(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045582
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151250
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA06
3E013BA08
3E013BA15
3E013BB13
3E013BC14
3E013BD12
3E013BD15
3E013BE01
3E013BF06
3E013BF24
3E013BF34
3E013BF62
(57)【要約】
【課題】自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの、包装袋の提供を課題とする。
【解決手段】電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、側端部のシールの一部は、張り出しシール部となっており、胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、底部によって包装袋は自立が可能であって、フラップにはその先端部から順に、幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てていることを特徴とする、包装袋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、
包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、
前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており、
胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であり、
上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封予定線が設けてあり、
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、
この底部によって包装袋は自立が可能であって、
前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、
フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており、
フラップにはその先端部から順に、
幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、
次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、開閉はチャックテープの雄雌形状の嵌合によるものであって、その一部には弱嵌合部を設けてあり、
さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、
水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てていることを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
前記水密接合部は、相対するチャックテープの台座同士の接合、或いは一方のチャックテープの台座と相対するフラップのシーラント層との接合、或いは相対するフラップのシーラント層同士の接合のいずれかによって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記チャックテープは、その長手方向に直角な嵌合部の断面は中心線に対して上下非対称であって、フラップの内容物側からの内嵌合強度と、フラップの先端側からの外嵌合強度は、
内嵌合強度>外嵌合強度
であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記チャックテープの弱嵌合部は、当該部が加熱、加圧によって押しつぶされて形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジによる加熱調理に用いることのできる包装袋に関するものである。特に、下部に底フィルムを有して自立可能な、スタンディングパウチとも呼ばれる形態の包装袋であって、加熱調理において内容物から発生する水蒸気を、外部に自動排出することが可能な自動蒸気抜き機構を備えた包装袋である。
【背景技術】
【0002】
包装材料の一種である包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単層または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代の人々の生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
包装袋は、例えば液体用の容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0004】
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、さまざまな要求品質に対してきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前、及び流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。また包装袋は、廃棄物を減らすという観点からも環境適応型の容器であるといえる。
【0005】
また包装袋の外側から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通や在庫管理、マーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
包装袋の中には、自立性を持たせたものも商品化されており、一般にスタンディングパウチと呼ばれている。自立性を有することにより商品の展示、陳列などに利点を有するほか、使い勝手にも利点を有し、たとえば、内容物の取り出しにおいても一層の利便性が図られてきた。
【0007】
さらに加熱調理後のスタンディングパウチの開封に際して、残留した水蒸気によるやけど防止や、開封口の開封性の容易さに加えて、開封口の形状の保持などが重要視されている。
【0008】
特許文献1には、内容物を収容するための内部空間と、ファスナーを有する第1開口部と、内部空間に内容物を入れる充填用の第2開口部を側部に有する包装袋が提案されているが、設計上自立性を確保しようとすれば、充填用の第2開口部が狭くなりがちで、汎用の自動充填機による安定した充填が困難であった。
【0009】
すなわち特許文献1に示された包装袋構成において、充填用の第2開口部が側部に設けてあるために、充填用の開口部と底フィルムの折り込み幅とはトレードオフの関係になり、電子レンジ庫内の高さ寸法と充填適性を考慮して充填間口を広げようとすると、底フィルムの折り込み幅が小さくなり自立性が失われる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、プラスチックフィルムを基材とした包装袋であって、汎用の自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、フラップおよびチャックテープ付きの、包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、
包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、
前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており、
胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であり、
上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封予定線が設けてあり、
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、
この底部によって包装袋は自立が可能であって、
前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、
フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており、
フラップにはその先端部から順に、
幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、
次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、開閉はチャックテープの雄雌形状の嵌合によるものであって、その一部には弱嵌合部を設けてあり、
さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、
水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てていることを特徴とする、包装袋である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、
前記水密接合部は、相対するチャックテープの台座同士の接合、或いは一方のチャックテープの台座と相対するフラップのシーラント層との接合、或いは相対するフラップのシーラント層同士の接合のいずれかによって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、
前記チャックテープは、その長手方向に直角な嵌合部の断面は中心線に対して上下非対称であって、フラップの内容物側からの内嵌合強度と、フラップの先端側からの外嵌合強度は、
内嵌合強度>外嵌合強度
であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、
前記チャックテープの弱嵌合部は、当該部が加熱、加圧によって押しつぶされて形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とした包装袋であって、汎用の自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、フラップおよびチャックテープ付きの、包装袋の提供が可能である。
【0017】
特にフラップにはチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、その一部を弱嵌合部としてあり、これによってこの部分が加熱調理において自動蒸気抜き機構として効果的に作用する。
【0018】
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、この底部によって包装袋は安定した自立が可能である。
【0019】
また、前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられていることによって、例えばこの部分から加熱調理を前にして、食材や具材を加えて調理することが可能になる。
【0020】
さらに、フラップにはその先端部から順に、幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあることによって、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てることが可能であって、食材や具材を加えて調理する際の使い勝手を向上させることに効果的である。
【0021】
特に請求項2に記載の発明によれば、水密接合部を別部材を用いることなく形成することができ、形成が容易かつ安価にすることができる。
【0022】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、嵌合強度に強弱をつける手法として、チャックテープの断面形状を中心線に対して非対象とすることによって実現することが可能であり、別部材を用いるなど煩雑な製造方法を回避することが可能である。
【0023】
さらに、フラップの内容物側からの内嵌合強度と、フラップの先端側からの外嵌合強度は、内嵌合強度>外嵌合強度、であることによって、例えば包装袋のフラップから調理用具材を投入した後、再びチャックテープでフラップを閉じて封止し、電子レンジによる加熱調理を行い、通蒸機構による自動的な水蒸気の排出を行うなどの使い方が可能になる。
【0024】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、別部材を用いることなく、自動通蒸機構を包装袋に形成することができ、形成工程の簡略化、製造コスト低減の点で利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る包装袋において、チャックテープ及び水密接合部の構造の一実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る包装袋において、チャックテープ及び水密接合部の構造の他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る包装袋において、チャックテープ及び水密接合部の構造のさらに他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る包装袋において、フラップ内のチャックテープの嵌合部を、フラップ先端側から解放する様子を説明するための、部分断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る包装袋の、実施例の構成について説明をするための平面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る包装袋の、比較例の構成について説明をするための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0027】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【0028】
本発明は、シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋(100)である。すなわちプラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から構成される包装袋(100)であって、シーラント層同士のシールすることによって製袋されて形成されている。
【0029】
包装袋(100)は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とからなる胴部(30)、底部(50)、フラップ(40)から構成されている。
【0030】
前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とは、左右両側の端部(5)でシールされてシール部(6)を形成して、胴部(30)を構成しており、シール部(6)は、胴部(30)の周縁を囲って形成されている。但し
図1において、後ろ側胴部(20)は前側胴部(10)の後ろにあって不可視である。
【0031】
また、胴部(30)の上辺(8)は、機械充填用開口部として使用され、内容物の充填を可能とし、充填後に、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とがシールされ、上辺(8)にシール部(7)を形成して包装袋(100)は密封される。
【0032】
上辺(8)は、機械充填用開口部となるが、底フィルム(14)の折り込み幅に影響されることなく、側端部(5)のシール部(6)を除いて、上辺(8)の長さいっぱいに開口することが可能である。これは包装袋(100)の自動充填機に対する充填適性の安定化、向上に効果的である。
【0033】
底部(50)は、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)との間に底フィルム(14)が拡張可能に折り線(15)で折り込まれてシールされている。
【0034】
底フィルム(14)は、内容物を充填した際にその体積と重みで底フィルム(14)が拡張し、拡張された底部(50)によって底面が形成され、包装袋(100)は自立が可能である。
【0035】
この自立性によって、例えば電子レンジの庫内において包装袋(100)が自立した状態のまま加熱調理を行うことが可能であり、利便性に優れる包装袋(100)とすることができる。
【0036】
また
図1に示す例においては、フラップの高さ位置(3)より上に、フラップ(40)が示されている。
【0037】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【0038】
図1及び
図2に示す例において、上辺(8)のシール部(7)の下には、幅方向の胴部の開封予定線(13)が設けてある。
【0039】
前述のように胴部(30)の上辺(8)は、機械充填用開口部となって機能するが、内容物の充填後には、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とがシールされシール部(7)を形成して、包装袋(100)は密封されている。
【0040】
加熱調理後に最終的に内容物を取り出そうとする際には、胴部の開封予定線(13)に沿って包装袋(100)の胴部(30)の上部を切り裂いて、開口部として、内容物を取り出すことができる。切り裂きはたとえば鋏やナイフなどの刃物を用いて行うことができる。
【0041】
また、
図1及び
図2に示す例においては、側端部(5)のシール部(6)に胴部の開封予定線(13)に連続する切り込み(12)が設けてある例である。切り込み(12)が設けてあり、さらに胴部の開封予定線(13)が易開封機構となっている場合には、開封は手指を用いて容易に行うことが可能となる。また胴部の開封予定線(13)は、必要に応じて印刷などの手段によって目視で視認できるよう、表示することも可能である。
【0042】
一方胴部(30)の下部において、前側胴部(10)と後ろ側胴部と(20)との間には、底フィルム(14)が拡張可能に折り線(15)で折り込まれてシールされて、底部(50)を形成している。
【0043】
底部(50)は、表側胴部(10)及び裏側胴部(20)の間に底フィルム(14)が挟み込まれ、シールされて形成されており、内容物を充填した際にその体積と重みで底フィルム(14)が拡張し、拡張された底部(50)によって底面が形成され、包装袋(100)は自立が可能である。
【0044】
包装袋(100)が自立性を有することにより、商品としての展示、陳列などに利点を有するほか、使い勝手にも利点を有し、たとえば、内容物の取り出しにおいても一層の利便性を有する。
【0045】
さらに電子レンジ庫内においても自立性を保持できることにより、加熱調理に利便性が高く、加熱調理後の開封の容易さに加えて、包装袋(100)の形状の保持などにも効果的である。
【0046】
一方、胴部(30)の上部には、前側胴部(10)のフラップの高さ位置(3)から斜め上方に突き出したフラップ(40)が設けられている。
【0047】
フラップ(40)は、前側胴部(10)上方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ後面フィルムと、前側胴部(10)下方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、各々のシーラント層同士が対向して重ね合わせられている。
【0048】
フラップ(40)の側端部(44)はシールされシール部(43)を形成しており、フ
ラップ(40)の先端部(41)はシールまたはフィルムの折り返しによって閉じられて、フラップ(40)の密封構造が形成される。
【0049】
図2に示す例においては、前側胴部(10)下方から連続するフラップ前面フィルムは可視であるが、フラップ後面フィルムは、その背後になって不可視である。また
図2に示す例においては、フラップ(40)の先端部(41)は、シール部(42)によって閉じられている例である。
【0050】
フラップ(40)にはその先端部(41)から順に、幅方向にフラップの開封予定線(45)が設けてあり、次にチャックテープ(46)による幅方向の開閉部が設けてあり、開閉はチャックテープ(46)の雄雌の嵌合によるものであって、その一部を弱嵌合部としてあり、さらに、チャックテープ(46)より内容物側に、幅方向に水密接合部(47)が設けてある。
【0051】
すなわち本発明による包装袋(100)においては、水密接合部(47)によって、チャックテープ(46)の嵌合部と、包装袋(100)の内容物収納空間とは隔てられている。
【0052】
前述のようにチャックテープ(46)の開閉は、チャックテープ(46)の雄雌の嵌合によるものであって、その一部を弱嵌合部(39)としてあることによって、この弱嵌合部(39)は、電子レンジによる内容物の加熱調理に際して、自動蒸気抜き機構として作用する。
【0053】
包装袋の内容物に対して、電子レンジによる加熱調理をする際には、加熱に伴って内容物から水蒸気が発生し、包装袋が密封されている場合には、体積膨張が起こる。包装袋に水蒸気が充満したのちには、包装袋の内圧が上昇する。
【0054】
この時、包装袋(100)に自動蒸気抜き機構を設けておくことによって包装袋(100)の内部空間が一定の内圧に達した際に、内部からの圧力に対して相対的に脆弱な弱嵌合部(39)が解放され、包装袋(100)の内部空間と外部がつながることになり、自動的な水蒸気の排出が行われることになる。
【0055】
本発明による包装袋(100)について、
図1及び
図2を用いて説明してきたが、ここでその実際の使用例について説明を加える。
【0056】
例えば、内容物を食品メーカー等による調理用調味液として、調味液が包装袋(100)に充填密封された状態の商品として流通、販売されるケースを考えてみる。加熱調理するための食材や具材は、一般消費者が調理に際して適宜追加することができるものとする。この追加する食材、具材は、例えば新鮮食材として生卵や野菜などを加えて調理することも可能である。
【0057】
すなわち、一般消費者は包装袋(100)に充填された調理用調味液を商品として購入する。本発明による包装袋(100)は、加熱調理に際して、一般消費者によるフラップ(40)からの食材、具材の追加投入を可能にするものであって、その投入を容易なものとすることができる。
【0058】
作業はまず、包装袋(100)のフラップ(40)の上部に設けられたフラップの開封予定線(45)に沿って、フラップ(40)を切り裂いて開口部とすることができる。切り裂きは、例えば鋏やナイフなどの刃物を用いて行うことができる。
【0059】
また、
図1、
図2に示す例は、側端部(44)のシール部(43)にフラップの開封予定線(45)に連続する切り込み(16)が設けてある例である。切り込み(16)が設けてあり、さらにフラップの開封予定線(45)が易開封機構となっている場合には、開封は手指を用いて容易に行うことが可能となる。またフラップの開封予定線(45)は、必要に応じて印刷などの手段によって目視で視認できるよう、表示することも可能である。
【0060】
易開封機構は、その方式に特段の制約を加えるものではなく、例えばフィルムへのハーフカットを施す方法や、プラスチックフィルムの分子配向性を利用する方法などによってフラップの開封予定線(45)とすることができる。これは胴部の開封予定線(13)についても同様である。
【0061】
続いて、チャックテープ(46)の嵌合を開放し、水密接合部(47)を開放する。この状態で外部と包装袋(100)内部がつながり、フラップ(40)経由で、加熱調理する食材、具材の包装袋(100)への追加投入が可能になる。
【0062】
フラップ(40)から食材、具材を投入した後、再びチャックテープ(46)でフラップ(40)を閉じて封止し、電子レンジによる加熱調理を行う。加熱調理中は、弱嵌合部(39)による自動通蒸機構が作用して自動的な水蒸気の排出が行われる。弱嵌合部(39)による自動通蒸機構については、後段さらに詳細な説明を加える。
【0063】
このようにして、食材、具材の追加投入を経て加熱調理が完了した後、包装袋(100)の側端部(5)の切り込み(12)をきっかけとして、胴部の開封予定線(13)を切り裂いて開封し、加熱調理済みの内容物を取り出し、食器などへ移し替えるなどして、食用に供することが可能である。
【0064】
このように、あらかじめ本発明による包装袋(100)に充填された調理用調味液などに、新鮮な食材、具材を追加で加えて電子レンジで加熱調理することによって、蒸し料理、煮込み料理を簡単に作ることができる包装袋(100)は、一般消費者にとって利点も多い。
【0065】
例えば、本発明による包装袋(100)は、電子レンジでの加熱調理直前に新鮮な食材、具材を投入することができるため、食材の風味や栄養価が損なわれにくく、また包装袋(100)内部に充満した水蒸気を自動的に外部に排出する機構を備えていることから、加熱調理後の取り扱いにおいて、手指のやけどの回避などの安全性が図られる利点を有する。
【0066】
さらに、本発明による包装袋(100)は、電子レンジの利点である、火を使わない加熱調理が可能であり、また調理の煩雑さをなくし、鍋や調理具、食器の後片付けの手間や時間を軽減することにも効果的である。
【0067】
このように本発明による包装袋(100)においては、胴部の開封予定線(13)を切り裂いて開封し、開口部として調理済みの内容物を取り出すことができる。この取り出しのための開口部は、フラップ(49)のチャックテープ(46)に設けた弱嵌合部(39)による自動通蒸機構とは別に位置しており、開封時に起こりがちな水蒸気による手指のやけどなどの危険を回避することが可能である。
【0068】
また、本発明による包装袋は、水密接合部(47)によって、チャックテープ(46)の嵌合部と、包装袋(100)の内容物収納空間とは隔てられていることによって、フラップ(40)の開封前には、胴部(30)に収納された内容物が、チャックテープ(46
)の嵌合部に接触することを防止することができる。
【0069】
したがって、フラップ(40)への内容物の侵入を水密接合部(47)によって防止して、調理用の具材投入のためのフラップ(40)のチャックテープ(46)の嵌合の解放及び再嵌合において、たとえば調理用調味液などあらかじめ包装袋(100)に充填されている内容物が、チャックテープ(46)の嵌合部に付着することを防止することができ、手指を汚すなどの恐れがなく好都合である。
【0070】
続いて、本発明による弱嵌合部(39)による自動通蒸機構について、さらに詳細な説明を加える。
【0071】
食材、具材の追加投入を終え、電子レンジによって加熱調理されている内容物は、包装袋(100)内部に水蒸気を発生させ、この水蒸気によって、密封された包装袋(100)の体積が増大するとともに、包装袋(100)の内部空間を満たした後は、包装袋の内圧が上昇する。この体積膨張は、包装袋(100)の体積中心から外側に向かって、三次元の放射状に起こる。
【0072】
このとき、包装袋(100)の胴部(30)及びフラップ(40)の内圧が上昇し、一定の圧力を超えた場合には、チャックテープ(46)による開閉部にも、包装袋(100)内側からの圧力が加わり、相対的に圧力に対して脆弱な、弱嵌合部(39)の嵌合が解放され、通蒸機構として作用する。すなわち包装袋(100)の内部の水蒸気は、弱嵌合部(39)から、自動的に包装袋(100)の外部に排出される。
【0073】
すなわち、この弱嵌合部(39)の包装袋(100)の内圧の上昇による通蒸によって、包装袋(100)の内部空間と外部がつながることになり、自動的な水蒸気の排出が行われることになる。これは、電子レンジ庫内で行われる加熱調理において、望ましいことであり、包装袋(100)の急激な内圧上昇による、爆発的な破袋を回避することが可能である。
【0074】
また、加熱調理後の包装袋(100)の取り出し、取り扱いに際して、内容物や水蒸気の噴出や、それに伴う手指のやけどなどを防止することにも効果的である。すなわち弱嵌合部(39)による自動通蒸機構が働くことによって、内圧の上昇による水蒸気の排出を比較的穏やかに行うことが可能である。
【0075】
すなわち、このチャックテープ(46)に設けた弱嵌合部(39)の開放が大きな破裂音を伴う急激なものになることがなく、比較的穏やかに行われる場合には、加熱調理後の包装袋(100)の取り扱い、及び内容物の取り出し作業において、より安全な機構とすることができる。
【0076】
また、
図1及び
図2に示す包装袋(100)の例において示すように、弱嵌合部(39)は、フラップの内側に設けられており、一方内容物は胴部下方に充填、追加投入されており、したがってこの位置であれば、自動通蒸において加熱された内容物の噴出を起こすこともなく、また発生した水蒸気の排出を妨げることもなく、好都合である。
【0077】
チャックテープ(46)に設ける弱嵌合部(39)の形成方法については、特段の制約を設けるものではなく、例えば当該部が一定の、時間、温度、圧力によって押しつぶされて形成されているものとすることができる。
【0078】
図3は、本発明に係る包装袋において、チャックテープ及び水密接合部の構造の一実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【0079】
フラップ(40)は、前側胴部(10)上方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ後面フィルム(48)と、前側胴部(10)下方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ前面フィルム(49)とが、各々のシーラント層(1)同士が対向して、フラップ(40)の側端部(44)において重ね合わせられてシールされシール部(43)を形成して構成されている。
【0080】
前述のように、本発明においてフラップ(40)にはその先端部(41)から順に、幅方向にフラップの開封予定線(45)、チャックテープ(46)による幅方向の開閉部が設けてあり、さらに、チャックテープ(46)の嵌合部(2)より内側すなわち内容物側に、幅方向に水密接合部(47)が設けてある。ちなみに、ここでいう幅方向は、
図3において手前から、奥側に行く方向である。
【0081】
図3はこれらのうち、フラップ(40)内のチャックテープ(46)、及び水密接合部(47)を示している。水密接合部(47)は、チャックテープ(46)の嵌合部(2)と包装袋(100)の内容物収納空間とを隔てている。
【0082】
この水密接合部(47)によって、外力による内容物側からの圧力が生じる場合でも、内容物の液体がチャックテープ(46)の嵌合部(2)側に漏れ出ることを防止することが可能である。
【0083】
また内容物側からの圧力が生じない場合でも、チャックテープ(46)の嵌合部(2)に内容物が接触することを防止することが可能である。
【0084】
図3に示す例においては、水密接合部(47)は、一方のチャックテープ(46)の台座と、相対するフラップ後面フィルム(48)側のシーラント層(1)との接合によって形成されている例である。
【0085】
この水密接合部(47)の接合方法には、特に限定を加えるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールによって行うことができる。
【0086】
図4は、本発明に係る包装袋において、チャックテープ及び水密接合部の構造の他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【0087】
図4に示す例においては、水密接合部(47)は、フラップ(40)のフラップ後面フィルム(48)と、フラップ前面フィルム(49)との相対するシーラント層(1)同士の接合によって形成されている例である。
【0088】
この水密接合部(47)によって、外力による内容物側からの圧力が生じる場合でも、内容物の液体がチャックテープ(46)の嵌合部(2)側に漏れ出ることを防止することが可能であり、また内容物側からの圧力が生じない場合でも、チャックテープ(46)の嵌合部(2)に内容物が接触することを防止することが可能である。
【0089】
この水密接合部(47)の接合方法には、特に限定を加えるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールによって行うことができる。
【0090】
図5は、本発明に係る包装袋において、チャックテープ及び水密接合部の構造のさらに他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【0091】
図5に示す例においては、水密接合部(47)は相対するチャックテープ(46)の台
座同士の接合によって形成されている例である。
【0092】
この水密接合部(47)によって、外力による内容物側からの圧力が生じる場合でも、内容物の液体がチャックテープ(46)の嵌合部(2)側に漏れ出ることを防止することが可能であり、また内容物側からの圧力が生じない場合でも、チャックテープ(46)の嵌合部(2)に内容物が接触することを防止することが可能である。
【0093】
この水密接合部(47)の接合方法には、特に限定を加えるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールによって行うことができる。
【0094】
図6は、本発明に係る包装袋において、フラップ内のチャックテープの嵌合部を、フラップ先端側から解放する様子を説明するための、部分断面模式図である。
【0095】
図6に示す例においては、フラップに設けたチャックテープの嵌合部をフラップ先端側から解放するために、フラップ前面フィルム(49)を図中矢印(B)方向に、フラップ後面フィルム(48)を図中矢印(C)の方向に引っ張って、嵌合部(2)を解放しようとする場合の様子である。
【0096】
本発明において使用するチャックテープ(46)は、その長手方向に直角な嵌合部(2)の断面は上下非対称であって、
図3~
図5に示すように、中心線(A)に対して上下非対称の嵌合形態であるがゆえに、嵌合部(2)の中心線(A)より上半分の部分では、嵌合部(2)は比較的外れやすい角度で雄雌が嵌合している。
図6に示すように、中心線(A)より上の嵌合部(2)では、嵌合の引っ掛かりが外れやすいことが見て取れる。
【0097】
一方、嵌合部(2)の中心線(A)より下半分では嵌合部(2)は比較的外れにくい角度で雄雌が嵌合している。嵌合を解放しようとすれば、雄雌が引っかかる構造となっている。
【0098】
すなわち、嵌合部(2)の中心線(A)より上半分の部分では、チャックテープ(46)の雄雌の関係が、嵌合を解放しようとする矢印(B)方向,および矢印(C)方向の力に対して、外れやすい角度で嵌合している。
【0099】
これはフラップ(40)をその先端側から開封しようとする場合に効果的である。これは前述の使用例において、調理するための食材、具材などを加熱調理前に追加投入する際に、フラップに開口部を作るための作業を容易にすることに効果的である。
【0100】
これに対して、嵌合部(2)の中心線(A)より下半分では、チャックテープ(46)の雄雌の関係が、嵌合を解放しようとする力に対して、外れにくい角度で嵌合していることによって、中心線(A)より上半分の部分と下半分の部分とで差が出ることになる。これは、包装袋内側から力がかかる場合に、包装袋(100)の密封性を保つことに効果的である。
【0101】
したがって、自動通蒸は、包装袋(100)の内圧が、加熱調理による水蒸気の発生によって一定の値に達したときに、チャックテープ(46)全体ではなく、チャックテープ(46)の一部に設けた相対的に脆弱な、弱嵌合部(39)の嵌合が解放される形で行われる。
【0102】
弱嵌合部(39)は、嵌合を解放しようとする圧力に対して脆弱であるため、この部分が最初に包装袋(100)の内部と外部をつなぐ部分となって、自動通蒸機構として有効に機能する。一旦通蒸したのちには、包装袋(100)内部の内圧は急激に下降し、破袋
に至る危険を回避することができる。
【0103】
また、チャックテープ(46)が、中心線(A)に対して非対称であることによって、フラップ(40)の内容物側からの内嵌合強度と、フラップの開封予定線(45)側からの外嵌合強度を比較すれば、
内嵌合強度>外嵌合強度
とすることができる。
【0104】
言い換えれば、この関係であるとき、包装袋(100)のフラップ(40)部分では、フラップ(40)の開封において、フラップの開封予定線(45)側からのチャックテープ(46)の解放、すなわち開封は手指などを用いて比較的容易に行うことが可能である。
【0105】
逆に内容物側からのチャックテープ(46)の解放は比較的抵抗が大きいものとなり、調理用具材を追加投入して加熱調理する際には、内圧が上昇した場合の自動通蒸機構作動前の開口を回避することが可能となり、また落下耐性など包装袋内側からの内圧の負荷に対する耐性の点においても、好都合なものとなっている。
【0106】
このようにして、プラスチックフィルムを基材とした包装袋(100)において、汎用の自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの包装袋(100)の提供が可能である。
【0107】
ここで、本発明による包装袋(100)を構成する各要素の材料に関して説明を加える。
【0108】
本発明による包装袋(100)は、シーラント層を備えるフィルムからなる。すなわち、基材としてプラスチックフィルムを用い、シーラント層を有する積層体からなるものである。そのほか積層体には、例えば内容物の保存性の向上などを目的としたガスバリア層など必要な機能を有する層を含むことができる。
【0109】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、包装袋(100)の用途に応じて適宜選択される。
【0110】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0111】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装袋(100)に対する要求品質に応じて適宜設計することができる
【0112】
また、たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、包装袋(100)を構成する積層体中に、着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層体中にガスバリア層を設けることができる。たとえば、プラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなる、ガスバリアフィルムを用いることができる
。
【0113】
またアルミニウムなどの金属箔や、金属蒸着膜もガスバリア層として有効ではあるが、電子レンジでの加熱調理には、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。
【0114】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0115】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、ウエットコーティング法による層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、ウエットコーティング層を順次設ける。
【0116】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いて塗膜形成するほか、一般に知られている他のコーティング方法を用いて塗膜形成することができる。
【0117】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0118】
この真空蒸着法による無機化合物層の上に、更にウエットコーティング法による層を形成することができ、その方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0119】
無機化合物層は真空蒸着法による層のみでもガスバリア性を有するが、ウエットコーティング法による無機化合物層を、真空蒸着法による無機化合物層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0120】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とウエットーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはウエットコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0121】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0122】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるため
に、内容物を包装袋の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。また、包装袋(100)に印刷層を設ける場合には、一部を印刷層を設けない部分としておくことによって、この部分を窓とすることも可能である。
【0123】
シーラント層(1)は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧して例えばヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(100)に製袋することを可能にする。
【0124】
シーラント層(1)の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用することができる。
【0125】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0126】
シーラント層(1)の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0127】
また本発明において、フラップ(40)には幅方向に伸びる開閉部としてチャックテープ(46)を設けてあるが、チャックテープ(46)の材質にはたとえばポリオレフィン系樹脂を用いることが可能である。
【0128】
ポリオレフィン系樹脂を用いる場合には、ヒートシールなどによって、チャックテープ(46)の台座同士、あるいは相対するフラップ(40)のシーラント層(1)と接合することが可能であり、水密接合部(47)を形成することができる。
【0129】
あるいは、水密接合部(47)は、フラップ(40)のシーラント層同士の接合によっても形成が可能である。これらの方法で水密接合部(47)を形成する場合には、別部材を必要とせず、コスト面においても有利である。
【0130】
また、必要に応じて、商品としてのイメージアップ、内容物についての必要な情報表示、また意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、包装袋外側から見える層に印刷層を設けることができる。印刷層は包装袋の最外層に設けるのでも構わない。
【0131】
また印刷層は、包装袋の一部に設けるのでもよく、また包装袋の全面にわたって設けるのでもよい。あるいは、印刷層を用いずに表示部を設ける方法としては、たとえば包装袋の表面に印刷されたシールを貼着することも可能である。
【0132】
ここで、印刷方法、及び印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品用包装袋としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよい。
【0133】
たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から選択して用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの印刷適性、及び絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0134】
このようにして、本発明においてその課題とするところの、プラスチックフィルムを基材とした包装袋において、汎用の自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの包装袋(100)の提供が可能である。
【実施例0135】
以下本発明を、実施例及び比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0136】
評価用の包装袋を作成し内容物を充填し、評価を行った。
包装袋の材料構成は以下のとおりである。
・包装袋外側から、
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)+無機化合物のガスバリア層/接着剤層/ポリアミドフィルム(厚さ15μm)/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム層(厚さ60μm)
とした。
・チャックテープ:実施例においてはフラップの内側、比較例においては包装袋胴部の内側にシールして装着した。チャックテープの一部には、弱嵌合部を設けてある。
【0137】
各層の材質は下記のとおりである。
・ポリエチレンテレフタレートフィルム/無機化合物のガスバリア層:ガスバリアフィルム(凸版印刷株式会社製 GL-ARH)
・ポリアミドフィルム:ユニチカ株式会社製 ONMB-RT
・無延伸ポリプロピレンフィルム:東レフィルム加工株式会社製 ZK207
・接着剤層(ドライラミネーション):主剤/硬化剤=三井化学株式会社製 A626/A50=8/1 塗布量3.5g/m2(dry)
・チャックテープ:ポリプロピレン(エチレン-プロピレン共重合体含む)。
【0138】
包装袋の形態は下記のとおりである。
図7は、本発明に係る包装袋の、実施例の構成について説明をするための、平面模式図である。
【0139】
図7に示す例を、Aタイプとする。この形状は本発明に規定する範囲内であって、寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
充填開口部は、包装袋上辺に設けてある。
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:35~45mm(3水準)
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール強度:50N/15mm
とした。
【0140】
図8は、本発明に係る包装袋の、比較例の構成について説明をするための、平面模式図
である。
【0141】
図8に示す例をBタイプとする。但し、Bタイプの形状は、本発明において規定する範囲を逸脱しており比較例とする。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップは設けていない。また充填開口部は包装袋側端部である。これらはAタイプと異なる点である。
底フィルム片道:35~45mm(3水準)
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール強度:50N/15mm
とした。
【0142】
(評価1)
まず評価1として、下記の2項目(1.自動充填機適性、2.電子レンジ調理後の自立性)の評価を行った。
評価項目、評価方法、及び評価基準を以下に述べる。
【0143】
1.自動充填機適性
評価用包装袋に「日ハム製 レンジでできるふわたま(登録商標) オムレツベーコン入り」を自動充填機を用いて具材充填を行った。
自動充填機は、東洋自動機製 TT-9CW3 を用いた。
評価基準は、n=50のサンプルにおいて、エラーなしの場合を〇評価。1つでもエラーのあった場合を×評価とした。
【0144】
2.電子レンジ調理後の自立性
フラップのチャックテープを開いて、Mサイズの生卵2個を溶いた卵液を投入、撹拌混合した。
続いて、包装袋を立たせた状態で電子レンジに入れて加熱調理を行った。
加熱条件は500W 4分30秒
電子レンジは、ターンテーブル式:ニトリ製 MM720CUKN2 GY を用いた。評価は基準は、n=10のサンプルにおいて自立性が保たれたものを〇評価、1つでも倒れたものがあった場合を×評価とした。
【0145】
初めに実施例1~実施例3、及び比較例1~比較例3を用いて、評価1(1.自動充填機適性、及び2.電子レンジ調理後の自立性)を行った。
【0146】
<実施例1>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:35mmとした。
【0147】
<実施例2>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:40mmとした。
【0148】
<実施例3>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:45mmとした。
【0149】
<比較例1>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:35mmとした。
【0150】
<比較例2>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:40mmとした。
【0151】
<比較例3>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:45mmとした。
【0152】
実施例1~実施例3、及び比較例1~比較例3を用いた、評価1についての評価結果を表1に示す。
【0153】
【0154】
表1に示す結果から明らかなように、本発明による包装袋である実施例1~実施例3においては、評価項目である自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性ともに〇評価であって、それらの両立がより安定して可能であることを示している。
【0155】
すなわち、自動充填機適性は充填用開口部の開口幅もしくは開口面積によるのであって、もう一方の電子レンジ調理後の自立性は底面の面積によるのであり、Aタイプの包装袋の形状において、両者はたがいに独立して設計可能である。
【0156】
したがって開口部の開口幅を包装袋の幅方向の長さ一杯、また底部の底テープの折り込みの長さを十分にとることが可能であることによって、自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性の両立が安定して可能になる。
【0157】
一方、本発明によらない包装袋である、比較例1~比較例3においては、自動充填機適性において、×評価になる場合があって、自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性の両立が安定していないことを示している。
【0158】
すなわち、前述のとおり、自動充填機適性は充填用開口部の加工幅もしくは開口面積によるのであって、もう一方の電子レンジ調理後の自立性は底面の面積によるのであり、Bタイプの包装袋の形状において両者はトレードオフの関係であるために、自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性の安定した両立が困難であることを示している。
【0159】
(評価2)
次に評価2として、2項目(3.通蒸時のチャック開放音、4.加熱調理後の内容物の取り出しやすさ)の評価を行った。
評価項目、評価方法、及び評価基準を以下に述べる。
【0160】
評価2は、加熱調理後の包装袋のユーザビリティーについて評価するものであって、特に内圧の上昇による水蒸気の排出が比較的穏やかに行われることを評価するものであって、自動通蒸機構の部分のチャックテープ(46)の開放が大きな破裂音を伴う急激なものになることもなく、加熱調理後の包装袋(100)の取り扱いが、安全なものであるかどうかを評価するものである。
【0161】
特に、実施例、比較例ともに、チャックテープ(46)の一部には弱嵌合部(39)を設けるが、その位置はフラップ(40)の側端部(44)のシール部(43)に接する位置から、チャックテープ(46)の中央部までの6水準を評価した。
【0162】
3.通蒸時のチャック開放音
評価用包装袋として
図6に示すAタイプの包装袋を作成し、加熱調理を行って通蒸時のチャック開放音を評価した。
包装袋を立たせた状態で電子レンジに入れて加熱調理を行った。
加熱条件は500W 4分30秒
電子レンジは、ターンテーブル式:株式会社ニトリ製 MM720CUKN2 GY を用いた。
【0163】
評価は、5人の評価員の評価に基づいて平均値を算出した。
評価基準は、自動通蒸機構が作動した際に、
開放音が小さいもの(良)を5点とし、開放音が大きい(劣)ものを1点として、5段階
評価とした。
評価点が3点以上のものを合格判定とした。
【0164】
4.加熱調理後の内容物の取り出しやすさ
評価は、5人の評価員の評価に基づいて平均値を算出した。
評価基準は、
取り出しやすい(良)を5点とし、取り出しにくい(劣)ものを1点として、5段階評価とした。
評価点が3点以上のものを合格判定とした。
【0165】
<実施例4>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、フラップ(40)の側端部(44)のシール部(43)に接する位置に設けた。
【0166】
<実施例5>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、フラップ(40)の側端部(43)から25mmの位置に設けた。
【0167】
<実施例6>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、フラップ(40)の側端部(43)から35mmの位置に設けた。
【0168】
<実施例7>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、フラップ(40)の側端部(43)から45mmの位置に設けた。
【0169】
<実施例8>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、フラップ(40)の側端部(43)から55mmの位置に設けた。
【0170】
<実施例9>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、フラップ(40)のチャックテープ(46)の中央部に設けた。
【0171】
<比較例4>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、胴部の側端部(5)のシール部(6)に接する位置に設けた。
【0172】
<比較例5>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、胴部の側端部(5)から25mmに接する位置に設けた。
【0173】
<比較例6>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、胴部の側端部(5)から35mmの位置に設けた。
【0174】
<比較例7>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、胴部の側端部(5)から45mmの位置に設けた。
【0175】
<比較例8>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、胴部の側端部(5)から55mmの位置に設けた。
【0176】
<比較例9>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
底フィルム片道:40mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に、チャックテープ(46)の弱嵌合部(39)は、胴部(30)のチャックテープ(46)の中央部に設けた。
【0177】
評価2についての評価結果を表2に示す。
【0178】
【0179】
表2に示す結果から明らかなように、「通蒸時のチャック開放音」の評価に関しては、実施例4~実施例9、と比較例4~比較例9との間で大きな差は出ていない。自動通蒸機構が作動するのは、加熱調理によって、内容物から水蒸気が発生して体積膨張が起こり、包装袋の内圧が一定以上になったときに弱嵌合部(39)が解放され、水蒸気が外に排出されるというものであるが、体積膨張は包装袋の体積中心から、三次元の放射状に起こるために、体積中心から近い部分で応力集中が起こりやすい。
【0180】
したがって弱嵌合部(39)がチャックテープ(46)の端部にある場合には、チャックテープ(46)の中央部にある場合に比べて、比較的内圧が高くなってから自動通蒸が作動することになり、弱嵌合部(39)の開放音は大きく、破裂音に近くなると考えられる。
【0181】
一方、弱嵌合部(39)が、チャックテープ(46)中央部にある場合には、弱嵌合部(39)の開放が、内圧が比較的低い段階で起こるために弱嵌合部(39)の開放音は小さく、穏やかな通蒸となると考えられる。
【0182】
これらの結果は、実施例4~実施例9、それに対する比較例4~比較例9において、包装袋の形状が異なっていても、チャックテープ(46)の位置は胴部の上部に設けられたフラップ(40)、及び胴部(30)の上部であるために、弱嵌合部(39)への応力集中の仕組みは共通しており、実施例、比較例ともに、同様の評価結果になったものと考えられる。
【0183】
もう一つの評価項目である、「加熱調理後の内容物の取り出しやすさ」については、本発明による包装袋(100)である実施例4~実施例9はすべてが合格判定となっている。これは、本発明による包装袋(100)はフラップ(40)を有して、フラップ(40)のチャックテープ(46)に、弱嵌合部(39)による自動通蒸機構が設けられていることによるものである
【0184】
すなわち、実施例においては自動通蒸機構を有するフラップ(40)が設けられ、フラップ(40)は、加熱調理後の取り出し口とは別の位置であるために、水蒸気の排出、吹き出しなどの影響を受けることなく、加熱調理後の内容物の取り出しが容易に可能であることによるものである。
【0185】
一方、本発明によらず、特にフラップ(40)を有しない比較例4~比較例9について、そのうち比較例4~比較例6においては合格判定であるものの、比較例7~比較例9においては合格水準に達しない評価であって、これは表2の中で備考欄にあるように、加熱調理後の内容物の取り出しに際して、評価者が熱いと感じる結果、取り出しにくいと評価したものである。
【0186】
これは、比較例4~比較例9においては自動通蒸機構がチャックテープ(46)に中央部に近づくにつれて、開封、内容物の取り出しに際して、自動通蒸機構の付近で作業することになるためであって、手指のやけどなど安全性に係る問題でもあり、逆に本発明による包装袋(100)の安全性を裏付ける結果となっている。
【0187】
このようにして、本発明が課題とするところの、汎用の自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの、包装袋(100)の提供が可能であることを検証することができた。