(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045583
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151251
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA06
3E013BA08
3E013BA15
3E013BB13
3E013BC14
3E013BE01
3E013BF05
3E013BF23
3E013BF32
3E013BF62
(57)【要約】
【課題】自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの、包装袋の提供を課題とする。
【解決手段】電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、底部によって包装袋は自立が可能であって、フラップにはその先端部から順に、幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、傷加工部および幅方向に水密接合部が設けてあり、水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てていることを特徴とする、包装袋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、
包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、
前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており、
胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であり、
上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封予定線が設けてあり、
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、
この底部によって包装袋は自立が可能であって、
前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、
フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており、
フラップにはその先端部から順に、
幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、
次に、熱可塑性樹脂からなるチャックテープによる幅方向の嵌合部が設けてあり、
さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、
水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てており、
チャックテープの嵌合部と、水密接合部との間には、ハーフカットまたは全貫通の傷加工が、フラップ前面フィルムとフラップ後面フィルムのどちらか一方、または両方に設けてあることを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
前記水密接合部は、相対するチャックテープの台座同士の接合、或いは一方のチャックテープの台座と相対するフラップのシーラント層との接合、或いは相対するフラップのシーラント層同士の接合のいずれかによって形成され、水密接合部の破断強度は3N/15mm~20N/15mmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記チャックテープは、その長手方向に直角な嵌合部の断面は中心線に対して上下非対称であって、フラップの内容物側からの内嵌合強度と、フラップの先端側からの外嵌合強度は、
内嵌合強度>外嵌合強度
であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記チャックテープの内嵌合強度は、包装袋の側端部のシール部の70%以上であり、外嵌合強度は20N/15mm以下であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記傷加工は、包装袋のフラップの開口全幅に対して5%~30%の範囲の長さで設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジによる加熱調理に用いることのできる包装袋に関するものである。特に、下部に底フィルムを有して自立可能な、スタンディングパウチとも呼ばれる形態の包装袋であって、加熱調理において内容物から発生する水蒸気を、外部に自動排出することが可能な自動蒸気抜き機構を備えた包装袋である。
【背景技術】
【0002】
包装材料の一種である包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単層または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代の人々の生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0003】
包装袋は、例えば液体用の容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0004】
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、さまざまな要求品質に対してきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前、及び流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。また包装袋は、内容物を取り出したり消費した後の、廃棄物を減らすという観点からも環境適応型の容器であるといえる。
【0005】
また包装袋の外側から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通や在庫管理、マーケティング情報の源泉ともなっている。
【0006】
包装袋の中には、自立性を持たせたものも商品化されており、一般にスタンディングパウチと呼ばれている。自立性を有することにより商品の展示、陳列などに利点を有するほか、使い勝手にも利点を有し、たとえば、内容物の取り出しにおいても一層の利便性が図られてきた。
【0007】
さらに加熱調理後の包装袋の開封に際して、包装袋内部に残留した水蒸気の吹き出しによるやけど防止や、開封口の開封性の容易さに加えて、開封口の形状の保持などが重要視されている。
【0008】
特許文献1には、内容物を収容するための内部空間と、ファスナーを有する第1開口部と、内部空間に内容物を入れる充填用の第2開口部を側部に有する包装袋が提案されているが、設計上自立性を確保しようとすれば、充填用の第2開口部が狭くなりがちで、自動充填機による安定した充填が困難であった。
【0009】
すなわち特許文献1に示された包装袋構成において、充填用の第2開口部が側部に設けてあるために、充填用の開口部と底フィルムの折り込み幅とはトレードオフの関係になり、電子レンジ庫内の高さ寸法と充填適性を考慮して充填間口を広げようとすると、底フィルムの折り込み幅が小さくなり自立性が失われる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、プラスチックフィルムを基材とした包装袋であって、自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、フラップおよびチャックテープ付きの、包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋であって、
包装袋は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部、後ろ側胴部、底部、フラップから構成されており、
前側胴部及び後ろ側胴部は、左右の側端部でシールされており、
胴部の上辺は、機械充填用開口部となって内容物の充填を可能とし、充填後に前側胴部と後ろ側胴部とがシールされて包装袋は密封可能であり、
上辺のシール部の下には幅方向に胴部の開封予定線が設けてあり、
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、
この底部によって包装袋は自立が可能であって、
前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられており、
フラップは、包装袋上方からフラップの高さ位置を超えて連続するフラップ後面フィルムと、包装袋下方から分岐の高さ位置を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、シーラント層同士が対向して重ね合わせられて、フラップの側端部はシールされ、フラップの先端部はシールまたは折り返しによって閉じられて形成されており、
フラップにはその先端部から順に、
幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、
次に、熱可塑性樹脂からなるチャックテープによる幅方向の嵌合部が設けてあり、
さらに、チャックテープの嵌合部より内側に、幅方向に水密接合部が設けてあり、
水密接合部は、チャックテープの嵌合部と包装袋の内容物収納空間とを隔てており、
チャックテープの嵌合部と、水密接合部との間には、ハーフカットまたは全貫通の傷加工が、フラップ前面フィルムとフラップ後面フィルムのどちらか一方、または両方に設けてあることを特徴とする、包装袋である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、
前記水密接合部は、相対するチャックテープの台座同士の接合、或いは一方のチャックテープの台座と相対するフラップのシーラント層との接合、或いは相対するフラップのシーラント層同士の接合のいずれかによって形成され、水密接合部の破断強度は3N/15mm~20N/15mmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、
前記チャックテープは、その長手方向に直角な嵌合部の断面は中心線に対して上下非対称であって、フラップの内容物側からの内嵌合強度と、フラップの先端側からの外嵌合強度は、
内嵌合強度>外嵌合強度
であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、
前記チャックテープの内嵌合強度は、包装袋の側端部のシール部の70%以上であり、外嵌合強度は20N/15mm以下であることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の包装袋である。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、
前記傷加工は、包装袋のフラップの開口全幅に対して5%~30%の範囲の長さで設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とした包装袋であって、自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、フラップおよびチャックテープ付きの、包装袋の提供が可能である。
【0018】
特にフラップにはチャックテープと水密接合部との間に、傷加工が設けてあり、これによってこの部分が加熱調理において自動蒸気抜き機構として効果的に作用する。この方式であれば、別部材を用いることなく、自動通蒸機構を包装袋に形成することができ、形成工程の簡略化、製造コスト低減の点で利点を有する。
【0019】
胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部との間には、底フィルムが拡張可能に折り込まれてシールされて、底部を形成しており、この底部によって包装袋は安定した自立が可能である。
【0020】
また、安定した自立性は本発明による包装袋を用いて、電子レンジによる加熱調理を行おうとする際には、電子レンジの庫内で自立したままの状態で加熱調理を行うことができるために、他の容器に移し替えるなどの必要がなく、利便性に優れる。
【0021】
また、前側胴部の上部には、胴部から斜め上方に突き出したフラップが設けられていることによって、例えばこの部分から、加熱調理を前にして新鮮な食材や具材を追加投入して調理することが可能になる。
【0022】
さらに、フラップにはその先端部から順に、まず幅方向にフラップの開封予定線が設けてあり、次にチャックテープによる幅方向の開閉部が設けてあり、さらに、チャックテープの嵌合部より包装袋の内側に、幅方向に水密接合部が設けてあることによって、チャックテープの嵌合部と、包装袋の内容物収納空間とを隔てることが可能である。したがって、チャックテープが内容物に触れていない状態でフラップを開封し、食材や具材を追加投入して調理することが可能である。
【0023】
また、チャックテープの嵌合部と、水密接合部との間には、ハーフカットまたは全貫通の傷加工が、フラップ前面フィルムとフラップ後面フィルムのどちらか一方、または両方に設けてあることによって、この部分が自動通蒸機構として作用する。
【0024】
自動通蒸機構が設けてあることによって、包装袋は、加熱調理に伴って発生する水蒸気を、自動的かつ穏やかに排出することが可能になり、爆発的な破袋や、水蒸気の噴出による手指のやけどなどの危険を回避することが可能である。
【0025】
特に請求項2に記載の発明によれば、水密接合部を別部材を用いることなく形成することができ、容易かつ安価に形成することができる。
【0026】
また、水密接合部の破断強度が3N/15mm~20N/15mmの範囲であることに
よって、この包装袋は、仮に落下した場合の衝撃に対する耐性と、フラップの開封の容易さを両立することが可能である。
【0027】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、内嵌合強度>外嵌合強度であるように、嵌合強度に強弱をつける手法として、チャックテープの断面形状を中心線に対して非対象とすることによって実現することが可能であり、別部材を用いるなど煩雑な製造方法を回避することが可能である。
【0028】
さらに、フラップの内容物側からの内嵌合強度と、フラップの先端側からの外嵌合強度は、内嵌合強度>外嵌合強度、であることによって、例えばフラップを容易に開封して、包装袋のフラップから調理用具材を投入した後、再びチャックテープでフラップを閉じて封止し、電子レンジによる加熱調理を行い、自動通蒸機構による水蒸気の排出を行うなどの使い方が可能になる。
【0029】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、前記チャックテープの内嵌合強度は、包装袋の側端部のシール部の70%以上であることによって、通蒸適性により優れ、また外嵌合強度は20N/15mm以下であることによって、チャックテープの開封性により優れた包装袋とすることができる。
【0030】
また特に請求項5に記載の発明によれば、傷加工は、包装袋のフラップの開口全幅に対して5%~30%の範囲の長さで設けてあることによって、自動通蒸機構を有して、かつ流通やそれに伴う取り扱いにおいての、振動や衝撃に対する耐性により優れる包装袋とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る包装袋において、フラップに設けられたチャックテープ、水密接合部及び自動蒸気抜き機構の構造の一実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る包装袋において、フラップに設けられたチャックテープ、水密接合部及び自動蒸気抜き機構の構造の他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る包装袋において、フラップに設けられたチャックテープ、水密接合部及び自動蒸気抜き機構の構造のさらに他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る包装袋において、フラップ内のチャックテープの嵌合部を、フラップ先端側から解放する様子を説明するための、部分断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る包装袋の、実施例の構成について説明をするための平面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る包装袋の、比較例の構成について説明をするための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0033】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【0034】
本発明は、シーラント層を備えるフィルムからなり、電子レンジによる内容物の加熱調理が可能な包装袋(100)である。すなわちプラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から構成される包装袋(100)であって、シーラント層同士をシールすることによって製袋されて形成されている。
【0035】
包装袋(100)は内部に内容物を収納可能な空間を有して、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とからなる胴部(30)、底部(50)、フラップ(40)から構成されている。
【0036】
前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とは、左右両側の端部(5)でシールされてシール部(6)を形成して、胴部(30)を構成しており、シール部(6)は、胴部(30)の周縁を囲って形成されている。但し
図1において、後ろ側胴部(20)は前側胴部(10)の背後にあって不可視である。
【0037】
また、胴部(30)の上辺(8)は、機械充填用開口部として使用され、内容物の自動充填を可能とし、充填後に、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とがシールされ、上辺(8)にシール部(7)を形成して包装袋(100)は密封される。
【0038】
上辺(8)は、機械充填用開口部となるが、底フィルム(14)の折り込み幅に影響されることなく、両側側端部(5)のシール部(6)を除く、上辺(8)の長さ全部を開口部とすることが可能である。これによって、包装袋(100)の自動充填機に対する充填適性の安定化、向上に効果的である。
【0039】
底部(50)は、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)との間に、底フィルム(14)が拡張可能に折り線(15)で折り込まれてシールされ、底部(50)は密封されている。
【0040】
底フィルム(14)は、内容物を充填した際にその体積と重みで底フィルム(14)が拡張し、拡張された底部(50)によって底面が形成され、包装袋(100)は自立が可能となる。
【0041】
この自立性によって、例えば電子レンジの庫内において、包装袋(100)は自立した状態のまま加熱調理を行うことが可能であり、利便性に優れる包装袋(100)とすることができる。
【0042】
またフラップ(40)は、フラップの高さ位置(3)を支点にして上下に可動であるが、
図1に示す例においては、フラップの高さ位置(3)より上に、フラップ(40)が前側胴部(10)に重ねられて示されている。
【0043】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【0044】
図1及び
図2に示す例において、上辺(8)のシール部(7)の下には、幅方向の胴部の開封予定線(13)が設けてある。
【0045】
前述のように胴部(30)の上辺(8)は、機械充填用開口部となって機能するが、内容物の充填後には、前側胴部(10)と後ろ側胴部(20)とがシールされシール部(7
)を形成して、包装袋(100)の上辺(8)は密封されている。
【0046】
加熱調理後に、調理済みの内容物を取り出そうとする際には、胴部の開封予定線(13)に沿って包装袋(100)の胴部(30)の上部を切り裂いて、開口部として、内容物を取り出すことができる。切り裂きは、たとえば鋏やナイフなどの刃物を用いて行うことができる。
【0047】
また、
図1及び
図2に示す例においては、側端部(5)のシール部(6)に胴部の開封予定線(13)に連続する切り込み(12)が設けてある例である。切り込み(12)が設けてあり、さらに胴部の開封予定線(13)が易開封機構となっている場合には、開封は手指を用いて容易に行うことが可能となる。
【0048】
また切り込み(12)及び胴部の開封予定線(13)は、必要に応じて印刷などの手段によって目視で視認できるよう表示することも可能であり、その場合には利便性は更に向上する。
【0049】
一方胴部(30)の下部において、前側胴部(10)と後ろ側胴部と(20)との間には、底フィルム(14)が拡張可能に折り線(15)で折り込まれてシールされて、底部(50)を形成している。
【0050】
底部(50)は、表側胴部(10)及び裏側胴部(20)の間に底フィルム(14)が挟み込まれ、シールされて形成されており、内容物を充填した際にその体積と重みで底フィルム(14)が拡張し、拡張された底部(50)によって底面が形成され、包装袋(100)は自立が可能である。
【0051】
包装袋(100)が自立性を有することにより、商品としての展示、陳列などに利点を有するほか、使い勝手にも利点を有し、たとえば、内容物の取り出しにおいても自立した状態での取り出しが可能であって、好都合である。
【0052】
さらに電子レンジ庫内においても自立性を保持できることにより、加熱調理に利便性が高く、加熱調理後の開封の容易さに加えて、包装袋(100)の形状の保持などにも効果的である。
【0053】
一方、胴部(30)の上部には、前側胴部(10)のフラップの高さ位置(3)から斜め上方に突き出したフラップ(40)が設けられている。
【0054】
フラップ(40)は、前側胴部(10)上方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ後面フィルムと、前側胴部(10)下方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ前面フィルムとが、各々のシーラント層同士が対向して重ね合わせられている。
【0055】
フラップ(40)の側端部(44)はシールされシール部(43)を形成しており、フラップ(40)の先端部(41)はシール、またはフィルムの折り返しによって閉じられて、フラップ(40)の密封構造が形成される。
【0056】
図2に示す例においては、前側胴部(10)下方から連続するフラップ前面フィルムは可視であるが、フラップ後面フィルムは、その背後になって不可視である。また
図2に示す例においては、フラップ(40)の先端部(41)は、シール部(42)によって閉じられている例である。
【0057】
フラップ(40)にはその先端部(41)から順に、幅方向にフラップの開封予定線(45)が設けてあり、次にチャックテープ(46)による幅方向の開閉部が設けてあり、開閉はチャックテープ(46)の雄雌の嵌合によるものであって、さらに、チャックテープ(46)より内容物側に、幅方向に水密接合部(47)が設けてある。
【0058】
本発明による包装袋(100)においては、このフラップ(40)に設けられた水密接合部(47)によって、チャックテープ(46)の嵌合部と、包装袋(100)の内容物収納空間とは隔てられている。
【0059】
水密接合部(47)は、相対するチャックテープ(46)の台座同士の接合、或いは一方のチャックテープ(46)の台座と相対するフラップ(40)のシーラント層との接合、或いは相対するフラップ(40)のシーラント層同士の接合のいずれかによって形成することができる。
【0060】
このとき、例えば水密接合部(47)の破断強度は3N/15mm~20N/15mmの範囲とすることができ、この範囲である場合には、包装袋(100)の落下耐性と、開封性を両立させることが可能である。
【0061】
また、チャックテープ(46)と水密接合部(47)との間には、ハーフカットまたは全貫通の傷加工(9)が、フラップ前面フィルムとフラップ後面フィルムのどちらか一方、または両方に設けてある。
図2に示す例においては、フラップ前面フィルムに設けられた傷加工(9)が可視である。
【0062】
チャックテープ(46)と水密接合部(47)との間に設けられた傷加工(9)は、電子レンジによる内容物の加熱調理に際して、自動蒸気抜き機構として作用する。
【0063】
包装袋(100)の内容物に対して、電子レンジによる加熱調理をする際には、加熱に伴って内容物から水蒸気が発生し、包装袋(100)が密封されている場合には、体積膨張が起こる。包装袋(100)に水蒸気が充満したのちには、包装袋(100)の内圧が上昇する。
【0064】
この時、包装袋(100)に自動蒸気抜き機構を設けておくことによって包装袋(100)の内部空間が一定の内圧に達した際に、内部からの圧力に対して相対的に脆弱な部分である傷加工(9)が裂け目となって、包装袋(100)の内部空間は外部とつながることになり、自動的な水蒸気の排出が行われることになる。
【0065】
本発明による包装袋(100)について、
図1及び
図2を用いて説明してきたが、ここでその実際の使用例について説明を加える。
【0066】
例えば、内容物を食品メーカー等による調理用調味液として、調味液が包装袋(100)に充填密封された状態の商品として流通、販売されるケースを考えてみる。加熱調理するための食材や具材は、一般消費者が調理に際して適宜追加することができるものとする。この追加する食材、具材は、例えば新鮮食材として生卵や野菜などを加えて調理することも可能である。
【0067】
すなわち、一般消費者は包装袋(100)に充填された調理用調味液を商品として購入する。本発明による包装袋(100)は、加熱調理に際して、一般消費者によるフラップ(40)からの食材、具材の追加投入を可能にするものであって、フラップ(40)はその投入を容易なものとすることができる。
【0068】
作業はまず、包装袋(100)のフラップ(40)の上部に設けられたフラップの開封予定線(45)に沿って、フラップ(40)を切り裂いて開口部とすることができる。切り裂きは、例えば鋏やナイフなどの刃物を用いて行うことができる。
【0069】
また、
図1、
図2に示す例は、側端部(44)のシール部(43)にフラップの開封予定線(45)に連続する切り込み(16)が設けてある例である。切り込み(16)が設けてあり、さらにフラップの開封予定線(45)が易開封機構となっている場合には、開封は手指を用いて容易に行うことが可能となる。またフラップの開封予定線(45)は、必要に応じて印刷などの手段によって目視で視認できるよう、表示することも可能であり利便性は更に向上する。
【0070】
易開封機構は、その方式に特段の制約を加えるものではなく、例えばフィルムへのハーフカットを施す方法や、プラスチックフィルムの分子配向性を利用する方法などによってフラップの開封予定線(45)とすることができる。これは前述の胴部の開封予定線(13)についても同様である。
【0071】
続いて、チャックテープ(46)の嵌合を開放し、さらに水密接合部(47)を開放する。この状態で外部と包装袋(100)内部がつながり、フラップ(40)経由で、加熱調理するための食材、具材の包装袋(100)への追加投入が可能になる。
【0072】
フラップ(40)から食材、具材を投入した後、再びチャックテープ(46)でフラップ(40)を閉じて封止し、電子レンジによる加熱調理を行う。加熱調理中は、傷加工(9)による自動通蒸機構が作用して自動的な水蒸気の排出が行われる。傷加工(9)による自動通蒸機構については、後段さらに詳細な説明を加える。
【0073】
このようにして、食材、具材の追加投入を経て加熱調理が完了した後、包装袋(100)の側端部(5)の切り込み(12)をきっかけとして、胴部の開封予定線(13)を切り裂いて開封し、加熱調理済みの内容物を取り出し、食器などへ移し替えるなどして食用に供することが可能である。
【0074】
本発明による包装袋(100)は、あらかじめ充填された調理用調味液などに、新鮮な食材、具材を追加で加えて電子レンジで加熱調理することによって、蒸し料理、煮込み料理を簡単に作ることができる包装袋(100)であって、一般消費者にとっての利点も多い。
【0075】
例えば、本発明による包装袋(100)は、電子レンジでの加熱調理直前に新鮮な食材、具材を投入することができるため、食材の風味や栄養価が損なわれにくい。また包装袋(100)内部に充満した水蒸気を自動的に外部に排出する、自動通蒸機構を備えていることから、加熱調理中の爆発的な破袋を防止することが可能であり、加熱調理後の取り扱いにおいては、手指のやけどの回避などの安全性が図られる利点を有する。
【0076】
さらに、本発明による包装袋(100)は、電子レンジの利点である、火を使わない加熱調理が可能であり、また調理の煩雑さをなくし、鍋や調理具、食器の後片付けの手間や時間を軽減することにも効果的である。
【0077】
このように本発明による包装袋(100)においては、胴部の開封予定線(13)を切り裂いて開封し、開口部として調理済みの内容物を取り出すことができる。この取り出しのための開口部は、フラップ(49)のチャックテープ(46)に設けた傷加工(9)による自動通蒸機構とは別に位置しており、開封時に起こりがちな水蒸気による手指のやけどなどの危険を回避することが可能である。
【0078】
また、本発明による包装袋は、水密接合部(47)によって、チャックテープ(46)の嵌合部と、包装袋(100)の内容物収納空間とは隔てられていることによって、フラップ(40)の開封前には、胴部(30)に収納された内容物が、チャックテープ(46)の嵌合部に接触することを防止することができる。
【0079】
したがって、フラップ(40)への内容物の侵入を水密接合部(47)によって防止して、調理用の具材投入のためのフラップ(40)のチャックテープ(46)の嵌合の解放及び再嵌合において、たとえば調理用調味液などあらかじめ包装袋(100)に充填されている内容物が、チャックテープ(46)の嵌合部に付着することを防止することができ、手指を汚すなどの恐れがなく好都合である。
【0080】
続いて、本発明による傷加工(9)による自動通蒸機構について、さらに詳細な説明を加える。
【0081】
食材、具材の追加投入を終え、電子レンジによって加熱調理されている内容物は、包装袋(100)内部に水蒸気を発生させ、この水蒸気によって、密封された包装袋(100)の体積が増大するとともに、包装袋(100)の内部空間を満たした後は、包装袋の内圧が上昇する。この体積膨張は、包装袋(100)の体積中心から外側に向かって、三次元の放射状に起こる。
【0082】
このとき、包装袋(100)の胴部(30)及びフラップ(40)の内圧が上昇し、一定の圧力を超えた場合には、相対的に圧力に対して脆弱な、傷加工(9)が裂け目となり、通蒸機構として作用する。すなわち包装袋(100)の内部の水蒸気は、傷加工(9)の部分から、自動的に包装袋(100)の外部に排出される。
【0083】
すなわち、この傷加工(9)の包装袋(100)の内圧の上昇による自動通蒸によって、包装袋(100)の内部空間と外部がつながることになり、自動的な水蒸気の排出が行われることになる。これは、電子レンジ庫内で行われる加熱調理において、望ましいことであり、包装袋(100)の急激な内圧上昇による、爆発的な破袋を回避することが可能である。
【0084】
また、加熱調理後の包装袋(100)の取り出し、取り扱いに際して、内容物や水蒸気の噴出や、それに伴う手指のやけどなどを防止することにも効果的である。すなわち傷加工(9)による自動通蒸機構が働くことによって、内圧の上昇による水蒸気の排出を比較的穏やかに行うことが可能である。
【0085】
すなわち、このチャックテープ(46)に設けた傷加工(9)の開放が比較的穏やかに行われる場合には、加熱調理後の包装袋(100)の取り扱い、及び内容物の取り出し作業において、より安全な機構とすることができる。
【0086】
また、
図1及び
図2に示す包装袋(100)の例において示すように、傷加工(9)は、フラップ(40)の内側に設けられており、一方内容物は胴部(30)下方に充填、追加投入されており、したがってこの位置であれば、自動通蒸において加熱された内容物の噴出を起こすこともなく、また発生した水蒸気の排出を妨げることもなく、好都合である。
【0087】
フラップ(40)に設ける傷加工(9)の形成方法については、自動通蒸機構の機能を果たすことができる範囲において、特段の制約を設けるものではなく、例えばレーザーや刃物を用いてハーフカットまたは全貫通の傷加工(9)を、フラップ前面フィルムとフラ
ップ後面フィルムのどちらか一方、または両方に設けることができる。またその形状も、直線のほか、破線で形成するのでも構わない。
【0088】
傷加工(9)は、包装袋(100)のフラップ(40)の開口全幅に対して5%~30%の範囲の長さで設けることができ、この範囲で設ける場合には、流通耐性および通蒸適性により優れた包装袋(100)とすることができる。
【0089】
図3は、本発明に係る包装袋において、フラップに設けられたチャックテープ、水密接合部及び自動蒸気抜き機構の構造の一実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【0090】
フラップ(40)は、前側胴部(10)上方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ後面フィルム(48)と、前側胴部(10)下方からフラップの高さ位置(3)を超えて連続するフラップ前面フィルム(49)とが、各々のシーラント層(1)同士が対向して、フラップ(40)の側端部(44)において重ね合わせられてシールされシール部(43)を形成して構成されている。
【0091】
前述のように、本発明においてフラップ(40)にはその先端部(41)から順に、幅方向にフラップの開封予定線(45)、チャックテープ(46)による幅方向の開閉部が設けてあり、さらに、チャックテープ(46)の嵌合部(2)より内側すなわち内容物側に、幅方向に水密接合部(47)が設けてある。ちなみに、ここでいう幅方向は、
図3において手前から、奥側に行く方向である。
【0092】
図3はこれらのうち、フラップ(40)内のチャックテープ(46)、及び水密接合部(47)を示している。水密接合部(47)は、チャックテープ(46)の嵌合部(2)と包装袋(100)の内容物収納空間とを隔てている。
【0093】
この水密接合部(47)によって、外力による内容物側からの圧力が生じる場合でも、内容物の液体がチャックテープ(46)の嵌合部(2)側に漏れ出ることを防止することが可能である。
【0094】
また内容物側からの圧力が生じない場合でも、チャックテープ(46)の嵌合部(2)に内容物が接触することを防止することが可能である。
【0095】
また、水密接合部の破断強度が3N/15mm~20N/15mmの範囲であることによって、この包装袋は、落下耐性と開封性を両立することが可能である。
【0096】
図3に示す例においては、水密接合部(47)は、一方のチャックテープ(46)の台座と、相対するフラップ後面フィルム(48)側のシーラント層(1)との接合によって形成されている例である。
【0097】
この水密接合部(47)の接合方法には、特に限定を加えるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールによって行うことができる。
【0098】
また、本発明による包装袋(100)には、チャックテープ(46)の嵌合部(2)と水密接合部との間に、傷加工(9)が設けられており、
図3に示す例においては、フラップ後面フィルム(48)にシーラント層(1)を除くハーフカットで設けられている例である。
【0099】
図4は、本発明に係る包装袋において、フラップに設けられたチャックテープ、水密接合部及び自動蒸気抜き機構の構造の他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【0100】
図4に示す例においては、水密接合部(47)は、フラップ(40)のフラップ後面フィルム(48)と、フラップ前面フィルム(49)との相対するシーラント層(1)同士の接合によって形成されている例である。
【0101】
この水密接合部(47)によって、外力による内容物側からの圧力が生じる場合でも、内容物の液体がチャックテープ(46)の嵌合部(2)側に漏れ出ることを防止することが可能であり、また内容物側からの圧力が生じない場合でも、チャックテープ(46)の嵌合部(2)に内容物が接触することを防止することが可能である。
【0102】
この水密接合部(47)の接合方法には、特に限定を加えるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールによって行うことができる。
【0103】
また、本発明による包装袋(100)には、チャックテープ(46)の嵌合部(2)と水密接合部との間に、傷加工(9)が設けられており、
図4に示す例においては、フラップ後面フィルム(48)及びフラップ前面フィルム(49)とにハーフカットで設けられている例である。
【0104】
図5は、本発明に係る包装袋において、フラップに設けられたチャックテープ、水密接合部及び自動蒸気抜き機構の構造のさらに他の実施態様について説明するための部分断面模式図である。
【0105】
図5に示す例においては、水密接合部(47)は相対するチャックテープ(46)の台座同士の接合によって形成されている例である。
【0106】
この水密接合部(47)によって、外力による内容物側からの圧力が生じる場合でも、内容物の液体がチャックテープ(46)の嵌合部(2)側に漏れ出ることを防止することが可能であり、また内容物側からの圧力が生じない場合でも、チャックテープ(46)の嵌合部(2)に内容物が接触することを防止することが可能である。
【0107】
この水密接合部(47)の接合方法には、特に限定を加えるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂であれば、ヒートシールによって行うことができる。
【0108】
また、本発明による包装袋(100)には、チャックテープ(46)の嵌合部(2)と水密接合部との間に、傷加工(9)が設けられており、
図5に示す例においては、フラップ後面フィルム(48)およびフラップ前面フィルム(49)とにチャックテープ(46)の台座を含んで全貫通で設けられている例である。
【0109】
図6は、本発明に係る包装袋において、フラップ内のチャックテープの嵌合部を、フラップ先端側から解放する様子を説明するための、部分断面模式図である。
【0110】
図6に示す例においては、フラップに設けたチャックテープの嵌合部をフラップ先端側から解放するために、フラップ前面フィルム(49)を図中矢印(B)方向に、フラップ後面フィルム(48)を図中矢印(C)の方向に引っ張って、嵌合部(2)を解放しようとする場合の様子である。
【0111】
このチャックテープ(46)の上方からの開放の強度は、外嵌合強度であって、フラップ(40)の開封性に直接関係する数値である。反対にチャックテープ(46)の下方からの開放の強度は、内嵌合強度であって、包装袋(100)の通蒸適性にも関係する数値である。
【0112】
本発明において使用するチャックテープ(46)は、その長手方向に直角な嵌合部(2)の断面は上下非対称であって、
図3~
図5に示すように、中心線(A)に対して上下非対称の嵌合形態であるがゆえに、嵌合部(2)の中心線(A)より上半分の部分では、嵌合部(2)は比較的外れやすい角度で雄雌が嵌合している。
図6に示すように、中心線(A)より上の嵌合部(2)では、嵌合の引っ掛かりが外れやすいことが見て取れる。
【0113】
一方、嵌合部(2)の中心線(A)より下半分では嵌合部(2)は比較的外れにくい角度で雄雌が嵌合している。したがって嵌合を解放しようとすれば、雄雌が互いに食い込んで引っかかる構造となっている。
【0114】
すなわち、嵌合部(2)の中心線(A)より上半分の部分では、チャックテープ(46)の雄雌の関係が、嵌合を解放しようとする矢印(B)方向,および矢印(C)方向の力に対して、外れやすい角度で嵌合している。
【0115】
これはフラップ(40)をその先端側から開封しようとする場合に効果的である。これは前述の使用例において、調理するための食材、具材などを加熱調理前に追加投入する際に、フラップ(40)に開口部を作るための作業を容易にすることに効果的である。
【0116】
これに対して、嵌合部(2)の中心線(A)より下半分では、チャックテープ(46)の雄雌の関係が、嵌合を解放しようとする力に対して外れにくい角度で嵌合していることによって、中心線(A)より上半分の部分と下半分の部分とで差が出ることになる。これは、包装袋内側から力がかかる場合に、包装袋(100)の密封性を保つことに効果的である。
【0117】
したがって、自動通蒸機構は、包装袋(100)の内圧が、加熱調理による水蒸気の発生によって一定の値に達したときに、フラップ(40)に設けた相対的に脆弱な、傷加工(9)の裂け目が形成されて作動する。
【0118】
すなわち、傷加工(9)は、圧力に対して脆弱であるため、この部分が裂け目となって最初に包装袋(100)の内部と外部をつなぐ部分となり、自動通蒸機構として有効に機能する。一旦通蒸したのちには、包装袋(100)内部の内圧は急激に下降し、破袋に至る危険を回避することができる。
【0119】
また、チャックテープ(46)が、中心線(A)に対して非対称であることによって、フラップ(40)の内容物側からの内嵌合強度と、フラップの開封予定線(45)側からの外嵌合強度を比較すれば、
内嵌合強度>外嵌合強度
とすることができる。
【0120】
言い換えれば、この関係であるとき、包装袋(100)のフラップ(40)部分では、フラップ(40)の開封において、フラップの開封予定線(45)側からのチャックテープ(46)の解放、すなわち開封は手指などを用いて比較的容易に行うことが可能である。
【0121】
逆に内容物側からのチャックテープ(46)の解放は比較的抵抗が大きいものとなり、調理用具材を追加投入して加熱調理する際には、内圧が上昇した場合の自動通蒸機構作動前の開口を回避することが可能となり、また落下耐性など包装袋内側からの内圧の負荷に対する耐性の点においても、好都合なものとなっている。
【0122】
また、我々は本発明による包装袋(100)を鋭意検討する過程において、内嵌合強度および外嵌合強度について、具体的に下記の数値を見出した。
【0123】
嵌合強度は、試験環境23℃、引っ張り速度300mm/分の条件で、内嵌合強度は、包装袋(100)の側端部(5)のシール強度の70%以上にすることができる。また外嵌合強度は20N/ 15mm以下とすることができる。前述のように、両者がこの範囲であるとき、より良い流通耐性と、より良い開封性とを兼ね備えた、包装袋の実現が可能である。
【0124】
このようにして、プラスチックフィルムを基材とした包装袋(100)において、自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの包装袋(100)の提供が可能である。
【0125】
ここで、本発明による包装袋(100)を構成する各要素の材料に関して説明を加える。
【0126】
本発明による包装袋(100)は、シーラント層を備えるフィルムからなる。すなわち、基材としてプラスチックフィルムを用い、シーラント層を有する積層体からなるものである。そのほか積層体には、例えば内容物の保存性の向上などを目的としたガスバリア層など必要な機能を有する層を含むことができる。積層は、公知のラミネート方法を用いて行うことができる。
【0127】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、包装袋(100)の用途に応じて適宜選択される。
【0128】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0129】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装袋(100)に対する要求品質に応じて適宜設計することができる
【0130】
また、たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、包装袋(100)を構成する積層体中に、着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層体中にガスバリア層を設けることができる。たとえば、プラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなる、ガスバリアフィルムを用いることができる。
【0131】
またアルミニウムなどの金属箔や、金属蒸着膜もガスバリア層として有効ではあるが、
電子レンジでの加熱調理には、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。
【0132】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0133】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、ウエットコーティング法による層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、ウエットコーティング層を順次設ける。
【0134】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いて塗膜形成するほか、一般に知られている他のコーティング方法を用いて塗膜形成することができる。
【0135】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0136】
この真空蒸着法による無機化合物層の上に、更にウエットコーティング法による層を形成することができ、その方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0137】
無機化合物層は真空蒸着法による層のみでもガスバリア性を有するが、ウエットコーティング法による無機化合物層を、真空蒸着法による無機化合物層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0138】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とウエットーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはウエットコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0139】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0140】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるために、内容物を包装袋の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。また、包装袋(100)に印刷層を設ける場合には、一部を印刷層を設けない部分としておくことによって、この部分を窓とすることも可能で
ある。
【0141】
シーラント層(1)は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧して例えばヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(100)に製袋することを可能にする。
【0142】
シーラント層(1)の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を使用することができる。
【0143】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0144】
シーラント層(1)の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0145】
また本発明において、フラップ(40)には幅方向に伸びる開閉部としてチャックテープ(46)を設けてあるが、チャックテープ(46)の材質には、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合耐樹脂などを用いることが可能である。
【0146】
これらの樹脂を用いる場合には、ヒートシールなどによって、チャックテープ(46)の台座同士、あるいは相対するフラップ(40)のシーラント層(1)と接合することが可能であり、水密接合部(47)を形成することができる。
【0147】
あるいは、水密接合部(47)は、フラップ(40)のシーラント層同士の接合によっても形成が可能である。これらの方法で水密接合部(47)を形成する場合には、別部材を必要とせず、コスト面においても有利である。
【0148】
また、必要に応じて、商品としてのイメージアップ、内容物についての必要な情報表示、また意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、包装袋外側から見える層に印刷層を設けることができる。印刷層は包装袋の最外層に設けるのでも構わない。
【0149】
また印刷層は、包装袋の一部に設けるのでもよく、また包装袋の全面にわたって設けるのでもよい。あるいは、印刷層を用いずに表示部を設ける方法としては、たとえば包装袋の表面に印刷されたシールを貼着することも可能である。
【0150】
ここで、印刷方法、及び印刷インキの選択には、特に制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品用包装袋としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよい。
【0151】
たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から選択
して用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの印刷適性、及び絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0152】
このようにして、本発明においてその課題とするところの、プラスチックフィルムを基材とした包装袋において、自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、チャックテープ付きの包装袋(100)の提供が可能である。
【実施例0153】
以下本発明を、実施例及び比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0154】
評価用の包装袋を作成し内容物を充填し、評価を行った。
包装袋の材料構成は以下のとおりである。
・包装袋外側から、
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)+無機化合物のガスバリア層/接着剤層/ポリアミドフィルム(厚さ15μm)/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム層(厚さ60μm)
とした。
・チャックテープ:実施例においてはフラップの内側、比較例においては包装袋胴部の内側にシールして装着した。
【0155】
各層の材質は下記のとおりである。
・ポリエチレンテレフタレートフィルム/無機化合物のガスバリア層:ガスバリアフィルムとして凸版印刷株式会社製 GL-ARHを用いた。
・ポリアミドフィルム:ユニチカ株式会社製 ONMB-RTを用いた。
・無延伸ポリプロピレンフィルム:東レフィルム加工株式会社製 ZK207を用いた。
・接着剤層(ドライラミネーション):主剤/硬化剤=三井化学株式会社製 A626/A50=8/1とした。また、塗布量は3.5g/m2(dry) とした。
・チャックテープ:ポリプロピレン(エチレン-プロピレン共重合体含む)製を用いた。
【0156】
包装袋の形態は下記のとおりである。
図7は、本発明に係る包装袋の、実施例の構成について説明をするための、平面模式図である。
【0157】
図7に示す例を、Aタイプとする。この形状は本発明に規定する範囲内であって、寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
充填開口部は、包装袋上辺に設けてある。
フラップ片道:20mm
底フィルム片道:35~45mm(3水準)
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール強度:50N/15mm
とした。
チャックテープ(46)の嵌合部と、水密接合部(47)との間には、自動通蒸機構として傷加工(9)が設けてある。
【0158】
図8は、本発明に係る包装袋の、比較例の構成について説明をするための、平面模式図である。
【0159】
図8に示す例をBタイプとする。但し、Bタイプの形状は、本発明において規定する範囲を逸脱しており比較例とする。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
フラップは設けていない。また充填開口部は包装袋の側端部である。これらはAタイプと異なる点である。
底フィルム片道:35~45mm(3水準)
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール強度:50N/15mm
とした。
特にBタイプにおいては、チャックテープ(46)の嵌合部の一部に、自動通蒸機構として、弱嵌合部(39)が設けてある。これもAタイプとは異なる点である。
【0160】
(評価1)
まず評価1として、2項目(1.自動充填機適性、2.電子レンジ調理後の自立性)の評価を行った。
評価項目、評価方法、及び評価基準は以下のとおりである。
【0161】
1.自動充填機適性
評価用包装袋に「日本ハム株式会社製 レンジでできるふわたま(登録商標) オムレツベーコン入り」を使用。自動充填機を用いて内容物充填を行った。
自動充填機は、東洋自動機製 TT-9CW3 である。
【0162】
評価基準は、n=50のサンプルにおいて、エラーなしの場合を〇評価。1つでもエラーのあった場合を×評価とした。
【0163】
2.電子レンジ調理後の自立性
フラップのチャックテープを開封して、Mサイズの生卵2個を溶いた卵液をフラップから投入して、撹拌混合した。
続いて、包装袋を自立させた状態で電子レンジ庫内に入れて加熱調理を行った。
加熱条件は、500W 4分30秒 とした。
電子レンジは、ターンテーブル式:株式会社ニトリ製 MM720CUKN2 GY を用いた。
【0164】
評価は基準は、n=10のサンプルにおいて自立性が保たれたものを〇評価、1つでも倒れたものがあった場合を×評価とした。
【0165】
初めに実施例1~実施例3、及び比較例1~比較例3を用いて、評価1(1.自動充填機適性、及び2.電子レンジ調理後の自立性)を行った。
【0166】
<実施例1>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:35mmとした。
【0167】
<実施例2>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:40mmとした。
【0168】
<実施例3>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:45mmとした。
【0169】
<比較例1>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:35mmとした。
【0170】
<比較例2>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:40mmとした。
【0171】
<比較例3>
図8に示すBタイプの形状の包装袋を作成した。
寸法等については以下のとおりである。
天地:170mm
左右:170mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
特に底フィルム片道:45mmとした。
【0172】
実施例1~実施例3、及び比較例1~比較例3を用いた、評価1についての評価結果を表1に示す。
【0173】
【0174】
表1に示す結果から明らかなように、本発明による包装袋(100)である実施例1~実施例3においては、評価項目である自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性ともに〇評価であって、それらの両立がより安定して可能であることを示している。
【0175】
すなわち、自動充填機適性は充填用開口部の開口幅もしくは開口面積によるのであって、もう一方の電子レンジ調理後の自立性は底面の面積によるのであり、Aタイプの包装袋の形状において、両者はたがいに独立して設計可能である。
【0176】
したがって開口部の開口幅を包装袋の幅方向の長さ一杯、また底部の底テープの折り込みの長さを十分にとることが可能であることによって、自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性の両立が安定して可能になる。
【0177】
一方、本発明によらない包装袋である、比較例1~比較例3においては、自動充填機適性において、×評価になる場合があって、自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性の両立が安定していないことを示している。
【0178】
すなわち、前述のとおり、自動充填機適性は充填用開口部の加工幅もしくは開口面積によるのであって、もう一方の電子レンジ調理後の自立性は底面の面積によるのであり、Bタイプの包装袋の形状において両者はトレードオフの関係であるために、自動充填機適性、電子レンジ調理後の自立性の安定した両立が困難であることを示している。
【0179】
(評価2)
次に評価2として、水密接合部の強度と、(3.包装袋の落下耐性、4.水密接合部の開封性)の関係について評価した。
水密接合部の強度は、1N/15mm~25N/15mmの範囲で6水準のサンプルを作成した。
評価項目、評価方法、及び評価基準は以下のとおりである。
【0180】
評価2は、加熱調理後の包装袋のユーザビリティーについて評価するものであって、フラップの開封性と、落下耐性の両立を可能にするための最適の水密接合部の強度を評価しようとするものである。
【0181】
3.包装袋の落下耐性:120cmの高さから、自動充填機によって内容物が充填された状態の包装袋を10回繰り返し落下させて、水密接合部の破損の有無を確認した。
評価基準は、破損が見られないものを〇評価とした。破損が見られたものを×評価とした。
【0182】
4.水密接合部の開封性:水密接合部を手指を用いて開封する際の開けやすさを評価した。評価点は、5人の評価員の評価に基づいて平均値を算出した。
【0183】
評価基準は、開封した際に、
開けやすいと感じたものを5点とし、開けにくいと感じたものを1点として、5段階評価とした。
評価点が3点以上のものを合格判定とした。
【0184】
<実施例4>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に水密接合部の破断強度を、25N/15mmとした。
【0185】
<実施例5>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に水密接合部の破断強度を、20N/15mmとした。
【0186】
<実施例6>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に水密接合部の破断強度を、15N/15mmとした。
【0187】
<実施例7>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に水密接合部の破断強度を、5N/15mmとした。
【0188】
<実施例8>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に水密接合部の破断強度を、3N/15mmとした。
【0189】
<実施例9>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に水密接合部の破断強度を、1N/15mmとした。
【0190】
実施例4~実施例9を用いて評価した結果を表2に示す。
【0191】
【0192】
表2に示す結果から、本発明によるAタイプの形状の包装袋においては、水密接合部(47)の破断強度を、3N/15mm以上とした場合には、落下耐性試験に合格する包装袋とすることができ、水密接合部(47)の破断強度を、20N/15mm以下とした場合に、水密接合部の開封性を合格判定とすることが可能である。
【0193】
したがって水密接合部(47)の破断強度が、3N/15mm~20N/15mmの範囲であれば、落下耐性と水密接合部の開封性を両立させることができ、より丈夫で使い勝手の良い包装袋(100)とすることが可能である。
【0194】
(評価3)
次に評価3として、チャックテープ外嵌合強度と(5.チャックテープの開封性)について評価した。
チャックテープ外嵌合強度は、5N/15mm~30N/15mmの範囲で6水準のサンプルを作成した。
評価項目、評価方法、及び評価基準は以下のとおりである。
【0195】
評価3は、加熱調理後の包装袋のユーザビリティーについて評価するものであって、フラップの開封性を損なうことのない、チャックテープ外嵌合強度の最適の強度を評価しようとするものである。
【0196】
5.チャックテープの開封性: チャックテープを手指を用いて開封する際の開けやすさを評価した。評価点は、5人の評価員の評価に基づいて平均値を算出した。
【0197】
評価基準は、開封した際に、
開けやすいと感じたものを5点とし、開けにくいと感じたものを1点として、5段階評価
とした。
評価点が3点以上のものを合格判定とした。
【0198】
<実施例10>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特にチャックテープの外嵌合強度を5N/15mmとした。
【0199】
<実施例11>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特にチャックテープの外嵌合強度を10N/15mmとした。
【0200】
<実施例12>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特にチャックテープの外嵌合強度を15N/15mmとした。
【0201】
<実施例13>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特にチャックテープの外嵌合強度を20N/15mmとした。
【0202】
<実施例14>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特にチャックテープの外嵌合強度を25N/15mmとした。
【0203】
<実施例15>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特にチャックテープの外嵌合強度を30N/15mmとした。
【0204】
評価結果を表3に示す。
【0205】
【0206】
表3に示す結果から、本発明によるAタイプの形状の包装袋においては、チャックテープ(46)の外嵌合強度を20N/15mm以下とした場合に、包装袋の開封性において評価点が3.0以上の、合格判定が得られた。したがって、チャックテープ(46)の外嵌合強度をこの範囲とすることによって、より使い勝手の良い包装袋(100)とすることが可能である。
【0207】
(評価4)
次に評価4として、傷加工の長さと(6.包装袋の流通耐性)について評価した。
傷加工の長さは、包装袋上辺の開口幅(150mm)に対する、長さの比を5%~50%の範囲で6水準のサンプルを作成した。
評価項目、評価方法、及び評価基準は以下のとおりである。
【0208】
評価4は、包装袋(100)の輸送適性について評価するものであって、流通耐性を損ねることのない最適範囲を評価しようとするものである。
【0209】
6.流通耐性:JIS Z 0232のレベル1振動試験での傷加工部の破損数を確認した。試料は自動充填機によって内容物が充填された状態の包装袋であって、10袋入りの段ボールケースを5ケース用いた。傷加工部の破損が見られた試料の数をカウントした。
評価基準は、破損の無いものを合格判定とした。
【0210】
<実施例16>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を5%(7.5mm)とした。
【0211】
<実施例17>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を10%(15mm)とした
【0212】
<実施例18>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を20%(30mm)とした
【0213】
<実施例19>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を30%(45mm)とした
【0214】
<実施例20>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を40%(60mm)とした
【0215】
<実施例21>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を50%(75mm)とした
【0216】
評価結果を表4に示す。
【0217】
【0218】
表4に示す結果において、本発明によるAタイプの形状の包装袋においては、傷加工長さの開口幅150mmに対して、30%(45mm)以下の場合に、JIS Z 0232のレベル1振動試験での傷加工部の破損数がゼロという評価が得られた、すなわち、この範囲であることによって、流通耐性においてより好適な包装袋とすることが可能である。
【0219】
(評価5)
次に評価5として、(7.通蒸適性)を、評価した。
評価4で最適であるとした、傷加工(9)の長さを5%~30%の範囲とし、サイドシール強度に対するチャックテープ内嵌合強度の割合と、通蒸適性の関係についてその最適範囲について評価を行ったものである。
評価項目、評価方法、及び評価基準は以下のとおりである。
【0220】
7.通蒸適性:
フラップ(40)のチャックテープ(46)を開いて、Mサイズの生卵2個を溶いた卵液を投入、撹拌混合した。
続いて、包装袋(100)を自立させた状態で電子レンジ庫内に入れて加熱調理を行った。
加熱条件は500W 4分30秒とした。
電子レンジは、ターンテーブル式:株式会社ニトリ製 MM720CUKN2 GY を用いた。
【0221】
評価5は、包装袋(100)の通蒸適性について評価するものであって、通蒸適性を損ねることのない傷加工長さ(%、mm)と、5.サイドシール強度に対するチャックテープ内嵌合強度の割合(%)の最適範囲を評価しようとするものである。
【0222】
サイドシール強度(50N/ 15mm)に対するチャックテープ内嵌合強度の割合(%)を5%~120%の間で13水準取って、評価した。
評価基準は、傷加工(9)からの通蒸であったものを〇判定、傷加工(9)以外からの通蒸であったものを×判定とした。
【0223】
<実施例22>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を5%(7.5mm)とした。
【0224】
<実施例23>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を10%(15mm)とした。
【0225】
<実施例24>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を20%(30mm)とした。
【0226】
<実施例25>
図7に示すAタイプの形状の包装袋を作成した。
天地:170mm
左右:170mm
フラップ片道:20mm
各シール幅:10mm
側端部(5)のシール部(6)のシール強度:50N/15mm
とした。
底フィルム片道:40mmとした。
特に傷加工長さの開口幅に対する比率を30%(45mm)とした。
【0227】
評価結果を表5に示す。
【0228】
【0229】
表5に示す結果から、本発明によるAタイプの形状の包装袋(100)においては、表4に示す流通耐性を考慮すると、サイドシール強度(50N/15mm)に対するチャックテープ内嵌合強度の割合は、70%以上であることが、通蒸適性においてより好適であることが示されている。すなわち、流通耐性と通蒸適性とを兼ね備えた、包装袋(100)の実現が可能である。
【0230】
このようにして、本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とした包装袋であって
、自動充填機に対応した機械充填適性を有しており、自立性を有しており、かつ自動蒸気抜き機構を備えて電子レンジによる加熱調理が可能な、フラップおよびチャックテープ付きの、包装袋の提供が可能であることを検証することができた。