(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045281
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】埋設土装入装置
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150891
(22)【出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000215408
【氏名又は名称】辻 清二
(74)【代理人】
【識別番号】100146732
【弁理士】
【氏名又は名称】横島 重信
(72)【発明者】
【氏名】辻 清二
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA41
(57)【要約】
【課題】設置溝内に設置した側溝ブロックの周囲に埋設土を容易に装入するための装置を提供すること。
【解決手段】側溝ブロックの敷設の際に設置溝内に配置された側溝ブロックの周囲の空間に埋設土を装入する埋設土装入装置であって、側溝ブロックの上面に埋設土が落下することを防止するように側溝ブロックの上部を覆うための蓋部と、当該蓋部を側溝ブロックの上方に保持するための脚部を有し、当該蓋部の上面が上方への凸形状を有することで、当該蓋部の上面に供給された埋設土が側溝ブロックの周囲に向けて落下できるようにされていることを特徴とする埋設土装入装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝ブロックの敷設の際に、設置溝内に配置された側溝ブロックの周囲の空間に埋設土を装入する埋設土装入装置であって、
側溝ブロックの上面に埋設土が落下することを防止するように側溝ブロックの上部を覆うための蓋部と、当該蓋部を側溝ブロックの上方に保持するための脚部を有し、
当該蓋部の上面が上方への凸形状を有することで、当該蓋部の上面に供給された埋設土が側溝ブロックの周囲に向けて落下できるようにされていることを特徴とする埋設土装入装置。
【請求項2】
上記蓋部の周囲に、蓋部から落下する埋設土を整流するための整流手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の埋設土装入装置。
【請求項3】
上記整流手段と蓋部との間に埋設土の流れを遮るための遮蔽手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設土装入装置。
【請求項4】
上記脚部の下部に、側溝ブロックの長手方向に回転可能な車輪が付設されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の埋設土装入装置。
【請求項5】
バックホウに取り付けて掘削に使用される掘削バケットであって、当該掘削バケットの底部に開閉可能な開口部が設けられていることを特徴とする掘削バケット。
【請求項6】
上記開口部は、油圧シリンダーによって開閉されることを特徴とする請求項5に記載の掘削バケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝ブロックを用いた側溝の敷設作業において、設置溝内に配置された側溝ブロックの周囲の空間に埋設土を装入する際に使用される装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
プレキャストされたコンクリート等により構成される側溝ブロックを使用して、これを地中で連結して側溝を敷設する工事のうち、特にU字ブロック等を使用した側溝のように、側溝ブロックの上面が地表に露出する構造を有する側溝の敷設工事は一般に次のような工程により行われる。
【0003】
まず、側溝ブロックを設置するための空間(設置溝)を形成するために、バックホウ等を用いて掘削し、側溝ブロックを埋設するために十分な深さを有する設置溝を形成する(床掘り)。この床掘りの際には、設置溝の側面の角度が、掘削する深さや土質等によって定められる傾斜角度(法面の勾配)になるように形成される結果、設置溝は側溝ブロックの幅よりも大きい開口幅を有することとなる。
【0004】
次に、設置溝内に複数の側溝ブロックを相互に連結して設置した際に、各側溝ブロックが一方向の傾斜を有しながら段差無く連結し、且つ、側溝ブロックの上面が地表面と略一致するように、その基準となる水糸を設置溝の上方に張設する。
その後に、バックホウ等を用いて設置溝内に栗石を投入して、所定の厚みの栗石層が所定の勾配で形成されるように、水糸を基準にして主に人力によって栗石を平坦に均して締固めを行う(床均し)。次に、コンクリート基礎を形成するために栗石上にコンクリートを打設する。この際、コンクリート基礎の上面と水糸との距離が水路ブロックの高さと略等しくなるように、人力によってコンクリート表面を平滑に仕上げる。
【0005】
打設したコンクリートが十分に固化した後、コンクリート基礎上に側溝ブロックをクレーン等により載置する。この際に、コンクリート基礎上に載置した側溝ブロックの上端が水糸に正確に沿うように、必要に応じて側溝ブロックの下面の端部とコンクリート基礎面との間に少量の調整用モルタルを詰めて高さ調整を行う。その後、当該高さを維持しながら、側溝ブロック下面とコンクリート基礎との間の空間内に調整用モルタルを押し込むことで充填して、側溝ブロック下面の全面がコンクリート基礎によって保持されるようにする。このような側溝ブロックの高さ調整の作業は、設置溝の側面と側溝ブロック間の空間を利用して作業者の手作業で行われる。このため、当該設置溝の側面と側溝ブロック間には作業のための空間として、相応の大きさの空間が必要とされる。
【0006】
その後、上記設置溝の側面と側溝ブロック間の空間を、砕石や土砂、砂利等を含む埋戻土で埋め戻し、当該埋戻土を転圧等して突き固めることで側溝ブロックを定位置に固定する。当該側溝ブロックの周囲の埋め戻し作業においては、埋戻土の重量等によって側溝ブロックが横方向にズレ動かないように、側溝ブロックの両側を常に均等に埋め戻す必要がある。また、特にU字ブロックの敷設の際には、U字ブロックの内部に埋戻土が入らないようにしながら、U字ブロックの両側に埋戻土を装入する必要があるために、当該埋戻し作業には一般にスコップなどを使用した人力による細かな作業が必要とされている。
【0007】
上記のように側溝の敷設作業においては、重機による作業と共に、人力に頼らざるを得ない作業が混在しており、作業者に重労働が強いられることが現状である。そして、そのような重労働を軽減すると共に、作業の仕上がり品質を向上するための各種発明が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、U字溝の敷設を効率的に行うための側溝敷設装置が記載されている。また、特許文献2には、側溝敷設を効率的に行うために、作業車が走行するための軌道を予め設ける技術が記載されている。また、特に側溝ブロックを設置溝内に配置した後の設置溝の側面と側溝ブロック間の空間の埋め戻し作業に関して、特許文献3には、地中埋設管の下部に埋戻土を効率的に充填するための方法が記載されている。また、特許文献4には、設置溝の側面と側溝ブロック間の空間を埋め戻す際に使用する突き固め装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6-81388号公報
【特許文献2】特開平3-228933号公報
【特許文献3】特開平4-52333号公報
【特許文献4】実開平5-64281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
側溝の敷設作業の内、特に設置溝内に配置されたU字ブロック等の周囲の空間(作業空間)を埋め戻す作業は、埋戻土の装入量の不均一等によって当該U字ブロック等が作業中に移動しないようにしながら、狭い空間に砕石や土砂等の埋戻土を密に装入する作業であって、従来はスコップなどを使用した人力によって行われることが一般的であり、作業者に重労働を強いる作業であった。また、作業に時間を要することから、工期が短縮できない原因となっていた。
【0011】
労働人口の減少や土木作業員の高齢化の面からも、いわゆる3Kに属する作業の効率化や仕事量の軽減が求められており、他の作業と同様に、上記埋め戻し作業についても効率な作業を行うための手段が導入されるべきものである。その一方で、土木工事の現場では旧来の人力に頼った作業が行われており、その背景には作業改善についてのモチベーションの不足が存在すると考えられる。このような土木工事の現場における保守的な文化に対抗して作業改善のための新たな手法を導入するためには、作業者にとって分かりやすく、直感的に使用できる工事用機具の提案が必要であると考えられる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決しようするものであって、設置溝内に設置した側溝ブロックの周囲の空間に容易に埋設土を装入するための装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、側溝ブロックの敷設の際に設置溝内に配置された側溝ブロックの周囲の空間に埋設土を装入する埋設土装入装置であって、側溝ブロックの上面に埋設土が落下することを防止するように側溝ブロックの上部を覆うための蓋部と、当該蓋部を側溝ブロックの上方に保持するための脚部を有し、当該蓋部の上面が上方への凸形状を有することで、当該蓋部の上面に供給された埋設土が側溝ブロックの周囲に向けて落下できるようにされている埋設土装入装置を提供する。
また、上記蓋部の周囲に、蓋部から落下する埋設土を整流するための整流手段を有する埋設土装入装置により、より容易に側溝ブロックの周囲を埋設可能とする。
また、上記整流手段と蓋部との間に埋設土の流れを遮るための遮蔽手段を有する埋設土装入装置により、埋設土装入装置から落下する埋設土の量を容易に調整可能とすることで、側溝ブロックの周囲の埋設作業をより容易とする。
更に、上記脚部の下部に側溝ブロックの長手方向に回転可能な車輪が付設されている埋設土装入装置により、埋設土装入装置を側溝の長手方向に移動させながら連続的に側溝ブロックの周囲の埋設作業を行えるようにする。
また、バックホウに取り付けて掘削に使用される掘削バケットであって、当該掘削バケットの底部に開閉可能な開口部が設けられている掘削バケットを上記埋設土装入装置と共に使用することにより、側溝ブロックの周囲の埋設作業をより容易とする。
更に、上記掘削バケットの開口部を油圧シリンダーによって開閉可能とすることにより、作業負荷を軽減する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る埋設土装入装置を用いることにより、単純な作業により、側溝ブロックの上面に埋設土が落下することを防止しながら、側溝ブロックの周囲の空間を埋設可能となる。この結果、重機を使用して側溝ブロックの周囲の空間への埋設土の装入が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る埋設土装入装置の一例を示す図である。
【
図2】本発明に係る埋設土装入装置の他の一例を示す図である。
【
図3】本発明に係る埋設土装入装置の他の一例を示す図である。
【
図5】本発明に係る埋設土装入装置を使用する際に用いられるバックホウ用の掘削バケットの一例を示す図である。
【
図6A】本発明に係る埋設土装入装置の脚部の一例を示す図である。
【
図6B】本発明に係る埋設土装入装置の脚部の他の一例を示す図である。
【
図7】本発明に係る埋設土装入装置の他の一例を示す図である。
【
図8】本発明に係る埋設土装入装置で使用される埋設土の遮蔽手段の一例を示す図である。
【
図9】側溝ブロックと設置溝間の空間を埋め戻す際の従来の作業を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記で説明したとおり、プレキャスト等により形成された側溝ブロックを使用して側溝を敷設する際には、使用する側溝ブロックを収容するための埋設溝が予め形成され、当該埋設溝の内部に適切に側溝ブロックを設置し、その後に作業のために側溝ブロックの周囲に設けられた空隙を埋設土によって埋め戻すことで側溝ブロックを地中に固定する作業が行われる。
【0017】
図9には、埋設溝20の内部に側溝ブロック1を配置した後の作業の概略を示す。側溝ブロック1を収容するための埋設溝20の底部には、敷設された側溝ブロックの沈下防止等のために、一般に十分な厚みを有するコンクリート基礎21が形成される。このために、埋設溝20は、使用する側溝ブロック1の高さよりも深く掘削して形成される。
【0018】
また、主に上記コンクリート基礎21の形成作業や、その後にコンクリート基礎21の上面上で側溝ブロック1の高さを調整して調整用モルタルを押し込む作業等を円滑に行うための作業空間22を確保する目的で、埋設溝20の幅は設置される側溝ブロック1の幅より大きく設定される必要があり、一般的には上部での開口幅が大きい台形状の埋設溝20が形成される。この結果、当該埋設溝20の内部に側溝ブロック1を設置した後には、側溝ブロックと埋設溝の側面との間に所定の大きさと形状を有する作業空間22が残留することとなる。
【0019】
上記側溝ブロックの周囲に形成される作業空間22の大きさや形状は、敷設される側溝ブロックの断面のサイズや、側溝が敷設される土壌の性質等に応じて決定される。例えば、全幅と高さがそれぞれ50cm程度のU字ブロックを敷設する際には、上記作業空間22として、深さがU字溝の高さと略等しく、コンクリート基礎の面上での幅が最小でも10cm程度、地表面での幅が20cm程度の空間が形成される。
【0020】
一方、上記側溝ブロックの周囲に形成された作業空間22は、設置された側溝ブロックを地中に固定するために、側溝ブロック1の高さ調整や相互の連結、目地の調整等が終了した後に埋設土23を装入して充填される必要がある。掘削した溝や穴を埋め戻す際には、その作業効率の点から、ブルドーザーやバックホウ等の重機を使用することが一般的である。一方、側溝ブロックの一面が地表に露出等する構造の場合には、埋戻しの作業によって設置した側溝ブロックがズレたり、重機の荷重で破損したりすることを防止する観点から、埋戻し作業の全てを重機で行うことは困難であり、スコップ等を使用して人力による作業が必要とされている。
【0021】
特に、
図9に示すような、いわゆるU字ブロックのように上部が解放された側溝ブロックの埋戻しの際にバックホウ等の重機を用いた場合には、側溝ブロックの内部に埋戻土を落下させずに、側溝ブロックの周囲の作業空間22だけに埋設土23を装入することは現実的に困難であり、このために人力による作業が強いられていた。つまり、
図9に示すようになスコップ24の他、一輪車、トンボ(レーキ)等の少量の土砂の取り扱いに適した道具を使用して、側溝ブロックの周囲の作業空間22に注意深く埋設土を人力で投入することが一般的に行われている。当該作業方法によれば適切な埋戻しが行える一方で、作業者の肉体的な負担が大きく、また、作業効率の向上が困難であった。
【0022】
(1)本発明に係る埋設土装入装置について
本発明に係る埋設土装入装置は、上記のような側溝ブロックと埋設溝の側面との間の作業空間22に埋設土23を挿入する際に、人力による作業の程度を軽減すると共に、作業効率を向上するものである。つまり、本発明に係る埋設土装入装置は、埋設溝20内に設置された側溝ブロック1の上に配置されて使用され、当該装置上に投下された埋設土を側溝ブロックの周囲の作業空間22に向けて落下させるようにすることで、例えば、バックホウ25等の重機を用いて埋戻土を投入した際にも、側溝ブロックの上面に埋設土を被せることなく側溝ブロックの周囲の作業空間22に埋設土を装入可能とするものである。また、特に小型の側溝ブロックの敷設等において、人力で埋設土を装入する際にも、スコップ24等で投入した埋設土が作業空間22に装入されることを補助するものであって、作業効率の向上を図ることが可能である。
【0023】
図1及び
図2には、本発明に係る埋設土装入装置の一例をそれぞれ示す。本発明に係る埋設土装入装置1は、側溝ブロック10の上面を覆う蓋部2と、当該蓋部2を側溝ブロックの上方に保持するための脚部3を有している。当該蓋部2として、敷設される側溝ブロックと略同一程度の幅を有する部材を使用することにより、側溝ブロックの上部が蓋部2で覆われ、蓋部2の上面に投入された埋設土が側溝ブロックの上面に落下することを防止しながら、側溝ブロックの周囲の作業空間22に向けて落下することを補助することができる。
つまり、従来は側溝ブロック10の両側に形成された2箇所の作業空間22に人力等によりそれぞれ埋設土を装入する必要があったのに対して、本発明に係る埋設土装入装置を側溝ブロック10上に配置して用いることにより、埋設土装入装置の蓋部2の上面に埋設土を投入等することで、埋設土を側溝ブロックの両側の作業空間22内に選択的に装入することが可能となる。
【0024】
本発明に係る埋設土装入装置を使用することにより、例えば
図1に示すように、矩形の側溝ブロックを使用して側溝を敷設する際に、地表に露出する側溝ブロックの上面に埋設土を被せないようにしながら、側溝ブロックの両側の作業空間22内に同時に埋設土を装入可能であり、作業効率を向上することができる。また、埋設土の装入量の不均一に起因した側溝ブロックのズレ動きが防止されると共に、特に樹脂製などの軽量の側溝ブロックを用いる際には、埋設土の重量に起因した側溝ブロックの浮き上がりの抑制にも有効である。また、
図1,2から明らかなように、本発明に係る埋設土装入装置は、側溝ブロックの形状や材質に関わらず、側溝ブロックの周囲の溝に埋設土を装入する際に使用することができる。
【0025】
また、特に
図2に示すように、側溝ブロックとして上面が解放されたU字ブロックを用いる場合、従来はU字ブロックの内側への埋設土の落下防止に留意しながら作業する必要があったのに対して、本発明に係る埋設土装入装置を使用することにより、上記矩形の側溝ブロックの敷設と同様の作業が可能となり、作業効率を向上することができる。
【0026】
本発明に係る埋設土装入装置の蓋部2の形状は、側溝ブロックの上面に埋設土が落下することを防止しながら、側溝ブロックの周囲の作業空間22への埋設土の落下を補助する形状であれば特に限定されず、適宜の形状とすることができる。特に、作業空間22への埋設土の落下を補助するために、蓋部2は上方への凸形状を有することが好ましい。具体的には、
図1に示すように、蓋部2を全体としてカマボコ型として、蓋部上面の形状を上に凸の曲面とすることで、肉厚の薄い板材を使用した際にも強度を付与することができる。
【0027】
また、
図2に示すように、2つの平面を付き合わせてなる、いわゆる切妻屋根状の形態とすることにより、所定の厚みの合板等を使用して、敷設される側溝ブロックの大きさに合わせて、現場においても容易に蓋部2を形成することが可能である。更に、蓋部上面において、埋設土が落下する方向と平行な方向にリブを設けたり、いわゆる波板を使用する等して蓋部2を形成することにより、肉厚の薄い板材を使用した際の強度を確保できると共に、埋設土の流れを整えられる点で好ましい。
【0028】
本発明に係る埋設土装入装置の蓋部2の上面は、敷設される側溝ブロックの中央を基準としてその両側を略対称の形状とすることが、側溝ブロックの両側の作業空間22に均一に埋設土を装入する点で好ましい。その他、蓋部2の上面への埋設土の供給の方法等に応じて、側溝ブロックの両側の作業空間22への埋設土の装入量を均一にする等の目的に応じて、蓋部2の形状を非対称の形状にする等、適宜決定することができる。
【0029】
また、蓋部2の幅は、埋設土装入装置が適用される側溝ブロック10の幅と略同一とすることが一般的であり、側溝ブロックの上面に埋設土を被せることなく作業空間22内に埋設土を装入することが可能である。一方、蓋部2の上面に投入される埋設土の流れ等を考慮して、側溝ブロック10の幅よりも蓋部2の幅を小さくすることも可能である。また、作業空間22内に埋設土を装入できる範囲で、側溝ブロック10の幅よりも蓋部2の幅を大きくすることも可能である。
【0030】
本発明に係る埋設土装入装置1の蓋部2の傾斜角は、埋設土装入装置1を使用する方法に応じて適宜に設定することができる。つまり、蓋部2の上面に使用する埋設土の安息角以上の角度を付与することにより、蓋部2の上面に投下等された埋設土が自重によって落下し、円滑な作業が可能となる。また、蓋部2の上面を使用する埋設土の安息角以下の浅い角度とすることにより、重機等により一定量の埋設土を蓋部2の上面に積載することが可能となり、作業者が埋設土の量の加減をしながらショベル等を使用して作業空間22に埋設土を落下させて装入することが可能となる。
【0031】
本発明に係る埋設土装入装置1が有する脚部3は、上記蓋部2を側溝ブロックの上部に保持可能なものであれば、適宜の構造とすることができる。また、脚部3は上記蓋部2と一体に成型されていても良い。
脚部3の下端は、作業中に埋設土装入装置が側溝ブロックの上面から脱落することを防止する目的で、側溝ブロックの端部と嵌め合いを形成する形状とすることが好ましい。例えば、
図1に示すように、側溝ブロックの上部の角に嵌合する形状としたり、
図2に示すように、脚部3の下端がU字ブロックの内側に嵌め合う構造としても良く、使用する側溝ブロックの構造等に応じて適宜の形状とすることができる。
【0032】
本発明に係る埋設土装入装置1を構成する蓋部2や脚部3は、特に敷設される側溝ブロックの大きさ等に応じて、その使用に耐える強度が確保できる範囲で適宜の材料を使用して形成することができる。例えば、全幅が20cm程度の小型のU字ブロックの敷設作業であれば、塩化ビニールやポリカーボネートのような樹脂材料を用いて蓋部2等を成形して使用することで軽量の装置を形成することができる。また、全幅が50cm程度の側溝ブロックの場合には、例えば、コンクリート打設の際の型枠材として使用される木製の合板(いわゆるコンクリートパネル)等を用いて切妻形状の蓋部2を形成し、適宜の木材で脚部3を形成することで、現場において埋設土装入装置を作成して使用することが可能である。一方、全幅が1mを越えるような大型の側溝ブロックの場合には、軟鋼板等により形成した蓋部2を、軽量鉄骨等により形成した脚部3で支える構造としたものを用いることができる。
【0033】
上記のように、本発明に係る埋設土装入装置1を使用することによって、側溝ブロックの両側の作業空間22に人力を用いて注意深く埋設土を装入する必要がなくなり、通常の埋め戻しと同様に埋設土を投下することで埋設が可能となるため、人力で埋設する際にも作業効率が向上する他、例えば、バックホウ等の重機を用いた作業が可能となり、人力による労働量の減少と作業の効率化を図ることができる。
【0034】
図3には、本発明に係る埋設土装入装置の他の例を示す。また、
図4には、当該埋設土装入装置の斜視図を示す。
図3,4に示す埋設土装入装置は、蓋部2の両側に所定の間隔を隔てて整流板4が設けられている点で、
図1,2に示す埋設土装入装置と相違する。整流板4は、蓋部2の上面に投下されて落下する埋設土の流れを整流して、作業空間22以外の箇所に落下することを防ぐ整流手段の機能を果たすものである。特に、整流板4を埋め戻す設置溝の幅に略一致した間隔で蓋部2の両側に設けることで、整流板4と蓋部2の間に形成される開口部から埋設土が作業空間22を充満するように落下するため、より無造作に蓋部2の上面に埋設土を投下した際にも、安定して作業空間22に埋設土を装入することが可能となり作業効率を向上できる。
【0035】
埋設土装入装置に設けられる整流板4の形態は特に限定されず、
図3に示すような地表面に垂直な板状のものとする以外にも、埋設する作業空間22の形状等に応じて、適宜の角度を有する整流板4を用いることができる。また、整流板の上端を高くすることで、蓋部2の上面に所定量の埋設土を貯留可能とすることも有効である。
【0036】
本発明に係る埋設土装入装置1の長さは、埋設土装入装置の取り扱い性や、埋設土装入装置に埋設土を投入する手段等に応じて適宜決定することができる。例えば、
図4に示すように、側溝の全幅の数倍程度の長さとすることで容易に取り扱うことが可能となる。また、適用される側溝ブロック10の単位長さと同程度に設定することで、側溝ブロックと混載して運搬する際の運搬性を向上することができる。
【0037】
図1~3に示すように、本発明に係る埋設土装入装置1を側溝ブロック10の上部に載置した状態で、順次、蓋部2の上面に埋設土を投下して側溝ブロック10の側方の作業空間22に埋設土を装入して埋め戻し、その後に側溝の長さ方向に埋設土装入装置1を移動して作業空間22を埋め戻す作業を繰り返すことにより、敷設する側溝の全長にわたって作業空間22の埋め戻しを行うことができる。
【0038】
(2)埋設土の供給方法
本発明に係る埋設土装入装置は、設置溝内に側溝ブロックを配置した際に、側溝ブロックの周囲の作業空間22への効率的な埋設土の装入を可能にするものであって、埋設土装入装置を設置溝内の側溝ブロックの上方に設置して、適宜の手段によって埋設土装入装置の蓋部2の上面に埋設土を供給することによって使用することができる。
【0039】
蓋部2の上面への埋設土の供給は、スコップ等を用いて人力で行う他、バックホウ等の重機によって行うことが可能となる。バックホウを使用して、本発明に係る埋設土装入装置により側溝ブロックの周囲の作業空間22に埋設土を装入する際には、埋戻土を搭載した掘削バケットを蓋部2の上方で傾斜や振動させる等して埋戻土を少量ずつ投下する等の方法が採られる。一方、掘削バケットから少量の埋戻土を投下させる作業は難易度が高く、必ずしも全ての作業者が効率的に行うことができる作業ではない。
【0040】
図5には、本発明に係る埋設土装入装置1を使用して側溝ブロック10の周囲の作業空間22を埋め戻す際に好適な掘削バケットの一例の概略について示す。
図5に示す掘削バケット13は、通常の掘削バケットの底部に、油圧シリンダー等によって開閉可能な開閉手段14を有することを特徴とするものである。
掘削バケット13は、開閉手段14を閉じた状態で、通常のバックホウの動作により掘削バケットで作業空間22に装入する埋設土をすくい揚げた後、側溝ブロックの上部に設置した埋設土装入装置の上方で開閉手段14を開閉することで、掘削バケット内の埋設土を少量ずつ投下する作業を容易に行うことが可能である。例えば、全幅が50cm程度の側溝ブロックの場合には、幅が75cm程度である掘削バケットを使用して、開閉手段14により開閉される開口の大きさを30×30cm程度の大きさにすることで、本発明に係る埋設土装入装置1を介して作業空間22に適量の埋設土を容易に供給することができる。
【0041】
側溝ブロックの周囲に形成される作業空間22の単位長さ辺りの体積は、一般的なバックホウの掘削バケットの容積と比べて小さいため、通常の掘削バケットを使用した際に適量の埋設土を埋設土装入装置に供給することは必ずしも容易でない。一方、
図5に示す掘削バケット13を、本発明に係る埋設土装入装置と併せて使用することにより、人力による作業と同様の丁寧な埋め戻し作業を重機によって容易に行うことが可能となる。
【0042】
本発明に係る埋設土装入装置に対して埋戻土を投下するための手段は、
図5に示す構造の掘削バケットに限定されず、例えば、作業者が手動で開閉可能な開口部を有するバケットをバックホウ等に装着して使用してもよい。つまり、当該手動で開閉可能な開口部を有するバケットを、埋設土を供給するためのホッパーとして使用し、バケットに埋設土を搭載した状態で埋設土装入装置の上方に配置し、作業者が当該開口部を適宜開閉することによって必要量の埋設土を埋設土装入装置の蓋部上に供給すること等によっても、重機を利用した丁寧な埋め戻し作業を効率的に行うことが可能となる。
【0043】
(3)埋設土装入装置の脚部について
本発明に係る埋設土装入装置において、供給された埋設土を作業空間22内に振り分けるための蓋部2を保持する脚部3は、蓋部2を側溝ブロック10の上方に保持可能な形状や強度を有するものであれば適宜の構造とすることができる。
【0044】
図6Aには、本発明に係る埋設土装入装置の脚部3の一例を示す。
図6Aに示す脚部3は、側溝ブロック10の幅に対応した間隔で蓋部2に対して設けられており、特に、U字型の側溝ブロック上面の内側の角に嵌め合いを形成する構造を有している。
図6Aに示す脚部3を設けることにより、作業中に埋設土装入装置が側溝ブロックの上面から脱落することがなくなり、安定して作業を行うことが可能となる。
【0045】
図6Aには、U字型の側溝ブロック上面の内側の角に嵌め合いを形成する例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、上面が閉じた矩形の側溝ブロックの周囲に形成される作業空間22に埋設土を装入する際には、側溝ブロック上面の外側の角と嵌め合いを形成させることも可能である。
【0046】
図6Bには、本発明に係る埋設土装入装置の脚部3の他の例を示す。
図6Bに示す脚部3には車輪5が設けられており、当該車輪5によって、埋設土装入装置を側溝ブロックの長さ方向に容易に移動可能とすることができる。当該車輪5を設けることによって、側溝ブロックが連結されて形成された側溝の上部で、作業者が埋設土装入装置を容易に押し歩くことが可能になり、作業空間22の埋設を連続的に行うことが容易となる。
また、以下に説明するように、車輪5によって埋設土装入装置の押し歩きを可能にすることで、埋設土装入装置の蓋部2上に所定量の埋設土を搭載して、埋設土を供給するためのホッパーとして使用する際に特に便宜である。
【0047】
図6Bに示すように車輪5を設けた脚部3に適宜の制動装置6を設けることにより、埋設土装入装置を所定の位置に固定可能となり、特に傾斜地での側溝の敷設の際に便宜である。制動装置6は、適宜の制動部材を側溝ブロックに対して機械的な動作や油圧等を用いて押し当てて、その際に生じる摩擦力によって側溝ブロックとの間の動きを制動する機構とすることができる。
【0048】
側溝ブロックの内、特にU字ブロックの周囲の作業空間22を埋設する際には、
図6Bに示すように、U字ブロックの内面に上記制動装置6の制動部材を押し当てる構造とすることも好ましい。当該構造とすることにより、作業空間22に埋設土を装入した後、当該埋設土の部分に重機等を載せることで加重して埋設土を押し固める際に、その荷重によってU字ブロックが内側方向に折れて破損することを防止することができる。U字ブロックが内側方向に破損することを防止する目的で、
図6Aに示すように車輪を介さずに側溝ブロック上に設置される脚部に対して、制動装置6の制動部材を押し当てる構造と同様の構造を設けてもよい。
【0049】
(4)埋設土装入装置の他の形態について
図7には、本発明に係る埋設土装入装置の他の例を示す。
図7に記載の埋設土装入装置では、蓋部2の周囲に設けられる整流板4等の高さを高くすることにより、蓋部2の上に所定量の埋設土を貯留可能とした点で、
図1等に示すものと相違する。また、蓋部2と整流板4の間に埋設土の落下を制限する遮蔽手段7を設けた点で特徴を有する。また、遮蔽手段7の上流に粗大な埋設土の塊を分離するための篩い手段8が設けられている。
図7に示す埋設土装入装置においては、蓋部2の上に所定量の埋設土が貯留可能であり、作業者が遮蔽手段7を操作することによって、所望の量の埋設土を作業空間22内に落下させて装入することができる。つまり、
図7に示す埋設土装入装置は、埋設土を作業空間22に供給するためのホッパーとして機能するものである。当該機構によれば、重機の掘削バケット等から直接に埋設土を落下させる場合と比較して、落下させる埋設土の量の調節が容易となり、作業効率と質を向上することができる。
【0050】
また、蓋部2の上に貯留する埋設土は、バックホウの他、ダンプの荷台を傾斜させる等によっても補充可能であり、埋設土を貯留した埋設土装入装置を作業者が移動させながら埋設作業を行うことで、重機を占有せずに作業を行うことが可能となり、一人の作業者による作業が可能になる。更に、埋設土を貯留した埋設土装入装置を使用することで、埋設土装入装置が設置される側溝ブロック10に付加される荷重が大きくなるために、作業中の埋設土の装入の不均一等による側溝ブロック10のズレ動きが抑制され、また埋設土の重量によって側溝ブロックが浮き上がることが抑制されるなど、安定して作業することが可能となる。
【0051】
また、埋設土を転圧して突き固める際にも、埋設土を貯留した埋設土装入装置を側溝ブロック上に設置することにより、側溝ブロックのズレ動きを有効に防止することができる。特に隣接する側溝ブロック間の連結部を固定するように埋設土装入装置を配置した状態で埋設土を転圧して突き固めることで、側溝ブロック間のズレを防止することができる。
【0052】
本発明に係る埋設土装入装置で使用される埋設土として、設置溝を掘削した際に生じた土砂を使用することが可能である。また、所定の粒度を有する砕石を埋設土として使用することにより、側溝ブロック10を安定して固定可能であると共に、砕石間に空隙が生じるために埋設した箇所が凍結した場合に側溝ブロック10が破損等することを防止することができる。その他、側溝が使用される環境等に応じて、適宜の土砂や砂礫、砂利等を埋設土として使用することができる。側溝ブロック10を安定して固定するために、作業空間22に装入される埋設土は均質であることが好ましく、上記篩い手段8として適切な目開きの金網等を用いることが好ましい。
【0053】
図8には、
図7に示すような埋設土装入装置に付加され、埋設土の落下を制限する遮蔽手段7の一例を示す。上記のように、埋設土としては設置溝を掘削した際に生じた土砂や砕石等が使用され、遮蔽手段7は当該埋設土の落下する量を容易に決定できる機構を有するものであれば適宜使用することができる。
図7に示す遮蔽手段7では、複数の羽根板が放射状に組み合わされたものであり、埋設土が自重で落下する経路上に当該遮蔽手段7を設けて、当該遮蔽手段7の回転を制動する制動手段等を付加することにより、任意の量の埋設土を落下させることができる。
【0054】
図7に示す埋設土装入装置には、車輪5を駆動して埋設土装入装置を走行させるための駆動機構を付加したり、また、別に用意するモーター等を搭載した駆動手段と連結等することにより埋設土装入装置を自走可能とすることで、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0055】
本発明に係る埋設土装入装置により、側溝ブロック10の周囲の作業空間22に埋設土を装入した後、当該装入した埋設土を適宜の手段によって突き固めることにより、側溝ブロック10を地中に固定することができる。また、必要に応じて、転圧された埋設土の表面がアスファルトやコンクリートで舗装される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る埋設土装入装置は、側溝ブロックを使用した側溝の敷設作業において作業効率と作業の仕上がり性を向上するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0057】
1 埋設土装入装置
2 蓋部
3 脚部
4 整流板
5 車輪
6 制動装置
7 遮蔽手段
8 篩い手段
10 側溝ブロック(U字ブロック)
13 掘削バケット
14 開閉手段
20 設置溝
21 コンクリート基礎
22 作業空間
23 埋設土
24 スコップ
25 バックホウ