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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045518
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220314BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20220314BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151147
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木部 敏志
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC03
5H605DD01
5H605EA07
5H605EA14
5H605EC01
5H605EC08
5H605EC20
5H605GG04
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR03
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】モータ本体の出力軸と反対側に配線が引き出される場合にも適用可能なブラシレスモータを提供する。
【解決手段】モータ本体と、モータ本体を収容するモータケースと、を有するブラシレスモータであって、モータケースには、モータ本体の出力軸と反対側に配置された貫通孔が形成され、貫通孔を介して、モータ本体からの配線がモータケースの外に引き出され、ブラシレスモータは、モータケースとモータ本体との間に介在するケースインシュレータを備え、ケースインシュレータには、貫通孔に連通する開口が形成され、モータケースとモータ本体との間をモータ本体の出力軸の軸方向で遮断する遮断部と、モータ本体に着座するための着座部と、が形成されている。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体と、前記モータ本体を収容するモータケースと、を有するブラシレスモータであって、
前記モータケースには、前記モータ本体の出力軸と反対側に配置された貫通孔が形成され、
前記貫通孔を介して、前記モータ本体からの配線が前記モータケースの外に引き出され、
前記ブラシレスモータは、
前記モータケースと前記モータ本体との間に介在するケースインシュレータを備え、
前記ケースインシュレータには、
前記貫通孔に連通する開口が形成され、前記モータケースと前記モータ本体との間を前記モータ本体の出力軸の軸方向で遮断する遮断部と、
前記モータ本体に着座するための着座部と、
が形成された、ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記遮断部は、前記開口の周囲において前記モータ本体の出力軸の軸方向に突出する突出部を備える、請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記モータケースは、
前記モータ本体の外周面を前記モータ本体の出力軸周りに囲む筒部と、
前記筒部に接続された底壁部と、
を有し、
前記底壁部は、前記モータ本体の出力軸の突出する側と反対側に設けられ、
前記底壁部に前記貫通孔が形成された、請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記ケースインシュレータは、
前記底壁部に沿って設けられた、前記遮断部としての環状の底部と、
前記開口よりも外周側において、前記底部から前記出力軸の突出方向に立ち上がる外周部と、
前記開口よりも内周側において、前記底部から前記出力軸の突出方向に立ち上がる内周部と、
を備える、請求項3に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記外周部には、前記モータ本体と係合する外周側係合部が形成された、請求項4に記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
前記内周部には、前記モータ本体と係合する内周側リブが形成された、請求項4に記載のブラシレスモータ。
【請求項7】
前記モータ本体は、前記配線を保持するバスバーユニットを有し、
前記ケースインシュレータは、前記着座部を介して前記バスバーユニットに着座する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータケースを有するブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒部と、モータの出力軸と反対側に配置された底壁部とが一体となったモータケースを有するブラシレスモータが開示されている。このブラシレスモータでは、バスバーがモータ本体の出力軸の近傍に設けられ、バスバーを経由する配線は、モータの出力軸側に設けられたブラケットを介して引き出されている。また、モータケースがモータのコイル等に塗布されるコーティング剤の受け皿として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-005348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブラシレスモータを駆動する駆動回路を配置する位置などの実装上の都合から、バスバーをブラシレスモータの出力軸と反対側に設けたい場合がある。このような場合、バスバーを経由する配線を外部に引き出すためのモータケースの貫通孔を、モータ本体の出力軸と反対側に設ければよいが、このような貫通孔によってモータケースがコーティング剤の受け皿として機能しなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、モータ本体の出力軸と反対側に配線が引き出される場合にも適用可能なブラシレスモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
モータ本体と、前記モータ本体を収容するモータケースと、を有するブラシレスモータであって、
前記モータケースには、前記モータ本体の出力軸と反対側に配置された貫通孔が形成され、
前記貫通孔を介して、前記モータ本体からの配線が前記モータケースの外に引き出され、
前記ブラシレスモータは、
前記モータケースと前記モータ本体との間に介在するケースインシュレータを備え、
前記ケースインシュレータには、
前記貫通孔に連通する開口が形成され、前記モータケースと前記モータ本体との間を前記モータ本体の出力軸の軸方向で遮断する遮断部と、
前記モータ本体に着座するための着座部と、
が形成された、ブラシレスモータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータ本体の出力軸と反対側に配線が引き出される場合にも適用可能なブラシレスモータを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例のブラシレスモータを示す斜視図である。
図1A】本実施例のブラシレスモータを示す斜視図である。
図1B】ブラシレスモータを示す底面図。
図1C】ブラシレスモータを示す断面図である。
図1D図1Cの一部拡大図である。
図1E】コイルの接続部分を示す図である。
図2】モータケースを取り除いた状態のブラシレスモータを示す斜視図である。
図3】モータ本体の構成を示す斜視図である。
図4】ケースインシュレータの構成を示す斜視図である。
図4A】ケースインシュレータの構成を示す斜視図である。
図4B】ケースインシュレータの構成を示す斜視図である。
図4C】ケースインシュレータの構成を示す平面図である。
図5】バスバーユニットの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について説明する。
【0010】
図1および図1Aは、本実施例のブラシレスモータを示す斜視図、図1Bは、ブラシレスモータを示す底面図、図1Cは、ブラシレスモータを示す断面図、図1Dは、図1Cの一部拡大図、図1Eは、コイルの接続部分を示す図、図2は、モータケースを取り除いた状態のブラシレスモータを示す斜視図、図3は、モータ本体の構成を示す斜視図である。
【0011】
図1図3に示すように、本実施例のブラシレスモータは、インナー・ロータ型のブラシレスモータであり、モータ本体10と、モータ本体10を収容するモータケース30と、モータケース30の開口を閉塞するブラケット50と、モータ本体10とモータケース30との間に介装されるケースインシュレータ60と、を備える。なお、以下の記述において、後述するシャフト14の軸心を基準として出力軸の軸方向、周方向、内周および外周を規定している。
【0012】
図1Cに示すように、モータ本体10は、回転可能に支持された円柱形状のロータ12と、ロータ12の外周側に設けられた円筒形状のステータ20と、を備える。
【0013】
ロータ12には、図1Cにおいて上方向に突出するシャフト14が固定され、シャフト14は、図1Cにおいて上側のベアリング11Aおよび下側のベアリング11Bにより回転可能に支持されている。上側のベアリング11Aは、ブラケット50により、下側のべアリング11Bは、モータケース30により、それぞれ支持されている。
【0014】
ロータ12は、シャフト14が取り付けられたロータコア13と、ロータコア13の外周側に固定された複数のリングマグネット15と、を有する。シャフト14のうち、図1Cにおいてブラケット50よりも上方に突出した部分が出力軸14Aとして機能する。
【0015】
図1Cにおけるシャフト14の下端には、ロータ12の回転角度を検出するためのセンサディスク16が取り付けられている。また、図1Cにおけるセンサディスク16の下方には、センサディスク16に対向してセンサ基板17が取り付けられている。センサ基板17には、センサディスク16に設けられたマグネット(不図示)に感応するホール素子16Aが実装されている。センサ基板17は、センサユニット18に収容されており、ホール素子16Aに接続されたケーブル91が、センサユニット18の内部から外部に引き出されている。ケーブル91の先端にはプラグ91Pが接続され、ホール素子16Aからの信号がケーブル91およびプラグ91Pを介してモータ制御部(不図示)に与えられる。モータ制御部では、ホール素子16Aからの信号に基づいて、ロータ12の回転角度が算出(検出)される。
【0016】
ステータ20は、ステータコア21と、ステータコア21に巻装された複数のコイル22と、を有する。図1Cにおけるステータ20の下方には、コイル22とモータ駆動回路(不図示)との間の接続を確保するためのバスバーユニット23が設けられている。
【0017】
図3に示すように、ステータコア21は、周方向に配列した複数の分割コア21Aにより構成されている。分割コア21Aのそれぞれには、コイル22が巻装され、各コイル22の両端は分割コア21Aごとに設けられた、バスバーユニット23の端子23aおよび端子23bなどの2つの端子に、それぞれ接続されている。
【0018】
バスバーユニット23の端子23aおよび端子23bなどの端子に接続されたコイル22群は、バスバーユニット23を介して所定の接続状態で互いに接続されるとともに、バスバーユニット23に設けられた2つの突起部24を経由して、モータ端子25a、25b、25cおよびモータ端子25d、25e、25fに接続されている。モータ駆動回路は、モータ端子25a、25b、25cおよびモータ端子25d、25e、25fに接続され、モータ本体10(コイル22群)へ電力を供給する。
【0019】
図1図3に示すように、モータケース30は、モータ本体10の外周面をモータ本体10のシャフト14周りに囲む円筒部31(筒部の一例)と、円筒部31に接続された円環状の底壁部32と、底壁部32に接続され、底壁部32の内周側において出力軸14Aが突出する方向に窪むように形成された凹部34(図1C)と、を備える。図1Cに示すように、凹部34は、シャフト14の軸心を中心とする大径円筒部34aと、大径円筒部34aと同心で大径円筒部34aよりも小径に形成された小径円筒部34bと、を有する(図1C)。
【0020】
図1Cに示すように、大径円筒部34aの内周側にセンサユニット18を収容する空間が確保されるとともに、小径円筒部34bの内周側にベアリング11Bが支持されている。
【0021】
図1Cに示すように、モータケース30は、一体の鋼材からなるケース本体30Aと、ケース本体30Aの外周側に取り付けられる環状の外装部材30Bと、ケース本体30Aの外周側に取り付けられる、フランジを有するフランジ部材30Cとから構成される(図1図1Aも参照)。外装部材30Bおよびフランジ部材30Cは、ケース本体30Aの側面部分とともに円筒部31の一部を構成する。
【0022】
底壁部32は、モータ本体10の出力軸14Aが突出する側と反対側(図1Cにおいて下側)に設けられている。また、底壁部32には、2つの貫通孔33が形成され、図1Cおよび図1Dに示すように、貫通孔33を貫通するバスバーユニット23の突起部24を介して、モータ本体10からの配線がモータケース30の外に引き出される。モータケース30の外に引き出された配線は、接続部25gを介して、モータ端子25a、25b、25cまたはモータ端子25d、25e、25fに接続される(図1Cおよび図1D)。
【0023】
図4図4Aおよび図4Bは、ケースインシュレータの構成を示す斜視図、図4Cはケースインシュレータの構成を示す平面図である。
【0024】
ケースインシュレータ60は、モータケース30とモータ本体10との間に介在し、モータケース30とモータ本体10との間との絶縁を確保するための部材である。
【0025】
図1C図1D図2図4図4Cに示すように、ケースインシュレータ60は、モータケース30の底壁部32に沿って設けられ、2つの開口61Aが形成された環状の底部61(遮断部の一例)を備える。
【0026】
また、ケースインシュレータ60は、開口61Aよりも外周側において、底部61から出力軸14Aの突出方向に立ち上がる外周部62と、開口61Aよりも内周側において、底部61から出力軸14Aの突出方向に立ち上がる内周部63と、を備える。外周部62は、モータケース30の円筒部31に沿った環状に形成されて、ケースインシュレータ60の外周面を構成する。内周部63は、モータケース30の凹部34の大径円筒部34aに沿った環状に形成されて、ケースインシュレータ60の内周面を構成する。内周部63の内周側に形成される開口63Aに、モータケース30の凹部34(大径円筒部34a)が収容される。
【0027】
ケースインシュレータ60の底部61は、モータケース30とモータ本体10との間をモータ本体10の出力軸14Aの軸方向で遮断する。底部61は、外周側に位置する円環状の基底部61Bと、基底部61Bの内周側に位置し、基底部61Bよりも図4Aにおける上方に突出する環状の着座部61P(着座部、突出部の一例)とを有する。ケースインシュレータ60は、着座部61Pがバスバーユニット23の環状の当接面23Pに当接した状態で、モータ本体10(バスバーユニット23)に着座する。
【0028】
開口61Aは、着座部61Pに形成されている。このため、開口61Aの図4Aにおける上端の全体は、着座部61Pの一部として形成され、基底部61Bよりも図4Aにおける上方に位置する。
【0029】
着座部61Pがバスバーユニット23の環状の当接面23Pに当接した状態、すなわち、ケースインシュレータ60がモータ本体10に取り付けられた状態において、ケースインシュレータ60の内部には、モータ本体10、とくにバスバーユニット23およびコイル22の端部を収容するために必要なスペースが確保される。例えば、図3に示す端子23a、端子23bおよび図1Eに示す端子23c、端子23dを含むバスバーユニット23には、コイル22の両端が接続される。本実施例では、これらの端子群および端子群にコイル22を接続するための接続部がケースインシュレータ60内に収容され、端子群およびコイル22のモータケース30に対する絶縁が確保される。
【0030】
ケースインシュレータ60の外周部62には、4つの係合爪65(外周側係合部の一例)が形成されている。図4Aに示すように、係合爪65は、弾性変形可能な支持部65aと、支持部65aにより支持された爪部65bとを有する。
【0031】
図3に示すように、モータ本体10の外周面には、係合爪65と係合可能な4つの係合部27が形成されている。なお、図3では2つの係合部27が示されている。ケースインシュレータ60をモータ本体10に着座させるとき、支持部65aが変形しつつ係合爪65が図3における下方向に押し込まれる。ケースインシュレータ60がモータ本体10に着座すると、支持部65aの形状が弾性により復元し、爪部65bが内周方向に移動して係合部27に落とし込まれる。これにより、係合爪65が係合部27と係合し、ケースインシュレータ60がモータ本体10に対して固定される。また、係合爪65はケースインシュレータ60をモータ本体10に着座させるときに、ケースインシュレータ60の位置を案内するガイドとして機能する。
【0032】
また、外周部62の係合爪65に対応する位置には、内周方向に突出する4つの凸部66が形成されている。これらの凸部66は、ケースインシュレータ60をモータ本体10に着座させたときに、モータ本体10の外周面に形成された4つの当接部28(図3)に当接することで、ケースインシュレータ60の位置決めに寄与する。なお、図3では2つの当接部28が示されている。
【0033】
ケースインシュレータ60の内周部63には、3つのリブ67(内周側リブの一例)が形成されている(図4A図4B図4C)。リブ67は、内周部63の外周側の壁面から外周側に突出している。
【0034】
図5は、バスバーユニットの構成を示す斜視図である。なお、図5は、図3からセンサユニット18を取り外した状態を示している。
【0035】
図5に示すように、バスバーユニット23は、環状の当接面23Pと連続して形成され、内周側に向けてフランジ状に突出する突状23Fを有する。ケースインシュレータ60をモータ本体10に着座させたときに、ケースインシュレータ60の内周部63に形成された3つのリブ67は、それぞれ突状23Fと係合する。これにより、ケースインシュレータ60がモータ本体10に対して固定される。
【0036】
このように、本実施例では、着座部61Pがバスバーユニット23の環状の当接面23Pに当接するように、ケースインシュレータ60をモータ本体10に着座させると、外周側の係合爪65が係合部27に、内周側のリブ67が突状23Fに、それぞれ係合する。また、同時に、外周側において、凸部66が当接部28に当接する。したがって、ケースインシュレータ60をモータ本体10に対して正しい位置に固定することができる。
【0037】
ケースインシュレータ60をモータ本体10に対して固定した後、モータ本体10をケースインシュレータ60とともにモータケース30に収容(圧入)することができる。その後、絶縁状態の維持などを目的として、コイル22などにコーティング剤が塗布される。この工程では、出力軸14Aが上方に突出する状態で、モータケース30の上方の開口からの作業により、液状のコーティング剤が塗布される。塗布されたコーティングは加熱工程により硬化されるが、硬化前の液状のコーティング剤が下方に垂れることを防ぐことは困難である。
【0038】
しかし、本実施例では、ケースインシュレータ60がコーティング剤の受け皿として機能するため、コーティング剤がモータケース30の貫通孔33から漏れるなどの不都合を回避することができる。
【0039】
すなわち、ケースインシュレータ60には、モータケース30の底壁部32に沿って底部61が設けられ、外周側には外周部62が、内周側には内周部63が、それぞれ設けられている。このため、ケースインシュレータ60上に垂れたコーティング剤が、外周側または内周側から回り込んでモータケース30の貫通孔33に至ることを抑止できる。
【0040】
また、上記のように、開口61Aの図4Aにおける上端の全体は、着座部61Pの一部として形成され、基底部61Bよりも図4Aにおける上方に位置する。このため、ケースインシュレータ60上に垂れたコーティング剤の液面が、着座部61Pの高さに到達するまでは、コーティング剤が開口61Aに侵入することはない。したがって、事実上、コーティング剤が開口61Aを介して、貫通孔33に到達するおそれはなく、コーティング剤は、基底部61Bの領域に留まる。このため、コーティング剤が開口61Aを介して漏れ出すことが効果的に抑止される。
【0041】
このように、本実施例によれば、底部61に落下したコーティング剤が、ケースインシュレータ60の内周側または外周側だけでなく、開口61Aを介してモータケース30内に漏れ出すことが効果的に防止できる。
【0042】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部または複数を組み合わせることも可能である。
【0043】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0044】
[付記1]
モータ本体(10)と、前記モータ本体を収容するモータケースと、を有するブラシレスモータであって、
前記モータケース(30)には、前記モータ本体の出力軸(14A)と反対側に配置された貫通孔(33)が形成され、
前記貫通孔を介して、前記モータ本体からの配線が前記モータケースの外に引き出され、
前記ブラシレスモータは、
前記モータケースと前記モータ本体との間に介在するケースインシュレータ(60)を備え、
前記ケースインシュレータには、
前記貫通孔に連通する開口が形成され、前記モータケースと前記モータ本体との間を前記モータ本体の出力軸の軸方向で遮断する遮断部(61)と、
前記モータ本体に着座するための着座部(61P)と、
が形成された、ブラシレスモータ。
【0045】
付記1の構成によれば、ケースインシュレータは、モータケースとモータ本体との間をモータ本体の出力軸の軸方向で遮断する遮断部を備えるので、遮断部によって、貫通孔を介してコーティング剤が漏れることが抑制される。
【0046】
[付記2]
前記遮断部は、前記開口の周囲において前記モータ本体の出力軸の軸方向に突出する突出部(61P)を備える、付記1に記載のブラシレスモータ。
【0047】
付記2の構成によれば、開口の周囲において前記モータ本体の出力軸の軸方向に突出する突出部を備えるので、コーティング剤が突出部を越えて開口に至ることを抑止でき、このため、貫通孔を介してコーティング剤が漏れることが効果的に抑制される。
【0048】
[付記3]
前記モータケースは、
前記モータ本体の外周面を前記モータ本体の出力軸周りに囲む筒部(31)と、
前記筒部に接続された底壁部(32)と、
を有し、
前記底壁部は、前記モータ本体の出力軸の突出する側と反対側に設けられ、
前記底壁部に前記貫通孔が形成された、請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータ。
【0049】
付記3の構成によれば、ケースインシュレータは、モータケースとモータ本体との間をモータ本体の出力軸の軸方向で遮断する遮断部によって、底壁部に形成された貫通孔を介してコーティング剤が漏れることが抑制される。
【0050】
[付記4]
前記ケースインシュレータは、
前記底壁部に沿って設けられた、前記遮断部としての環状の底部(61)と、
前記開口よりも外周側において、前記底部から前記出力軸の突出方向に立ち上がる外周部(62)と、
前記開口よりも内周側において、前記底部から前記出力軸の突出方向に立ち上がる内周部(63)と、
を備える、付記3に記載のブラシレスモータ。
【0051】
付記4の構成によれば、底部から出力軸の突出方向に立ち上がる外周部と、底部から出力軸の突出方向に立ち上がる内周部と、を備えるので、コーティング剤が底部の外周側または内周側から漏れて、貫通孔に至ることが抑止できる。
【0052】
[付記5]
前記外周部には、前記モータ本体と係合する外周側係合部(65)が形成された、付記4に記載のブラシレスモータ。
【0053】
付記5の構成によれば、外周側係合部がモータ本体と係合するので、ケースインシュレータをモータ本体に対して固定することができる。
【0054】
[付記6]
前記内周部には、前記モータ本体と係合する内周側リブ(67)が形成された、付記4に記載のブラシレスモータ。
【0055】
付記6の構成によれば、内周側リブがモータ本体と係合するので、ケースインシュレータをモータ本体に対して固定することができる。
[付記7]
前記モータ本体は、前記配線を保持するバスバーユニット(23)を有し、
前記ケースインシュレータは、前記着座部を介して前記バスバーユニットに着座する、付記1~付記6のいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
【0056】
付記7の構成によれば、ケースインシュレータは、着座部を介してバスバーユニットに着座するので、バスバーユニットをケースインシュレータの位置決めのために有効に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
10 モータ本体
14A 出力軸
23 バスバーユニット
30 モータケース
31 円筒部
32 底壁部
33 貫通孔
60 ケースインシュレータ
61 底部
61P 着座部
62 外周部
63 内周部
65 係合爪
67 リブ
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図5