(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045384
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】配車車両管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20220314BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220314BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020150962
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 英文
(72)【発明者】
【氏名】中村 徳裕
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF33
5H181MA05
5H181MA08
5H181MA14
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】選抜に用いる選抜条件を指定することによって、指定された選抜条件によって異なる選抜結果を確認することができる。
【解決手段】利用者による配車依頼を受け付ける配車依頼受付部と、配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件から、表示対象となる選抜条件の指定を受け付ける表示条件受付部と、指定された選抜条件によって選抜された車両を表示部に表示させる表示制御部と、を備える、配車車両管理システムが構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者による配車依頼を受け付ける配車依頼受付部と、
前記配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件から、表示対象となる前記選抜条件の指定を受け付ける表示条件受付部と、
指定された前記選抜条件によって選抜された前記車両を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える配車車両管理システム。
【請求項2】
前記車両が空車状態である期間を示す空車期間情報を生成する空車期間情報生成部を、さらに備え、
第1選抜条件は、各々の前記車両の前記空車期間情報に基づいて、前記配車依頼に対して配車可能な前記車両を選抜する条件である、
請求項1に記載の配車車両管理システム。
【請求項3】
第2選抜条件は、前記第1選抜条件で選抜された前記車両の中より、各々の前記車両から前記利用者までの所要時間と所要距離とのうち少なくとも一方を基準として、前記車両を選抜する条件である、
請求項2に記載の配車車両管理システム。
【請求項4】
前記第1選抜条件もしくは前記第2選抜条件で選抜された前記車両の中より、第3選抜条件に最も適合する1台の前記車両が前記表示部に表示される、
請求項3に記載の配車車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者から配車依頼を受け付けると、配車先近傍に位置する車両を選抜する技術が知られている。例えば、特許文献1においては、配車先近傍に位置する車両の中から、最短の移動時間で配車先に到達できる車両を選抜し、当該車両に配車指示を送信する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、配車先近傍に位置する車両を選抜したのち当該車両の中から最短の移動時間で配車先に到達できる車両を選抜しているように、配車候補となる車両を2段階の選抜条件で絞り込んだ選抜結果を用いて、配車指示を送信する車両を決定している。しかし、従来技術では、2段階の選抜条件で絞り込んだ選抜結果しか用いることができず、1段階目の選抜条件で絞り込んだ選抜結果を確認したのち当該選抜結果から配車指示を送信する車両を決定するのか、更に2段階目の選抜条件を追加して選抜結果を確認したのち当該選抜結果から配車指示を送信する車両を決定するのか、を選択することができなかった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、段階的な複数の選抜条件を用いて配車候補となる車両を段階的に絞り込んでいく場合に、各選抜条件による選抜結果をそれぞれ確認することができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、配車車両管理システムは、利用者による配車依頼を受け付ける配車依頼受付部と、配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件から、表示対象となる選抜条件の指定を受け付ける表示条件受付部と、指定された選抜条件によって選抜された車両を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0006】
すなわち、配車車両管理システムでは、配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件の中から、指定された選抜条件によって選抜された車両が表示部に表示される。このため、当該システムの管理者は、段階的な複数の選抜条件の中から指定された選抜条件によって選抜された車両を確認することができる。すなわち、選抜に用いる選抜条件を指定することによって、指定された選抜条件によって異なる選抜結果を確認することができる。そして、管理者は、当該選抜結果に基づき、配車依頼に対応する車両を決定するか、更に選抜条件の指定を変更してその選抜結果を表示させるかを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】配車車両管理システムと協働するシステムとの構成例を示す図である。
【
図4】配車車両決定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)全体の構成:
(2)携帯端末の構成:
(3)案内システムの構成:
(4)配車車両管理システムの構成:
(5)配車車両決定処理:
(6)他の実施形態:
【0009】
(1)全体の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる配車車両管理システム10と協働するシステムの構成例を示す図である。本実施形態においては、複数の車両の配車管理を行う拠点に配車車両管理システム10が設置される。複数の車両のそれぞれには案内システム100が搭載されている。
図1には、複数の車両の中の1台が、案内システム100とともに示されている。携帯端末300は、利用者が配車依頼をするために用いる端末である。配車車両管理システム10は、案内システム100および携帯端末300と無線通信可能である。
【0010】
配車車両管理システム10は、複数の車両の配車管理を行うサーバである。本実施形態における車両とは、配車依頼によって予約された利用者の出発地まで利用者を迎えに行き、当該利用者を目的地まで連れて行くサービスを提供する車両のことである。利用者は、携帯端末300を介して配車車両管理システム10に配車依頼に関する情報(詳細は後述)を送信する。配車車両管理システム10においては、当該情報に応じて、当該利用者の配車依頼に対応する車両を決定し、当該車両の予定に加える。この場合、予定が当該車両の運転者に通知され、運転者が利用者を迎えに行くことによって、当該車両が利用者に配車される。
【0011】
(2)携帯端末の構成:
次に、携帯端末300の構成を説明する。携帯端末300は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部320と、タッチパネルディスプレイ310と、通信部330と、図示しない記録媒体と、を備えている。制御部320は、ROMや記録媒体に記録された様々なプログラムを実行することができる。本実施形態にかかる携帯端末300は、各種のプログラムにより各種の機能を実行可能な多機能端末である。携帯端末300は、各種の態様で実現可能であるが、本実施形態において、携帯端末300は、通話機能を含む各種の機能を実現可能なスマートフォンである。
【0012】
タッチパネルディスプレイ310は、各種画像を表示する表示部と、表示部の表示面において利用者の操作を受け付ける入力部とを構成する。タッチパネルディスプレイ310は、図示しないインタフェースを介して制御部320と接続されており、制御部320とタッチパネルディスプレイ310とで各種の信号を授受する。制御部320の制御に従って、タッチパネルディスプレイ310は、携帯端末300の利用者による各種の指示を入力し、利用者に対する各種の情報を出力する。通信部330は、他の装置と無線通信を行うための回路を含んでいる。本実施形態において、制御部20は、通信部330を介して、無線通信によって配車車両管理システム10と様々な情報を授受することができる。
【0013】
本実施形態において、制御部320は、車両の予約アプリケーションプログラムやブラウザプログラム等を実行することによって、通信部330を介して配車車両管理システム10にアクセスする。利用者は、これらのプログラムによって実現されるユーザーインターフェースを利用して、タッチパネルディスプレイ310に入力することによって配車依頼を行う。配車依頼を行う際に入力する情報には、乗車希望時刻、出発地および目的地が含まれる。出発地および目的地は、これらの地点を特定するための情報であり、例えば、座標や当該地点に存在する地物を示す情報(駅に存在する出口の番号等)等である。なお、出発地が現在地と入力された場合には、携帯端末300が備える図示しないGNSS受信部により特定された現在地を特定するための情報(座標や地物等)が出発地として自動的に入力される。
【0014】
(3)案内システムの構成:
次に、車両に搭載されている案内システム100の構成を説明する。案内システム100は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部120と、記録媒体130と、通信部140と、GNSS受信部141と、車速センサ142と、ジャイロセンサ143と、ユーザI/F部144と、を備えている。制御部120は、記録媒体130やROMに記憶された図示しないナビゲーションプログラムを実行することができる。
【0015】
記録媒体130には、予め地図情報130aが記録されている。地図情報130aは、車両の位置や案内対象の施設の特定に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する施設の位置や形状、範囲等を示すデータ等を含んでいる。車両情報130bは、車両の現在地と、車両の状態(詳細は後述)と、を示す情報である。
【0016】
通信部140は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部120は、ナビゲーションプログラムの処理によって配車車両管理システム10と通信を行うことが可能である。GNSS受信部141は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を出力する。制御部120は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ142は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部120は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ143は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部120は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ142およびジャイロセンサ143等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在位置がGNSS受信部141の出力信号に基づいて補正される。
【0017】
ユーザI/F部144は、車両の乗員の指示を入力し、また車両の乗員に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネル式のディスプレイやスピーカ等を備えている。すなわち、ユーザI/F部144は画像や音の出力部およびユーザによる指示の入力部を備えている。
【0018】
制御部120は、図示しないナビゲーションプログラムを実行することにより、車両情報送信部121a、案内実行部121bとして機能する。制御部120は、車両情報送信部121aとして機能することにより、車両の情報を示す車両情報130bを取得する。すなわち、制御部120は、GNSS受信部141,車速センサ142,ジャイロセンサ143の出力信号に基づいて車両の現在地を特定し、車両情報130bとして記録媒体130に記録させる。
【0019】
また、車両の運転者は、ユーザI/F部144等を介して、車両の状態を入力することが可能である。制御部120は、車両情報送信部121aとして機能することにより、当該車両の状態を示す情報を車両情報130bに追加する。車両の状態は種々の態様で定義されて良く、本実施形態においては、車両が空車である状態、配車中である状態(利用者が乗っていない状態で出発地に向かっている状態)、利用者が乗車中である状態、運転者が休憩中である状態のいずれかである。制御部120は、車両情報送信部121aの機能により、通信部140を介して、車両情報130bを定期的に配車車両管理システム10に対して送信する。配車車両管理システム10は、複数の車両から送信される車両情報に基づいて、各車両の運行管理を行う。
【0020】
運行管理の結果、配車車両管理システム10によって各車両の予約情報および経路情報が特定される。予約情報は、案内システム100を備える車両に割り当てられた予約情報であり、乗車希望時刻、出発地および目的地についての情報を配車依頼ごとに含む。当該情報は、配車依頼時に携帯端末300から送信される情報である。経路情報は、予約情報が示す乗車希望時刻を出発時刻として出発地から目的地まで移動するための経路を配車依頼ごとに示す情報である。経路情報は、配車車両管理システム10の制御部20が、記録媒体30に記録された地図情報30dを参照し、出発地から目的地まで走行するための経路を探索することによって特定される。
【0021】
配車車両管理システム10は、各々の車両に対して、各々の車両の予約情報および経路情報を送信する。制御部120は、案内実行部121bの機能により、通信部140を介して予約情報および経路情報を取得する。制御部120は、案内実行部121bの機能により、経路情報および地図情報130aに基づいて、ユーザI/F部144の出力部を利用して運転者に対して経路案内を行う。経路案内は、例えば、経路を含む地図を表示するなどの態様で実施される。また、制御部120は、案内実行部121bの機能により、利用者の出発地を地図上に表示する。
【0022】
(5)配車車両管理システムの構成:
次に、配車車両管理システム10の構成を詳細に説明する。本実施形態にかかる配車車両管理システム10は、複数の車両の運行管理を行うサーバである。本実施形態において、配車車両管理システム10は、配車依頼に対応する車両を決定し、当該車両の予約情報に配車依頼へ対応する予定の期間を追加して更新したのち、更新した予約情報および経路情報を当該車両に送信する。配車車両管理システム10を構成するサーバは、一台で構成されても良いし、複数台で構成されるサーバであっても良い。配車車両管理システム10は、制御部20と、記録媒体30と、通信部40と、タッチパネルディスプレイ50と、を備えている。本実施形態において制御部20は、CPU,RAM,ROM等を備えるコンピュータである。制御部20は、記録媒体30やROMに記憶された配車車両管理プログラム21を実行することができる。また、制御部20は、図示しない計時部を備える。
【0023】
通信部40は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部20は、配車車両管理プログラム21の処理によって、通信部40を介して、車両を利用する利用者の携帯端末(300等)や、車両で利用される案内システム(100等)と無線通信することができる。タッチパネルディスプレイ50は、上述したタッチパネルディスプレイ310と同様である。
【0024】
記録媒体30には、予約情報30bが記録される。予約情報30bは、上述のように、乗車希望時刻、出発地および目的地についての情報を配車依頼ごとに含む。但し、配車車両管理システム10においては、複数の車両についての予約情報30bが記録媒体30に記録される。このため、本実施形態においては、各々の車両に対して車両を一意に識別するための車両IDが付されており、予約情報30bにおいては、車両IDに対応付けて記録される。
【0025】
また、記録媒体30には、車両情報30aが記録される。車両情報30aは、案内システム100から送信される情報であり、車両情報130bと同様の内容である。すなわち、車両の現在地を示す情報と、車両の状態が、空車、配車中、乗車中、運転者休憩中のいずれであるのかを示す情報と、が配車車両管理システム10において収集される。但し、配車車両管理システム10において記録される車両情報30aは、複数の車両から送信された車両情報130bである。従って、車両情報30aにおいては、車両IDに対応付けて記録される。
【0026】
なお、車両情報30aは、種々の条件で取得されて良く、例えば、既定のトリガ(一定期間毎のトリガ、車両が一定距離走行することで生じるトリガ、車両が交差点を通過することで生じるトリガ等)に応じて車両から収集されても良いし、車両情報30aに変化があった車両から収集されても良い。本実施形態では、配車車両管理システム10から送信要求を示す信号を案内システム100が受信した場合、案内システム100から車両情報30aが送信される。
【0027】
また、記録媒体30には、条件情報30cおよび地図情報30dが記録される。条件情報30cは、配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件についての情報である。各々の選抜条件の詳細は後述する。地図情報30dは、上述した地図情報130aと同様の内容である。
【0028】
制御部20は、配車依頼に対応する車両を決定するために、配車車両管理プログラム21が実行されると、配車依頼受付部21a、空車期間情報生成部21b、表示条件受付部21c、表示制御部21dとして機能する。配車依頼受付部21aは、利用者による配車依頼を受け付ける機能である。制御部20は、配車依頼受付部21aの機能により、通信部40を介して、携帯端末300から配車依頼に関する情報(乗車希望時刻、出発地および目的地を含む)を受信することによって、利用者による配車依頼を受け付ける。
【0029】
空車期間情報生成部21bは、車両が空車状態である期間を示す空車期間情報を生成する機能である。制御部20は、空車期間情報生成部21bの機能により、予約情報30bを参照して、空車期間情報を生成する。まず、空車期間情報の詳細について説明する。
図2Aは、空車期間情報について説明するための図である。空車期間情報は、車両が稼働する1日単位ごとに作成される。例えば、車両が5日間稼働する場合には、1~5日目に対応する5つの空車期間情報が作成される。
図2Aにおいては、横方向に時間軸が設定されており、図面左側から右側に向かうにつれて時間が経過していることを表している。
図2Aに示された空車期間情報は、ある1日の稼働日について示したものであり、稼働開始時刻はタイミングt0である。空車期間F1~F3は、車両が空車状態である期間を示している。配車依頼対応期間J1、J2は、配車依頼(予約)に対応することにより車両が利用者を乗せて走行している状態の期間を示している。配車依頼対応期間は、予約情報30bに記録された配車依頼についての乗車希望時刻、出発地および目的地に基づいて決定される期間である。休憩期間Rは、運転手が休憩中の状態である期間を示している。休憩期間Rは、稼働開始時刻から既定期間経過後の時刻を開始時刻として、当該開始時刻から一定期間設定される。
【0030】
次に、空車期間情報の生成手順について説明する。空車期間情報生成部21bとして機能する制御部20は、ある1日の稼働日の空車期間情報を生成する場合、まず初めに、予約情報30bが示す配車依頼ごとの出発地および目的地についての情報を参照し、配車依頼ごとの出発地から目的地までの移動期間を算出する。移動期間は、地図情報30dを参照して、配車依頼ごとの出発地から目的地まで走行するための経路を探索し、当該経路に含まれる各々のノード間の距離から求められる道路区間の距離を、当該道路区間を移動する車両の平均移動速度で除することによって各々の道路区間の旅行期間を求めたのち、各々の旅行期間を積算することによって求められる。そして、制御部20は、配車依頼ごとの乗車希望時刻から開始される各々の移動期間(配車依頼対応期間に相当)を稼働日の中に割り当てるとともに、当該移動期間が割り当てられた期間と休憩期間とを除くすべての期間を空車期間と設定することによって、空車期間情報を生成する。
【0031】
表示条件受付部21cは、配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件から、表示対象となる選抜条件の指定を受け付ける機能である。また、表示制御部21dは、指定された選抜条件によって選抜された車両を表示部に表示させる機能である。本実施形態では、新規の配車依頼を受け付けてから最初に、制御部20は、表示条件受付部21cの機能により、配車車両管理システム10の管理者による選抜条件の指定についての入力を受け付けることなく、第1選抜条件の指定を自動的に受け付ける。ここで、第1選抜条件とは、各々の車両の空車期間情報(
図2A~2Cにて説明)に基づいて、配車依頼に対して配車可能な車両を選抜する条件のことである。そして、新規の配車依頼を受け付けてから最初に、制御部20は、表示制御部21dの機能により、地図情報30dに基づいて、新規の配車依頼の出発地を中心とした地図をタッチパネルディスプレイ50の表示部に表示させるとともに、第1選抜条件によって選抜された車両を地図上に表示させる。
図3Aは、第1選抜条件によって表示部に表示された車両V1~V9が表示部に表示されている状態を示している。出発地DPは、新規の配車依頼の出発地である。車両V1~V9は、案内システム100を搭載した車両である。出発地DPおよび車両V1~V9を内側に含む矩形は、表示部の外縁を示している。ボタンB1aおよびボタンB2aについては後述する。
【0032】
図2Bは、
図2Aに示した状態の空車期間情報に基づいて、新規の配車依頼に対して配車可能であるか否かが判定される際のプロセスを説明するための説明図である。すなわち、
図2Bを用いて、第1選抜条件による選抜工程を説明する。配車依頼対応期間J3は、新規の配車依頼に対応した場合に、車両が利用者を乗せて走行している状態の期間を示している。
図2Bにおいて配車依頼対応期間J3が破線で示されているのは、配車依頼対応期間J2で表されている新規の配車依頼が
図2Bに示された空車期間情報に新たな予定として割り当てられるか未だ決定されていない状態であるからである。
【0033】
配車車両管理システム10の制御部20は、携帯端末300から受信した新規の配車依頼に関する情報(乗車希望時刻、出発地および目的地)を用いて、各々の車両が配車依頼に対して配車可能であるか否か判定する。具体的には、制御部20は、まず初めに、新規の配車依頼の出発地から目的地までの移動期間(例えば
図2Bではタイミングt3~t4の期間)を算出する。移動期間は、新規の配車依頼の出発地から目的地までの経路に含まれる各々のノード間の距離から求められる道路区間の距離を、当該道路区間を移動する車両の平均移動速度で除することによって各々の道路区間の旅行期間を求めたのち、各々の旅行期間を積算することによって求められる。次に、制御部20は、各々の車両の空車期間情報を参照し、新規の配車依頼の乗車希望時刻(例えば
図2Bではタイミングt3)から開始される当該移動期間(例えば
図2Bでは配車依頼対応期間J3)において、車両が空車の状態である車両を選抜する。
図2Bに示された空車期間情報では、空車期間F2はタイミングt3~t4の期間を含んでいることから、
図2Bの空車期間情報に対応付けられた車両は、当該移動期間において空車状態である。
【0034】
次に、制御部20は、当該移動期間において空車状態である車両の中から、更に、新規の配車依頼の出発地にその乗車希望時刻までに到着できる車両を選抜する。具体的には、制御部20は、ある1日の稼働日において、新規の配車依頼の乗車希望時刻(
図2Bではタイミングt3)より以前に配車依頼対応期間(
図2Bでは配車依頼対応期間J1)が予定されている場合、この予定の中で最後に利用者を降ろす位置(
図2Bではタイミングt2時点の車両の位置)から新規の配車依頼の出発地までの移動期間を算出する。そして、制御部20は、最後に利用者を降ろす時刻(
図2Bではタイミングt2)に当該移動期間を加えた時刻が、乗車希望時刻よりも早い時刻である車両を、新規の配車依頼の出発地に乗車希望時刻までに到着できる車両として選抜する。
【0035】
そして、制御部20は、新規の配車依頼の出発地にその乗車希望時刻までに到着できる車両の中から、更に、新規の配車依頼の目的地から次の配車依頼の出発地にその乗車希望時刻までに到着できる車両を選抜する。具体的には、制御部20は、ある1日の稼働日において、新規の配車依頼において利用者を降ろす時刻(
図2Bではタイミングt4)より以後に配車依頼対応期間(
図2Bでは配車依頼対応期間J2)が予定されている場合、新規の配車依頼の目的地(
図2Bではタイミングt4時点の車両の位置)から次の配車依頼において利用者を乗せる位置(次の配車依頼の出発地)までの移動期間を算出する。そして、制御部20は、新規の配車依頼において利用者を降ろす時刻(
図2Bではタイミングt4)に当該移動期間を加えた時刻が、次の配車依頼における乗車希望時刻(
図2Bではタイミングt5)よりも早い時刻である車両を、新規の配車依頼の目的地から次の配車依頼の出発地にその乗車希望時刻までに到着できる車両として選抜する。選抜された当該車両は、新規の配車依頼に対して配車可能な車両であるとみなされることから、制御部20は、上述した工程により、新規の配車依頼に対して配車可能な車両を選抜している。新規の配車依頼が受け付けられると最初に、当該工程により選抜された車両が表示部に表示される。
【0036】
なお、制御部20は、ある1日の稼働日において、新規の配車依頼の乗車希望時刻(
図2Bではタイミングt3)より以前に配車依頼対応期間が予定されていない場合(
図2Bにおいて配車依頼対応期間J1の予定がなくタイミングt0~t3まで空車期間である場合)、その空車期間情報に対応付けられた車両を、新規の配車依頼の出発地に乗車希望時刻までに到着できる車両として選抜する。また、制御部20は、ある1日の稼働日において、新規の配車依頼において利用者を降ろす時刻(
図2Bではタイミングt4)より以後に配車依頼対応期間(
図2Bでは配車依頼対応期間J2)が予定されていない場合(
図2Bにおいて配車依頼対応期間J2の予定がなくタイミングt4以降の期間が空車期間である場合)、その空車期間情報に対応付けられた車両を、新規の配車依頼に対して配車可能な車両であるとして選抜する。
【0037】
ここまで、第1選抜条件について説明してきたが、本実施形態では、条件情報30cには、配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件として、第1選抜条件に加えて、第2選抜条件および第3選抜条件が含まれている。第2選抜条件は、第1選抜条件で選抜された車両の中より、各々の車両から利用者までの所要時間と所要距離とのうち少なくとも一方を基準として、車両を選抜する条件である。車両から利用者までの所要時間は、地図情報30dを参照して各々の車両の現在地から利用者の位置(配車依頼の出発地)までの経路を探索し、当該経路に含まれる各々のノード間の距離から求められる道路区間の距離を、当該道路区間を移動する車両の平均移動速度で除することによって各々の道路区間の旅行期間を求めたのち、各々の旅行期間を積算することによって求められる。車両から利用者までの所要距離は、各々の道路区間の距離を積算することによって求められる、本実施形態では、第2選抜条件は、所要時間を基準として車両を選抜する条件であり、第2選抜条件を指定されると、所要時間が短い順に既定台数の(例えば上位5台)の車両が選抜されるとともに、当該車両に順位付けがされる。第3選抜条件は、第1選抜条件もしくは第2選抜条件で選抜された車両の中より1台の車両を選抜するための条件である。本実施形態では、第3選抜条件は、最後に利用者を降ろしてから経過した期間が最も長い車両を選抜する条件である。制御部20は、配車車両管理システム10が収集した車両情報30aを参照し、車両の状態が最後に乗車中の状態から空車の状態になった時点を最後に利用者を降ろした時点とみなし、当該時点から現在時点までの期間に基づいて、第3選抜条件に最も適合する車両を選抜する。第3選抜条件が指定されると、配車車両管理システム10が管理する各々の車両の稼働率の平滑化につながる。
【0038】
第1選抜条件による選抜結果を示した
図3Aには、ボタンB1aおよびボタンB2aが示されている。ボタンB1aは、第2選抜条件を指定するためのボタンである。ボタンB1aにタッチ操作が行われると、表示条件受付部21cとして機能する制御部20により、第2選抜条件の指定が受け付けられ、表示部に表示される内容は、
図3Aの状態から
図3Bの状態に移行する。
図3Bは、第2選抜条件によって選抜された車両V1、V3、V4、V6、V7が表示部に表示されている状態を示している。
図3Aの状態から更に第2選抜条件が追加されたことによって、車両V1、V3、V4、V6、V7の右上には、内部に数字が記載された丸が付されている。当該数字は、各々の車両の位置から出発地DPまでの所要時間が短い順の順位を示す数字である。
【0039】
図3Aおよび
図3Bに示されたボタンB2aは第3選抜条件を指定するためのボタンである。ボタンB2aにタッチ操作が行われると、表示条件受付部21cとして機能する制御部20により、第3選抜条件の指定が受け付けられ、表示部に表示される内容は、
図3Aの状態もしくは
図3Bの状態から
図3Cの状態に移行する。
図3Cは、第3選抜条件によって選抜された車両V6が表示部に表示されている状態を示している。
図3Aの状態もしくは
図3Bの状態から更に第3選抜条件が追加されたことによって、表示部には、車両V6のみが表示されている。
図3Cにおいて、車両V6は、最後に利用者を降ろしてから経過した期間が最も長い車両である。このように、第3選抜条件を用いて選抜を行った場合には、第1選抜条件もしくは第2選抜条件で選抜された車両の中より、第3選抜条件に最も適合する1台の車両が表示部に表示されることとなる。
【0040】
図3Bに示されたボタンB1bは、第2選抜条件を解除するためのボタンである。ボタンB1bにタッチ操作が行われると、表示条件受付部21cとして機能する制御部20により、第2選抜条件の解除が受け付けられ、表示部に表示される内容は、
図3Bの状態から
図3Aの状態に移行する。
図3Cに示されたボタンB2bは、第3選抜条件を解除するためのボタンである。ボタンB2bにタッチ操作が行われると、表示条件受付部21cとして機能する制御部20により、第3選抜条件の解除が受け付けられ、表示部に表示される内容は、
図3Cの状態から直前に表示されていた
図3Aもしくは
図3Bの状態に移行する。
【0041】
配車車両管理システム10の管理者は、タッチパネルディスプレイ50の表示部に表示された車両(
図3A~
図3Cに表示された車両)のうちいずれかの車両にタッチ操作を行うことによって、新規の配車依頼に対応する車両を決定する。そして、当該車両の予約情報30bに新規の配車依頼についての情報(乗車希望時刻、出発地および目的地)が追加されて更新されたのち、更新した予約情報30bおよび経路情報が当該車両に送信される。
【0042】
図2Cは、新規の配車依頼(配車依頼対応期間J2)に対応する車両として決定された車両において、
図2Aに示した状態から更新された空車期間情報について説明するための説明図である。
図2Aにおいて空車期間F2であった期間は、
図2Cにおいては、空車期間F4と、配車依頼対応期間J3と、空車期間F5と、に分割されている。
図2Cにおいて配車依頼対応期間J2が実線で示されているのは、配車依頼対応期間J2で表されている新規の配車依頼が
図2Cに示された空車期間情報に新たな予定として割り当てられた状態であるからである。
【0043】
以上説明した本実施形態の構成によれば、配車車両管理システム10では、配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件の中から、指定された選抜条件によって選抜された車両がタッチパネルディスプレイ50の表示部に表示される(
図3A~
図3C)。このため、当該システムの管理者は、段階的な複数の選抜条件の中から指定された選抜条件によって選抜された車両を確認することができる。すなわち、選抜に用いる選抜条件を指定することによって、指定された選抜条件によって異なる選抜結果を確認することができる。そして、管理者は、当該選抜結果に基づき、配車依頼に対応する車両を決定するか、更に選抜条件の指定を変更してその選抜結果を表示させるかを選択することができる。
【0044】
また、本実施形態の構成によれば、第1選抜条件は、各々の車両の空車期間情報に基づいて、配車依頼に対して配車可能な車両を選抜する条件である。このような条件によって車両が選抜された場合、配車可能な車両が存在しなければ車両の候補が選抜されない。従って、配車可能な車両が存在するか否かを管理者に認識させることができる。
【0045】
また、本実施形態の構成によれば、第2選抜条件は、第1選抜条件で選抜された車両の中より、各々の車両から利用者までの所要時間と所要距離とのうち少なくとも一方を基準として、車両を選抜する条件である。配車可能な車両の中で、効率よく配車可能な車両を、管理者に認識することができる。
【0046】
また、本実施形態の構成によれば、第3条件が選抜条件として指定された場合、第1選抜条件もしくは第2選抜条件で選抜された車両の中より、第3選抜条件に最も適合する1台の車両が表示部に表示される。このため、配車車両管理システム10の管理者が配車依頼の候補となる車両を選ぶことについて省力化することができる。
【0047】
(5)配車車両決定処理:
次に、
図4に示すフローチャートに基づいて、配車車両管理プログラム21が実行する配車車両決定処理を説明する。配車車両決定処理は、配車車両管理システム10が稼動している間、繰り返し実行される。配車車両決定処理は、新規の配車依頼に対応する車両を決定するための処理である。
【0048】
配車車両決定処理が実行されると、制御部20は、車両情報30aの収集を行う(ステップS110)。具体的には、制御部20は、送信要求を示す信号を各車両の案内システム100に送信することによって、当該信号を受信した案内システム100から車両情報130bを受信する。そして、制御部20は、受信した車両情報130bを用いて、記録媒体に記録された車両情報30aを更新することによって、最新の車両情報30aの収集を行う。
【0049】
次に、制御部20は、車両の管理を行う(ステップS120)。すなわち、制御部20は、サービス提供に利用されている複数の車両に関する既定の管理を実施する。管理としては、種々の管理が実施されてよく、例えば、車両情報30aに示された各々の車両の現在地の管理が挙げられる。具体的には、制御部20は、予約情報30bが示す予約に従ってサービス提供するために必要とされる現在地の範囲内に存在するか否か等を判定する。車両が当該範囲外に存在する場合、制御部20が案内システム100に信号を出力するなどして車両の運転者に対して警告が行われる。
【0050】
次に、制御部20は、新規の配車依頼があったか否か判定する(ステップS130)。具体的には、制御部20は、配車依頼受付部21aとして機能することにより、携帯端末300から送信される新規の配車依頼を受信したか否か判定する。新規の配車依頼を受信していない場合(ステップS130:NO)、制御部20は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0051】
新規の配車依頼を受信した場合(ステップS130:YES)、制御部20は、第1選抜条件により車両を選抜する(ステップS140)。具体的には、制御部20は、表示条件受付部21cとして機能することにより、第1選抜条件の指定を自動的に受け付けたのち、空車期間情報生成部21bとして機能することにより予約情報30bを参照して生成した各々の車両の空車期間情報を用いて、第1選抜条件による車両の選抜を行う。
【0052】
次に、制御部20は、選抜された車両を表示部に表示させる(ステップS150)。具体的には、制御部20は、表示制御部21dとして機能することにより、地図情報30dに基づいて、新規の配車依頼の出発地を中心とした地図をタッチパネルディスプレイ50の表示部に表示させるとともに、指定された選抜条件によって選抜された車両を地図上に表示させる。ステップS140を経由して最初にステップS150が行われる場合には、表示部には、例えば、
図3Aに図示した内容が表示される。
【0053】
次に、制御部20は、選抜条件の再指定があったか否か判定する(ステップS160)。具体的には、制御部20は、表示部に表示されたボタンに対してタッチ操作がされたか否かに応じて、再指定の有無を判定する。ステップS140を経由して最初にステップS160が行われる場合には、ボタンB1a(第2選抜条件を指定するためのボタン)およびボタンB2a(第3選抜条件を指定するためのボタン)が表示部に表示されている。
【0054】
選抜条件の再指定があったと判定された場合(ステップS160:YES)、制御部20は、表示条件受付部21cとして機能することにより、タッチ操作がされたボタンが示す選抜条件の再指定を受け付けたのち、再指定された当該選抜条件により車両を選抜する(ステップS170)。その後、制御部20は、ステップS150の処理を実行する。ステップS140を経由して最初にステップS170が行われたのち、ステップS150の処理により表示部に表示される内容は、第2選抜条件もしくは第3選抜条件による選抜結果を示した内容である(例えば
図3Bもしくは
図3C)。また、
図3Bもしくは
図3Cが表示された状態において、ボタンB1bもしくはボタンB2bにタッチ操作がされた場合(第2選抜条件もしくは第3選抜条件の解除を指示するタッチ操作がされた場合)についても、選抜条件を再指定することに含まれるものとする。
【0055】
選抜条件の再指定がなかったと判定された場合(ステップS160:NO)、制御部20は、表示部に表示された車両のうちいずれかの車両にタッチ操作がされたか否か判定する(ステップS180)。タッチ操作がされていない場合(ステップS180:NO)、制御部20は、ステップS160の処理を再び実行する。タッチ操作がされた場合(ステップS180:YES)、制御部20は、タッチ操作がされた車両を新規の配車依頼に対応する車両と決定する。このとき、制御部20は、当該車両の予約情報30bに新規の配車依頼についての情報(乗車希望時刻、出発地および目的地)を追加して、当該車両の予約情報30bの更新も行う。
【0056】
次に、制御部20は、配車依頼に対応する車両として決定された車両に、予約情報30bおよび経路情報を送信する(ステップS190)。具体的には、制御部20は、配車候補となった車両の車両IDを参照して、当該車両IDに対応付けられた予約情報30bおよび経路情報を当該車両に送信する。その後、制御部20は、配車車両決定処理を終了する。
【0057】
(6)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、配車車両管理システムは複数のサーバコンピュータによって構成されていてもよい。また、案内システムは、車両に備え付けられた装置であってもよいし、可搬型の装置(例えば運転者の携帯端末等)であってもよい。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0058】
配車車両管理システムを構成する配車依頼受付部21a、空車期間情報生成部21b、表示条件受付部21c、表示制御部21d、の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していても良い。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0059】
配車依頼受付部は、利用者による配車依頼を受け付けることができればよい。本実施形態では、配車依頼を行う際に入力される情報には、乗車希望時刻、出発地および目的地についての情報が含まれていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、配車依頼を行う際に入力される情報には、出発地および目的地についての情報のみが含まれていてもよい。このような場合、利用者は即時の乗車を希望しているとして、乗車希望時刻は配車依頼が行われた時刻から既定期間だけ遅い時刻(例えば配車依頼が行われた時刻から5分後の時刻)であるとみなし、当該配車依頼に対して配車可能な車両が選抜される。また、配車依頼を行う際に入力される情報には、目的地についての情報のみが含まれていてもよい。このような場合、乗車希望時刻は配車依頼が行われた時刻から既定期間だけ遅い時刻であるとともに出発地は利用者の現在地であるとみなし、当該配車依頼に対して配車可能な車両が選抜される。
【0060】
表示条件受付部は、配車依頼に対する配車候補となる車両を段階的に絞り込む複数の選抜条件から、表示対象となる選抜条件の指定を受け付けることができればよい。上述の実施形態では、複数の選抜条件に含まれる条件として、第1選抜条件、第2選抜条件および第3選抜条件について説明したが、第2選抜条件および第3選抜条件については、本発明の実施形態で説明した条件に限られない。例えば、第2選抜条件は、各々の車両から利用者までの所要距離が短い順に上位から既定台数の車両を選抜する条件であってもよい。また、第2選抜条件は、各々の車両から利用者までの所要時間と所要距離とをそれぞれスコア化し、所要時間についてのスコアと所要距離についてのスコアとを合計したスコアを基準として車両を選抜する条件であってもよい。例えば、所要時間が長いほどスコアが高くなるよう設定するとともに所要距離が長いほどスコアが高くなるよう設定し、合計したスコアの低い順に上位から既定台数の車両を選抜する条件であってもよい。一方、第3選抜条件は、稼働率が最も低い車両を選抜する条件であってもよい。ここで、稼働率とは、ある特定の稼働期間(例えば、1日、1週間もしくは1ヶ月の合計稼働時間)のうち車両が利用者を乗せて走行している時間の割合のことである。第3選抜条件とは別に、第4選抜条件として、稼働率が低い順に上位から既定台数の車両を選抜する条件が存在してもよい。
【0061】
また、第3選抜条件は、配車依頼に応じる意思表示を最も早く示した車両を選抜する条件であってもよい。このような場合、
図4のステップS150において当該第3選抜条件を指定するためのボタンが表示部に表示され、続くステップS160において当該ボタンにタッチ操作がされた場合、第1選抜条件によって選抜された車両に対して新規の配車依頼に応じる意思があるか問い合わせる信号が一斉送信される。そして、当該信号に対して最も早く配車依頼に応じる意思表示を示した車両を、指定された選抜条件により選抜された車両とみなし(ステップS170)、当該車両が表示部に表示される(ステップS180)。
【0062】
上述した実施形態では、第1選抜条件による選抜工程において、2点間(例えば新規の配車依頼の出発地から目的地までの間)の移動期間は、2点間を結ぶ経路に含まれる各々の道路区間の旅行期間を積算することによって求められていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、2点間の移動期間は、2点間の直線距離を用いて当該直線距離の長さに比例して移動期間を長く設定することによって求められてもよい。
【0063】
上述した実施形態では、新規の配車依頼を受け付けてから最初に、第1選抜条件の指定を自動的に受け付けるとともに、第1選抜条件によって選抜された車両を表示部に表示させていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、新規の配車依頼を受け付けてから最初に、第1選抜条件の指定が自動的に受け付けられることなく、指定される選抜条件は任意に選択されてもよい。このような場合、新規の配車依頼を受け付けたのち、複数の選抜条件の中から任意の選抜条件を指定するための画面(例えば、各選抜条件を指定するためのボタンが示された画面)を表示し、当該画面を用いて選抜条件が指定されるとともに、指定された選抜条件によって選抜された車両が選抜結果として表示部に表示される。
【0064】
上述した実施形態では、制御部20は、表示制御部21dの機能により、地図情報30dに基づいて、新規の配車依頼の出発地を中心とした地図および指定された選抜条件によって選抜された車両をタッチパネルディスプレイ50の表示部に表示させていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、制御部20は、表示制御部21dの機能により、当該地図および当該車両をタッチパネルディスプレイ50の表示部とは異なる表示部に表示させてもよい。すなわち、表示制御部21dが制御する対象は、配車車両管理システム10における表示部ではなく、携帯端末300の表示部であってもよいし、配車車両管理システム10の管理者が使用する端末の表示部であってもよいし、据置型のコンピュータの表示部であってもよいということである。このような形態として、例えば、携帯端末300の表示部に表示させる場合、携帯端末300から配車依頼に関する情報(乗車希望時刻、出発地および目的地を含む)が配車車両管理システム10に送信されたのち、
図3Aの表示内容を示す信号が配車車両管理システム10から携帯端末300に送信されることによって、タッチパネルディスプレイ310の表示部に当該表示内容が表示される形態が挙げられる。そして、このような形態において、携帯端末300の表示部に表示されたボタンB1aもしくはボタンB2aに利用者がタッチ操作を行った場合、
図3Bもしくは
図3Cの表示内容を要求する信号が配車車両管理システム10に送信されたのち、当該表示内容を示す信号が配車車両管理システム10から携帯端末300に送信されることによって、タッチパネルディスプレイ310の表示部に当該表示内容が表示される。なお、ボタンB1aおよびボタンB2aは、具体的な選抜条件(距離順選抜や1台選抜)を表示したボタンではなく、選抜度合いを示す数字(数字が高いほど選抜度合いが厳しく、表示される車両の台数が少なくなる)を表示したボタンであってもよい。
【0065】
さらに、本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0066】
10…配車車両管理システム、20…制御部、21…配車車両管理プログラム、21a…配車依頼受付部、21b…空車期間情報生成部、21c…表示条件受付部、21d…表示制御部、30…記録媒体、30a…車両情報、30b…予約情報、30c…条件情報、30d…地図情報、40…通信部、50…タッチパネルディスプレイ