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特開2022-45253用紙搬送装置及びその制御方法ならびに用紙搬送装置の制御プログラム
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  • 特開-用紙搬送装置及びその制御方法ならびに用紙搬送装置の制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045253
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】用紙搬送装置及びその制御方法ならびに用紙搬送装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/30 20060101AFI20220311BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B65H31/30
B65H3/12 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150839
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 英司
【テーマコード(参考)】
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BJ07
3F054BJ11
3F054CA06
3F054CA10
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC03
3F343GA01
3F343GB02
3F343GC02
3F343GD01
3F343JB05
3F343KB04
3F343MA03
3F343MA09
3F343MA22
3F343MB04
3F343MB13
3F343MC27
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、用紙が搬送ベルトに引っ掛かることなく、用紙集積エリアに進入できる用紙搬送装置を提供することにある。
【解決手段】用紙搬送装置は、ベルト駆動機構4及び吸引切換機構7の駆動を制御する制御部120を備え、制御部120は、用紙集積エリアに集積された用紙の枚数をカウントするカウンタユニット111と、カウンタユニット111からの用紙のカウントに基づいて、用紙集積エリアに集積されている用紙の枚数が、2枚以上か1枚かを判定する第1判定ユニット112と、を含み、(a)第1判定ユニットによって、用紙集積エリアに集積されている用紙の枚数が2枚以上であると判定されるとき、用紙を用紙集積エリアから搬送する一方、(b)第1判定ユニットによって、用紙集積エリアに集積されている用紙の枚数が1枚であると判定されるとき、用紙を用紙集積エリアから搬送しないよう制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の用紙処理装置から搬出された用紙を下流側の用紙処理装置に搬送する用紙搬送装置であって、
前記用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部を駆動する搬送部駆動機構と、
前記上流側の用紙処理装置から搬出された前記用紙を前記搬送部上で集積する用紙集積エリアと、
前記搬送部による前記用紙の搬送を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記用紙集積エリアに集積された前記用紙の枚数をカウントするカウンタユニットを含み、
前記用紙集積エリアから前記用紙を搬送する搬送指示信号を受け、かつ、前記カウンタユニットによって、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が1枚であるとカウントされたとき、前記1枚の用紙を前記用紙集積エリアから搬送せずに、次の用紙が該1枚の用紙の上に導かれるまで該1枚の用紙の搬送を停止することを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記カウンタユニットからの前記用紙のカウントに基づいて、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が、2枚以上か1枚かを判定する第1判定ユニットとを備え、
前記第1判定ユニットによって、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が2枚以上であると判定されるとき、前記用紙を前記用紙集積エリアから搬送することを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙が、処理される最終用紙か否かを判定する第2判定ユニットを備え、
前記第2判定ユニットによって、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙が、処理される前記最終用紙であると判定されるとき、前記用紙を前記用紙集積エリアから搬送するよう制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記第2判定ユニットは、前記上流側の用紙処理装置から処理されるべき前記用紙の枚数の情報を受け取ると、前記カウンタユニットからの前記用紙のカウントに基づいて、前記用紙集積エリアに集積された前記用紙が、処理される前記最終用紙か否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の用紙処理装置。
【請求項5】
前記搬送部には、通気穴が形成され、
前記通気穴を通じて前記用紙を前記搬送部に吸引するか吸引しないかを切り換えるよう構成された吸引切換機構を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の用紙処理装置。
【請求項6】
上流側の用紙処理装置から搬出された用紙を下流側の用紙処理装置に搬送する用紙搬送装置の制御方法であって、
前記用紙搬送装置は、
前記用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部を駆動する搬送部駆動機構と、
前記上流側の用紙処理装置から搬出された前記用紙を前記搬送部上で集積する用紙集積エリアと、を備え、
前記用紙集積エリアから前記用紙を搬送する搬送指示信号を受け、かつ、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が1枚であるとカウントされたとき、前記1枚の用紙を前記用紙集積エリアから搬送せずに、次の用紙が該1枚の用紙の上に導かれるまで該1枚の用紙の搬送を停止することを特徴とする用紙搬送装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から5のいずれかに記載の用紙処理装置として機能させるための用紙処理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側の用紙処理装置から排出された用紙を下流側の用紙処理装置に搬送する用紙搬送装置及びその制御方法ならびに用紙搬送装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製本工程において、上流側の用紙処理装置(印刷機等)から排出された用紙を下流側の用紙処理装置(製本装置等)まで搬送する用紙搬送装置が使用され、それによって生産性を向上する。用紙搬送装置は、上流側の用紙処理装置と下流側の用紙処理装置とに連結される。
【0003】
この場合、用紙搬送装置は、上流側の用紙処理装置と下流側の用紙処理装置との処理のタイミングが合うように、用紙を供給する。
【0004】
上流側の用紙処理装置の処理速度と下流側の用紙処理装置の処理速度は、一般に同じではなく、例えば、上流側の用紙処理装置の処理速度が下流側の用紙処理装置の処理速度より速い場合、用紙搬送装置は、用紙を一時的に集積して、下流側の用紙処理装置の処理のタイミングに合うように、集積された用紙を下流側に搬送する必要がある。
【0005】
従来の用紙搬送装置は、例えば、特許文献1等に開示されている。特許文献1の図18の通り、用紙搬送装置は、多数の通気穴を有する搬送ベルト3と、吸引ボックス6とを備える。用紙搬送装置は、用紙集積エリアの搬送ベルト3上に用紙1を一時的に集積する。そして、用紙搬送装置は、吸引ボックス6内を負圧にし、通気穴で用紙1を搬送ベルト3に吸着して、搬送ベルト3の回転で用紙1を1枚ずつ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3-272931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、用紙集積エリアに集積された全ての用紙が搬送されて、搬送ベルト上に用紙がなくなった後に、次の用紙が用紙集積エリアに進入すると、用紙が搬送ベルトに引っ掛かり、用紙が折れたり、用紙が詰まったり(用紙ジャム)する問題がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑みて、用紙が搬送ベルトに引っ掛かることなく、用紙集積エリアに進入できる用紙搬送装置及びその制御方法ならびに用紙搬送装置の制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る用紙搬送装置は、
上流側の用紙処理装置から搬出された用紙を下流側の用紙処理装置に搬送する用紙搬送装置であって、前記用紙を搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する搬送部駆動機構と、前記上流側の用紙処理装置から搬出された前記用紙を前記搬送部上で集積する用紙集積エリアと、前記搬送部による前記用紙の搬送を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記用紙集積エリアに集積された前記用紙の枚数をカウントするカウンタユニットを含み、前記用紙集積エリアから前記用紙を搬送する搬送指示信号を受け、かつ、前記カウンタユニットによって、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が1枚であるとカウントされたとき、前記1枚の用紙を前記用紙集積エリアから搬送せずに、次の用紙が該1枚の用紙の上に導かれるまで該1枚の用紙の搬送を停止することを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記制御部は、前記カウンタユニットからの前記用紙のカウントに基づいて、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が、2枚以上か1枚かを判定する第1判定ユニットとを備え、前記第1判定ユニットによって、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が2枚以上であると判定されるとき、前記用紙を前記用紙集積エリアから搬送することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、制御部は、用紙集積エリアに集積されている用紙が、処理される最終用紙か否かを判定する第2判定ユニットを備え、第2判定ユニットによって、用紙集積エリアに集積されている用紙が、処理される最終用紙であると判定されるとき、用紙を用紙集積エリアから搬送するよう制御する。
【0012】
好ましくは、第2判定ユニットは、上流側の用紙処理装置から処理されるべき用紙の枚数の情報を受け取ると、カウンタユニットからの用紙のカウントに基づいて、用紙集積エリアに集積された用紙が、処理される最終用紙か否かを判定する。
【0013】
好ましくは、前記搬送部には、通気穴が形成され、前記通気穴を通じて前記用紙を前記搬送部に吸引するか吸引しないかを切り換えるよう構成された吸引切換機構を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の用紙処理装置。
【0014】
本発明に係る用紙搬送装置の制御方法は、上流側の用紙処理装置から搬出された用紙を下流側の用紙処理装置に搬送する用紙搬送装置の制御方法であって、前記用紙搬送装置は、前記用紙を搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する搬送部駆動機構と、前記上流側の用紙処理装置から搬出された前記用紙を前記搬送部上で集積する用紙集積エリアと、を備え、前記用紙集積エリアから前記用紙を搬送する搬送指示信号を受け、かつ、前記用紙集積エリアに集積されている前記用紙の枚数が1枚であるとカウントされたとき、前記1枚の用紙を前記用紙集積エリアから搬送せずに、次の用紙が該1枚の用紙の上に導かれるまで該1枚の用紙の搬送を停止することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る用紙搬送装置の制御プログラムは、コンピュータを上記のいずれかに記載の用紙処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る用紙搬送装置は、用紙が搬送部に引っ掛かることなく、用紙集積エリアに進入できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】用紙搬送装置及び用紙処理装置を示す側面図である。
図2】用紙搬送装置を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図3】用紙搬送装置の一部の構成を示すブロック図である。
図4】用紙搬送装置の動作を説明するための側面図である。
図5】用紙搬送装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明に係る用紙搬送装置の実施形態を説明する。
【0019】
[構成]
図1図3に基づいて、用紙搬送装置100の構成を説明する。
【0020】
図1の通り、用紙搬送装置100は、上流側の用紙処理装置(印刷機等)101と下流側の用紙処理装置(製本装置等)102とに連結される。用紙搬送装置100は、上流側の用紙処理装置101と下流側の用紙処理装置102との処理のタイミングが合うように、上流側の用紙処理装置101から排出された用紙Sを下流側の用紙処理装置102に搬送する。
【0021】
図2の通り、用紙搬送装置100は、互いに平行かつ水平にのびる駆動ローラ1およびアイドルローラ2と、駆動ローラ1およびアイドルローラ2間に掛け渡された4本の無端状とされた搬送ベルト(搬送部)3と、駆動ローラ1を回転させるベルト駆動機構4と、を備える。
【0022】
駆動ローラ1は、水平な回転軸1aと、回転軸1aに軸方向に互いに間隔をあけて配置される4つの第1プーリー1bと、を備える。第1プーリー1bは、回転軸1aと一体的に回転可能に取り付けられる。
【0023】
アイドルローラ2は、駆動ローラ1の回転軸1aに平行な軸2aと、軸2aのまわりに回転自在な4つの第2プーリー2bと、を備える。第2プーリー2bは、4つの第1プーリー1bにそれぞれ対向して配置される。
【0024】
各搬送ベルト3は、駆動ローラ1の第1プーリー1bおよびアイドルローラ2の第2プーリー2b間に掛け渡されている。各搬送ベルト3は、全長にわたって所定間隔をあけて複数の通気穴3aを有している。
【0025】
ベルト駆動機構4は、駆動ローラ1の回転軸1aの一端に固定されたプーリー4aと、駆動ローラ1と平行な駆動軸を有するモータ4bと、モータ4bの駆動軸に固定されたプーリー4cと、プーリー4aおよびプーリー4c間に掛け渡された無端ベルト4dと、を備える。
【0026】
用紙搬送装置100は、モータ4bによる駆動ローラ1の回転駆動に伴って、4本の搬送ベルト3が一定速度で回転し、4本の搬送ベルト3の搬送面3b上に置かれた用紙Sが、アイドルローラ2側(上流側)から駆動ローラ1側(下流側)に向けて搬送される。そのため、搬送ベルト3は、用紙Sの滑動を阻止するため摩擦係数の大きい素材(例えば、天然樹脂、合成樹脂)で形成される。
【0027】
用紙搬送装置100は、搬送ベルト3の通気穴3aを通じて用紙Sを搬送ベルト3に吸引するか吸引しないかを切り換えるよう構成された吸引切換機構7(図3)を備える。吸引切換機構7は、4本の搬送ベルト3の上側部分3cおよび下側部分3dの間に配置された吸引ボックス11と、吸引ボックス11に直結される吸引ファン(吸気源)12と、を備える。吸引ファン(吸気源)12は、吸引ボックス11内に負圧を発生させるよう構成される。
【0028】
吸引ボックス11は、上面に4つの吸気穴11aを備える。各吸気穴11aは、各搬送ベルト3の上側部分3cに対向して配置される。吸引ボックス11は、さらに、吸気穴11aを開閉するシャッタ11bを備える。
【0029】
吸引切換機構7は、シャッタ11bを駆動するシャッタ駆動機構を備える。シャッタ駆動機構は、例えば、シャッタ11bに取り付けられたリフト機構(不図示)と、リフト機構に取り付けられたモータ(不図示)とを備える。用紙搬送装置100の動作中、吸引ファン12が連続運転する一方、リフト機構によってシャッタ11bが上下動し、シャッタ11bが所定のタイミングで開閉して、吸気穴11aを通じた吸引が切り換えられる。
【0030】
図2(B)の通り、用紙搬送装置100は、上流側に搬入ローラ13を備える。搬入ローラ13は、搬送ベルト3の搬送面3bの上流端uの上方に設けられ、用紙Sを取り込んで搬送面3b上に搬送する。用紙搬送装置100は、さらに、搬送面3bから上方にのびる制止板14を備える。
【0031】
この実施形態では、制止板14は、搬送ベルト3の長手方向に直交する幅方向に4つの部分に分離されており、制止板14の各部分は各搬送ベルト3に対応している。なお、制止板14は、4本の搬送ベルト3の搬送面3bの全体を横切ってのびる単一の板でもよい。
【0032】
制止板14の下端14aは、吸引ボックス11に対向するとともに、搬送面3bから所定の間隔をあけて配置される。
用紙搬送装置100は、搬送面3bにおける制止板14から搬送面3bの上流端uまでの領域からなる用紙集積エリア15を備える。
用紙搬送装置100は、下流側に搬出ローラ16を備える。搬出ローラ16は、搬送面3bの下流端wから用紙Sを受け取り、用紙搬送装置100の外部に排出する。
【0033】
用紙搬送装置100の運転中、搬入ローラ13によって上流側の用紙処理装置101から用紙Sが取り込まれ、用紙Sの前端が制止板14に衝突して用紙集積エリア15に順次集積される。その後、集積された用紙Sのうちの最下の用紙Sが、順次、吸引ボックス11によって搬送ベルト3の搬送面3bに吸着されて、残りの用紙Sから分離される。そして、最下の用紙Sは、搬送ベルト3によって、搬送面3bおよび制止板14間の間隙を通って搬送面3bの下流端wに向けて搬送され、搬出ローラ16によって下流側の用紙処理装置102に供給される。
【0034】
こうして、上流側の用紙処理装置101の処理速度と下流側の用紙処理装置102の処理速度とが異なる場合であっても、用紙搬送装置100は、上流側の用紙処理装置101から順次排出される用紙Sを、一時的に用紙集積エリア15に集積して、下流側の用紙処理装置102の処理速度に合ったタイミングで、集積された用紙Sのうちの最下の用紙Sを1枚ずつ、用紙集積エリア15から下流側の用紙処理装置102に供給できる。よって、用紙搬送装置100は、上流側および下流側の用紙処理装置101,102間の用紙Sの受け渡しを円滑に行うことができる。
【0035】
図2及び図3の通り、用紙搬送装置100は、搬入ローラ13の下流側に設けられる搬入センサー18を備える。搬入センサー18は、用紙集積エリア15に搬入される用紙Sを検知するよう構成される。用紙搬送装置100は、さらに、制止板14の下流側に設けられる搬出センサー19を備える。搬出センサー19は、用紙集積エリア15から搬出される用紙Sを検知するよう構成される。
【0036】
図3の通り、用紙搬送装置100は、搬入センサー18、搬出センサー19、ベルト駆動機構4、吸引切換機構7に接続された制御部120を備える。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0037】
制御部120は、さらに、搬送指示ユニット110に接続される。搬送指示ユニット110は、例えば、用紙処理装置101,102の制御部(不図示)にプログラムされている。搬送指示ユニット110は、用紙搬送装置100の制御部120に対して、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送せずに集積する集積指示信号ASと、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送する搬送指示信号CSと、を送る。
【0038】
制御部120は、カウンタユニット111、第1判定ユニット112、第2判定ユニット113、搬送制御ユニット114を含む。制御部120に格納された制御プログラムによって、カウンタユニット111、第1判定ユニット112、第2判定ユニット113、搬送制御ユニット114が制御される。
【0039】
カウンタユニット111は、搬入センサー18によって用紙集積エリア15に搬入される用紙Sをカウントし、搬出センサー19によって用紙集積エリア15から搬送される用紙Sをカウントして、その差に基づいて、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数をカウントするよう構成される。
【0040】
第1判定ユニット112は、カウンタユニット111からの用紙Sのカウントに基づいて、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数が、2枚以上か1枚かを判定するよう構成される。
【0041】
第2判定ユニット113は、搬送指示ユニット110から処理終了の信号を受け取ると、用紙集積エリア15に集積された用紙Sが、処理される最終用紙FSと判定する。また、第2判定ユニット113は、搬送指示ユニット110から処理されるべき用紙Sの枚数の情報を受け取ると、カウンタユニット111からの用紙Sのカウントに基づいて、用紙集積エリア15に集積された用紙Sが、処理される最終用紙FSか否かを判定する。例えば、処理されるべき用紙Sの枚数が10枚の場合、用紙集積エリア15から搬送される10枚目の用紙Sが最終用紙FSと判定される。
【0042】
搬送制御ユニット114は、ベルト駆動機構4及び吸引切換機構7の駆動を制御するよう構成される。搬送制御ユニット114は、用紙集積エリア15から用紙Sを搬送するとき、シャッタ11bを開いて、用紙Sを搬送ベルト3の搬送面3bに吸着して、搬送ベルト3を回転するよう制御する。一方、搬送制御ユニット114は、用紙集積エリア15に用紙Sを集積するとき、シャッタ11bを閉じて、搬送ベルト3を回転しないよう制御する。
【0043】
[動作]
図4及び図5に基づいて、用紙搬送装置100の動作を説明する。
【0044】
用紙搬送装置100は、搬送指示ユニット110から集積指示信号AS及び搬送指示信号CSを受け取る(ステップS1)。用紙搬送装置100は、搬送指示ユニット110から集積指示信号ASを受け取ると、搬入ローラ13からの用紙Sを用紙集積エリア15に集積して、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送しない(ステップS2)。
【0045】
用紙搬送装置100は、搬送指示ユニット110から搬送指示信号CSを受け取ると、第1判定ユニット112によって、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数が2枚以上か1枚かを判定する(ステップS3)。
【0046】
用紙搬送装置100は、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数が2枚以上であるとき、図4(A)の通り、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送する(ステップS4)。
【0047】
用紙搬送装置100は、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数が1枚であるとき、第2判定ユニット113によって、用紙集積エリア15に集積された用紙Sが、処理される最終用紙FSか否かを判定する(ステップS5)。
【0048】
用紙搬送装置100は、搬送指示ユニット110から搬送指示信号CSを受け取っても、用紙集積エリア15に集積された1枚の用紙Sが、処理される最終用紙FSでないとき、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送せず、1枚の用紙Sを用紙集積エリア15に残す(ステップS6)。
【0049】
図4(B)の通り、用紙集積エリア15に残された1枚の用紙Sは滑走用紙KSとして使用され、搬入ローラ13から搬入される用紙Sは、残された1枚の用紙S(滑走用紙KS)の上を滑り、用紙集積エリア15に集積される。用紙S(滑走用紙KS)は、摩擦係数が搬送ベルト3よりも高くないので、次の用紙Sが搬送ベルト3に引っ掛かることがなく、次の用紙Sが円滑に用紙集積エリア15に進入できる。
【0050】
用紙集積エリア15に2枚の用紙Sが集積された後、第1判定ユニットは、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数が2枚以上であると判定し(ステップS3)、図4(C)の通り、滑走用紙KSとして使用された用紙Sを用紙集積エリア15から搬送する(ステップS4)。
【0051】
第1判定ユニット112によって、用紙集積エリア15に集積されている用紙Sの枚数が1枚と判定され(ステップS3)、第2判定ユニット113によって、用紙集積エリア15に集積された1枚の用紙Sが、処理される最終用紙FSであると判定されると、用紙搬送装置100は、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送する(ステップS7)。この後に次の用紙Sが用紙集積エリア15に搬入されないので、滑走用紙KSとして1枚の用紙Sを用紙集積エリア15に残す必要がないからである。
【0052】
本実施形態の効果について説明する。
用紙搬送装置100は、搬送指示ユニット110から搬送指示信号CSを受け取っても、用紙集積エリア15に集積された用紙Sが、処理される最終用紙FSでないとき、用紙Sを用紙集積エリア15から搬送せず、1枚の用紙Sだけ用紙集積エリア15に残す。
用紙集積エリア15に残された1枚の用紙Sは滑走用紙KSとして使用され、搬入ローラ13から搬入される次の用紙Sは、残された1枚の用紙S(滑走用紙KS)の上を滑り、用紙集積エリア15に集積される。その結果、用紙Sが搬送ベルト3に引っ掛かることなく、用紙Sが用紙集積エリア15に進入できる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこの実施形態に限定されない。
例えば、吸引切換機構7は、吸引ボックス11と吸気源12との間を接続する経路と、経路を開閉する開閉機構とを備え、開閉機構によって経路を開閉して、搬送ベルト3の通気穴3aを通じて用紙Sを搬送ベルト3に吸引するか吸引しないかを切り換えてもよい。また、吸引切換機構7は、吸引ボックス11は備えておらず、吸気源12と搬送ベルト3の通気穴3aとを経路で直接接続してもよい。
また、本実施形態では搬送ベルト3を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば搬送ローラのような搬送部であれば良い。
【符号の説明】
【0054】
3 搬送ベルト(搬送部)
3a 通気穴
3b 搬送面
3c 上側部分
3d 下側部分
4 ベルト駆動機構
7 吸引切換機構
11 吸引ボックス
11a 吸気穴
11b シャッタ
12 吸引ファン(吸気源)
14 制止板
15 用紙集積エリア
110 搬送指示ユニット
111 カウンタユニット
112 第1判定ユニット
113 第2判定ユニット
114 搬送制御ユニット
120 制御部
S 用紙
FS 最終用紙
KS 滑走用紙
図1
図2
図3
図4
図5