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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045354
(43)【公開日】2022-03-18
(54)【発明の名称】磁気多回転センサおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20220311BHJP
   H01L 43/02 20060101ALI20220311BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20220311BHJP
   H01L 43/12 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
G01R33/09
H01L43/02 Z
H01L43/08 Z
H01L43/12
H01L43/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021145467
(22)【出願日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】63/075,453
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/412,046
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ミーハン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヒェン・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダブリュー・ジュディ
(72)【発明者】
【氏名】エンノ・ラージュ
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AD55
2G017BA09
2G017CB02
2G017CB18
2G017CB20
5F092AA11
5F092AB01
5F092AC06
5F092AC11
5F092BB04
5F092BB05
5F092CA06
5F092CA08
5F092CA09
5F092DA01
5F092EA01
(57)【要約】
【課題】本開示は、磁気抵抗素子の連続コイルと、該センサを製造する方法と、を含む、磁気多回転センサを提供する。
【解決手段】連続コイルは、内側スパイラルと外側スパイラルとが、その間のスパイラル巻線の磁気抵抗素子と干渉することなく接続されることを可能にするトレンチおよびブリッジ配置を形成するように製作されたシリコンウエハなどの基板上に形成される。基板がトレンチおよびブリッジ配置で製作されると、磁気抵抗性材料の膜を堆積させて、基板の表面上に連続コイルを形成することができ、コイルの一部分がトレンチ内に形成され、コイルの一部分がブリッジ上に形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気多回転センサであって、
直列に接続され、連続スパイラル構成で配置された複数の磁気抵抗センサ素子と、
前記複数の磁気抵抗素子が形成される基板であって、
少なくとも1つの磁気抵抗素子を受容するように構成されたトレンチと、
前記トレンチの上に形成された少なくとも1つのブリッジであって、少なくとも1つの磁気抵抗素子を支持するように構成される、前記少なくとも1つのブリッジと、を備えた基板と、を備える、磁気多回転センサ。
【請求項2】
前記トレンチが、前記連続スパイラル構成の一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子を受容するように構成され、前記基板が、前記連続スパイラル構成の内側ループと外側ループとを接続する1つの磁気抵抗素子を受容するように構成された1つのブリッジを備える、請求項1に記載の磁気多回転センサ。
【請求項3】
前記トレンチが、前記連続スパイラル構成の内側ループと外側ループとを接続する1つの磁気抵抗素子を受容するように構成され、前記基板が、前記連続スパイラル構成の一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子を受容するために前記トレンチ上に形成された前記少なくとも1つのブリッジを備える、請求項1に記載の磁気多回転センサ。
【請求項4】
前記基板が、前記連続スパイラル構成の一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子を受容するために前記トレンチ上に形成された複数のブリッジを備え、各ブリッジが、1つの磁気抵抗素子を受容する、請求項1に記載の磁気多回転センサ。
【請求項5】
前記複数の磁気抵抗素子が、巨大磁気抵抗(GMR)素子またはトンネル磁気抵抗(TMR)素子のうちの1つである、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気多回転センサ。
【請求項6】
閉ループ磁気多回転センサを製造する方法であって、
ウエハと、中間層と、マスク層と、を備えた基板を形成することと、
前記基板内にトレンチを形成するために、前記マスク層および中間層の領域をエッチングすることであって、前記マスク層の1つ以上の部分が、前記トレンチ上に少なくとも1つのブリッジを形成するように保存される、エッチングすることと、
磁気抵抗素子の連続スパイラルを形成するために、前記基板上に磁気抵抗膜を堆積させることであって、少なくとも1つの磁気抵抗素子が前記トレンチ内に形成される、堆積させることと、を含む、方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁気抵抗素子が、その後、前記少なくとも1つのブリッジ上に形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複数の磁気抵抗素子が、前記スパイラルの一方の側面を画定するために前記トレンチ内に形成され、前記少なくとも1つのブリッジ上に形成された前記少なくとも1つの磁気抵抗素子が、前記スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
複数の磁気抵抗素子が、前記スパイラルの一方の側面を画定するために前記少なくとも1つのブリッジ上に形成され、前記トレンチ内に形成された前記少なくとも1つの磁気抵抗素子が、前記スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記マスク層および中間層の領域をエッチングすることが、前記トレンチの各端部で前記マスク層および中間層内にランプを形成することをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
前記マスク層および中間層の領域をエッチングすることが、リソグラフィエッチングを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項12】
前記磁気抵抗膜を堆積させることが、傾斜および回転堆積システムを使用することを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項13】
前記磁気抵抗素子を形成するために前記磁気抵抗膜をエッチングすることをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項14】
前記トレンチ内に前記少なくとも1つの磁気抵抗素子を形成するために、イオンビームエッチングまたは角度付き反応性イオン(RIE)エッチングが使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ウエハがガラス層またはサファイア層を備え、前記磁気抵抗膜を堆積させることが、
フォトレジスト材料の層を堆積させることと、
磁気抵抗膜の層を堆積させることと、
前記フォトレジスト材料および前記磁気抵抗膜の1つ以上の部分をリフトオフするために、前記基板の下から紫外線を誘導することと、を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項16】
前記中間層が、酸化物層、窒化物層、および酸窒化物層のうちの1つを備える、請求項6または7に記載の方法。
【請求項17】
前記マスク層が、エピシリコン層を備える、請求項6または7に記載の方法。
【請求項18】
前記マスク層が、選択的エッチングのためのハードマスク層を備える、請求項6または7に記載の方法。
【請求項19】
選択的エッチング液が、前記中間層の領域を前記ハードマスク層の領域の下でエッチングすることに適用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記選択的エッチング液が、水酸化カリウム(KOH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のうちの1つを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月8日に出願された米国仮特許出願第63/075453号の優先権の利益を主張し、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、磁気多回転センサに関する。特に、本開示は、閉ループ磁気多回転センサおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
磁気多回転センサは、デバイスが回された回数を監視する必要がある用途で一般的に使用されている。例としては、車両のハンドルがある。磁気多回転センサは、典型的には、印加された外部磁界に対して感応性である磁気抵抗素子を含む。磁気抵抗素子の抵抗は、センサの近傍内で磁界を回転させることによって変化させることができる。磁気抵抗素子の抵抗の変動を追跡して、磁界内の回転数を判定することができ、これは、監視されるデバイス内の回転数に変換され得る。
【0004】
磁気多回転センサは、典型的には、スパイラルまたは閉ループ構成でストリップとしてレイアウトされた複数の磁気抵抗素子を備える。閉ループ多回転センサの1つの利点は、それらが共に接続された多数のスパイラルを効果的に提供し、したがって、非常に多くの回転をカウントすることを可能にすることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、磁気抵抗素子の連続コイルと、該センサを製造する方法と、を含む磁気多回転センサを提供する。連続コイルは、内側スパイラルと外側スパイラルとが、その間のスパイラル巻線の磁気抵抗素子と干渉することなく接続されることを可能にするトレンチおよびブリッジ配置を形成するように製作されたシリコンウエハなどの基板上に形成される。基板がトレンチおよびブリッジ配置で製作されると、磁気抵抗性材料の膜を堆積させて、基板の表面上に連続コイルを形成することができ、コイルの一部分がトレンチ内に形成され、コイルの一部分がブリッジ上に形成される。
【0006】
第1の態様は、直列に接続され、連続スパイラル構成で配置された複数の磁気抵抗センサ素子と、複数の磁気抵抗素子が形成される基板であって、少なくとも1つの磁気抵抗素子を受容するように構成されたトレンチと、トレンチ上に形成された少なくとも1つのブリッジであって、少なくとも1つの磁気抵抗素子を支持するように構成される、少なくとも1つのブリッジと、を備えた基板と、を備える、磁気多回転センサを提供する。
【0007】
トレンチは、連続スパイラルの一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子を受容するように構成されてもよく、基板は、スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する1つの磁気抵抗素子を受容するように構成された1つのブリッジを備える。
【0008】
トレンチは、スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する1つの磁気抵抗素子を受容するように構成されてもよく、基板は、スパイラルの一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子を受容するためにトレンチ上に形成された少なくとも1つのブリッジを備える。
【0009】
基板は、スパイラルの一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子を受容するためにトレンチ上に形成された複数のブリッジを備えてもよく、各ブリッジは1つの磁気抵抗素子を受容する。
【0010】
磁気抵抗素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子およびトンネル磁気抵抗(TMR)素子のうちの1つであってもよい。
【0011】
基板は、ウエハ層と、ウエハ層上に形成された中間層と、中間層上に形成されたマスク層と、を備えてもよい。
【0012】
トレンチは、中間層の一部分およびマスク層の一部分を除去することによって形成されてもよい。
【0013】
ブリッジは、マスク層の一部をトレンチの上に保存することによって形成されてもよい。
【0014】
ウエハ層は、シリコン層、ガラス層、またはサファイア層のうちの1つを備えてもよい。
【0015】
中間層は、酸化物層、窒化物層、および酸窒化物層のうちの1つを備えてもよい。
【0016】
マスク層は、エピシリコン層を備えてもよい。
【0017】
マスク層は、選択的エッチングのためのハードマスク層を備えてもよい。
【0018】
マスク層は、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層、および窒化シリコン層のうちの1つを備えてもよい。
【0019】
さらなる態様は、閉ループ磁気多回転センサを製造する方法を提供し、方法は、ウエハと、中間層と、マスク層と、を備えた基板を形成することと、基板内にトレンチを形成するために、マスク層および中間層の領域をエッチングすることであって、マスク層の1つ以上の部分が、トレンチ上に少なくとも1つのブリッジを形成するように保存される、エッチングすることと、磁気抵抗素子の連続スパイラルを形成するために、基板上に磁気抵抗膜を堆積させることであって、少なくとも1つの磁気抵抗素子がトレンチ内に形成される、堆積させることと、を含む。
【0020】
少なくとも1つの磁気抵抗素子が、その後、少なくとも1つのブリッジ上に形成されてもよい。
【0021】
複数の磁気抵抗素子が、スパイラルの一方の側面を画定するためにトレンチ内に形成されてもよく、少なくとも1つのブリッジ上に形成された少なくとも1つの磁気抵抗素子が、スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する。
【0022】
あるいは、複数の磁気抵抗素子が、スパイラルの一方の側面を画定するために少なくとも1つのブリッジ上に形成されてもよく、トレンチ内に形成された少なくとも1つの磁気抵抗素子が、スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する。
【0023】
マスク層および中間層の領域をエッチングすることは、トレンチの各端部でマスク層および中間層内にランプを形成することをさらに含んでもよい。
【0024】
マスク層および中間層の領域のエッチングは、リソグラフィエッチングを含んでもよい。
【0025】
磁気抵抗膜を堆積させることは、傾斜および回転堆積システムを使用することを含んでもよい。
【0026】
本方法は、磁気抵抗素子を形成するために磁気抵抗膜をエッチングすることをさらに含んでもよい。
【0027】
トレンチ内に少なくとも1つの磁気抵抗素子を形成するために、イオンビームエッチングまたは角度付き反応性イオン(RIE)エッチングが使用されてもよい。
【0028】
場合によっては、ウエハ層は、ガラス層またはサファイア層を備え、この場合、磁気抵抗膜を堆積させることは、フォトレジスト材料の層を堆積させることと、磁気抵抗膜の層を堆積させることと、フォトレジスト材料および磁気抵抗膜の1つ以上の部分をリフトオフするために、基板の下から紫外線を誘導することと、を含んでもよい。
【0029】
中間層は、酸化物層、窒化物層、および酸窒化物層のうちの1つを備えてもよい。
【0030】
マスク層は、エピシリコン層を備えてもよい。
【0031】
マスク層は、選択的エッチングのためのハードマスク層を備えてもよい。例えば、ハードマスク層は、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層、および窒化シリコン層のうちの1つを備えてもよい。
【0032】
このような場合、選択的エッチング液は、少なくとも1つのブリッジを形成するために、ハードマスク層の領域の下で、中間層の領域をエッチングすることに適用される。例えば、選択的エッチング液は、水酸化カリウム(KOH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のうちの1つを含んでもよい。
【0033】
本明細書に記載の他の配置は、直列に接続され、連続スパイラル構成で配置された複数の磁気抵抗センサ素子と、複数の磁気抵抗素子が形成される基板であって、磁気抵抗素子の第1の部分の上に形成された少なくとも1つのブリッジであって、少なくとも1つの磁気抵抗素子を支持するように構成される、少なくとも1つのブリッジを備えた基板と、を備える、磁気多回転センサを提供する。
【0034】
ブリッジは、磁気抵抗素子の第1の部分の上に磁性材料のストリップから形成されてもよく、磁性材料は、軟質強磁性材料であってもよい。例えば、磁性材料は、ニッケル、鉄、もしくはコバルトのうちの1つを含む軟磁性材料、またはニッケル、鉄、もしくはコバルトのうちの少なくとも1つを含有する合金であってもよい。
【0035】
磁気抵抗素子の第1の部分は、連続スパイラルの一方の側面を画定する複数の磁気抵抗素子であってもよく、ブリッジは、スパイラルの内側ループと外側ループとを接続する1つの磁気抵抗素子を受容するように構成されている。
【0036】
次に、本開示は、添付の図面を参照してのみ例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本開示の一実施形態による、磁気多回転センサを示す。
図2】本開示の一実施形態による、磁気多回転センサをさらに示す。
図3】本開示のさらなる実施形態による、磁気多回転センサをさらに示す。
図4A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法を示す概略側面図である。
図4B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法を示す概略側面図である。
図4C】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法を示す概略側面図である。
図4D】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法を示す概略側面図である。
図5】本開示のさらなる実施形態による、磁気多回転センサを示す。
図6】本開示の一実施形態による、磁気多回転センサの電気接続を示すための図である。
図7】本開示の一実施形態による、多回転センサの磁気抵抗感知素子を接続する方法を示す。
図8A】本開示の一実施形態による、多回転センサの磁気抵抗感知素子を接続するさらなる方法を示す。
図8B】本開示の一実施形態による、多回転センサの磁気抵抗感知素子を接続するさらなる方法を示す。
図9A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図9B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図10A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図10B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図10C】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図10D】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図11A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図11B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図11C】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図11D】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造するさらなる方法を示す。
図12】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法を示す。
図13】本開示の一実施形態による、磁気多回転センサの一部分を示す。
図14】本開示のさらなる実施形態による、磁気多回転センサの一部分を示す。
図15A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図15B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図16A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図16B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図17A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図17B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図18A】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
図18B】本開示の実施形態による、磁気多回転センサを製造する方法をさらに示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
磁気多回転センサは、回転シャフトの回転カウントを監視するために使用できる。これを行うために、磁石は典型的には、回転シャフトの端部に取り付けられ、多回転センサは、磁石がシャフトと共に回転するときに磁界の回転に対して感応性である。このような磁気感知は、自動車用途、医療用途、産業制御用途、消費者用途、および回転部品の位置に関する情報を利用する多数の他の用途など、様々な異なる用途に適用することができる。
【0039】
磁気多回転センサは、典型的には、スパイラルまたは閉ループ構成で配置された、印加された外部磁界に対して感応性である巨大磁気抵抗(GMR)素子またはトンネル磁気抵抗(TMR)素子を含む。外部磁界が回転すると、磁壁がスパイラルを通って伝播し、それにより、各磁気抵抗素子が通過する際の磁気アライメントが変化する。磁気抵抗素子の抵抗は、磁気アライメントが変化するにつれて変化し、抵抗の変動が追跡されて磁界の回転数を判定する。閉ループセンサの主な利点の一つは、共に接続された多数のスパイラルを効果的に提供し、したがって、非常に多くの回転をカウントすることを可能にすることである。しかしながら、このようなセンサの製作には、磁気抵抗膜が薄いため、内側スパイラルと外側スパイラルとを接続することが困難である可能性があることから、スパイラルの残りの部分を横切る接続ワイヤが磁壁を破壊し、非伝播および破損した回転カウントにつながる可能性があるため、多くの課題がある。
【0040】
本開示は、磁気抵抗素子の連続コイルを備える磁気多回転センサと、その間の磁気抵抗素子と干渉することなく、内側スパイラルと外側スパイラルとを接続することを可能にする該センサを製造する方法を提供する。連続コイルは、スパイラルの上または下に遮蔽された交差を提供するトレンチおよびブリッジ配置を形成するように製作されたシリコンウエハなどの基板上に形成される。基板がトレンチおよびブリッジ配置で製作されると、磁気抵抗性材料の膜を堆積させて、基板の表面上に連続コイルを形成することができる。そうすることにより、無電力または非常に少ない電力を使用して多数の回転を測定することができる、連続コイルを備える多回転センサが提供される。磁区位置の不揮発性特性、すなわち、磁壁がスパイラルを通って伝播するときに磁気抵抗素子が磁区を変化させるパターンは、多回転センサが電力なしで外部磁界中の回転数をカウントすることを可能にする。磁界が回転するにつれて、磁気抵抗素子の各々の磁区は特定のパターンで変化し、これは、多回転センサにわたって測定された抵抗の対応するパターンを提供する。したがって、読み出しが必要な場合に電力を供給することができ、その時点での測定抵抗は、パターンの特定の点、すなわち特定の回転数に対応している。
【0041】
図1および2は、本開示の一実施形態による、多回転センサ1を示す。センサ1は、例えば、図2により詳細に示されるように、基板10、例えば、基板表面11をエッチングすることによって、基板表面11の1つの領域にトレンチ12が形成される、表面11を有するシリコンベースの基板を備える。トレンチ12は、基板表面11の一部分が、トレンチ12上にブリッジ14を形成するように保存されるように形成される。次に、互いに直列に配置された複数のセグメントを有するスパイラル構成で配置された磁気抵抗トラック16を形成するために、磁気抵抗性材料の膜を基板10上に堆積させることができる。したがって、スパイラルの各アームは、外部に印加された磁界の存在下で磁気アライメント状態の変化に応答して抵抗を変化させることができる磁気抵抗感知素子を提供する。スパイラルの一方の側面15を画定する磁気抵抗トラック16は、トレンチ12を通ってブリッジ14の下を通過するように配置される。トレンチ12の各端部には、トレンチ12の底部から上部基板表面11への滑らかな経路を提供し、磁気抵抗トラック16がトレンチ12に出入りすることを可能にするためのランプ13A、13Bが提供され得る。
【0042】
ブリッジ14、トレンチ12、ならびにトレンチ12の中およびトレンチ12の外に通じるランプ13A、13Bを形成するために、基板10は、多段階リソグラフィエッチングプロセスを使用してエッチングされてもよい。例えば、トレンチ12の本体のための第1のリソグラフィ露光およびエッチング、トレンチ12のランプ13Aおよび13Bのための第2のリソグラフィ露光およびエッチング、ならびにトレンチ12およびブリッジ14を囲む平面表面11のための第3のリソグラフィ露光およびエッチングでありうる。
【0043】
外側スパイラル巻線17は、トレンチ12の外側周辺を通過し、ブリッジ14上に堆積された接続磁気抵抗トラック18を介して、内側スパイラル巻線19に接続される。このように、このブリッジ14およびトレンチ12配置は、接続磁気抵抗トラック18が、スパイラルの一方の側面15を横切ることを、その側面15の磁気抵抗トラックの磁区伝播を妨げることなく可能にする。好ましくは、接続磁気抵抗トラック18は、多回転センサの回転カウントに寄与する磁気抵抗トラックであるが、しかしながら、他の配置では、接続部分は、いくつかの他の軟質強磁性材料を含んでもよいことが理解されるであろう。
【0044】
代替の配置では、図3に示すように、センサ2は、基板20内に形成された狭いトレンチ22を備え、内側スパイラル巻線から外側スパイラル巻線への接続磁気抵抗トラック28のための交差を提供し、狭いトレンチ22の上に形成された1つ以上のブリッジ24は、スパイラルのその側面の磁気抵抗トラック25を支持する。すなわち、スパイラルの磁気抵抗トラック25は、接続磁気抵抗トラック28の上を横切る。図3の例では、スパイラルの一方の側面を形成する磁気抵抗トラック25のすべてを支持する1つの広いブリッジ24が形成されている。他の配置では、いくつかの個々のブリッジが、各々が単一の磁気抵抗トラック25を支持する狭いトレンチ22の上に形成されてもよい。上述したように、トレンチ22およびブリッジ24配置は、基板20をエッチングすることによって形成されてもよい。
【0045】
図4A~Dは、本開示の実施形態による、多回転センサを製作する方法における第1の段階を示す。図4Aに示されるように、基板は、シリコンウエハ200上で中間層202、好ましくは酸化物層を最初に成長させ、または堆積させることによって製作される。しかしながら、ウエハ200は、ガラスまたはサファイアなどの紫外線透過性材料から形成されてもよく、その場合、酸化物層202はその上に堆積されることが理解されるであろう。酸化物層202はまた、窒化物、酸窒化物、または同様の材料の層であってもよい。次いで、マスク層204、例えば、エピシリコンまたは同様の材料は、酸化物層202上に堆積される。マスク層204の厚さは、ブリッジ24の厚さに少なくとも部分的に依存する。
【0046】
次に、図4Bに示すように、フォトレジスト層206は、図4Cに示すように、トレンチ208をエッチングするために基板上に形成され、酸化物層202は、特定の深さまでトレンチ208を深くするために除去される。図4Dに示されるように、マスク層204の一部分は、トレンチ208上にブリッジ210を形成するように保存される。トレンチ208およびブリッジ210はまた、段階的なリソグラフィエッチングを使用してエッチングされてもよい。例えば、トレンチ208の本体のための第1のリソグラフィ露光およびエッチング、トレンチ208のランプのための第2のリソグラフィ露光およびエッチング(すなわち、図1~3のランプ13Aおよび13B)、ならびにトレンチ208を囲む平面表面のための第3のリソグラフィ露光およびエッチング(すなわち、図1~3の上面11およびブリッジ14)。
【0047】
トレンチが形成される方法は、図9A~Bによってさらに示される。図9Aに示されるように、基板は、(100)のミラー指数を有するシリコンで形成されるウエハ900、またはガラスもしくはサファイアなどの紫外線透過性材料を含む。酸化物層902は、ウエハ200上に形成され、続いてエピシリコンなどから形成されるマスク層904が形成される。前述のように、レジスト906が基板上に堆積され、レジスト上にパターン908が形成され、トレンチとなる部分を露光させ、ブリッジを画定する。次に、マスク層904および酸化物層902は、図9Bに示されるように、トレンチ910およびブリッジ912を形成するためにエッチングされる。広いトレンチ910を有する単一の狭いブリッジ912が示されているが、もちろん、レジストに適切なパターンを使用することによって、任意の適切な数およびサイズのブリッジおよびトレンチが形成されてもよいことが理解されよう。
【0048】
ガラスまたはサファイアなどの紫外線透過性材料が基板に使用される場合、図10A~10Dに示すように、トレンチ内およびブリッジ上にある磁気抵抗トラックを形成するために、リフトオフプロセスを使用してもよい。露光したトレンチ部分内では、図10Aに示すように、フォトレジスト材料1002は、透明基板1000上にスプレーされてもよい。次に、図10Bによって示されるように、磁気抵抗性材料1004の層は、基板1000およびフォトレジスト材料1002上に堆積される。次に、図10Cおよび10Dに示すように、リフトオフプロセスおよびレジスト除去が行われ、それによって、基板1000の下および上からの紫外線が、フォトレジスト材料1002を除去し、磁気抵抗性材料1004の一部分をリフトオフするために使用され、残りの磁気抵抗性材料1004は、多回転センサのトラックを形成する。
【0049】
ブリッジおよびトレンチ配置を形成する代替の方法は、バルクマイクロマシニングアプローチを使用することであり、ブリッジは、ハードマスク層および選択的エッチングによって形成される。このような場合、基板(すなわち、シリコンウエハ200および酸化物層202)には、トレンチを形成するために使用されるエッチング液(例えば、水酸化カリウム(KOH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)など)に対して不活性である、酸化シリコン層、酸窒化シリコン、および窒化シリコンなどのハードマスク層が提供される。マスク層ではなく酸化物層202を攻撃する選択的エッチング液を使用することで、ブリッジの下にトレンチを形成することが可能になる。
【0050】
このプロセスの間、基板の結晶方向に対するブリッジの方向に特別な注意を払う必要がある。{111}面は自然エッチング停止部として機能するため、ブリッジは{110}面に対して傾ける必要がある。次いで、「n」等方性エッチングを使用して、側壁プロファイルを平滑化し、トレンチの底部を平坦化することもできる。別の選択肢は、{111}平面がトレンチ開口部に向かって異なる方向を有するように、{110}平面に対して角度をもってトレンチを配向するように、ブリッジの下に基板を傾けることである。
【0051】
このバルクマイクロマシニングアプローチの一例は、図11A~11Dに示されている。図11Aに示されるように、ウエハ1100および酸化物層1102が提供される。ウエハ1100は、(110)のミラー指数を有するシリコンから形成され、長辺の縁は、<112>方向に整列し、短辺は、<111>方向に整列する。この点で、<112>方向は<110>面から54.74°であり、長辺に垂直辺、短辺に35.3°のランプを作り出す。
【0052】
図11Bに示すように、酸化物または窒化物(上述のものなど)から形成されるマスキング層1104が酸化物層1102上に形成される。次に、図11Cに示すように、トレンチ1106およびブリッジ1108をエッチングするためにエッチング液(KOHエッチング液など)が使用され、トレンチ1106の深さはエッチング液内の時間に依存する。場合によっては、図11Dに示すように、ブリッジ1108の下にファセットを残すエッチング液に起因して、ブリッジ1108はある角度で形成される必要がある可能性がある。マスキング層1104を傾けることによって、これは、アンダーカットがブリッジ1108を形成することを可能にし、ブリッジ1108のウエハ1100部分は、例えば、35度の角度で傾斜した壁を有する。これはまた、ブリッジ1108の直下の領域へのアクセスを容易にし、それによって、トレンチ1106内に磁気抵抗性材料を均一に堆積させることを容易にする。同様に、トレンチ1106の領域内のマスキング層1104はまた、トレンチ1106の傾斜した壁を形成するために傾斜してもよく、これは再び35度の角度であってもよい。しかしながら、トレンチ1106およびブリッジ1108の傾斜した壁は、任意の適切な角度にあってもよいことが理解されるであろう。
【0053】
トレンチ208およびブリッジ210の幅は、トレンチに沿って形成される磁気抵抗トラックの数に少なくとも部分的に依存する。図1~3に示されるように、トレンチ208がスパイラルの一方の側面を受容する場合、次いで、トレンチ208の幅は、少なくとも部分的に、スパイラルがいくつの巻線を有するか、およびトラックの各セット間の間隔に依存し、一方、ブリッジ210は、内側および外側スパイラル巻線を接続するトラックを支持するのに十分広くあり得る。トレンチ208が、内側および外側スパイラル巻線を接続するトラックを受容するように配置される場合、トレンチ208は、1つのトラックを受容するのに十分広くあり得る。このような場合、図14に示すように、トレンチ1402の上に形成された1つのブリッジ1404は、スパイラルのその側面上のすべてのトラック1408を受容するのに十分な幅である一方で、トレンチ1402は接続トラック1406を受容するのに十分広い。あるいは、図13に示されるように、いくつかのブリッジ1304は、各トラック1308を個別に受容するように形成されてもよい。
【0054】
いずれの場合も、ブリッジ210は、シャドーイングの量を制限するために可能な限り狭くなければならず、一方、トレンチ208は、シャドーイング効果を低減するために可能な限り広いことが好ましい。例えば、幅350nmの磁気抵抗トラックの場合、3μm前後のブリッジ210および29μm前後のトレンチが提供されてもよい。同様に、トレンチに沿って、または1つ以上のブリッジを横切って、互いに並走する複数のトラックがある場合、トラックは、互いに干渉しない適切な距離で離間するべきである。
【0055】
トレンチ208の深さはまた、同時に磁気抵抗トラックが容易にトレンチ208に出入りすることを可能にする一方で、シャドーイングの量を最小限に抑えるように選択されるべきである。
【0056】
トレンチおよびブリッジ配置をエッチングするために、他の適切な製作方法が使用されてもよいことが理解されるであろう。例えば、トレンチのいずれかの端部のランプは、製作プロセスとして「バーズビーク」を使用して形成されてもよい。同様に、マイクロレンズは、ブリッジの下のトレンチをエッチングするためにリソグラフィ露光で使用されてもよい。
【0057】
トレンチおよびブリッジ配置で基板が形成されると、磁気抵抗性材料の膜が基板上に堆積され、図1~3に示される磁気抵抗トラック16を形成するようにエッチングされてもよい。
【0058】
磁気抵抗トラックの厚さは、外部に印加された磁界、例えば抵抗器が磁気アライメントを変化させる磁界強度ウィンドウにおける動作挙動に影響を与える。したがって、磁気抵抗膜が均一に堆積させて均一な厚さのトラックを提供し、それによって回転カウントで誤差が発生しないようにすることが重要である。ブリッジの下の均一な層に膜を堆積させるために、角度付き物理蒸着を使用することができ、スパッタリングシステムは、角度でタイトルが付けられ、基板が回転する。図12は、ブリッジ1204およびトレンチ1206が形成されたウエハ1200および酸化物層1202を備える基板の断面を示す。膜1208は、均一な厚さのトラックが形成されるように、ブリッジ1204上に、およびトレンチ1206内に堆積されている。これは、標的領域に応じてスパッタリングシステムを異なる角度で傾けることによって行われている。例えば、ウエハ1200に対する90°は、膜1208をブリッジ1204上に堆積させるために使用されてもよく、最小の角度は、次に、1210で示される領域内のブリッジ1204の直下に膜1208を堆積させるために使用される。すべての領域に対して同じ角度を使用することは、領域12010内の潜在的なピン留め部位または不連続部を有する、トレンチ1206のランプ部分上のより薄い膜を意味する。したがって、傾斜角は、ブリッジおよびトレンチの壁によって引き起こされるいかなるシャドーイングもなく、膜がブリッジの下に均一に堆積されるように選択することができる。
【0059】
いくつかの配置では、角度付き堆積は、磁気抵抗膜の自由層に対して実行されてもよい。いくつかの配置では、角度付き堆積は、磁気抵抗膜の自由層、すなわち、方向を自由に変化させ、それによって、外部磁界が回転するときに抵抗の変化を提供する磁化を有する強磁性材料に対してのみ実行されてもよい。したがって、測定されている磁気抵抗性スタックのこの部分の磁化であるため、膜のこの部分が一貫した読み取り値を確保するために均一であることが重要である。
【0060】
膜が均一に堆積されると、膜は、例えば、イオンビームエッチングまたは反応性イオンエッチングを使用して、トラックを形成するようにエッチングされる。ブリッジの下の部分について、反応性イオンエッチングは、均一なマノル内で膜を再びエッチングする角度で行われ得る。もちろん、トレンチの深さおよびブリッジの厚さに応じて、任意の適切な角度を使用してもよいことが理解されよう。同様に、トラックをエッチングする他の方法も使用されてもよいことも理解されよう。
【0061】
場合によっては、磁気抵抗膜がトレンチ内に堆積され、センサスパイラルの磁気抵抗トラックを提供するようにエッチングされると、トレンチにポリイミド材料が充填され、後続の任意の処理ステップ中に構造に機械的堅牢性を提供するのに役立ち得る。
【0062】
図15A~Bから18A~Bはさらに、ブリッジ1504がスパイラルの一方の側面の磁気抵抗トラック1508を受容するように構成されている一方で、トレンチ1502が内側および外側スパイラル巻線を接続する単一のトラック1506を受容するように配置されている場合に、磁気抵抗トラックが形成される方法を示す。
【0063】
方法における第1の段階を図15Aおよび15Bに示す。ここで、図15Bは、軸Aに垂直なトレンチ1502の長さを下に見下ろす図15Aの断面図を示す。まず、磁気抵抗性材料は、基板1500の上にブランケット堆積され、その結果、磁気抵抗性材料は、ブリッジ1504上およびトレンチ1502に沿って堆積される。次に、リソグラフィパターンを使用して、ブリッジ1504に沿った複数のトラック1508およびトレンチ1502に沿った単一のトラック1506をエッチングする。トレンチ1502は、磁気抵抗トラック1506の目標幅と同じ幅であるように形成され、したがって、リソグラフィエッチング中にトラック1506の幅を画定する必要はない。しかしながら、磁気抵抗性材料1510の領域は、トレンチ1502の側壁上に残されてもよい。
【0064】
これに対処するために、図16Aおよび16Bに示すように、ブリッジ1504の領域内のトレンチ1502の幅は拡大される。ここでも、図16Bは、トレンチ1502の長さを見下ろす図16Aの断面図を示す。次に、磁気抵抗性材料1510のオーバーラップ領域は、例えば、エコスノークリーニング技術またはイオンビームエッチングを使用して、いくつかの適切な方法を使用して除去されてもよく、それによって、図17A~17Bおよび18A~18Bに示すように、トレンチの長さに沿って走る単一の磁気抵抗トラック1506を提供する。
【0065】
図5は、トレンチが基板内に形成されていないが、ブリッジ52、例えば、本明細書に記載の方法のいずれかを使用して形成されたパーマロイストリップまたはブリッジが、スパイラルの磁気抵抗トラック58の上に形成されて、内側および外側スパイラル巻線54、56を接続する、本開示の代替的な実施形態を提供する。このような配置では、ブリッジ52は、ニッケル、鉄、もしくはコバルトのうちの1つ、またはニッケル、鉄、もしくはコバルトのうちの少なくとも1つを含有する合金を含む、軟磁性材料、好ましくは軟質強磁性材料から形成されてもよい。
【0066】
図6~8Bは、磁気抵抗トラックが接続されてもよい方法を示す。図6は、スパイラル状に配置された複数の磁気抵抗トラックを備える、図1~3を参照して説明されるものと同様の磁気多回転センサ4を示す。内部磁気抵抗トラック(抵抗R15に対応する)は、上述したように、トレンチおよびブリッジ配置40を介してスパイラルを横切る接続磁気抵抗トラック(抵抗R1に対応する)を介して外部磁気抵抗トラック(抵抗R16に対応する)に接続される。スパイラルは、複数の磁気抵抗感知素子R1~R16を画定するために金属材料の堆積を介して提供され得るスパイラルに沿って複数の金属接点42を含み、それらの抵抗が測定されることを可能にするために電源に接続され得る。
【0067】
例えば、図7に示されるように、磁気抵抗素子R1~R6は、ホイートストンブリッジ配置で接続されてもよい。あるいは、図8Aおよび8Bに示されるように、磁気抵抗素子R1~R6は、マトリックス配置で接続されてよく、80で示される線は、独国特許出願公開第DE102017104551A1号明細書および米国特許出願公開第2017/261345号明細書でより詳細に説明されているように、スパイラル自体の経路を示し、それらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
用途
【0069】
本明細書で論じられた原理および利点のいずれも、上記のシステムに限らず、他のシステムに適用することができる。いくつかの実施形態は、本明細書に記載される特徴および/または利点のサブセットを含むことができる。上述の様々な実施形態の要素および動作を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で説明される方法の行為は、必要に応じて任意の順序で実施され得る。さらに、本明細書で説明される方法の作用は、必要に応じて、連続的にまたは並列的に実施することができる。回路は特定の配置で示されるが、他の同等の配置が可能である。
【0070】
本明細書で論じられる原理および利点のうちのいずれかは、本明細書の教示のいずれかから利益を得ることができる任意の他のシステム、装置、または方法に関連して実装することができる。例えば、本明細書で説明する原理および利点のうちのいずれかは、回転磁界に由来する回転角度位置データを補正する必要性を有する任意のデバイスに関連して実装することができる。さらに、デバイスは、磁界を感知することができる任意の磁気抵抗またはホール効果デバイスを含むことができる。
【0071】
本開示の態様は、様々な電子デバイスまたはシステムに実装され得る。例えば、本明細書で説明する原理および利点のいずれかに従って実装された位相補正方法およびセンサは、様々な電子デバイスおよび/または様々な用途に含まれ得る。電子デバイスおよび用途の例としては、サーボ、ロボット工学、航空機、潜水艦、歯ブラシ、生体医学的感知デバイス、ならびに半導体ダイおよび/またはパッケージモジュール、電子試験装置などの消費者電子製品の部分などが挙げられるが、これらに限定されない。電子デバイスは、産業、自動車、および/または医療用途のためのものを含む未完成の製品を含むことができる。
【0072】
特に文脈が明確に要求しない限り、説明および特許請求の範囲を通して、「備える(comprising)」、「備える(comprising)」、「含む(including)」などの語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、つまり、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。本明細書で一般的に使用される場合、「結合」または「接続」という語は、直接接続され得るか、または1つ以上の中間要素を経由して接続され得る2つ以上の要素を指す。したがって、図に示される様々な概略図は、要素および部品の例示的な配置を描写するが、追加の介在要素、デバイス、特徴、または部品は、(描写される回路の機能性が悪影響を受けないと仮定して)実際の実施形態に存在し得る。本明細書で使用される場合、「に基づく」という単語は、概して、「にのみ基づく」こと、および「に少なくとも部分的に基づく」ことを包含することが意図される。併せて、本出願で使用されるとき、「本明細書で」、「上で」、「下で」という語、および同様の意味の語は、本出願全体を指し、本出願の特定の部分を指すものではない。文脈が許す限り、単数形または複数形を使用した発明を実施するための形態における語には、それぞれ複数形または単数形も含めることができる。2つ以上の項目のリストを参照する「または」という語は、次の語の解釈をすべて、すなわち、リスト内の任意の項目、リスト内のすべての項目、およびリスト内の項目の組み合わせを網羅することを意図している。本明細書で提供されるすべての数値または距離は、測定誤差内に同様の値を含めることを意図している。
【0073】
特定の実施形態を記載したが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載される新規の装置、システム、および方法は、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本開示の主旨から逸脱することなく、本明細書に記載される方法およびシステムの形態における様々な省略、置換、および変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
1 多回転センサ
2 センサ
10 基板
11 基板表面
12 トレンチ
13A、13B ランプ
14 ブリッジ
15 側面
16 磁気抵抗トラック
17 外側スパイラル巻線
18 接続磁気抵抗トラック
19 内側スパイラル巻線
20 基板
22 トレンチ
24 ブリッジ
25 磁気抵抗トラック
28 接続磁気抵抗トラック
40 ブリッジ配置
42 金属接点
52 ブリッジ
54、56 スパイラル巻線
58 磁気抵抗トラック
200 シリコンウエハ
202 中間層、酸化物層
204 マスク層
206 フォトレジスト層
208 トレンチ
210 ブリッジ
900 ウエハ
902 酸化物層
904 マスク層
906 レジスト
908 パターン
910 トレンチ
912 ブリッジ
1000 透明基板
1002 フォトレジスト材料
1004 磁気抵抗性材料
1100 ウエハ
1102 酸化物層
1104 マスキング層
1106 トレンチ
1108 ブリッジ
1200 ウエハ
1204 ブリッジ
1206 トレンチ
1208 膜
1304 ブリッジ
1308 トラック
1402 トレンチ
1404 ブリッジ
1406 接続トラック
1408 トラック
1500 基板
1502 トレンチ
1504 ブリッジ
1508 磁気抵抗トラック
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
【外国語明細書】