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特開2022-45331腹腔鏡横断型外科用ステープル留めシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045331
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】腹腔鏡横断型外科用ステープル留めシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20220311BHJP
   A61B 17/072 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
A61B17/115
A61B17/072
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135337
(22)【出願日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】17/014,421
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エム. ファラシオニ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC22
4C160CC26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】腹腔鏡横断型外科用ステープル留めシステムの提供。
【解決手段】横断型外科用ステープル留めシステム10は、細長シャフトアセンブリ14と、遠位チューブと、アンビルアセンブリ30と、カートリッジアセンブリ40と、を備える。遠位チューブ24は、近位端部分と、遠位端部分と、を有する。遠位チューブの近位端部分は、細長シャフトアセンブリを支持する。アンビルアセンブリは、遠位チューブの遠位端部分上で支持される。カートリッジアセンブリは、アンビルアセンブリに対して移動可能な関係で遠位チューブ上に支持される。アンビルおよびカートリッジアセンブリは、遠位チューブに対して退縮位置と延伸位置の間で移動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断型外科用ステープル留めシステムであって、
細長シャフトアセンブリと、
近位端部分と、遠位端部分と、を有する、遠位チューブであって、前記遠位チューブの前記近位端部分は、前記細長シャフトアセンブリを支持する、遠位チューブと、
前記遠位チューブの前記遠位端部分上に支持されたアンビルアセンブリと、
前記アンビルアセンブリに対して移動可能な関係で前記遠位チューブ上に支持されたカートリッジアセンブリと、を備え、前記アンビルおよびカートリッジアセンブリは、前記遠位チューブに対して退縮位置と延伸位置との間で移動可能である、横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項2】
前記カートリッジアセンブリは、ねじりばねによってその前記延伸位置に向かってばねバイアスされている、請求項1に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項3】
前記アンビルアセンブリは、板ばねによってその前記延伸位置に向かってばねバイアスされている、請求項2に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項4】
前記細長シャフトアセンブリは、ロッキングロッドを含み、前記ロッキングロッドは、前記アンビルおよびカートリッジアセンブリによって受容可能であり、前記アンビルおよびカートリッジアセンブリをそれらの前記延伸位置にロックする、請求項1に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項5】
前記細長シャフトアセンブリは、前記カートリッジアセンブリに枢動可能に連結されたクランプロッドを含み、前記クランプロッドは、前記アンビルアセンブリに対して前記カートリッジアセンブリを平行移動させるように位置付けられている、請求項1に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項6】
前記細長シャフトアセンブリは、発射ロッドを含み、前記発射ロッドは、前記遠位チューブを通って平行移動して、前記カートリッジアセンブリからステープルを発射する、請求項1に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項7】
前記発射ロッドは、前記発射ロッドの遠位端部分に枢動可能に連結された発射ウェッジを含み、前記発射ウェッジは、前記カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられている、請求項6に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項8】
前記発射ウェッジは、前記遠位チューブ内の退縮位置と、前記発射ウェッジの遠位端が前記遠位チューブから前記遠位チューブに対して鋭角で延伸する延伸位置と、の間で枢動するように位置付けられている、請求項7に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項9】
前記アンビルアセンブリは、前記カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられた位置合わせピンアセンブリを含む、請求項1に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項10】
前記位置合わせピンアセンブリは、位置合わせピンを含み、前記位置合わせピンは、前記アンビルアセンブリに枢動可能に連結され、かつ、前記アンビルアセンブリ内の退縮位置と、前記位置合わせピンが前記アンビルアセンブリから前記アンビルアセンブリのアンビルを横切って延伸する延伸位置と、の間で移動するように位置付けられている、請求項9に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項11】
外科用ステープル留めシステムであって、
長手方向軸を画定する遠位チューブと、
前記遠位チューブ上にスライド可能に支持された外側チューブと、
細長シャフトアセンブリと、
アンビルアセンブリと、
前記遠位チューブ上に支持され、かつ、前記アンビルアセンブリに対して移動可能なカートリッジアセンブリと、を備え、前記カートリッジアセンブリは、長手方向軸と位置合わせされた第1の位置と前記長手方向軸を横切る第2の位置との間で移動可能である、外科用ステープル留めシステム。
【請求項12】
前記カートリッジアセンブリは、その前記第2の位置に向かってばねバイアスされている、請求項11に記載の外科用ステープル留めシステム。
【請求項13】
前記外側チューブは、前記カートリッジアセンブリが前記第1の位置から前記第2の位置に移動することを可能にするように、近位方向に移動可能である、請求項11に記載の外科用ステープル留めシステム。
【請求項14】
前記細長シャフトアセンブリは、ロッキングロッドを含み、前記ロッキングロッドは、前記カートリッジアセンブリによって受容可能であり、前記カートリッジアセンブリが前記長手方向軸に対して枢動することを防止する、請求項11に記載の外科用ステープル留めシステム。
【請求項15】
前記細長シャフトアセンブリは、前記カートリッジアセンブリに枢動可能に連結されたクランプロッドを含み、前記クランプロッドは、前記カートリッジアセンブリを前記アンビルアセンブリに対して平行移動させるように位置付けられている、請求項11に記載の外科用ステープル留めシステム。
【請求項16】
横断型外科用ステープル留めシステムであって、
長手方向軸を画定する遠位チューブと、
前記遠位チューブ上にスライド可能に支持された外側チューブと、
細長シャフトアセンブリと、
複数のステープルを支持するカートリッジアセンブリと、
前記遠位チューブ上に支持されたアンビルアセンブリと、を備え、前記アンビルアセンブリは、前記遠位チューブと位置合わせされた退縮位置と、前記アンビルアセンブリが前記遠位チューブを横切って延伸する延伸位置と、の間で枢動可能であり、前記アンビルアセンブリは、前記延伸位置において前記カートリッジアセンブリ内で支持された前記ステープルを形成する、横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項17】
前記細長シャフトアセンブリは、発射ロッドを含み、前記発射ロッドは、前記遠位チューブを通って平行移動して、前記カートリッジアセンブリから前記ステープルを発射する、請求項16に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項18】
前記発射ロッドは、前記発射ロッドの遠位端部分に枢動可能に連結された発射ウェッジを含み、前記発射ウェッジは、前記カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられている、請求項17に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項19】
前記発射ウェッジは、前記遠位チューブ内の退縮位置と、前記発射ウェッジの前記遠位端が前記遠位チューブから前記遠位チューブに対して鋭角で延伸する延伸位置と、の間で枢動するように位置付けられる、請求項18に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【請求項20】
前記アンビルアセンブリは、前記アンビルアセンブリに枢動可能に連結され、かつ、前記カートリッジアセンブリを選択的に係合するために退縮位置と延伸位置との間を移動するように位置付けられた位置合わせピンを含む、請求項16に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ステープル留めシステムに関し、より具体的には、組織をクランプ、切断、および接合するための横断型外科用ステープル留めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な身体構造を接合するとき、縫合に代わって、締結具が従来より使用されている。これらの締結具を適用するために採用される外科用ステープル留めシステムは、一般的に、同時に組織を切断および封止することにより、外科的処置に関わる時間およびリスクを低減するように設計されている。組織をクランプし、切断し、かつ/またはステープル留めする外科用ステープル留めシステムは、当該分野において周知である。これらの外科用ステープル留め器具は、例えば、横切開または切除の前に、あるいは吻合中に組織または器官を固定するために使用される。場合によっては、これらの外科用ステープル留め器具は、胸腔および腹部の処置で臓器を閉塞するために利用される。
【0003】
そのような外科用ステープル留め器具には、アンビルアセンブリと、外科用ステープルのアレイを支持するためのカートリッジアセンブリと、カートリッジとアンビルアセンブリとを近接させるための近接メカニズムと、カートリッジとアンビルアセンブリとの間に組織を捕捉し、近接および発射中にカートリッジとアンビルアセンブリとの間の位置合わせを維持するための位置合わせまたはガイドピンアセンブリと、カートリッジアセンブリから外科用ステープルを吐出するための発射メカニズムと、が含まれ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、横断型外科用ステープル留めシステムは、細長シャフトアセンブリと、遠位チューブと、アンビルアセンブリと、カートリッジアセンブリと、を備える。遠位チューブは、近位端部分と、遠位端部分と、を有する。遠位チューブの近位端部分は、細長シャフトアセンブリを支持する。アンビルアセンブリは、遠位チューブの遠位端部分上で支持される。カートリッジアセンブリは、アンビルアセンブリに対して移動可能な関係で遠位チューブ上に支持される。アンビルおよびカートリッジアセンブリは、遠位チューブに対して退縮位置と延伸位置の間で移動可能である。
【0005】
本開示の態様では、カートリッジアセンブリは、ねじりばねによってその延伸位置に向かってばねバイアスされ得る。アンビルアセンブリは、板ばねによってその延伸位置に向かってばねバイアスされ得る。
【0006】
本開示の態様では、細長シャフトアセンブリはロッキングロッドを含み得、ロッキングロッドは、アンビルおよびカートリッジアセンブリによって受容可能であり、アンビルおよびカートリッジアセンブリをその延伸位置にロックし得る。
【0007】
本開示の態様では、細長シャフトアセンブリは、カートリッジアセンブリに枢動可能に連結され得るクランプロッドを含み得る。クランプロッドは、カートリッジアセンブリをアンビルアセンブリに対して平行移動させるように位置付けられ得る。
【0008】
本開示の態様では、細長シャフトアセンブリは発射ロッドを含み得、発射ロッドは、遠位チューブを通って平行移動して、カートリッジアセンブリからステープルを発射し得る。発射ロッドは、発射ロッドの遠位端部分に枢動可能に連結された発射ウェッジを含み得る。発射ウェッジは、カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられ得る。発射ウェッジは、遠位チューブ内の退縮位置と、発射ウェッジの遠位端が遠位チューブに対して鋭角で遠位チューブから延伸する延伸位置と、の間で枢動するように位置付けられ得る。
【0009】
本開示の態様では、アンビルアセンブリは、カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられた位置合わせピンアセンブリを含み得る。位置合わせピンアセンブリは、アンビルアセンブリに枢動可能に連結され、かつ、アンビルアセンブリ内の退縮位置と、位置合わせピンがアンビルアセンブリからアンビルアセンブリのアンビルを横切って延伸する延伸位置と、の間で移動するように位置付けられた位置合わせピンを含み得る。
【0010】
本開示の別の態様によれば、外科用ステープル留めシステムは、長手方向軸を画定する遠位チューブと、遠位チューブ上にスライド可能に支持される外側チューブと、細長シャフトアセンブリと、アンビルアセンブリと、遠位チューブ上に支持され、かつ、アンビルアセンブリに対して移動可能なカートリッジアセンブリと、を備える。カートリッジアセンブリは、長手方向軸に位置合わせされた第1の位置と長手方向軸を横切る第2の位置との間で移動可能である。
【0011】
本開示の態様では、カートリッジアセンブリがその第2の位置に向かってばねバイアスされ得る。
【0012】
本開示の態様では、カートリッジアセンブリが第1の位置から第2の位置に移動することを可能にするように、外側チューブは、近位方向に移動可能であり得る。
【0013】
本開示の態様では、細長シャフトアセンブリはロッキングロッドを含み得、ロッキングロッドは、カートリッジアセンブリによって受容可能であり、前記カートリッジアセンブリが前記長手方向軸に対して枢動することを防止し得る。
【0014】
本開示の態様では、細長シャフトアセンブリは、カートリッジアセンブリに枢動可能に連結されたクランプロッドを含み得る。クランプロッドは、アンビルアセンブリに対してカートリッジアセンブリを平行移動するように位置付けられ得る。
【0015】
本開示のさらに別の態様によれば、横断型外科用ステープル留めシステムは、長手方向軸を画定する遠位チューブと、遠位チューブ上でスライド可能に支持される外側チューブと、細長シャフトアセンブリと、複数のステープルを支持するカートリッジアセンブリと、遠位チューブ上で支持されるアンビルアセンブリと、を備える。アンビルアセンブリは、遠位チューブと位置合わせされた退縮位置と、アンビルアセンブリが遠位チューブを横切って延伸する延伸位置と、の間で枢動可能である。アンビルアセンブリは、延伸位置においてカートリッジアセンブリ内で支持されたステープルを形成するように位置付けられる。
【0016】
本開示の態様では、細長シャフトアセンブリは発射ロッドを含み得、発射ロッドは、遠位チューブを通って平行移動して、カートリッジアセンブリからステープルを発射し得る。発射ロッドは、発射ロッドの遠位端部分に枢動可能に連結された発射ウェッジを含み得る。発射ウェッジは、カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられ得る。発射ウェッジは、遠位チューブ内の退縮位置と、発射ウェッジの遠位端が遠位チューブから遠位チューブに対して鋭角で延伸する延伸位置と、の間で枢動するように位置付けられ得る。
【0017】
本開示の態様では、アンビルアセンブリは、アンビルアセンブリに枢動可能に連結され、かつ、カートリッジアセンブリを選択的に係合するために退縮位置と延伸位置との間を移動するように位置付けられた位置合わせピンを含み得る。
【0018】
他の態様、特徴、および利点は、以下の説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
横断型外科用ステープル留めシステムであって、
細長シャフトアセンブリと、
近位端部分と、遠位端部分と、を有する、遠位チューブであって、上記遠位チューブの上記近位端部分は、上記細長シャフトアセンブリを支持する、遠位チューブと、
上記遠位チューブの上記遠位端部分上に支持されたアンビルアセンブリと、
上記アンビルアセンブリに対して移動可能な関係で上記遠位チューブ上に支持されたカートリッジアセンブリと、を備え、上記アンビルおよびカートリッジアセンブリは、上記遠位チューブに対して退縮位置と延伸位置との間で移動可能である、横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目2)
上記カートリッジアセンブリは、ねじりばねによってその上記延伸位置に向かってばねバイアスされている、上記項目に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目3)
上記アンビルアセンブリは、板ばねによってその上記延伸位置に向かってばねバイアスされている、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目4)
上記細長シャフトアセンブリは、ロッキングロッドを含み、上記ロッキングロッドは、上記アンビルおよびカートリッジアセンブリによって受容可能であり、上記アンビルおよびカートリッジアセンブリをそれらの上記延伸位置にロックする、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目5)
上記細長シャフトアセンブリは、上記カートリッジアセンブリに枢動可能に連結されたクランプロッドを含み、上記クランプロッドは、上記アンビルアセンブリに対して上記カートリッジアセンブリを平行移動させるように位置付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目6)
上記細長シャフトアセンブリは、発射ロッドを含み、上記発射ロッドは、上記遠位チューブを通って平行移動して、上記カートリッジアセンブリからステープルを発射する、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目7)
上記発射ロッドは、上記発射ロッドの遠位端部分に枢動可能に連結された発射ウェッジを含み、上記発射ウェッジは、上記カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目8)
上記発射ウェッジは、上記遠位チューブ内の退縮位置と、上記発射ウェッジの遠位端が上記遠位チューブから上記遠位チューブに対して鋭角で延伸する延伸位置と、の間で枢動するように位置付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目9)
上記アンビルアセンブリは、上記カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられた位置合わせピンアセンブリを含む、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目10)
上記位置合わせピンアセンブリは、位置合わせピンを含み、上記位置合わせピンは、上記アンビルアセンブリに枢動可能に連結され、かつ、上記アンビルアセンブリ内の退縮位置と、上記位置合わせピンが上記アンビルアセンブリから上記アンビルアセンブリのアンビルを横切って延伸する延伸位置と、の間で移動するように位置付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目11)
外科用ステープル留めシステムであって、
長手方向軸を画定する遠位チューブと、
上記遠位チューブ上にスライド可能に支持された外側チューブと、
細長シャフトアセンブリと、
アンビルアセンブリと、
上記遠位チューブ上に支持され、かつ、上記アンビルアセンブリに対して移動可能なカートリッジアセンブリと、を備え、上記カートリッジアセンブリは、長手方向軸と位置合わせされた第1の位置と上記長手方向軸を横切る第2の位置との間で移動可能である、外科用ステープル留めシステム。
(項目12)
上記カートリッジアセンブリは、その上記第2の位置に向かってばねバイアスされている、上記項目に記載の外科用ステープル留めシステム。
(項目13)
上記外側チューブは、上記カートリッジアセンブリが上記第1の位置から上記第2の位置に移動することを可能にするように、近位方向に移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めシステム。
(項目14)
上記細長シャフトアセンブリは、ロッキングロッドを含み、上記ロッキングロッドは、上記カートリッジアセンブリによって受容可能であり、上記カートリッジアセンブリが上記長手方向軸に対して枢動することを防止する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めシステム。
(項目15)
上記細長シャフトアセンブリは、上記カートリッジアセンブリに枢動可能に連結されたクランプロッドを含み、上記クランプロッドは、上記カートリッジアセンブリを上記アンビルアセンブリに対して平行移動させるように位置付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めシステム。
(項目16)
横断型外科用ステープル留めシステムであって、
長手方向軸を画定する遠位チューブと、
上記遠位チューブ上にスライド可能に支持された外側チューブと、
細長シャフトアセンブリと、
複数のステープルを支持するカートリッジアセンブリと、
上記遠位チューブ上に支持されたアンビルアセンブリと、を備え、上記アンビルアセンブリは、上記遠位チューブと位置合わせされた退縮位置と、上記アンビルアセンブリが上記遠位チューブを横切って延伸する延伸位置と、の間で枢動可能であり、上記アンビルアセンブリは、上記延伸位置において上記カートリッジアセンブリ内で支持された上記ステープルを形成する、横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目17)
上記細長シャフトアセンブリは、発射ロッドを含み、上記発射ロッドは、上記遠位チューブを通って平行移動して、上記カートリッジアセンブリから上記ステープルを発射する、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目18)
上記発射ロッドは、上記発射ロッドの遠位端部分に枢動可能に連結された発射ウェッジを含み、上記発射ウェッジは、上記カートリッジアセンブリと係合するように位置付けられている、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目19)
上記発射ウェッジは、上記遠位チューブ内の退縮位置と、上記発射ウェッジの上記遠位端が上記遠位チューブから上記遠位チューブに対して鋭角で延伸する延伸位置と、の間で枢動するように位置付けられる、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(項目20)
上記アンビルアセンブリは、上記アンビルアセンブリに枢動可能に連結され、かつ、上記カートリッジアセンブリを選択的に係合するために退縮位置と延伸位置との間を移動するように位置付けられた位置合わせピンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の横断型外科用ステープル留めシステム。
(摘要)
横断型外科用ステープル留めシステムは、細長シャフトアセンブリと、遠位チューブと、アンビルアセンブリと、カートリッジアセンブリと、を備える。遠位チューブは、近位端部分と、遠位端部分と、を有する。遠位チューブの近位端部分は、細長シャフトアセンブリを支持する。アンビルアセンブリは、遠位チューブの遠位端部分上で支持される。カートリッジアセンブリは、アンビルアセンブリに対して移動可能な関係で遠位チューブ上に支持される。アンビルおよびカートリッジアセンブリは、遠位チューブに対して退縮位置と延伸位置の間で移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の態様を例示し、上述の開示の一般的な説明、および以下の詳細な説明と一緒に、本開示の原理を説明する役割を果たしている。
【0020】
図1図1は、本開示の原理に従った例示的な外科用ステープル留めシステムの斜視図である。
図2図2は、図1の(部品を分離した)外科用ステープル留めシステムの斜視図である。
図3図3は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射ウェッジの拡大斜視図である。
図4図4および図5は、図2に示される細部の表示領域の拡大図である。
図5図4および図5は、図2に示される細部の表示領域の拡大図である。
図6図6は、外科用カニューレアセンブリに関連する図1の外科用ステープル留めシステムの斜視図であり、ここで、外科用ステープルシステムの外側チューブを明確にするために外科用ステープル留めシステムがファントムで示された状態で、該外科用ステープル留めシステムが第1の位置に示されている。
図7図7は、図6に示した細部の指示領域の拡大斜視図である。
図8図8は、図6の外科用カニューレアセンブリを介して組織に挿入された外科用ステープル留めシステムを示す斜視図である。
図9図9は、図6に示された9-9断面線に沿った図1の外科用ステープル留めシステムの拡大断面図である。
図10図10は、図9に示した細部の指示領域の拡大図である。
図11図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図12図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図13図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図14図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図15図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図16図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図17図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図18図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図19図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図20図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図21図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図22図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図23図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
図24図11図24は、図1の外科用ステープル留めシステムの発射を示す進行図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
開示された外科用ステープル留めシステムの態様は、図面を参照して詳細に説明されるが、ここで、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示している。一般に既知であるように、「臨床医」という用語は、医師、看護師、または任意の他の医療提供者を指し、医療支援従事者を含み得る。追加的に、「近位」という用語は、臨床医により近い構造の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医からより遠い構造の部分を指す。加えて、前側、後側、上側、下側、頂部、底部などの方向の用語は、単に説明の便宜のために使用されており、本明細書に添付の開示を限定することを意図するものではない。
【0022】
以下の記載では、周知の機能または構成が、本開示を不必要に詳細に示して不明瞭にすることを避けるために、詳細には記載されていない。
【0023】
さらに、本明細書に記載の外科用器具は、簡潔にするために手動の外科用ステープル留めシステムに関連して提供されるが、開示される外科用ステープル留めシステムは電動で、かつ/または、ロボット制御され得る。1つ以上の構成要素が含まれ得るか、または、開示された態様で使用するために変更され得る、例示的な外科用ステープル留めシステムの構造および機能の詳細な説明については、米国特許第10,575,849号、10,004,504号、9,675,356号を参照することができ、これらの各々の全内容が参照により本明細書に援用される。
【0024】
簡単に言えば、本開示は、低位前方切除術(LAR)などの開放性および腹腔鏡外科用ステープル留め処置を実施するための構造および方法を詳述する。LARは、直腸の癌性部分を切除して、その直腸の残りの健康な部分を外科用ステープル留め装置で結腸に再接続できるようにする、直腸の癌を治療するためによく行われる手術である。通常、この処置は、開放性処置として実行される。有利なことに、開示された外科用ステープル留めシステムによって、臨床医はそのような処置を開放式、または、腹腔鏡下で実行することができる。特に、開示された外科用ステープル留めシステムは、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、該アンビルおよびカートリッジアセンブリは、外科用カニューレアセンブリまたはトロカールを通して挿入するための退縮位置と、発射時にアンビルおよびカートリッジアセンブリがそれらの間で組織をクランプ、切断、およびステープル留めするために(例えば、ギロチンタイプのステープラー装置の)外科用ステープル留めシステムから横方向に延伸する延伸位置と、の間で移動可能である。
【0025】
図1~3を参照すると、本開示の外科用ステープル留めシステム10は、細長シャフトアセンブリ14上に支持され、かつ、相互間の相対的な軸方向移動のために位置付けられたハウジングチューブ12を含む。細長シャフトアセンブリ14は、遠位方向にエンドエフェクタ16まで延伸し、長手方向軸「L」をそれに沿って画定する。エンドエフェクタ16は、アンビルアセンブリ30と、カートリッジアセンブリ40と、を含む。アンビルアセンブリ30およびカートリッジアセンブリ40は、組織「T」(図6および8を参照)内の手術部位にアクセスするために、例えば、外科用カニューレアセンブリ、すなわち、トロカール99などを介して選択的に前進するために退縮位置と延伸位置との間で移動可能である。カートリッジアセンブリ40は、外科用ステープル留めシステム10の発射時にアンビルアセンブリ30に対して形成するための複数のステープル42を収容する。細長シャフトアセンブリ14は、ステープル42を発射するための発射ロッド18と、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40を延伸位置に維持するためのロッキングロッド20と、アンビルアセンブリ30に対してカートリッジアセンブリ40を移動させてそれらの間に組織をクランプするためのクランプロッド22と、を含む。
【0026】
細長シャフトアセンブリ14の発射ロッド18、ロッキングロッド20、およびクランプロッド22は、遠位チューブ24の近位端部分上で、かつ、遠位チューブ24内で移動可能に支持されている。
【0027】
発射ロッド18は、その底面上にガイドチャネル18aを画定し、ガイドチャネル18aは、クランプロッド22に沿って軸方向に延伸する支持リブ22a上で発射ロッド18をスライド可能に支持する。発射ロッド18は、その近位端部分の駆動ハンドル18bと、その遠位端部分のピン穴18cと、をさらに含む。
【0028】
ロッキングロッド20は、クランプロッド22を介して画定された管腔22b内でスライド可能かつ回転可能に配置されている。ロッキングロッド20は、その近位端部分の把持ハンドル20aと、その遠位端部分のねじ付き先端20bと、を含む。
【0029】
発射ロッド18の遠位端部分のピン穴18cおよび発射ウェッジ26のピン穴26aは、それらを介して枢動ピン28を受容し、発射ロッド18および発射ウェッジ26を相互に枢動可能に連結して、それによって、発射ウェッジ26が退縮位置と延伸位置との間で枢動可能となっている。発射ウェッジ26はさらにその近位端部分に沿った角度付けられたロッドチャネル26bを画定し、この近位端部分は、発射ウェッジ26を延伸位置にロックするために角度付けられたロッドチャネル26bを介してロッキングロッド20を受容する。発射ウェッジ26は、発射歯26cまで遠位方向に延伸する。
【0030】
クランプロッド22は、クランプロッド22の隆起トラック22dを通るピンチャネル22cを画定し、隆起トラック22dは、それらの間の発射ウェッジ26を横方向に支持する。ピンチャネル22cは、その中で枢動ピン28をスライド可能に支持して、それにより、発射ロッド18および発射ウェッジ26はクランプロッド22に対して軸方向に容易に移動可能となる。クランプロッド22の遠位端部分は、その中に画定されたピン穴22eをさらに含む。ピン穴22eは、クランプロッド22の遠位端部分をカートリッジアセンブリ40に固定するための枢動ピン22fを収容する。枢動ピン22fは、ねじりばね22gに連結されており、ねじりばね22gは、カートリッジアセンブリ40をその延伸位置にバイアス、すなわち、付勢する。
【0031】
遠位チューブ24は、それに沿って、開放遠位チャネル24aおよび開放近位チャネル24bを画定する。開放近位チャネル24bは、開放遠位チャネル24aの上に隆起し、発射ウェッジ26が遠位チューブ24に対して延伸位置と退縮位置との間を移動することができるように位置付けられる。遠位チャネル24aは、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40が、遠位チューブ24に対してそれぞれの延伸位置および退縮位置の間を移動することができるように位置付けられる。遠位チューブ24は、それを通過するピン開口部24cを画定する。ピン開口部24cは、アンビルアセンブリ30をその延伸位置と退縮位置との間で遠位チューブ24の遠位端に対して枢動することを可能にするためのねじ付き枢動ピン24dを受容する。遠位チューブ24は、クランプロッド22をスライド可能に受容するために、その内面に沿って内側サイドチャネル24fをさらに画定する。
【0032】
ここで図4を参照すると、エンドエフェクタ16のカートリッジアセンブリ40は、ステープル42と、プッシャ44と、ナイフ46と、を支持する。カートリッジアセンブリ40は、近位ハウジング48と、遠位ハウジング49と、を含む。ステープル42は、複数の列に配置されている。プッシャ44は、ステープル42の複数の列と位置合わせされる複数のプッシャバー44aを含む。プッシャ44は、ガイドタブ44bを含む。ガイドタブ44bは、遠位ハウジング49との位置合わせを容易にし、かつ、それを通してナイフ46を受容するためにその背骨に沿ってナイフスロット44cを画定する。また、プッシャ44は、それを通過する位置合わせピン穴44dと、ナイフスロット44cに沿って離間した位置にナイフタブ用凹部44fと、を画定する。ナイフ42は、プッシャ44のナイフタブ用凹部44fに設置される近位タブ46aと、遠位刃先46bと、を含む。近位ハウジング48は、その背骨に沿って、発射ウェッジ26を受容するための細長ウェッジチャネル48aと、カートリッジアセンブリ40をその延伸位置にロックするためのロッキングロッド20を受容するためのねじ付きロッド通路48bと、を画定する。近位ハウジング48は、位置合わせ凹部48cと、装着開口48dと、をさらに含み、これにより、近位ハウジング48を遠位ハウジング49へ位置合わせおよび固定することができる。また、近位ハウジング48は、プッシャ44の位置合わせピン穴44dと整列して配置された位置合わせピン穴48eを含む。さらに、近位ハウジング48は、その中に枢動ピン22fを受容する枢動ピン穴48fを画定して、それにより、カートリッジアセンブリ40がその退縮位置と延伸位置との間で回転することができるようになっている。遠位ハウジング49は、近位および遠位ハウジング48、49を相互に位置合わせするために近位ハウジング48の位置合わせ凹部48cに受容される位置合わせタブ49aを含む。装着タブ49bは、遠位ハウジング49の側壁から延伸し、かつ、近位および遠位ハウジング48、49を相互に固定するために、近位ハウジング48の装着開口48d内に受容可能である。複数のガイドチャネル49cが、プッシャ44のガイドタブ44bをその中に受容するために、遠位ハウジング49の内面に沿って画定されている。
【0033】
図11を簡単に参照すると、遠位ハウジング49はまた、遠位面またはその組織接触面に複数列のステープル保持スロット49dと、ナイフスロット49eと、を画定する。ステープル保持スロット49dの複数の列は、それを通してステープル42を発射可能とするために、複数のステープル42と整列して配置される。
【0034】
ここで図5を参照すると、エンドエフェクタ16のアンビルアセンブリ30は、第1のハウジング32と、位置合わせピンアセンブリ34と、板ばね35と、ナイフストップ36と、第2のハウジング37と、アンビル38と、を含む。アンビルアセンブリ30の第1のハウジング32は、枢動ピン24dおよびねじ付き枢動ピン24dを受容するねじ付き枢動ピン穴32aと、ロッキングロッド20のねじ付き先端20bを受容するように位置付けられたねじ付きロッド開口32bと、を画定する。第1のハウジング32は、板ばねマウント32cをさらに含み、かつ、板ばね35の第1のハウジング32への固定を容易にする板ばねチャネル32dを画定する。また、第1のハウジング32は、ばねポスト32eを含み、かつ、位置合わせピンアセンブリ34を支持するためのカプラピン開口32fを画定する。第1のハウジング32は、さらにナイフストップレッジ33gを含む。ナイフストップレッジ33gは、第1のハウジング32上にナイフストップ36を支持し、かつ、(例えば、取り付け開口32h内で受容可能な第1と第2のハウジング32、37の間に延伸する様々なピン、および/または、ポストを介して)第1および第2のハウジング32、37を相互に固定することを容易にする取り付け開口32hを画定する。また、第1のハウジング32は、枢動ピン開口部32iと、枢動プレートスロット32k(図11を参照)と、を含む。枢動プレートスロット32kは、枢動ピン32jを受容して、それにより第1のハウジング32の位置合わせピンアセンブリ34を連結し、かつ、第1のハウジング32に対する位置合わせピンアセンブリ34の枢動移動を容易にする。第1のハウジング32は、それを通して画定された角度付けられたスライドチャネル32mをさらに含む。第2のハウジング37は、第1のハウジング32の角度付けられたスライドチャネル32mに対して鏡像関係にある角度付けられたスライドチャネル32mを含む。
【0035】
板ばね35は、スネア部分35aを含み、スネア部分35aはそれを通して画定されるスネア開口部35bを備え、スネア開口部35bによって、スネア部分35aは第1のハウジング32の板ばねマウント32cに固定することを可能にする。また、板ばね35は、スネア部分35aから延伸し、かつ、第1のハウジング32の板ばねチャネル32dに受容されるばね指35cを含む。ばね指35cは、屈曲位置と非屈曲位置(図5を参照)との間で移動可能である。屈曲位置では、ばね指35cの遠位端がスネア部分35aと位置合わせされ、かつ、外科用ステープル留め装置10の長手方向軸「L」に平行であり、非屈曲位置では、ばね指35の遠位端がスネア部分35aおよび外科用ステープル留めシステム10の長手方向軸「L」を横切っている。板ばね35は、アンビルアセンブリ30が外科用ステープル留め装置10の長手方向軸「L」を横切るその延伸位置にアンビルアセンブリ30をバイアス、すなわち、付勢するように位置付けられている。
【0036】
アンビルアセンブリ30の位置合わせピンアセンブリ34は、枢動プレート342と、ドライブアーム344と、カプラ345と、エルボー346と、カラー347と、位置合わせピン348と、圧縮ばね349と、を含む。枢動プレート342は、駆動ランプ342aと、枢動ピン32jに連結する第1のピン開口部342bと、ドライブアーム344に連結する第2のピン開口342cと、を含む。ドライブアーム344は、その第1の端部に枢動プレート342の第2のピン開口部342cに連結する枢動プレートポスト344aと、その第2の端部に枢動ピン344cを受容するクレビス344bと、を含む。また、ドライバアーム344は、ばね349の第1の端部が連結するばねナブ344dを含む。ばね349の第2の端部は、第1のハウジング32のばねポスト32eに連結する。カプラ345は、ドライバアーム344のクレビス344bに装着され、かつ、第1のハウジング32のカプラピン開口32fおよび第2のハウジング37で画定される対応する開口(図示せず)に固定するためにそこから延伸するサイドピン345aを含む。さらに、カプラ345は、エルボースロット345bをそれらの間に画定し、エルボースロット345bは、ピン344cによってエルボー346をドライバアーム344のクレビス344bに連結させるためにエルボー346をその中に受容する。エルボー346は、その第1の端部にピン穴346aを画定し、ピン穴346aは、ピン344cをその中に受容する。また、エルボー346は、その第2の端部にピン穴346bを画定し、ピン穴346bは、ピン348aをその中に受容する。カラー347は、ピン348aを所定の位置に維持し、位置合わせピン348をエルボー346に固定するために、エルボー346および位置合わせピン348に連結する。第1および第2のハウジング32、37は、装着ナブ37aを含み、取り付けナブ37aは、アンビル38を介して画定されたナブ開口部38aを通じて第1および第2のハウジング32、37にアンビル38を保持する。さらに、アンビル38はその組織接触面に複数列のステープル形成ポケット38bを画定する。
【0037】
図1~24に示すように、外科用ステープル留め装置10は、使用時は、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40が退縮位置にある状態で外科用カニューレアセンブリ99を介して組織「T」に挿入される(図8を参照)。退縮位置では、外科用ステープル留めシステム10の輪郭を低減し、外科用カニューレアセンブリ99を介して画定された密封通路に容易に挿入するために、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40のそれぞれの長さが、外科用ステープル留め装置10の長手方向軸「L」に対して平行関係に配置されるように、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40が配向されている。外科用ステープル留め装置10が生体内の手術部位に隣接して位置付けられた状態で、ハウジングチューブ12を近位側に退縮させることができ、それにより、板ばね35およびねじりばね22g(図2を参照)によって、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40が、それらのそれぞれの延伸位置に向かって付勢される(図11および12を参照)。ロッキングロッド20は、発射ウェッジ26の角度付けられたロッドチャネル26bを介して軸方向に平行移動して、発射ウェッジ26を遠位チューブ24に対してその延伸位置に向かって枢動ピン28の周りで枢動させることができる。ロッキングロッド20が発射ウェッジ26を介して位置決めされているため、ロッキングロッド20は、発射ウェッジ26をその延伸位置に(例えば、長手方向軸「L」に対して鋭角に)ロックする。カートリッジアセンブリ40のねじ付きロッド通路48bを通じてロッキングロッド20を継続的に遠位方向へ前進させると、ロッキングロッド20が長手方向軸「L」に対して平行移動かつ回転し、それによってカートリッジアセンブリ40がその延伸位置にロックされる。次に、ロッキングロッド20は、アンビルアセンブリ30のねじ付きロッド開口32bとのねじ係合まで遠位方向に前進し、アンビルアセンブリ30をその延伸位置にロックする。
【0038】
ロッキングロッド20の継続的な回転、すなわち、ロッキングロッド20のねじ付き先端20bをねじ付きロッド開口32bに遠位方向にねじ込むと、ロッキングロッド20のねじ付き先端20bが位置合わせピンアセンブリ34の枢動プレート342と係合する。それにより、枢動プレート342が枢動ピン32jを中心に下向きに回転して、ドライブアーム344を圧縮ばね349のバイアスに逆らって下向きに引っ張る。その結果、枢動ピン344cが第1および第2のハウジング32、37の角度付けられたスライドチャネル32mに沿って下向きにスライドするため、エルボー346は位置合わせピン348をその延伸位置に枢動させる。位置合わせピン348が延伸位置で、かつ、アンビルアセンブリ30のアンビル38を横切って配置された状態で、クランプロッド22を軸方向に前進させることでカートリッジアセンブリ40をアンビルアセンブリ30に向かって移動させ、それらの間で組織を捕捉することができる。最後に、発射ロッド18は、遠位方向に前進され、発射ウェッジ26の発射歯26cが、カートリッジアセンブリ40の細長ウェッジチャネル48a内に受容されて、ステープル42をクランプされた組織に固定するため、かつ、クランプされ、ステープルで留められた組織を切断するために、プッシャ44、ステープル42、およびナイフ36を遠位方向に駆動させる。発射ロッド18、ロッキングロッド20、およびクランプロッド22は、遠位チューブ24に対して近位方向に引き寄せることができる。ハウジングチューブ12は、遠位チューブ24に対して遠位方向に前進させることができ、それにより、アンビルおよびカートリッジアセンブリ30、40(および発射ウェッジ26)をその延伸位置からその退縮位置に移動させることができる。外科用ステープル留めシステム10の構成要素がその退縮位置に配置されるときは、外科用ステープル留めシステム10を外科用カニューレアセンブリ10から引き抜くことができる。
【0039】
本開示を読む当業者が理解するように、本明細書に開示される様々な態様はロボット外科システムとともに動作するように構成することもできる(一般的に「遠隔手術」と称されている)。このようなシステムは、臨床医を支援し、外科用器具の遠隔操作(または部分的な遠隔操作)を可能にするために、様々なロボット要素を採用している。様々なロボットアーム、歯車、カム、滑車、電気モータ、および機械モータなどが、この目的のために使用され得、手術または治療の過程で臨床医を援助するためのロボット外科システムとともに設計され得る。このようなロボットシステムは、遠隔操縦可能システム、自動フレキシブル外科用システム、遠隔フレキシブル外科用システム、遠隔関節運動外科用システム、無線外科用システム、モジュール式または選択的に構成可能な遠隔動作式外科手術システムなどを含み得る。
【0040】
ロボット外科用システムは、手術室に隣接するか、または遠隔場所に位置する1つ以上のコンソールとともに用いられ得る。この場合、臨床医の1つのチームは、手術のために患者を準備し得、かつ別の臨床医(または臨床医のグループ)がロボット外科システムを介して器具を遠隔的に制御しながら、本明細書で開示される器具のうちの1つ以上を用いてロボット外科システムを構成し得る。理解され得るように、高度に熟練した臨床医は、自身の遠隔コンソールを離れることなく、複数の場所で複数の動作を実施することができ、これは、経済的に有益であり、患者または一連の患者にとっての利益となり得る。例示的な医療用ワークステーションおよび/またはその構成要素の詳細な説明については、米国特許出願公開第2012/0116416号およびPCT出願公開第WO2016/025132号を参照することができ、各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
理解され得るように、本開示のシステムの構成要素のうちのいずれかの固定は、溶接、圧着、接着、締結などのような既知の固定技術を使用して達成され得る。
【0042】
当業者であれば、本明細書において具体的に説明され、添付の図面に示される構造および方法が、非限定的で例示的な態様であること、ならびに説明、開示、および図面が、単に特定の態様を例示しているものと解釈されるべきであることを理解するであろう。したがって、本開示が、説明される正にその態様に限定されるものではないこと、ならびに様々な他の変更および修正が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、当業者によりなされ得ることが理解されよう。さらに、例示的な一態様に関連して図示または記載された要素および特徴が、本開示の範囲から逸脱することなく、別の要素および特徴と組み合わせることができること、ならびにそのような変更および変形もまた、本開示の範囲内に含まれることが意図されていることが想定される。実際、本明細書に開示されている要素および特徴のいずれかの任意の組み合わせは、本開示の範囲内にある。したがって、本開示の発明の対象は、特に図示および記載されているものによって限定されるものではない。
図1
図2
図3
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図5
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図10
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