(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045349
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】3Dブリント物体の熱マーキング
(51)【国際特許分類】
B29C 64/118 20170101AFI20220311BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20220311BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20220311BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220311BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220311BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220311BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220311BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/106
B29C64/268
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144461
(22)【出願日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】17/014,672
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ナヴィーン・チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジー.・ツヴァルツ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AB12D
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL25
4F213WL52
4F213WL78
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プリント物体をマーキングするための方法、非一時的コンピュータ可読媒体、及び装置を提供する。
【解決手段】プリント物体をマーキングするための方法であって、溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して三次元(3D)物体110をプリントすることと、3D物体の表面上にマーキングされるのに所望の色マーキングを受信することと、所望の色マーキングに従って、3D物体の熱処理層上でエネルギを発するように点エネルギ源104を制御することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して、三次元(3D)物体をプリントすることと、
前記3D物体の表面上にマーキングされるのに所望の色マーキングを受信することと、
前記所望の色マーキングに従って、前記3D物体の熱処理層上でエネルギを発するように、点エネルギ源を制御することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記3D物体の前記熱処理層が、前記3D物体をプリントするように前記FFFプリンタによって押し出されるフィラメント材料と混合される添加剤を介して形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱処理層が、前記3D物体の外殻としてプリントされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱処理層は、前記3D物体がプリントされた後にコーティングとして適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱処理層が、浸漬プロセス又はスプレーコーティングプロセスを介して適用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理層が、前記FFFプリンタによって押し出されるフィラメント材料の押し出し温度よりも高い温度で色を変化させる添加剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記添加剤が、マトリックスにおいてロイコ染料及び酸顕色剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ロイコ染料が、クリスタルバイオレットラクトン、トリアリールメタン、硫黄染料、建染染料、又はフルオラン染料のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所望の色マーキングが、複数の色を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理層が、異なる添加剤を含み、前記異なる添加剤の各々1つが、異なる温度で色が変化して、前記熱処理層に前記複数の色を生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記点エネルギ源が、5ワット~50ワットのエネルギを発するレーザを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記複数の命令が、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに動作を行わせ、前記動作が、
溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して、三次元(3D)物体をプリントすることと、
前記3D物体の表面上にマーキングされるための所望の色マーキングを受信することと、
前記所望の色マーキングに従って、前記3D物体の熱処理層上でエネルギを発するように、点エネルギ源を制御することと、を含む、非一次的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記3D物体の前記熱処理層が、前記3D物体をプリントするように前記FFFプリンタによって押し出されるフィラメント材料と混合される添加剤を介して形成される、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記熱処理層は、前記3D物体がプリントされた後にコーティングとして適用される、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記熱処理層が、前記FFFプリンタによって押し出されるフィラメント材料の押し出し温度よりも高い温度で色が変化する添加剤を含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記添加剤が、マトリックスにおいてロイコ染料及び酸顕色剤を含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記ロイコ染料が、クリスタルバイオレットラクトン、トリアリールメタン、硫黄染料、建染染料、又はフルオラン染料のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記所望の色マーキングが、複数の色を含む、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記熱処理層が、異なる添加剤を含み、前記異なる添加剤の各々1つが、異なる温度で色が変化して、前記熱処理層に前記複数の色を生成する、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
方法であって、
前記3D物体をプリントするようにフィラメント材料を層単位で押し出す、溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して、三次元(3D)物体をプリントすることと、
前記3D物体の表面上にマーキングされるための所望の色マーキングを受信することと、
前記3D物体を、マトリックスにおいてロイコ染料及び酸顕色剤を含む熱処理層でコーティングすることであって、前記熱処理層の部分が事前定義された温度変化色に曝露される、コーティングすることと、
前記熱処理層を乾燥させることと、
前記所望の色マーキングに従って、前記3D物体の前記熱処理層上でエネルギを発するようにレーザを制御することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、三次元(three-dimensional、3D)プリント物体に関し、より具体的には、3Dプリント物体を熱的にマーキングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元プリンタを使用して、3D物体をプリントすることができる。3Dプリンタを使用して、異なるタイプの材料を使用して様々な異なるタイプの物体をプリントすることができる。例えば、押し出し成形、粉末溶融、及びインクジェットプリント材料のUV硬化など、異なるタイプのプロセスが、3Dプリンティングに使用され得る。3Dプリンティングは、材料塊が、最終物体を仕上げるように機械加工/エッチング/チゼル切削される減法プロセスとは対照的に、3D物体を層単位でプリントするための代替的な付加的手法に相当する。
【0003】
付加的3Dプリンティングプロセスの1つのタイプは、溶融フィラメント製造(fused filament fabrication、FFF)としても知られる、溶融堆積モデリング(fused deposition modeling、FDM)であり得る。FDMプロセスは、層に分注されている部分的に溶解された材料をプラットフォーム上に押し出し得る。押し出された材料は、各層に対して所望される形状又はパターンに分注され得る。このプロセスを繰り返して、三次元物体をプリントすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に示される態様によれば、プリント物体をマーキングするための方法、非一時的コンピュータ可読媒体、及び装置が提供される。実施形態の1つの開示された特徴は、溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して三次元(3D)物体をプリントし、3D物体の表面上にマーキングされるのに所望の色マーキングを受信し、所望の色マーキングに従って3D物体の熱処理層上でエネルギを発するように点エネルギ源を制御する方法である。
【0005】
実施形態の別の開示された特徴は、複数の命令を格納している非一時的コンピュータ可読媒体であり、複数の命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して三次元(3D)物体をプリントし、3D物体の表面上にマーキングされるのに所望の色マーキングを受信し、所望のマーキングに従って、3D物体の熱処理層上でエネルギを発するように点エネルギ源を制御する動作を行わせる、命令を含む。
【0006】
実施形態の別の開示された特徴は、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して三次元(3D)物体をプリントし、3D物体の表面上にマーキングされるのに所望の色マーキングを受信し、所望の色マーキングに従って、3D物体の熱処理層上でエネルギを発するように点エネルギ源を制御する動作を行わせる、複数の命令を格納しているコンピュータ可読媒体と、を備える装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の教示は、以下の添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を考慮することによって容易に理解することができる。
【0008】
【
図1】
図1は、本開示のシステムのブロック図を示す。
【0009】
【
図2】
図2は、本開示のプリント物体に熱処理層をどのように含めることができるかの異なる例のブロック図を示す。
【0010】
【
図3】
図3は、本開示の複数の色でプリント物体をマーキングする例を示す。
【0011】
【
図4】
図4は、本開示のプリント物体をマーキングするための方法例のフローチャートを示す。
【0012】
【
図5】
図5は、本明細書に記載の機能を果たす際の使用に好適なコンピュータ例のハイレベルブロック図を示す。
【0013】
理解しやすいように、可能な限り、同一の参照番号は、図面に共通している同一の要素を示すのに使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、三次元(3D)プリント物体を熱的にマーキングする方法及び装置を広く開示する。上で考察されたように、3D物体をプリントするのに、様々なタイプの3Dプリンタが使用され得る。場合によっては、3D物体に、書き込み、画像、又は任意の他のタイプのマーキングを追加することが望ましいことがある。前の方法は、十分な解像度を提供しない場合があるか、又は溶融堆積モデリング(fused deposition modeling、FDM)方法若しくは溶融フィラメント製造(FFF)3Dプリンティング方法と適合しない可能性がある方法を使用する場合がある。
【0015】
例えば、異なる着色されたフィラメントを使用し、異なる着色されたフィラメントにより3D物体を設計することは、複雑で高価であり、時間がかかる場合がある。他の例では、いくつかの方法は、3Dプリント物体上に、所望の色マーキングを単に塗装し得る。ただし、塗料は、非常に耐久性がない可能性があり、かつ/又は解像度が低い可能性がある。
【0016】
本開示は、FDMプリンタ又はFFFプリンタでプリントされた3D物体上にテキスト、画像、又は任意の他のタイプのマーキングで着色することができる方法を提供する。この方法は、エネルギ源で熱的にマーキングされ得る熱処理層を使用することができる。エネルギ源は、プリント物体をマーキングするために熱処理層に印加されると、高精度及び高解像度を提供することができる点エネルギ源であってもよい。
【0017】
一実施形態において、熱処理層は、押し出されるフィラメント材料の一部である添加剤であってもよい。ただし、添加剤は、フィラメント材料の溶解/押し出し温度よりも高い温度で反応する可能性がある。結果として、添加剤は、押し出し中に色を変化させない可能性がある。むしろ、添加剤の色は、点エネルギ源により別個のマーキングプロセスを介して選択的に変化され得る。
【0018】
色変化は、エネルギ源によって発せられるエネルギに曝露される熱処理層の一部分の物性に対する化学的変化であり得る。この変化は、エネルギへの曝露によって引き起こされ得る。このように、色変化は、3D物体上にマーキングを塗装するよりも耐久性が高く、永続的であり得る。
【0019】
一実施形態において、熱処理層は、3D物体がプリントされた後にコーティングとして追加され得る。次いで、点エネルギ源は、マーキングを作り出すのに所望の場所又はパターンにあるコーティングに印加され得る。このように、本開示は、熱マーキングを介して、3Dプリント物体の高解像度着色を提供するプロセスを提供する。
【0020】
図1は、本開示のシステム100の例を示す。一実施形態において、システム100は、3Dプリンタ102、点エネルギ源104、及びプロセッサ106を含み得る。3Dプリンタ102、点エネルギ源104、及びプロセッサ106は、別々の構成要素として示されているが、3Dプリンタ102、点エネルギ源104、及びプロセッサ106は、共通のハウジング内の単一の装置の一部であってもよいことに留意されたい。
【0021】
一実施形態において、プロセッサ106は、3Dプリンタ102及び点エネルギ源104に通信可能に結合され得る。プロセッサ106は、3Dプリンタ102及び点エネルギ源104の動作を制御し得る。
【0022】
一実施形態において、システム100は、コンピューティングデバイス118を含み得る。コンピューティングデバイス118は、コンピュータ支援製図(computer aided drawing、CAD)プログラムを介して3Dプリント物体110に対して設計を作り出すことができるコンピュータであり得る。コンピューティングデバイス118は、CADプログラムを介して、所望のマーキング120を作り出し得る。
【0023】
一実施形態において、所望のマーキング120及び物体設計122は、コンピューティングデバイス118によって生成され、プロセッサ106に送信され得る。物体設計122は、3Dプリンタ102によって使用され得るフォーマット(例えば、.dxfファイル、.stlファイルなど)であってもよい。所望のマーキング120は、プリントされている物体110上にマーキングすることができる画像、テキスト、画像とテキストとの組み合わせなどを含み得る。
【0024】
プロセッサ106は、物体設計122に従って物体110をプリントするように3Dプリンタ102を制御し得る。一実施形態において、3Dプリンタ102は、溶融堆積モデリング(FDM)プリンタ又は溶融フィラメント製造(FFF)プリンタであってもよい。3Dプリンタ102は、説明を容易にために簡略化されており、図示されていない構成要素(例えば、溶融用の熱源、フィラメント材料108を分注するためのプリントヘッド、移動可能プラットフォームなど)を更に含み得ることに留意されたい。
【0025】
FFFプリンタは、フィラメント材料108を層単位でプラットフォーム上に押し出して、物体110をプリントし得る。フィラメント材料108は、フィラメント材料108を加熱して、フィラメント材料108を溶解又はほぼ溶解させるプリントヘッドに送給され得る。次いで、プリントヘッドは、物体設計122に従って、溶解されたフィラメント材料108を分注し得る。
【0026】
物体110がプリントされた後、点エネルギ源104は、物体110の表面112上の場所114へエネルギ源を発し得る。プロセッサ106は、所望のマーキング120に従ってエネルギを発するように、点エネルギ源104を制御し得る。
【0027】
一実施形態において、点エネルギ源104は、十分に定義された狭いエネルギビームでエネルギを発することができるエネルギ源であってもよい。例えば、点エネルギ源104は、レーザであってもよい。一実施形態において、レーザには、所望のマーキング120を作製するのに十分に物体110の表面112の温度を上げるのに十分なエネルギ密度を有する電力レベルで給電され得る。電力レベルは、走査速度の関数であり得る。例えば、走査速度が遅くなれば、使用するエネルギレベルを低くすることができる。走査速度が高くなれば、使用するエネルギレベルを高くすることができる。一実施形態において、レーザは、5ワット(W)~50Wのエネルギを発することができる二酸化炭素レーザであってもよい。
【0028】
点エネルギ源104によって発せられるエネルギの量によって生成される温度は、フィラメント材料108の押し出し温度よりも高いため、点エネルギ源104は、短いバースト又は短い時間(例えば、数秒)でエネルギを発して、物体110の表面112にマーキングし得る。短いバースト又は短い時間は、点エネルギ源104が物体110の表面112を変形、損傷、又は溶解させることを防止し得る。一実施形態において、点エネルギ源104は、短いバースト又は短い時間を使用して、表面112上の場所114を数回通過して、場所114に熱的にマーキングし得る。
【0029】
一実施形態において、点エネルギ源104は、フィラメント材料108が堆積された直後に、物体110の表面112上の場所114にエネルギ源を発し得る。例えば、フィラメント材料108の層が堆積された後、フィラメント材料108は、依然として高温である可能性がある。このため、より低い電力の点エネルギ源104を使用して、物体110の表面112の場所114に着色することができる。言い換えれば、ある程度のエネルギ節約は、物体110全体がプリント及び冷却されるまで待機することよりも、フィラメント材料108を堆積させた直後に、より低い電力のエネルギ源を使用することにおいて実現され得る。一例において、点エネルギ源は、フィラメント材料108の各層が堆積された直後に使用される場合、1W~10Wのエネルギであってもよい。
【0030】
一実施形態において、点エネルギ源104は、異なるレベルのエネルギを発し得る。例えば、異なるエネルギレベルは、物体110を熱的にマーキングするのに使用され得る異なる温度に対応し得る。以下で更に詳細に考察されるように、物体110は、異なる色で熱的にマーキングされ得る。異なる色は、異なるエネルギレベルを印加して、物体110の表面112上の異なる添加剤を変質させる又は活性化することによって作り出され得る。
【0031】
一実施形態において、物体110は、物体110の異なる側面に熱的にマーキングするように回転しかつ/又は移動し得る。次いで、点エネルギ源104は、物体110の側面に熱的にマーキングして、物体110上に画像116を作り出し得る。
【0032】
一実施形態において、物体110の表面112は、熱処理層を含み得る。熱処理層は、色を変化させるか、又は所望の色を生成するのに特定の温度に反応し得る添加剤を含み得る。言い換えれば、点エネルギ源104は、場所114に局所的なエネルギ量を印加して、熱処理層中の添加剤の性質における物理的変化を介して、熱処理層の一部分に着色し得る。
【0033】
一実施形態において、熱処理層は、特定の温度で色を変化させる添加剤を含み得る。添加剤は、マトリックスにおいてロイコ染料及び酸顕色剤を含み得る。ロイコ染料は、クリスタルバイオレットラクトン、トリアリールメタン、硫黄染料、建染染料、フルオラン染料などのうちの少なくとも1つを含み得る。酸顕色剤の例としては、ジフェノール、サリチル酸誘導体、オクタデシルホスホン酸などが挙げられ得る。マトリックスは、金属塩活性剤及び/又は抑制剤を更に含み得る。金属塩活性剤は、芳香族カルボン酸の亜鉛塩を含み得る。抑制剤は、2-ヒドロキシ-1-アミノプロパノール、ブチルアミン、及びこれらの混合物を含み得る。
【0034】
別の例では、添加剤は、不可逆性材料であり得る。不可逆性材料は、不可逆性無機熱変色性材料を含み得る。不可逆性無機熱変色性材料の例には、ヨウ化銅(I)、メタバナジン酸アンモニウム、マンガンバイオレット(Mn(NH4)2P2O7)などが挙げられ得る。
【0035】
一実施形態において、異なるロイコ染料は、熱処理層において共に混合されて、異なる色を作り出し得る。例えば、異なるロイコ染料は、異なる温度で色を変化させ得る。点エネルギ源104は、第1のワット数でエネルギを発して、熱処理層を第1の温度まで加熱して、第1のロイコ染料を第1の色に変質させ得る。次いで、点エネルギ源104は、第2のワット数でエネルギを発して、熱処理層を第2の温度まで加熱して、第2のロイコ染料を第2の色に変質させ得る。このプロセスは、熱処理層内で異なる温度で変化し得る任意の数の異なるロイコ染料に対して繰り返され得る。
【0036】
図2は、本開示のプリント物体110に熱処理層をどのように含めることができるかの異なる例のブロック図を示す。例202は、固体充填物を示す。例えば、熱処理層は、フィラメント材料108と混合され得る。熱処理層とフィラメント材料108との組み合わせは、3Dプリンタ102に送給され、押し出されるロールに形成され得る。熱処理層中の添加剤は、フィラメント材料108の押し出し温度よりも高い温度で色が変化し得る。結果として、添加剤は、押し出し中にフィラメント材料108を溶解させる押し出し温度に曝露されると色が変化するようには反応しない可能性がある。次いで、3Dプリント物体110は、プリント物体110全体にわたって混合される熱処理層を含み得る。
【0037】
例204は、プリント殻206を示す。例えば、物体110は、フィラメント材料108でプリントされ得る。次いで、熱処理層を有する第2のフィラメント材料が、3Dプリンタ102によって押し出されて、プリント物体110の周囲にプリント殻206を形成することができる。一実施形態において、3Dプリンタ102は、フィラメント材料108と、熱処理層と混合されたフィラメント材料とで切り替えて、外殻206を内側部分とともに層単位でプリントし得る。
【0038】
例208は、スプレーコーティングを示す。例えば、熱処理層を、スプレー缶210又はディスペンサに格納することができる。物体110が3Dプリンタ102によってプリントされた後、熱処理層は、スプレー缶210で物体110上にスプレーコーティングすることができる。熱処理層は、物体110の所望の部分上に、又は物体110の外側表面全体にわたってコーティングすることができる。
【0039】
熱処理層は、物体110上で乾燥され得る。熱処理層が乾燥された後、点エネルギ源104は、熱処理層に熱的にマーキングして、物体110に画像116をマーキングすることができる。
【0040】
実施例212は、浸漬コーティングを示す。例えば、熱処理層216は、容器214に格納することができる。物体110が3Dプリンタ102によってプリントされた後、物体110は、熱処理層216に浸漬され得る。物体110の所望の部分は、浸漬され得るか、又は物体110全体が、熱処理層216に沈めて、物体110の外側表面全体をコーティングし得る。
【0041】
熱処理層216は、物体110上で乾燥させ得る。熱処理層216が乾燥された後、点エネルギ源104は、熱処理層216に熱的にマーキングして、物体110に画像116をマーキングし得る。
【0042】
図3は、本開示の複数の色をプリント物体110にマーキングする例を示す。
図3は、2つの異なる色による例を示す。上記のように、異なる色変化温度を有する異なる添加剤を使用して、異なる色で物体110にマーキングすることができる。
【0043】
一実施形態において、物体110は、2つの異なる色302及び304がマーキングされ得る。例えば、熱処理層は、第1の温度で色を変化させる第1の添加剤又はロイコ色素と、第2の温度で色を変化させる第2の添加剤又はロイコ色素を含み得る。第1の添加剤及び第2の添加剤は、熱処理層において共に混合され得るか、又は別個の熱処理層として物体110の異なる部分に適用され得る。
【0044】
第1の添加剤は、色302に対応し得、第2の添加剤は、色304に対応し得る。一実施形態において、点エネルギ源104は、物体110の表面上に第1のエネルギレベルでエネルギを発し得る。第1のエネルギレベルは、第1の添加剤に色302に変化させる第1の温度まで、物体110の表面を加熱し得る。
【0045】
物体の表面の所望の部分に第1の色302がマーキングされた後、点エネルギ源104は、物体110の表面上に第2のエネルギレベルでエネルギを発し得る。第2のエネルギレベルは、第2の添加剤に第2の色304に変化させる第2の温度まで物体110の表面を加熱し得る。例えば、フィラメント材料108の押し出し温度を上回る任意の2つの温度(例えば、摂氏160度(℃)を上回る温度)が使用され得る。例えば、250℃の第1の温度を使用して、第1の色302に変化させることができ、400℃の温度を使用して、第2の色304に変化させることができる。他の温度例も使用され得る。より高い融点を有する材料では、色302及び304に変化させるために、より高い温度が使用され得る。
【0046】
図3の例では、2つの異なる色302及び304が示されているが、いくつでも異なる色が生成され得ることに留意されたい。熱処理層に含まれるそれぞれの添加剤の色変化を活性化するために、異なる色の個数は、異なる非重複温度を有する異なる添加剤の個数に対応し得る。
【0047】
図4は、本開示のプリント物体をマーキングするための方法400の例のフローチャートを示す。一実施形態において、方法400の1つ以上のブロックは、システム100、又は
図5に示し、以下で考察されるシステム100の働きを制御するコンピュータ/プロセッサによって行われ得る。
【0048】
ブロック402において、方法400が始まる。ブロック404において、方法400は、溶融フィラメント製造(FFF)プリンタを介して、三次元(3D)物体をプリントする。例えば、FFFプリンタ又はFDMプリンタが、フィラメント材を層単位で押し出して、3D物体をプリントし得る。物体は、3Dプリンタと通信しているコンピュータデバイスによって生成された物体設計に従ってプリントされ得る。
【0049】
ブロック406において、方法400は、3D物体の表面上にマーキングされるのに所望の色マーキングを受信する。色マーキングは、コンピューティングデバイスによって生成された設計であってもよい。所望の色マーキングは、テキスト、画像、グラフィック、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0050】
ブロック408において、方法400は、所望の色マーキングに従って、3D物体の熱処理層上でエネルギを発する、点エネルギ源を制御する。一実施形態において、熱処理層は、押し出されているフィラメント材料と混合され得る。このように、フィラメント材料は、全体にわたって混合された熱処理層で形成され得る。
【0051】
一実施形態において、3D物体は、熱処理層を含む外殻とともにプリントされ得る。例えば、フィラメント材料を使用して、3D物体をプリントし得る。次いで、熱処理層と混合されたフィラメント材料は、押し出されて、外殻を形成し得る。
【0052】
一実施形態において、熱処理層は、物体上にスプレーコーティング又は浸漬コーティングされ得る。例えば、3D物体をプリントすることができる。3D物体がプリントされた後、熱処理層は、3D物体の外部表面全体に、又は3D物体の外部表面の所望の部分に適用され得る。
【0053】
一実施形態において、熱処理層は、特定の温度に曝露されると色を変化させることができる添加剤を含み得る。添加剤は、マトリックスにおいてロイコ染料及び酸顕色剤を含み得る。使用され得るロイコ染料の例には、クリスタルバイオレットラクトン、トリアリールメタン、硫黄染料、建染染料、フルオラン染料などが挙げられ得る。
【0054】
一実施形態において、異なる添加剤を共に混合して、3D物体上に異なる着色されたマーキングを生成することができる。例えば、異なる非重複色変化温度を有する異なる添加剤を使用して、異なる着色されたマーキングを生成することができる。点エネルギ源は、第1のエネルギレベルを印加して、第1の温度で熱処理層を加熱し得る。添加剤のうちの1つは、第1の温度に反応し、第1の色に変化し得る。点エネルギ源は、第2のエネルギレベルを印加して、第2の温度で熱処理層を加熱し得る。添加剤のうちの別の1つは、第2の温度に反応し、第2の色に変化し得る。
【0055】
このように、方法400は、熱的に3Dプリント物体をマーキングして、3Dプリント物体の表面上に色マーキングを作り出すための効率的な非接触方法を提供し得る。このように、本開示の実施形態では、インク又は塗料又は添加材料による直接着色の使用が、回避され得る。ブロック410において、方法400は終了する。
【0056】
図5は、本明細書に記載の機能を果たすのに専用であるコンピュータの高レベルブロック図を描写する。
図5に描写されるように、コンピュータ500は、1つ以上のハードウェアプロセッサ要素502(例えば、中央処理装置(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、又はマルチコアプロセッサ)、メモリ504、例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)及び/又は読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、プリント物体をマーキングするためのモジュール505、並びに様々な入力/出力デバイス506(例えば、テープドライブ、フロッピドライブ、ハードディスクドライブ又はコンパクトディスクドライブを含むが、これらに限定されない記憶デバイス、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、音声合成装置、出力ポート、入力ポート、及びユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス、マイクロフォンなど))を備える。プロセッサ要素は1つしか示されていないが、コンピュータには複数のプロセッサ要素が採用され得ることに留意されたい。
【0057】
本開示が、例えば、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)を含むプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)、若しくはハードウェアデバイス上に展開されたステートマシン、コンピュータ、又は任意の他のハードウェア等価物、例えば、上で考察された方法に付属し、上で開示した方法のステップ、機能、及び/又は動作を行うようにハードウェアプロセッサを構成するのに使用され得るコンピュータ可読命令を使用して、ソフトウェアにおいてかつ/又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実装され得ることに留意されたい。一実施形態において、プリント物体をマーキングするための本モジュール又はプロセス505に対する命令及びデータ(例えば、コンピュータ実行式命令を含むソフトウェアプログラム)は、メモリ504にロードされ、方法400の例に相まって、上で考察されたステップ、機能、又は動作を実施するように、ハードウェアプロセッサ要素502によって実行され得る。また、ハードウェアプロセッサが命令を実行して「動作」を行う場合、これは、ハードウェアプロセッサが直接動作を行う、かつ/又は別のハードウェアデバイス若しくは構成要素(例えば、コプロセッサなど)を、動作を行うように促進する、指示する、又はそれと協働することを含み得る。
【0058】
上記の方法に関係するコンピュータ可読命令又はソフトウェア命令を実行するプロセッサは、プログラムされたプロセッサ又は専門プロセッサとして認識され得る。このように、本開示のプリント物体をマーキングするための本モジュール505(対応するデータ構造を含む)は、有形の又は物理的(広義には非一時的)コンピュータ可読記憶デバイス又は媒体、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気ドライブ若しくは光学ドライブ、デバイス、又はディスケットなどに格納され得る。より具体的には、コンピュータ可読記憶デバイスは、プロセッサ、又はコンピュータ若しくはアプリケーションサーバなどのコンピューティングデバイスによってアクセスされるデータ及び/又は命令などの情報を格納する能力を提供する任意の物理的デバイスを備え得る。
【0059】
上に開示したものの変形形態、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在想定されていない、又は予想外の代替、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされ得、それらも以下の特許請求の範囲に網羅されることが意図される。