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特開2022-45084キャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法
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  • 特開-キャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045084
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】キャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/672 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
B65D85/672
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150583
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 悠貴
【テーマコード(参考)】
3E037
【Fターム(参考)】
3E037AA01
3E037BA02
3E037BA03
3E037BB01
3E037BB02
3E037BB03
3E037BB06
(57)【要約】
【課題】簡便かつ低コストでありながら、衝撃吸収性に優れるキャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法を提供する。
【解決手段】キャリアテープ110がリールに巻き取られた巻回体100を収納するキャリアテープ用梱包箱1であって、キャリアテープ用梱包箱1は、その内壁の端部から内側に向けて立設された内フラップ12,13を備え、内フラップ12,13は、キャリアテープ用梱包箱1の内部に収納された巻回体100に当接することにより、巻回体100を保持可能であり、内フラップ12,13の根元端部14,15から巻回体100との当接端部16,17までの長さである、内フラップ12,13のフラップ長Lが、巻回体100の半径Rの(√2-1)倍以上1倍以下である、キャリアテープ用梱包箱1を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープがリールに巻き取られた巻回体を収納するキャリアテープ用梱包箱であって、
前記キャリアテープ用梱包箱は、その内壁の端部から内側に向けて立設された内フラップを備え、
前記内フラップは、前記キャリアテープ用梱包箱の内部に収納された前記巻回体に当接することにより、前記巻回体を保持可能であり、
前記内フラップの根元端部から前記巻回体との当接端部までの長さである、前記内フラップのフラップ長が、前記巻回体の半径の(√2-1)倍以上1倍以下である、
キャリアテープ用梱包箱。
【請求項2】
前記内フラップは、
前記内壁の一の端部から立設された第1の内フラップと、
前記一の端部と対向する前記内壁の端部から立設された第2の内フラップと、
を備え、
前記第1の内フラップの前記当接端部と、前記第2の内フラップの前記当接端部とによって、前記巻回体を保持可能とする、
請求項1に記載のキャリアテープ用梱包箱。
【請求項3】
前記内フラップは、前記巻回体との前記当接端部に、前記巻回体を受け止める保持溝が形成されている、
請求項1又は2に記載のキャリアテープ用梱包箱。
【請求項4】
前記内フラップは、折り曲げ可能であることにより、前記フラップ長が調節可能である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリアテープ用梱包箱。
【請求項5】
前記内フラップが、
前記キャリアテープ用梱包箱の前記内壁から内側に向けて立設され、前記巻回体と当接する内フラップ本体と、
前記内フラップ本体から立設され、前記内フラップ本体と前記内壁との接触を防止する移動規制部と、
を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のキャリアテープ用梱包箱。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のキャリアテープ用梱包箱と、
前記キャリアテープ用梱包箱に収納された前記キャリアテープの前記巻回体と、
を備え、
前記巻回体が前記内フラップの前記当接端部により保持されている、
キャリアテープ梱包体。
【請求項7】
キャリアテープがリールに巻き取られた巻回体をキャリアテープ用梱包箱に収納する、前記キャリアテープの前記巻回体の梱包方法であって、
前記キャリアテープ用梱包箱は、
その内壁の端部から内側に向けて立設可能な内フラップを備え、
前記内フラップは、前記キャリアテープ用梱包箱の内部に収納された前記巻回体に当接することにより、前記巻回体を保持可能であり、
前記内フラップの根元端部から前記巻回体との当接端部までの長さである、前記内フラップのフラップ長が、前記巻回体の半径の(√2-1)倍以上1倍以下であり、
前記キャリアテープ用梱包箱に収納された前記巻回体に対して、前記内フラップを、前記内壁の前記端部から内側に向けて立設させ、前記巻回体に前記当接端部を当接させることにより、前記内フラップにより前記巻回体を保持させる工程を含む、
キャリアテープの巻回体の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機器の電子部品等を実装機に搬送する際、電子部品等を収納するためにキャリアテープが用いられている。キャリアテープとしては、例えば、基材の表面に部品を収納するためのエンボスを設けたものが用いられている。このエンボスの凹部を部品収納部(ポケット)とし、そこに電子部品等を収納し、その上からカバーテープで封止して使用する。そして、キャリアテープをリール等に巻き取って巻回体とし、これを段ボール等のキャリアテープ用梱包箱に収納して、輸送又は保管される(例えば、特許文献1の図3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-001689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、キャリアテープの巻回体をキャリアテープ用梱包箱に収納して輸送又は保管する際、振動や落下衝撃等の外部からの衝撃がキャリアテープ用梱包箱に加わることによって、キャリアテープの巻き緩みや巻き崩れ等が発生する。これによりキャリアテープのねじれ及び反り等が発生し、搬送先での使用時に不具合が生じるという問題がある。その一方で、キャリアテープ用梱包箱及びキャリアテープの巻回体の梱包方法には、簡便かつ低コストであることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ低コストでありながら、衝撃吸収性に優れるキャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、キャリアテープ用梱包箱の内壁の端部から内側に向けて立設された内フラップを設け、内フラップが、キャリアテープ用梱包箱の内部に収納された巻回体に当接させることにより、巻回体を保持可能とすることに知見を得た。そして、かかる知見に基づき鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0008】
(1)
キャリアテープがリールに巻き取られた巻回体を収納するキャリアテープ用梱包箱であって、
前記キャリアテープ用梱包箱は、その内壁の端部から内側に向けて立設された内フラップを備え、
前記内フラップは、前記キャリアテープ用梱包箱の内部に収納された前記巻回体に当接することにより、前記巻回体を保持可能であり、
前記内フラップの根元端部から前記巻回体との当接端部までの長さである、前記内フラップのフラップ長が、前記巻回体の半径の(√2-1)倍以上1倍以下である、
キャリアテープ用梱包箱である。
(2)
前記内フラップは、
前記内壁の一の端部から立設された第1の内フラップと、
前記一の端部と対向する前記内壁の端部から立設された第2の内フラップと、
を備え、
前記第1の内フラップの前記当接端部と、前記第2の内フラップの前記当接端部とによって、前記巻回体を保持可能とする、
(1)のキャリアテープ用梱包箱である。
(3)
前記内フラップは、前記巻回体との前記当接端部に、前記巻回体を受け止める保持溝が形成されている、
(1)又は(2)のキャリアテープ用梱包箱である。
(4)
前記内フラップは、折り曲げ可能であることにより、前記フラップ長が調節可能である、
(1)~(3)のいずれかのキャリアテープ用梱包箱である。
(5)
前記内フラップが、
前記キャリアテープ用梱包箱の前記内壁から内側に向けて立設され、前記巻回体と当接する内フラップ本体と、
前記内フラップ本体から立設され、前記内フラップ本体と前記内壁との接触を防止する移動規制部と、
を備える、
(1)~(4)のいずれかのキャリアテープ用梱包箱である。
(6)
(1)~(5)のいずれかのキャリアテープ用梱包箱と、
前記キャリアテープ用梱包箱に収納された前記キャリアテープの前記巻回体と、
を備え、
前記巻回体が前記内フラップの前記当接端部により保持されている、
キャリアテープ梱包体である。
(7)
キャリアテープがリールに巻き取られた巻回体をキャリアテープ用梱包箱に収納する、前記キャリアテープの前記巻回体の梱包方法であって、
前記キャリアテープ用梱包箱は、
その内壁の端部から内側に向けて立設可能な内フラップを備え、
前記内フラップは、前記キャリアテープ用梱包箱の内部に収納された前記巻回体に当接することにより、前記巻回体を保持可能であり、
前記内フラップの根元端部から前記巻回体との当接端部までの長さである、前記内フラップのフラップ長が、前記巻回体の半径の(√2-1)倍以上1倍以下であり、
前記キャリアテープ用梱包箱に収納された前記巻回体に対して、前記内フラップを、前記内壁の前記端部から内側に向けて立設させ、前記巻回体に前記当接端部を当接させることにより、前記内フラップにより前記巻回体を保持させる工程を含む、
キャリアテープの巻回体の梱包方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡便かつ低コストでありながら、衝撃吸収性に優れるキャリアテープ用梱包箱、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープの巻回体の梱包方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、キャリアテープの巻回体の一例を説明するための斜視図である。
図2図2は、キャリアテープ用梱包箱の第一実施形態にキャリアテープの巻回体を収納した状態の上面図である。
図3図3は、図2のA-A線における正面断面図である。
図4図4は、内フラップとキャリアテープ捲回体の関係を示す概略図である。
図5図5は、キャリアテープ用梱包箱の第二実施形態にキャリアテープ捲回体を収納した状態の正面断面図である。
図6図6は、キャリアテープ用梱包箱の第三実施形態における、内フラップとキャリアテープ捲回体の関係を示す概略図である。
図7図7は、キャリアテープ用梱包箱の第四実施形態における、内フラップとキャリアテープ捲回体の関係を示す概略図である。
図8図8は、従来のキャリアテープ用梱包箱にキャリアテープ捲回体を収納した状態の上面図である。
図9図9は、図8のB-B線における正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0012】
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、各実施形態において重複する説明は省略する。また、便宜上、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
<キャリアテープの巻回体>
【0014】
キャリアテープ用梱包箱に収納されるキャリアテープの巻回体について説明する。
【0015】
図1は、キャリアテープの巻回体の一例を説明するための斜視図である。
【0016】
キャリアテープ110及びその巻回体100は、公知のものを用いることができる。例えば、長尺のキャリアテープ110がリールに巻き取られた、キャリアテープ110の巻回体(以下、単に「巻回体」と略する場合がある。)100は、リールの上フランジ120及び下フランジ130を有する。上フランジ120は、上フランジ表面140及び上フランジ側面160を有する。下フランジ130は、下フランジ表面150及び下フランジ側面170を有する。そして、巻回体100を巻き取り装置(不図示)に挿通させるための中心孔Hが、上フランジ120から下フランジ130まで貫通形成されている。
【0017】
そして、図示はしないが、キャリアテープ110には、部品を収納するエンボスが複数形成されている。さらに、必要に応じて、搬送又は位置決めに用いるための送り孔、及びエンボスに収納された部品を検知又は検査するための検査孔等が、キャリアテープ110に形成されていてもよい。キャリアテープ110のエンボスに部品を収納した後、カバーテープ(不図示)によってこれを封止する。
【0018】
キャリアテープ110に収納される部品としては、特に限定されず、例えば、セラミックコンデンサ、抵抗、ICチップ、インダクタ、発光ダイオード(LED)、シールド部材、コネクタ等の種々の電子部品及び電気部品が挙げられる。
【0019】
キャリアテープ110の長手方向の長さ(テープ長)は、特に限定されないが、通常、200m以上である。この長さの下限は、好ましくは400m以上である。また、この長さの上限は、好ましくは2000m以下である。このようにテープ長が長いキャリアテープ110は、リールに巻き取った際の巻き崩れ及び巻き緩み等が起こりやすい。かかるキャリアテープ110の巻回体100を段ボール箱やプラスチックケース箱等に収納すると、外部からの振動によって容易に巻き崩れ及び巻き緩み等が起きやすい傾向にある。この点、詳細は後述するが、本実施形態に係るキャリアテープ用梱包箱1,2,3,4は衝撃吸収性に優れるため、このようなキャリアテープ110の巻回体100であっても、巻き崩れ及び巻き緩み等を効果的に抑止することができる。
【0020】
キャリアテープ110の幅方向の長さ(テープ幅)は、特に限定されないが、通常4mm以上80mm以下である。この長さの下限は、好ましくは8mm以上であり、より好ましくは12mm以上であり、更に好ましくは16mm以上である。また、この長さの上限は、好ましくは72mm以下であり、より好ましくは56mm以下であり、更に好ましくは44mm以下である。
【0021】
キャリアテープ110の材料は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、スチレンアクリロニトリルコポリマー、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0022】
また、巻回体100の上面視における形状は略円形である。巻回体100の半径R(例えば、上フランジ120の半径、図4参照)は、特に限定されないが、キャリアテープ110のテープ長等を考慮して決定することができる。この半径Rは、通常、80cm以上400cm以下である。この半径の下限は、好ましくは160cm以上であり、より好ましくは210cm以上である。この半径の上限は、好ましくは340cm以下であり、より好ましくは290cm以下である。
【0023】
<キャリアテープ用梱包箱>
【0024】
まず、従来のキャリアテープ用梱包箱について説明する。
【0025】
図8は、従来のキャリアテープ用梱包箱にキャリアテープ捲回体を収納した状態の上面図であり、図9は、図8のB-B線における正面断面図である。
【0026】
キャリアテープ用梱包箱200は、キャリアテープ110の巻回体100を2体収納する梱包箱である。キャリアテープ用梱包箱200は、その枠体を構成する外箱210と、外箱210の内壁側に配置された補強板220と、仕切り板290とを備える。図8は、2体の巻回体100が収納されたキャリアテープ用梱包箱200を、一方の巻回体100の上フランジ表面140から上面視した状態を示している。そして、図9に示すように、外箱210の仕切り板290を介して、一方の巻回体100の上フランジ120と、他方の巻回体100の下フランジ130とが対向するように、2体の巻回体100がキャリアテープ用梱包箱200に収納されている。
【0027】
キャリアテープ用梱包箱200に収納された巻回体100は、輸送時に外箱210との隙間を微動するため、キャリアテープ110の巻き崩れ及び巻き緩み等が起こる。そこで、収納時の巻回体100を位置決めするために、ストッパ230,240を設ける。具体的には、補強板220を、外箱210の内壁の左端部に当接する第1の折り曲げ部250で折り曲げることにより、第1のストッパ230を設ける。そして、外箱210の内壁の右端部に当接する第2の折り曲げ部260で折り曲げることにより、第2のストッパ240を設ける。第1のストッパ230の第1のストッパ端部270と、第2のストッパ240の第2のストッパ端部280とによって、補強板220の略中央(領域P6参照)に巻回体100を定置させようとするものである。
【0028】
しかしながら、このようなストッパ230,240は、巻回体100の微動をある程度抑制できたとしても、巻回体100の位置決めが不十分であるために、輸送時の振動や落下衝撃等によるキャリアテープ110の巻き崩れ及び巻き緩み等を十分に抑制することができない。このように、従来のキャリアテープ用梱包箱200には、外部からの衝撃吸収性が不十分であるという問題がある。
【0029】
続いて、本実施形態に係るキャリアテープ用梱包箱について説明する。
【0030】
図2は、キャリアテープ用梱包箱の第一実施形態にキャリアテープの巻回体を収納した状態の上面図であり、図3は、図2のA-A線における正面断面図であり、図4は、内フラップとキャリアテープ捲回体の関係を示す概略図である。
【0031】
本実施形態に係るキャリアテープ用梱包箱1は、キャリアテープ110の巻回体100を2体収納する梱包箱である。キャリアテープ用梱包箱1は、枠体を構成する外箱10と、外箱10の内壁側に配置された補強板11と、仕切り板18とを備える。図2は、2体の巻回体100が収納されたキャリアテープ用梱包箱1を、一方の巻回体100の上フランジ表面140から上面視した状態を示している。そして、図3に示すように、外箱10の仕切り板18を介して、一方の巻回体100の上フランジ120と、他方の巻回体100の下フランジ130とが対向するように、2体の巻回体100が収納されている。
【0032】
本実施形態に係るキャリアテープ用梱包箱1は、キャリアテープ110がリールに巻き取られた巻回体100を収納する梱包箱であり、その内壁の端部から内側に向けて立設された内フラップ12,13を備え、内フラップ12,13は、キャリアテープ用梱包箱1の内部に収納された巻回体100に当接することにより、巻回体100を保持可能であり、内フラップ12,13の根元端部14,15から巻回体100との当接端部16,17までの長さである、内フラップ12,13のフラップ長Lが、巻回体100の半径Rの(√2-1)倍以上1倍以下である。内フラップ12,13は、キャリアテープ用梱包箱1の内部の端部から内側に向けて立設可能な構造である。
【0033】
補強板11は、任意の部材であり、外箱10の内壁に接するように配置することにより、キャリアテープ用梱包箱1の強度を高めることができる。補強板11は、外箱10と別部材であってもよいし、外箱10から延設されたフラップであってもよい。
【0034】
キャリアテープ用梱包箱1が補強板11を備える場合、補強板11を、外箱10の内壁の端部(例えば、外箱10を構成する2枚の内壁が交差する端辺)に当接する箇所(例えば、根元端部14,15)において外箱10の内側に向けて折り曲げることにより、内フラップ12,13を形成させることができる。
【0035】
図2に示すように、内フラップ12,13は、内壁の一の端部から立設された第1の内フラップ(左内フラップ)12と、一の端部と対向する内壁の端部から立設された第2の内フラップ(右内フラップ)13と、を備え、第1の内フラップ12の第1の当接端部(左当接端部)16と、第2の内フラップ13の第2の当接端部(右当接端部)17とによって、巻回体100を保持可能とすることが好ましい。内フラップ12,13と巻回体100とが領域P1,P2において接触するとともに、外箱10と巻回体100とが領域P3において接触することによって、領域P1,P2,P3の3点で巻回体100が保持することができる。
【0036】
例えば、補強板11を、内壁の左端部に位置する箇所(第1の根元端部14)で折り曲げて第1の内フラップ12を構成させる。そして、第1の内フラップ12を外箱10の内側に向けて起立させる。これにより、第1の内フラップ12が内壁側へ復帰しようとする復元力(矢印F1参照)が発生する。その結果、第1の当接端部16が巻回体100に当接することにより(領域P1参照)、この復元力が巻回体100に作用し、第1の内フラップ12が巻回体100を保持する。
【0037】
同様に、補強板11を、内壁の右端部に位置する箇所(第2の根元端部15)で折り曲げて第2の内フラップ13を構成させる。そして、第2の内フラップ13を外箱10の内側に向けて起立させる。これにより、第2の内フラップ13が内壁側へ復帰しようとする復元力(矢印F2参照)が発生する。その結果、第2の当接端部17が巻回体100に当接することにより(領域P2参照)、この復元力が巻回体100に作用し、第2の内フラップ13が巻回体100を保持する。
【0038】
第1の内フラップ12及び第2の内フラップ13により巻回体100を左右から保持することによって、第1の内フラップ12の復元力(矢印F1参照)と第2の内フラップ13の復元力(矢印F2参照)が作用することによって、収納された巻回体100の位置決め精度が一層高まり、外部からの衝撃吸収性が一層向上する。
【0039】
図4は、2体の巻回体100が収納されたキャリアテープ用梱包箱1を、一方の巻回体100の上フランジ表面140から上面視した状態を示している。内フラップ12のフラップ長Lは、巻回体100の半径Rの(√2-1)倍以上1倍以下である。これにより、根元端部14から立設された内フラップ12のフラップ長Lが、巻回体100の保持に適した長さとなる。なお、内フラップ12のフラップ長Lは、内フラップ12の根元端部14から当接端部16までの長さをいう。
【0040】
この点、上述した従来のキャリアテープ用梱包箱200は、第1のストッパ230の第1のストッパ端部270と、第2のストッパ240の第2のストッパ端部280とによって、補強板220の略中央(領域P6参照)に巻回体100を定置させるものである。そのため、従来のキャリアテープ用梱包箱200のストッパ230は、本実施形態の内フラップ12とは異なり、外箱10の壁面から立設しておらず、壁面に接している。このような機能の相違から、通常、ストッパ230の長さは、半径Rの(√2-1)倍以上1倍以下の長さとはならない。
【0041】
なお、ここでは、2体の巻回体100を収納する場合を例示したが、巻回体100の収納数は限定されず、3体以上の巻回体100を収納する構成としてもよい。また、仕切り板18は、設けなくてもよい。さらに、図示はしないが、キャリアテープ用梱包箱1は、上蓋や緩衝部材等、公知の梱包箱において使用される、その他の任意の部材を設けることができる。
【0042】
そして、キャリアテープ用梱包箱1の材料は、特に限定されないが、コストの観点から、段ボール又はプラスチックであることが好ましい。例えば、段ボールを材料とする場合、その箱形式は特に限定されず、例えば、A式段ボール箱(みかん箱タイプ)、B式段ボール箱(差し込みタイプ)、C式段ボール箱(蓋・本体分離タイプ)等を採用することができる。
【0043】
図5は、キャリアテープ用梱包箱の第二実施形態にキャリアテープ捲回体を収納した状態の正面断面図である。
【0044】
図5は、2体の巻回体100が収納されたキャリアテープ用梱包箱2を、一方の巻回体100の上フランジ表面140から上面視した状態を示している。キャリアテープ用梱包箱3は、内フラップ19,20は、巻回体100との当接端部に、巻回体100を受け止める保持溝21,22,23,24,25,26が形成されている点で、第一実施形態であるキャリアテープ用梱包箱1と相違する。
【0045】
保持溝21,22,23,24,25,26を設けることによって、左右の内フラップ19,20が、巻回体100を更にしっかりと保持することができる。その結果、収納時の巻回体100の微動を一層効果的に抑制することができ、巻回体100の位置決め精度を向上させることができる。このような観点から、第1の内フラップ19と第2の内フラップ20のいずれにも巻回体100の端部を受け止める保持溝21,22,23,24,25,26が形成されていることが好ましい。
【0046】
具体的には、第1の内フラップ(左内フラップ)19には、巻回体100の上フランジ120を受け止める保持溝21と、1体の巻回体100の上フランジ120及びもう1体の巻回体100の下フランジ130を受け止める保持溝23と、巻回体100の下フランジ130を受け止める保持溝22とが形成されている。
【0047】
同様に、第2の内フラップ(右内フラップ)20には、巻回体100の上フランジ120を受け止める保持溝24と、1体の下フランジ130及びもう1体の巻回体100の上フランジ120を受け止める保持溝26と、巻回体100の下フランジ130を受け止める保持溝25とが形成されている。
【0048】
この場合のフラップ長Lは、内フラップ19,20の根元端部(例えば、図2の根元端部14,15参照)から、保持溝21,22,23,24,25,26の凹部面までの長さをいう。
【0049】
図6は、キャリアテープ用梱包箱の第三実施形態における、内フラップとキャリアテープ捲回体の関係を示す概略図である。
【0050】
図6は、2体の巻回体100が収納されたキャリアテープ用梱包箱3を、一方の巻回体100の上フランジ表面140から上面視した状態を示している。キャリアテープ用梱包箱3は、内フラップ27が折り曲げ可能であることにより、フラップ長Lを調節可能とする点で、第一実施形態であるキャリアテープ用梱包箱1と相違する。
【0051】
内フラップ27を折り曲げ可能とすることにより、収納するキャリアテープ110の巻回体100の寸法形状に適したフラップ長Lに調節することができる。これにより、内フラップ27の当接端部29が領域P4において巻回体100と当接し、内フラップ27が巻回体100を更にしっかりと保持することができる。その結果、収納時の巻回体100の微動を更に効果的に抑制することができ、巻回体100の位置決め精度を向上させることができる。
【0052】
この場合のフラップ長Lは、上述したように、内フラップ27の根元端部14から当接端部29までの長さをいい、折り曲げ端部30の長さは含まれない。
【0053】
折り曲げ可能とする方法は、特に限定されず、例えば、内フラップ本体28に、折り曲げ可能とする折り目線又は浅い切れ込み線を設けることが挙げられる。
【0054】
図7は、キャリアテープ用梱包箱の第四実施形態における、内フラップとキャリアテープ捲回体の関係を示す概略図である。
【0055】
図7は、2体の巻回体100が収納されたキャリアテープ用梱包箱4を、一方の巻回体100の上フランジ表面140から上面視した状態を示している。キャリアテープ用梱包箱4は、内フラップ31が、キャリアテープ用梱包箱4の内壁から内側に向けて立設されている。そして、内フラップ31は、巻回体100と当接する内フラップ本体32と、内フラップ本体32から立設され、内フラップ本体32と内壁(補強板11を設けている場合は、補強板11)との接触を防止する移動規制部34と、を備える点で、第一実施形態であるキャリアテープ用梱包箱1と相違する。
【0056】
キャリアテープ用梱包箱4の内壁から内側に向けて立設された内フラップ本体32は、当接端部33が領域P5において巻回体100と当接する。そして、内フラップ本体32は、その復元力(矢印F1参照)によって内壁(補強板11を設けている場合は、補強板11)に接触しようとするが、内フラップ本体32と壁面との間に移動規制部34を設けることにより、これを防止することができる。
【0057】
ここでは、移動規制部34が内フラップ本体32と連結されている態様を例示しているが、本実施形態はこれに限定されない。移動規制部34は、内フラップ31と別部材であってもよい。例えば、内フラップ31と別部材であり、内フラップ31とキャリアテープ用梱包箱4の内壁との間に配置された移動規制部を有する態様としてもよい。
【0058】
この場合のフラップ長Lは、上述したように、内フラップ31の根元端部14から当接端部33までの長さをいい、移動規制部34の長さは含まれない。
【0059】
<キャリアテープ梱包体、梱包方法>
【0060】
本実施形態に係るキャリアテープ梱包体は、キャリアテープ110の巻回体100がキャリアテープ用梱包箱1,2,3,4に収納されたものである。例えば、第一実施形態であるキャリアテープ用梱包箱1にキャリアテープ110の巻回体100を梱包する場合、上述したキャリアテープ用梱包箱1と、これに収納されたキャリアテープ110の巻回体100と、を備え、巻回体100が内フラップ12,13の当接端部16,17により保持されている、キャリアテープ梱包体である。
【0061】
そして、本実施形態に係るキャリアテープ110の巻回体100の梱包方法は、キャリアテープ110の巻回体100をキャリアテープ用梱包箱1,2,3,4に収納する梱包方法である。例えば、第一実施形態であるキャリアテープ用梱包箱1にキャリアテープ110の巻回体100を梱包する場合、キャリアテープ用梱包箱1に収納された巻回体100に対して、内フラップ12,13を、内壁の端部から内側に向けて立設させ、巻回体100に当接端部16,17を当接させることにより、内フラップ12,13により巻回体100を保持させる工程を含む、梱包方法である。
【0062】
具体的には、まず、巻回体100のフランジ部(上フランジ120又は下フランジ130)が補強板11に対向するように、キャリアテープ用梱包箱1にキャリアテープ110の巻回体100を収納する。続いて、補強板11から内フラップ12,13を立設させて、巻回体100に当接させる。本実施形態に係る梱包方法は、このように簡便な方法でありながら、外部からの衝撃が巻回体100に伝わることを抑制することができる。
【0063】
以上説明してきたように、本実施形態に係るキャリアテープ用梱包箱1,2,3,4、並びに、これを用いた梱包体及びキャリアテープ110の梱包方法は、簡便かつ低コストでありながら、外部からの衝撃吸収性に優れるという利点を少なくとも有する。そのため、輸送時の振動及び落下衝撃等によるキャリアテープ110の巻き緩み及び巻き崩れ等を効果的に抑制することができる。
【0064】
さらに、緩衝部材等の副資材を必ずしも用いなくても優れた衝撃吸収性を発揮できるため、部材の点数が少なく、梱包箱として箱管理が簡素化できるという利点も期待できる。また、梱包箱として寸法上の制約を緩和できることから、梱包箱の共通化・汎用化も期待できる。
【実施例0065】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
【0067】
図2及び図3に示す構造を有する、段ボール製の梱包箱A(フラップあり)を作製した。その寸法形状等は以下のとおりである。
・梱包箱の長さ=44cm
・梱包箱の幅 =35cm
・梱包箱の高さ=45cm
・内フラップ12,13のそれぞれの長さ(フラップ長L)=17cm
・フラップ長Lは、巻回体100の半径Rの(√2-1)倍以上1倍以下である。
【0068】
(比較例1)
【0069】
図8及び図9に示す構造を有する、段ボール製の梱包箱B(ストッパあり、フラップなし)を作製した。その寸法形状等は以下のとおりである。
のとおりである。
・梱包箱の長さ=44cm
・梱包箱の幅 =35cm
・梱包箱の高さ=45cm
・ストッパ230、240のそれぞれの長さ(折り曲げ部250からストッパ端部270までの長さ、折り曲げ部260からストッパ端部280までの長さ)=17cm
【0070】
図1に示すキャリアテープ110の巻回体100を用意し、これを梱包箱A,Bに収納し、落下衝撃試験を行った。
【0071】
(落下衝撃試験)
【0072】
まず、キャリアテープ110に振動測定器を固定し、これをリールに巻き取り、巻回体100とした。巻回体100の寸法形状は以下のとおりである。
・巻回体100の半径R(上フランジ120及び下フランジ130の半径)=21cm
・巻回体100の重量=4100g(キャリアテープ+リール)
・梱包箱の総重量=9500g(キャリアテープ×2体+リール×2体+梱包箱)
・キャリアテープ110のテープ長=1300m
・キャリアテープ110のテープ幅=8cm
続いて、2体の巻回体100を梱包箱A,Bにそれぞれ収納し、梱包体A,Bとした。梱包体A,Bを30cmの高さから床に自然落下させた。そして、振動測定器の測定値から衝撃合力(単位[G]、下記式参照)を求めた。この衝撃合力は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各加速度のベクトル和であり、衝撃度の指数として用いた。衝撃合力のG値が小さい程、梱包箱の衝撃吸収性が高いと評価した。
【0073】
【数1】
【0074】
表1に、実施例1及び比較例1の測定結果を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
以上より、巻回体100を保持する内フラップ12,13を設けた実施例1の梱包箱Aは、簡便かつ低コストでありながら、かかる内フラップ12,13を設けない比較例1の梱包箱Bよりも衝撃吸収性に優れていることが少なくとも確認された。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3,4:キャリアテープ用梱包箱、10:外箱、11:補強板、12,13,19,20,27,31:内フラップ、14,15:根元端部、16,17,29,33:当接端部、18:仕切り板、21,22,23,24,25,26:保持溝、28,32:内フラップ本体、30:折り曲げ端部、34:移動規制部、100:巻回体、110:キャリアテープ、120:上フランジ、140:上フランジ表面、160:上フランジ側面、130:下フランジ、150:下フランジ表面、170:下フランジ側面、200:従来のキャリアテープ用梱包箱、210:外箱、220:補強板、230,240:ストッパ、250,260:折り曲げ部、270,280:ストッパ端部、290:仕切り板、H:中心孔、L:フラップ長、R:半径、P1~P6:領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
【表1】