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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045499
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】電流検出回路、スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
G05F1/56 310S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151117
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高野 陽一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康平
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB12
5H430EE04
5H430EE12
5H430FF07
5H430HH03
(57)【要約】
【課題】電流検出の精度を向上させることを目的としている。
【解決手段】入力側が電源端子に接続された、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子と直列に接続され、その出力側が出力端子に接続された第3のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子の出力電圧と、前記第2のスイッチ素子の出力電圧の差分を検出し、前記出力端子から出力される出力電流の検出に用いる相対電流を出力する電流アンプとを有し、前記第1のスイッチ素子の制御部と前記第2のスイッチ素子の制御部とが接続され、前記第1のスイッチ素子と、前記第2のスイッチ素子の抵抗比が1:nである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側が電源端子に接続された、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子と直列に接続され、その出力側が出力端子に接続された第3のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子の出力電圧と、前記第2のスイッチ素子の出力電圧の差分を検出し、前記出力端子から出力される出力電流の検出に用いる相対電流を出力する電流アンプとを有し、
前記第1のスイッチ素子の制御部と前記第2のスイッチ素子の制御部とが接続され、
前記第1のスイッチ素子と、前記第2のスイッチ素子の抵抗比が1:nである、電流検出回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチ素子と並列に、前記電源端子に対して逆方向に接続された逆流防止素子と、
前記第3のスイッチ素子と並列に前記電源端子に対して順方向に接続された逆流防止素子と、を有する請求項1記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記電流アンプの出力に電流電圧変換素子が接続される、請求項1又は2記載の電流検出回路。
【請求項4】
請求項3記載の電流検出回路と、
前記電流電圧変換素子で変換された電圧と基準電圧との比較を行う比較回路と、を有するスイッチ回路。
【請求項5】
前記第1のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子の制御部の電圧を制御することによって、前記出力端子からの電流の出力と停止が制御される、請求項4記載のスイッチ回路。
【請求項6】
入力側が電源端子に接続された、第1のスイッチ素子及び第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子と直列に接続され、その出力側が出力端子に接続された第3のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子と直列に接続された第4のスイッチ素子と、
前記第3のスイッチ素子の出力電圧と、前記第4のスイッチ素子の出力電圧の差分を検出し、前記出力端子から出力される出力電流の検出に用いる相対電流を流す電流アンプとを有し、
前記第1のスイッチ素子の制御部と前記第2のスイッチ素子の制御部とが接続され、
前記第3のスイッチ素子の制御部と前記第4のスイッチ素子の制御部とが接続され、
前記第1のスイッチ素子と、前記第2のスイッチ素子の抵抗比が1:nであり、
前記第3のスイッチ素子と、前記第4のスイッチ素子の抵抗比が1:mである、電流検出回路。
【請求項7】
前記第1のスイッチ素子と並列に前記電源端子に対して逆方向に接続された逆流防止素子と、
前記第3のスイッチ素子と並列に前記電源端子に対して順方向に接続された逆流防止素子と、を有する請求項6記載の電流検出回路。
【請求項8】
前記電流アンプの出力に電流電圧変換素子が接続される請求項6又は7記載の電流検出回路。
【請求項9】
請求項8記載の電流検出回路と、
前記電流電圧変換素子で変換された電圧と基準電圧との比較を行う比較回路とを有するスイッチ回路。
【請求項10】
前記第1のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子の制御部の電圧を制御することによって、前記出力端子からの電流の出力と停止が制御される、請求項9記載のスイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出回路、スイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電源と負荷との間に接続されるハイサイドスイッチ回路が知られている。図5は、従来のハイサイドスイッチ回路の一例を示す図である。図5に示すハイサイドスイッチ回路1は、トランジスタM1、M2、ロジック回路2、電流検出アンプ3を有する。
【0003】
トランジスタM1、M2は、PMOSトランジスタであり、VDD端子とOUT端子との間に直列に接続されている。ハイサイドスイッチ回路1は、ロジック回路2によってトランジスタM1、M2がオンされると、VDD端子から供給される電流を、OUT端子から出力する。OUT端子から出力される電流は、ハイサイドスイッチ回路1の出力電流として、後段の負荷に供給される。
【0004】
トランジスタM1、M2のバックゲートは、トランジスタM1とトランジスタM2との接続点に接続されており、それぞれの寄生ダイオードD1、D2はカソード同士が対面している。このため、ハイサイドスイッチ回路1は、天絡等によってOUT端子の電位がVDD端子の電位よりも高くなった場合に、トランジスタM1の寄生ダイオードD1によって電流の逆流が防止される。
【0005】
ロジック回路2は、CE端子から入力される信号に基づき、トランジスタM1、M2のオンとオフを制御する。電流検出アンプ3は、トランジスタM1のソース-ドレイン間の電流を検出する。そして、電流検出アンプ3は、検出した電流を、OUT端子から出力される出力電流を検出するための検出用電流として、I_OUT端子から出力する。
【0006】
ハイサイドスイッチ回路1では、このように出力電流を検出することで、OUT端子と、OUT端子の後段の負荷との接続を検知させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-91584号公報
【特許文献2】特開2006-50724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のハイサイドスイッチ回路では、トランジスタのオン抵抗にバラつき、電圧依存性、温度依存性等があるため、検出用電流を精度良く検出することが難しい。このため、従来のハイサイドスイッチ回路では、出力電流を精度良く検出することが困難である。
【0009】
開示の技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電流検出の精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術は、
入力側が電源端子(VDD)に接続された、第1のスイッチ素子(M21)及び第2のスイッチ素子(M31)と、
前記第1のスイッチ素子と直列に接続され、その出力側が出力端子(Vout)に接続された第3のスイッチ素子(M11)と、
前記第1のスイッチ素子(M21)の出力電圧と、前記第2のスイッチ素子(M31)の出力電圧の差分を検出し、前記出力端子から出力される出力電流の検出に用いる相対電流を出力する電流アンプ(111)とを有し、
前記第1のスイッチ素子(M21)の制御部と前記第2のスイッチ素子(M31)の制御部とが接続され、
前記第1のスイッチ素子(M21)と、前記第2のスイッチ素子(M31)の抵抗比が1:nである、電流検出回路である。
【0011】
また、開示の技術は、
入力側が電源端子(VDD)に接続された第1のスイッチ素子(M21)と、第2のスイッチ素子(M31)と、
前記第1のスイッチ素子(M21)と直列に接続され、その出力側が出力端子(Vout)に接続された第3のスイッチ素子(M11)と、
前記第2のスイッチ素子(M31)と直列に接続された第4のスイッチ素子(M61)と、
前記第3のスイッチ素子(M11)の出力電圧と、前記第4のスイッチ素子(M61)の出力電圧の差分を検出し、前記出力端子から出力される出力電流の検出に用いる相対電流を流す電流アンプ(111)とを有し、
前記第1のスイッチ素子(M21)の制御部と前記第2のスイッチ素子(M31)の制御部とが接続され、
前記第3のスイッチ素子(M11)の制御部と前記第4のスイッチ素子(M61)の制御部とが接続され、
前記第1のスイッチ素子(M21)と、前記第2のスイッチ素子(M31)の抵抗比が1:nであり、
前記第3のスイッチ素子(M11)と、前記第4のスイッチ素子(M61)の抵抗比が1:mである、電流検出回路である。
【発明の効果】
【0012】
電流検出の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一の実施形態のスイッチ回路の利用シーンを説明する図である。
図2】第一の実施形態のスイッチ回路を示す図である。
図3】スイッチ回路の動作時における出力電流と相対電流の変化を示す図である。
図4】第二の実施形態のスイッチ回路を示す図である。
図5】従来のハイサイドスイッチ回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態のスイッチ回路の利用シーンを説明する図である。
【0015】
本実施形態のスイッチ回路100は、電源20と、負荷30との間に接続される電子機器10に内蔵されるハイサイドスイッチ回路である。
【0016】
電子機器10は、例えば、カーナビゲーションシステム等の車載用の電子機器である。電源20は、例えば、DC電源やバッテリ等であり、負荷30は、例えば、電子機器10と接続されるGPS(Global Positioning System)アンテナ、ラジオ、テレビ、車載用のカメラ等である。
【0017】
本実施形態のスイッチ回路100は、電源20から供給される電流を負荷30に供給する。また、本実施形態のスイッチ回路100は、電源20から負荷30に供給される電流値を検出し、検出された電流値に基づき、電子機器10と負荷30との接続または遮断を検知する。さらに、スイッチ回路100は、負荷30から電源30への電流の逆流を防止する。
【0018】
図2は、第一の実施形態のスイッチ回路を示す図である。本実施形態のスイッチ回路100は、電流検出回路110、バイアス回路120、ロジック回路130、カレントリミット回路140、コンパレータ(比較回路)150、トランジスタM11(第3のスイッチ素子、トランジスタM51、VDD端子(電源端子)、CE端子、GND端子、Vout端子(出力端子)、Vs端子、Err端子を有する。
【0019】
スイッチ回路100において、VDD端子は、電源20と接続される。Vout端子は、スイッチ回路100を含む電子機器10の後段の負荷30と接続される。CE端子は、スイッチ回路100の上位回路等に接続されて、各種の制御信号が入力される。GND端子は、接地される。
【0020】
Vs端子は、抵抗Rsを介して接地される。抵抗Rsは、スイッチ回路100から出力される出力電流Ioutの相対電流Iout′を検出するための抵抗であり、抵抗値は可変であってよい。言い換えれば、抵抗Rsは、電流電圧変換素子である。
【0021】
相対電流Iout′は、出力電流Ioutを検出するために用いられる電流である。相対電流Iout′と電流Ioutの関係は後述する。
【0022】
Err端子は、スイッチ回路100の上位回路であるCPU(Central Processing Unit)等に接続される。また、Err端子は、電流検出回路110による検出結果に応じて、出力電流Ioutが閾値となったことを示すエラー信号を上位回路に出力する。
【0023】
電流検出回路110は、電流アンプ111、トランジスタM21(第1のスイッチ素子)、トランジスタM31(第2のスイッチ素子)を有する。電流アンプ111は、トランジスタM41、アンプ112を有する。本実施形態のスイッチ回路100の有する各トランジスタは、MOSトランジスタ(スイッチ素子)である。
【0024】
電流検出回路110において、トランジスタM21とトランジスタM31は、入力側がVDD端子に接続され、トランジスタM21の制御部であるゲートと、トランジスタM31の制御部であるゲートとが接続されており、トランジスタM21とトランジスタM31は、同期してオン/オフする。
【0025】
また、本実施形態のトランジスタM31は、トランジスタM21と同構造のトランジスタであり、トランジスタM21を1/nに縮小したものである。
【0026】
トランジスタM21の出力側は、トランジスタM11の入力側と接続されている。以下の説明では、トランジスタM21の出力側と、トランジスタM11の入力側との接続点を、接続点Paと呼び、接続点Paの電圧を電圧Vaと呼ぶ。
【0027】
また、トランジスタM21、M11のバックゲートは、トランジスタM21とトランジスタM11との接続点Paに接続されており、トランジスタM21と並列に、VDD端子に対して逆方向に接続された寄生ダイオードが存在する。また、トランジスタM11と並列に、VDD端子に対して順方向に接続された寄生ダイオードが存在する。トランジスタM21の寄生ダイオードと、トランジスタM11の寄生ダイオードとは、カソード同士が対面している。したがって、スイッチ回路100では、天絡等によってVout端子の電位がVDD端子の電位よりも高くなった場合に、トランジスタM21の寄生ダイオードによって電流の逆流が防止される。
【0028】
トランジスタM21の入力側は、VDD端子と、トランジスタM31の入力側と、バイアス回路120と、に接続されている。また、トランジスタM11の出力側は、Vout端子と接続されている。
【0029】
トランジスタM31の出力側は、トランジスタM41の入力側と接続されている。以下の説明では、トランジスタM31の出力側と、トランジスタM41の入力側との接続点を、接続点Pbと呼び、接続点Pbの電圧を電圧Vbと呼ぶ。
【0030】
また、トランジスタM31、M41のバックゲートは、接続点Pbに接続されており、トランジスタM31と並列に、VDD端子に対して逆方向に接続された寄生ダイオードが存在する。また、トランジスタM41と並列に、VDD端子に対して順方向に接続された寄生ダイオードが存在する。トランジスタM31の寄生ダイオードと、トランジスタM41の寄生ダイオードとは、カソード同士が対面している。したがって、スイッチ回路100では、天絡等によってVs端子の電位がVDD端子の電位よりも高くなった場合に、トランジスタM31の寄生ダイオードによって、Vs端子からVDD端子への電流の逆流が防止される。
【0031】
つまり、本実施形態のトランジスタM21の寄生ダイオードと、トランジスタM31の寄生ダイオードは、逆流防止素子である。
【0032】
電流アンプ111において、アンプ112は、非反転入力端子が接続点Paと接続され、反転入力端子が接続点Pbと接続されており、出力端子は、トランジスタM41のゲートと接続されている。電流アンプ111は、トランジスタM21の出力電圧と、トランジスタM31の出力電圧の差分を検出して、相対電流Iout′を流す。言い換えれば、電流アンプ111は、トランジスタM21のオン抵抗と、トランジスタM31のオン抵抗の差分に応じた相対電流Iout′を出力する。
【0033】
トランジスタM41の出力側は、コンパレータ150の非反転入力端子と、Vs端子とに接続されている。コンパレータ150の反転入力端子は、基準電圧Vrefと接続されている。コンパレータ150の出力端子は、トランジスタM51と接続されている。トランジスタM51は、接地とErr端子との間に接続されている。
【0034】
バイアス回路120は、VDD端子、CE端子、ロジック回路130と接続されている。バイアス回路120は、CE端子から入力される制御信号に基づき、VDD端子から供給される電源電圧から、ロジック回路130へ供給するバイアスを生成し、ロジック回路130にバイアスを供給する。また、バイアス回路120は、CE端子から入力される制御信号をロジック回路130へ出力する。尚、図2では示していないが、バイアス回路120は、スイッチ回路100におけるロジック回路130以外の回路に対しても、バイアスを供給する。
【0035】
ロジック回路130は、バイアス回路120と、トランジスタM11のゲートと、トランジスタM21のゲートと、トランジスタM31のゲートと、カレントリミット回路140と、に接続されている。
【0036】
ロジック回路130は、バイアス回路120から入力される信号に応じて、トランジスタM11、M21、M31のそれぞれのゲートに、ハイレベル(以下、Hレベル)、又は、ローレベル(以下、Lレベル)の信号を出力し、トランジスタM11、M21、M31のオン/オフを制御する。したがって、トランジスタM11、M21、M31のそれぞれのゲートは、VDD端子からの出力電流Ioutの出力を制御する制御部と言える。
【0037】
カレントリミット回路140は、ロジック回路130から出力される信号に応じて、電流Ioutの値が、負荷30に応じて決められた上限値を超えないように、電流値を制限する。
【0038】
次に、本実施形態の相対電流Iout′と出力電流Ioutとの関係について説明する。本実施形態では、トランジスタM31は、トランジスタM21を1/nに縮小したものである。また、電流アンプ111では、帰還動作により、電圧Va=電圧Vbとなる。
【0039】
したがって、相対電流Iout′と出力電流Ioutとの関係は、以下のように示される。尚、R21は、トランジスタM21のオン抵抗であり、R31は、トランジスタM31のオン抵抗である。
【0040】
Iout×R21=Iout′×R31
Iout′=(R21/R31)×Iout 式(1)
ここで、トランジスタM31は、トランジスタM21を1/nに縮小したものであるから、式(1)は、以下の式(2)のようになる。
【0041】
R21=R31×n
Iout′=(1/n)×Iout 式(2)
したがって、本実施形態では、出力電流Ioutの値を、相対電流Iout′として、トランジスタM21とトランジスタM31との相対比と、から検出することができ、各トランジスタのバラつき、電圧依存性、温度特性を無視することができる。
【0042】
このため、本実施形態によれば、負荷30側からの電流の逆流を防止しつつ、相対電流Iout′を用いた出力電流Ioutの検出精度を向上させることができる。
【0043】
次に、本実施形態のスイッチ回路100の動作について説明する。本実施形態の100では、ロジック回路130によってトランジスタM11、トランジスタM21、トランジスタM31がオンの状態とされると、VDD端子とVout端子とが導通される。そして、スイッチ回路100では、電源電圧Vinと対応した出力電流IoutがVout端子から出力される。
【0044】
また、スイッチ回路100では、電源電圧Vinと対応した相対電流Iout′がVs端子から出力される。
【0045】
ここで、本実施形態のスイッチ回路100では、相対電流Iout′の値に基づき、出力電流Ioutの値が閾値以下となった場合に、これを検知し、エラー信号を上位回路へ出力する。出力電流Ioutの値が閾値以下となる場合とは、例えば、Vout端子と負荷30との接続が遮断された場合等である。言い換えれば、出力電流Ioutの値が閾値以下となる場合とは、電源20と負荷30との接続が遮断された場合等である。
【0046】
本実施形態において、出力電流Ioutの値が小さくなると、相対電流Iout′の値も小さくなる。本実施形態では、コンパレータ150によって、Vs端子の電圧と、基準電圧Vrefとを比較した結果を、トランジスタM51のゲートに出力する。
【0047】
Vs端子の電圧は、相対電流Iout′と、抵抗Rsとに基づき決まる。コンパレータ150は、Vs端子の電圧が、基準電圧Vrefよりも高い場合、Hレベルの信号をトランジスタM51のゲートに出力する。この場合、トランジスタM51はオフの状態であるため、Err端子からは信号は出力されない。
【0048】
また、コンパレータ150は、相対電流Iout′の値が小さくなり、Vs端子の電圧が、基準電圧Vrefよりも低くなると、Lレベルの信号をトランジスタM51のゲート
出力する。この場合、トランジスタM51は、オンの状態となり、Err端子から、上位回路に対して、エラー信号を出力する。
【0049】
本実施形態では、出力電流Ioutの検出精度を向上させることができるため、出力電流Ioutが閾値以下であるか否かの判定の精度も向上させることができる。したがって、本実施形態では、電源20と負荷30との接続が遮断されたか否かを検知する精度を向上させることができる。
【0050】
尚、Vs端子の電圧を基準電圧Vrefと比較してErr端子からエラー信号を出力する際の論理は、上述した実施例に限定されることなく、適宜設定することができる。
【0051】
図3は、スイッチ回路の動作時における出力電流Ioutと相対電流Iout′の変化を示す図である。
【0052】
図3(A)に示すグラフ31と、図3(B)に示すグラフ32とのそれぞれの縦軸は電源電圧Vinであり、横軸は出力電流Ioutである。
【0053】
グラフ31に示す直線311は、接続点Pa、Pbの電圧Va、Vbを示し、直線312は、Vout端子の出力電圧Voutを示す。グラフ32に示す直線321は、Vs端子の電圧Vsを示す。
【0054】
グラフ31の直線311、312から、電圧Va、Vbと出力電圧Voutのそれぞれは、出力電流Ioutが大きくなるほど、トランジスタM21のオン抵抗とトランジスタM11のオン抵抗の影響を受けて降下することがわかる。
【0055】
また、グラフ32の直線321から、電圧Vsは、出力電流Ioutが大きくなるほど、大きくなることがわかる。これは、出力電流Ioutが大きくなると、相対電流Iout′も大きくなるためである。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、相対電流Iout′を用いた出力電流Ioutの検出精度を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、トランジスタM31とトランジスタM41のサイズを縮小することができ、スイッチ回路100のチップ面積を縮小することができる。
【0058】
また、本実施形態では、VDD端子と負荷との接続の遮断を検知する際の閾値となる電流値を、抵抗Rsに応じて変更することができる。したがって、本実施形態では、A/Dコンバータ等を使用せずに、スイッチ回路100のみで、出力電流Ioutの閾値を変更することができる。
【0059】
また、本実施形態では、VDD端子と負荷との接続の遮断を判定する際に、相対電流Iout′を外付けの抵抗Rsによって電圧に変換し、コンパレータ150を用いて判定するため、判定の精度を高めることができる。
【0060】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、相対電流Iout′を2つのトランジスタを用いて生成する点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態の同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0061】
図4は、第二の実施形態のスイッチ回路を示す図である。本実施形態のスイッチ回路100Aは、電流検出回路110A、バイアス回路120、ロジック回路130、カレントリミット回路140、コンパレータ150、トランジスタM51、VDD端子、CE端子、GND端子、Vout端子、Vs端子、Err端子を有する。
【0062】
本実施形態の電流検出回路110Aは、電流アンプ111、トランジスタM11、M21、M31、M61を含む。本実施形態のトランジスタM61(第4のスイッチ素子)は、トランジスタM11と同構造であり、1/mに縮小したトランジスタである。また、トランジスタM61に並列にVDD端子に対して順方向に接続された寄生ダイオードが存在する。
【0063】
つまり、本実施形態の電流検出回路110Aは、トランジスタM11とトランジスタM11を1/mに縮小したトランジスタM61とを含む。トランジスタM61の制御部であるゲートは、トランジスタM11の制御部であるゲートと接続されており、トランジスタM11とトランジスタM61は、同期してオン/オフする。ロジック回路130は、トランジスタM11、M21、M31、M61のそれぞれのゲートに、Hレベル、又は、Lレベルの信号を出力し、トランジスタM11、M21、M31、M61のオン/オフを制御する。
【0064】
また、トランジスタM61の入力側は、トランジスタM31の出力側と接続されており、トランジスタM61の出力側が、トランジスタM41の入力側と接続される。以下の本実施形態の説明では、トランジスタM61の出力側とトランジスタM41の入力側との接続点を接続点Pb′と呼び、接続点Pb′の電圧を電圧Vb′と呼ぶ。尚、R61は、トランジスタM61のオン抵抗である。
【0065】
図4に示す電流検出回路110Aでは、第一の実施形態と比べて、電圧Va'、Vb'は、トランジスタM11と、トランジスタM61のオン抵抗分大きい値となる。
【0066】
図2に示す電流検出回路110において、電圧Va、Vbは、
VDD-Va=VDD-Vb
Va=Vb
であり、
R21×Iout=R31×Iout'
となる。
【0067】
一方、図4に示す電流検出回路110Aでは、電圧Va'、Vb'は、
VDD-Va'=VDD-Vb'
Va'=Vb'
であり、
(R21+R11)×Iout=(R31+R61)×Iout'
となる。
【0068】
以上より、Iout'は同じであっても、図4に示す電流検出回路110Aでは、図2に示す電流検出回路110の電圧Va、Vbよりも、電圧Va'、Vb'が大きくなるため、相対精度が向上する。すなわち、電流検出回路のオフセット等の影響を小さくすることができる。
【0069】
例えば、トランジスタM21とトランジスタM11とを同じサイズとした場合には、トランジスタM31とトランジスタM61も同じサイズとなる。したがって、本実施形態では、相対電流Iout′が流れる経路において、オン抵抗が第一の実施形態の約2倍の値となり、電圧Va'、Vb'も約2倍の値となる。尚、トランジスタM21とトランジスタM11とは、同じサイズでなくてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、トランジスタM61は、トランジスタM11を1/mに縮小したものであり、トランジスタM31は、トランジスタM21を1/nに縮小したものとしたが、これに限定されない。トランジスタM61と、トランジスタM31とは、それぞれが、トランジスタM11と、トランジスタM21とを1/nに縮小したものであってもよい。
【0071】
このように、本実施形態では、電圧Va'、Vb'の値を大きくすることで、負荷30側からの電流の逆流を防止しつつ、出力電流Ioutの検出精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
100、100A スイッチ回路、110、110A 電流検出回路、120 バイアス回路、130 ロジック回路、140 カレントリミット回路、150 コンパレータ、M11、M21、M31、M41、M51、M61 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5