IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京電力株式会社の特許一覧 ▶ 那須電機鉄工株式会社の特許一覧 ▶ 栃木県電気工事株式会社の特許一覧 ▶ 群馬電工株式会社の特許一覧 ▶ 茨城電設株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社さいでんの特許一覧 ▶ 株式会社電洋社の特許一覧 ▶ 多摩電気工事株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社シンデンの特許一覧 ▶ 東電同窓電気株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社 ふじでんの特許一覧 ▶ 株式会社東配工の特許一覧 ▶ 株式会社トーテックの特許一覧

特開2022-45270組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法
<>
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図1
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図2
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図3
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図4
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図5
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図6
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図7
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図8
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図9
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図10
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図11
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図12
  • 特開-組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045270
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】組立柱の解体工具及びこれを用いた解体方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20220311BHJP
   E04H 12/34 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
E04G23/08 Z
E04H12/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150875
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000225201
【氏名又は名称】那須電機鉄工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592084794
【氏名又は名称】栃木県電気工事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515246661
【氏名又は名称】群馬電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520348107
【氏名又は名称】茨城電設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519157336
【氏名又は名称】株式会社さいでん
(71)【出願人】
【識別番号】520345988
【氏名又は名称】株式会社電洋社
(71)【出願人】
【識別番号】520348118
【氏名又は名称】多摩電気工事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591149654
【氏名又は名称】株式会社シンデン
(71)【出願人】
【識別番号】502243055
【氏名又は名称】東電同窓電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503382988
【氏名又は名称】株式会社 ふじでん
(71)【出願人】
【識別番号】520348129
【氏名又は名称】株式会社東配工
(71)【出願人】
【識別番号】593127544
【氏名又は名称】株式会社トーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】若林 利幸
(72)【発明者】
【氏名】岡山 真
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】横山 秀浩
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 真大
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 大輔
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 光広
(72)【発明者】
【氏名】西山 知幸
(72)【発明者】
【氏名】宇野 良一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宏二
(72)【発明者】
【氏名】山本 司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敏一
(72)【発明者】
【氏名】長部 嘉広
(72)【発明者】
【氏名】横田 勝
(72)【発明者】
【氏名】増渕 光一
(72)【発明者】
【氏名】新井 公輔
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA07
2E176AA11
2E176DD64
(57)【要約】
【課題】組立柱の嵌合部への取り付けが簡単で、確実に上位の単位柱体を下位の単位柱体から引き離すことができる解体工具及び解体方法を提供する。
【解決手段】取り外し部材1は上部の磁石固定具5と下部の取り外し本体6とに別れ、これらは回転自在にピン接続され、前記磁石固定具5の単位柱体に当接する面に磁石5aが設けられ、前記取り外し本体6の内側下端に係止爪9が設けられ、前記取り外し部材1の取り外し本体6及び滑り留め部材2は締付調整器を有するチェーン3により上位又は下位の単位柱体B又はCに固定され、油圧ジャッキ4は上下端が前記取り外し部材1の取り外し本体6と滑り留め部材2にピン接続される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位の単位柱体の下端に、当該下端縁を係止して固定する取り外し部材と、下位の単位柱体に固定する滑り留め部材と、これらの取り外し部材と滑り止め部材の間に設けたジャッキとから成り、当該ジャッキの作動棒を伸ばすことにより前記取り外し部材を押し上げて上位の単位柱体を上方に引き上げて解体する解体工具において、
前記取り外し部材は、上部の磁石固定具と下部の取り外し本体とに別れ、これらは回転自在にピン接続され、前記磁石固定具の単位柱体に当接する面に磁石が設けられ、前記取り外し本体の内側下端に係止爪が設けられ、
前記取り外し部材の取り外し本体及び滑り留め部材は締付調整器を有するチェーンにより夫々上位又は下位の単位柱体に固定され、
前記ジャッキは上下端が前記取り外し部材の取り外し本体と滑り留め部材に夫々ピン接続されることを特徴とする、組立柱の解体工具。
【請求項2】
前記取り外し部材の取り外し本体の下端の上位の単位柱体の外周に近い箇所で前記ジャッキの上端を回転自在にピン接続し、
前記滑り留め部材の、下位の単位柱体の外周から離れた外側で前記ジャッキの下端をピン接続し、前記ジャッキ手段を傾斜させて接続することを特徴とする、請求項1に記載の組立柱の解体工具。
【請求項3】
前記取り外し部材の磁石固定具と取り外し本体のピン接続のピンが貫通した一方の孔を長孔とした、請求項1又は2に記載の組立柱の解体工具。
【請求項4】
前記取り外し部材の取り外し本体及び滑り留め部材は、内側に柱体当接面を有する垂直板から成り、当該垂直板の外側に、当該垂直板と直角に垂直リブを突設し、当該垂直リブの両側面を貫通するチェーン挿通孔を設けたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の組立柱の解体工具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の解体工具を用いて、取り外し部材の取り外し本体の係止爪を上位の単位柱体の下端縁に引っ掛けて上位の単位柱体の外周に取り外し部材の磁石固定具を磁石の吸引により取り付け、この状態で取り外し部材を締付調整器を有するチェーンにより上位の単位柱体の外周に固定し、
当該取り外し部材の取り外し本体にジャッキの上端をピン接続し、また、当該ジャッキの下端に前記滑り留め部材をピン接続し、当該滑り留め部材を締付調整器を有するチェーンにより下位の単位柱体の外周に固定し、
前記ジャッキにより前記取り外し部材を引き上げることを特徴とする、組立柱の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建柱されている分割式複合柱、組立式鋼管柱、パンザーマスト等の組立柱を現場から撤去する際に、嵌合部を取り外し後、分割して運搬可能とするために使用する解体工具及び当該解体工具を用いた解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上位の単位柱体と下位の単位柱体との嵌合部の下位の単位柱体の外周に締付バンドの締め付けにより複数の可動駒を上位の単位柱体の下端に当てて固定し、当該可動駒の下方の下位の単位柱体に複数のジャッキ支持台を締付バンドにより固定し、これらの各可動駒とジャッキ支持台の間にジャッキを固定し、当該ジャッキにより可動駒を押し上げて、前記嵌合部の上位の短柱体を、下位の単位柱体から引き剥がす解体工具が開発されている。
【0003】
特許文献1のものは、前記従来のものを踏襲したものであるが、ジャッキ支持台の下に補助支持具を固定し、両者の突合せ面を傾斜面とし、ジャッキの動作による反力をジャッキ支持台とともに受け、さらにジャッキ支持台の軸方向の移動がくさび作用によって制限されて動かないようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2のものは、上記従来の可動駒に代えて、上位の単位柱体の下端に、当該単位柱体の下端縁を係止した固定駒をバンドにより固定し、下位の単位柱体に固定したジャッキ支持台との間に油圧ジャッキを固定し、当該ジャッキを伸ばすことにより固定駒を押し上げて上位の単位柱体を上方に引き上げ、解体するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6440532号公報
【特許文献2】特許第5519420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1のものは、可動駒を下位の単位柱体の外周に締付バンドで固定しながら、ジャッキで押し上げるため、締付バンドによる可動駒の下位の単位柱体への締め付け度合いが微妙であり、締付バンドの締め付けが大きいと可動駒は容易に動かず、また、締め付けが弱いと、可動駒が動くが、上位の単位柱体の下端を乗り越えて動く恐れがある。
【0007】
また、前記嵌合部の下位の単位柱体がテーパーを有する場合に、可動駒を取り付ける締付バンドが当該テーパー部や小径部の外周に位置する場合は、ジャッキを傾けて固定できるようになっているが、これには可動駒及びジャッキ支持台に設けた角度調節ボルトを回してラム当接プレート又はジャッキ固定具を突き上げることによって行う。従ってジャッキを傾ける場合に手間がかかる。
【0008】
また、前記特許文献2のものは、上位の単位柱体の下端に、当該下端縁を係止した固定駒をバンドにより固定しているため、特許文献1のような可動駒の固定、可動の調整は不要である。しかし、ジャッキの押上力が組立柱の軸方向に働くため、固定駒の端部の上位の単位柱体の下端縁を係止する掛け止め爪が前記下端から外れる恐れがある。
【0009】
さらに、図13に示すように、固定駒に設けられているジャッキの固定点(いわゆる力点)が、固定駒に設けられている掛け止め爪(いわゆる作用点)から離れていることにより、ジャッキを作動させて固定駒を持ち上げると、テコの原理(いわゆるモーメント)が働き、掛け止め爪が上位の単位柱体の下端縁から外れる作用が働く。そのため、掛け止め爪が外れないようにするために固定駒を固定するバンドが強固で重い物になっている。
【0010】
この発明は、上記の点に着目し、組立柱の嵌合部への取り付けが簡単で、確実に上位の単位柱体を下位の単位柱体から引き離すことができる解体工具及び当該解体工具を用いた解体方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、上位の単位柱体の下端に、当該下端縁を係止して固定する取り外し部材と、下位の単位柱体に固定する滑り留め部材と、これらの取り外し部材と滑り止め部材の間に設けたジャッキとから成り、当該ジャッキの作動棒を伸ばすことにより前記取り外し部材を押し上げて上位の単位柱体を上方に引き上げて解体する解体工具において、前記取り外し部材は、上部の磁石固定具と下部の取り外し本体とに別れ、これらは回転自在にピン接続され、前記磁石固定具の単位柱体に当接する面に磁石が設けられ、前記取り外し本体の内側下端に係止爪が設けられ、前記取り外し部材の取り外し本体及び滑り留め部材は締付調整器を有するチェーンにより夫々上位又は下位の単位柱体に固定され、前記ジャッキは上下端が前記取り外し部材の取り外し本体と滑り留め部材に夫々ピン接続される、組立柱の解体工具とした。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記取り外し部材の取り外し本体の下端の上位の単位柱体の外周に近い箇所で前記ジャッキの上端を回転自在にピン接続し、前記滑り留め部材の、下位の単位柱体の外周から離れた外側で前記ジャッキの下端をピン接続し、前記ジャッキを傾斜させて接続する、請求項1に記載の組立柱の解体工具とした。
【0013】
また、請求項3の発明は、前記取り外し部材の磁石固定具と取り外し本体のピン接続のピンが貫通した一方の孔を長孔とした、請求項1又は2に記載の組立柱の解体工具とした。
【0014】
また、請求項4の発明は、前記取り外し部材の取り外し本体及び滑り留め部材は、内側に柱体当接面を有する垂直板から成り、当該垂直板の外側に、当該垂直板と直角に垂直リブを突設し、当該垂直リブの両側面を貫通するチェーン挿通孔を設けた、請求項1~3のいずれかに記載の組立柱の解体工具とした。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の解体工具を用いて、取り外し部材の取り外し本体の係止爪を上位の単位柱体の下端縁に引っ掛けて上位の単位柱体の外周に取り外し部材の磁石固定具を磁石の吸引により取り付け、この状態で取り外し部材を締付調整器を有するチェーンにより上位の単位柱体の外周に固定し、当該取り外し部材の取り外し本体にジャッキの上端をピン接続し、また、当該ジャッキの下端に前記滑り留め部材をピン接続し、当該滑り留め部材を締付調整器を有するチェーンにより下位の単位柱体の外周に固定し、前記ジャッキにより前記取り外し部材を引き上げる、組立柱の解体方法とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び5の発明によれば、取り外し部材の取り外し本体を、下端の係止爪を上位の単位柱体の下端縁に引っ掛けて磁石固定具を上位の単位柱体に磁力で取り付け、その後、上位の単位柱体に締付調整器を有するチェーンにより取り外し部材を固定できる。その際、取り外し部材の磁石固定具が取り外し本体と別れているため、磁石固定具が単位柱体に吸着された状態で取り外し部材を動かして前記係止爪を上位の単位柱体の下端縁に取り付け易く、従って、取り外し部材を正確に上位の単位柱体に取り付けることができる。
【0017】
また、このように取り外し部材を磁石固定具と取り外し本体に分けてピン接続させているため、組立柱の単位柱体の板厚が係止爪の板厚より薄い場合でも、磁石固定具の磁石を単位柱体の外面に密着させて吸着させることができる。また、上記チェーンの締め付けは取り外し本体の上からであり、磁石固定具にはチェーンの締め付け力が掛からないため、磁石に影響を及ぼさない。
【0018】
また、取り外し部材を上位の単位柱体に締付調整器を有するチェーンにより固定すれば、当該取り外し部材に前記ジャッキ及び当該ジャッキに前記滑り留め部材を吊り下げることができるため、その後、滑り留め部材を下位の単位柱体の外周に作業者は両手を用いて取り付け、締付調整器を有するチェーンを下位の単位柱体の外周に巻き付けて固定することができる。
【0019】
従って、従来のものと異なり、滑り留め部材を取り付ける下位の単位柱体の位置を予め計測する必要もない。また、ジャッキの上下端が夫々ピン接続により取り外し部材と滑り留め部材に接続されているため、上位の単位柱体と下位の単位柱体の外径が異なっていてもこれらの部材を夫々の単位柱体に容易、かつ、確実に接続できる。
【0020】
また、請求項2の発明によれば、前記ジャッキの上端が、取り外し部材の係止爪の近くで接続されており、また、ジャッキは傾斜した状態で取り付けられているため、ジャッキの力が作用した際、取り外し部材を曲げようとするモーメントが作用し難くなっており、ジャッキの作用による力が上位の単位柱体の下端に向き、当該ジャッキの力を効率的に作用させることができる。
【0021】
また、請求項3の発明によれば、前記取り外し部材の磁石固定具と取り外し本体とのピン接続のピン孔が長孔となっているため、磁石固定具を上位の単位柱体に仮止めした際、取り外し本体の移動の自由度が増し、係止爪を上位の単位柱体の下端縁に引っ掛け易い。
【0022】
また、請求項4の発明によれば、前記取り外し部材の取り外し本体及び滑り留め部材は、内側に柱体当接面を有する垂直板から成り、当該垂直板の外側に、当該垂直板と直角に垂直リブを突設し、当該垂直リブの両側面を貫通するチェーン挿通孔を設けているため、前記締付調整器を有するチェーンでこれらの取り外し部材及び滑り留め部材を安定して容易、確実に上位又は下位の単位柱体に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具を組立柱の嵌合部に取り付けた状態を示す正面図である。
図2】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の取り外し部材を組立柱の嵌合部に取り付けた状態の正面図であり、(a)図は取り外し部材を嵌合部に取り付けた図で、(b)図は取り外し部材を締付調整器付きチェーンで固定した状態の図である。
図3】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の取り外し部材を組立柱の嵌合部に取り付け、これらの取り外し部材にジャッキ及び滑り留め部材を接続する状態の正面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の取り外し部材を組立柱の嵌合部に取り付け、これらの取り外し部材にジャッキ及び滑り留め部材を接続した状態の正面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具のジャッキの作用を示す説明図である。
図6】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の滑り留め部材を2個にした状態の正面図である。
図7】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の取り外し部材の図であり、(a)図は正面図、(b)図は側面図、(c)図は平面端面図、(d)図は底面端面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の滑り留め部材の図であり、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は側面図、(d)図は(c)図のA-A断面図である。
図9】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の締付調整器付きチェーンの図で、(a)図は平面図、(b)図は正面図である。
図10】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具の油圧ジャッキの図で、(a)図は側面、(b)図は正面図である。
図11】この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具と従来工具の差異を示す説明図であり、(a)図は特許文献2の従来の取り外し部材の取り付け状態を示す正面図、(b)は、この発明の取り外し部材を一体型にした取り付け状態を示す正面図、(c)図はこの発明の取り外し部材の取り付け状態を示す正面図である。
図12】この発明の実施の形態例2の組立柱の解体工具を組立柱の嵌合部に取り付けた状態を示す正面図である。
図13】従来の解体工具の掛け止め爪がテコの原理で外れようとすることを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の組立柱の解体工具A及び当該解体工具Aを用いた解体方法を図1図10に基づいて説明する。
【0025】
まず、組立柱の解体工具Aを図7図10に基づいて説明する。この解体工具Aは取り外し部材1と滑り留め部材2、締付調整器付きチェーン3及び油圧ジャッキ4とから構成されている。
【0026】
取り外し部材1は、図7に示すように、磁石固定具5と取り外し本体6とに分かれ、これらはボルト7により、相互に垂直方向に回転自在にピン接続されている。磁石固定具5は、柱体の外周に当接する面に磁石5aを有する、水平断面が略
くの字型の垂直片5bから成り、当該垂直片5bの外側面に両側片の端縁を固定した水平断面がコの字型のカバー体5cを有したものである。また、このカバー体5cの下部中空部を貫通して略水平に前記ボルト7が設けられ、当該ボルト7のカバー体5cから突出する端部にナット8が螺着されている。また、このカバー体5cの上部には両側に孔5dが設けられている。当該孔5dは予備の孔として設けてあり、例えば、前記磁石の吸着力だけでは落下の恐れがある場合に、ワイヤ等を通してワイヤで当該磁石固定具5を吊るすためのものである。
【0027】
また、前記取り外し本体6は、前記磁石固定具5と同様に、内側面に、柱体の外周に当接する、水平断面がくの字型の当接面6aを有する垂直片6bから成り。当該垂直片6bの外面に垂直なリブ片6cが突出している。このリブ片6cの上端部には舌片6dが突設され、当該舌片6dに横方向の長孔6eが設けられている。この舌片6dは、前記磁石固定具5のカバー体5dの中空部に入り、当該中空部内で前記ボルト7を前記長孔6eに通している。そして、ボルト7の径より長孔6eは長い幅となっている。このボルト7と長孔6eとにより磁石固定具5と取り外し本体6とは回転自在にピン接続されている。
【0028】
また、前記リブ片6cには、前記締付調整器付きチェーン4を通すチェーン挿通孔6fが設けられ、当該チェーン挿通孔6fの一端は前記垂直片6bに接している。また、このチェーン挿通孔6fの下のリブ片6cの両側に台座形状のスペーサ6gが設けられ、この両側のスペーサ6g及びリブ片6cを貫通する貫通孔6hが設けられている。
【0029】
また、前記垂直片6bの当接面6aの下端には、水平方向に係止爪9が設けられている。この係止爪9も水平断面がくの字型となっている。この係止爪9は嵌合部を解体する組合柱の材質より硬度の高い材料でできている。
【0030】
前記滑り留め部材2は、図8に示すように、水平断面がU字型の扁平な垂直台座2aの背面に、当該垂直台座2aより幅の狭い水平方向に長い略U字型の本体枠2bが設けられている。この本体枠2bの両側には、前記締付調整器付きチェーン3を通すチェーン挿通孔2cが設けられ、当該チェーン挿通孔2cの一端は前記垂直台座2aの背面となっている。
【0031】
前記本体枠2bの外側上下の両側に孔2d、孔2eが夫々設けられている。また、前記本体枠2bの上端縁と間隔を空けた垂直台座2aの上端背面にはストッパー板2fが立設されている。また、前記本体枠2b内の上部には、垂直台座2aの背面から侵入防止板2gが、また、前記本体枠2bの下部を貫通して垂直台座2aの背面下端には補強用部材2hが夫々設けられている。
【0032】
また、前記締付調整器付きチェーン3は、図9に示すように、チェーン3aの一端にパイプ型連結金具3bを有し、当該パイプ型連結金具3bを外周に被せたボルト3cの端部にチェーン3aの一端を係止するチェーン固定金具3dが設けられ、当該チェーン固定金具3dのボルト3cに螺着されたナット3eから構成されている。
【0033】
前記チェーン3aの一端を前記チェーン固定金具3dに係止し、前記ナット3eを回すことにより、当該ナット3eに押されてパイプ型連結金具3bがボルト3c上を移動し、チェーン3aの長さが調整される。
【0034】
また、前記油圧ジャッキ4は、図10に示すように、油圧ジャッキ4の上端にジャッキキャップ10が被冠されている。このジャッキキャップ10の上端には二枚の板体10aが間隔をあけて立設され、これらの板体10aの相対向する箇所に孔10bが設けられている。この二枚の板体10aの間隔は前記取り外し部材1の取り外し本体6のリブ片6cの下部の両側のスペーサ6gが入る幅を有しており、孔10bは、前記取り外し本体6のリブ片6cの下部の貫通孔6hに対向するようになっている。
【0035】
また、当該油圧ジャッキ4の下端には縦断面U字型の連結片11が突設されており、当該連結片11には両側を貫通する貫通孔11aが設けられている。当該連結片11の厚さは前記滑り留め部材2の本体枠2bの中空部に入る大きさであり、前記貫通孔11aは前記本体枠2aの孔2dと対向するようになっている。
【0036】
以上の構成から成る解体工具Aを用いて組立柱の上位の単位柱体Bと下位の単位柱体Cの嵌合部の解体方法を説明する。
【0037】
まず、図2に示すように、上位の単位柱体Bに取り外し部材1を固定する。これには磁石固定具5の磁石5aを単位柱体Bの外周に吸着させつつ取り外し本体6を動かして係止爪9を単位柱体Bの下端縁に引っ掛ける。磁石固定具5を単位柱体Bに吸着させているので取り外し本体6を単位柱体B上でづらしても取り外し本体6は落下しないため、係止爪9を引っかけ易い。これにより図2の(a)図に示すように2個の取り外し部材1を上位の単位柱体Bに夫々仮固定する。
【0038】
また、この際、取り外し部材1が磁石固定具5と取り外し本体6が分かれており、相互にピン接続しており、さらにピン(ボルト7)は長孔6eに遊貫されているため、取り外し本体6の係止爪9を上位の単位柱体Bの下端縁に係止してから磁石固定金具5の磁石5aを単位柱体Bに吸着させて取り外し部材1を取り付けてもよい。取り外し部材1の単位柱体Bへの取り付け方法はどちらでもよい。
【0039】
その後、作業者は両手を使って、締付調整器付きチェーン3のチェーン3aを各取り外し部材1のチェーン挿通孔6fに通し、チェーン3aの一端を チェーン固定金具3dに引っ掛け、ナット3eを締め付けることにより、チェーン3aが緊締し、図2の(b)図に示すように、各取り外し部材1は単位柱体Bの外周下端に固定される。
【0040】
次に、図3に示すように、油圧ジャッキ4と滑り留め部材2を接続する。油圧ジャッキ4の下端の連結片11を滑り留め部材2の本体枠2bの中に入れ、孔2dと貫通孔11aを合わせてピン12をこれらの孔に通して接続する。そして、図4に示すように、この油圧ジャッキ4の上端のジャッキキャップ10の2個の板体10aの間に、取り外し本体6のリブ片6cの両側のスペーサ6gを挟んで貫通孔6h及び各板体10aの各孔10bを合わせて、これらの孔にピン13を通して接続する。
【0041】
その後、各滑り留め部材2の垂直台座2aを下位の単位柱体Cの外周に当接させ、各滑り留め部材2のチェーン挿通孔2cに締付調整器付きチェーン3のチェーン3aを通し、チェーン3aの一端を チェーン固定金具3dに引っ掛け、ナット3eを締め付けることにより、チェーン3aが緊締し、図1に示すように、各滑り留め部材2は下位の単位柱体Cの外周に固定される。また、必要に応じて、各滑り留め部材のストッパー板2fの下と本体枠2bの間の垂直台座2aの背面に締付調整器付きチェーン3のチェーン3aを通し、下位の単位柱体Cの外周に締付調整器付きチェーン3を巻き付ける。
【0042】
この様にして解体工具Aは上位の単位柱体Bと下位の単位柱体Cに跨って固定される。この状態で油圧ジャッキ4はその上端のジャッキキャップ10が取り外し部材1の取り外し本体6の下端の係止爪9のすぐ脇に位置し、また、油圧ジャッキ4の下端の連結片11は滑り留め部材2の本体枠2bの外側端に位置し、下位の単位柱体Cの外周面から離れた位置としているため、油圧ジャッキ4は傾斜した状態となっている。
【0043】
そして、2個の油圧ジャッキ4に操作棒(図示省略)を夫々係止させて、当該各操作棒を動かすことにより各油圧ジャッキ4の作動棒(図示省略)が伸びて前記各取り外し部材1を上方に押し上げ、これにより上位の単位柱体Bが押し上げられ、単位柱体Bと単位柱体Cは解体される。
【0044】
この際、図5に示すように、油圧ジャッキ4の押し上げる力は取り外し部材1を上方に押し上げる力と取り外し部材1を上位の単位柱体Bに押し付ける力が分力で作用し、取り外し部材1の係止爪9が当該単位柱体Bの下端縁から外れないこととなり、確実に油圧ジャッキ4の力で当該単位柱体Bは引き上げられる。
【0045】
また、前記上位の単位柱体Bが下位の単位柱体Cに強固に嵌合しており、油圧ジャッキ4の反力受として滑り留め部材2が1台では弱い場合は、図6に示すように、滑り留め部材2を2台設け、これらの滑り留め部材2を連結金具14で接続する。これにより、反力受の力が増し、油圧ジャッキ4の力で前記上位の単位柱体Bが下位の単位柱体Cから離れる。
【0046】
また、前記取り外し部材1の取り外し本体6の下端に設けた係止爪9は強度的な面からある程度の板厚が必要とする中で、パンザーマスト等、組立柱の板厚は係止爪9の板厚より薄いケースがある。さらに、薄いといっても板厚サイズは一様ではない。図11の(a)図に示すように、磁石固定具5と取り外し本体6とが一体構造である従来(特許文献2)の取り外し部材15(上部L字型部材4に相当)であると、薄い板厚の上位の単位柱体Bの下端に取り付けた場合、係止爪9を有する取り外し部材15の下端部が単位柱体Bの外面から浮き上がり、当該取り外し部材15の上部の磁石15aの磁石面が斜めに単位柱体Bの外面に接触して間隙が生じ、吸着が弱くなってしまう。
【0047】
また、図11の(b)図に示すように、磁石16aが取り外し部材16の上位の単位柱体Bに当接する面の上部に突設されている一体型の場合は、当該取り外し部材16の下部の係止爪9を上位の単位柱体Bの下端縁に係止して取り付けると、上位の単位柱体Bの板厚の薄い厚いにかかわらず、磁石面を上位の単位柱体Bの外面に密着させることは難しく、間隙が生じやすい。
【0048】
そこで、磁石固定具5と取り外し本体6とに分け、ピン接合することで、取り外し本体6が多少斜めになっても、図11の(c)図に示すように、磁石固定具5は斜めにならず単位柱体Bに密着して吸着するため間隙が生じない。
【0049】
また、磁石固定具5の磁石5aはネオジウム磁石を使用する場合があるが、その場合、磁力が強い反面、強度的には弱いことが知られている。従来の様に磁石固定具5と取り外し本体6とが一体構造の取り外し部材1´であると、チェーン3aで強固に締め付けた際に磁石に負荷がかかり、割れる恐れがある。そのため、チェーン3aの締め付け力で磁石が割れないように磁石固定具5と取り外し本体6を分けたものである。
【0050】
また、上記実施の形態例1では、取り外し部材1、滑り留め部材2、油圧ジャッキ4を夫々2台用意して、組立柱の左右2か所に取り付けて解体する例を示したが、図12の実施の形態例2に示すように、取り外し部材1、滑り留め部材2、油圧ジャッキ4を各1台用意して、組立柱の1箇所に取り付けて油圧ジャッキ4を作動させることにより解体することもできる。この場合、上記実施例1で使用した解体工具Aと同じものを用いる。
【0051】
また、この発明の組立柱の解体工具Aを構成する部材である取り外し部材1、滑り留め部材2、油圧ジャッキ4等を3対用意し、上位の単位柱体B及び下位の単位柱体Cの外周3箇所に取り外し部材1及び滑り留め部材2を夫々取り付け、締付調整器付きチェーン3を巻き回して固定し、3箇所で油圧ジャッキ4により上位の単位柱体Bを引き上げてもよい。従って、この発明の組立柱の解体工具Aを構成する部材である取り外し部材1、滑り留め部材2、油圧ジャッキ4は一対又は複数対で使用できるものである。
【0052】
なお、上記実施の形態例1では、取り外し部材1の磁石固定具5と取り外し本体6とはボルト7でピン接続し、当該ボルト7を取り外し本体6の舌片6dの長孔6eに遊貫させているが、長孔6eは必須の要件ではない。ボルト7を通す孔であればよい。また、上記の実施の形態例1では、油圧ジャッキ4を用いたが、油圧ジャッキに限るものではなく、ジャッキ機能を有する物ものであれば、電動、手動でもよい。
【符号の説明】
【0053】
A 解体工具
B 上位の単位柱体 C 下位の単位柱体
1 取り外し部材 2 滑り留め部材
2a 垂直台座 2b 本体枠
2c チェーン挿通孔 2d 孔
2e 孔 2f ストッパー板
2g 侵入防止板 2h 補強部材
3 締付調整器付きチェーン 3a チェーン
3b パイプ型連結金具 3c ボルト
3d チェーン固定金具 3e ナット
4 油圧ジャッキ 5 磁石固定具
5a 磁石 5b 垂直片
5c カバー体 5d 孔
6 取り外し本体 6a 当接面
6b 垂直片 6c リブ片
6d 舌片 6e 長孔
6f チェーン挿通孔 6g スペーサ
7 ボルト 8 ナット
9 係止爪 10 ジャッキキャップ
10a 板体 10b 孔
11 連結片 11a 貫通孔
12 ピン 13 ピン
14 連結金具
15 従来(特許文献2)の取り外し部材
15a 磁石 16 一体型の取り外し部材
16a 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13