(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045182
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
F16J 15/08 20060101AFI20220311BHJP
F02F 11/00 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
F16J15/08 P
F02F11/00 B
F02F11/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150732
(22)【出願日】2020-09-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】391003185
【氏名又は名称】株式会社ケットアンドケット
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】吉野 展生
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040BA01
3J040EA05
3J040EA17
3J040EA28
3J040EA38
3J040EA39
3J040EA48
3J040HA09
3J040HA17
(57)【要約】
【課題】ボルトの締結力によるシリンダヘッドの変形を抑制することができるガスケットを提供する。
【解決手段】内燃機関100のシリンダヘッドとシリンダブロック3との間に取り付けられるガスケット1であって、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配設される中板13と、一対の基板11,12の間に配設されるスペーサ14とを備え、一対の基板11,12の各々は、シリンダブロック3に形成されたボア壁31を囲む冷却水通路60をシールするためのビード部である冷却水シールビードを有しており、中板13は、シリンダブロックのボア壁31とシリンダヘッドとの間に挟まれるようにボア壁31のデッキ面31aに対応する形状に形成された部分である楔部13aを有し、スペーサ14は、冷却水シールビードに重なることなくシリンダブロック3のボア孔31bの並び方向Lに交差する交差方向Sに延びて、ボア孔31bの並び方向Lにおける各端部においてシリンダブロック3とシリンダヘッドとの間に挟まれるように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に取り付けられるガスケットであって、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配設される中板と、
前記一対の基板の間に配設されるスペーサとを備え、
前記一対の基板の各々は、前記シリンダブロックに形成されたボア壁を囲む冷却水通路をシールするためのビード部である冷却水シールビードを有しており、
前記中板は、前記シリンダブロックのボア壁と前記シリンダヘッドとの間に挟まれるように前記ボア壁のデッキ面に対応する形状に形成された部分である楔部を有し、
前記スペーサは、前記冷却水シールビードに重なることなく前記シリンダブロックのボア孔の並び方向に交差する交差方向に延びて、前記ボア孔の並び方向における各端部において前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に挟まれるように形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記スペーサの板厚は、前記中板の前記楔部における板厚以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記スペーサは、前記端部において前記交差方向に対向する前記シリンダヘッド及び前記シリンダブロックのそれぞれの一対のボルト孔に対応する一対の貫通孔を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記スペーサは、前記一対の基板の少なくとも一方にリベット又はカシメによって固定されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項5】
前記スペーサは、前記一対の基板の一方に接合されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項6】
前記スペーサには、延び方向の途中に前記一対の基板の一方の側に突出する部分である突出部が設けられており、
前記スペーサは、前記突出部において前記一対の基板の一方に接合されていることを特徴とする請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
前記中板は、前記冷却水通路側に突出する部分である中板張出部を有しており、
前記スペーサは、前記中板張出部に接合されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項8】
前記スペーサは、前記冷却水通路側に突出する部分であるスペーサ張出部を有しており、
前記中板及び前記スペーサは、前記中板張出部及び前記スペーサ張出部において互いに接合されており、
前記中板張出部及び前記スペーサ張出部の接合される部分は、前記冷却水通路と重なっていることを特徴とする請求項7に記載のガスケット。
【請求項9】
前記中板張出部は、前記冷却水通路を越えて延在していることを特徴とする請求項7に記載のガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットに関し、特に、車両や汎用機器等の内燃機関において用いられるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両や汎用機械、例えば自動車において、内燃機関には、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間を密封するためにガスケットが用いられている。
【0003】
従来のガスケットには、上側基板と、下側基板と、シム板とを有するものがある。上側基板には、シリンダヘッド面に接触してボア孔やオイル孔、冷却水孔を密閉するためのビードが形成されており、下側基板には、シリンダブロック面に接触してボア孔やオイル孔、冷却水孔の密閉するためのビードが形成されている。シム板は、シリンダブロック面におけるボア壁のデッキ面に対応した形状を有しており、使用状態において、上側基板と下側基板との間でシリンダヘッド面とデッキ面との間に挟まれる。
【0004】
使用状態においてガスケットは、ボルトによって締結されたシリンダヘッドとシリンダブロックとの間において、シリンダヘッド面とシリンダブロック面との間の密封を図る。このボルトの締結力によって、シリンダヘッド面やシリンダブロック面には歪(締付歪)が発生する場合があり、シム板を有さないガスケットが使用された場合は、ボア孔の周囲に隙間が生じる場合がある。使用状態においてシム板は、ボア孔周りにおいて、シリンダブロック面に対する上側基板の面圧及びデッキ面に対する下側基板の面圧をそれぞれ高めている。これにより、締付歪が発生した場合でも、上側基板及び下側基板とシリンダブロック面及びデッキ面とのそれぞれ間に隙間が発生することを抑制し、ガスケットのボア孔周りのシール性能の向上が図られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、シム板によって、シリンダヘッド面やシリンダブロック面に発生する締結歪による隙間の発生の抑制を図ることができる。一方、シム板を有するガスケットが使用された場合、ボルトによる締結により、シリンダヘッド面が変形し、シリンダボアに歪みが生じることがある。また、シリンダヘッド面が変形した場合、カムシャフト軸受の直進度が低下することなる。
【0007】
このシリンダヘッド面の変形はシリンダボアの並び方向における端部において大きく、シリンダボアの並び方向における端部のシリンダボアにおいて大きな歪が発生する。例えば4気筒の内燃機関においては、第1及び第4のシリンダボアに大きなひずみが発生する。
【0008】
このように、シム板を有する従来のガスケットに対しては、使用状態におけるボルト締結力によるシリンダヘッドの変形を抑制して、シリンダボアやカム軸受けの変形を抑制できる構成が求められていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボルトの締結力によるシリンダヘッドの変形を抑制することができるガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るガスケットは、内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に取り付けられるガスケットであって、一対の基板と、前記一対の基板の間に配設される中板と、前記一対の基板の間に配設されるスペーサとを備え、前記一対の基板の各々は、前記シリンダブロックに形成されたボア壁を囲む冷却水通路をシールするためのビード部である冷却水シールビードを有しており、前記中板は、前記シリンダブロックのボア壁と前記シリンダヘッドとの間に挟まれるように前記ボア壁のデッキ面に対応する形状に形成された部分である楔部を有し、前記スペーサは、前記冷却水シールビードに重なることなく前記シリンダブロックのボア孔の並び方向に交差する交差方向に延びて、前記ボア孔の並び方向における各端部において前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に挟まれるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記スペーサの板厚は、前記中板の前記楔部における板厚以下である。
【0012】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記スペーサは、前記端部において前記交差方向に対向する前記シリンダヘッド及び前記シリンダブロックのそれぞれの一対のボルト孔に対応する一対の貫通孔を有している。
【0013】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記スペーサは、前記一対の基板にリベット又はカシメによって固定されている。
【0014】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記スペーサは、前記一対の基板の一方に接合されている。
【0015】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記スペーサには、前記延び方向の途中に前記一対の基板の一方の側に突出する部分である突出部が設けられており、前記スペーサは、前記突出部において前記一対の基板の一方に接合されている。
【0016】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記中板は、前記冷却水通路側に突出する部分である中板張出部を有しており、前記スペーサは、前記中板張出部に接合されていている。
【0017】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記スペーサは、前記冷却水通路側に突出する部分であるスペーサ張出部を有しており、前記中板及び前記スペーサは、前記中板張出部及び前記スペーサ張出部において互いに接合されており、前記中板張出部及び前記スペーサ張出部の接合される部分は、前記冷却水通路と重なっている。
【0018】
本発明の一態様に係るガスケットにおいて、前記中板張出部は、前記冷却水通路を越えて延在している。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るガスケットによれば、シリンダヘッドの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスケットが設けられた4気筒の内燃機関を、シリンダヘッドが外された状態で示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図1におけるA-A線に沿った断面におけるガスケットを、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【
図3】
図1におけるB-B線に沿った断面におけるガスケットを示す断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態に係るガスケットの一方の端部を示す概略的な斜視図である。
【
図5】
図4におけるC-C線に沿った断面におけるガスケットを、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態の変形例に係るガスケットの、並び方向における一方の端部を示す概略的な斜視図である。
【
図7】
図6におけるD-D線に沿った断面におけるガスケットを、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施の形態に係るガスケットの、並び方向における一方の端部を示す概略的な斜視図である。
【
図9】
図8におけるE-E線に沿った断面におけるガスケットを、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態の変形例に係るガスケットの、並び方向における一端の端部を示す概略的な斜視図である。
【
図11】
図10におけるF-F線に沿った断面におけるガスケットを、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【
図12】本発明の第4の実施の形態に係るガスケットが設けられた内燃機関の断面を、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【
図13】本発明の第5の実施の形態に係るガスケットが設けられた内燃機関の断面を、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含めて示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガスケット1が設けられた4気筒の内燃機関100を、シリンダヘッド2が外された状態で示す概略的な斜視図である。
図2は、
図1におけるA-A線に沿った断面におけるガスケット1を、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。
図3は、
図1におけるB-B線に沿った断面におけるガスケット1を示す断面図である。以下の説明において、上側又は上方向(
図1及び
図2の矢印a方向)とは、内燃機関100においてシリンダヘッド2が設けられている側又は方向であり、下側又は下方向(
図1及び
図2の矢印b方向)とは、内燃機関100においてシリンダブロック3が設けられている側又は方向である。また、外側又は外方向(
図1及び
図2の矢印c方向)とは、後述するシリンダブロック3のボア孔31bの並び方向L(以下、並び方向Lという。)において、シリンダブロック3の外部の側又は方向であり、内側又は内方向(
図1及び
図2の矢印d方向)とは、並び方向Lにおいて、シリンダブロック3の内部の側又は方向である。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係るガスケット1は、内燃機関100のシリンダヘッド2とシリンダブロック3との間に取り付けられる。ガスケット1は、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配設される中板(以下、「シム板」ともいう。)13と、一対の基板11,12の間に配設されるスペーサ14とを備える。一対の基板11,12の各々は、シリンダブロック3に形成されたボア壁31を囲む冷却水通路60をシールするためのビード部である冷却水シールビード11b,12bを有する。中板13は、シリンダブロック3のボア壁31とシリンダヘッド2との間に挟まれるようにボア壁31のデッキ面31aに対応する形状に形成された部分である楔部13aを有する。スペーサ14は、冷却水シールビード11b,12bに重なることなくシリンダブロック3のボア孔31bの並び方向Lに交差する交差方向Sに延びて、ボア孔31bの並び方向Lにおける各端部においてシリンダブロック3とシリンダヘッド2との間に挟まれるように形成されている。以下、ガスケット1について具体的に説明する。
【0024】
下側基板11は、シリンダブロック3の側に配設される平板状の基板である。下側基板11は、環状のビード部であるビード11aを有する。ビード11aは、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の各ボア壁31の環状のデッキ面31aに対向するように形成されている。ビード11aは、フルビードであり、ガスケット1の使用状態においてシリンダブロック3のデッキ面31aに所定の面圧を加えるように、シリンダブロック3側に向けて円弧状に凸に突出して形成されている。
【0025】
下側基板11は、冷却水シールビード11bを有する。冷却水シールビード11bは、シリンダブロック3に形成されたボア壁31を囲む冷却水通路60をシールする。冷却水シールビード11bは、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の外側上面32aに対向するように延びる。冷却水シールビード11bは、ハーフビードであり、ガスケット1の使用状態においてシリンダブロック3の外側上面32aに所定の面圧を加えるように、シリンダブロック3側に向けて段差を形成するように凸に突出して形成されている。また、冷却水シールビード11bにおける幅及び高さは、所定の面圧を発生させるように設定されている。
【0026】
下側基板11は、具体的には、一定又は略一定の厚さの板状の部材である。下側基板11は、ビード11aの外側の端部分から外側に向かって延び、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の外壁32の外側上面32aに対向する位置において屈曲して傾斜して延びるように形成されており、外側上面32aに対向した位置において、冷却水シールビード11bを形成している。
【0027】
下側基板11は、外縁部11cを有する。外縁部11cは、冷却水シールビード11bの外側の端部分からさらに外側に延びる平坦な部分である。外縁部11cは、ガスケット1の使用状態において、外壁32の外側上面32aに対向するように形成されており、また、外壁32の外側上面32aに沿って環状に延びるように形成されている。
【0028】
下側基板11には、複数の挿通孔(貫通孔)11d,11eが形成されている。挿通孔11dは、並び方向Lの両端かつ並び方向Lに交差する交差方向Sの両端に形成されている。交差方向Sは、具体的には並び方向Lに直交する方向である。挿通孔11dには、ボルト40,41のうち並び方向Lにおいて両端に設けられる端部ボルト40が挿通される。挿通孔11dは、外縁部11cにおいて冷却水シールビード11bに対して外側に形成されている。挿通孔11eには、ボルト40,41のうち並び方向Lにおいて内側に設けられる内側ボルト41が挿通される。
【0029】
下側基板11は、挿通孔11d周りに環状のビード部であるビード11fを有する。ビード11fは、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の外壁32の後述する端部ボルト孔33を囲むように形成されている。ビード11fは、ハーフビードであり、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の外側上面32aに所定の面圧を加えるように、シリンダブロック3側に向けて段差を形成するように凸に突出して形成されている。
【0030】
端部ボルト40は、シリンダブロック3において、並び方向Lの両端かつ並び方向Lに交差する交差方向Sの両端に形成された端部ボルト孔33に挿通される。複数の挿通孔11eは、並び方向Lにおいてそれぞれ対向する挿通孔11dの間に設けられている。挿通孔11eには、ボルト40,41のうち並び方向Lにおいて内側に設けられる内側ボルト41が挿通される。内側ボルト41は、シリンダブロック3において、並び方向Lにおいて端部ボルト孔33の間に形成された内側ボルト孔34に挿通される。
【0031】
下側基板11は、後述する固定部材としての突出部11gを有している。下側基板11は、例えば、並び方向Lの両端に複数の突出部11gを有する。突出部11gは、例えば、挿通孔11d付近に設けられていて略交差方向Sに突出した部分である。下側基板11は、各突出部11gにおいて、後述する上側基板12及びスペーサ14と固定されるように形成されている。なお、突出部11gは、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の外壁32の外側上面32aに対向していても、外側上面32aから交差方向Sにはみ出していてもよい。
【0032】
上側基板12は、シリンダヘッド2の側に配設される平板状の基板である。上側基板12は、環状のビード部であるビード12aを有する。ビード12aは、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3のデッキ面31aにそれぞれ対向する面であるシリンダヘッド2のシリンダヘッド面21aに対向するように形成されている。ビード12aは、フルビードであり、ガスケット1の使用状態においてシリンダヘッド面21aに所定の面圧を加えるように、シリンダヘッド2側に向けて円弧状に凸に突出して形成されている。
【0033】
上側基板12は、冷却水シールビード12bを有する。冷却水シールビード12bは、シリンダブロック3に形成されたボア壁31を囲む冷却水通路60をシールする。冷却水シールビード12bは、外側上面32aに対向する面であるシリンダヘッド2の外側下面21bに対向するように延びる。冷却水シールビード12bは、ハーフビードであり、ガスケット1の使用状態においてシリンダヘッド2の外側下面21bに所定の面圧を加えるように、シリンダヘッド2側に向けて段差を形成するように凸に突出して形成されている。また、冷却水シールビード12bにおける幅及び高さは、所定の面圧を発生させるように設定されている。
【0034】
上側基板12は、具体的には、一定又は略一定の厚さの板状の部材である。上側基板12は、ビード12aの外側の端部分からシリンダヘッド2の外側下面21bに向かって延び、ガスケットの使用状態において、外側下面21bに対向した位置において屈曲して傾斜して延びるように形成されており、外側下面21bに対向した位置において、冷却水シールビード12bを形成している。
【0035】
上側基板12は、外縁部12cを有する。外縁部12cは、冷却水シールビード12bの外側の端部分からさらに外側に延びる平坦な部分である。外縁部12cは、シリンダヘッド2の外側下面21bに対向するように形成されており、また、シリンダヘッド2の外側下面21bに沿って環状に延びるように形成されている。
【0036】
上側基板12には、複数の挿通孔(貫通孔)12d,12eが形成されている。挿通孔12dは、並び方向Lの両端に形成されており、かつ、並び方向Lに交差する交差方向Sの両端に形成されている。交差方向Sは、具体的には並び方向Lに直交する方向である。挿通孔12dには、ボルト40,41のうち並び方向Lにおいて両端に設けられる端部ボルト40が挿通される。挿通孔12dは、外縁部12cにおいて冷却水シールビード12bに対して外側に形成されている。挿通孔12eには、ボルト40,41のうち並び方向Lにおいて内側に設けられる内側ボルト41が挿通される。
【0037】
上側基板12は、挿通孔12d周りに環状のビード部であるビード12fを有する。ビード12fは、ガスケット1の使用状態において、シリンダブロック3の外壁32の端部ボルト孔33を囲むように形成されている。ビード12fは、ハーフビードであり、ガスケット1の使用状態において、シリンダヘッド2の外側下面21bに所定の面圧を加えるように、シリンダヘッド2側に向けて段差を形成するように凸に突出して形成されている。
【0038】
なお、並び方向Lにおいて両端(外側)には4本の端部ボルト40が配置される。並び方向Lにおいて端部ボルト40の間には6本の内側ボルト41が配置される。また、
図2に示すように、並び方向Lにおける冷却水シールビード11b及び冷却水シールビード12bの幅Wは、スペーサ14が配設される部分において、スペーサ14が配設されない部分の幅(図示せず)よりも狭く形成されている。
【0039】
上側基板12は、後述する固定部材としての突出部11gを有している。上側基板12は、例えば、並び方向Lの両端に複数の突出部12gを有する。突出部12gは、例えば、挿通孔12d付近に設けられていて略交差方向Sに突出した部分である。上側基板12は、各突出部12gにおいて、下側基板11及び後述するスペーサ14と固定されるように形成されている。なお、突出部12gは、ガスケット1の使用状態において、シリンダヘッド2の外側下面21bに対向していても、外側下面21bから交差方向Sにはみ出していてもよい。
【0040】
シム板13は、下側基板11と上側基板12との間に配設される平板状の板である。シム板13は、並び方向Lに連結された複数の楔部13aを有する。楔部13aは、ガスケット1の使用状態において、ボア壁31の各デッキ面31aにそれぞれ対応する形状に形成されており、また、下側基板11のビード11aと上側基板12のビード12aとの間にそれぞれ位置するように形成されている。楔部13aの各々は、ガスケット1の使用状態において、デッキ面31aに沿って環状に延びている。
【0041】
スペーサ14は、平板状又は略平板状の部材であり、ガスケット1の使用状態において、ボア壁31とともに冷却水通路60を画定するシリンダブロック3の外壁32の外側上面32aのうち、シム板13の楔部13aの並び方向Lにおいて対向する部分に沿って延びるように形成されており、また、この部分においてシム板13に対して所定の間隔をあけて配設されるように形成されている。スペーサ14の厚さ(板厚)t14は、楔部13aの厚さ(板厚)t13と同一又は略同一でもよく、楔部13aの厚さt13よりも薄くてもよい(t14<t13)。ここでスペーサ14の厚さt14は、スペーサ14の下側基板11を向く面(下側面14a)と上側基板12を向く面(上側面14b)との間の幅(寸法)である。また、楔部13aの厚さt13は、下側面14aと上側面14bとの間でシム板13を測定した値である。
【0042】
ガスケット1の使用状態においてスペーサ14は、シリンダヘッド2の外側下面21b及びシリンダブロック3の外側上面32aにおいて、下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bに重ならないように、下側基板11及び上側基板12の外縁部11c,12cの間に配設されるように形成されている。つまり、スペーサ14は、ガスケット1の使用状態において、下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bによって挟持されない位置に配置されるように形成されている。なお、ガスケット1の使用状態において、スペーサ14の一部は、シリンダブロック3の外側上面32a及びシリンダヘッド2の外側下面21bからはみ出していてもよい。
【0043】
スペーサ14は、例えば、並び方向Lにおいて下側基板11及び上側基板12のそれぞれの外縁部11c,12cに対応する形状を有する。具体的には、スペーサ14は、並び方向Lに交差する交差方向Sにおいて、下側基板11及び上側基板12の挿通孔11d,12dの間を延びる。スペーサ14には、ガスケット1の使用状態において下側基板11の挿通孔11d、上側基板12の挿通孔12d及び端部ボルト孔33に重なるように一対の挿通孔(貫通孔)14cが形成されている。挿通孔14cはそれぞれ、スペーサ14の交差方向Sにおける両端に形成されている。ガスケット1の使用状態において、各挿通孔14cには端部ボルト40が挿通される。なお、スペーサ14に、1つの端部ボルト孔33に対応する1つの挿通孔14cが設けられていてもよい。
【0044】
スペーサ14は、突出部11g及び突出部12gに対応した突出部14dを有している。具体的には、スペーサ14は、挿通孔14c付近に設けられていて略交差方向Sにおいて突出した部分である突出部14dを有する。突出部14dは、交差方向Sにおいて互いに異なる方向に突出するように形成されている。スペーサ14は、各突出部14dにおいて、下側基板11及び上側基板12と固定されるように形成されている。
【0045】
次いで、上述の本発明の第1の実施の形態に係るガスケット1の作用について説明する。ガスケット1は、下側基板11及び上側基板12の間にシム板13及びスペーサ14を挟み込んで互いに重ね合わされた状態で一体となるように固定される。この際、シム板13の各楔部13aは、下側基板11のビード11a及び上側基板12のビード12aの間に配設される。また、各スペーサ14は、下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bに重ならないように、下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bの外側において、下側基板11の外縁部11c及び上側基板12の外縁部12cの間に配設される。
【0046】
ガスケット1においてスペーサ14は、下側基板11及び上側基板12に固定されている。具体的には、下側基板11、スペーサ14、及び上側基板12は、並び方向Lにおいてそれぞれ対応する突出部11g,14d12gが重ね合わされて、この重ね合わされた突出部11g,14d,12gにおいて、例えばリベット又はカシメによって互いに固定されている。下側基板11、上側基板12及びスペーサ14が固定された状態において、下側基板11、上側基板12、及びスペーサ14における突出部11g,12g,14dは、例えば、ガスケット1の使用状態においてシリンダブロック3のボルト孔33に対向した位置で端部ボルト孔33に向かって傾斜するようになっている。なお、スペーサ14は、下側基板11及び上側基板12の少なくとも一方に固定されていてもよく、いずれにも固定されていなくてもよい。
【0047】
このように一体にされたガスケット1は、シリンダブロック3の所定の位置に載置される。具体的には、ガスケット1は、
図1,2に示すように、下側基板11の冷却水シールビード11bがシリンダブロック3の外側上面32aに配設され、下側基板11の各ビード11aが各ボア壁31のデッキ面31aに配設される。ガスケット1は、下側基板11の挿通孔11d及び上側基板12の挿通孔12dの各々がシリンダブロック3の外側上面32aに形成された端部ボルト孔33の各々と連通するように、シリンダブロック3に載置される。この際、シリンダブロック3の端部ボルト孔33のうち2つの端部ボルト孔33に、予めダウエルピン(図示せず)を差し込んでおいてもよい。このダウエルピンが、各端部ボルト孔33に対応する挿通孔11d及び挿通孔12dの各々を貫通することにより、シリンダブロック3に対するシリンダヘッド2及びガスケット1の位置決めが行われる。
【0048】
上述のようにガスケット1をシリンダブロック3に載置した状態で、端部ボルト40及び内側ボルト41の各々を、
図1に示されていないシリンダヘッド2に設けられた所定のボルト孔、上側基板12の挿通孔12d、スペーサ14の挿通孔14c、及び、下側基板11の挿通孔11dに貫通させつつ、シリンダブロック3のボルト孔33に形成された雌ネジ山と螺合させる。
【0049】
ガスケット1の使用状態において、各スペーサ14は、並び方向Lの両端における外側上面32aの部分に位置している。つまり、各スペーサ14は、並び方向Lの両端における外側上面32aの部分において、上側基板12の外縁部12c及び下側基板11の外縁部11cをそれぞれ介してシリンダヘッド2及びシリンダブロック3に挟まれている。これにより、並び方向Lの両端における外側上面32aの部分に対向するシリンダヘッド2の部分が端部ボルト40の軸力によって外側上面32a側に変形することが抑制されている。このため、並び方向Lの両端におけるシリンダヘッド2の不均一な変形を抑制することができ、シリンダヘッド2の締付歪の発生を抑制することができる。これにより、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3の間の密封性能の低下の抑制を図ることができる。
【0050】
スペーサ14は、下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bに重ならないように、下側基板11及び上側基板12の間に配設されている。これにより、スペーサ14が下側基板11及び上側基板12のビード11b,12bの作用に影響を及ぼすことがなく、冷却水シールビード11b,12bの全体に亘る所望の変形を確保することができ、シリンダブロック3の外側上面32aとシリンダヘッド2の外側下面21bとの間の所望する密封を図ることができる。
【0051】
このように、本発明の第1の実施の形態に係るガスケット1によれば、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0052】
<第2の実施の形態>
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るガスケット1Aの一方の端部を示す概略的な斜視図である。
図5は、
図4におけるC-C線に沿った断面におけるガスケット1Aを、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。なお、
図4及び
図5において、
図1及び
図2と対応する部分には同一符号を付している。以下では、主として第1の実施の形態等との相違点を説明する。
【0053】
本発明の第2の実施の形態に係るガスケット1Aは、内燃機関のシリンダヘッド2とシリンダブロック3との間に取り付けられる。ガスケット1Aは、一対の基板11,12と、一対の基板11A,12Aの間に配設されるシム板(中板)13と、一対の基板11A,12Aの間に配設されるスペーサ14Aとを備える。
【0054】
下側基板11Aは、シリンダブロック3の側に配設される平板状の基板である。下側基板11Aは、環状のビード11aと、冷却水シールビード11bとを有する。冷却水シールビード11bは、シリンダブロック3に形成されたボア壁31を囲む冷却水通路60をシールする。冷却水シールビード11bは、ガスケット1Aの使用状態において、シリンダブロック3の外側上面32aに対向するように延びる。冷却水シールビード11bは、ハーフビードであり、ガスケット1Aの使用状態においてシリンダブロック3の外側上面32aに所定の面圧を加えるように、シリンダヘッド2側に向けて段差を形成するように凸に突出して形成されている。
【0055】
下側基板11Aは、外縁部11cを有する。外縁部11cは、冷却水シールビード11bの外側の端部分からさらに外側に延びる平坦な部分である。外縁部11cは、ガスケット1Aの使用状態において、外壁32の外側上面32aに対向するように形成されており、また、外壁32の外側上面32aに沿って環状に延びるように形成されている。下側基板11Aには、挿通孔(貫通孔)11dが形成されている。挿通孔11dには、端部ボルト40が挿通される。挿通孔11dは、冷却水シールビード11bに対して内側に形成されている。下側基板11Aには、さらに、内側ボルト41が挿通される、第1の実施の形態における挿通孔11eに相当する挿通孔が形成されている。
【0056】
上側基板12Aは、環状のビード12aと、冷却水シールビード12bを有する。冷却水シールビード12bは、シリンダブロック3に形成されたボア壁31を囲む冷却水通路60をシールする。冷却水シールビード12bは、ガスケット1Aの使用状態において、シリンダブロック3の外側上面32aに対向するように延びる。冷却水シールビード12bは、ハーフビードであり、ガスケット1Aの使用状態においてシリンダブロック3の外側上面32aに所定の面圧を加えるように、シリンダブロック3側に向けて段差を形成するように凸に突出して形成されている。
【0057】
上側基板12Aは、外縁部12cを有する。外縁部12cは、冷却水シールビード12bの外側の端部分からさらに外側に延びる平坦な部分である。外縁部12cは、ガスケット1Aの使用状態において、外壁32の外側上面32aに対向するように形成されており、また、外壁32の外側上面32aに沿って環状に延びるように形成されている。上側基板12Aには、挿通孔(貫通孔)12dが形成されている。挿通孔12dには、端部ボルト40が挿通される。挿通孔12dは、冷却水シールビード12bに対して内側に形成されている。上側基板12Aには、さらに、内側ボルト41が挿通される、第1の実施の形態における挿通孔12eに相当する挿通孔が形成されている。
【0058】
次いで、上述の本発明の第2の実施の形態に係るガスケット1Aの作用について説明する。ガスケット1Aは、下側基板11A及び上側基板12Aの間にシム板13及びスペーサ14Aを挟み込んで互いに重ね合わされた状態で一体となるように固定される。この際、シム板13の各楔部13aは、下側基板11Aのビード11a及び上側基板12Aのビード12aの間に配設される。また、各スペーサ14Aは、下側基板11Aの冷却水シールビード11b及び上側基板12Aの冷却水シールビード12bに重ならないように、並び方向Lにおいて下側基板11Aの冷却水シールビード11b及び上側基板12Aの冷却水シールビード12bそれぞれの内側に配設される。
【0059】
ガスケット1Aにおいてスペーサ14Aは、下側基板11A及び上側基板12Aがアフターコートされる場合、シリンダブロック3の外側上面32aに対向するように上側基板12Aに接合点W1において接合されている。スペーサ14Aは、上側基板12Aに、接合点W1において、溶接、例えばスポット溶接等により接合されている。スペーサ14Aは、スペーサ14Aの外側の端部分が、上側基板12Aの冷却水シールビード12bに到達しないように上側基板12Aに接合されている。すなわち、スペーサ14Aは、下側基板11Aの冷却水シールビード11b及び上側基板12Aの冷却水シールビード12bによって挟持されないように上側基板12Aに接合されている。下側基板11A及び上側基板12Aは、それぞれの外縁部11c,12cにおいて互いに接触している。スペーサ14Aが上側基板12Aに接合されていることにより、ガスケット1Aの取り付けが容易になっている。なお、スペーサ14Aは、上側基板12Aにではなく下側基板11Aに、溶接、例えばスポット溶接等により接合されていてもよい。ここで、アフターコートとは、下側基板11A及び上側基板12Aを所定の形状に打ち抜き、下側基板11A及び上側基板12Aに、ビード11a,12a、冷却水シールビード11b及び冷却水シールビード12bをエンボス加工した後で、下側基板11A及び上側基板12Aに耐熱ゴム状の弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなる弾性層をコーティングすることをいう。
【0060】
このように一体にされたガスケット1Aは、シリンダブロック3の所定の位置に載置される。具体的には、ガスケット1Aは、下側基板11Aの冷却水シールビード11bがシリンダブロック3の外側上面32aに対向して配設され、下側基板11Aの各ビード11aが各ボア壁31のデッキ面31aに対向して配設される。ガスケット1Aは、下側基板11Aの挿通孔11d、上側基板12Aの挿通孔12d及びスペーサ14Aの挿通孔14cの各々がシリンダブロック3の外側上面32aに形成された端部ボルト孔33の各々と連通するように、シリンダブロック3に載置される。この際、シリンダブロック3の端部ボルト孔33のうち2つの端部ボルト孔33に、予めダウエルピン(図示せず)を差し込んでおいてもよい。このダウエルピンが、各端部ボルト孔33に対応する挿通孔11d、挿通孔12d及び挿通孔14cの各々を貫通することにより、シリンダブロック3に対するシリンダヘッド2及びガスケット1の位置決めが行われる。
【0061】
上述のようにガスケット1Aをシリンダブロック3に載置した状態で、端部ボルト40及び内側ボルト41の各々を、シリンダヘッド2に設けられた所定のボルト孔、上側基板12Aの挿通孔12d、スペーサ14Aの挿通孔14c、及び、下側基板11Aの挿通孔11dに貫通させつつ、シリンダブロック3のボルト孔33に形成された雌ネジ山と螺合させる。
【0062】
ガスケット1Aの使用状態において、各スペーサ14Aにより、並び方向Lの両端における外側上面32aの部分に位置している。つまり、各スペーサ14Aは、並び方向Lの両端における外側上面32aの部分において上側基板12Aをそれぞれ介してシリンダヘッド2及びシリンダブロック3に挟まれている。これにより、並び方向Lの両端における外側上面32aの部分に対向するシリンダヘッド2の部分が端部ボルト40の軸力によって外側上面32a側に変形することが抑制されている。このため、並び方向Lの両端におけるシリンダヘッド2の不均一な変形を抑制することができ、シリンダヘッド2の締付歪の発生を抑制することができる。これにより、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3の間の密封性能の低下の抑制を図ることができる。
【0063】
スペーサ14Aは、並び方向Lにおける外側の端部が上側基板12Aの冷却水シールビード12bに到達しないように上側基板12Aに接合されているため、冷却水シールビード12b及び下側基板11Aの冷却水シールビード11bの全体に亘る一定の変形を確保することができ、シリンダブロック3の外側上面32aとシリンダヘッド2の外側下面21bとの間の所望する密封を図ることができる。
【0064】
このように、本発明の第2の実施の形態に係るガスケット1Aによれば、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0065】
<第2の実施の形態の変形例>
図6は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係るガスケット1Bの、並び方向Lにおける一方の端部を示す概略的な斜視図である。
図7は、
図6におけるD-D線に沿った断面におけるガスケット1Bを、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。なお、
図6及び
図7において、第1及び第2の実施の形態と対応する部分には同一符号を付している。以下では、主として第1及び第2の実施の形態との相違点を説明する。
【0066】
本発明の第2の実施の形態の変形例に係るガスケット1Bは、内燃機関のシリンダヘッド2とシリンダブロック3との間に取り付けられる。ガスケット1Bは、一対の基板11A,12Aと、一対の基板11A,12Aの間に配設されるシム板(中板)13と、一対の基板11A,12Aの間に配設されるスペーサ14Aとを備えている。スペーサ14Aは、突出部としての介在板15を有している。介在板15は、例えば金属製の部材であり、スペーサ14Aにおいて、交差方向Sにおける途中で、上側基板12Aの側に突出する部分である。スペーサ14Aは、介在板15を介して上側基板12Aに固定されている。
【0067】
介在板15は、具体的には、スペーサ14Aの延び方向(交差方向S)において中央又はほぼ中央に設けられており、交差方向Sに沿って所定の長さをもって延びている。また、介在板15は、例えば、並び方向Lにおいてスペーサ14Aから内側及び外側にはみ出さないような形状となっている。
【0068】
ガスケット1Bにおいてスペーサ14Aは、下側基板11A及び上側基板12Aがアフターコートされる場合、介在板15を介して上側基板12Aに、接合点W2において接合されている。上側基板12A、介在板15及びスペーサ14Aはそれぞれ、接合点W2において、溶接、例えばスポット溶接等により互いに接合されている。なお、スペーサ14Aと介在板15とは別体の部材であるが、一体の部材として形成されていてもよい。また、介在板15は、下側基板11Aとスペーサ14Aとの間に配設されてもよい。このように、スペーサ14Aは介在板15を介して上側基板12Aに固定されており、ガスケット1Bの取り付けが容易になっている。
【0069】
本変形例に係るガスケット1Bは、使用状態において、上述の本発明の第2の実施の形態に係るガスケット1Aと同様に作用し、変形例に係るガスケット1Bによれば、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0070】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るガスケット1Cの、並び方向Lにおける一方の端部を示す概略的な斜視図である。
図9は、
図8におけるE-E線に沿った断面におけるガスケット1Cを、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。なお、
図8及び
図9において、第1及び第2の実施の形態等と対応する部分には同一符号を付している。以下では、主として第1及び第2の実施の形態等との相違点を説明する。
【0071】
本発明の第3の実施の形態に係るガスケット1Cは、内燃機関のシリンダヘッド2とシリンダブロック3との間に取り付けられる。ガスケット1Cは、一対の基板11A,12Aと、一対の基板11A,12Aの間に配設されるシム板(中板)13Cと、一対の基板11,12の間に配設されるスペーサ14Cとを備える。
【0072】
シム板13Cは、張出部(中板張出部)13bを有する。張出部13bは、並び方向Lにおいて両端に位置する楔部13aにそれぞれ設けられており、両端の各楔部13aの周方向における一部から並び方向Lに延びるように形成されている。張出部13bはそれぞれ、互いに離れる方向(外側)に延びる。
【0073】
張出部13bは、略矩形状に形成されている。張出部13bは、例えば、楔部13aの周方向に亘って一定又は略一定の幅を有するように外側に延びる。なお、張出部13bは、その幅が楔部13aの周方向に沿って外側へ向けて変化する形状の部材であってもよい。張出部13bは、楔部13aと一体に形成されている。なお、張出部13bは、楔部13aと別体であってもよい。
【0074】
スペーサ14Cは、張出部(スペーサ張出部)14eを有する。ガスケット1Cにおいて張出部14eは、並び方向Lにおいて内側に向かって延びるように形成されている。張出部14eは、略矩形状に形成されている。張出部14eは、例えば、並び方向Lに交差する交差方向Sに沿って一定又は略一定の幅を有するように内側に延びる。なお、張出部14eは、その幅がスペーサ14Cの延び方向に沿って変化する形状の部材であってもよい。
【0075】
ガスケット1Cにおいて、シム板13Cとスペーサ14Cとは互いに接合点W3において接合されている。具体的には、シム板13Cの張出部13bとスペーサ14Cの張出部14eとは、接合点W3において、溶接、例えばスポット溶接等により互いに接合されている。シム板13Cの張出部13bは、
図8及び
図9に示すように、上側基板12に面する面においてスペーサ14Cの張出部14eに接合されている。スペーサ14Cの張出部14eは、シム板13Cの張出部13b上側基板12に面する面ではなく下側基板11に面する面で接合されていてもよい。
【0076】
ガスケット1Cの使用状態においてシム板13Cの張出部13bは、冷却水通路60側に突出している。シム板13Cは、張出部13bが冷却水通路60に対向するように位置する。具体的には、シム板13Cの張出部13bの先端は、並び方向Lにおいて外側に冷却水通路60を超えない。つまり、シム板13Cの張出部13bは、下側基板11Aの冷却水シールビード11b及び上側基板12Aの冷却水シールビード12bに到達しないように(冷却水シールビード11b及び冷却水シールビード12bの手前で終端するように)形成されている。なお、楔部13aは、冷却水通路60に重なっていない。さらに、スペーサ14Cは、張出部14eが冷却水通路60に対向するように位置する。スペーサ14Cは、張出部14eにおいて冷却水通路60側に突出しており、張出部14eを除くスペーサ14Cの部分は、並び方向Lにおいて内側に冷却水通路60に重なっていない。また、ガスケット1Cの使用状態で、並び方向Lにおいてシム板13Cの張出部13bとスペーサ14Cの張出部14eの接合される接合点W3は、冷却水通路60に対向している。このように、スペーサ14C及びシム板13Cは、張出部14e及び13bを介して互いに固定されており、ガスケット1Cの取り付けが容易になっている。
【0077】
本発明の第3の実施の形態に係るガスケット1Cは、使用状態において、上述の本発明の第1の実施の形態に係るガスケット1と同様に作用し、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0078】
<第3の実施の形態の変形例>
図10は、本発明の第3の実施の形態の変形例に係るガスケット1Dの、並び方向Lにおける一端の端部を示す概略的な斜視図である。
図11は、
図10におけるF-F線に沿った断面におけるガスケット1Dを、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。なお、
図10及び
図11において、第1、第2及び第3の実施の形態と対応する部分には同一符号を付している。以下では、主として第1、第2及び第3の実施の形態等との相違点を説明する。
【0079】
本発明の第3の実施の形態の変形例に係るガスケット1Dは、シム板の張出部の形態が異なる点で、上述のガスケット1Dと異なる。具体的には、ガスケット1Dのシム板13Dは、張出部の形状において、ガスケット1Dのシム板13Dとは異なり、張出部(中板張出部)13cを有する。張出部13cは、略矩形状に形成されている。張出部13cは、並び方向Lにおいて両端に位置する楔部13aの周方向における一部から並び方向Lに延びるように形成されている。張出部13cはそれぞれ、互いに離れる方向(外側)に延びる。張出部13cは、楔部13aと一体に形成されている。シム板13Dとスペーサ14Cとは互いに接合点W4において接合されており、具体的には、シム板13Dの張出部13cとスペーサ14Cの張出部14eとは、接合点W4において溶接、例えばスポット溶接等により互いに接合されている。
【0080】
ガスケット1Dの使用状態においてシム板13Dの張出部13cは、並び方向Lにおいて外側に冷却水通路60を超えている。並び方向Lにおいて、シム板13Dの張出部13cの外側の端部(先端)は、スペーサ14Cの外側の端部にまで達している。また、シム板13Dの張出部13cは、下側基板11Aの冷却水シールビード11b及び上側基板12Aの冷却水シールビード12bに到達しないように(冷却水シールビード11b及び冷却水シールビード12bの手前で終端するように)形成されている。さらに、並び方向Lにおいて、シム板13Dとスペーサ14Cが重なる範囲は、冷却水通路60の外側にまで延在している。ガスケット1Dの使用状態で、並び方向Lにおいてシム板13Dの張出部13cとスペーサ14Cの張出部14eの接合される接合点W4は、冷却水通路60に対向している。このように、スペーサ14C及びシム板13Dは、張出部14e及び13cを介して互いに固定されており、ガスケット1Dの取り付けが容易になっている。
【0081】
本変形例に係るガスケット1Dは、使用状態において、上述の本発明の第1の実施の形態に係るガスケット1と同様に作用し、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0082】
<第4の実施の形態>
図12は、本発明の第4の実施の形態に係るガスケット1Eが設けられた内燃機関の断面を、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。なお、
図13において、
図2と対応する部分には同一符号を付している。以下では、主として第1、第2、第3及び第4の実施の形態等との相違点を説明する。第5の実施の形態に係るガスケット1Eは、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配設される平板状の中板(以下、「シム中板」ともいう。)16と、シム板13と、一対の基板11,12の間に配設されるスペーサ14とを備える。なお、第4の実施の形態に係るガスケット1Eにおいては、第1の実施の形態におけるスペーサ14が用いられているが、第2の実施の形態におけるスペーサ14A又は第3の実施の形態におけるスペーサ14Cを用いてもよい。
【0083】
シム中板16は、下側基板11とシム板13との間に配設される。シム中板16は、下側基板11及び上側基板12と略同一形状に形成されている部材である。シム中板16は、下側基板11及び上側基板12の構成に応じ、挿通孔11d,11e及び挿通孔12d,12eに対応した図示しないボルト用の孔、オイル用の孔、冷却水用の孔等を適宜有している。
【0084】
スペーサ14の厚さ(板厚)t14は、シム中板16の厚さ(板厚)t16と同一又は略同一でもよく、シム中板16の厚さ(板厚)t16よりも薄くてもよい(t14<t16)。シム中板16自体の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なお、シム中板16は、上側基板12とシム板13との間に配設されていてもよい。ここでシム中板16の厚さt16は、下側基板11を向く面と上側基板12を向く面との間の幅(寸法)である。
【0085】
次いで、上述の変形例に係るガスケット1Eの作用について説明する。ガスケット1Eの使用状態においてシム板13は、シリンダヘッド面21aとデッキ面31aとの間でシム中板16の上側基板12とシリンダヘッド2との間に挟持される。スペーサ14は、シリンダブロック3の外側上面32aとシリンダヘッド2の外側下面21bとの間でシム中板16と上側基板12との間に挟持される。
【0086】
このように一体にされたガスケット1Eは、シリンダブロック3の所定の位置に載置される。具体的には、ガスケット1Eは、下側基板11の冷却水シールビード11bがシリンダブロック3の外側上面32aに配設され、下側基板11の各ビード11aが各ボア壁31のデッキ面31aに配設される。シリンダブロック3に対するガスケット1Eの位置決めは、上述の第1の実施の形態と同じである。
【0087】
ガスケット1Eの使用状態において、ガスケット1Eは、所望の密封作用を奏する。ガスケット1Eの使用状態において、シム中板16及びシム板13を介して下側基板11及び上側基板12が挟持されることにより、ボア孔31bのシール性を向上させることができる。
【0088】
さらに、ガスケット1Eの使用状態において、シリンダヘッド2の外側下面21bと、シリンダブロック3の外側上面32aとの間において、スペーサ14が上述のガスケット1におけるスペーサ14と同様に作用し、並び方向Lの両端におけるシリンダヘッド2の不均一な変形を抑制することができ、シリンダヘッド2の締付歪の発生を抑制することができる。これにより、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3の間の密封性能の低下の抑制を図ることができる。
【0089】
なお、下側基板11の挿通孔11d、上側基板12の挿通孔12d及びスペーサ14の挿通孔14cは、冷却水シールビード11b,12bに対して内側に形成されていても、外側に形成されていてもよい。
【0090】
このように、本発明の第1の実施の形態の変形例2に係るガスケット1Eによれば、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0091】
<第5の実施の形態>
図13は、本発明の第5の実施の形態に係るガスケット1Fが設けられた内燃機関の断面を、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を含めて示す断面図である。なお、
図12において、
図2と対応する部分には同一符号を付している。以下では、主として第1、第2及び第3の実施の形態等との相違点を説明する。第5の実施の形態に係るガスケット1Fは、一対の基板11,12と、一対の基板11,12の間に配設される中板(以下、「シム板」ともいう。)17と、一対の基板11,12の間に配設されるスペーサ14とを備える。なお、第5の実施の形態に係るガスケット1Fにおいては、第1の実施の形態におけるスペーサ14が用いられているが、第2の実施の形態におけるスペーサ14A又は第3の実施の形態におけるスペーサ14Cを用いてもよい。
【0092】
シム板(中板)17は、下側基板11及び上側基板12と略同一形状に形成されている部材である。シム板17は、楔部17aを有する。楔部17aは、ボア壁31により画定されるボア孔31b周りに環状の部分である。楔部17aは、下側基板11のビード11aと上側基板12のビード12aとの間にそれぞれ位置する部分を有する。楔部17aは、折返し部17dを含んでいる。
【0093】
折返し部17dは、ガスケット1Fの使用状態において、ボア壁31により画定されるボア孔31b周りに延びるように環状に形成されている。折返し部17dは、下側基板11のビード11aと上側基板12のビード12aとの間に位置する。なお、折返し部17dは、楔部17aの内周側の端部分を折返した部分であり、具体的には、ガスケット1Fの使用状態において、デッキ面31aの内周側に位置するようにシム板17の内周側の端部分が折り返して形成された、ボア孔31bを囲むための部分である。
【0094】
スペーサ14の厚さ(板厚)t14は、楔部17aの厚さ(板厚)t171又は折返し部17dの厚さ(板厚)t172と同一又は略同一であっても、楔部17aの厚さt171又は折返し部17dの厚さt172よりも薄くてもよい(t14<t171,t14<t172)。ここで楔部17aの厚さt171は、折返し部17dを除く部分における下側基板11を向く面(下側面17b)と上側基板12を向く面(上側面17c)との間の幅(寸法)である。また、折返し部17dの厚さt172は、折返し部17dにおける下側面17bと上側面17cとの間の幅(寸法)である。
【0095】
また、折返し部17dは、折返し部17dの外側の端部分である端部17eが下側基板11のビード11a及び上側基板12のビード12aに重ならないように延びている。なお、シム板17は、下側基板11及び上側基板12と略同一形状に形成されている部材であり、下側基板11及び上側基板12の構成に応じ、挿通孔11d及び挿通孔12dに対応したボルト用の孔、オイル用の孔、冷却水用の孔等を適宜有している。
【0096】
次いで、上述ガスケット1Fの作用について説明する。スペーサ14は、下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bに重ならないように、下側基板11の外縁部11c及び上側基板12の外縁部12cの間に配設されている。また、シム板17は、折返し部17dの端部17eが下側基板11のビード11a及び上側基板12のビード12aに重ならないように、下側基板11及び上側基板12の間に配設される。
【0097】
このように一体にされたガスケット1Fは、シリンダブロック3の所定の位置に載置される。具体的には、ガスケット1Fは、下側基板11の冷却水シールビード11bがシリンダブロック3の外側上面32aに対向して配設され、下側基板11の各ビード11aが各ボア壁31のデッキ面31aに対向して配設される。シリンダブロック3に対するガスケット1Fの位置決めは、上述の第1の実施の形態と同じである。
【0098】
ガスケット1Fの使用状態において、ガスケット1Fは、所望の密封作用を奏する。ガスケット1Fの使用状態において、折返し部17dの部分のシム板17を介して下側基板11及び上側基板12が挟持されることにより、ボア孔31bのシール性を向上させることができる。
【0099】
さらに、ガスケット1Fの使用状態において、シリンダヘッド2の外側下面21bと、シリンダブロック3の外側上面32aとの間において、スペーサ14が上述のガスケット1におけるスペーサ14と同様に作用し、並び方向Lの両端におけるシリンダヘッド2の不均一な変形を抑制することができ、シリンダヘッド2の締付歪の発生を抑制することができる。これにより、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3の間の密封性能の低下の抑制を図ることができる。
【0100】
なお、下側基板11の挿通孔11d、上側基板12の挿通孔12d及びスペーサ14の挿通孔14cは、冷却水シールビード11b,12bに対して内側に形成されていても、外側に形成されていてもよい。
【0101】
このように、本発明の第5の実施の形態に係るガスケット1Fによれば、ボルト40,41の締結力によるシリンダヘッド2の変形を抑制することができる。
【0102】
以上、第1、第2及び第3の実施の形態について説明したが、本発明は上記第1の実施の形態に係るガスケット1、第2の実施の形態に係るガスケット1A,1B、第3の実施の形態に係るガスケット1C,1D、第4の実施の形態に係るガスケット1E及び第5の実施の形態に係るガスケット1Fに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、第1の実施の形態におけるスペーサ14は、並び方向Lにおいて下側基板11の冷却水シールビード11b及び上側基板12の冷却水シールビード12bよりも外側の外縁部11c,12cで、少なくとも下側基板11及び上側基板12のいずれか一方に取り付けられていてもよい。具体的には、スペーサ14は、下側基板11だけに取り付けられてもよく、上側基板12だけに取り付けられてもよく、下側基板11及び上側基板12の両方に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…ガスケット、 2…シリンダヘッド、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、11,11A…下側基板、11a…ビード、11b…冷却水シールビード、11c…外縁部、11d…挿通孔(貫通孔)、11e…挿通孔(貫通孔)、11f…ビード、11g…突出部、12,12A…上側基板、12a…ビード、12b…冷却水シールビード、12c…外縁部、12d…挿通孔(貫通孔)、12e…挿通孔(貫通孔)、12f…ビード、12g…突出部、13,13C,13D…シム板(中板)、13a…楔部、13b,13c…張出部(中板張出部)、14,14A,14C…スペーサ、14a…下側面、14b…上側面、14c…挿通孔(貫通孔)、14d…突出部、14e…張出部(スペーサ張出部)、15…介在板(突出部)、16…シム板(中板)、16a…楔部、16b…下側面、16c…上側面、16d…折返し部、16e…端部、17…シム中板、17a…楔部、21a…シリンダヘッド面、21b…外側下面、31…ボア壁、31a…デッキ面、31b…ボア孔、32…外壁、32a…外側上面、32b…外側上面、33…端部ボルト孔、34…内側ボルト孔、40…端部ボルト、41…内側ボルト、60…冷却水通路、100…内燃機関
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に取り付けられるガスケットであって、
一対の基板と、
前記一対の基板の間に配設される中板と、
前記一対の基板の間に配設されるスペーサとを備え、
前記一対の基板の各々は、前記シリンダブロックに形成されたボア壁を囲む冷却水通路をシールするためのビード部である冷却水シールビードを有しており、
前記中板は、前記シリンダブロックのボア壁と前記シリンダヘッドとの間に挟まれるように前記ボア壁のデッキ面に対応する形状に形成された部分である楔部を有し、
前記スペーサは、前記冷却水シールビードに重なることなく前記シリンダブロックのボア孔の並び方向に交差する交差方向に延びて、前記ボア孔の並び方向における各端部において前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に挟まれるように形成されており、前記端部において前記交差方向に対向する前記シリンダヘッド及び前記シリンダブロックのそれぞれの一対のボルト孔に対応する一対の貫通孔を有している
ことを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記スペーサの板厚は、前記中板の前記楔部における板厚以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記スペーサは、前記一対の基板の少なくとも一方にリベット又はカシメによって固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記スペーサは、前記一対の基板の一方に接合されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項5】
前記スペーサには、延び方向の途中に前記一対の基板の一方の側に突出する部分である突出部が設けられており、
前記スペーサは、前記突出部において前記一対の基板の一方に接合されていることを特徴とする請求項4に記載のガスケット。
【請求項6】
前記中板は、前記冷却水通路側に突出する部分である中板張出部を有しており、
前記スペーサは、前記中板張出部に接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項7】
前記スペーサは、前記冷却水通路側に突出する部分であるスペーサ張出部を有しており、
前記中板及び前記スペーサは、前記中板張出部及び前記スペーサ張出部において互いに接合されており、
前記中板張出部及び前記スペーサ張出部の接合される部分は、前記冷却水通路と重なっていることを特徴とする請求項6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記中板張出部は、前記冷却水通路を越えて延在していることを特徴とする請求項6に記載のガスケット。