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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045301
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】下型
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/36 20060101AFI20220311BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B29C43/36
B29C33/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203870
(22)【出願日】2020-12-09
(62)【分割の表示】P 2020150284の分割
【原出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】520346871
【氏名又は名称】株式会社プロイスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大島 誠二
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AG01
4F202AJ08
4F202AM32
4F202AR07
4F202CA09
4F202CB01
4F202CD26
4F202CK88
4F202CR06
(57)【要約】
【課題】熱膨張によるワーク搭載面の変形を抑制できる下型を提供する。
【解決手段】下型1,201,301は、第1部材2,202,302と、第2部材4,204,304と、複数の連結部材6,206,306と、ガイド部8、208、308と、回り止めと、を備える。第1部材2,202,302は、接地面2a,202a,302aを有する板状の部材である。第2部材4,204,304は、第1部材2,202,302の上方に設けられ、上面にワークが載るワーク搭載面4a,204a,304aが形成される。連結部材6,206,306は、第1部材2,202,302と第2部材4,204,304とを連結する。ガイド部8、208、308は、連結部材6,206,306を第1部材2,202,302の接地面に沿って移動させる。回り止めは、第2部材4,204,304が熱膨張する際に、第2部材4,204,304の回転を抑制する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面を有する板状の第1部材と、
前記第1部材の上方に設けられ、上面にワークが載るワーク搭載面が形成される熱膨張する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結する複数の連結部材と、
前記連結部材の一端を前記第1部材の接地面に沿って移動させるガイド部と、
前記第2部材が熱膨張する際に、前記第2部材の回転を抑制する回り止めと、
を備える、
下型。
【請求項2】
前記連結部材は、前記一端にフランジ部を有し、
前記ガイド部は、前記フランジ部を覆うとともに、前記フランジ部の側面と空間を開けて配置される、
請求項1に記載の下型。
【請求項3】
前記回り止めは、複数の前記連結部材のうち少なくとも一つを前記第2部材の回転方向の前記空間を他の前記連結部材より小さくすることによって形成される、
請求項2に記載の下型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、下型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成形体を製造するための金型が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の金型は、上型と下型を有し、下型が固定型である。特許文献1の金型では、上型と下型の間に樹脂を流し込み、上型と下型でプレスすることで、薄く平らな樹脂成形体を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-27632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の金型では、樹脂を流し込む際、下型を加熱することでワークを加工しやすくし、樹脂成形体を精度良く製造している。しかし、下型を加熱した際に、金属製の下型自体が熱膨張によって変形することがある。下型が変形すると、下型の上面に形成されるワークを載せる面(ワーク搭載面)の形状が変化する。
【0005】
本開示の課題は、熱膨張によってワーク搭載面が変形することを抑制できる下型を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る下型は、第1部材と、第2部材と、複数の連結部材と、ガイド部と、回り止めと、を備える。第1部材は、接地面を有する板状の部材である。第2部材は、第1部材の上方に設けられ、上面にワークが載るワーク搭載面が形成され熱膨張する。複数の連結部材は、第1部材と第2部材とを連結する。ガイド部は、連結部材を第1部材の接地面に沿って移動させる。回り止めは、第2部材が熱膨張する際に、第2部材の回転を抑制する。
【0007】
この下型によれば、第2部材が熱膨張によって変形した場合であっても、第2部材が熱膨張した分、第2部材とともに連結部材が第1部材に対して移動する。フランジ部は、ガイド部によって第1部材の接地面に沿って案内されながら移動する。このとき、回り止めが、第2部材の回転を抑制する。これによって、第2部材は、第1部材の接地面と平行に膨張する。このため、ワーク搭載面は接地面と平行に膨張する。これによって、例えば、ワーク搭載面が上方に盛り上がるような変形を抑制できる。すなわち、この下型によれば、熱膨張によってワーク搭載面が変形することを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、熱膨張によってワーク搭載面が変形することを抑制できる下型を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態による下型の斜視図。
図2】本開示の第1実施形態による下型の上面図。
図3図2のA-A断面図。
図4図3の一端の拡大図。
図5】連結部材の配置に対する空間Sの大きさを示す概念図。
図6】本開示の第2実施形態のおける連結部材の配置に対する空間Sの大きさを示す概念図。
図7】本開示の第3実施形態による下型の斜視図。
図8】本開示の第3実施形態による下型の上面図。
図9図8のB-B断面図。
図10図8のC-C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態について、図1から図5を用いて説明する。
【0011】
図1および図2に示すように、第1実施形態に係る下型1は、第1部材2と、第2部材4と、複数の連結部材6と、複数のガイド部8と、加熱手段10と、を備える。本実施形態の下型1は、例えば平面度がよい板状のワークを成形するために用いられる下型である。しかし、下型1は、ワークを平面と凹凸を組み合わせた形状に成形するために用いられてもよい。下型1は、第2部材4の上面にワークが載るワーク搭載面4aが形成される。ワーク搭載面4aに載せられたワークは、加熱したのち図示しない上型がワークに押し当てられ、上型と下型とでプレスされることによって所望の形状に成形される。また、下型1は、ワーク搭載面4aと上型との間にパッキンを設け、パッキンと下型1のワーク搭載面4aと上型との間に樹脂を注入し、注入した樹脂(ワーク)を成形してもよい。
【0012】
このような下型1で成形されるワークは、例えば、板状かつ長方形のシリコンウェハであり、ウェアの上面に回路を転写する際に、本開示の下型1を用いる。また、キッチンなどに用いる樹脂や金属の化粧板も同様に、本開示の下型1を用いて成形される。その他、金属製のワークを熱間プレスによって成形する際に下型1を用いてもよい。
【0013】
図1および図3に示すように、板状の第1部材2は接地面2aを有し、精度よく平面に整えられた工場などの床面に設置される。本実施形態では、第1部材2は、鉄製の板状部材が長方形に形成された部材である。第1部材2は、第2部材4を支持するとともに、第2部材4の精度の基準となる部材である。より具体的には、第1部材2の下面である接地面2aの平面度は、連結部材6を介して第2部材4のワーク搭載面4aの平面度に影響する。このため、接地面2aの平面度が所定値以内(例えば±0.01mm以内)となるように精度よく形成される。また、第1部材2の上面2bは、接地面2aと平行に形成され、接地面2aと同様に精度よく形成される。
【0014】
第2部材4は、第1部材2の上方に設けられる。本実施形態では、第2部材4は、第1部材2と離間して設けられる。また、本実施形態では、第2部材4のワーク搭載面4aは、ワークを平面度よく板状に成形するために、第1部材2の上面2bと平行な長方形となるように形成される。しかし、ワークを平面と凹凸を組み合わせた形状に成形する場合、ワーク搭載面4aが凹凸と平面とを組み合わせた形状に形成されてもよい。また、本実施形態では、第2部材4は、第1部材2の材料と異なる金属材料であるアルミ材料によって形成される。しかし、第2部材4は、第1部材2の材料と同じ金属材料である鉄によって形成されてもよい。また、第2部材4は、樹脂によって形成されてもよい。
【0015】
図2に示すように、加熱手段10は、第2部材4の内部に設けられ、第2部材4を加熱する。本実施形態では、第2部材4の内部に冷媒が通る通路が複数設けられ、冷媒が通路内を通ることで第2部材4を加熱または冷却する。しかし、加熱手段10は、例えば電熱線に電気を流すことで発熱するヒータなどであってもよい。
【0016】
図1に示すように、連結部材6は複数設けられ、第1部材2と第2部材4とを連結する。本実施形態では、連結部材6が縦列に7本、横列に7本、合計49本設けられ、第1部材2と第2部材4とを連結するとともに、第2部材4を支持する。また、本実施形態では、連結部材6は、鉄でできた円柱である。しかし、連結部材6は、断面四角形や多角形の柱状の部材であってもよい。
【0017】
図3に示すように、複数の連結部材6は、フランジ部6aを有する。フランジ部6aは、連結部材6の第1部材2側の端部(一端の一例)に設けられる。本実施形態では、フランジ部6aは、連結部材6の本体6gにボルト9によって固定される。しかし、フランジ部6aは、連結部材6の本体6gと一体で設けられてもよい。フランジ部6aは、連結部材6の形状に合わせて円板状に形成される。
【0018】
複数の連結部材6の第1部材2側の端部は、第1部材2に対して移動可能に設けられる。より具体的には、図4に示すように、フランジ部6aの下面6bは、第1部材2の上面2bと接し、フランジ部6aより上部が第1部材2の上面2bを移動する。連結部材6のフランジ部6aの下面と第1部材2との間には、連結部材6が移動しやすいようにグリスなどの潤滑剤が塗布される。フランジ部6aの下面6bは、第1部材2の上面2bと平行な面に形成され、フランジ部6aの下面6bと第1部材2の上面2bとが面接触することで、連結部材6が第1部材2に対して精度よく垂直となるように設けられる。これによって、第2部材4と第1部材2とが精度よく平行に設けられる。この結果、第2部材4のワーク搭載面の精度もよい。
【0019】
複数の連結部材6の第2部材4側の端部(他端の一例)は、第2部材4に固定される。図3に示すように、本実施形態では、連結部材6の第2部材4側の端部に雄ネジ部6dが設けられる。第2部材4の下部材4cに設けられたねじ孔4fに雄ネジ部6dをねじ込むことで、複数の連結部材6が第2部材4と固定される。しかし、連結部材6と第2部材4との固定方法は、この他ボルトを用いて固定する方法や、圧入によって固定する方法であってもよい。
【0020】
図4に示すように、ガイド部8は、フランジ部6aを上方から覆うとともに、フランジ部6aの側面6eと空間Sを開けて配置される。ガイド部8は、フランジ部6aを第1部材2の上面2bに沿って移動させるために設けられる。本実施形態では、板状のガイド部材7に連結部材6が貫通する貫通孔8aが複数設けられ、この貫通孔8aの内部にガイド部8が形成される。ガイド部材7は、第1部材2にボルトによって固定される。貫通孔8aは、ザグリ部8bを有し、このザグリ部8bの内周面および上面がガイド部8として機能する。ザグリ部8bの高さは、フランジ部6aよりも高く、ザグリ部8bにフランジ部6aが収容される。このザグリ部8bと、フランジ部6aの側面6eとの間に空間Sが設けられる。ザグリ部8bの上面とフランジ部6aの上面との間は、微小な隙間が設けられる。また、連結部材6の外周面と貫通孔8aとの間にも空間S以上の隙間が設けられる。
【0021】
図5(a)は、連結部材6の配置に対する空間Sの大きさを示す概念図である。より具体的には、図2の中央連結部材6fの周囲9本の連結部材6のフランジ部6aおよびガイド部8をザグリ部8bの上下方向中央付近で切った平面断面図に対し、空間Sの形成状態が判別しやすいように、空間Sを大きく表示した概念図である。図5(a)に示すように、複数の連結部材6のうち、第2部材4の中央部に位置する中央連結部材6fは、中央連結部材6fの周囲に位置する連結部材6よりも空間Sが小さく設けられる。空間Sは、中央連結部材6fを中心として、放射状に大きくなるように設けられる。空間Sは、第1部材2の外周に近づくほど大きく設けられる。
【0022】
より具体的には、中央連結部材6fのフランジ部6aと、ガイド部8と、の空間S0はほぼゼロである。中央連結部材6fの後斜め右のフランジ部6aとガイド部8の空間S1は、後方右側に設けられる(図5(a)矢印参照)。同様に、空間S2は後方側、空間S3は後方左側、空間S4は右側、空間S5は左側、空間S6は前方右側、空間S7は前前方側、空間S8は前方左側に、それぞれ設けられる。また、空間S1から空間S8のさらに外にあるガイド部8と、フランジ部6aとの空間Sは、空間S1から空間S8が設けられる各方向と同方向に設けられる。ガイド部8と、フランジ部6aとの空間Sは、空間S1から空間S8の大きさよりも大きく設けられる。
【0023】
図5(b)に示すように、このような下型1では、ワークが載る第2部材4が加熱されることによって膨張する。第2部材4が膨張すると、第2部材4に固定される連結部材6に対して膨張方向へ移動する力が発生する。しかし、中央連結部材6fは、空間Sが狭いため、連結部材が第1部材2の上面2b上を移動することなく留まる。
【0024】
一方、他の連結部材6は、第2部材4からの力を受けて、フランジ部6aがガイド部8によって案内されることで、第1部材2の上面2b上を滑りながら、第1部材2の接地面2aおよび上面2bと平行に移動する(図5(b)の破線矢印参照)。フランジ部6aは、空間Sが設けられた方向にガイド部8と面接触しながら連結部材を倒すことなく移動するため、第2部材4は、空間Sに沿って放射状に膨張する(図5(b)の矢印参照)。第2部材4が熱膨張する際に上方へ向かう力は、ガイド部8とフランジ部6aが当接することで抑えられる。これによって、連結部材6に固定される第2部材4は、第1部材2と平行に膨張する。このため、第2部材4が熱膨張によって上方に向けて変形することを抑制できる。この結果、第2部材のワーク搭載面4aの平面度が熱膨張によって悪化することを抑制できる。
【0025】
また、このとき中央連結部材6fは、空間Sが狭いため、連結部材6が第1部材2に対してずれない。これによって、第2部材4が熱膨張によって変形した場合、第2部材4の中心位置がはずれない。さらに、空間Sは、中央連結部材6fを中心として、放射状に大きくなるように設けられ、第1部材2の外周に近づくほど大きく設けられるため、第2部材4が回転することなく放射状に膨張する。これによって、第2部材4の位置ズレを防止できる。この結果、ワークを精度よく加工できる。
【0026】
<第2実施形態>
次に本開示の第2実施形態について、図1図2および図6を用いて説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0027】
図1および図2に示すように、第2実施形態における下型201は、第1部材202と、第2部材204と、連結部材206と、ガイド部材207に複数形成されるガイド部208と、加熱手段210と、を備える。第1部材202、第2部材204、連結部材206、および加熱手段210の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0028】
図6は、図5(a)と同様に、図2の中央連結部材206fの周囲9本の連結部材206のフランジ部206aおよびガイド部208をザグリ部208bの上下方向中央付近で切った平面断面図に対し、空間Sの形成状態が判別しやすいように、空間Sを大きく表示した概念図である。図6に示すように、複数の連結部材206のうち、第2部材204の中央部に位置する中央連結部材206fは、中央連結部材6fの周囲に位置する連結部材6よりも空間Sが小さく設けられる。より具体的には、中央連結部材206fのフランジ部206aと、ガイド部208との空間S20はほぼゼロである。
【0029】
一方、中央連結部材206fの周囲に位置する連結部材206のうち少なくとも一つは、第2部材204の回転方向の空間が他の連結部材206より小さい。本実施形態では、中央連結部材206fの後方に位置する連結部材206gのフランジ部206aとガイド部208との空間S21のうち、左右方向の空間S21がほぼゼロである。言い換えると、フランジ部206aの左右方向に位置する側面206eは、ガイド部208と当接する。より具体的には、ザグリ部208bが前後方向に長く形成され、ザグリ部208bの短手方向(本実施形態では左右方向)の長さが連結部材206のフランジ部206aの左右方向の直径とほぼ同じである。一方、中央連結部材206fおよび連結部材206g以外の連結部材206は、フランジ部206aの周囲に十分大きな空間Sが設けられる。
【0030】
このように、連結部材206のうち少なくとも一つの連結部材206gだけ、第2部材204の回転方向(本実施形態では左右方向)の空間Sを小さくすることで、フランジ部206aがガイド部208に当接し、連結部材206が第2部材204の回り止めとして機能する。一方、フランジ部206aは、第2部材204が膨張する方向(本実施形態では前後方向)には移動可能であるため、第2部材204が膨張してもワーク搭載面204aの変形は抑制できる。また、回り止めとして機能する連結部材206gに対応するザグリ部208b以外のザグリ部208bは、フランジ部206aとの空間Sが十分確保されている。このため、ザグリ部208bを精度よく加工する必要がなく、ザグリ部208bを形成しやすい。この結果、ガイド部208が製造しやすい。
【0031】
<第3実施形態>
次に本開示の第3実施形態について図7から図10を用いて説明する。図7および図8に示すように、第3実施形態における下型301は、第1部材302と、第2部材304と、複数の連結部材306と、複数のガイド部308と、図示しない加熱手段と、を備える。なお、第3実施形態の説明においても第1実施形態、および第2実施形態と異なる点のみ説明する。特に、加熱手段については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0032】
図7および図9に示すように、板状の第1部材302は接地面302aと、ガイド部308と、を有する。第2部材304は、第1部材2の上方に第1部材2と面接触して設けられる。第1部材302の上面302bと、第2部材304との下面との間には潤滑剤が塗布される。つまり、第3実施形態の下型301は、第1部材302にガイド部308が形成され、第1部材302の上面302b上を第2部材304が滑りながら、第1部材302の接地面302aと平行に移動する点で第1実施形態の下型1および第2実施形態の下型201と異なる。
【0033】
連結部材306は複数設けられ、第1部材302と第2部材304とを連結する。本実施形態では、連結部材306が前後方向に3列に並んで設けられ、前列および後列に4本、真ん中の列に3本、合計11本設けられる。なお、本実施形態では、中央連結部材306fは、位置決め部材として機能し、他の連結部材と構造が異なる。詳細は後述する。
【0034】
図9に示すように、複数の連結部材306は、フランジ部306aを有する。フランジ部306aは、連結部材306の第1部材2側の端部に設けられる。フランジ部306aは、連結部材306の本体306gにボルト309によって固定される。しかし、フランジ部306aは、連結部材306の本体306gと一体で設けられてもよい。
【0035】
複数の連結部材306の第1部材302側の端部は、第1部材302に対して移動可能に設けられる。複数の連結部材306の第2部材304側の端部は、連結部材306を貫通するボルト309によって、第2部材304に固定される。
【0036】
ガイド部308は、フランジ部306aを上方から覆うとともに、フランジ部306aの側面306eと空間Sを開けて配置される。本実施形態では、ガイド部308は、第1部材302に連結部材306が貫通する貫通孔308aが複数設けられる。貫通孔308aは、ザグリ部308bを有し、このザグリ部308bの内周面および上面がガイド部8として機能する。ザグリ部308bの高さは、フランジ部6aとボルト309の頭部を合わせた高さよりも高く、ザグリ部208bにフランジ部6aが収容される。空間Sの形成状態については、第1実施形態、または第2実施形態と同様であればよいため、説明を省略する。
【0037】
図10に示すように、第3実施形態の第1部材302の中央連結部材306fに位置する貫通孔308cは、上面302b側にザグリ部308dを有する。中央連結部材306fのフランジ部308eは、中央連結部材306fの第2部材304側に設けられる。フランジ部308eは、第2部材304の下面に設けられた取付穴304fに嵌合する。中央連結部材306fと貫通孔308cおよびザグリ部308dとの空間Sには、スペーサ312が嵌合する。これによって、中央連結部材306fが第1部材302に対して移動しない。このように、中央連結部材306fは位置決め部材として機能する。なお、フランジ部308e、およびスペーサ312は必ずしも必要ではなく、第2部材304の中央部に位置決めピンを立て、位置決めピンを第1部材302の貫通孔308cに嵌め込んでもよい。また、中央連結部材306fは、他の連結部材306と同構造とし、空間Sをゼロにしてもよい。
【0038】
このような下型301では、ワークが載る第2部材304が加熱されることによって膨張する。第2部材304が膨張すると、第2部材304は、第1部材302の上面302b上を膨張方向へ移動する。第2部材304に固定される連結部材306は、第2部材304とともに移動する。第2部材304が熱膨張する際に上方へ向かう力は、ガイド部308とフランジ部306aが当接することで抑えられる。これによって、連結部材306に固定される第2部材304は、第1部材302と平行に膨張する。このため、第2部材304が熱膨張によって上方に向けて変形することを抑制できる。この結果、第2部材304のワーク搭載面304aの上下方向の変形を抑制できる。また、中央連結部材306fは移動せず留まる。これによって、第2部材304の位置ズレを防止できる。
【0039】
以上説明した通り、本開示によれば、熱膨張によってワーク搭載面が変形することを抑制できる下型1,201,301を提供できる。
【0040】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0041】
(a)上記第1実施形態および第2実施形態では、連結部材6が縦列に7本、横列に7本、合計49本設けられる例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。連結部材6の本数は、複数であればよい。
【0042】
(b)上記第1実施形態では、第2部材4にアルミを用いる例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。第2部材4は、ワーク搭載面4aを有し熱膨張する材料であれば、どのような材料であってもよい。
【0043】
(c)上記第1実施形態では、連結部材6は鉄でできた円柱を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。連結部材6は、第1部材2と第2部材4とを連結できる材料であれば、どのような材料であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,201,301:下型
2,202,302:第1部材
2a,202a,302a:接地面
4,204,304:第2部材
4a,204a,304a:ワーク搭載面
6,206,306:連結部材
6a,206a,306a:フランジ部
6f,206f,306f:中央連結部材
8,208,308:ガイド部
S:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10