(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045322
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】給紙装置及びその制御方法並びにその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 3/12 20060101AFI20220311BHJP
B65H 3/68 20060101ALI20220311BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
B65H3/12 310C
B65H3/68
B65H3/52 330Z
B65H3/52 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118777
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020150840
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 英司
(72)【発明者】
【氏名】谷内 知則
(72)【発明者】
【氏名】南部 裕政
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FC01
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3F343MC04
3F343MC05
3F343MC13
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3F343MC19
3F343MC21
(57)【要約】
【課題】サイズ、厚さ及び重量等が異なる種々の用紙を1枚ずつ確実に供給できる給紙装置を提供する。
【解決手段】駆動及びアイドルローラ1、2間に穴あき無端搬送ベルト3が張設され、吸引ボックス8が穴あき無端搬送ベルトの上側及び下側ベルト部分3c、3d間に配置される。当接体11a~11dが支持手段10の穴あき無端搬送ベルトに対応する位置に取り付けられ、穴あき無端搬送ベルトに圧接する。吸引ボックスの当接体よりも上流側は吸着エリア12をなし、吸着エリアに吸気穴8bが形成される。昇降板14a~14cが穴あき無端搬送ベルト間において少なくとも吸着エリアの吸気穴の範囲内にのびる。昇降板は、上下に、吸気穴を開放すると共に、穴あき無端搬送ベルトの搬送面3bよりも突出する第1の位置と、吸気穴を閉鎖すると共に、穴あき無端搬送ベルトの搬送面よりも引っ込む第2の位置との間で運動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙集積体の最上位または最下位の用紙を搬送面に載置して送出方向に搬送し、複数の通気穴が形成された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの前記搬送面の反対側の裏面側に配置され、前記通気穴を介して前記用紙を吸引する第1の吸気穴が形成された吸引部と、
前記搬送面よりも用紙の集積方向に位置する第1の位置と、前記搬送面と同じ高さ位置又は前記搬送面よりも前記裏面側に位置する第2の位置との間で往復動するとともに、該第1の位置に位置しているときに前記吸引部に形成された前記第1の吸気穴とは別の第2の吸気穴を開放し、前記第2の位置に位置しているときに該第2の吸気穴を塞ぐ昇降板と、
前記昇降板の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、最上位または最下位の前記用紙を搬送しているときに、前記第2の位置から前記第1の位置へ前記昇降板を動作させる給紙装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトは、複数とされるとともに、前記送出方向に対して直交する幅方向に所定間隔を空けて平行に設けられ、
前記昇降板は、複数とされるとともに、隣り合う前記搬送ベルトの間及び/又は前記搬送ベルトの側方に設けられている請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
複数の前記搬送ベルト及び複数の前記昇降板は、前記用紙の送出方向に直交する幅方向の中心に対して対称に設けられている請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトから搬送された用紙の先端を掴んで排出する排出ローラを備え、
前記制御部は、前記排出ローラが前記搬送ベルトから搬送された用紙の先端を掴んだときに、前記第2の位置から前記第1の位置へ前記昇降板を動作させる請求項1に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記排出ローラよりも前記送出方向の上流側に、前記用紙の先端に当接する当接体が設けられている請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記搬送ベルトは、複数とされるとともに、前記送出方向に対して直交する幅方向に所定間隔を空けて平行に設けられ、
前記当接体は、隣り合う前記搬送ベルトの間及び/又は前記搬送ベルトの側方に設けられているとともに、自由端とされた先端が用紙に当接する弾性を有する板状体とされている請求項1から5のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項7】
前記当接体の前記先端に対向する位置に、該先端が接触する接触面が設けられ、
前記接触面は、前記搬送面と同一高さとされている請求項6に記載の給紙装置。
【請求項8】
用紙を前記当接体の前記先端に向けて案内する傾斜部を有するガイド板を備えている請求項6又は7に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記ガイド板は、前記当接体との間に隙間を有するとともに該当接体が該ガイド板側に弾性変形したとき突き当たる突当て部を備えている請求項8に記載の給紙装置。
【請求項10】
前記当接体は、前記搬送ベルトに対して押し付けられるように設けられたリタードローラとされている請求項1から5のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項11】
前記昇降板の少なくとも1つは、前記当接体に対応する位置または前記当接体よりも前記送出方向の下流側まで延長して設けられた延長部を備えている請求項5から10のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項12】
前記延長部は、既設の前記昇降板に対して取り外し可能とされている請求項11に記載の給紙装置。
【請求項13】
用紙集積体の最上位または最下位の用紙を搬送面に載置して送出方向に搬送し、複数の通気穴が形成された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの前記搬送面の反対側の裏面側に配置され、前記通気穴を介して前記用紙を吸引する第1の吸気穴が形成された吸引部と、
前記搬送面よりも用紙の集積方向に位置する第1の位置と、前記搬送面と同じ高さ位置又は前記搬送面よりも前記裏面側に位置する第2の位置との間で往復動するとともに、該第1の位置に位置しているときに前記吸引部に形成された前記第1の吸気穴とは別の第2の吸気穴を開放し、前記第2の位置に位置しているときに該第2の吸気穴を塞ぐ昇降板と、
を備えた給紙装置の制御方法であって、
最上位または最下位の前記用紙を搬送しているときに、前記第2の位置から前記第1の位置へ前記昇降板を動作させる給紙装置の制御方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の給紙装置の制御をコンピュータに実行させるための給紙装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるトップフィード方式(用紙集積体から最上位の用紙を順次供給する方式)またはボトムフィード方式(用紙集積体から最下位の用紙を順次供給する方式)の給紙装置及びその制御方法並びにその制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトップフィード方式の給紙装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載された給紙装置は、用紙集積体がその上に載置される、昇降可能な用紙載置台と、用紙載置台の前方に近接してかつ用紙載置台上の用紙集積体の前端面に対向して配置された揃え板と、用紙載置台上の用紙集積体の最上位の用紙の上方に、最上位の用紙に対向して配置され、用紙載置台が徐々に上昇する間に、最上位の用紙を吸着しつつ揃え板を越えて前方に送り出す搬送ユニットを備えている。
【0003】
搬送ユニットは、用紙載置台の上方において用紙の搬送方向に互いに間隔をあけて配置され、それぞれ搬送方向に直角にのびる水平な駆動ローラおよびアイドルローラと、駆動ローラおよびアイドルローラ間に掛け渡された穴あき無端搬送ベルトと、穴あき無端搬送ベルトの上側および下側ベルト部分間に配置され、下面に複数の吸気口が形成された吸引ボックスと、吸引ボックスの内部空間を負圧にする吸引ユニットと、を有している。
【0004】
吸引ユニットは、吸引ポンプと、吸引ボックスおよび吸引ポンプを接続する吸気管と、吸気管に配置された電磁弁とから構成され、電磁弁の開閉によって吸引ボックスの吸着および吸着の解除の切り替えがなされる。
【0005】
そして、給紙装置の運転中、穴あき無端搬送ベルトが周回運動するとともに、電磁弁が所定のタイミングで開閉される。
【0006】
また、揃え板にはエアー吹出しユニットが設けられている。そして、給紙装置の運転中、エアー吹出しユニットから常時用紙載置台上の用紙集積体の上層に向けてエアーが吹き付けられ、用紙集積体の上層の用紙が互いに分離した状態で用紙集積体から浮遊する。
【0007】
こうして、給紙装置の運転中、エアーを受けて浮上した最上位の用紙が、吸引ボックスおよび周回運動する穴あき無端搬送ベルトによって吸着され、前方に送り出される。
【0008】
また、従来のボトムフィード方式の給紙装置としては、例えば、特許文献2に記載されたものがある。
特許文献2に記載された給紙装置は、用紙を積載状態で収容する用紙収容部と、用紙収容部の底部に配置され、用紙収容部に収容された用紙集積体から最下位の用紙を順次送り出すボトムフィード機構と、ボトムフィード機構によって用紙収容部から重送状態で送り出される複数枚の用紙を1枚ずつ分離して搬送するリタードロールと、用紙収容部の出口側に設けられて、用紙の送出方向上流側からリタードロールに向けて下向きに傾斜した規制ガイド斜面壁とを備えている。
【0009】
規制ガイド斜面壁は、用紙収容部に収容された用紙の先端を当接させることによって、用紙集積体を形成する用紙を下から順に徐々に後方にずらした状態にする。
規制ガイド斜面壁には、これに当接する用紙が斜面に沿って下向きに潜り込むことを防止する潜り込み抑止用部材が設けられている。
【0010】
ボトムフィード機構は、用紙収容部の入口側に配置され、送出方向に直角にのびる軸のまわりに回転し得る第1搬送ロール群と、第1搬送ロール群の下流側において第1の搬送ロール群に平行に配置された第2搬送ロール群と、第2搬送ロール群と回転軸を共通にする第1支持ロールと、リタードロールに近接して配置された第2支持ロールと、第1および第2支持ロール間に張設された搬送ベルトとを有している。
【0011】
リタードロールは、トルクリミッタを有し、ボトムフィード機構の第2支持ロール上の搬送ベルトに当接している。
そして、給紙時は、リタードロールはトルクリミッタの制止作用により停止した状態にあり、リタードロールおよび回転する搬送ベルト間に重送状態で送り込まれる複数枚の用紙のうちの最下位の用紙の進入を許容する一方、複数枚の用紙のうちの残りの用紙の進入を阻止する。その後、最下位の用紙がリタードロールおよび搬送ベルト間に挟まれると、リタードロールがトルクリミッタの制止作用に勝って自由回転し、それによって、最下位の用紙のみが前方に送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2014/006747号
【特許文献2】特開2001-97563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、用紙のサイズ、厚さおよび重量等の差異がより広範囲に及ぶと、用紙の重送とミスフィード(給紙不良)への対策の両立が困難となる。
また、用紙を1枚ごとに分離するための分離パラメータを用紙のサイズ、厚さおよび重量等に応じて設定することは煩雑である。
【0014】
したがって、本発明の課題は、用紙のサイズ、厚さおよび重量等の差異が広範囲に及ぶ場合にも、用紙集積体から用紙を1枚ずつ確実に分離して供給できる給紙装置及びその制御方法並びにその制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様に係る給紙装置は、用紙集積体の最上位または最下位の用紙を搬送面に載置して送出方向に搬送し、複数の通気穴が形成された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの前記搬送面の反対側の裏面側に配置され、前記通気穴を介して前記用紙を吸引する第1の吸気穴が形成された吸引部と、前記搬送面よりも用紙の集積方向に位置する第1の位置と、前記搬送面と同じ高さ位置又は前記搬送面よりも前記裏面側に位置する第2の位置との間で往復動するとともに、該第1の位置に位置しているときに前記吸引部に形成された前記第1の吸気穴とは別の第2の吸気穴を開放し、前記第2の位置に位置しているときに該第2の吸気穴を塞ぐ昇降板と、前記昇降板の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、最上位または最下位の前記用紙を搬送しているときに、前記第2の位置から前記第1の位置へ前記昇降板を動作させる。
【0016】
用紙集積体の最上位または最下位の用紙は、搬送ベルトの搬送面にて、吸引部の第1の吸気穴から通気穴を介して吸引されて吸着される。このように搬送面にて吸着された状態で用紙が搬送される。そして、最上位または最下位の用紙を搬送しているときに、昇降板が第2の位置から第1の位置へと動作させられる。これにより、用紙が昇降板によって搬送ベルトの搬送面から離間させられるとともに、昇降板によって塞がれていた第2の吸気穴が開放される。用紙が搬送ベルトの搬送面から離間させられることによって昇降板と搬送面との間で高さ位置の変化が生じ用紙が変形し、搬送中の用紙と該用紙に重ねられた次の用紙との分離が促進される。また、昇降板によって塞がれていた第2の吸気穴が開放されることによって第1の吸気穴からの吸引力が低下して搬送面における用紙の吸着力が減少し、搬送中の用紙に続く次の用紙の搬送力を低減することができる。
以上により、用紙のサイズ、厚さおよび重量等の差異によらずに、用紙集積体から用紙を1枚ずつ確実に分離して供給することができる。
【0017】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記搬送ベルトは、複数とされるとともに、前記送出方向に対して直交する幅方向に所定間隔を空けて平行に設けられ、前記昇降板は、複数とされるとともに、隣り合う前記搬送ベルトの間及び/又は前記搬送ベルトの側方に設けられている。
【0018】
昇降板を複数とし、搬送ベルトの間及び/又は搬送ベルトの側方に設けることによって、用紙を安定的に操作することができる。
また、昇降板と搬送ベルトとが幅方向に交互に設けられるので、昇降板を第1の位置に位置させたときに用紙をコルゲーション(波打ち)させることで、用紙の分離を促進させることができる。
【0019】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、複数の前記搬送ベルト及び複数の前記昇降板は、前記用紙の送出方向に直交する幅方向の中心に対して対称に設けられている。
【0020】
用紙の送出方向に直交する幅方向の中心に対して対称に搬送ベルトと昇降板を設けることとしたので、正確に用紙を搬送することができる。
【0021】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記搬送ベルトから搬送された用紙の先端を掴んで排出する排出ローラを備え、前記制御部は、前記排出ローラが前記搬送ベルトから搬送された用紙の先端を掴んだときに、前記第2の位置から前記第1の位置へ前記昇降板を動作させる。
【0022】
用紙の先端が排出ローラに掴まれると当該用紙は排出ローラに支持されることになるので、昇降板を動作させても用紙の分離に対して影響を及ぼすことが少ない。したがって、用紙の先端が排出ローラによって掴まれたタイミングで昇降板の動作させることで、より確実に制御を行うことができる。例えば、排出ローラの送出方向下流側に紙検知センサを設けておくことが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記排出ローラよりも前記送出方向の上流側に、前記用紙の先端に当接する当接体が設けられている。
【0024】
当接体を排出ローラよりも送出方向の上流側に設けることで、排出ローラの上流側に用紙が一時的に積層される用紙集積体を形成することができる。
【0025】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記搬送ベルトは、複数とされるとともに、前記送出方向に対して直交する幅方向に所定間隔を空けて平行に設けられ、前記当接体は、隣り合う前記搬送ベルトの間及び/又は前記搬送ベルトの側方に設けられているとともに、自由端とされた先端が用紙に当接する弾性を有する板状体とされている。
【0026】
当接体は搬送ベルトの間及び/又は搬送ベルトの側方に設けられているので、当接体が搬送ベルトに対して接触して摺動することがない。これにより、当接体の摩耗を低減することができる。
当接体は弾性を有する板状体とされており、自由端とされた先端が用紙に当接するので、先端が用紙に当接したときに弾性力をもって撓むことができる。これにより、用紙に対して適切な接触力を付与することができる。
弾性を有する当接体としては、例えばゴムが好適に用いられる。
【0027】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記当接体の前記先端に対向する位置に、該先端が接触する接触面が設けられ、前記接触面は、前記搬送面と同一高さとされている。
【0028】
当接体の先端が接触する接触面が設けられ、この接触面が搬送面と同一高さとされているので、搬送面上を走行する用紙を変形することなく円滑に搬送することができる。
【0029】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、用紙を前記当接体の前記先端に向けて案内する傾斜部を有するガイド板を備えている。
【0030】
用紙をガイド板の傾斜部に沿って案内することで、用紙先端を当接体の先端に確実に向けることができる。傾斜部は、具体的には、当接体の先端が接触する接触面との距離が当接体に向かって漸次小さくなるように設けられる。
傾斜部によって用紙先端が当接体に当たった時に捲れるのを防ぐことができる。また、捲れた用紙が入って来た場合であっても、傾斜部によって抑えることができる。
【0031】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記ガイド板は、前記当接体との間に隙間を有するとともに該当接体が該ガイド板側に弾性変形したとき突き当たる突当て部を備えている。
【0032】
ガイド板に突当て部を設け、当接体がガイド板側に弾性変形したときに突当て部に突き当たるようにした。これにより、当接体の過度な変形を規制することができる。例えば、紙詰まりのときに用紙を搬送方向とは逆方向(ガイド板側)に引き抜く際に、当接体も用紙にとともにガイド板側に変形する。このときの当接体の過度な変形を突当て部で抑制することができる。
【0033】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記当接体は、前記搬送ベルトに対して押し付けられるように設けられたリタードローラとされている。
【0034】
当接体をリタードローラとすることによって、用紙を確実に分離して搬送することができる。
【0035】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記昇降板の少なくとも1つは、前記当接部に対応する位置または前記当接部よりも前記送出方向の下流側まで延長して設けられた延長部を備えている。
【0036】
昇降板の少なくとも1つをリタードローラの対応する位置またはリタードローラよりも送出方向の下流側まで延長して設けることとしたので、昇降板を第1の位置としたときにリタードローラと搬送ベルトとの間に挟まれた用紙を昇降板によって大きく変形させることができる。これにより、搬送中の用紙とこれに続く次の用紙との形状を異ならせることで、次の用紙がリタードローラに侵入しにくくなる。
リタードローラに対応する位置とは、リタードローラの直近(直下)及びその近傍を意味する。
【0037】
さらに、本発明の一態様に係る給紙装置では、前記延長部は、既設の前記昇降板に対して取り外し可能とされている。
【0038】
延長部を既設の昇降板に対して取り外し可能としたので、必要に応じて昇降板の長さを変更することができる。
【0039】
本発明の一態様に係る給紙装置の制御方法は、用紙集積体の最上位または最下位の用紙を搬送面に載置して送出方向に搬送し、複数の通気穴が形成された搬送ベルトと、前記搬送ベルトの前記搬送面の反対側の裏面側に配置され、前記通気穴を介して前記用紙を吸引する第1の吸気穴が形成された吸引部と、前記搬送面よりも用紙の集積方向に位置する第1の位置と、前記搬送面と同じ高さ位置又は前記搬送面よりも前記裏面側に位置する第2の位置との間で往復動するとともに、該第1の位置に位置しているときに前記吸引部に形成された前記第1の吸気穴とは別の第2の吸気穴を開放し、前記第2の位置に位置しているときに該第2の吸気穴を塞ぐ昇降板と、を備えた給紙装置の制御方法であって、最上位または最下位の前記用紙を搬送しているときに、前記第2の位置から前記第1の位置へ前記昇降板を動作させる。
【0040】
本発明の一態様に係る給紙装置の制御プログラムは、上記のいずれかに記載の給紙装置の制御をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0041】
用紙のサイズ、厚さおよび重量等の差異が広範囲に及ぶ場合にも、用紙集積体から用紙を1枚ずつ確実に分離して供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の第1実施形態による給紙装置の概略図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【
図2】
図1の給紙装置の吸引ボックスおよび当接体を示す拡大された正面図であり、図中、吸引ボックスは縦方向に破断して描いてある。
【
図3】(A)は、
図2の送出方向上流側から見た、送出方向を横切る方向に沿った縦断面図であり、(B)は、
図2の送出方向下流側から見た側面図である。
【
図4】(A)は、
図2のX-X線に沿った横断面図であり、(B)は
図2のY-Y線に沿った横断面図である。
【
図5】(A)は、
図1の給紙装置の吸引ボックスおよび当接体を示す拡大された正面図であり、(B)は、(A)の送出方向上流側から見た、送出方向を横切る方向に沿った縦断面図である。
【
図6】
図1の給紙装置の給紙動作を説明する
図2に類似の図である。
【
図7】
図1の給紙装置の給紙動作を説明する
図3(A)に類似の図である。
【
図8】
図1の給紙装置のキャリッジの動きを示す正面図であり、(A)はキャリッジが用紙集積エリアの長さが最小となる位置にある状態を示し、(B)はキャリッジが用紙集積エリアの長さが最大となる位置にある状態を示している。
【
図9】本発明の別の実施形態による給紙装置の概略的な正面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る給紙装置を示した側面図である。
【
図11】
図10の当接板周りを拡大して示した部分拡大側面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る給紙装置を示した平面図である。
【
図13】昇降板の延長部を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図14】昇降板の延長部を取り付けた給紙装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施形態に基づいて説明する。
図1は本発明の1実施形態による給紙装置の概略図であり、
図1(A)は平面図であり、
図1(B)は正面図である。
図2は、
図1の給紙装置の吸引ボックスおよび当接体を示す拡大された正面図であり、図中、吸引ボックスは縦方向に破断して描いてある。
【0044】
図3(A)は、
図2の送出方向上流側から見た、送出方向を横切る方向に沿った縦断面図であり、
図3(B)は、
図2の送出方向下流側から見た側面図である。また、
図4(A)は、
図2のX-X線に沿った横断面図であり、
図4(B)は
図2のY-Y線に沿った横断面図である。
【0045】
また、
図5(A)は、
図1の給紙装置の吸引ボックスおよび当接体を示す拡大された正面図であり、
図5(B)は、
図5(A)の送出方向上流側から見た、送出方向を横切る方向に沿った縦断面図である。
【0046】
この実施形態では、給紙装置は、2つの用紙処理装置間に配置され、上流側の用紙処理装置から排出される用紙を一時的に集積するとともに、集積した用紙の最下位の用紙を順次下流側の用紙処理装置に送給する給紙装置(ボトムフィード方式の給紙装置)からなっている。
【0047】
図1~
図5を参照して、本実施形態によれば、互いに用紙の送出方向に間隔をあけて、それぞれ送出方向に直角にかつ水平にのびる駆動ローラ1およびアイドルローラ2と、駆動ローラ1およびアイドルローラ2間に掛け渡された少なくとも1本(この実施形態では4本)の穴あき無端搬送ベルト(搬送ベルト)3と、駆動ローラ1を回転させるローラ駆動機構4とが備えられる。
【0048】
駆動ローラ1は、水平な回転軸1aと、回転軸1aに軸方向に互いに間隔をあけて回転軸1aと一体的に回転可能に取り付けられた4つの第1のローラ要素1bとを有している。
【0049】
図1(A)および
図4(A)に示すように、この実施形態では、4つの第1のローラ要素1bは、駆動ローラ1およびアイドルローラ2に直交してのびる予め決定された中心線CLに関して対称的に配置される。中心線CLは、搬送される用紙P1の送出方向に直交する幅方向の中心に一致する。
【0050】
アイドルローラ2は、駆動ローラ1の回転軸1aに平行な軸2aのまわりに回転自在に、かつ4つの第1のローラ要素1bにそれぞれ対向して配置された4つの第2のローラ要素2bを有している。
【0051】
そして、各穴あき無端搬送ベルト3が、互いに対をなす駆動ローラ1の第1のローラ要素1bおよびアイドルローラ2の第2のローラ要素2b間に掛け渡され、4本の穴あき無端搬送ベルト3は中心線CLに関して対称的に配置されている。各穴あき無端搬送ベルト3は、その全長にわたって一様に複数の通気穴3aを有している。
【0052】
ローラ駆動機構4は、駆動ローラ1の回転軸1aの一端に固定されたプーリー4aと、駆動軸が駆動ローラ1に平行にのびるモータ4bと、モータ4bの駆動軸に固定されたプーリー4cと、プーリー4aおよびプーリー4c間に掛け渡された無端ベルト4dとを有している。
【0053】
そして、給紙装置の運転中、モータ4bによる駆動ローラ1の回転駆動に伴って、4本の穴あき無端搬送ベルト3が一斉に一定速度で回転し、4本の穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3b上に置かれた用紙P1は、アイドルローラ2側から駆動ローラ1側に向けて搬送されるようになっている。
【0054】
また、穴あき無端搬送ベルト3の上方において穴あき無端搬送ベルト3の長さ方向に往復運動可能に配置されたキャリッジ5と、穴あき無端搬送ベルト3の長さ方向にのび、キャリッジ5がスライド運動可能に取り付けられた少なくとも1本(この実施形態では2本)のスライドガイド6と、キャリッジ5をスライド運動させるキャリッジ駆動機構7とが備えられる。
【0055】
キャリッジ駆動機構7は、スライドガイド6の長さ方向に間隔をあけて配置されたモータ7aおよびプーリー7bを有している。モータ7aの駆動軸およびプーリー7bの回転軸は、駆動ローラ1およびアイドルローラ2に平行にのびている。
【0056】
モータ7aの駆動軸にはプーリー7cが固定され、プーリー7cおよびプーリー7b間に無端ベルト7dが掛け渡されてスライドガイド6に平行にのびている。無端ベルト7dにはキャリッジ5が固定されている。
【0057】
そして、無端ベルト7dがモータ7aによって正逆回転せしめられることで、キャリッジ5がスライドガイド6に沿って往復スライド運動し得る。
【0058】
4本の穴あき無端搬送ベルト3の上側ベルト部分3cおよび下側ベルト部分3d間において穴あき無端搬送ベルト3の長さ方向に往復運動可能に配置され、キャリッジ5に取り付けられた吸引ボックス(吸引部)8と、吸引ボックス8に直結されて、吸引ボックス8内に負圧を発生させる吸引ファン(吸気源)9とが備えられる。
【0059】
吸引ボックス8における上側ベルト部分3cに対向する面8aの送出方向における上流側は、吸着エリア12とされている。吸着エリア12には、複数の吸気穴(第1の吸気穴)8bが形成されるとともに、用紙集積体Sの上面が対向して配置される。
【0060】
吸引ボックス8の送出方向における吸着エリア12の下流側には支持手段10が設けられている。支持手段10は、面8aの上方に配置され、穴あき無端搬送ベルト3を幅方向に横切ってのびている。支持手段10における各穴あき無端搬送ベルト3に対応する位置に、4つの当接体11a~11dが支持されている。各当接体11a~11dは、対応する穴あき無端搬送ベルト3に圧接している。
そして、4つの当接体11a~11dは、中心線CLに関して対称的に配置されている。
【0061】
当接体11a~11dは、リタードローラからなっている。
【0062】
図1、
図2、
図3および
図5に示されているように、L字断面の固定板5aが、キャリッジ5の下面に取り付けられている。固定板5aは、吸引ボックス8の面8aに垂直にかつ穴あき無端搬送ベルト3を横切る方向(幅方向)にのびている。
【0063】
そして、支持手段10は、固定板5aを挟んで送出方向の上下流側に配置された第1および第2の支持板10a、10bを有している。第1および第2の支持板10a、10bは、穴あき無端搬送ベルト3を横切る向きにのび、それぞれ固定板5aに対し上下にスライド可能に取り付けられている。
【0064】
第1の支持板10aは逆U字状をなし、第1の支持板10aの各脚部の外側に穴あき無端搬送ベルト3の幅方向にのびる水平な支持軸10eが突設されている。これらの支持軸10eに、4つの当接体11a~11dのうちの両外側に位置する一対の当接体11a、11dが取り付けられている。
【0065】
第1の支持板10aの上端中央にバネ受け部10cが設けられ、バネ受け部10cおよび固定板5a間に、第1の支持板10aを常時固定板5aに対し下向きに付勢する(よって、一対の当接体11a、11dを対応する穴あき無端搬送ベルト3に押し付ける)圧縮バネ10dが配置されている。
【0066】
第2の支持板10bはT字状をなし、第2の支持板10bの下端に穴あき無端搬送ベルト3の幅方向にのびる水平な支持軸10hが設けられている。支持軸10hの両端に、4つの当接体11a~11dのうちの中央に位置する一対の当接体11b、11cが取り付けられている。
【0067】
第2の支持板10bの上端中央にバネ受け部10fが設けられ、キャリッジ5におけるバネ受け部10fに対応する位置には上下にのびる貫通穴が形成されている。そして、圧縮バネ10gが、その下端をバネ受け部10fに圧接させた状態で貫通穴に嵌め込まれ、貫通穴の上端開口が押さえ板5bによって閉鎖されている。
圧縮バネ10gによって、第2の支持板10bは常時固定板5aに対し下向きに付勢されている(よって、一対の当接体11b、11cは対応する穴あき無端搬送ベルト3に押し付けられている)。
【0068】
こうして、中心線CLに関して対称的に配置した4つの当接体11a~11dのうち、中心線CLに関して対称的な位置にある当接体の対11a、11d;11b、11cを別々に連結支持し、対応する穴あき無端搬送ベルト3に圧接させることによって、当接体11a~11dの穴あき無端搬送ベルト3への圧接力を中心線CLに関して均一にすることができ、それによって、用紙P1の重送だけでなく、用紙P1の斜行もまた確実に防止することができる。
【0069】
一対の排出ローラ13a、13bがキャリッジ5に取り付けられている。一対の排出ローラ13a、13bは、吸引ボックス8の送出方向の下流側の隣り合う穴あき無端搬送ベルト3間において、搬送路を挟んで上下に対向し、それぞれ送出方向に直角な水平軸のまわりに回転し得るようになっている。吸引ボックス8の面8a上の隣り合う穴あき無端搬送ベルト3間には、穴あき無端搬送ベルト3の長さ方向にのびる3つの昇降板14a~14cが設けられている。
一対の排出ローラ13a、13bの送出方向の下流側には、紙検知センサ13cが設けられている。紙検知センサ13cは、排出ローラ13a,13bから排出された用紙P1の先端を検出する。紙検知センサ13cの出力は、図示しない制御部へと送信される。
【0070】
3つの昇降板14a~14cは、中心線CLに関して対称的に配置されている。3つの昇降板14a~14cのうちの両外側の昇降板14a、14cは、吸着エリア12の吸気穴(第2の吸気穴)8bの範囲内にのびている。3つの昇降板14a~14cのうちの中央の昇降板14bは、例えば
図4(A)に示すように、送出方向における吸着エリア12の上流端(吸引ボックス8の上流端)から当接体11a~11dに対応する位置までのびている(以下では、場合によっては、昇降板14bを「拡張された昇降板14b」と呼ぶ)。
【0071】
拡張された昇降板14bは、
図4(A)に示すように、その幅方向の中心が中心線CLに一致するように(中心線CLに関し対称となるように)配置されている。
【0072】
昇降板14a~14cを上下に動作させる昇降板駆動機構15がキャリッジ5に設けられている。昇降板駆動機構15は、図示しない制御部によって制御される。昇降板駆動機構15は、昇降板14a~14cが面8aから離間して吸気穴8bを開放するとともに、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bよりも突出する第1の位置(
図2および
図3参照)と、昇降板14a~14cが面8aに圧接して吸気穴8bを閉鎖するとともに、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bと面一となる、または搬送面3bよりも下方に引っ込む第2の位置(
図5参照)との間で昇降板14a~14cを往復動させる。
【0073】
昇降板駆動機構15は、例えば
図2に示すように、吸引ボックス8の壁の各昇降板14a~14cに対向する位置に互いに昇降板14a~14cの長さ方向に間隔をあけて配置され、それぞれ当該壁を貫通してのびる2つのブッシュ16a、16bと、各ブッシュ16a、16bを貫通し、上端が対応する昇降板14a~14cの裏面に接続し、下端が吸引ボックス8内にのびるガイドロッド17a、17bとを有している。
【0074】
各ガイドロッド17a、17bの下端は単一の水平な連結板18によって結合され、圧縮バネ19a、19bが、各ガイドロッド17a、17bの吸引ボックス8内に突出する部分の外側を取り巻いて連結板18および吸引ボックス8間にのび、昇降板14a~14cを常時第2の位置に向けて付勢している。
【0075】
昇降板駆動機構15は、さらに、吸引ボックス8内の連結板18の下側において、互いに昇降板14a~14cの長さ方向に間隔をあけて、それぞれ昇降板14a~14cの幅方向に水平にのびる2本の回転軸21a、21bを有している。
【0076】
2本の回転軸21a、21bは、それぞれ、吸引ボックス8の内側底面に取り付けられた矩形状の支持フレームにおける昇降板14a~14cの長さ方向にのびる一対のフレーム部分20(例えば
図4(A),
図4(B)参照)に軸回りに回転可能に支持されている。
【0077】
図4(A),
図4(B)に示すように、2本の回転軸21a、21bのうちの一方の回転軸21bの一端は、フレーム部分20を貫通して、吸引ボックス8の外側に突出している。
【0078】
昇降板駆動機構15は、さらに、各回転軸21a、21b上における連結板18の両側に対応する位置に、回転軸21a、21bと一体的に回転可能に取り付けられた各一対の板カム22a、22a;22b、22bと、2本の回転軸21a、21bを同期して回転させるカム駆動機構23と、を有している。
【0079】
この場合、板カム22a、22bおよび連結板18は、
図5(A)に示すように、板カム22a、22bが下死点をとるとき、板カム22a、22bは連結板18から離間し、昇降板14a~14cが第2の位置をとる一方、
図2に示すように、板カム22a、22bが上死点をとるとき、連結板18が板カム22a、22bによって押し上げられ、昇降板14a~14cが第1の位置をとるように配置される。
【0080】
カム駆動機構23は、回転軸21aの一端側に固定されたプーリー24aと、回転軸21b上の、プーリー24aに対応する位置に固定されたプーリー24bと、プーリー24aおよびプーリー24b間に掛け渡された無端ベルト25とを有している。さらに、カム駆動機構23は、
図1(A)に示されているように、吸引ボックス8の外部においてキャリッジ5に固定され、駆動軸が回転軸21bに平行にのびるモータ26と、モータ26の駆動軸に固定されたプーリー27aと、回転軸21b上の、プーリー27aに対応する位置に固定されたプーリー27bと、プーリー27aおよびプーリー27b間に掛け渡された無端ベルト28とを有している。
【0081】
こうして、2本の回転軸21a、21bがモータによって同期回転せしめられ、それに伴って板カム22a、22bが回転する。
そして、板カム22a、22bが下死点をとるとき、昇降板14a~14cは第2の位置をとり、板カム22a、22bが上死点をとるときは、第1の位置をとる。
【0082】
図1(B)に示すように、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bにおける当接体11a~11dから搬送面3bの上流端uまでの領域が用紙集積エリア29を形成している。
【0083】
図1(A)及び
図1(B)に示すように、キャリッジ5に取り付けられたエアー吹出しユニット30が設けられている。エアー吹出しユニット30は、送出方向における当接体11a~11dの下流側であって、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bの上方に配置され、搬送面3bに沿って搬送方向上流側に向けて捌きエアーを吹き付ける。
なお、エアー吹出しユニット30は、必要に応じて備えられ、省略することも可能である。
【0084】
制御部は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPUと、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)と、ネットワーク等に接続するための通信部とを備えている。これら各部は、バスを介して接続されている。
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0085】
用紙集積エリア29の長さは、キャリッジ5の位置、すなわち、吸引ボックス8、当接体11a~11d、一対の排出ローラ13a、13bおよびエアー吹出しユニット30の位置を変更することによって、最小長(
図8(A)参照)および最大長(
図8(B)参照)の範囲内で変更自在となっている。
【0086】
それによって、給紙すべき用紙の長さが変更された場合であっても、用紙集積エリア29の長さを調節することで、用紙サイズの変更に容易かつ迅速に対応することができる。
【0087】
次に、本実施形態の給紙装置の動作を説明する。
図6は、
図1の給紙装置の給紙動作を説明する
図2に類似の図であり、
図7は、
図1の給紙装置の給紙動作を説明する
図3(A)に類似の図である。
【0088】
まず
図1を参照して、給紙装置の運転に先立って、穴あき無端搬送ベルト3の搬送路の上流端u(
図1(B)参照)に上流側の用紙処理装置が接続される一方、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bの下流端w(
図1(B)参照)には下流側の用紙処理装置が接続される。
【0089】
なお、
図1(B)において、上流側の用紙処理装置を代表して、当該用紙処理装置の用紙出口に設けられ、給紙装置の用紙集積エリア29を横切る方向にのびる搬送ローラ対31が描いてある。また、下流側の用紙処理装置を代表して、当該用紙処理装置の用紙入口に設けられ、給紙装置の穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bを横切る方向にのびる搬送ローラ対32が描いてある。
【0090】
次いで、処理すべき用紙の長さ(送出方向長さ)に合わせて、キャリッジ5の位置、すなわち、吸引ボックス8、当接体11a~11d、昇降板駆動機構15および一対の排出ローラ13a、13bおよびエアー吹出しユニット30の位置が調節され、用紙集積エリア29の長さが設定される。
【0091】
給紙装置および各用紙処理装置の運転が開始されると、最初の(最下位の)用紙P1が上流側の用紙処理装置の搬送ローラ対31によって搬送され、給紙装置の用紙集積エリア29に進入する。そして、最初の(最下位の)用紙P1の先端が当接体11a~11dと穴あき無端搬送ベルト3との当接部に到達する前に、
図6(A)および
図7(A)に示すように、昇降板14a~14cが第2の位置から第1の位置に上昇する。
【0092】
昇降板14a~14cが第1の位置をとると、吸着エリア12における昇降板14a~14cと対向する吸気穴(第2の吸気穴)8bは開放され、この開放された吸気穴8bから吸引ボックス8内に外気が流入するので、穴あき無端搬送ベルト3による吸着力が弱まる。それと同時に、吸着エリア12上の最初の(最下位の)用紙P1は穴あき無端搬送ベルト3から離間せしめられる。
それによって、吸着エリア12における穴あき無端搬送ベルト3の搬送力は低下する。
【0093】
こうして、最初の(最下位の)用紙P1は、当接体11a~11dによってブロックされた状態で用紙集積エリア29に留まっている。
【0094】
そして、次の用紙P2が搬送ローラ対31によって搬送されて、最初の(最下位の)用紙P1の上に集積されたタイミングで、下流側の用紙処理装置から給紙装置に対し給紙信号が発信され、給紙装置の給紙動作が開始される。
【0095】
この最初の(最下位の)用紙P1の給紙動作の開始のタイミングで、穴あき無端搬送ベルト3、吸引ファン9、エアー吹出しユニット30および一対の排出ローラ13a、13bが連続運転を開始するとともに、
図6(B)および
図7(B)に示すように、昇降板14a~14cが第1の位置から第2の位置に下降する。
【0096】
昇降板14a~14cが第2の位置をとると、吸着エリア12における昇降板14a~14cと対向する吸気穴8bは閉鎖され、外気は穴あき無端搬送ベルト3の通気穴3aを通じてのみ吸引ボックス8内に流入するので、穴あき無端搬送ベルト3の吸着力が強まる。それと同時に、最下位の用紙P1と穴あき無端搬送ベルト3が接触する。
それによって、吸着エリア12における穴あき無端搬送ベルト3の搬送力が増大する。
【0097】
こうして、最下位の用紙P1は、穴あき無端搬送ベルト3によって吸着されつつ搬送され、当接体11a~11dおよび穴あき無端搬送ベルト3間を通って送り出される。
【0098】
そして、最下位の用紙P1の先端が一対の排出ローラ13a、13bを通過したとき、紙検知センサ13cが用紙P1の先端を検出し、制御部の指示によって、
図6(C)および
図7(C)に示すように、昇降板14a~14cは第2の位置から第1の位置に上昇する。
【0099】
昇降板14a~14cが第1の位置をとると、吸着エリア12における昇降板14a~14cと対向する吸気穴8bは開放され、この開放された吸気穴8bから吸引ボックス8内に外気が流入するので、穴あき無端搬送ベルト3による吸着力が弱まる。それと同時に、吸着エリア12上の最下位の用紙P1は穴あき無端搬送ベルト3から離間せしめられる。
それによって、吸着エリア12における穴あき無端搬送ベルト3の搬送力が低下する。
【0100】
また、昇降板14a~14cが第1の位置をとると、最下位の用紙P1と次の用紙P2は送出方向を横切る向きに波打ち状にされる。
【0101】
さらに、拡張された昇降板14bについては、拡張された昇降板14bが第1の位置をとるとき、上記の作用効果が得られるのに加えて、最下位の用紙P1は拡張された昇降板14bによって、当接体11a~11dの直下および下流側においても持ち上げられ、当接体11a~11dに押し付けられかつ送出方向を横切る向きに波打ち状にされる。
【0102】
それによって、最下位の用紙P1と次の用紙P2との間に隙間が生じ、捌きエアーの用紙P1および用紙P2間への流入が促進されるとともに、当接体11a~11dによる用紙P2のブロック力がより増大する。
【0103】
こうして、最下位の用紙P1の送り出しは継続する一方、次の用紙P2は当接体11a~11dによって確実にブロックされる。
【0104】
その後、最下位の用紙P1の送り出しが完了したタイミングで下流側の用紙処理装置から給紙装置に対し給紙信号が送信され、この給紙信号に応答して、昇降板14a~14cは第1の位置から第2の位置に下降し、次の用紙P2の給紙動作が開始される。
【0105】
一方、一対の排出ローラ13a、13bを通過した最下位の用紙P1は、穴あき無端搬送ベルト3によって下流側の用紙処理装置の搬送ローラ対32間まで搬送された後、搬送ローラ対32によって下流側の用紙処理装置に取り込まれる。
【0106】
こうして、本実施形態によれば、吸引ボックス8の少なくとも吸着エリア12に昇降板14a~14cを配置し、昇降板14a~14cを所定のタイミングで昇降させることによって、穴あき無端搬送ベルト3による用紙の吸着力の強弱の切り替えと、用紙集積体Sの最下位の用紙P1および穴あき無端搬送ベルト3の接触と非接触の切り替えを同時に行うとともに、最下位の用紙P1の送り出しの際に用紙P1および次の用紙P2を送出方向を横切る向きに波打ち状としたので、用紙のサイズおよび厚さ等の差異が広範囲に及ぶ場合にも、用紙集積体から用紙を1枚ずつ確実に分離して供給することができる。
【0107】
すなわち、用紙集積体の最下位の用紙P1は、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bにて、吸引ボックス8の第1の吸気穴8bから通気穴3aを介して吸引されて吸着される。このように搬送面3bにて吸着された状態で用紙P1が搬送される。そして、用紙P1の先端が排出ローラ13a,13bに掴まれると、昇降板14a~14cが第2の位置から第1の位置へと動作させられる。これにより、用紙P1が昇降板14a~14cによって穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bから離間させられるとともに、昇降板14a~14cによって塞がれていた第2の吸気穴8bが開放される。用紙P1が穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bから離間させられることによって昇降板14a~14cと搬送面3bとの間で高さ位置の変化が生じ用紙P1が変形し、搬送中の用紙P1と該用紙P1に重ねられた次の用紙P2との分離が促進される。また、昇降板14a~14cによって塞がれていた第2の吸気穴8bが開放されることによって第1の吸気穴8bからの吸引力が低下して搬送面3bにおける用紙P1の吸着力が減少し、搬送中の用紙P1に続く次の用紙P2の搬送力を低減することができる。
【0108】
昇降板14bを当接体11b,11cの対応する位置または当接体11b,11cよりも送出方向の下流側まで延長して設けることとしたので、昇降板14bを第1の位置としたときに当接体11b,11cと穴あき無端搬送ベルト3との間に挟まれた用紙P1を昇降板14bによって大きく変形させることができる。これにより、搬送中の用紙P1とこれに続く次の用紙P2との形状を異ならせることで、次の用紙P2が当接体11b,11cに侵入しにくくなる。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者が本願の特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0110】
例えば、上記実施形態では、吸引ボックス8の送出方向の下流側に一対の排出ローラ13a、13bを配置し、用紙集積体Sの最下位の用紙P1の先端が一対の排出ローラ13a、13bを通過するタイミングで昇降板14a~14cを第2の位置から第1の位置に上昇させているが、一対の排出ローラ13a、13bは、本発明の必須構成要件ではなく、必要に応じて備えられる。
【0111】
なお、一対の排出ローラ13a、13bを備えない場合には、給紙動作の開始後、最下位の用紙P1が当接体11a~11dから所定の長さ送り出されたときに、昇降板14a~14cを第2の位置から第1の位置に上昇させればよい。
【0112】
また、上記実施形態では、当接体11a~11dをリタードローラから構成したが、当接体11a~11dとして、リタードローラの代わりに、例えば、板状またはブロック状の弾性体を用いることもできる。
【0113】
また、上記実施形態では、給紙装置は、2つの用紙処理装置間に配置され、上流側の用紙処理装置から排出される用紙を一時的に集積するとともに、集積した用紙の最下位の用紙を順次下流側の用紙処理装置に送給する給紙装置からなり、種々の用紙サイズに対応するために、用紙集積エリア29の長さが変更可能になっているが、給紙装置を通常の給紙装置として構成することもできる。
【0114】
本発明の給紙装置を通常の給紙装置とした場合には、用紙集積エリア29は、長さが固定された用紙積載エリアとして構成される。よって、この場合には、キャリッジ5、スライドガイド6およびキャリッジ駆動機構7は省略され、吸引ボックス8、当接体11a~11d、昇降板駆動機構15および一対の排出ローラ13a、13bおよびエアー吹出しユニット30は給紙装置のフレームに固定または支持される。
【0115】
また、上記実施形態では、給紙装置はボトムフィード方式の給紙装置からなっているが、
図9に示すように、上記実施形態の給紙装置を上下逆さまにするとともに、吸引ボックス8の吸着エリアに、用紙集積体Sの上面が対向して配置されるように構成することによって、給紙装置をトップフィード方式の給紙装置とすることができる。
【0116】
なお、
図9中、符号33は、給紙装置のフレームFに昇降可能に設けられ、用紙集積体Sがその上に載置される用紙載置台であり、符号34は、用紙載置台33の前方に近接して、かつ用紙載置台上の用紙集積体Sの前端面に対向して配置された垂直な揃え板であり、符号35は、用紙載置台33を昇降させる昇降機構である。
【0117】
こうして、給紙装置の給紙動作が開始されると、用紙集積体Sの最上位の用紙P1’が、穴あき無端搬送ベルト3によって吸着されつつ、揃え板34を越えて搬送され、当接体11a~11dおよび穴あき無端搬送ベルト間を通って送り出される。
この最上位の用紙P1’の送り出しの際に、次の用紙P2’が追従して揃え板34を越えて搬送された場合には、当接体11a~11dによって確実にブロックされる。
図9の変形例においても、
図1~
図8の実施形態と同様の効果が得られる。
【0118】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、上述した第1実施形態に対して、当接体11a~11dとしてリタードローラに代えて板状体とされた当接板を用いる点で相違する。その他については基本的に同様であるので、以下の説明では第1実施形態に対する相違点について説明し、共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
【0119】
図10に示されているように、キャリッジ5の下方に設けられた支持手段10に対して、当接板(当接体)40が取り付けられている。当接板40は、ゴム等の弾性体とされており、板形状を有している。当接板40は、
図10に示したように、鉛直方向に立設しており、幅広面が搬送方向に面する状態で設けられている。
図11に示すように、当接板40は、支持手段10の背面板10iによって背面側(搬送方向下流側:
図11において左側)が支持されるようになっている。当接板40の先端40aは、背面板10iよりも下方に突出している。この突出領域の範囲内で、当接板40の先端40a側が弾性変形する。当接板40は、支持手段10に対して取り外し可能とされている。これにより、当接板40が摩耗した場合などに簡便に交換することができる。
【0120】
当接板40の下端形状は、搬送方向から見た場合に、例えば、矩形、または、下方に向かって先細となる台形状とされている。当接板40の先端40aの下縁40bは、対向する受け板42の上面(接触面)42aに対して接触するように設けられている。
【0121】
受け板42は、平板形状とされており、吸引ボックス8の上の面8aに対して固定されている。受け板42の上面42aの高さは、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3bと同一高さとされている。したがって、穴あき無端搬送ベルト3の搬送面3b上を搬送される用紙は、受け板42の上面42a上を滑りながら通過する。
【0122】
当接板40の下縁40bと受け板42の上面42aとの接触状態は、1枚の用紙が通過できる程度となるように設定されている。この接触状態の設定は、支持手段10に設けられた高さ調整手段と、当接板40を下方へ付勢する圧縮バネ10d(
図10参照)によって行われる。
【0123】
当接板40の搬送方向上流側(
図11において右側)には、ガイド板44が設けられている。ガイド板44は、支持手段10側に固定されている。ガイド板44は、搬送方向に向かって受け板42との距離が漸次小さくなるように設けられた傾斜部44aを有している。傾斜部44aの延長線が当接板40の下縁40bに略一致するように傾斜部44aを設けることが好ましい。
【0124】
傾斜部44aの当接板40側には、R形状に折り曲げられて上方向に立設された突当て部44bが接続されている。突当て部44bは、当接板40との間に所定の隙間を空けて設けられている。当接板40の先端40aがガイド板44側に弾性変形した場合に、突当て部44bによって当接板40の変形を規制するようになっている。
【0125】
図12に示されているように、当接板40は、平面視した場合に左右に2つ設けられている。具体的には、4本の穴あき無端搬送ベルト3のうちの一方の端から2本の間と、他方の端から2本の間とのそれぞれに設けられている。なお、当接板40は、他の位置、すなわち、4本のうちの中央の2本の穴あき無端搬送ベルト3の間に設けても良いし、4本の穴あき無端搬送ベルトの外側に設けても良い。当接板40は、第1実施形態で説明したリタードローラと異なり、穴あき無端搬送ベルト3の上方には設けられていない。すなわち、
図11でも示したように、当接板40は、静止している受け板42上に設けられている。
【0126】
本実施形態では、3つの昇降板14a,14b,14cは、長手方向の寸法が同一とされている。したがって、3つの昇降板14a,14b,14cの当接板40側の端部は、当接板40よりも搬送方向上流側(
図12において右側)に位置している。
【0127】
第1実施形態のように中央の昇降板14bの長さを当接板40側に延長する場合には、
図13(A)及び
図13(B)に示すような延長部14dを中央の昇降板14bに取り付けるようにしても良い。
図14には、中央の昇降板14bに延長部14dを取り付けた状態が示されている。
図14に示したように、延長部14dを取り付けることによって、当接板40よりも搬送方向下流側に昇降板14bを延長することができる。
【0128】
図13(A)及び
図13(B)に示すように、延長部14dは、昇降板14a,14b,14cと同等の幅を有する板材である。延長部14dは、例えば、厚さ0.5mm程度とされ、ステンレス製とされている。延長部14dの長手方向における2箇所には、切り曲げによって形成されたクリップ部14d1が設けられている。
図14に示すように、中央の昇降板14bに形成された穴にクリップ部14d1を挿入した後に長手方向にスライドさせることによって、昇降板14bに対して延長部14dを固定する。
なお、延長部14dによって昇降板14bを延長させる構成は、第1実施形態に適用することもできる。
【0129】
本実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
当接板40は穴あき無端搬送ベルト3の間及び/又は穴あき無端搬送ベルト3の側方に設けられているので、当接板40が穴あき無端搬送ベルト3に対して接触して摺動することがない。これにより、当接板40の摩耗を低減することができる。
当接板40は弾性を有する板状体とされており、自由端とされた先端40aの下縁40bが用紙に当接するので、下縁40bが用紙に当接したときに弾性力をもって撓むことができる。これにより、用紙に対して適切な接触力を付与することができる。
【0130】
当接板40の下縁40bが接触する上面42aが受け板42に設けられ、この上面42aが穴あき無端搬送ベルト3の搬送面と同一高さとされているので、搬送面上を走行する用紙を変形することなく円滑に搬送することができる。
【0131】
ガイド板44を当接板40の上流側に設け、用紙先端をガイド板44の傾斜部44aに沿って案内することとした。これにより、用紙先端を当接板40の先端40aに確実に向けることができる。
傾斜部44aによって用紙先端が当接板40に当たった時に捲れるのを防ぐことができる。また、捲れた用紙が入って来た場合であっても、傾斜部44aによって抑えることができる。
【0132】
ガイド板44に突当て部44bを設け、当接板40がガイド板44側に弾性変形したときに突当て部44bに突き当たるようにした。これにより、当接板40の過度な変形を規制することができる。例えば、紙詰まりのときに用紙を搬送方向とは逆方向(ガイド板44側)に引き抜く際に、当接板40の先端40aも用紙にとともにガイド板44側に変形する。このときの当接板40の過度な変形を突当て部44bで抑制することができる。
【0133】
延長部14dを既設の昇降板14bに対して取り外し可能としたので、必要に応じて昇降板14bの長さを変更することができる。
【0134】
なお、上述した各実施形態において、用紙の積載量が所定値よりも多い場合には、昇降板14a,14b,14cを複数回上下させながらエアー吹出しユニット30(
図1参照)から捌きエアーを吹くこととしても良い。
【符号の説明】
【0135】
1 駆動ローラ
1a 回転軸
1b 第1のローラ要素
2 アイドルローラ
2a 軸
2b 第2のローラ要素
3 穴あき無端搬送ベルト(搬送ベルト)
3a 通気穴
3b 搬送面
3c 上側ベルト部分
3d 下側ベルト部分
4 ローラ駆動機構
4a プーリー
4b モータ
4c プーリー
4d 無端ベルト
5 キャリッジ
5a 固定板
5b 押さえ板
6 スライドガイド
7 キャリッジ駆動機構
7a モータ
7b プーリー
7c プーリー
7d 無端ベルト
8 吸引ボックス(吸引部)
8a 面
8b 吸気穴(第1の吸気穴,第2の吸気穴)
9 吸引ファン(吸気源)
10 支持手段
10a 第1の支持板
10b 第2の支持板
10c バネ受け部
10d 圧縮バネ
10e 支持軸
10f バネ受け部
10g 圧縮バネ
10h 支持軸
10i 背面板
11a~11d 当接体
12 吸着エリア
13a、13b 排出ローラ
13c 紙検知センサ
14a~14c 昇降板
14d 延長部
14d1 クリップ部
15 昇降板駆動機構
16a、16b ブッシュ
17a、17b ガイドロッド
18 連結板
19a、19b 圧縮バネ
20 フレーム部分
21a、21b 回転軸
22a、22b 板カム
23 カム駆動機構
24a、24b プーリー
25 無端ベルト
26 モータ
27a、27b プーリー
28 無端ベルト
29 用紙集積エリア
30 エアー吹出しユニット
31、32 搬送ローラ対
33 用紙載置台
34 揃え板
35 昇降機構
40 当接板(当接体)
40a 先端
40b 下縁
42 受け板
42a 上面(接触面)
44 ガイド板
44a 傾斜部
44b 突当て部
CL 中心線
F フレーム
S 用紙集積体
P1 最初の(最下位の)用紙
P1’ 最上位の用紙
P2 次の用紙
P2’ 次の用紙
u (搬送面の)上流端
w (搬送面の)下流端