(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045439
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ルーバー装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20220314BHJP
E04F 10/08 20060101ALI20220314BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20220314BHJP
F24S 10/70 20180101ALI20220314BHJP
F24S 23/74 20180101ALI20220314BHJP
F24S 20/63 20180101ALI20220314BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20220314BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
E04B1/76 100B
E04F10/08
F24H1/00 621E
F24S10/70
F24S23/74
F24S20/63
E06B9/24 Z
G02B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151039
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】592131663
【氏名又は名称】井上商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】井上 繁
【テーマコード(参考)】
2E001
2E105
2H042
3L122
【Fターム(参考)】
2E001DD12
2E001DD17
2E001FA04
2E001FA09
2E001GA12
2E001GA65
2E105AA03
2E105FF13
2E105GG01
2H042AA10
2H042AA33
3L122AA02
3L122AA13
3L122AA14
3L122AA24
(57)【要約】
【課題】適切に遮光しながら、太陽光の集熱を効率よく行う。
【解決手段】ルーバー装置は、ダブルスキン構造のガラスカーテンウォールの外部ガラス1と内部サッシ2との間に形成された空気層3内に設置され、外部ガラス1に対向する外面7が光の反射面とされた複数の遮光板4と、各遮光板4に一体的に取り付けられ、熱媒体が通る複数の集熱管5とを備えている。集熱管5は遮光板4と外側ガラス1との間に配置され、各遮光板4がガラスカーテンウォールの支持部材16に取り付けられた横材15に支持される。太陽光は、遮光板4に当たって反射され、遮光される。反射光の一部は集熱管5に当たる。集熱管5は、反射光とともに直接当たる太陽光から集熱する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルスキン構造のガラスカーテンウォールの外部ガラスと内部ガラスとの間に形成された空気層内に設置されるルーバー装置であって、外部ガラスに対向する外面が光の反射面とされた複数の遮光板と、各遮光板に一体的に取り付けられ、熱媒体が通る複数の集熱管とを備え、集熱管は遮光板と外側ガラスとの間に配置され、各遮光板がガラスカーテンウォールの構造部材に取り付けられた固定材に支持されたことを特徴とするルーバー装置。
【請求項2】
遮光板の反射面が断面放物線状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のルーバー装置。
【請求項3】
遮光板および集熱管は、金属製の押出形材からなり、集熱管は支持ブラケットを介して遮光板の左右方向の中央に取り付けられたことを特徴とする請求項1または2記載のルーバー装置。
【請求項4】
集熱管は、左右の集熱管に連結される、あるいは上下の集熱管に連結されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のルーバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルスキン構造のガラスカーテンウォールの外部ガラスと内部ガラスとの間に形成された空気層内に設置されるルーバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダブルスキン構造のガラスカーテンウォールを備えた建物において、夏場の日射遮蔽と冬場の日射取得のためにガラスカーテンウォールの空気層内にルーバー装置を設けて、日射取得量のコントロールが行われている。
【0003】
ここで、太陽エネルギは、太陽光発電や太陽熱を利用した給湯、空調などに利用されている。太陽光を遮蔽するルーバー装置において、太陽光の集熱を行うことにより、太陽エネルギを有効に活用できる。特許文献1に、太陽光を集熱する集熱器で構成される軸体と、回転可能に取り付けられる遮光用の羽根部材であって、軸体に太陽光を集光する羽根部材とを備えたルーバー装置が記載されている。羽根部材は、軸体の下方側に配置され、前方に向かって延びている。太陽光が羽根部材で反射されて、軸体に集光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のルーバー装置では、羽根部材による反射光によって集熱される。軸体と羽根部材とのユニットが複数組ある場合、太陽光が羽根部材に遮られ、軸体は直接受光できない。そのため、太陽光の集熱が効率よく行われていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、太陽光の集熱を効率よく行うとともに、適切に日射取得を抑えることができるルーバー装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のルーバー装置は、ダブルスキン構造のガラスカーテンウォールの外部ガラスと内部ガラスとの間に形成された空気層内に設置され、外部ガラスに対向する外面が光の反射面とされた複数の遮光板と、各遮光板に一体的に取り付けられ、熱媒体が通る複数の集熱管とを備えている。集熱管は遮光板と外側ガラスとの間に配置され、各遮光板がガラスカーテンウォールの構造部材に取り付けられた固定材に支持される。遮光板の反射面は平面あるいは断面放物線状に形成される。
【0008】
ガラスカーテンウォールに照射された太陽光は、遮光板に当たって反射され、遮光される。反射光の一部は集熱管に当たる。集熱管は、反射光とともに直接当たる太陽光から集熱する。
【0009】
遮光板および集熱管は、金属製の押出形材からなり、集熱管は支持ブラケットを介して遮光板の左右方向の中央に取り付けられる。集熱管は、左右の集熱管に連結される、あるいは上下の集熱管に連結される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、太陽光と遮光板による反射光とが集熱管に当たり、太陽光から効率よく集熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のガラスカーテンウォールに設置されたルーバー装置の断面図
【
図4】ルーバー装置を利用した太陽光集熱装置の概略構成図
【
図6】他の形態のルーバー装置を利用した太陽光集熱装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態のダブルスキン構造のガラスカーテンウォールに設けられたルーバー装置を
図1~3に示す。ガラスカーテンウォールは、建物の外装として鉛直方向および水平方向に隣接して配置された複数のガラスによって構成され、屋外側の外部ガラス1と屋内側の内部ガラス(内部サッシ)2とによりダブルスキン構造とされる。外部ガラス1と内部サッシ2との間に空気層3が形成され、ルーバー装置は空気層3内に設置される。
【0013】
ルーバー装置は、鉛直方向に配置された複数の遮光板4と、熱媒体が通る複数の集熱管5とを備えている。各遮光板4は、外部ガラス1と平行にかつ左右の遮光板4と隙間をあけて配置され、この隙間が採光スリット6となる。集熱管5は、遮光板4に一体的に取り付けられ、遮光板4と外側ガラス1との間に鉛直方向に配置される。
【0014】
遮光板4はアルミニウム製の押出形材とされ、外部ガラス1に対向する遮光板4の外面7は平坦に形成され、この外面7が光の反射面とされる。遮光板の外面7および内面8には、シルバー色の陽極酸化被膜が施されている、あるいは白色系の高日射反射塗料が塗布されている。集熱管5は、アルミニウム製の押出形材とされ、円筒状に形成される。集熱管5の表面には、黒色の陽極酸化被膜が施されている、あるいは黒色系の太陽光吸収塗料が塗布されている。
【0015】
集熱管5は、支持ブラケット10を介して遮光板4の左右方向の中央に取り付けられる。支持ブラケット10は、左右の挟み部材11によって構成され、左右の挟み部材11によって集熱管5が挟まれて支持ブラケット10に保持される。遮光板4の左右方向の中央に、外側に向かって凸部12が突出して形成される。鉛直方向に形成された凸部12の上下2カ所に左右の挟み部材11がねじ止めされ、集熱管5が遮光板4に取り付けられる。これにより、集熱管5は遮光板4の外面7から少し離れた位置に固定される。
【0016】
各遮光板4は、ガラスカーテンウォールの構造部材に取り付けられた固定材である横材15に支持される。各外部ガラス1を支持するための支持部材16が建物のフロア17から外側に向かって突設されている。複数の支持部材16は、鉛直方向および水平方向に間隔をあけて設置され、支持部材16は空気層3内に差し渡されている。支持部材16の外端に、外部ガラス1を保持するマリオン18が取り付けられる。なお、支持部材16の上にキャットウォーク19が設けられている。
【0017】
このような構造部材である支持部材16の上面に、横材15が取り付けられる。また、上側の支持部材16の下面にも横材15が取り付けられる。横材15は、L字状の形材とされ、水平方向に配される。遮光板4が上下の横材15に取り付けられる。すなわち、遮光板4の内面8に脚部20が突設され、脚部20がボルト21とナット22により横材15に押し付けられて、遮光板4が横材15に固定される。各遮光板4が上下の横材15に固定されることにより、ルーバー装置をガラスカーテンウォールの空気層3内で支持することができる。したがって、耐風圧強度を考慮する必要がなく、地震による変形と慣性力に対する安全性を確保するだけでよいので、支持耐力を軽減でき、ルーバー装置のコストダウンを図れる。
【0018】
複数の集熱管5が鉛直方向および水平方向に並べて配置され、集熱管5は隣接する集熱管5に連結される。下側の集熱管5が上側の集熱管5に継手30を介して連結される。これにより、鉛直方向の複数の集熱管5が一体化される。一体化された集熱管5が水平方向に複数形成される。ここで、集熱管5を通る熱媒体として、水が使用される。
図4に示すように、各集熱管5の上端および下端にポリエチレン製などの接続管31が継手30を介して接続される。上側の接続管31が貯水タンク32に接続され、下側の接続管31が貯湯タンク33に接続される。これによって、ルーバー装置を利用した太陽光集熱装置が構成される。なお、下側の接続管31には、高温になった熱媒体の熱が逃げないように保温断熱材が巻かれている。貯水タンク32は建物の屋上に設置され、貯水タンク32から集熱管5に給水される。集熱管5を流れる熱媒体の流量は流量制御弁34などによって調整される。
【0019】
ガラスカーテンウォールの空気層内に上記のルーバー装置が設置されているとき、外部ガラス1を通して太陽光Sが照射される。
図3に示すように、太陽光Sは採光スリット6を通り抜け、内部サッシ2を透過する透過光Tとなり、屋内に光が差し込む。採光スリット6の幅によって屋内への採光量が調整される。一方、太陽光Sが集熱管5や遮光板4に当たると、光が反射あるいは吸収され、遮光される。これにより、適切に日射取得を抑えることができ、夏季の太陽光Sによる建物の蓄熱を抑制でき、空調の効率を高めることができる。
【0020】
集熱管5に当たった直接光Dは集熱管5に吸収され、熱となって、集熱管5を上から下に流れる水を加熱する。太陽光Sが遮光板4に当たると、反射される。反射光Rは集熱管5に当たって吸収され、内部の水を加熱する。集熱管5に当たらなかった反射光Rは外部ガラス1を透過して屋外に至る放出光Eとなる。集熱された水は温水となって、貯湯タンク33に貯められる。温水として直接利用する、あるいは貯湯タンク33の熱を吸収式冷凍機等により間接的に空調に利用することもできる。このように、集熱管5は常に直接光Dと反射光Rを受けて、効率よく太陽光Sから集熱することができる。また、集熱管5は遮光板4から離れて配置されているので、集熱管5の熱は遮光板4に伝導せず、熱損失を減らすことができる。
【0021】
ルーバー装置の他の実施形態として、
図5に示すように、遮光板4の反射面35が断面放物線状に形成される。反射面35は左右対称とされる。太陽光の照射方向によっては、集熱管5の左右両側に反射光が当たり、集熱の効率を高めることができる。なお、建物の向きに応じて、反射面35を左右非対称にして、効率よく太陽光を受光できるようにしてもよい。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。遮光板4および集熱管5は、垂直方向に設けられているが、水平方向に設けてもよい。この場合、鉛直方向に設けられたマリオン18を利用して、遮光板4を支持する。
【0023】
図6に示すように、左右に隣接する集熱管5同士を連結してもよい。左右に隣り合う集熱管5の上端に継手30を介してU字管36を接続して、左右の集熱管5を連結する。同様に左右の集熱管5の下端をU字管36で継手30を介して接続する。同じ階にある複数の集熱管5が一体化され、接続管31を通じて貯水タンク32と貯湯タンク33に接続され、ポンプ37によって集熱管5に給水される。また、集熱管5は押出形材により形成されるので、円筒形状に限らず、多角形、扁平形状などにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 外部ガラス
2 内部サッシ
3 空気層
4 遮光板
5 集熱管
6 採光スリット
7 外面
8 内面
10 支持ブラケット
12 凸部
15 横材
16 支持部材