(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045201
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】液圧回転機
(51)【国際特許分類】
F04B 1/324 20200101AFI20220311BHJP
F04B 1/22 20060101ALI20220311BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
F04B1/324
F04B1/22
F04B53/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150762
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 拓也
【テーマコード(参考)】
3H070
3H071
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070AA03
3H070BB04
3H070BB06
3H070BB12
3H070CC34
3H070DD02
3H070DD11
3H070DD17
3H070DD33
3H070DD46
3H070DD56
3H070DD87
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC33
3H071DD01
3H071DD16
3H071DD26
(57)【要約】
【課題】液圧回転機を小型化する。
【解決手段】ピストンポンプPは、斜板5を第1方向D1に傾転させる第1サーボ機構S1と、斜板5を第1方向D1とは反対方向の第2方向D2に傾転させる第2サーボ機構S2と、を備える。また、ピストンポンプPでは、第1サーボ機構S1と第2サーボ機構S2の間には、斜板5を中立位置に保持する中立保持機構Nが設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量型の液圧回転機であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され回転軸とともに回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに形成され前記回転軸の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入され前記シリンダの内部に容積室を画成するピストンと、
前記シリンダブロックの回転に伴って前記容積室を拡縮するように前記ピストンを往復動させる斜板と、
前記斜板を第1方向に傾転させる第1サーボ機構と、
前記斜板を前記第1方向とは反対方向の第2方向に傾転させる第2サーボ機構と、を備え、
前記第1サーボ機構は、
前記ハウジング内に摺動自在に収容され、端部に設けられた第1圧力室に圧力が供給されることにより前記斜板を前記第1方向に傾転させる第1サーボピストンと、
前記第1圧力室内の作動流体の圧力を制御する第1制御弁と、を備え、
前記第2サーボ機構は、
前記ハウジング内に摺動自在に収容され、端部に設けられた第2圧力室に圧力が供給されることにより前記斜板を前記第2方向に傾転させる第2サーボピストンと、
前記第2圧力室内の作動流体の圧力を制御する第2制御弁と、を備え、
前記第1サーボ機構と前記第2サーボ機構の間には、前記斜板を中立位置に保持する中立保持機構が設けられることを特徴とする液圧回転機。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧回転機であって、
前記第1サーボピストンと前記第2サーボピストンは、これらの中心軸が互いに平行になるように並列に設けられ、
前記中立保持機構は、前記第1サーボピストンと前記第2サーボピストンとの間に設けられることを特徴とする液圧回転機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液圧回転機であって、
前記斜板は、前記斜板の回動軸方向に突出し、前記斜板の前記ピストンと対向する平面と略平行な平面を有する一対の突出部を備え、
前記第1サーボピストン及び前記第2サーボピストンは、前記一対の突出部の前記平面を押圧するように設けられることを特徴とする液圧回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量型の液圧回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サーボレギュレータのサーボピストンを駆動して斜板の傾転角度を変化させることで、吐出流量を調整する可変容量型ピストンポンプが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のポンプでは、サーボピストンと、サーボピストンを中立位置に付勢することで斜板を中立位置に保持するためのばねと、がサーボピストンの軸線上に同軸に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたポンプでは、サーボピストンとサーボピストンを中立位置に付勢するためのばねとが同軸上に配置されているため、これらの軸方向の全長が長くなっている。
【0006】
本発明は、液圧回転機を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、可変容量型の液圧回転機であって、ハウジングと、ハウジング内に収容され回転軸とともに回転するシリンダブロックと、シリンダブロックに形成され回転軸の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダの内部に容積室を画成するピストンと、シリンダブロックの回転に伴って容積室を拡縮するようにピストンを往復動させる斜板と、斜板を第1方向に傾転させる第1サーボ機構と、斜板を第1方向とは反対方向の第2方向に傾転させる第2サーボ機構と、を備え、第1サーボ機構は、ハウジング内に摺動自在に収容され、端部に設けられた第1圧力室に圧力が供給されることにより斜板を第1方向に傾転させる第1サーボピストンと、第1圧力室内の作動流体の圧力を制御する第1制御弁と、を備え、第2サーボ機構は、ハウジング内に摺動自在に収容され、端部に設けられた第2圧力室に圧力が供給されることにより斜板を第1方向とは反対方向の第2方向に傾転させる第2サーボピストンと、第2圧力室内の作動流体の圧力を制御する第2制御弁と、を備え、第1サーボ機構と第2サーボ機構の間には、斜板を中立位置に保持する中立保持機構が設けられることを特徴とする。
【0008】
この発明では、斜板を中立位置に保持する中立保持機構が第1サーボ機構と第2サーボ機構の間に設けられているので、第1サーボ機構や第2サーボ機構と中立保持機構が同軸上に配置された場合に比べて、第1サーボ機構や第2サーボ機構の軸方向における全長を短くすることができる。
【0009】
また、本発明は、液圧回転機であって、第1サーボピストンと第2サーボピストンは、これらの中心軸が互いに平行になるように並列に設けられ、中立保持機構は、第1サーボピストンと第2サーボピストンとの間に設けられることを特徴とする。
【0010】
この発明では、斜板を中立位置に保持する中立保持機構が第1サーボピストンと第2サーボピストンの間に設けられているので、第1サーボピストンや第2サーボピストンと中立保持機構が同軸上に配置された場合に比べて、第1サーボピストンや第2サーボピストンの軸方向における全長を短くすることができる。これにより、液圧回転機を小型化することができる。
【0011】
また、本発明は、液圧回転機であって、斜板は、斜板の回動軸方向に突出し、斜板のピストンと対向する平面と略平行な平面を有する一対の突出部を備え、第1サーボピストン及び第2サーボピストンは、一対の突出部の平面を押圧するように設けられることを特徴とする。
【0012】
この発明では、第1サーボピストン及び第2サーボピストンが斜板のピストンと対向する平面と略平行な平面において、斜板を押圧するように構成されているので、第1サーボピストン、第2サーボピストン、及びピストンを並列に配置することができる。これにより、軸方向における全長を短くすることができるので、液圧回転機を小型化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、斜板を中立位置に保持する中立保持機構が第1サーボ機構と第2サーボ機構の間に設けられているので、これらを同軸上に配置した場合に比べて、全長を短くすることができる。これにより、液圧回転機を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るポンプ装置の回転軸方向における断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るポンプ装置における第1サーボピストン及び第2サーボピストンの軸方向に沿う断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るポンプ装置における第1制御弁及び第2制御弁の軸方向に沿う断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るポンプ装置の中立位置状態におけるフィードバックレバー、第1制御弁及び第2制御弁の周辺を拡大した部分断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るポンプ装置の正回転状態におけるフィードバックレバー、第1制御弁及び第2制御弁の周辺を拡大した部分断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るポンプ装置の逆回転状態におけるフィードバックレバー、第1制御弁及び第2制御弁の周辺を拡大した部分断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る中立保持機構付近の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るポンプ装置100について説明する。
【0016】
図1に示すように、ポンプ装置100は、可変容量型の液圧回転機としてのピストンポンプPと、可変容量型のモータ装置Mと、を備える。ポンプ装置100は、例えば、建設機械等の車両に搭載される静油圧式無段変速機(HST:Hydro Static Transmission)に用いられる。具体的には、ポンプ装置100では、ピストンポンプPから作動油を吐出し、走行用油圧モータであるモータ装置Mに作動油を供給する。
【0017】
ポンプ装置100では、作動流体として作動油が用いられる。なお、作動油に代えて、作動水等の他の作動流体を用いてもよい。
【0018】
ポンプ装置100は、一対の通路(図示せず)を介してモータ装置Mに接続される。
【0019】
図1及び
図2に示すように、ピストンポンプPは、斜板5の角度に応じて吐出容量が設定される斜板式油圧ポンプである。ピストンポンプPは、その外殻を構成するハウジング1と、ハウジング1を貫通するように設けられる回転軸2と、ハウジング1内に収容され回転軸2とともに回転するシリンダブロック3と、シリンダブロック3に形成される複数のシリンダ4と、各シリンダ4内に摺動自在に挿入されるピストン4aと、ハウジング1内で揺動可能(回動可能)に設けられる斜板5と、を備える。
【0020】
ハウジング1は、ハウジング本体1aと、ハウジング本体1aの一端側の開口を閉塞するようにハウジング本体1aに取り付けられるカバー1bと、を備える。なお、本実施形態では、ピストンポンプPのハウジング1は、モータ装置Mのハウジングと一体に形成されている。また、本実施形態に係るピストンポンプPは、斜板5の支持方式がクレードル方式とされ、カバー1bには、斜板5を傾転可能に支持する半円弧状の傾転支持面1cが形成される。
【0021】
回転軸2は、ハウジング1に取り付けられる軸受1d,1eによって回転自在に支持される。回転軸2において、ハウジング本体1aから軸方向に突出する突出部には、エンジン等の原動機(図示せず)が動力伝達機構(図示せず)を介して連結される。回転軸2は、原動機(図示せず)により回転駆動される。
【0022】
シリンダブロック3は、ハウジング1内に収容される。シリンダブロック3は、回転軸2の外周にスプライン結合によって固定され、回転軸2と一体に回転駆動される。複数のシリンダ4は、周方向に沿って、所定の間隔をもって配置される。複数のシリンダ4は、軸方向に沿って延在する。なお、本実施形態では、「周方向」は、回転軸2の回転中心軸Oを中心とする円周方向を意味する。「軸方向」は、回転中心軸Oが延在する方向を意味する。回転軸2の回転中心軸Oは、シリンダブロック3の回転中心軸に相当する。
【0023】
シリンダ4内にはピストン4aが摺動自在に収容され、ピストン4aによってシリンダ4の内部に容積室4bが画定される。容積室4bは、シリンダブロック3の回転に伴って、吸込ポート(図示せず)及び吐出ポート(図示せず)に交互に連通する。
【0024】
ピストン4aの一端は、ピストンシュー4cを介して斜板5に接触する。斜板5が、
図1に示す中立位置から所定角度だけ傾斜している状態では、シリンダブロック3の回転に伴ってピストン4aがシリンダブロック3に対して移動し、容積室4bの容積が変化する。つまり、斜板5は、シリンダブロック3の回転に伴って、容積室4bを拡縮するようにピストン4aを往復動させる。
【0025】
容積室4bが拡大するようにピストン4aがシリンダ4内を移動する吸込行程では、作動油が吸込ポート(図示せず)を通って容積室4bに吸い込まれる。容積室4bが縮小するようにピストン4aがシリンダ4内を移動する吐出行程では、作動油が容積室4bから吐出ポート(図示せず)に吐出される。つまり、ピストン4aは、シリンダブロック3の回転によってシリンダ4内を往復動し、吸込ポートから各シリンダ4内に作動油を吸込みつつ、これを高圧の圧油として吐出ポートから吐出する。
【0026】
ピストンポンプPでは、回転軸2の回転中心軸Oに対する斜板5の角度(傾転角度)を変えることで、ピストン4aのストローク量を変更することができる。これにより、ピストンポンプPから吐出される作動油の流量を変化させることが可能となる。
【0027】
図1に示す斜板5の傾転角度が0°(零度)、つまり、斜板5が中立位置にある場合には、ピストン4aは、シリンダブロック3が回転しても、シリンダブロック3に対して移動しない。そのため、容積室4bの容積は変化せず、ピストンポンプPの吐出流量は0(零)となる。したがって、走行用のモータ装置Mには作動油が供給されず、モータ装置Mは駆動しない。
【0028】
ピストンポンプPは、二方向吐出型のポンプであり、傾転角度0°(零度)を境にして斜板5の傾転方向を反対方向に切り換えることで作動油の吸込または吐出が行われるポートが切り換えられる。さらに、ピストンポンプPの作動油の吐出方向を切り換えることで、モータ装置Mの回転方向が変更され、車両の前進と後退が切り換えられる。
【0029】
図2及び
図3に示すように、ピストンポンプPは、斜板5を中立位置に保持する中立保持機構Nを備える。中立保持機構Nは、後述する第1サーボピストン21と第2サーボピストン22との間に設けられる。中立保持機構Nは、ハウジング1に保持された中立ばね80と、ハウジング1に固定された第1ピンとしてのピン81と、斜板5に固定された第2ピンとしてのピン5bと、を備える。
【0030】
中立ばね80は、例えば、捩じりばねによって構成される。中立ばね80は、ハウジング1に固定された保持部材23によってハウジング1に保持される。保持部材23は、円筒状に形成されて、ねじ24を締め付けることによってハウジング1に固定される。中立ばね80は、保持部材23を中立ばね80の円筒部分80cの内周に挿入することによってハウジング1に保持される。
【0031】
中立ばね80の一端(巻き始め)80aと他端(巻き終わり)80bは、略平行になるようにして中立ばね80の円筒部分80cから引き出される。一端80aと他端80bとの間には、ハウジング1に固定されたピン81と斜板5に固定されたピン5bとが挿入される。このとき、ピン81及びピン5bは、中立ばね80の一端80a及び他端80bによって、互いに近づくように付勢されている。つまり、本実施形態のピストンポンプPでは、中立ばね80によってピン81及びピン5bを挟み込むように付勢することで、斜板5を中立位置に保持する。なお、中立ばね80の一端80a及び他端80bとピン81及びピン5bとの間に、若干の遊びを設けるようにしてもよい。この場合であっても、斜板5の回動が規制されるので、斜板5を中立位置に保持することができる。
【0032】
図3から
図8に示すように、ポンプ装置100は、ピストンポンプPの斜板5の傾転角度を制御するサーボ機構Sをさらに備える。サーボ機構Sは、斜板5を第1方向D1に傾転させる第1サーボ機構S1と、斜板5を第1方向D1とは反対方向の第2方向D2に傾転させる第2サーボ機構S2と、斜板5の傾転位置を第1サーボ機構S1及び第2サーボ機構S2にフィードバックするフィードバックレバー50(
図4参照)と、を備える。
【0033】
第1サーボ機構S1は、ハウジング1内に摺動自在に収容され斜板5を第1方向D1に傾転させる第1サーボピストン21(
図3参照)と、第1サーボピストン21に作用する作動油の圧力を制御する第1制御弁30(
図4参照)と、を備える。また、第2サーボ機構S2は、ハウジング1内に摺動自在に収容され斜板5を第2方向D2に傾転させる第2サーボピストン22(
図3参照)と、第2サーボピストン22に作用する作動油の圧力を制御する第2制御弁40(
図4参照)と、を備える。
【0034】
第1サーボピストン21は、ハウジング1に設けられた有底円筒孔形状の第1収容孔1f内に摺動自在に収容される。第1収容孔1fにおける第1収容孔1fの底面と第1サーボピストン21の端部との間には、第1圧力室21aが設けられる。第1サーボピストン21は、第1制御弁30を通じて第1圧力室21aに圧力が供給されることにより、
図3における右方向(第3方向D3)に移動する。これにより、斜板5は、第1方向D1(
図3参照)に回動(傾転)する。
【0035】
第2サーボピストン22は、ハウジング1に設けられた有底円筒孔形状の第2収容孔1g内に摺動自在に収容される。第2収容孔1gにおける第2収容孔1gの底面と第2サーボピストン22の端部との間には、第2圧力室22aが設けられる。第2サーボピストン22は、第2圧力室22aに圧力が供給されることにより、
図3における右方向(第3方向D3)に移動する。これにより、斜板5は、第1方向D1とは反対の第2方向D2(
図3参照)に回動(傾転)する。
【0036】
図2、
図4及び
図5などに示すように、第1制御弁30及び第2制御弁40は、それぞれ回転軸2の回転中心軸Oと平行な方向であって、これらの中心軸同士が平行になるように設けられる。さらに、第1制御弁30及び第2制御弁40は、後述する支持シャフト60を中心として対称となる位置に並列に設けられる。
【0037】
また、
図2及び
図3に示すように、斜板5は、斜板5の回動軸方向に突出し、斜板5のピストン4aと対向する平面5cと略平行な平面5dを有する一対の突出部5eを備える。そして、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22は、それぞれ平面5dを押圧するように、かつ、中心軸が互いに平行になるように並列に設けられる。
【0038】
図4及び
図5などに示すように、第1制御弁30は、電磁スプール弁によって構成される。第1制御弁30は、第1スプール31と、第1スプール31の一端側に推力を付与する第1ソレノイド32と、第1スプール31の他端側に推力を付与する第1スプリング33と、第1スプリング33の一端を保持する第1ホルダ34と、内部に第1スプール31を摺動自在に保持する第1スリーブ35と、第1スプール31の他端に取り付けられ、第1スプリング33の他端を保持する第1リテーナ36と、を備える。
【0039】
第1スプール31は、第1スリーブ35を介してハウジング1に設けられた第3収容孔1h内に収容される。第1スプール31は、第1ソレノイド32に入力された電流値に応じて移動することで、第1圧力室21a内の圧力を制御する。
【0040】
図5に示すように、第1スリーブ35は、第3収容孔1hの内周面に開口する供給通路71を介して油圧ポンプ(流体圧源)70に接続される供給ポート35aと、第3収容孔1hの内周面に開口する接続通路72aを介して第1圧力室21aに接続されるメインポート35bと、を備える。
【0041】
第3収容孔1hの内周面には、タンクTに接続されるドレン通路74が開口する。ドレン通路74の開口は、第1スリーブ35と第1ホルダ34との間であって、後述のように第1ホルダ34がフィードバックレバー50の第1突部53に押圧されて移動しても第1ホルダ34によって閉塞されることのない位置に設けられる。
【0042】
第1スプリング33は、第1スプール31の他端に取り付けられた第1リテーナ36と第1ホルダ34との間に設けられる。第1スプリング33は、供給ポート35aとメインポート35bとの接続を遮断する方向であって、第1ソレノイド32の付勢力とは反対方向に第1スプール31を付勢する。
【0043】
第1ホルダ34は、有底円筒状に形成される。第1ホルダ34は、第1スリーブ35よりも第3収容孔1hの底面1j側に設けられる。このとき、第1ホルダ34は、第3収容孔1hの底面1jと第1スリーブ35との間を移動できるようにして第3収容孔1h内に設けられる。第1ホルダ34には、第1スプリング33の一端が挿入される。
【0044】
図4及び
図5などに示すように、第2制御弁40は、電磁スプール弁によって構成される。第2制御弁40は、第2スプール41と、第2スプール41の一端側に推力を付与する第2ソレノイド42と、第2スプール41の他端側に推力を付与する第2スプリング43と、第2スプリング43の一端を保持する第2ホルダ44と、内部に第2スプール41を摺動自在に保持する第2スリーブ45と、第2スプール41の他端に取り付けられ、第2スプリング43の他端を保持する第2リテーナ46と、を備える。
【0045】
図5に示すように、第2スプール41は、第2スリーブ45を介してハウジング1に設けられた第4収容孔1i内に収容される。第2スプール41は、第2ソレノイド42に入力された電流値に応じて移動することで、第2圧力室22a内の圧力を制御する。
【0046】
第2スリーブ45は、第4収容孔1iの内周面に開口する供給通路71を介して油圧ポンプ(流体圧源)70に接続される供給ポート45aと、第4収容孔1iの内周面に開口する接続通路72bを介して第2圧力室22aに接続されるメインポート45bと、を備える。
【0047】
第4収容孔1iの内周面には、タンクTに接続されるドレン通路74が開口する。ドレン通路74の開口は、第2スリーブ45と第2ホルダ44との間であって、後述のように第2ホルダ44がフィードバックレバー50の第2突部54に押圧されて移動しても第2ホルダ44によって閉塞されることのない位置に設けられる。
【0048】
第2スプリング43は、第2スプール41の他端に取り付けられた第2リテーナ46と第2ホルダ44との間に設けられる。第2スプリング43は、供給ポート45aとメインポート45bとの接続を遮断する方向であって、第2ソレノイド42の付勢力とは反対方向に第2スプール41を付勢する。
【0049】
第2ホルダ44は、有底円筒状に形成される。第2ホルダ44は、第2スリーブ45よりも第4収容孔1iの底面1k側に設けられる。このとき、第2ホルダ44は、第4収容孔1iの底面1kと第2スリーブ45との間を移動できるようにして第4収容孔1i内に設けられる。第2ホルダ44には、第2スプリング43の一端が挿入される。
【0050】
図2、
図4及び
図5などに示すように、フィードバックレバー50は、ハウジング1に取り付けられた揺動軸としての支持シャフト60を中心として揺動する。フィードバックレバー50は、第1ホルダ34に当接する第1突部53と、第2ホルダ44に当接する第2突部54と、第1突部53と第2突部54とが両端に設けられ、支持シャフト60が挿通される貫通孔52が形成された本体部51と、本体部51に設けられ、斜板5に取り付けられたピン5aと係合する係合溝55aを有する係合部55と、を備える。本実施形態では、フィードバックレバー50は、本体部51が回転軸2の回転中心軸Oと直交する方向に延びる略T字状に形成される。
【0051】
フィードバックレバー50の第1突部53は、第3収容孔1hの底面1jに設けられた貫通孔を通じて第1ホルダ34と当接可能な位置に配置される。フィードバックレバー50の第2突部54は、第4収容孔1iの底面1kに設けられた貫通孔を通じて第2ホルダ44と当接可能な位置に配置される。
【0052】
図2に示すように、支持シャフト60は、ハウジング1に形成された孔1mに固定される。支持シャフト60は、孔1mを挿通する円柱状の基部61と、基部61に対して偏心するように形成された偏心部62と、を有する。偏心部62は、その外形が基部61の外径よりも小さくなるように形成される。
【0053】
基部61は、外周に雄ねじが形成され、一部が孔1mからハウジング1の外側に突出する。支持シャフト60は、基部61に形成された雄ねじと孔1mに形成された雌ねじとを螺合させた状態で固定ナット63を締めることにより、ハウジング1に固定される。
【0054】
偏心部62の外径は、フィードバックレバー50の貫通孔52の内径と略等しくなるように形成される。フィードバックレバー50は、偏心部62を貫通孔52に挿通することで、偏心部62を中心として回動可能に支持される。
【0055】
前述のように、偏心部62は、基部61に対して偏心している。そのため、ハウジング1に対して支持シャフト60を回転させると、偏心部62の中心が変位する。その結果、フィードバックレバー50の中心、すなわちフィードバックレバー50の回動中心軸が変位する。これにより、第1突部53と第1ホルダ34との間隔、及び第2突部54と第2ホルダ44との間隔が調整され、フィードバックレバー50の中立位置が調整することができる。
【0056】
次に、
図2から
図8を参照して、サーボ機構S及び中立保持機構Nの動作について説明する。
【0057】
運転者が車両を前進させるように車両のコントロールレバー(図示せず)を操作すると、図示しないコントローラからコントロールレバーの操作量に応じた電流が第1ソレノイド32に付与される。これにより、第1ソレノイド32のプランジャ(図示せず)は、
図4及び
図5における左方向(第3方向D3)に移動し、第1スプリング33の付勢力に抗して初期位置にある第1スプール31を第3方向D3に移動させる。
【0058】
このように第1スプール31が第3方向D3に移動すると、第1スプール31の環状溝31aを通じて供給ポート35aとメインポート35bとが接続される。これにより、油圧ポンプ70から吐出された作動油は、供給通路71、供給ポート35a、環状溝31a、メインポート35b及び接続通路72aを通って第1圧力室21aに導かれる。
【0059】
このとき、第2ソレノイド42は非通電状態であり、第2スプール41には第2ソレノイド42の推力は作用しない。この状態では、供給ポート45aとメインポート45bとの連通が遮断されるとともに、メインポート45bが第2スプール41の環状溝41bを通じてドレン通路74に連通する。このため、第2圧力室22aは、タンク圧と同等になっている。
【0060】
第1圧力室21aにパイロット圧が導かれることで、第1サーボピストン21が第3方向D3に移動し、斜板5を第1方向D1に回動させるように押圧する。斜板5が第1方向D1に回動するように押圧されることで、斜板5に取り付けられたピン5bが中立ばね80の他端80bと当接し、
図8(b)に示すように、一体となって第1方向D1に回動する。このとき、中立ばね80の一端80aがハウジング1に固定されたピン81に当接することで、中立ばね80自体の回動が規制される。このように、第1圧力室21aにパイロット圧が導かれることで、第1サーボピストン21が中立ばね80の付勢力に抗して(中立ばね80の一端80aと他端80bを拡開させながら)斜板5を第1方向D1に回動させ、斜板5の傾転角が変化する。その結果、ピストンポンプPから走行用モータに作動油が供給され、走行用油圧モータが正転して車両が前進する。
【0061】
また、斜板5が第1方向D1に傾転することによって、斜板5に取り付けられたピン5aも第1方向D1に回動する(
図6参照)。ピン5aは、フィードバックレバー50の係合溝55aに係合しているため、ピン5aが第1方向D1に回動すると、フィードバックレバー50は、支持シャフト60を中心として第5方向D5(時計回り)に回動する。そして、このようにフィードバックレバー50が第5方向D5に回動すると、第1突部53が第1ホルダ34を押圧する。その結果、第1ホルダ34が第1スプリング33を圧縮し、第1スプール31を初期位置に戻そうとする第1スプリング33の反力(付勢力)が大きくなる。
【0062】
このように、フィードバックレバー50は、斜板5の傾転角度の変化に応じて第1スプリング33の付勢力を変化させる。
【0063】
第1スプリング33の付勢力が変化すると、第1スプリング33の付勢力と第1ソレノイド32の推力とが釣り合う位置に第1スプール31が移動する。これにより、第1圧力室21a内の圧力は、第1サーボピストン21を所望の位置で保つように調整される。その結果、ピストンポンプPの斜板5の傾転角度が所望の角度に維持される。
【0064】
運転者がコントロールレバーを中立位置に戻すと、コントローラから第1ソレノイド32に付与される電流が0(ゼロ)になる。これにより、第1スプール31が第1スプリング33の付勢力によって初期位置に戻され、供給ポート35aとメインポート35bとの連通が遮断されるとともに、メインポート35bが第1スプール31の環状溝31bを通じてドレン通路74に連通する。これにより、第1圧力室21a内の圧力がタンク圧まで低下し、第1サーボピストン21の推力が低下する。この結果、中立ばね80の付勢力により、斜板5に取り付けられたピン5bが中立ばね80の他端80bによって押圧されることで、第2サーボピストン22が第4方向D4に移動し、斜板5は中立位置(
図8(a)参照)に戻される。そして、この状態では、中立ばね80の弾性力によって、斜板5の移動が規制され、斜板5は中立維持に保持される。
【0065】
一方、運転者が車両を後進させるようにコントロールレバーを操作すると、図示しないコントローラからコントロールレバーの操作量に応じた電流が第2ソレノイド42に付与される。これにより、第2ソレノイド42のプランジャ(図示せず)は、
図4及び
図5における左方向(第3方向D3)に移動し、第2スプリング43の付勢力に抗して初期位置にある第2スプール41を第3方向D3に移動させる。
【0066】
このように第2スプール41が第3方向D3に移動すると、第2スプール41の環状溝41aを通じて供給ポート45aとメインポート45bとが接続される。これにより、油圧ポンプ70から吐出された作動油は、供給通路71、供給ポート45a、環状溝41a、メインポート45b及び接続通路72bを通って第2圧力室22aに導かれる。
【0067】
このとき、第1ソレノイド32は非通電状態であり、第1スプール31には第1ソレノイド32の推力は作用しない。この状態では、供給ポート35aとメインポート35bとの連通が遮断されるとともに、メインポート35bが第1スプール31の環状溝31bを通じてドレン通路74に連通する。このため、第1圧力室21aは、タンク圧と同等になっている。
【0068】
第2圧力室22aにパイロット圧が導かれることで、第2サーボピストン22が第3方向D3に移動し、斜板5を第2方向D2に回動させるように押圧する。斜板5が第2方向D2に回動するように押圧されることで、斜板5に取り付けられたピン5bが中立ばね80の一端80aと当接し、
図8(c)に示すように、一体となって第2方向D2に回動する。このとき、中立ばね80の他端80bがハウジング1に固定されたピン81に当接することで、中立ばね80自体の回動が規制される。このように、第2圧力室22aにパイロット圧が導かれることで、第2サーボピストン22が中立ばね80の付勢力に抗して(中立ばね80の一端80aと他端80bを拡開させながら)斜板5を第2方向D2に回動させ、斜板5の傾転角が変化する。その結果、ピストンポンプPから走行用モータに作動油が供給され、走行用油圧モータが逆転して車両が後進する。
【0069】
また、斜板5が第2方向D2に傾転することによって、斜板5に取り付けられたピン5aも第2方向D2に回動する(
図7参照)。ピン5aは、フィードバックレバー50の係合溝55aに係合しているため、ピン5aが第2方向D2に回動すると、フィードバックレバー50は、支持シャフト60を中心として第6方向D6(反時計回り)に回動する。そして、このようにフィードバックレバー50が第6方向D6に回動すると、第2突部54が第2ホルダ44を押圧する。その結果、第2ホルダ44が第2スプリング43を圧縮し、第2スプール41を初期位置に戻そうとする第2スプリング43の反力(付勢力)が大きくなる。
【0070】
このように、フィードバックレバー50は、斜板5の傾転角度の変化に応じて第2スプリング43の付勢力を変化させる。
【0071】
第2スプリング43の付勢力が変化すると、第2スプリング43の付勢力と第2ソレノイド42の推力とが釣り合うよう位置に第2スプール41が移動する。これにより、第2圧力室22a内の圧力は、第2サーボピストン22を所望の位置で保つように調整される。その結果、ピストンポンプPの斜板5の傾転角度が所望の角度に維持される。
【0072】
運転者がコントロールレバーを中立位置に戻すと、コントローラから第2ソレノイド42に付与される電流が0(ゼロ)になる。これにより、第2スプール41が第2スプリング43の付勢力によって初期位置に戻され、供給ポート45aとメインポート45bとの連通が遮断されるとともに、メインポート45bが第2スプール41の環状溝41bを通じてドレン通路74に連通する。これにより、第2圧力室22a内の圧力がタンク圧まで低下し、第2サーボピストン22の推力が低下する。この結果、中立ばね80の付勢力により、斜板5に取り付けられたピン5bが中立ばね80の一端80aによって押圧されることで、第2サーボピストン22が第4方向D4に移動し、斜板5は中立位置(
図8(a)参照)に戻される。そして、この状態では、中立ばね80の弾性力によって、斜板5の移動が規制され、斜板5は中立維持に保持される。
【0073】
以上のように、本実施形態のサーボ機構S(第1、第2サーボ機構S1,S2)によれば、第1、第2ソレノイド32,42によって第1、第2スプール31,41を駆動し、第1、第2圧力室21a,22a内の圧力を制御して、第1、第2サーボピストン21,22の位置を変更することで、ピストンポンプPの斜板5の傾転角度を所望の角度に制御することができる。
【0074】
また、ピストンポンプPでは、第1制御弁30及び第2制御弁40は、回転軸2の回転中心軸Oと平行な方向に並列に設けられているので、2つの制御弁が同軸上に配置された場合に比べて、第1制御弁30及び第2制御弁40の軸方向における全長を短くすることができる。これにより、ピストンポンプPを小型化することができる。
【0075】
さらに、ピストンポンプPでは、中立保持機構Nが第1サーボピストン21と第2サーボピストン22の間に設けられているので、第1サーボピストン21や第2サーボピストン22と中立保持機構Nが同軸上に配置された場合に比べて、第1サーボピストン21や第2サーボピストン22の軸方向における全長を短くすることができる。これにより、ピストンポンプPを小型化することができる。
【0076】
また、ピストンポンプPでは、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22が斜板5の平面5cにおける端部側において、斜板5を押圧するように配置される。これにより、第1サーボピストン21、第2サーボピストン22、及びピストン4aを並列に配置することができる。これにより、軸方向における全長を短くすることができるので、ピストンポンプPを小型化することができる。
【0077】
また、ピストンポンプPでは、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22を回転軸2の回転中心軸Oと平行になるように設けている。第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22を回転軸2の回転中心軸Oと直交する方向に設けた場合には、この直交する方向に第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22のストローク分のスペースを確保する必要がある。そこで、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22を回転軸2の回転中心軸Oと平行になるように設けることにより、ピストンポンプPの大型化を抑制できる。
【0078】
また、本実施形態では、第1制御弁30及び第2制御弁40と、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22とは、回転軸2の回転中心軸Oと直交する方向において斜板5を挟んで反対側に設けられている。これにより、回転中心軸O方向の長さを短くすることができるので、ピストンポンプPを小型化できる。
【0079】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0080】
本実施形態の液圧回転機(ピストンポンプP)は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容され回転軸2とともに回転するシリンダブロック3と、シリンダブロック3に形成され回転軸2の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダ4と、シリンダ4内に摺動自在に挿入されシリンダ4の内部に容積室4bを画成するピストン4aと、シリンダブロック3の回転に伴って容積室4bを拡縮するようにピストン4aを往復動させる斜板5と、斜板5を第1方向D1に傾転させる第1サーボ機構S1と、斜板5を第1方向D1とは反対方向の第2方向D2に傾転させる第2サーボ機構S2と、を備え、第1サーボ機構S1は、ハウジング1内に摺動自在に収容され、端部に設けられた第1圧力室21aに圧力が供給されることにより斜板5を第1方向D1に傾転させる第1サーボピストン21と、第1圧力室21a内の作動流体(作動油)の圧力を制御する第1制御弁30と、を備え、第2サーボ機構S2は、ハウジング1内に摺動自在に収容され、端部に設けられた第2圧力室22aに圧力が供給されることにより斜板5を第2方向D2に傾転させる第2サーボピストン22と、第2圧力室22a内の作動流体(作動油)の圧力を制御する第2制御弁40と、を備える。また、ピストンポンプPでは、第1サーボ機構S1と第2サーボ機構S2の間には、斜板5を中立位置に保持する中立保持機構Nが設けられる。
【0081】
この構成では、斜板5を中立位置に保持する中立保持機構Nが第1サーボ機構S1と第2サーボ機構S2の間に設けられているので、第1サーボ機構S1や第2サーボ機構S2と中立保持機構Nが同軸上に配置された場合に比べて、第1サーボ機構S1や第2サーボ機構S2の軸方向における全長を短くすることができる。これにより、液圧回転機(ピストンポンプP)を小型化することができる。
【0082】
また、本実施形態の液圧回転機(ピストンポンプP)では、第1サーボピストン21と第2サーボピストン22は、これらの中心軸が互いに平行になるように並列に設けられ、中立保持機構Nは、第1サーボピストン21と第2サーボピストン22との間に設けられる。
【0083】
この構成では、中立保持機構Nが第1サーボピストン21と第2サーボピストン22の間に設けられているので、第1サーボピストン21または第2サーボピストン22と中立保持機構Nが同軸上に配置された場合に比べて、第1サーボピストン21または第2サーボピストン22の軸方向における全長を短くすることができる。これにより、液圧回転機(ピストンポンプP)を小型化することができる。
【0084】
本実施形態の液圧回転機(ピストンポンプP)では、斜板5は、斜板5の回動軸方向に突出し、斜板5のピストン4aと対向する平面5cと略平行な平面5d有する一対の突出部5eを備え、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22は、一対の突出部5eの平面5dを押圧するように設けられる。
【0085】
この構成では、第1サーボピストン21及び第2サーボピストン22が斜板5のピストン4aと対向する平面5cと略平行な平面5dにおいて、斜板5を押圧するように構成されているので、第1サーボピストン21、第2サーボピストン22、及びピストン4aを並列に配置することができる。これにより、軸方向における全長を短くすることができるので、液圧回転機(ピストンポンプP)を小型化することができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0087】
上記実施形態では、液圧回転機として、ピストンポンプPを例に説明したが、液圧回転機は、ピストンモータ(モータ装置M)であってもよい。
【0088】
上記実施形態では、斜板5の支持方式がクレードル方式のものを例に説明したが、斜板5の支持方式はトラニオン方式であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1制御弁30及び第2制御弁40を回転軸2の回転中心軸Oと平行になるように設けた場合を例に説明したが、第1制御弁30及び第2制御弁40の向きは、回転中心軸Oと直交する方向などどのような向きであってもよい。なお、第1制御弁30及び第2制御弁40の取付方向を回転中心軸Oと平行な方向以外とする場合には、フィードバックレバー50の取付方向もそれに合わせて変更される。
【0090】
上記実施形態では、中立保持機構Nを第1サーボピストン21と第2サーボピストン22との間に設けた場合を例に説明したが、中立保持機構Nを第1制御弁30と第2制御弁40との間に設けるようにしてもよい。この場合には、例えば、第1ピンを支持シャフト60とし、第2ピンをピン5aとすることもできる。
【0091】
中立ばね80は、捩じりばねに限らず、板ばねなどの部材であってもよい。
【0092】
中立ばね80の一端80aをピン81に係止する(固定)とともに、他端80bをピン5bに係止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
100・・・ポンプ装置、P・・・ピストンポンプ(液圧回転機)、M・・・モータ装置(液圧回転機)、N・・・中立保持機構、S・・・サーボ機構、S1・・・第1サーボ機構、S2・・・第2サーボ機構、1・・・ハウジング、2・・・回転軸、3・・・シリンダブロック、4・・・シリンダ、4a・・・ピストン、5・・・斜板、5a・・・ピン、5b・・・ピン(第2ピン)、21・・・第1サーボピストン、21a・・・第1圧力室、22・・・第2サーボピストン、22a・・・第2圧力室、30・・・第1制御弁、31・・・第1スプール、32・・・第1ソレノイド、33・・・第1スプリング、34・・・第1ホルダ、35・・・第1スリーブ、35a・・・供給ポート、35b・・・メインポート、40・・・第2制御弁、41・・・第2スプール、42・・・第2ソレノイド、43・・・第2スプリング、44・・・第2ホルダ、45a・・・供給ポート、45b・・・メインポート、50・・・フィードバックレバー、53・・・第1突部、54・・・第2突部、55・・・係合部、55a・・・係合溝、60・・・支持シャフト(揺動軸)、62・・・偏心部、80・・・中立ばね、81・・・ピン(第1ピン)