(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045268
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】造花及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41G 1/00 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
A41G1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150870
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】519336849
【氏名又は名称】株式会社ラビリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恵美
(57)【要約】
【課題】 耐久性を向上することができる造花及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 造花10は、花部11と、茎部12とを備え、茎部12は、支持台13に取り付けられている。花部11は、EVA樹脂製で複数の薄板状の造花ベース板16を変形させることにより形成され、花弁部17と、萼部18と、花部11及び茎部12を連結する連結部19とを備える。連結部19は、支持金物21と、支持金物21に取り付けられたアクリル板22とを有する。アクリル板22は、花部11の下面に貼付されているとともに、萼部18で覆われている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
花部と茎部とを備える造花であって、
前記花部は、
花弁部と、
萼部と、
前記花部と前記茎部との連結部と、
を備え、
前記連結部は、
支持金物と、
前記支持金物に取り付けられたアクリル板と、
を有し、
前記アクリル板が、前記花部の下面に貼付されているとともに、前記萼部で覆われることを特徴とする造花。
【請求項2】
請求項1に記載の造花において、
前記花弁部及び前記萼部は、EVA樹脂により構成されていることを特徴とする造花。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の造花支持装置において、
前記支持金物は、前記茎の上端部にネジ止めされていることを特徴とする造花。
【請求項4】
花部と茎部とを備える造花の製造方法であって、
前記花部は、花弁部、萼部、及び前記花部と前記茎部との連結部を有し、
前記連結部は、支持金物、及び前記支持金物に取り付けられたアクリル板を有し、
前記アクリル板を前記花部の下面に貼付け、
前記アクリル板を前記萼部で覆うように前記萼部を変形させることを特徴とする造花の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造花及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾用として、本物の花に比べて長期間状態を維持することができることから、造花を用いることが広く一般に知られており、この造花に用いる素材として様々な研究が行われている。
【0003】
特許文献1では、造花の素材としてエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)ペレツトを用い、このエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)ペレツトに、ローズ系調合香料を含浸させることで、薬効の持続性や成形性に優れ、かつ安価に製造できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において造花の素材として用いているエチレン-酢酸ビニル共重合体ペレツトは、剛性が高いが、その分だけ重量も重くなり、時間経過で自身の重さで造花自体が破損してしまうことがあり、耐久性が低かった。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、耐久性を向上することができる造花及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の造花は、花部と茎部とを備える造花であって、前記花部は、花弁部と、萼部と、前記花部と前記茎部との連結部と、を備え、前記連結部は、支持金物と、前記支持金物に取り付けられたアクリル板と、を有し、前記アクリル板が、前記花部の下面に貼付されているとともに、前記萼部で覆われることを特徴とする。
【0008】
本発明の造花によれば、花部の下面に貼付されているアクリル板で花部を支持するので、紙に比べて剛性が高い樹脂板を変形させることで花部を形成した場合でも、樹脂板の重みで花部自体が破損することがなく、耐久性を高めることができる。さらに、アクリル板は、萼部で覆われるので、意匠性の低下は防止される。
【0009】
[2]前記花弁部及び前記萼部は、EVA樹脂により構成されていることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、花弁部及び萼部は、EVA樹脂から構成されているので、紙製のものに比べて花部の剛性を高くすることができる。
【0011】
[3]前記支持金物は、前記茎部の上端部にネジ止めされていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、支持金物が回転不能に茎部に固定されるので、支持金物が取り付けられるアクリル板、及びアクリル板に支持される花部を回転不能に支持することができる。これにより、風等により、花部が回転されるのを防止することができる。
【0013】
[4]本発明の造花の製造方法は、花部と茎部とを備える造花の製造方法であって、前記花部は、花弁部、萼部、及び前記花部と前記茎部との連結部を有し、前記連結部は、支持金物、及び前記支持金物に取り付けられたアクリル板を有し、前記アクリル板を前記花部の下面に貼付け、前記アクリル板を前記萼部で覆うように前記萼部を変形させることを特徴とする。
【0014】
本発明の造花の製造方法によれば、花部の下面に貼付けたアクリル板で花部を支持するので、紙に比べて剛性が高い樹脂板を変形させることで花部を形成した場合でも、樹脂板の重みで花部自体が破損することがなく、耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】複数の造花ベース板と連結部とを示す平面図。
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
先ず、本発明を実施した造花10の構造の一例について説明する。
【0018】
図1~
図3に示すように、造花10は、花部11と、例えば筒状の茎部12と、を備え、茎部12は、支持台13に取り付けられている。茎部12には、花の葉をイメージした造葉14が取り付けられている。
【0019】
花部11は、例えば弾性変形可能なEVA樹脂製で複数の薄板状の造花ベース板16(
図4参照)変形させることにより形成され、花弁部17と、萼部18と、花部11及び茎部12を連結する連結部19とを備える。
【0020】
複数の造花ベース板16は、詳しくは後述するように、各種の切込み等が形成されている。なお、
図2は、花部11をカットした状態を図示している。
【0021】
連結部19は、金属(例えば、亜鉛ダイカスト)製の支持金物21と、支持金物21に取り付けられたアクリル板22とを有する。アクリル板22は、花部11の下面に貼付されているとともに、萼部18で覆われている。
【0022】
支持金物21は、アクリル板22に固定される板状の固定部21aと、茎部13に連結されるパイプ状の連結パイプ部21bとを備える。連結パイプ部21bの孔は、固定部21aを貫通するように形成されている。連結パイプ部21bの側面には、固定用のネジ30を挿通させるための固定孔21cが2個形成されている。支持金物21は、例えばネジによりアクリル板22に固定されている。
【0023】
茎部12は、樹脂(例えば、製品名:ドライフレックス(登録商標)のアルミパイプ/高耐熱ポリエチレン)製で段付き筒状に形成され、上端部である細径部12aが連結パイプ部21bの孔に挿入されることで、支持金物21は、茎部12に連結される。細径部12aには、ネジ30がネジ止めされるネジ孔12bが2個形成されている。細径部12aを連結パイプ部21bの孔に挿入した後、2個のネジ30を、支持金物21の固定孔21cを挿通させて茎部12のネジ孔12bにネジ止めすることで、支持金物21は、回転不能に茎部12に取り付けられる。
【0024】
茎部12は、内周部にアルミが取り付けられ、変形可能にしつつ、剛性を高めている。なお、茎部12としてドライフレックス(登録商標)に鋼製電線管を挿入する手間を考慮して、鋼製電線管をドライフレックス(登録商標)の代わりに使うようにしてもよい。また、茎部12の内部に、高剛性の素材、例えばスチール製のシャフトを挿入するようにしてもよい。
【0025】
アクリル板22は、例えば四隅が直線状にカットされている。
【0026】
図4に示すように、複数の平板状の造花ベース板16は、柔軟性や弾力性に優れた素材、例えばEVA樹脂(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)から構成されている。複数の造花ベース板16は、それぞれ異なる形状及びサイズで形成されており、例えば接着剤によりアクリル板22に固定されている。複数の造花ベース板16同士も、それぞれの中心部が例えば接着剤により固定されている。
【0027】
複数の造花ベース板16は、それぞれ切込みにより複数(例えば、4個)に区分けされており、区分けされた各部分を変形させることで、
図1に示すような造花10が形成される。このとき、アクリル板22を萼部18で覆うように萼部18を変形させる。
【0028】
花部11は、EVA樹脂製の複数の造花ベース板16から構成されており、大きなサイズの花部11では、重量も重くなり、花部11が自身の重さで変形されてしまうことがある。
【0029】
本実施形態では、花部11を構成する複数の造花ベース板16は、その中心部分がアクリル板22により支持されているので、サイズが大きく重量が重い花部11であっても変形されることがなく、花部11を形成した状態に維持することができる。
【0030】
また、本実施形態では、支持金物21は、回転不能に茎部12にネジ止めされているので、支持金物21が取り付けられるアクリル板22、及びアクリル板22に支持される花部11を回転不能に支持することができる。これにより、風等により、花部11が回転されるのを防止することができる。
【0031】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
例えば、連結パイプ部21bを茎部12にネジ止めしているが、固定方法は適宜変更可能であり、例えば、凹部と凸部とを嵌め合わせる、いわゆるパッチン止め機構により固定するようにしてもよい。
【0033】
また、茎部12を、上下方向において複数の段付き状のシャフト部を連結するように構成してもよく、この場合、シャフト部の取り外し/取り付けにより上下方向の長さが調整可能となる。
【0034】
さらに、造葉14は取り付けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…造花、11…花部、12…茎部、13…支持台、16…造花ベース板、17…花弁部、18…萼部、19…連結部、21…支持金物、21a…固定部、21b…連結パイプ部、22…アクリル板