(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045351
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】排ガスヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
H05B3/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021145233
(22)【出願日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】10 2020 123 376.0
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザンドラ ヘッケル
(72)【発明者】
【氏名】ファティ ウイサル
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QB02
3K092QB43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単に実現できる構造で加熱特性の改善を達成可能な、内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータを提供する。
【解決手段】排ガスヒータ10の加熱導体14は、金属平形材料中間製品から分離加工によって提供される。加熱導体14は、打抜き加工によって所望の輪郭を備えて提供されてよい。代替的には、加熱導体14は、金属平形材料中間製品から切断加工、例えばレーザ切断加工またはウォータジェット切断加工によって分離されてよい。金属平形材料中間製品は平らな形態を有し、加熱導体14も、排ガスヒータ中心軸線Mに対して実質的に直交する実質的な平らな平面に位置する構造を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータであって、支持体(12)と、該支持体(12)に支持された通電される少なくとも1つの加熱導体(14)とを備え、該加熱導体(14)は、金属平形材料から分離加工によって提供されている、排ガスヒータ。
【請求項2】
前記加熱導体(14)は、角隅を有する、好ましくは方形の導体横断面輪郭を備えて形成されていることを特徴とする、請求項1記載の排ガスヒータ。
【請求項3】
前記加熱導体(14)は、前記支持体(12)に保持された保持領域(16)と、排ガス(A)により貫流可能な加熱領域(18)とを有することを特徴とする、請求項1または2記載の排ガスヒータ。
【請求項4】
前記保持領域(16)は、排ガスヒータ中心軸線(M)に対して前記加熱領域(18)の半径方向外側に配置されており、かつ/または前記保持領域(16)と前記加熱領域(18)とは、好ましくは前記排ガスヒータ中心軸線(M)に対して直交する平面内に実質的に配置されていることを特徴とする、請求項3記載の排ガスヒータ。
【請求項5】
前記支持体(12)は、前記加熱導体(14)を半径方向外側で取り囲みかつ前記保持領域(16)に少なくとも一方の軸線方向の側(42,46)において半径方向で被さる支持体ボディ(34)を備え、かつ/または前記支持体(12)は、前記加熱導体(14)の少なくとも一方の軸線方向側(46)に、前記加熱導体(14)を支持する軸線方向の支持装置(56)を備えることを特徴とする、請求項4記載の排ガスヒータ。
【請求項6】
前記支持体ボディ(34)は、前記保持領域(16)に半径方向外側において軸線方向で被さる軸線方向部分(38)と、該軸線方向部分(38)から半径方向内向きに延在しかつ前記保持領域(16)に第1の軸線方向側(42)において少なくとも部分的に半径方向で被さる第1の半径方向部分(40)とを有する第1の支持体ボディ部分(38)と、該第1の支持体ボディ部分(38)に位置固定されていて、前記保持領域(16)に第2の軸線方向側(46)において半径方向で少なくとも部分的に被さる第2の半径方向部分(48)を有する第2の支持体ボディ部分(44)とを備えることを特徴とする、請求項5記載の排ガスヒータ。
【請求項7】
前記第1の支持体ボディ部分(38)および/または前記第2の支持体ボディ部分(44)は環状に形成されていることを特徴とする、請求項6記載の排ガスヒータ。
【請求項8】
前記支持体ボディ(34)と前記保持領域(16)との間に電気的に絶縁性の材料(50)が配置されていることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の排ガスヒータ。
【請求項9】
前記加熱導体(14)はその加熱領域(18)で、電気的に絶縁性の材料によって実質的に覆われていないことを特徴とする、請求項3から8までのいずれか1項記載の排ガスヒータ。
【請求項10】
前記加熱導体(14)はその保持領域(16)に、前記加熱領域(18)よりも大きな導体横断面積を有し、かつ/または前記加熱導体(14)はその加熱領域(18)に、変化する横断面寸法を有することを特徴とする、請求項3から9までのいずれか1項記載の排ガスヒータ。
【請求項11】
前記保持領域(16)に、前記加熱導体(14)を電気的に接触接続するための2つの接続部分(52,54)が設けられていることを特徴とする、請求項3から10までのいずれか1項記載の排ガスヒータ。
【請求項12】
前記加熱導体(14)は少なくともその加熱領域(18)で、少なくとも部分的につづら折り状に延在するように形成されていることを特徴とする、請求項3から11までのいずれか1項記載の排ガスヒータ。
【請求項13】
前記加熱導体(14)は、排ガスヒータ中心軸線(M)に対して半径方向に連続して配置された、実質的に周方向に延在する複数の蛇行曲折部分(22,22’,22’’)を有する少なくとも1つの蛇行曲折区画(20)を備え、少なくとも1つ、好ましくは複数の蛇行曲折部分(22)は、第1の周方向端部(24)では、半径方向でより内側に位置決めされた蛇行曲折部分(22,22’)に続いており、第2の周方向端部(26)では、半径方向でより外側に位置決めされた蛇行曲折部分(22,22’’)に続いていることを特徴とする、請求項12記載の排ガスヒータ。
【請求項14】
周方向で連続した複数の蛇行曲折区画(20)が設けられており、該複数の蛇行曲折区画(20)が周方向で互いにすぐ隣り合わせであるとき、1つの蛇行曲折区画(20)の半径方向内側、好ましくは半径方向で一番内側の蛇行曲折部分(22’)が、半径方向内側の接続領域(30)において、第1の周方向で前記1つの蛇行曲折区画(20)のすぐ隣の1つの蛇行曲折区画(20)の半径方向内側、好ましくは半径方向で一番内側の蛇行曲折部分(22’)に続いており、かつ/または前記1つの蛇行曲折区画(20)の半径方向外側、好ましくは半径方向で一番外側の蛇行曲折部分(22’’)が、半径方向外側の接続領域(32)において、第2の周方向で前記1つの蛇行曲折区画(20)のすぐ隣の1つの蛇行曲折区画(20)の半径方向外側、好ましくは半径方向で一番外側の蛇行曲折部分(22’’)に続いていることを特徴とする、請求項13記載の排ガスヒータ。
【請求項15】
少なくとも1つ、好ましくは各々の蛇行曲折区画(20)において、前記保持領域(16)は、半径方向で一番外側の蛇行曲折部分(22’’)を提供していることを特徴とする、請求項13または14記載の排ガスヒータ。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の排ガスヒータ(10)を製造するための方法であって、プレート状の金属平形材料中間製品を準備することと、該金属平形材料中間製品から加熱導体(14)を分離加工することとを含む、方法。
【請求項17】
前記加熱導体(14)を前記金属平形材料中間製品から打抜き加工または切断加工、好ましくはレーザ切断加工またはウォータジェット切断加工によって分離することを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
内燃機関用の排ガス装置であって、好ましくは管状の排ガス案内構成要素(66)と、該排ガス案内構成要素(66)内に配置された、好ましくは請求項16または17記載の方法により製造された、請求項1から15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの排ガスヒータ(10)とを備える、排ガス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータに関する。
【0002】
欧州特許第2935996号明細書に基づき、排ガスヒータが公知である。この公知の排ガスヒータでは、実質的に円形の加熱導体横断面を備えて形成された加熱導体が、排ガスにより通流可能な管状のハウジング内に螺線状に巻成されて配置されている。加熱導体の接続端部に電圧を印加することによって、加熱導体が加熱され、これによって、この加熱導体を貫流する排ガスに熱を伝達することができる。
【0003】
独国特許出願公開第102005011657号明細書に基づき、内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータが公知である。この公知の排ガスヒータでは、帯材状の平形材料により形成された加熱導体が、中心軸線を取り囲む螺線状のかつ軸線方向に螺旋状に引き延ばされた構造によって提供されている。
【0004】
本発明の課題は、簡単に実現することができる構造で加熱特性の改善を達成することができる、内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータを提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータであって、支持体と、この支持体に支持された通電される少なくとも1つの加熱導体とを備え、この加熱導体が、金属平形材料から分離加工によって提供されていることによって解決される。
【0006】
このような排ガスヒータ用の加熱導体を製作するためのプロセスは、簡単に実現することができる。なぜならば、このプロセスには、金属平形材料の中間製品を準備して、加熱導体を、例えば打抜き加工または切断加工によって分離することしか必要とならないからである。同時にこの製作時には、加熱導体が、ほぼ任意の経過と、変化する加熱導体横断面とを備えて提供されてよい。これによって、このような排ガスヒータの横断面にわたって、局所的に提供される熱の変化ひいては加熱導体の、場合により不均一な流過への適合が可能となる。このことは、例えば線材状または帯材状の長尺材料から提供される加熱導体の巻成によっては全く実現することができないかまたは極めて多大な手間をかけてしか実現することができない。
【0007】
加熱導体を金属平形材料からの分離加工により提供することによって、加熱導体を、角隅を有する、好ましくは方形の導体横断面輪郭を備えて形成することが簡単に可能となる。導体横断面積が等しい場合、角隅を有する導体横断面輪郭は、円形の導体横断面輪郭よりも大きな表面積を有しており、これによって、加熱導体を貫流する排ガスに熱を伝達するためのより大きな表面積を加熱導体に提供することができる。
【0008】
満たすべき機能に対して最適化された構成を備えた種々異なる機能領域を加熱導体に提供するためには、加熱導体が、支持体に保持された保持領域と、排ガスにより貫流可能な加熱領域とを有することが提案される。
【0009】
通常、排ガスヒータは、排ガスにより通流可能な、例えば管状のハウジング内に収納されるので、保持領域が、排ガスヒータ中心軸線に対して加熱領域の半径方向外側に配置されていると特に有利である。
【0010】
軸線方向でコンパクトな構造形態は、保持領域と加熱領域とが、好ましくは排ガスヒータ中心軸線に対して直交する平面内に実質的に配置されていることによって達成することができる。ここで言及しておくと、当然ながら、排ガスヒータは、このような仮想の平面に対して横方向に一定の広がりを有している。このような平面は、例えば、加熱導体の軸線方向の中心平面または加熱導体の両方の軸線方向の側もしくは端面のうちの一方によって規定されていてよい。加熱導体は、通常だと平らに形成されている金属平形材料から分離加工によって形成されるので、軸線方向への加熱導体の追補的な引延しによって、伝熱のために提供された表面積が増加させられることはなく、加熱導体の、互いに隣り合った部分同士の間の間隔が増加させられるにすぎない。そして、このことは、加熱導体を貫流する排ガスとの熱的な相互作用の損害に繋がってしまう。したがって、例えば、平らな金属平形材料から分離加工により形成された加熱導体を、このような平らな構造体のままにしておくことが有利である。
【0011】
加熱導体を支持体に安定させて結合するためには、支持体が、加熱導体を半径方向外側で取り囲みかつ保持領域に少なくとも一方の軸線方向の側において半径方向で被さる支持体ボディを備え、かつ/または支持体が、加熱導体の少なくとも一方の軸線方向側に、加熱導体を支持する軸線方向の支持装置を備えることが提案される。
【0012】
加熱導体を支持体に結合することができるようにするかもしくは支持体ボディ内に組み込むことができるようにするためには、支持体ボディが、保持領域に半径方向外側において軸線方向で被さる軸線方向部分と、この軸線方向部分から半径方向内向きに延在しかつ保持領域に第1の軸線方向側において少なくとも部分的に半径方向で被さる第1の半径方向部分とを有する第1の支持体ボディ部分と、この第1の支持体ボディ部分に位置固定されていて、保持領域に第2の軸線方向側において半径方向で少なくとも部分的に被さる第2の半径方向部分を有する第2の支持体ボディ部分とを備えてよい。
【0013】
加熱導体と支持体との間の全周にわたって安定した連結のためには、第1の支持体ボディ部分および/または第2の支持体ボディ部分が環状に形成されていることが提案される。
【0014】
熱的かつ化学的な安定性の理由から、支持体ボディは、有利には金属材料を含んで形成されているので、電気的な短絡を回避するために、支持体ボディと保持領域との間に電気的に絶縁性の材料が配置されていることが提案される。
【0015】
加熱領域と、この加熱領域を貫流する排ガスとの間の熱的な相互作用に関して特に有利な構成では、加熱導体がその加熱領域で、電気的に絶縁性の材料によって実質的に覆われていないことが特定されていてよい。
【0016】
特に加熱導体がその保持領域で支持体によって、電気的に絶縁性の材料を介在させて少なくとも部分的に把持するように取り囲まれている場合には、この領域での熱の停滞を回避するために、加熱導体がその保持領域に、加熱領域よりも大きな導体横断面積を有することが提案される。保持領域におけるより大きな導体横断面積によって、加熱導体は保持領域に、単位長さに関して、加熱領域よりも少ない電気的な抵抗を有しており、これによって、加熱領域におけるより大きな電圧降下に基づき、そこには、保持領域よりも多くの熱が提供される。
【0017】
さらに、加熱導体がその加熱領域に、変化する横断面寸法を有することが特定されていてよい。これは、加熱領域が、それぞれ異なる横断面寸法の種々異なる長さ部分を有することができ、これにより、横断面寸法が変化していることによって、それぞれ異なる電気的な抵抗の領域ひいては排ガスに伝達可能なそれぞれ異なる熱量も存在することを意味している。このことは、加熱導体を均一に流過することができず、ひいては、加熱導体から、この加熱導体を貫流する排ガスに均一に熱を輸送することができないシステムにおいて特に有利である。したがって、過熱領域の発生を回避することができる。
【0018】
加熱導体を電気的に接触接続するために、保持領域に2つの接続部分が設けられていてよい。
【0019】
加熱導体と、この加熱導体を貫流する排ガスとの間の、流れ横断面にわたって大きな面積での熱的な相互作用のためには、加熱導体が少なくともその加熱領域で、少なくとも部分的につづら折り状に延在するように形成されていてよい。
【0020】
このためには、例えば、加熱導体が、排ガスヒータ中心軸線に対して半径方向に連続して配置された、実質的に周方向に延在する複数の蛇行曲折部分を有する少なくとも1つの蛇行曲折区画を備え、少なくとも1つ、好ましくは複数の蛇行曲折部分が、第1の周方向端部では、半径方向でより内側に位置決めされた蛇行曲折部分に続いており、第2の周方向端部では、半径方向でより外側に位置決めされた蛇行曲折部分に続いていることが特定されていてよい。
【0021】
加熱導体の自体安定した構造を全周にわたって分配して達成するためには、周方向で連続した複数の蛇行曲折区画が設けられており、これらの蛇行曲折区画が周方向で互いにすぐ隣り合わせであるとき、1つの蛇行曲折区画の半径方向内側、好ましくは半径方向で一番内側の蛇行曲折部分が、半径方向内側の接続領域において、第1の周方向で当該1つの蛇行曲折区画のすぐ隣の1つの蛇行曲折区画の半径方向内側、好ましくは半径方向で一番内側の蛇行曲折部分に続いており、かつ/または当該1つの蛇行曲折区画の半径方向外側、好ましくは半径方向で一番外側の蛇行曲折部分が、半径方向外側の接続領域において、第2の周方向で当該1つの蛇行曲折区画のすぐ隣の1つの蛇行曲折区画の半径方向外側、好ましくは半径方向で一番外側の蛇行曲折部分に続いていることが提案される。したがって、個々の蛇行曲折部分の、極めて大きな周方向範囲にわたって広げられる延在を回避することができる。
【0022】
前記保持領域が、少なくとも1つ、好ましくは各々の蛇行曲折区画において、半径方向で一番外側の蛇行曲折部分を提供していてよい。
【0023】
本発明は、さらに、排ガス装置用の本発明により形成された排ガスヒータを製造するための方法であって、プレート状の金属平形材料中間製品を準備することと、この金属平形材料中間製品から加熱導体を分離加工することとを含む、方法に関する。
【0024】
この方法では、加熱導体が、金属平形材料中間製品から打抜き加工または切断加工、好ましくはレーザ切断加工またはウォータジェット切断加工によって分離されてよい。
【0025】
本発明は、さらに、内燃機関用の排ガス装置であって、好ましくは管状の排ガス案内構成要素と、この排ガス案内構成要素内に配置された、好ましくは本発明に係る方法により製造された、本発明により形成された少なくとも1つの排ガスヒータとを備える、排ガス装置に関する。
【0026】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図2に示した視認方向Iで見た、内燃機関の排ガス装置用の排ガスヒータの斜視図である。
【
図2】
図1に示した視認方向IIで見た、
図1の排ガスヒータの斜視図である。
【
図3】
図1および
図2の排ガスヒータの軸線方向断面図である。
【
図5】加熱導体と支持装置との接続部の詳細図である。
【
図6】内燃機関の、排ガスヒータを含んだ排ガス装置の原理図である。
【0028】
図1~
図3に示した排ガスヒータ10は、例えば、この排ガスヒータ10を収容する、実質的に円形の外周輪郭を有する排ガス案内用のハウジングの円形の内側横断面に適合させるように構成されている。排ガスヒータ10は、排ガスヒータ中心軸線Mに対して半径方向外側の領域に、環状の支持体12と、この環状の支持体12に支持された加熱導体14とを有している。
【0029】
加熱導体14は、半径方向外側に、支持体12に支持された保持領域16を有していて、この保持領域16の半径方向内側に、排ガスにより貫流可能な加熱領域18を有している。
【0030】
本発明により形成された排ガスヒータ10の加熱導体14は、例えばクロム/ニッケル合金を含んで形成された金属平形材料中間製品から分離加工によって提供されている。加熱導体14は、例えば打抜き加工によって所望の輪郭を備えて提供されてよい。代替的には、加熱導体14は、金属平形材料中間製品から切断加工、例えばレーザ切断加工またはウォータジェット切断加工によって分離されてよい。通常、このような金属平形材料中間製品は平らな形態を有しているので、加熱導体14も、排ガスヒータ中心軸線Mに対して実質的に直交する実質的な平らな平面に位置する構造を有している。
【0031】
加熱導体14は、図示の構成例では、つづら折り状の構造を備えて形成されている。
図4に明確に認めることができるように、加熱導体14は、互いに実質的に同一に形成された全部で6つの蛇行曲折区画20を備えて提供されている。これらの蛇行曲折区画20の各々には、半径方向で互いに隣り合って配置された蛇行曲折部分22が、局所的な違いに左右されずに、排ガスヒータ中心軸線Mを中心として実質的に周方向に延在するように配置されている。蛇行曲折部分は、半径方向内側から半径方向外側に向かって見て、増加する周方向長さを有しており、したがって、蛇行曲折区画20は、ほぼ三角形の外周輪郭を有している。蛇行曲折部分22の両方の周方向端部24,26の各々は、実質的に半径方向に延在する接続部分28を介して、それぞれ半径方向でより外側または半径方向でより内側に位置決めされた蛇行曲折部分22に続いている。各々の蛇行曲折区画20の半径方向で一番内側の各々の蛇行曲折部分22’は、内側の接続領域30を介して、第1の周方向ですぐ隣の別の蛇行曲折区画20の半径方向で一番内側の蛇行曲折部分22’に接続されている。一番外側の各々の蛇行曲折部分22’’は、外側の接続領域32を介して、第2の周方向ですぐ隣の蛇行曲折区画20の半径方向で一番外側の蛇行曲折部分22’に接続されており、これによって、加熱導体14において周方向で連続する全ての蛇行曲折区画20が、互いに直列に接続されている。
【0032】
蛇行曲折区画20の半径方向で一番外側の蛇行曲折部分22’は、加熱導体14の、この加熱導体14を支持体12に保持する保持領域16を実質的に形成している。このためには、支持体12が、加熱導体14を半径方向で一番外側の蛇行曲折部分22’’の領域、つまり、保持領域16において把持するように取り囲む支持体ボディ34を備えて形成されている。この支持体ボディ34は、第1の支持体ボディ部分36を有している。この第1の支持体ボディ部分36は軸線方向部分38でもって、加熱導体14の保持領域16に軸線方向で被さっている。さらに、第1の支持体ボディ部分36は、軸線方向部分38から半径方向内向きに延在する第1の半径方向部分40を有している。第1の支持体ボディ部分36は第1の半径方向部分40でもって、第1の軸線方向側42において加熱導体14の保持領域16に半径方向でほぼ完全に被さっている。
【0033】
支持体ボディ36は、さらに、第2の支持体ボディ部分44を有している。この第2の支持体ボディ部分44は、加熱導体14の第2の軸線方向側46において第1の支持体ボディ部分36内に挿入されていて、この第1の支持体ボディ部分36に、例えば材料接続、一例として溶接によって位置固定されている。第2の支持体ボディ部分44は第2の半径方向部分48でもって半径方向内向きに延在していて、加熱導体14の保持領域16に半径方向でほぼ完全に被さっている。
【0034】
したがって、支持体ボディ34は、半径方向内向きに開いたU字形の構造を規定している。この構造内には、加熱導体14の保持領域16が、この保持領域16を実質的に提供する半径方向で一番外側の蛇行曲折部分22’’でもって、電気的に絶縁性の材料50を介在させて収容されている。この電気的に絶縁性の材料50は、加熱導体14の保持領域16を両方の軸線方向側42,46でかつ半径方向外側で覆っている。このためには、電気的に絶縁性の材料が、軸線方向で保持領域16に第2の軸線方向側46において接触する環状の第1の絶縁要素51と、軸線方向で保持領域16に第1の軸線方向側42において接触しかつ保持領域16に半径方向外側で被さる環状の第2の絶縁要素53とを備えて形成されている。したがって、特に加熱領域18では電気的に絶縁性の材料50により実質的に覆われていない加熱導体14が、支持体12に対して電気的に絶縁されている。
【0035】
加熱導体14を電気的に接触接続するためには、この加熱導体14が、周方向で連続するものの外側の接続領域32により互いに接続されていない一番外側の蛇行曲折部分22’に、この一番外側の蛇行曲折部分22’、つまり、保持領域16から半径方向内向きに支持体12を越えて突出したそれぞれ1つの接続部分52;54を有している。この接続部分52;54には、排ガスヒータ10を収容するハウジングを貫通するコンタクトユニット55が接続されており、これによって、加熱導体14が電圧源に接続されている。
【0036】
加熱導体14をその半径方向外側の領域で支持体12に安定して保持することができるようにするだけでなく、加熱導体14を半径方向の延在長さ全体にわたって安定して規定して位置決めするために、支持体12は、加熱導体14を両方の軸線方向側42,46において軸線方向で支持する支持装置56を有している。この支持装置56は、各々の支持体ボディ部分36,44に割り当てて、それぞれ実質的に半径方向に延在する複数の支持アーム58,61を備えた放射状の支持構造体57,59を有している。支持アーム58,61は、半径方向内側では、中心に位置決めされた連結領域60,63で互いに続いており、半径方向外側では、第1の支持体ボディ部分36の第1の半径方向部分40もしくは第2の支持体ボディ部分44の第2の半径方向部分48に続いている。支持装置56の支持構造体57,59は、好ましくは、それぞれ金属薄板変形加工部材として第1の支持体ボディ部分36もしくは第2の支持体ボディ部分44と一体に提供されている。
【0037】
支持装置56の、半径方向で中心のプレート状の連結領域60,63では、加熱導体14が、それぞれ連結領域60,63のところに延在しかつ互いにすぐ隣の蛇行曲折区画20の、半径方向で一番内側の2つの蛇行曲折部分22’を接続する内側の接続領域30の領域で支持装置56に固定されている。このためには、例えば、連結領域60,63に位置固定される固定ピン62、例えば固定ねじが使用されてよく、これによって、加熱領域18の半径方向内側の接続領域30が、連結領域60,63同士の間に軸線方向で不動に緊締されている。
【0038】
また、支持構造体57,59の支持アーム58,61の、半径方向でより外側に位置する連結領域60’,63’;60’’,63’’でも、加熱導体14は、各々の固定ピン62’,62’’を使用して支持装置56に固定されてよい。この場合には、互いに周方向ですぐ隣の支持アーム58に設けられた連結領域60’,63’;60’’,63’’が、互いに半径方向にずらされて位置しており、これによって、加熱導体をそれぞれ異なる半径方向領域で支持装置56に対して互い違いに固定することができることを認めることができる。
【0039】
連結領域60,63の領域ならびに連結領域60’,63’;60’’,63’’もしくは固定ピン62’,62’’の領域では、電気的な短絡の発生を回避するために、加熱導体14が、電気的に絶縁性の材料によって局所的に覆われている。この電気的に絶縁性の材料は、加熱導体14の両側に位置決めされた、例えばセラミック材料を含んで形成された2つの絶縁スリーブ65,67を有していてよい。これら2つの絶縁スリーブ65,67は、加熱導体14の加熱領域18を、各々の連結領域60’,63’;60’’,63’’と、これらの連結領域60’,63’;60’’,63’’を貫通した固定ピン62’,62’’とに対して電気的に絶縁している。この場合、加熱領域18への絶縁スリーブ65,67の係合を可能にするためには、連結領域60’,63’;60’’,63’’の各々に割り当てて、加熱導体14が加熱領域18に、周方向に拡幅され、内側に開口29が形成された各々の接続部分28’を有していてよい。
【0040】
それぞれ異なる接続部分28’もしくは連結領域60,60’,60’’;63,63’,63’’での支持構造体57,59に対する加熱導体14の電気的な絶縁は、本発明の範疇において、加熱導体14の加熱領域18の主要な領域が、この加熱領域18を貫流する排ガスとの熱的な相互作用を改善するために、電気的に絶縁性の材料によって覆われていないことを排除しない。
【0041】
加熱導体14を、金属平形材料から分離加工された構成部材として提供することによって、1つには、加熱導体14を一体型の構造で簡単かつ正確に実施可能に形成することが可能となる。すでに
図4に示したつづら折り状の構造の加熱導体14が示しているように、この加熱導体14は、ほぼ任意の経過で製作されてよい。特に、加熱導体の半径方向の広がりを加熱導体のそれぞれ異なる長さ部分で互いに変えることも可能である。このことは、
図4において、例えば、加熱導体14がその保持領域16、つまり、半径方向で一番外側の蛇行曲折部分22’’の領域に、半径方向でより内側に位置する蛇行曲折部分22よりも大きな半径方向の広がり、つまり、幅を備えて形成されていることによって認めることができる。これによって、保持領域16、つまり、加熱導体14が広幅の領域で支持体12もしくは電気的に絶縁性の材料50により把持するように取り囲まれているところに、加熱導体14が、単位長さに関して、より少ない電気的な抵抗を有しており、したがって、電圧の印加時に、より少ない導体横断面積を有する蛇行曲折部分22,22’ほど強く加熱されないことが達成される。このことは、例えば加熱領域18が保持領域16よりも大きな導体横断面を有するといった、導体横断面における局所的な偏差が、保持領域16もしくは加熱領域18にも存在していてよいことによって妨げられない。本発明の範疇のこの態様では、主要な延在部分において、加熱領域18および保持領域16が、この関係をその各々の導体横断面を提供することが重要である。これによって、加熱導体14が支持体12により把持するように取り囲まれているところでの熱の停滞の発生が回避され、加熱導体14が、加熱すべき排ガスと著しく良好に熱的に相互作用する領域で電気的なエネルギの利用がアシストされる。
【0042】
加熱導体14を金属平形材料から分離加工により製作することによって、例えば、加熱領域18の部分を全周にわたって不均一に分配することも可能となり、これによって、各々の排ガス装置において生じる流れ状況に適合するように、流れ横断面にわたって分配して、排ガスヒータ10を貫流する排ガスへのそれぞれ異なる入熱が達成される。したがって、排ガス流の加熱において局所的に生じる過熱または局所的に生じる損失を回避することができる。
【0043】
加熱導体14を貫流する排ガスへの効率のよい伝熱のためには、加熱導体14が、金属平形材料からの分離加工に基づき、実質的に方形の導体横断面輪郭を有していることも役立っている。導体横断面積が等しい場合、方形の導体横断面輪郭は、円形の導体横断面輪郭よりも大きな表面積を有しており、したがって、加熱すべき排ガスとの熱的な相互作用のために、より大きな表面積を保証する。
【0044】
図6には、すでに詳細に説明した排ガスヒータ10が組み込まれた排ガス装置64が原理図で示してある。この排ガス装置64は、例えば管状に形成された排ガス案内構成要素66を有している。この排ガス案内構成要素66内には、排ガスヒータ10が、排ガス処理ユニット68、例えば触媒またはパティキュレートフィルタに対して上流側に配置されている。この排ガス処理ユニット68に向かって流れる排ガスAは、まず、排ガス処理ユニット68の上流側に位置決めされた排ガスヒータ10もしくは排ガスヒータ10の加熱導体14を貫流し、そこで加熱され、したがって、熱を排ガス処理ユニット68内に輸送する。これによって、特に内燃機関の始動段階において排ガス温度がまだ比較的低くかつ排ガス装置64の構成要素が比較的低温の場合に、排ガス処理ユニット68が、排ガスヒータ10で加熱された排ガスAによってより迅速に加熱され、ひいては、運転温度にもたらされる。したがって、排ガス処理ユニット68で実施すべき、例えば触媒還元をより低い温度に基づき実行することができない期間を大幅に短縮することができる。
【0045】
言及しておくと、図面に示した排ガスヒータは、当然ながら、種々異なる構成態様において、具体的に図示した構成形態と異なっていてよい。このことは、特に加熱導体の経過に関して云える。この経過は、必ずしも蛇行するように曲がりくねった構造で提供される必要はなく、例えば螺線状の構造で提供されてもよく、すでに述べたように、それぞれ異なる周方向領域において互いに異なる経過構造を備えて形成されていてよい。加熱導体は、特にその加熱領域に、変化する横断面寸法、つまり、それぞれ異なる横断面寸法の領域を有していてよく、これによって、横断面寸法によっても変化する、加熱領域の経過における電気的な抵抗に基づき、それぞれ異なる領域でそれぞれ異なる熱量を発生させることができ、ひいては、排ガスによる不均質な流過を補償して、過熱領域を回避することができる。また、一例として、軸線方向で連続して、互いに、例えば絶縁されて保持されたかまたは直接当付け接触させられた複数の加熱導体14が支持体12に位置決めされてもよい。当然ながら、排ガス装置には、排ガス案内用のハウジング内に、例えば1つの加熱導体を備えて形成された複数の排ガスヒータが位置決めされていてよい。特に、このことは、特に有利な態様によれば、本発明により形成された排ガスヒータ10において、加熱導体14が、
図4の図平面に相応の平面内に実質的に位置している、つまり、例えば加熱導体14の中心の領域が、半径方向外側に位置する保持領域16に対して軸線方向にずらされて位置するように、軸線方向への追補的な引延しによって成形されていないという理由からも可能となる。加熱導体14は、実質的に平らな金属平形材料から分離加工によって形成されるので、軸線方向への加熱導体14の引延しは、提供された伝熱表面積の増加に繋がるのではなく、加熱導体の、互いに隣り合った部分のより大きな離間にしか繋がらず、ひいては、場合によっては、加熱導体14を貫流する排ガスとの熱的な相互作用の損害を招いてしまう恐れがある。念のために言及しておくと、このことが、例えば流れ状況に基づき有利である限り、加熱導体14は、この加熱導体14の半径方向外側の領域と半径方向内側の領域との間に軸線方向のずれを有する、軸線方向に引き延ばされた上記のような構造を有していてもよい。このためには、例えば、加熱導体14を軸線方向で支持する支持装置56が、軸線方向に引き延ばされた、例えば円錐形の上記のような構造を有していてもよい。
【外国語明細書】