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  • 特開-固体撮像素子 図1
  • 特開-固体撮像素子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045581
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220314BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20220314BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20220314BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20220314BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220314BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B7/34
G03B13/36
G03B11/00
H04N5/369 600
H04N5/225 300
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151249
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】陳 勁甫
【テーマコード(参考)】
2H011
2H083
2H151
4M118
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
2H011BA23
2H011BB02
2H083AA02
2H083AA26
2H083AA28
2H083AA29
2H151BA06
2H151BA14
2H151CB09
2H151CB22
2H151CB26
2H151CB28
2H151EB01
2H151EB04
4M118AB01
4M118AB03
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA20
4M118CA24
4M118CA25
4M118CA27
4M118FA06
4M118GA09
4M118GB02
4M118GB06
4M118GB07
4M118GB14
4M118GC08
4M118GC14
4M118GD04
4M118GD11
5C024EX12
5C024EX43
5C024EX52
5C024GX14
5C122EA21
5C122EA68
5C122FB05
5C122FB16
5C122FC06
5C122FC07
5C122FD07
5C122FF15
(57)【要約】
【課題】明るさ調整を必要としない像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子を提供する。
【解決手段】像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子であって、オートフォーカス機能を付与する位相差検出部と、画像情報を取得する撮像部と、を備えており、撮像部は、赤色と緑色と青色の各画素に対応して備えられた光電変換素子と、それらの各光電変換素子の上に平面視で重なる様に備えられた赤色と緑色と青色のカラーフィルタ層と、各画素に形成された集光用のマイクロレンズと、を備えており、前記各光電変換素子は、各画素の内部を分割する事により形成された、少なくとも大小2種類の異なる面積を備えた複数の区画領域に対応して備えられた光電変換素子である事を特徴とする固体撮像素子。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子であって、
オートフォーカス機能を付与する位相差検出部と、
画像情報を取得する撮像部と、を備えており、
撮像部は、赤色と緑色と青色の各画素に対応して備えられた光電変換素子と、前記光電変換素子の各々の上にそれぞれ平面視で重なる様に備えられた赤色と緑色と青色のカラーフィルタ層と、画素ごとに形成された集光用のマイクロレンズと、を備えており、
前記光電変換素子は、前記画素の内部を分割する少なくとも大小2種類の異なる面積を備えた複数の区画領域に対応して備えられた光電変換素子である事を特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記画素は、矩形であり、且つ大小2種類の面積からなる二対の区画領域からなり、それらの区画領域のうち、同じ面積からなる一対の区画領域は、前記画素の対角線の交点を中心にして、対称に、且つ隣接して、配置されている事を特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス方式のカメラに使用される固体撮像素子の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの焦点を自動的に合わせる事ができるオートフォーカス方式のカメラが多用されている。デジタルカメラのオートフォーカスの方式としては、コントラスト方式と位相差方式が知られている。
【0003】
コントラスト方式は、カメラのレンズ系を通して固体撮像素子上に結像した映像に対して、レンズを動かす事により明暗差(コントラスト)が最も大きくなる位置を探し出す事により、ピントを合わせる方式である。小型化に有利な特徴がある反面、レンズを動かしながらピントを合わせる必要がある為、高速化には不利である。
【0004】
一方、位相差方式は、カメラのレンズ系を通して入射した光を2つに分けてオートフォーカス専用のセンサに結像させ、その2つの画像の間隔から、ピントを合わせる事ができる方式である。レンズを動かしながらピントを合わせる必要が無い為、高速化には有利である。しかしながら、オートフォーカス専用のセンサが必要である事と、レンズから入射した光を、オートフォーカス専用のセンサと撮像素子に分岐させる構造が必要となる為、小型化が難しい問題がある。
【0005】
近年、位相差方式において、撮像素子構造を工夫する事で、小型化が可能な像面位相差オートフォーカス方式が提案されている。これは固体撮像素子の中にオートフォーカス専用のセンサを組み込んだものである(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
従来の固体撮像装置に使用される像面位相差オートフォーカス方式用の固体撮像素子は、例えば図2に例示した様な素子構造を備えている。
図2(a)は、固体撮像素子の像面位相差オートフォーカス方式用に用いられる1つの画素10´を上面から見た時の透視図を示したものである。画素10´は、1つの正方形からなる区画領域からなる例を示している。画素10´は、隔壁4´で隣接する画素と区画されており、画素10´の隔壁4´の内部は、隔壁5´で等面積に区画されているが、赤色、緑色、青色のいずれかの1つのカラーフィルタ2´を備えている。そして、画素10´には全体を覆うように1つのマイクロレンズ3´が備えられている。
【0007】
図2(b)は、固体撮像素子の1つの画素10´を側面から見た時の断面図を示したものである。図2(b)に示した様に、画素10´の内部における撮像用のカラーフィルタ2´には、光電変換素子1´が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6341969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この様な固体撮像素子を備えた像面位相差オートフォーカス方式の撮像装置において画像の撮影を行う場合、まず、撮影しようとする画像の明るさ調整を行い、次にフォーカス調整を行った後、撮影する。その為、フォーカス調整に要する時間は短いが、明るさ調整の時間を必要とする為、撮影を開始するまでに時間がかかる問題があった。
【0010】
上記の問題点を解決する為、本発明は、明るさ調整を必要としない像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第一の態様は、像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子であって、
オートフォーカス機能を付与する位相差検出部と、
画像情報を取得する撮像部と、を備えており、
撮像部は、赤色と緑色と青色の各画素に対応して備えられた光電変換素子と、前記光電変換素子の各々の上にそれぞれ平面視で重なる様に備えられた赤色と緑色と青色のカラーフィルタ層と、画素ごとに形成された集光用のマイクロレンズと、を備えており、
前記光電変換素子は、前記画素の内部を分割する少なくとも大小2種類の異なる面積を備えた複数の区画領域に対応して備えられた光電変換素子である事を特徴とする固体撮像素子である。
【0012】
また、前記画素は、矩形であり、且つ大小2種類の面積からなる二対の区画領域からなり、それらの区画領域のうち、同じ面積からなる一対の区画領域は、前記画素の対角線の交点を中心にして、対称に、且つ隣接して、配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
各画素を構成する複数の撮像用の光電変換素子が、各画素を分割する事により、平面視で少なくとも大小2種類の異なる面積を備えた複数の区画領域に対応して備えられた光電変換素子から構成されている。その為、固体撮像素子の画素毎に、明る過ぎる画素に対しては、面積の小さい光電変換素子からの情報を採用し、暗過ぎる画素に対しては、面積の大きい光電変換素子からの情報を選択して取得する事が可能となる。その為、本発明の固体撮像素子は、明るさ調整のステップを踏まずに明るさ調整された画像を取得する事が可能となり、ピント調整のみで明るさ調整された画像を取得する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の固体撮像素子の素子構造を例示する説明図であって、(a)は1つの画素を上面から見た透視図、(b)は1つの画素を側面から見た断面図である。
図2】従来の固体撮像素子の素子構造を例示する説明図であって、(a)は1つの画素を上面から見た透視図、(b)は1つの画素を側面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第一の態様の固体撮像素子について説明する。
本発明の第一の態様の固体撮像素子は、像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子である。
【0016】
本発明の固体撮像素子は、オートフォーカス機能を付与する位相差検出部と、画像情報を取得する撮像部と、を備えている。
【0017】
位相差検出部は、特に限定されず、既に提案されている各種の技術を適用することができる。
【0018】
撮像部は、赤色と緑色と青色の各画素に対応して備えられた光電変換素子と、それらの各光電変換素子の上に平面視で重なる様に備えられた赤色と緑色と青色のカラーフィルタ層と、画素ごとに形成された集光用のマイクロレンズと、を備えている。
【0019】
固体撮像素子においては、各光電変換素子が、固体撮像素子の各画素の内部を分割する事により形成された、少なくとも大小2種類の異なる面積を備えた複数の区画領域に対応して備えられている。
【0020】
即ち、固体撮像素子の受光面から見て、2種類以上の異なる面積からなる複数の区画された領域ごとに、独立して画像信号を取得可能な複数の光電変換素子からなる固体撮像素子の構造を備えている。
【0021】
この様に、1つの画素が、2種類以上の異なる面積からなる複数の光電変換素子から構成されていると、固体撮像素子が取得する画像情報の中で、明る過ぎる画素に対しては、より小さい面積の光電変換素子からの信号を取得する事により、信号の強度を低く調整し、適正な明るさの画像信号に修正することができる。逆に、暗過ぎる画素に対しては、より大きい面積の光電変換素子からの信号を取得する事により、信号の強度を高くすることができるため、適正な明るさの画像信号に修正することができる。
【0022】
例えば、大小2種類の面積からなる光電変換素子からなる場合、両方の光電変換素子からの画像信号の合計値を取得した場合は明る過ぎても、大きい方の光電変換素子からの画像信号だけにする事により、画像信号の強度を低くする事が可能である。更には、小さい方の光電変換素子だけの信号を画像信号として取得すれば、最も小さい画像信号とする事ができる。
【0023】
なお、1つの画素を構成する面積の異なる光電変換素子の膜厚方向の厚さは同一であることが好ましい。厚さが同一であることで、光電変換素子の平面視方向における面積を変えるのみで光電変換素子の入射光量を調整することができる。
【0024】
1つの画素を分割する数を増やすほど、より細かい明るさ調整が可能となる。なお、1つの画素においては、光電変換素子は複数に分割されているが、カラーフィルタ層は同じ色となっている。
【0025】
また、図1に例示した様に、隔壁4によって区画された画素10が矩形であり、且つ大小2種類の面積からなる4つの区画領域からなる。それらの区画領域のうち、同じ面積からなる一対の区画領域は、画素の対角線の交点を中心にして、対称に、且つ隣接して、配置されていることが好ましい。このような点対称な配置とすることで、入射光量差のばらつきを防ぎ、均一な光量の画像を取得しやすいためである。
【0026】
図1(a)において、4つの区画領域は、同じ色(赤色または緑色または青色)のカラーフィルタ層2-1、2-2、2-3、2-4からなる区画領域である。図1(b)に示した様に、同色のカラーフィルタ層2-1、2-2、2-3、2-4の下側の対応する領域には、それぞれ光電変換素子1-1、1-2、1-3、1-4が備えられている(光電変換素子1-1、1-4は図示省略)。例えば、カラーフィルタ層2-1を通った光は、光電変換素子1-1に入射し、光電変換素子1-1の半導体層からなる光電変換層(図示省略)の中で電子/正孔対を生成し、光電流として外部回路に取り出される。光電変換層は入射した光を十分吸収可能な厚さを備えた半導体層である。その為、光電変換素子の面積に比例した光電流が得られる。面積の大きい光電変換素子1-1、1-3では、面積の小さい光電変換素子1-2、1-4から得られる光電流より大きい光電流が得られる。
【0027】
この様に、1画素の内部において、一対の大きな面積の光電変換素子1-1、1-3と一対の小さな面積の光電変換素子1-2、1-4を備えている場合、1つの画素から取得可能な画像信号の強度としては、強度が強い方から、(1)全ての光電変換素子1-1、1-2、1-3、1-4から取得、(2)小さい光電変換素子1-2または1-4を除い
て取得、(3)大きい光電変換素子1-1と1-3から取得、(4)大きい光電変換素子1-1または1-3と小さい光電変換素子1-2、1-4から取得、(5)大きい光電変換素子1-1または1-3と小さい光電変換素子1-2または1-4から取得、(6)大きい光電変換素子1-3または1-3から取得、(7)小さい光電変換素子1-2または1-4から取得、する場合の7段階の明るさ調整が可能となる。
【0028】
以上は、1つの画素を構成する光電変換素子を大小2種類の各2つの組み合わせからなる場合を説明したが、分割の数や光電変換素子の大きさの種類を増やせば増やすほど、より細かい明るさ調整が可能となる。
【0029】
以上、本発明の固体撮像素子における画像情報を取得する撮像部を構成する画素に備えられた光電変換素子を複数の大きさの区画領域に分割し、それぞれの区画領域に対応した光電変換素子を備える固体撮像素子の構造について説明した。この様な構造を備えた像面位相差オートフォーカス方式の固体撮像素子は、明るさ調整のステップを踏まずに明るさ調整された画像を取得する事が可能となり、ピント調整のみで明るさ調整された画像を取得する事が可能となる為、より高速な撮影が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1-1、1-2、1-3、1-4、1´・・・光電変換素子
2-1、2-2、2-3、2-4、2´・・・カラーフィルタ層
3、3´・・・マイクロレンズ
4、4´・・・隔壁
5、5´・・・隔壁
10、10´・・・(固体撮像素子の)画素
図1
図2