫計画を作成する小問題2、・・・、最後の1時間(1時間目:1380~1440分)に予定されている入出庫に対する配置計画及び入出庫計画を作成する小問題24の計24個の小問題に分割する。そして、以下の処理により、処理制御部102が、最初の区間の小問題1を解き、次の区間の小問題2から最後の区間の小問題24までを順に解く。各区間の小問題は、その区間で使用しないエリアを計算対象から除外することで問題サイズをさらに縮小することができる(後述)。
【0034】
次に処理制御部102は、処理対象の時間tを設定する(ステップS4)。例えば、最初の小問題1を対象とする場合、処理制御部102はt=0~60を設定し、2番目の小問題2を対象とする場合、処理制御部102はt=60~120を設定する。
【0035】
次に処理制御部102は、処理対象の搬送機器kを設定する(ステップS5)。例えば、ステップS2のエリア最適化処理で、ノード1Aを担当する搬送機器が4台(図5Bの例では、この搬送機器は、ノード1Aに属するスタックへの入庫(パレット数=7)、ノードAへのパレットの搬送(パレット数=3)を担当する。)、ノード1Bを担当する搬送機器が2台(図5Bの例では、この搬送機器はノード1Bに属するスタックからの出庫(パレット数=5)を担当する。)、ノード2Aを担当する搬送機器が1台(図5Bの例では、この搬送機器はノード2Aに属するスタックへの入庫(パレット数=3)を担当する。)、ノード2Bを担当する搬送機器が0台という結果が得られていれば、処理制御部102は、最初に搬送機器k=1を設定し、次にk=2、次にk=3、最後にk=4を設定する。k=1を設定した場合、次のステップS6の処理によって、ノード1Aを担当する搬送機器4台中の1台目の搬送機器、ノード1Bを担当する搬送機器2台中の1台目の搬送機器、ノード2Aを担当する搬送機器1台中の1台目の搬送機器を稼働させてパレットの配置計画及び入出庫計画を作成する。k=2を設定した場合、次のステップS6の処理によって、1台目の搬送機器(k=1)を稼働させて完了することができなかった入出庫の予定に対して、ノード1Aを担当する搬送機器4台中の2台目の搬送機器、ノード1Bを担当する搬送機器2台中の2台目の搬送機器を稼働させてパレットの配置計画及び入出庫計画を作成する。
【0036】
次に処理制御部102は、計画作成部104を用いて、パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理を実行する(ステップS6)。ここで、図3Bを参照する。計画作成部104は、図3Bに示す方法によって、パレットの配置計画及び入出庫計画を作成する方法を選択し、選択した方法で計画を作成する。つまり、計画作成部104は、ステップS4で設定された処理対象の時間tにおいて入庫と出庫が共に予定されている場合(ステップS61;Yes)、パレット配置・入出庫同時最適化処理を選択し、この方法により計画を作成する(ステップS64)。処理対象の時間tにおいて入庫のみが予定されている場合(ステップS61;No、ステップS62;Yes)、計画作成部104は、入庫計画最適化処理を選択し、この方法により入庫計画を作成する(ステップS65)。処理対象の時間tにおいて出庫のみが予定されている場合(ステップS62;No、ステップS63;Yes)、計画作成部104は、出庫計画最適化処理を選択し、この方法により出庫計画を作成する(ステップS66)。処理対象の時間tにおいて入庫も出庫も予定されていない場合(ステップS63;No)、計画作成部104は、配替計画最適化処理を選択し、この方法により配替計画を作成する(ステップS67)。このように処理方法を分けるのは、対象区間中に発生する作業が入庫、出庫、配替のいずれかのみの場合、計算に時間を要する数理モデルを用いた最適化計算をせず、簡易なヒューリスティクス手法で計算しても十分に効率の良い計画が作成できるためである。次にステップS64、S65、S66、S67の各処理について順に説明する。
【0037】
(0)パレット配置・入出庫同時最適化処理(ステップS64:入出庫の予定がある場合)
図6図8は、それぞれ、本開示の一実施形態に係るパレット配置・入出庫同時最適化モデルを説明する第1図~第3図である。
図6に倉庫のレイアウトの一例を示す。図2を用いて説明したように倉庫レイアウトを、場所をノード、通路を枝とするネットワークモデルに変換する。図6にするように、入出庫口に対して、入庫口に対応するノードI1、出庫口に対応するノードO1を作成し、各スタックに対応するノードP1~P13、通路中の中継地に対応するノードR1、R2を作成する。そして、ノードI1とノードR1を結ぶ枝L1、ノードO1とノードR1を結ぶ枝L2、ノードR1とノードR2を結ぶ枝L3、ノードR1とノードP4~P10のそれぞれを結ぶ枝L4~L10、ノードR2とノードP1~P3およびP11~P13のそれぞれを結ぶ枝L11~L16を作成する。このネットワークモデルを図7に示す。
【0038】
このネットワークモデルを作成する際のノードの設定について、計算量、計算時間を低減するための2つの工夫がある。(工夫1)スタックに移動する前に中継地というダミーの場所を設け、ノード間を移動する際には、必ず中継地を通行させる。これにより、スタック間の移動経路に対応する枝の数を、スタック数×スタック数という2乗の枝数から、スタック数+中継地間の枝数と1乗の枝数に低減することが可能となる。(工夫2)スタック内のロケを区別せず、スタック全体で配置可能なパレット数を配置可能なパレット数とすることで、ロケを定義することによるノード数の増大を防ぎ、問題規模を縮小する。
【0039】
計画作成部104は、更に図7のネットワークモデルに基づいて時空間ネットワークを作成する。図8に時空間ネットワークの一例を示す。図8の縦軸は時間経過、横軸は各ノードの場所を示している。図中、時空間上の点は、各時刻における各ノードを表したものである。一例として、横軸には、図7の入庫口I1、出庫口O1、中継地R1、スタックP4、中継地R2、スタックP1がプロットされている。上述の通り、入庫口I1、出庫口O1、スタックP1,P4間の移動は、必ず中継地R1又は中継地R2を経由する。スタックP4は、中継地R1に属し、スタックP1は、中継地R2に属する。つまり、スタックP4へ移動するためには中継地R1を経由して、中継地R1からスタックP4へ向かわなければならず、スタックP1へ移動するためには中継地R2からスタックP1へ移動しなければならない。図中、2つの点を結んだ矢印を枝と呼ぶ。枝は、矢印が示す方向への搬送機器又はパレットの時空間上の移動を示している。横方向の枝と斜め方向の枝は搬送機器又はパレットのノード間の移動を示し、縦方向の枝は、パレットが同じ場所に止まる(保管されている)ことを示している。斜め方向の矢印の縦軸方向の長さは、搬送機器の移動に要する時間を表している。この例の場合、中継地に対応するノードR1,R2から他のノード(入庫口、出庫口、スタック、別の中継地)へ移動する際に1分ずつ時間がかかると決められている。これは、モデルとなった倉庫にて実際に計測された搬送時間に基づいて設定された設定値である。例えば、9:00に1台の搬送機器が、製品aを載せたパレットを入庫口で積んで、中継地R1を経由して、9:01にスタックP4へ入庫する。続いて、搬送機器は、スタックP1から製品bを出庫するためにスタックP1へ移動する。まず、搬送機器は、9:01に中継地R1を出発して、9:02に中継地R2を通過し、9:03にスタックP1へ到着する。搬送機器は、スタックP1にて出庫対象のパレットを積んで、9:04に中継地R1を経由して、9:05に出庫口O1へ出庫する。計画作成部104は、入庫口I1から中継地R1までは0分、中継地R1からスタックP4までの移動時間は1分、スタックP4から中継地R1までは0分、中継地R1から中継地R2までは1分、中継地R2からスタックP1までは1分、スタックP1から中継地R2までは0分、中継地R2から中継地R1までは1分、中継地R1から出庫口O1までは1分となるように枝を生成する。
【0040】
計画作成部104は、ステップS1で取得された入力データと、図8に例示する時空間ネットワークモデルに基づいて、次の数理モデルを作成する。この数理モデルは、最適なパレット配置、入庫、出庫、配替を同時に計画可能な数理モデルである。
【0041】
(定数)
ステップS1にて取得された倉庫レイアウト情報、製品情報、搬送機器情報、初期在庫情報、入庫予定情報、出庫予定情報、後述する重み係数K1~K5を用いる。
【0042】
(設計変数)
時系列ネットワークの各枝に対して、以下を設定する。
1.各枝における、各品物のパレット数(整数変数)
2.各枝における、搬送機器数(整数変数)(この例ではkの設定により1となる)
3.各同一スタックにおける、各品物のパレット数(整数変数)
4.各出庫口における、各品物の出庫納期(出庫完了目標日時、出庫期限)を超過したパレット数(整数変数)
5.各入庫口における、各品物の入庫納期(入庫完了目標日時)を超過したパレット数(整数変数)
【0043】
(制約条件)
制約条件として、出庫期限や同時搬送可能なパレット数などを与える。制約条件の一例を以下に記載する。
1.各スタックについて、スタックのサイズを超えた数のパレットを保管しない。
2.各ノードに入るパレット数と出るパレット数は等しい。(設計変数1.に対する流量保存則)
3.各ノードに入る搬送機器の台数と出る搬送機器の台数は等しい(設計変数2.に対する流量保存則)。
4.配置可能なパレット数の上限
5.ロケからのパレットの出庫優先順位(奥行番号が小さいロケから出庫する等)
6.同一スタックには同一品目のパレットしか極力配置しない。
7.段数の上限。(ロケにこの上限を超えるパレットを段積みしない)
8.同時搬送可能なパレット数。
9.搬送機器が移動可能なノードの範囲
10.入庫可能日時以降に入庫を開始する。
11.入庫完了目標日時以前に入庫を完了させる。
12.出庫可能日時以降に入庫を開始する。
13.出庫完了目標日時以前に入庫を完了させる。
14.出庫期限(品目の出庫期限(賞味期限など))以内に出庫する。
15.配替えを行う時間帯の制限(搬送機器が空いている時間が所定時間以上の場合のみ、その時間に配替えを行うことができる等)
16.配替え位置の制限(出庫口から所定の距離内で出庫予定がある製品を載せたパレットは配替え対象としない等)
そのほかにも、計画の開始日時、入庫日時の指定、入庫口の指定、出庫日時の指定、出庫口の指定、出庫前の搬送元ロケの指定、搬送機器の動作の指定(入出庫口とスタックの単純往復を繰り返す。)等に関する制約条件を設定する。
【0044】
(目的関数)
目的関数は、5種類の目的(入出庫の期限遵守、入出庫の作業時間(移動距離)を抑える、搬送機器の使用台数を抑える、混合スタック数を抑える、格納率を抑える)を表す評価値に個別の重みを付し、その総和を目的関数の値とする。
1.入出庫期限超過ペナルティ(期日までに入出庫の作業が完了しなかったパレット数にかかるペナルティを表す。)
2.入出庫作業時間(全搬送機器の入出庫作業時間の総和を表す。)
3.搬送機器台数(対象期間内に使用した搬送機器の台数を表す。)
4.パレットの保管場所違反ペナルティ(異なる複数の品目のパレットが同じスタックに保管されることに対するペナルティを表す。)
5.格納率(全スタックに対して、パレットが配置されるスタックの割合(面積使用率)を表す。面積使用率を低減することで、より多くのパレットを保管できることから格納率の向上を実現することができる。)
ここで、上記の目的1~5の評価値を算出する関数をそれぞれF1~F5とすると、目的関数は、K1・F1+K2・F2+K3・F3+K4・F4+K5・F5を最小化することである。K1~K5は任意の重み係数である。
計画作成部104は所定の関数F1~F5を用いて、5種類の目的に関する評価値とその加重和を計算する。
【0045】
この数理モデルを最適化計算によって解くと、設計変数の最適値と目的関数の値などが出力される。なお、最適化計算には、一般的なソルバーを使用することができる。
入庫、出庫、配替を同時に計画可能な数理モデルの構築により、搬送機器の移動距離や入出庫時間の観点で効率的な計画を作成可能となる。
【0046】
図9を用いて、パレット配置・入出庫同時最適化処理の流れについて説明する。
図9は、本開示の一実施形態に係るパレット配置・入出庫同時最適化処理の一例を示すフローチャートである。
まず、計画作成部104は、ステップS1で取得された倉庫レイアウト情報に基づいて、図7に例示するネットワークモデルを構築する(ステップS21)。次に計画作成部104は、図8に例示する時空間ネットワークを構築する(ステップS22)。このとき、計画作成部104は、ステップS2の結果に基づいて、入庫するパレットを配置すべきエリア、出庫すべき製品を載せたパレットが配置されているエリアのみを対象として、時空間ネットワークを作成する。例えば、図7のネットワークモデルにおいて、ステップS2の結果、中継地R1に属するスタックのみが入庫および出庫対象エリアであることが分かっている場合、計画作成部104は、時空間ネットワークの横軸に、入庫口I1、出庫口O1、中継地R1、スタックP4~P10だけをプロットし、中継地R2、スタックP1~P3、P11~P13を削除することができる。これにより、問題規模を縮小することができる。また、例えば、計算済みの時間帯にて、既にスタックP4に対する入出庫が完了しており、残りの時間帯においてスタックP4に対する入出庫の予定が無い場合、計画作成部104は、更に横軸からスタックP4を削除して時空間ネットワークを作成する。これにより更に問題規模を縮小することができる。
【0047】
次に計画作成部104は、上記した数理モデルを作成する(ステップS23)。このとき、計画作成部104は、ステップS1で取得された入庫予定情報、出庫予定情報のうち、ステップS4で設定した処理対象の時間における入出庫を対象として数理モデルを作成する。
【0048】
次に計画作成部104は、最適化計算を実行して、上記した数理モデルの解を算出する(ステップS24)。最適化計算には、一般に提供されているソルバー(例えば、Gurobi)を使用することができる。計画作成部104は、図8で例示したように、時空間ネットワーク上で、上記の制約条件を満たすように枝を生成し、予定された入出庫を行う枝の集合を複数生成する。計画作成部104は、生成した枝の集合ごとに目的関数の値を計算する。次に計画作成部104は、計算した目的関数の値を比較し、値が最小となる枝の集合を選択する。この枝の集合は、求めるパレットの配置計画及び入出庫計画である。
最後に計画作成部104は、最適化計算の結果を記憶部106に記録する(ステップS25)。計算結果には、枝ごとに搬送機器ID、作業種類(入庫、出庫、配替え)、パレットのID、搬送元ロケのID、搬送先ロケのID、作業の開始時刻と終了時刻、入庫、出庫それぞれにおける完了目標からの超過時間、入庫に要する時間、出庫に要する時間などが含まれる。これにより、目的関数の値が最小となるパレット配置・入出庫計画を作成することができる。
【0049】
ここで、計画作成部104は、入庫納期(入庫完了目標日時)、出庫納期(出庫完了目標日時)を守ることができた計画(枝の集合)のみを採用し、入庫納期、出庫納期を超過した計画を破棄し、破棄した計画に係る入庫予定情報、出庫予定情報については、次の搬送機器(今回がk=1であれば、k=2の搬送機器)によって入出庫を計画する。このように番号(kの値)の小さい搬送機器から順に計画を作成すると、番号の小さい搬送機器ほど作業量が多く(稼働率が高い)、番号の大きい搬送機器ほど作業量が少なく(稼働率が低い)なる結果が得られる。例えば、番号が一番大きい搬送機器の稼働率が著しく低いか0の場合、この搬送機器は不要である可能性がある。搬送機器の要否を検討することにより、目的関数の3.搬送機器台数の最小化を実現することができる。
【0050】
(入庫、出庫、配替、単独の計画を作成する処理)
上記のパレット配置・入出庫同時最適化処理は計算負荷が高い。そこで、処理対象の時間tにおける入出庫予定が、(1)入庫のみ、(2)出庫のみ、(3)入出庫のどちらもない場合に関しては、上記の数理モデルを用いた計算ではなく、所定のルールに従って入庫、出庫、配替えの対象となるパレットを搬送機器に割付け、その移動元、移動先、移動時間、移動開始時間を決定するという簡易な手法により計算負荷を減らし、計算の高速化を実現する。本実施形態では、入庫、出庫、配替えのそれぞれについて専用のヒューリスティック手法(入庫計画最適化処理、出庫計画最適化処理、配替計画最適化処理)を用いる。
【0051】
図10は、本開示の一実施形態に係る入庫計画、出庫計画、配替え計画を作成する処理を説明する図である。
(1)入庫計画最適化処理:入庫のみの場合、計画作成部104は、入庫納期が近い入庫対象パレットから順番に、入庫口から入庫先スタックへ搬送する計画(入庫口、入庫先スタック、移動時間、移動開始時間)を作成する。このとき、入庫対象パレットと同一の製品が配置されたスタックの中で最も入庫口に近い場所を入庫先に選定する。入庫可能距離内に同一スタックに入庫先が無い場合、空きスタックを入庫先に設定し、空きスタックが無い場合、混在スタックを入庫先に選定する。初期位置(入庫作業開始時点)からの移動時間がステップS4で設定した時間内(例えば、60分)に収まる場合に搬送可能と判定し、そのときの搬送経路、搬送順を入庫計画とする。これにより、入庫期限を守りつつ、混在スタックを増やすことなく、同じ製品をなるべく同一スタックにて保管できるようなパレットの配置を実現する入庫計画を作成することができる。
【0052】
(2)出庫計画最適化処理:出庫のみの場合、計画作成部104は、出庫納期が近い出庫対象パレットから順番に出庫元スタックから出庫口へ搬送する出庫計画(出庫口、出庫元スタック、移動時間、移動開始時間)を作成する。このとき、混在スタックの中で最も出庫口に近い場所を出庫元に選定する。出庫可能距離内に混在スタック無い場合、同一スタックを出庫元に選定する。初期位置(出庫作業開始時点)からの移動時間が処理対象の時間内に収まる場合に搬送可能と判定し、そのときの搬送経路、搬送順を出庫計画とする。これにより、出庫期限を守りつつ、混在スタックを減らすことができるようなパレットの配置を実現する出庫計画を作成することができる。
【0053】
(3)配替計画最適化処理:入出庫のどちらも無い場合、計画作成部104は、出庫期限が近い製品を載せたパレットから順番に現在のスタックから出庫口に近い同一スタックへ搬送する配替計画を作成する。これにより、出庫対象パレットを事前に出庫口近くへ配置し、出庫時間を短縮することができる。初期位置(配替作業開始時点)からの移動時間が処理対象の時間内に収まる場合に搬送可能と判定し、そのときの搬送手順を配替計画とする。以下、各処理について詳細に説明する。
【0054】
(1)入庫計画最適化処理(ステップS65)
図11A図11Bは、それぞれ、本開示の一実施形態に係る入庫計画最適化処理の一例を示す第1、第2のフローチャートである。
計画作成部104は、入庫対象パレットに関して、最も入庫納期の早いパレットを選定する(ステップS31)。計画作成部104は、入庫予定情報に含まれる処理対象時間tにおける入庫予定のうち最も入庫完了目標日時が早いパレットのIDを選定する。
次に計画作成部104は、同一製品が配置されている同一スタックに対して割付処理を実行する(ステップS32)。ここで、図11Bを参照して割付処理について説明する。
【0055】
まず、計画作成部104は、所定の入庫可能距離内の同一スタックの中で、入庫口から最も近い位置に存在する場所を入庫先に決定する(ステップS41)。各スタックの入庫口からの距離は、倉庫レイアウト情報のノード間距離に基づいて算出することができる。次に計画作成部104は、決定した入庫先に対して、処理対象の時間t内に搬送可能な搬送機器は存在するかどうかを判定する(ステップS42)。搬送に要する時間は、例えば、倉庫レイアウト情報のノード間距離と、搬送機器情報の移動速度に基づいて算出することができる。例えば、搬送機器(kの値が処理対象のもの)が他のパレットの入庫作業中の場合、搬送可能な搬送機器が存在しない可能性がある。搬送可能な搬送機器が存在する場合(ステップS42;Yes)、当該パレットに対する割付処理は成功したものとし、割付処理を完了する。計画作成部104は、割り付けられた搬送機器によって、決定した入庫先へ対象パレットの入庫を行う入庫計画を作成し、これを記憶部106に記録する。入庫計画には、入庫口、入庫先スタック、移動時間、移動開始時間などの情報が含まれる。搬送可能な搬送機器が存在しない場合(ステップS42;No)、計画作成部104は、入庫可能距離内に存在する全ての同一スタックについて、搬送可能な搬送機器が存在するか否かを確認済かどうか判定する(ステップS43)。全スタックを確認済みの場合(ステップS43;Yes)、当該パレットに対する割付処理は失敗したものとし、割付処理を完了する。全スタックを確認済みでは無い場合(ステップS43;No)、計画作成部104は、入庫口に次に近い同一スタックを入庫先に変更(ステップS44)し、ステップS42以降の処理を繰り返す。
【0056】
図11Aに戻る。計画作成部104は、割付処理が成功したかどうかを判定する(ステップS33)。割付処理が成功した場合(ステップS33;Yes)、ステップS38の処理に進む。割付処理が成功しなかった場合(ステップS33;No)、計画作成部104は、空きスタックに対して割付処理を実行する(ステップS34)。空きスタックとは、パレットが配置されていないスタックである。空きスタックについての割付処理は、同一スタックに対する割付処理と同様である。つまり、計画作成部104は、入庫可能距離内の空きスタックの中で、入庫口から最も近い位置に存在する場所を入庫先に決定する(ステップS41)。次に計画作成部104は、決定した入庫先に対して、時間t内に搬送可能な搬送機器は存在するかどうかを判定する(ステップS42)。搬送可能な搬送機器が存在する場合(ステップS42;Yes)、当該パレットに対する割付処理は成功である。計画作成部104は、搬送可能な搬送機器によって対象パレットの入庫を行う入庫計画を作成する。搬送機器が存在しない場合(ステップS42;No)、計画作成部104は、入庫可能距離内に存在する全ての空きスタックについて、入庫口から近い順にステップS42の確認を行う(ステップS43)。全ての空きスタックについて、搬送可能な搬送機器が存在しない場合(ステップS43;Yes)、当該パレットに対する割付処理は失敗である。
【0057】
次に計画作成部104は、空きスタックに対する割付処理が成功したかどうかを判定する(ステップS35)。割付処理が成功した場合(ステップS35;Yes)、ステップS38の処理に進む。割付処理が成功しなかった場合(ステップS35;No)、計画作成部104は、混在スタックに対して割付処理を実行する(ステップS36)。つまり、計画作成部104は、入庫可能距離内の混在スタックの中で、入庫口から近い順に、その場所を入庫先に決定し(ステップS41)、時間t内に搬送可能な搬送機器が存在するか否かを判定する(ステップS42)。搬送可能な搬送機器が存在する場合(ステップS42;Yes)、当該パレットに対する割付処理は成功である。計画作成部104は、割り付けた搬送機器による入庫計画を作成する。搬送機器が存在しない場合(ステップS42;No)、計画作成部104は、入庫可能距離内に存在する全ての混在スタックについて、入庫口から近い順にステップS42の確認を行う(ステップS43)。全ての混在スタックについて、搬送可能な搬送機器が存在しない場合(ステップS43;Yes)、当該パレットに対する割付処理は失敗である。
【0058】
次に計画作成部104は、処理対象時間tにおける全ての入庫対象パレットについて割付処理を実行済みかどうか判定する(ステップS38)。入庫対象の全パレットについて割付処理を実行済みでは無い場合(ステップS38;No)、計画作成部104は、入庫納期が次に早いパレットを選定し(ステップS39)、ステップS32からの処理を繰り返す。入庫対象の全パレットについて割付処理が実行済みの場合(ステップS38;Yes)、計画作成部104は、入庫計画最適化処理を終了する。なお、今回の処理(搬送機器K=i)で、入庫計画を作成できなかった場合(搬送機器が割り付けられない、入庫納期内に入庫できない)、計画作成部104は、次回以降のパレットの配置計画及び入出庫計画作成処理(ステップS6)(搬送機器K=i+1~)において、入庫計画の作成を行う。
【0059】
(2)出庫計画最適化処理(ステップS66)
図12A図12Bは、それぞれ、本開示の一実施形態に係る出庫計画最適化処理の一例を示す第1、第2のフローチャートである。
計画作成部104は、出庫対象パレットに関して、最も出庫納期の早いパレットを選定する(ステップS51)。計画作成部104は、出庫予定情報に含まれる処理対象時間tにおける出庫予定のうち最も出庫完了目標日時が早いパレットのIDを選定する。
次に計画作成部104は、複数種類の製品が配置されている混在スタックに対して割付処理を実行する(ステップS52)。ここで、図12Bを参照して割付処理について説明する。
【0060】
まず、計画作成部104は、所定の出庫可能距離内の混在スタックの中で、出庫口から最も近い位置に存在する場所を出庫元に決定する(ステップS61)。各混在スタックの出庫口からの距離は、倉庫レイアウト情報のノード間距離に基づいて算出することができる。次に計画作成部104は、決定した出庫元に対して、時間t内に搬送可能な搬送機器が存在するかどうかを判定する(ステップS62)。搬送可能な搬送機器が存在する場合(ステップS62;Yes)、当該パレットに対する割付処理は成功したものとし、割付処理を完了する。計画作成部104は、搬送可能な搬送機器によって出庫元から対象パレットの出庫を行う出庫計画を作成し、これを記憶部106に記録する。出庫計画には、出庫口、出庫元スタック、移動時間、移動開始時間などの情報が含まれる。搬送可能な搬送機器が存在しない場合(ステップS62;No)、計画作成部104は、出庫可能距離内に存在する全ての混在スタックについて、搬送可能な搬送機器が存在するか否かを確認済かどうか判定する(ステップS63)。全スタックを確認済みの場合(ステップS63;Yes)、当該パレットに対する割付処理は失敗したものとし、割付処理を完了する。全スタックを確認済みでは無い場合(ステップS63;No)、計画作成部104は、出庫口に次に近い混在スタックを出庫元に変更(ステップS64)し、ステップS62以降の処理を繰り返す。
【0061】
図12Aに戻る。計画作成部104は、割付処理が成功したかどうかを判定する(ステップS53)。割付処理が成功した場合(ステップS53;Yes)、ステップS56の処理に進む。割付処理が成功しなかった場合(ステップS53;No)、計画作成部104は、同一スタックに対して割付処理を実行する(ステップS54)。同一スタックについての割付処理は、混在スタックに対する割付処理と同様である。つまり、計画作成部104は、出庫可能距離内の同一スタックの中で、出庫口から最も近い位置に存在するスタックを出庫元に決定する(ステップS61)。次に計画作成部104は、決定した出庫元に対して、時間t内に搬送可能な搬送機器は存在するかどうかを判定する(ステップS62)。搬送可能な搬送機器が存在する場合(ステップS62;Yes)、当該パレットに対する割付処理は成功である。計画作成部104は、搬送可能な搬送機器によって決定した出庫元から対象パレットの出庫を行う出庫計画を作成する。搬送機器が存在しない場合(ステップS62;No)、計画作成部104は、出庫可能距離内に存在する全ての空きスタックについて、出庫口から近い順にステップS62の確認を行う(ステップS63)。全ての空きスタックについて、搬送可能な搬送機器が存在しない場合(ステップS63;Yes)、当該パレットに関する同一スタックへの割付処理は失敗とする。
【0062】
次に計画作成部104は、同一スタックに対する割付処理が成功したかどうかを判定する(ステップS55)。割付処理の成功、失敗に関わらず、計画作成部104は、処理対象時間tにおける全ての出庫対象パレットについて割付処理を実行済みか判定する(ステップS56)。出庫対象の全パレットの出庫計画が作成済みでは無い場合(ステップS56;No)、計画作成部104は、出庫納期が次に早いパレットを選定し(ステップS57)、ステップS52からの処理を繰り返す。出庫対象の全パレットについて割付処理が実行済みの場合(ステップS56;Yes)、計画作成部104は、出庫計画最適化処理を終了する。なお、今回の処理(搬送機器K=i)で、出庫計画を作成できなかった場合(搬送機器が割り付けられない、出庫納期内に出庫できない)、次回以降のパレットの配置計画及び入出庫計画作成処理(ステップS6)(搬送機器K=i+1~)において、出庫計画の作成を行う。
【0063】
(3)配替計画最適化処理(ステップS67)
図13は、本開示の一実施形態に係る配替計画最適化処理の一例を示すフローチャートである。
計画作成部104は、出庫対象パレットに関して、配替え対象となる最も出庫期限の早い製品を積んだパレットを選定する(ステップS71)。配替え対象となるパレットとは、例えば、出庫口からの距離が所定以上となるロケに保管されているパレットである。次に計画作成部104は、出庫口から最も近い位置にある設定したパレットに関する同一スタックを配替先に選定する(ステップS72)。次に計画作成部104は、決定した配替先に対して、時間t内に搬送可能な搬送機器が存在するかどうかを判定する(ステップS73)。搬送可能な搬送機器が存在する場合(ステップS73;Yes)、ステップS76の処理に進む。また、計画作成部104は、搬送可能な搬送機器によって、出庫口からの距離が所定以上となるロケに保管されているパレットを、出庫口近くの同一スタックに配替えする配替計画を作成し、これを記憶部106に記録する。配替計画には、移動元、移動先、移動時間、移動開始時間などの情報が含まれる。搬送可能な搬送機器が存在しない場合(ステップS73;No)、計画作成部104は、配替え対象製品と同じ製品を格納した倉庫内の全ての同一スタックについて、搬送可能な搬送機器が存在するか否かを確認済かどうか判定する(ステップS74)。全スタックを確認済みの場合(ステップS63;Yes)、ステップS76の処理に進む。確認済みでは無い場合(ステップS63;No)、計画作成部104は、出庫口に次に近い同一スタックを配替先に変更(ステップS75)し、ステップS73以降の処理を繰り返す。
【0064】
次に計画作成部104は、配替え対象となる全ての出庫対象パレットについて配替先が決定済みか判定する(ステップS76)。配替先が決定済みでは無い場合(ステップS76;No)、計画作成部104は、配替え対象のパレットの中から、出庫期限が次に早い製品を積んだパレットを選定し(ステップS77)、ステップS72からの処理を繰り返す。配替え対象の全パレットについて配替先が決定済みの場合(ステップS76;Yes)、計画作成部104は、配替計画最適化処理を終了する。なお、今回の処理(搬送機器K=i)で、配替計画を作成できなかった場合(搬送機器が割り付けられない)、次回以降のパレットの配置計画及び入出庫計画作成処理(ステップS6)(搬送機器K=i+1~)において、配替計画の作成を行う。
【0065】
処理対象の時間t、搬送機器kについて、パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理が完了すると、処理制御部102は、搬送機器の番号kが終了番号以上か否かを判定する(ステップS7)。搬送機器の番号kが終了番号以上ではない場合(ステップS7;No)、処理制御部102は、次の処理対象の搬送機器kを設定する(ステップS5)。例えば、前回がk=1であれば、k=2を設定する。そして、計画作成部104は、2台目(k=2)の搬送機器を用いて、パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理を実行する。処理対象の時間tには変更が無い為、計画作成部104は、前回と同じ手法(パレット配置・入出庫同時最適化処理、入庫計画最適化処理、出庫計画最適化処理、配替計画最適化処理の何れか)によって計画を作成する。また、計画作成部104は、入庫予定情報に含まれる処理対象時間t内に入庫予定のパレットから、前回までに作成された入庫計画、入出庫計画によって入庫が完了するパレット(これまでの計算で入庫期限に間に合う入庫計画が作成できたパレット)を除いて入庫計画を作成する。同様に、計画作成部104は、出庫予定情報に含まれる処理対象時間t内に出庫予定の製品から、前回までに作成された出庫計画、入出庫計画によって出庫が完了する製品(これまでの計算で出庫期限に間に合う出庫計画が作成できた製品)を除いて出庫計画を作成する。
【0066】
全ての搬送機器kについて、パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理が完了すると(ステップS7;Yes)、処理制御部102は、処理対象の時間tが終了時間以上か否かを判定する(ステップS8)。処理対象の時間tが終了時間以上ではない場合(ステップS8;No)、処理制御部102は、次の処理対象の時間tを設定する(ステップS5)。例えば、前回がt=0~60(分)であれば、処理制御部102は、t=60~120(分)を設定する。そして、設定した処理対象時間に入出庫が予定されている場合、計画作成部104は、処理対象時間t=60~120(分)に予定されている入出庫について、1台目(k=1)の搬送機器を用いたパレットの配置計画及び入出庫計画作成処理を実行する(ステップS6)。計画作成部104は、前の処理対象時間までに作成した入出庫計画と、エリア最適化処理の結果を比較して、既にあるエリアに対する入出庫が完了している場合、時空間ネットワークを作成する際にそのエリアに関するノードを横軸から除外して時空間ネットワークを作成する。例えば、図6の倉庫において、翌日の入出庫予定に対するエリア最適化処理の結果、ノードR1配下のエリア(スタックP4~P10)に関してパレット10個分の入出庫が割り当てられ、前の処理対象時間までに、当該エリアに対するパレット10個分の入庫計画、出庫計画が完了しているならば、時空間ネットワークの横軸からスタックP4~P10を除いてモデル化し、問題規模の縮小、計算量の低減を図ることができる。
【0067】
ヒューリスティクス手法(入庫計画最適化処理、出庫計画最適化処理、配替計画最適化処理)の場合でも同様に、例えば、図5A図5Bに例示した2階建ての倉庫において、オートレータBを使用しない結果がエリア最適化処理によって得られている場合であって、今回の処理対象時間において、2階に保管されている製品と同一の製品を載せたパレットの入庫が予定されている場合、搬送機器の移動経路において、オートレータBを使用して2階に運ぶという経路を予め除外して計画を作成することができ、計算量の低減を図ることができる。
【0068】
処理対象の時間tが終了時間以上となると場合(ステップS8;Yes)、処理制御部102は、パレットの配置計画及び入出庫計画作成処理を終了する。出力部105は、記憶部106に記録された処理対象時間ごとの計画情報(パレット配置計画および入出庫計画、入庫計画、出庫計画、配替計画の何れか)を電子ファイルや表示装置等に出力する(ステップS9)。例えば、ステップS6で、パレット配置・入出庫同時最適化処理(ステップS64)が実行された場合、出力部105は、パレット配置計画および入出庫計画を出力する。入庫計画最適化処理(ステップS65)が実行された場合、出力部105は、入庫計画を出力し、出庫計画最適化処理(ステップS66)が実行された場合、出力部105は、出庫計画を出力する。配替計画最適化処理(ステップS67)が実行された場合、出力部105は、配替計画を出力する。上述のように、ステップS6では、処理結果として、搬送機器ごとに移動経路、移動開始時刻、移動終了時刻、搬送順、作業種類(入庫、出庫、配替え)、移動させるパレットのID、搬送元と搬送先のロケIDなどが出力される。(ヒューリスティック手法の場合には、移動開始時間、移動元、移動先、移動時間などが出力される。)この出力と初期在庫情報などから、各時刻における倉庫内のパレットの配置状況(どのロケにどのパレットが配置・段積みされているか、つまりパレット配置計画)、各搬送機器の移動経路および移動順(つまり入出庫計画、入庫計画、出庫計画、配替計画)を算出することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、入庫や出庫を単独に行うのではなく、入庫の帰りに出庫を行うといった搬送作業(図8)を検討範囲に含めたうえで、入出庫の遅延なく、搬送機器の台数をなるべく少なくする入出庫計画(搬送機器の移動経路と移動順)と、整理整頓(同一製品はなるべく同一のスタックにまとめる)され、且つ、格納率を向上させる(製品を少ないスタックにできる限り多く配置、段積みして面積使用率を低減する)パレットの配置を実現するパレット配置計画を同時に作成することができる。これにより、搬送作業の無駄を削減することができる。また、搬送機器の台数を最適化することができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、大規模な問題に対して配置計画及び入出庫計画を作成することを想定した為、エリア最適化処理(ステップS2)、小問題に分割する処理(ステップS3)、搬送機器を特定する処理(ステップS5)、入庫のみ、出庫のみ、入出庫無しの場合の個別のヒューリスティック処理(ステップS65、66、67)を、パレット配置・入出庫同時最適化処理(ステップS64)と組み合わせて用いる方法を例に説明をした。しかし、問題の規模が小さければ、ステップS3,S5,S65,S66,S67の処理を行わずに、パレット配置・入出庫同時最適化処理(ステップS64)だけでパレットの配置計画及び入出庫計画を作成することができる。
【0071】
図14は、本開示の一実施形態に係る計画システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の計画システム10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0072】
なお、計画システム10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0073】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0074】
<付記>
各実施形態に記載の計画システム10、計画方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0075】
(1)第1の態様に係る計画システム10は、倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得するデータ取得部101と、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離(入出庫作業時間)と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成する入出庫計画作成部(計画作成部104)と、を備える。
これにより、入庫のついでに出庫や配替えを実行するといった、1つの作業のついでに他の作業を行う計画を作成することができ、搬送作業の効率を向上することができる。また、搬送機器の台数を最小化することができる。
【0076】
(2)第2の態様に係る計画システム10は、(1)の計画システム10であって、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、製品の保管場所を示す複数のノードと、前記入庫口を示すノードと前記保管場所の各々を示すノードを接続する第4の経路と、前記出庫口を示すノードと前記保管場所の各々を示すノードを接続する第5の経路と、によって前記倉庫をモデル化したエリア最適化モデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第4の経路を移動させて、入庫に係る製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第5の経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記第4の経路を通って入庫された前記製品の数を示す第1製品数と、前記第4の経路を通って入庫された前記搬送機器ごとの前記製品を示す第2製品数と、前記第5の経路を通って出庫された前記製品の数を示す第3製品数と、前記第5の経路を通って出庫された前記搬送機器ごとの前記製品の数を示す第4製品数と、を算出し、入庫できなかった前記製品の数と、出庫できなかった前記製品の数と、前記移動距離の合計と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記第1製品数と、前記第2製品数と、前記第3製品数と、前記第4製品数と、を算出するエリア最適化部103、をさらに備え、前記入出庫計画作成部(計画作成部104)は、前記第1製品数が0となった前記第4の経路に係る前記保管場所と、前記第3製品数が0となった前記第5の経路に係る前記保管場所と、を除外して、前記ネットワークモデルを作成する。
これにより、具体的な入出庫計画を作成する前に、おおよその入庫対象エリア、出庫対象エリアを事前に把握することができる。これにより、後続の処理において、入庫や出庫の対象エリアを絞ることができ、入出庫計画作成時の計算量を低減することができる。
【0077】
(3)第3の態様に係る計画システム10は、(1)~(2)の計画システム10であって、前記入庫予定情報と前記出庫予定情報において入庫の予定のみが存在する場合、前記入庫納期が近い前記製品から順に、入庫に係る前記製品と同一の前記製品が保管された複数の前記保管場所を含む領域のうち、最も前記入庫口に近い前記領域を入庫先に選定し、当該入庫先に入庫する計画を作成し、前記入庫先を選定すると、前記入庫納期までに入庫できない場合、次に前記入庫口に近い前記領域を前記入庫先に選定して前記計画を作成する処理を繰り返すことにより、予定された前記入庫の入庫計画を作成する入庫計画部(計画作成部104)をさらに備える。
これにより、入庫しか予定が無い場合、計算負荷が低い方法で入庫計画を作成することができる。
【0078】
(4)第4の態様に係る計画システム10は、(1)~(3)の計画システム10であって、前記入庫予定情報と前記出庫予定情報において出庫の予定のみが存在する場合、前記出庫納期が近い前記製品から順に、出庫に係る前記製品と当該製品とは異なる前記製品とが保管された、複数の前記保管場所を含む領域のうち、最も前記出庫口に近い前記領域を出庫元に選定し、当該出庫元から出庫する計画を作成し、前記出庫元を選定すると、前記出庫納期までに出庫できない場合、次に前記出庫口に近い前記領域を前記出庫元に選定して前記計画を作成する処理を繰り返すことにより、予定された前記出庫の出庫計画を作成する出庫計画部(計画作成部104)をさらに備える。
これにより、出庫しか予定が無い場合、計算負荷が低い方法で出庫計画を作成することができる。
【0079】
(5)第5の態様に係る計画システム10は、(1)~(4)の計画システム10であって、前記入庫予定情報と前記出庫予定情報において入庫および出庫の予定が存在しない場合、出庫期限が近い前記製品から順に、前記製品と同一の前記製品が保管された複数の前記保管場所を含む領域のうち、前記出庫口から所定の距離以上離れた前記領域に保管された前記製品を、前記出庫口に最も近い前記領域に移動する計画を作成し、所定の時間内に移動できない場合、次に前記出庫口に近い前記領域へ移動させる計画を作成する処理を繰り返すことにより、出庫期限が近い前記製品を前記出庫口の近くに移動させる配替計画を作成する配替計画部、をさらに備える。
これにより、入出庫の予定が無い場合、計算負荷が低い方法で配替計画を作成することができる。
【0080】
(6)第6の態様に係る計画システム10は、(1)~(5)の計画システム10であって、前記入出庫計画作成部は、所定の第1時間に予定された入庫及び出庫について、前記第1時間を分割し、分割後の複数の時間のうち、早い時間から順に当該時間内に予定された入庫及び出庫に対して、前記入出庫計画を作成する。
これにより、入出庫計画の作成に要する計算時間を低減することができる。
【0081】
(7)第7の態様に係る計画システム10は、(1)~(6)の計画システム10であって、前記入出庫計画作成部は、1台の前記搬送機器について、予定された入庫及び出庫に対する前記入出庫計画を作成し、入庫納期までに入庫できない又は出庫納期までに出庫できない前記入出庫計画が作成された場合、当該入出庫計画を破棄し、破棄した入出庫計画に係る入庫と出庫については、別の前記搬送機器を用いた前記入出庫計画を作成する。
1台の搬送機器ずつ入出庫計画を作成することで、入出庫に必要な搬送機器の最低台数を算出することができる。
【0082】
(8)第8の態様に係る計画方法は、倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得するステップと、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成するステップと、を有する。
【0083】
(9)第9の態様に係るプログラムは、コンピュータ900に、倉庫へ入庫する製品の入庫予定情報と、前記倉庫からの出庫予定情報と、前記倉庫のレイアウト情報と、前記倉庫で前記製品を搬送する搬送機器の情報と、を取得し、前記倉庫のレイアウト情報に基づいて、前記倉庫における入庫口を示すノードと、出庫口を示すノードと、前記製品の保管場所を示す複数のノードと、前記搬送機器が通過する中継地を示すノードと、前記入庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第1経路と、前記出庫口を示すノードと前記中継地を示すノードを接続する第2経路と、前記中継地を示すノードと複数の前記保管場所の各々を示すノードを接続する第3経路と、によって前記倉庫のネットワークモデルを作成し、前記入庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第1経路と前記第3経路を移動させて、入庫に係る前記製品を前記入庫口から前記保管場所のいずれかに入庫し、前記出庫予定情報に基づいて、前記搬送機器を前記第3経路と前記第2経路を移動させて、出庫に係る前記製品を前記保管場所から前記出庫口へ出庫させたときの、前記入庫の完了時刻と、前記出庫の完了時刻と、前記入庫および前記出庫に要する前記搬送機器の移動距離と、前記入庫および前記出庫が完了した後の複数の前記保管場所における前記製品の保管数と、を算出し、前記入庫の完了時刻の所定の入庫納期に対する遅延時間と、前記出庫の完了時刻の所定の出庫納期に対する遅延時間と、前記移動距離の合計と、前記搬送機器の台数と、所定の範囲内に位置する前記保管場所に異なる種類の前記製品が保管されていることに対して付与される所定のペナルティ値と、前記倉庫内の全ての前記保管場所のうち前記製品が保管されている前記保管場所の割合と、の加重和が最小となるときの前記搬送機器の移動経路と移動順を算出することにより入出庫計画を作成する処理を実行させる。
【符号の説明】
【0084】
10・・・計画システム
101・・・データ取得部
102・・・処理制御部
103・・・エリア最適化部
104・・・計画作成部
105・・・出力部
106・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14