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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045025
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】仮囲い用コーナー部材
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
E04G21/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150492
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】520345911
【氏名又は名称】株式会社GDI
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100121474
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】小村 博
(57)【要約】
【課題】上下方向にスライド自在な仮設パネル同士を連結して仮囲いを構成するに当たって、種々の角度のコーナー部を見栄えよく形成する。
【解決手段】仮囲い用コーナー部材10は、円筒状の第1ポール部材11と、同第1ポール部材11の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第2ポール部材12とを備える。第1ポール部材11は、一側の仮設パネル2における下段パネル部材3の側端部を受け入れる第1受け部11aを備える。第2ポール部材12は、他側の仮設パネル2における上段パネル部材4の側端部を受け入れる第2受け部12aを備える。これにより、一側及び他側の仮設パネル2・2同士を種々の角度で連結して仮囲いのコーナー部とすることができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下段パネル部材と、同下段パネル部材に対して上下方向にスライド自在な上段パネル部材とを備えた仮設パネル同士を連結して仮囲いにおけるコーナー部を形成する仮囲い用コーナー部材であって、
前記コーナー部材は、円筒状の第1ポール部材と、同第1ポール部材の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第2ポール部材とを備え、
前記第1ポール部材は、前記仮設パネルにおける下段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第1受け部を備え、
前記第2ポール部材は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第2受け部を備える、ことを特徴とする仮囲い用コーナー部材。
【請求項2】
下段パネル部材と、同下段パネル部材に対して上下方向にスライド自在な上段パネル部材とを備えた仮設パネル同士を連結して仮囲いにおけるコーナー部を形成する仮囲い用コーナー部材であって、
前記コーナー部材は、円筒状の第1ポール部材と、同第1ポール部材の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第2ポール部材と、同第1ポール部材の他端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第3ポール部材とを備え、
前記第1ポール部材は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材又は下段パネル部材の少なくとも一方の側端部を受け入れ可能な第1受け部を備え、
前記第2ポール部材は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第2受け部を備え、
前記第3ポール部材は、前記仮設パネルにおける下段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第3受け部を備える、ことを特徴とする仮囲い用コーナー部材。
【請求項3】
請求項2に記載の仮囲い用コーナー部材において、
前記第1受け部は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材及び下段パネル部材の両方の側端部を受け入れ可能に構成されている、ことを特徴とする仮囲い用コーナー部材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の仮囲い用コーナー部材において、
前記第2受け部は、前記コーナー部材の一方の端部に相当する前記第2ポール部材の端部に設けられており、
前記第3受け部は、前記コーナー部材の他方の端部に相当する前記第3ポール部材の端部に設けられている、ことを特徴とする仮囲い用コーナー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の店舗等の改装工事に使用される仮囲い用のコーナー部材に関し、詳しくは、上下方向に伸縮自在な複数の仮設パネルを互いに連結して構成される仮囲いにおいて、そのコーナー部を形成するために用いられる仮囲い用コーナー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の店舗等の改装工事に使用される仮囲いとして、上下方向にスライドさせることにより伸縮自在な仮設パネルを複数枚立設して構成されるものがある(例えば特許文献1)。かかる仮設パネルは、連結具によって互いに横方向に自由に連結することができ、高さ方向についても伸縮自在に構成されているため、改装現場の敷地面積や天井高さに合わせて自由に組み立てて使用することができるという利便性がある。
【0003】
また、改装工事終了後には回収して再利用することができるため、軽鉄間仕切りと石膏ボードとによって仮囲いを構成した場合のように工事終了後に使用済みの石膏ボードが大量の廃棄物となって排出されるおそれもなく、コスト低減及び省資源化を図ることができるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-052532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来技術においては、各パネルの横方向の連結については連結具によって自由に連結することができるため自在性が確保されているが、コーナー部については自在性が欠けており、隙間のないコーナー部を形成しようとすれば、仮設パネル同士を突き合わせて断面視直角のコーナー部とするほかなく、それ以外の角度のコーナー部を形成する場合は、仮設パネルと仮設パネルの間に隙間を設けて、それをコーナー部とするほかなかった。
【0006】
しかし、仮設パネルと仮設パネルの間に隙間を設けてコーナー部とした場合、外観上の見栄えが悪い上、工事に伴う騒音や粉塵等が外部に漏れるおそれがあり、仮囲い本来の目的を損なうことになる。
【0007】
かかる場合、その隙間をシート等で覆うことが考えられるが、たとえシート等で覆ったとしても見栄えが悪いことに変わりはなく、抜本的な解決とは言い難かった。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、種々の角度のコーナー部を簡単に構成することができ、しかも外観上も見栄えの良いコーナー部を形成することができる仮囲い用コーナー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
《第1発明》
本発明に係る仮囲い用コーナー部材は、
下段パネル部材と、同下段パネル部材に対して上下方向にスライド自在な上段パネル部材とを備えた仮設パネル同士を連結して仮囲いにおけるコーナー部を形成する仮囲い用コーナー部材であって、
前記コーナー部材は、円筒状の第1ポール部材と、同第1ポール部材の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第2ポール部材とを備え、
前記第1ポール部材は、前記仮設パネルにおける下段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第1受け部を備え、
前記第2ポール部材は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第2受け部を備える、ことを特徴とする。
【0010】
《第2発明》
また、本発明に係る仮囲い用コーナー部材は、
下段パネル部材と、同下段パネル部材に対して上下方向にスライド自在な上段パネル部材とを備えた仮設パネル同士を連結して仮囲いにおけるコーナー部を形成する仮囲い用コーナー部材であって、
前記コーナー部材は、円筒状の第1ポール部材と、同第1ポール部材の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第2ポール部材と、同第1ポール部材の他端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒状の第3ポール部材とを備え、
前記第1ポール部材は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材又は下段パネル部材の少なくとも一方の側端部を受け入れ可能な第1受け部を備え、
前記第2ポール部材は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第2受け部を備え、
前記第3ポール部材は、前記仮設パネルにおける下段パネル部材の側端部を受け入れ可能な第3受け部を備える、ことを特徴とする。
【0011】
第1発明によれば、例えば、一側に立設される仮設パネルにおける下段パネル部材の側端部を第1ポール部材の第1受け部で受けるとともに、他側に立設される仮設パネルにおける上段パネル部材の側端部を第2ポール部材の第2受け部で受けることにより、一側及び他側の仮設パネル同士を適宜の角度で連結して仮囲いにおけるコーナー部とすることができる。これにより種々の角度のコーナー部を簡単に形成することができる。
【0012】
また、第2発明によれば、例えば、一側に立設される仮設パネルにおける上段パネル部材又は下段パネル部材の少なくとも一方の側端部を第1ポール部材の第1受け部で受けるとともに、他側に立設される仮設パネルにおける上段パネル部材の側端部を第2ポール部材の第2受け部で受け、さらに、一側又は他側の仮設パネルにおける下段パネル部材の側端部を第3受け部で受けることにより、上記と同様、一側及び他側の仮設パネル同士を適宜の角度で連結して仮囲いのコーナー部とすることができる。これにより種々の角度のコーナー部を簡単に形成することができる。
【0013】
このように、本発明によれば、仮設パネルの伸縮の程度に合わせてスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な各ポール部材に仮設パネルの側端部を受け入れる受け部がそれぞれ設けられているので、仮設パネル同士を連結するに当たって、これらの受け部によって一側及び他側の仮設パネルの側端部を受け止めることで種々の角度のコーナー部を簡単に形成することができる。
【0014】
また、本発明の仮囲い用コーナー部材は、仮設パネルと仮設パネルの間に立設されるため、両者の間にほとんど隙間が生じず、外観上の見栄えの良いコーナー部を形成することができる。
【0015】
ここで、第2発明においては、その好適な実施形態の一つとして、前記第1受け部は、前記仮設パネルにおける上段パネル部材及び下段パネル部材の両方の側端部を受け入れ可能に構成してもよい。
これにより、仮設パネルをより安定させて支持することができる。
【0016】
また、第2発明においては、その好適な実施形態の一つとして、前記第2受け部は、前記コーナー部材の一方の端部に相当する前記第2ポール部材の端部に設けられており、前記第3受け部は、前記コーナー部材の他方の端部に相当する前記第3ポール部材の端部に設けられていてもよい。
この場合も仮設パネルの支持をより安定させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、種々の角度のコーナー部を形成することができ、また、仮設パネルと仮設パネルの間にはほとんど隙間が生じないため、外観上の見栄えの良いコーナー部を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における仮囲いの外観図。
図2】上記仮囲いに使用される仮設パネルの分解正面図。
図3】(A)は上記仮設パネルにおける下段パネル部材の平面図、(B)はその上段パネル部材の平面図。
図4】上記仮設パネルの係合部及び係合受け部付近の一部拡大断面図。
図5】(A)は連結具の正面図、(B)はその平面図、(C)は蝶ボルトの平面図。
図6】仮設パネル同士の連結の過程を示す図であり、(A)は連結前、(B)は蝶ボルト締結前の状態を示す。
図7】第1実施形態の仮囲い用コーナー部材の斜視図。
図8】同コーナー部材の分解正面図。
図9】同コーナー部材を使用したコーナー部付近の分解斜視図。
図10】第2実施形態の仮囲い用コーナー部材の斜視図。
図11】同コーナー部材の分解正面図。
図12】同コーナー部材を使用したコーナー部付近の分解斜視図。
図13】同コーナー部材の使用態様の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
《仮囲い及び仮設パネル》
本発明の実施形態で使用される仮囲い1は、図1に示すように、複数の仮設パネル2を立設して構成される。各仮設パネル2は、図2及び3に示すように、金属製の下段パネル部材3と、この下段パネル部材3に対して上下方向にスライド自在な金属製の上段パネル部材4とを備える。本発明では下段パネル部材3に対して上段パネル部材4が上下方向にスライド自在に構成されていればよく、その素材や具体的構成は問わないが、本実施形態ではその一例として以下の構成のものを挙げて説明する。なお、本実施形態では、各仮設パネル2はほぼ同一の形態を有しているため、その一つについて説明する。
【0021】
すなわち、本実施形態で使用される仮設パネル2における下段パネル部材3及び上段パネル部材4はいずれも左右対称で、互いにほぼ相似の形状を有しており、図4に示すとおり、下段パネル部材3の内部に上段パネル部材4が収容されることで入れ子構造となるように構成されている。下段パネル部材3及び上段パネル部材4の寸法の一例を挙げると、下段パネル部材3は高さが約2,200mm、幅が約410mmであり、上段パネル部材4は高さが約2,000mm、幅が約407mmである。なお、符号3b・4bは補強部材である。
【0022】
この下段パネル部材3及び上段パネル部材4の左右両側部にはそれぞれ係合受け部3a及び係合部4aが設けられており、上段パネル部材4を下段パネル部材3の内部に収容したときに上段パネル部材4の係合部4aが下段パネル部材3の係合受け部3a内に位置することで両パネル部材3・4が互いに係合されて、上段パネル部材4の前後方向及び左右方向の移動が規制される一方、その上下方向の移動は許容されるようになっている。このような係合関係により、上段パネル部材4は下段パネル部材3に対して上下方向にスライド自在となっており、これにより仮設パネル2は上下方向に伸縮自在になっている。
【0023】
下段パネル部材3の係合受け部3aの一面及び上段パネル部材4の係合部4aにおける対応する一面には上下方向にわたって複数の固定ピン差込孔3c・4cが設けられており、上段パネル部材4をスライドさせて両パネル部材3・4の固定ピン差込孔3c・4cを孔合わせした上で固定ピン(図2には示されていないが、図9に示す固定ピン17と同形のもの)を挿通することにより上段パネル部材4を適宜の位置で固定できるようになっている。これにより、上段パネル部材4の伸長状態を適宜の位置で保持できるようになっている。
【0024】
なお、仮設パネル2は、図3(A)及び(B)において上方に位置する平坦な面の側が改装現場の外側(すなわち工事関係者以外の不特定多数の通行人等が往来する側)を向くように立設される。
【0025】
このように構成された仮設パネル2は、連結具6によって横方向に連結可能になっている。連結具6は、図5に示すとおり、断面視ほぼC字状で、その表面には孔6aが設けられており、その孔6aの周囲にはさらにその孔6aと同心状にナット6bが溶接されている。そして、図6に示すとおり、この連結具6を隣接する仮設パネル2・2の両側部にわたって嵌着させた上、蝶ボルト6cをナット6bに螺合させてそれを締め付けることにより、隣接する仮設パネル2・2同士を連結できるようになっている。
【0026】
なお、本実施形態では、隣り合う仮設パネル2の下段パネル部材3・3同士を連結するようにしているが、必ずしもこれに限定されるものではない。連結具6は、隣接する下段パネル部材3・3同士を連結してもよいし、隣接する上段パネル部材4・4同士を連結してもよい。前者の場合は隣接する係合受け部3a・3a同士を連結することになり、後者の場合は上段パネル部材4を伸長させることにより外部に露出した係合部4a・4a同士を連結することになる。
【0027】
かかる仮設パネル2を立設するに当たっては、床面及び天井面に横断面視コの字状のランナー(受け部材)7・8を固定し、このランナー7・8の溝部に仮設パネル2の上下端部を嵌め込むことにより特段の支持部材を用いることなく自立できるようになっている。
【0028】
以上のようにして、仮囲い1の一面が形成されることになるが、このようにして形成された一面と、同様に形成された他の一面とを連結するために用いられるのが本発明に係るコーナー部材である。
以下、本発明に係るコーナー部材の実施形態について説明する。
【0029】
《第1実施形態》
第1実施形態の仮囲い用コーナー部材10は、図7及び8に示すとおり、円筒中空状の第1ポール部材11と、この第1ポール部材11の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒中空状の第2ポール部材12とを備える。具体的には、第2ポール部材12は第1ポール部材11の上端開口部内に挿入されており、第1ポール部材11の上端部から軸心方向にスライドさせることにより伸縮自在でかつ軸心周りに回転自在に構成されている。本実施形態における第1ポール部材11及び第2ポール部材12はいずれも金属製のパイプ部材からなり、第1ポール部材11の内部に第2ポール部材12が挿入可能なように前者は後者よりも大径に構成されている。
【0030】
第1実施形態における第1ポール部材11は、仮設パネル2における下段パネル部材3とほぼ同じ長さ(高さ)を有しており(約2,200mm)、その軸心方向の長さとほぼ同じ長さを有する横断面視コの字状の第1受け部11aが溶接等によりその全長にわたって固定されている。この第1受け部11aは、下段パネル部材3の側端部(具体的には係合受け部3aの側端部)を受け入れ可能な大きさ・寸法に構成されており、一側に立設される仮設パネル2における下段パネル部材3の側端部を受け入れることにより(図9参照)、同仮設パネル2の前後方向及び左右方向の移動を規制するようになっている。
【0031】
本実施形態では、第1受け部11aは下段パネル部材3の側端部に係止可能に構成されている。具体的には、第1受け部11aには上下2箇所に固定ピン差込孔11bが設けられており、下段パネル部材3の側端部の対応する位置に設けられた固定ピン差込孔3c又は3dと孔合わせをした上で固定ピン17を挿通させることにより、第1受け部11aを下段パネル部材3に係止することができるようになっている。但し、両者を係止するに当たっては、上下両方の固定ピン差込孔11bに固定ピン17を挿通させる必要はなく、いずれか一方のみに固定ピン17を挿通させてもよい。
【0032】
他方、第1実施形態における第2ポール部材12は、第1ポール部材11の長さよりもやや短く形成されており(約2,000mm)、その上端部に横断面視コの字状の第2受け部12aが溶接等により固定されている。この第2受け部12aは、上段パネル部材4の側端部(具体的には係合部4aの側端部)を受け入れ可能な大きさ・寸法に構成されており、他側に立設される仮設パネル2における上段パネル部材4の側端部を受け入れることにより、同仮設パネル2の前後方向及び左右方向の移動を規制するようになっている。本実施形態では、この第2受け部12aは、上段パネル部材4の上方の側端部を受け入れるようになっている。
【0033】
本実施形態では、第2受け部12aは上段パネル部材4の側端部に係止可能に構成されている。具体的には、第2受け部12aには固定ピン差込孔12bが設けられており、仮設パネル2における上段パネル部材4の対応する位置に設けられた固定ピン差込孔4dと孔合わせした上で固定ピン17を挿通させることにより第2受け部12aを上段パネル部材4に係止することができるようになっている。
【0034】
以上のように構成された第1実施形態の仮囲い用コーナー部材10は以下のように使用される(図9参照)。
【0035】
まず、前述した方法で仮囲い1の一面側となる仮設パネル2及び他面側となる仮設パネル2をそれぞれ立設する。そのとき、各仮設パネル2・2は改装現場の天井高さに合わせて適宜の長さ(高さ)に伸長させられることになる。また、コーナー部を除いて、隣接する仮設パネル2・2同士は連結具6によって互いに連結される。
【0036】
この場合において、仮囲い1のコーナー部となる位置に本実施形態のコーナー部材10を立設し、第1受け部11aを一側の仮設パネル2における下段パネル部材3の側端部に嵌め込むとともに、仮設パネル2の伸長状態に合わせて第2ポール部材12を伸長させ、第2受け部12aを他側の仮設パネル2における上段パネル部材4の上方側端部に嵌め込む。
【0037】
その上で、第2受け部12aの固定ピン差込孔12bと上段パネル部材4の固定ピン差込孔4dとを孔合わせし、両者を固定ピン17で固定する。また、第1受け部11aの固定ピン差込孔11bと下段パネル部材3の固定ピン差込孔3c・3dとを孔合わせし、両者を固定ピン17で固定する。その際、第1受け部11aの固定ピン差込孔11bは上下2箇所に設けられているが、固定ピン17で固定するのはその一方のみであってもよい。上下2箇所の固定ピン差込孔11bのうち、固定ピン17によりその両方を固定するか、それともその一方のみを固定するか、さらには全く固定しないかは、適宜選択することができる。
【0038】
以上により、本実施形態のコーナー部材10は、一側の仮設パネル2と他側の仮設パネル2との間に介装されることになり、両仮設パネル2・2の間の隙間はほぼ埋められることになる。
【0039】
なお、本実施形態では、固定ピン17により第2受け部12aを上段パネル部材4に固定(係止)することにより第2ポール部材12の伸長状態を保持することができるようになっており、これにより第2ポール部材12が自重によって収縮することを防止することができる。但し、第2ポール部材12の伸長状態を保持するためにはかかる手段に限定されるものではなく、例えば、第2受け部12aは上段パネル部材4を受け入れるだけに留めて、第1ポール部材11に対する第2ポール部材12の固定は別の手段(例えば両ポール部材11・12自体を止めねじ等で固定する等)によって行ってもよい。
【0040】
以上の点は、第1受け部11aについても同様である。すなわち、本実施形態では、固定ピン17により第1受け部11aを下段パネル部材3に固定(係止)できるようになっているが、必ずしも両者を固定(係止)する必要はなく、単に第1受け部11aに下段パネル部材3の側端部が受け入れられるだけに留めてもよい。
【0041】
以上のとおり、本実施形態では、第1ポール部材11と第2ポール材12とが相対回転自在なため、適宜の角度のコーナー部を形成することができる。また、仮設パネル2と仮設パネル2の間にはほとんど隙間が生じないため、外観上の見栄えの良いコーナー部を形成することができる。
【0042】
なお、以上の説明からも分かるように、第1実施形態の仮囲い用コーナー部材10は、それによって仮設パネル2の直立姿勢を維持する機能を有するものではなく、当該コーナー部材10自体は一側及び他側の仮設パネル2・2にそれぞれ係止されるものではあっても、あくまで両仮設パネル2・2の間に留め置かれるものであって、専らその隙間を埋めるためのものであることに留意されたい。つまり、それ自体が自立性を有するものではない。但し、特許請求の範囲との関係では、仮囲い用コーナー部材自体が自立性を有するように構成してもよいことはもちろんである。
【0043】
《第2実施形態》
第2実施形態の仮囲い用コーナー部材20は、図10及び11に示すとおり、円筒中空状の第1ポール部材21と、同第1ポール部材21の一端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒中空状の第2ポール部材22と、同第1ポール部材21の他端部から軸心方向にスライド自在でかつ軸心周りに回転自在な円筒中空状の第3ポール部材23とを備える。具体的には、第2ポール部材22は第1ポール部材21の上端開口部内に挿入されており、第1ポール部材21の上端部から軸心方向にスライドさせることにより伸縮自在でかつ軸心周りに回転自在に構成されている。また、第3ポール部材23は第1ポール部材21の下端開口部内に挿入されており、第1ポール部材21の下端部から軸心方向にスライドさせることにより伸縮自在でかつ軸心周りに回転自在に構成されている。本実施形態における第1ポール部材21・第2ポール部材22・第3ポール部材23はいずれも金属製のパイプ部材からなり、第1ポール部材21の内部に第2ポール部材22及び第3ポール部材23がそれぞれ挿入可能なように第1ポール部材21は第2ポール部材22及び第3ポール部材23よりも大径に構成されている(他方、本実施形態における第2ポール部材22及び第3ポール部材23は同径である)。
【0044】
第2実施形態における第1ポール部材21は、仮設パネル2における下段パネル部材3よりも若干短い長さ(高さ)を有しており(約2,000mm)、その軸心方向の長さとほぼ同じ長さを有する横断面視コの字状の第1受け部21aが溶接等によってその全長にわたって固定されている。この第1受け部21aは、上段パネル部材4の側端部(具体的には係合部4aの側端部)及び下段パネル部材3の側端部(具体的には係合受け部3aの側端部)を受け入れ可能な大きさ・寸法に構成されており、一側に立設される仮設パネル2における上段パネル部材4及び下段パネル部材3の側端部をその内部に受け入れることにより、同仮設パネル2の前後方向及び左右方向の移動を規制するようになっている。
【0045】
本実施形態では、第1受け部21aは上段パネル部材4及び下段パネル部材3の側端部に係止可能に構成されている(図12参照)。具体的には、第1受け部21aには上下2箇所に固定ピン差込孔21bが設けられており、上段パネル部材4及び下段パネル部材3の側端部の対応する位置に設けられた固定ピン差込孔4c・3cと孔合わせをした上で固定ピン17を挿通させることにより、第1受け部21aを上段パネル部材4又は下段パネル部材3に係止することができるようになっている。但し、両者を係止するに当たっては、上下両方の固定ピン差込孔21bに固定ピン17を挿通させる必要はなく、いずれか一方のみに固定ピン17を挿通させてもよい。
【0046】
また、第2実施形態における第2ポール部材22は、第1ポール部材21の長さの約半分程度の長さを有しており(約1,000mm)、その上端部に横断面視コの字状の第2受け部22aが溶接等により固定されている。この第2受け部22aは、上段パネル部材4の側端部(具体的には係合部4aの側端部)を受け入れ可能な大きさ・寸法に構成されており、他側に立設される仮設パネル2における上段パネル部材4の側端部をその内部に受け入れることにより、同仮設パネル2の前後方向及び左右方向の移動を規制するようになっている。本実施形態では、この第2受け部22aは、上段パネル部材4の上方の側端部を受け入れるようになっている。
【0047】
本実施形態では、第2受け部22aは上段パネル部材4の側端部に係止可能に構成されている。具体的には、第2受け部22aには固定ピン差込孔22bが設けられており、仮設パネル2における上段パネル部材4の対応する位置に設けられた固定ピン差込孔4dと孔合わせした上で固定ピン17を挿通させることにより第2受け部22aを上段パネル部材4に係止することができるようになっている。
【0048】
さらに、第2実施形態における第3ポール部材23も、第2ポール部材22と同様、第1ポール部材21の長さの約半分程度の長さを有しており(約1,000mm)、その下端部に横断面視コの字状の第3受け部23aが溶接等により固定されている。この第3受け部23aは、下段パネル部材3の側端部(具体的には係合受け部3aの側端部)を受け入れ可能な大きさ・寸法に構成されており、他側に立設される仮設パネル2における下段パネル部材3の側端部をその内部に受け入れることにより、同仮設パネル2の前後方向及び左右方向の移動を規制するようになっている。本実施形態では、この第3受け部23aは、下段パネル部材3の下方の側端部を受け入れるようになっている。
【0049】
本実施形態では、第3受け部23aは下段パネル部材3の側端部に係止可能に構成されている。具体的には、第3受け部23aには固定ピン差込孔23bが設けられており、下段パネル部材3の側端部の対応する位置に設けられた固定ピン差込孔3dと孔合わせをした上で固定ピン17を挿通させることにより、第3受け部23aを下段パネル部材3に係止することができるようになっている。
【0050】
以上の説明から明らかなとおり、第2実施形態の仮囲い用コーナー部材20は、一側の仮設パネル2の側端部が第1受け部21aに受け入れられ、他側の仮設パネル2の側端部が第2受け部22a及び第3受け部23aに受け入れられるようになっている。
【0051】
以上のように構成された第2実施形態の仮囲い用コーナー部材20は以下のように使用される(図12参照)。
【0052】
まず、前述した方法で仮囲い1の一面側となる仮設パネル2及び他面側となる仮設パネル2をそれぞれ立設する。そのとき、各仮設パネル2・2は改装現場の天井高さに合わせて適宜の長さ(高さ)に伸長させられることになる。また、コーナー部を除いて、隣接する仮設パネル2・2同士は連結具6によって互いに連結される。
【0053】
この場合において、仮囲い1のコーナー部となる位置に本実施形態のコーナー部材20を立設し、第1受け部21aを一側の仮設パネル2における上段パネル部材4及び下段パネル部材3の各側端部にわたって嵌め込むとともに、第3受け部23aを他側の仮設パネル2の下方側端部に嵌め込む。また、仮設パネル2の伸長状態に合わせて第2ポール部材22及び第3ポール部材23を伸長させて、第2受け部22aを他側の仮設パネル2における上段パネル部材4の上方側端部に嵌め込む。
【0054】
その上で、第1受け部21aの固定ピン差込孔21bと一側の仮設パネル2における上段パネル部材4及び下段パネル部材3の固定ピン差込孔4c・3cとを孔合わせし、両者を固定ピン17で固定する。また、第2受け部22aの固定ピン差込孔22bと他側の仮設パネル2における上段パネル部材4の固定ピン差込孔4dとを孔合わせし、両者を固定ピン17で固定する。さらに、第3受け部23aの固定ピン差込孔23bと他側の仮設パネル2における下段パネル部材3の固定ピン差込孔3dとを孔合わせし、両者を固定ピン17で固定する。これにより、本実施形態のコーナー部材20は、一側の仮設パネル2と他側の仮設パネル2との間に介装されることになり、両仮設パネル2・2の間の隙間はほぼ埋められることになる。
【0055】
なお、本実施形態では、固定ピン17により第1受け部21aを一側の仮設パネル2における上段パネル部材4及び下段パネル部材3に固定(係止)することにより第1ポール部材21の伸長状態(第3ポール部材23に対する第1ポール部材21の伸長状態)を保持できるようになっており、これにより第1ポール部材21が自重によって収縮することを防止することができる。
【0056】
また、第2受け部22aについても同様であり、本実施形態では、固定ピン17により第2受け部22aを他側の仮設パネル2における上段パネル部材4に固定(係止)することにより第2ポール部材22の伸長状態(第1ポール部材21に対する第2ポール部材22の伸長状態)を保持できるようになっており、これにより第2ポール部材22が自重によって収縮することを防止することができる。
【0057】
但し、第1ポール部材21及び第2ポール部材22の伸長状態を保持するためにはかかる手段に限定されるものではなく、例えば、第1受け部21a及び第2受け部22aは対応する上段パネル部材4及び下段パネル部材3の側端部を受け入れるだけに留めて、第1ポール部材21に対する第2ポール部材22の固定及び第3ポール部材23に対する第1ポール部材21の固定は別の手段(例えばポール部材同士を止めねじ等で固定する等)によって行ってもよい。
【0058】
以上の点は、第3受け部23aについても同様である。すなわち、本実施形態では、固定ピン17により第3受け部23aを下段パネル部材3に固定(係止)できるようになっているが、必ずしも両者を固定(係止)する必要はなく、単に第3受け部23aに下段パネル部材3の側端部が受け入れられるだけに留めてもよい。
【0059】
以上のとおり、第2実施形態では、第1ポール部材21と第2ポール材22及び第1ポール部材21と第3ポール部材23が元来相対回転自在なため、適宜の角度のコーナー部を形成することができる。また、仮設パネル2と仮設パネル2の間にほとんど隙間が生じないため、外観上の見栄えの良いコーナー部を形成することができる。
【0060】
なお、第2実施形態の仮囲い用コーナー部材20についても、第1実施形態の仮囲い用コーナー部材10と同様、それによって仮設パネル2の直立姿勢を維持する機能を有するものではなく、当該コーナー部材20自体は一側及び他側の仮設パネル2・2にそれぞれ係止されるものではあっても、あくまで両仮設パネル2・2の間に留め置かれるものであって、専らその隙間を埋めるためのものであることに留意されたい。つまり、それ自体が自立性を有するものではない。但し、特許請求の範囲との関係では、仮囲い用コーナー部材自体が自立性を有するように構成してもよいことはもちろんである。
【0061】
《第2実施形態の使用態様の変形例》
第2実施形態の仮囲い用コーナー部材20は、図13に示すような態様でも使用することができる。すなわち、第3受け部23aを第1受け部21aと同じ側の仮設パネル2を受け入れるようにしてもよい。この場合は、第1受け部21aを一側の仮設パネル2における上段パネル部材4の側端部及び下段パネル部材3の側端部にわたって嵌め込むとともに、第3受け部23aについても同じ側の下段パネル部材3の側端部に嵌め込む。そして、第2受け部22aについてのみ他側の仮設パネル2における上段パネル部材4の側端部に嵌め込むことになる。
【0062】
かかる使用態様においても、第2実施形態の仮囲い用コーナー部材20は、一側の仮設パネル2と他側の仮設パネル2との間に介装されることになり、両仮設パネル2・2の間の隙間はほぼ埋められることになる。また、適宜の角度のコーナー部を形成することができること、及び、仮設パネル2と仮設パネル2の間にほとんど隙間が生じないため、外観上の見栄えの良いコーナー部を形成できることは前記使用態様の場合と同様である。
【0063】
以上、本発明に実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態では、第1受け部が第1ポール部材とほぼ同じ長さとなるように構成されていたが、両者は必ずしも同じ長さである必要はない。また、第2実施形態では、第1受け部が一側の仮設パネルにおける上段パネル部材及び下段パネル部材にわたってその側端部を受け入れることができるように構成されていたが、いずれか一方の側端部のみを受け入れるように構成してもよい。
【0064】
上記各実施形態では、第1~3受け部が横断面視コの字状に形成されていたが、第1~3受け部の形状はかかる形状のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
1 仮囲い
2 仮設パネル
3 下段パネル部材
3a 係合受け部
3b 補強部材
3c 固定ピン差込孔
3d 固定ピン差込孔
4 上段パネル部材
4a 係合部
4b 補強部材
4c 固定ピン差込孔
4d 固定ピン差込孔
6 連結具
6a 孔
6b ナット
6c 蝶ボルト
7 床面側ランナー(下側ランナー)
8 天井側ランナー(上側ランナー)
10 仮囲い用コーナー部材(第1実施形態)
11 第1ポール部材
11a 第1受け部
11b 固定ピン差込孔
12 第2ポール部材
12a 第2受け部
12b 固定ピン差込孔
17 固定ピン
20 仮囲い用コーナー部材(第2実施形態)
21 第1ポール部材
21a 第1受け部
21b 固定ピン差込孔
22 第2ポール部材
22a 第2受け部
22b 固定ピン差込孔
23 第3ポール部材
23a 第3受け部
23b 固定ピン差込孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13