(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045585
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】紙箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20220314BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20220314BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B65D5/52 F
B65D5/44 H
B65D5/54 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151253
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古澤 和夫
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060AB16
3E060BA01
3E060BB01
3E060BC04
3E060CB02
3E060CB16
3E060CB19
3E060CD12
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE12
3E060CE14
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE30
3E060CF05
3E060DA04
3E060DA11
3E060DA22
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】側壁の一部を利用して表示板を形成する紙箱において、シンプルな形状の表示板を、容易にしかも確実に組み立てることができる紙箱を提案する。
【解決手段】底面板9、天面板5、正面板2、背面板12、左右側面板7、8を有する直方体形状の紙箱1であって、天面開封ミシン目線15に沿って天面板を切り取ることによって開封することが可能であり、正面板には、左右の切込線17、18と表示板谷折罫線22とによって逆台形形状の表示板16が形成されており、左右の切込線から左右外側に向かって設けたスリット23に、表示板の上部を係止させることによって表示板(表)を固定させることができ、さらにスリットの上部にスリット折罫線24を設けたことにより、表示板の係止を容易ならしめたことを特徴とする紙箱である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板、天面板、正面板、背面板、左右側面板を有する直方体形状の紙箱であって、
開封に当たっては、天面開封ミシン目線に沿って天面板を切り取ることによって開封することが可能であり、
正面板には、左右の切込線と表示板谷折罫線とによって逆台形形状の表示板が形成されており、水平な表示板山折罫線に沿って表示板を2つ折りし、表示板谷折罫線を谷折りすることにより表示板の上部である表示板(表)を表示部として機能せしめることができ、
前記左右の切込線から左右外側に向かって設けたスリットに、前記表示板の上部を係止させることによって表示板(表)を固定させることができ、さらに前記スリットの上部にスリット折罫線を設けたことにより、表示板の係止を容易ならしめたことを特徴とする紙箱。
【請求項2】
背面板、底面板、正面板、天面板、背面糊代を、この順序に、それぞれ折罫線を介して連設してなる直方体形状の紙箱であって、
底面板から折罫線を介して連設された右下側面板と左下側面板を有し、
天面板から折罫線を介して連設された右上側面板と左上側面板を有し、
背面板と背面糊代を接着し、右下側面板と右上側面板を接着し、左下側面板と左上側面板を接着することにより、直方体形状が形成され、
開封に当たっては、天面開封ミシン目線に沿って天面板を切り取ることによって開封することが可能であり、
正面板には、左右の切込線と表示板谷折罫線とによって逆台形形状の表示板が形成されており、水平な表示板山折罫線に沿って表示板を2つ折りし、表示板谷折罫線を谷折りすることにより表示板の上部である表示板(表)を表示部として機能せしめることができ、
前記左右の切込線から左右外側に向かって設けたスリットに、前記表示板の上部を係止させることによって表示板(表)を固定させることができ、さらに前記スリットの上部にスリット折罫線を設けたことにより、表示板の係止を容易ならしめたことを特徴とする紙箱。
【請求項3】
前記スリットは、前記表示板谷折罫線より高い位置に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙箱。
【請求項4】
前記スリットの下部に、スリット下折罫線を設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙箱。
【請求項5】
天面板の4隅に、天面コーナー補強板を設けたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紙箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙箱に関し、特に商品の外箱として使用され、箱の一部を切り折りすることにより、内容商品の表示板を現出する機能を有する紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各種食品類等を収納する外箱を、店内において販売用のディスプレイを兼ねた箱として利用する試みが種々行われている。特許文献1に記載されたディスプレイ兼用カートンは、商品を収納し、密封時には商品を保管・搬送するために用いられ、開封後は商品を展示するために用いられるディスプレイ兼用カートンである。このカートンは、一つの側壁に切込線を刻設して、下端部が第1の横折線を介して側壁の下部に連設された後板片と、後板片の上端部に第2の横折線を介して連設された前板片とを有し、第1と第2の横折線を折り曲げることにより、前板片の表面に表示された情報を前方斜め上方から視認可能となるように傾斜した状態に保持するようにしたカートンである。
【0003】
特許文献2に記載された紙箱は、箱の一方の側板の中央上部の両側に切込ミシン線を設け、底面に折曲線を設けてU字状折曲片を形成すると共に折曲片の上部両側に水平切込を穿設しかつ下部中央にU字状切込を穿設することにより、プライスカードを形成した紙箱である。
【0004】
特許文献1に記載されたディスプレイ兼用カートンも、特許文献2に記載された紙箱もいずれも側板の一部を利用して表示部を構成したものであるが、いずれも表示部の形状が複雑でシンプルさに欠ける。これは、表示部を所定の角度に保持するために左右の側壁に設けた切込みに表示部を挿入する必要から、形状が限定されるためであり、そのため汎用性に欠けるものとなったのである。
【0005】
また、表示部の展開、固定に手間とコツが必要であり、さらに劣化に弱く保持性が低いため、店頭において誤って毟り取られることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4175713号公報
【特許文献2】実公昭60-30173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、側壁の一部を利用して表示板を形成する紙箱において、シンプルな形状の表示板を、容易にしかも確実に組み立てることができる紙箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、底面板、天面板、正面板、背面板、左右側面板を有する直方体形状の紙箱であって、開封に当たっては、天面開封ミシン目線に沿って天面板を切り取ることによって開封することが可能であり、正面板には、左右の切込線と表示板谷折罫線とによって逆台形形状の表示板が形成されており、水平な表示板山折罫線に沿って表示板を2つ折りし、表示板谷折罫線を谷折りすることにより表示板の上部である表示板(表)を表示部として機能せしめることができ、前記左右の切込線から左右外側に向かって設けたスリットに、前記表示板の上部を係止させる
ことによって表示板(表)を固定させることができ、さらに前記スリットの上部にスリット折罫線を設けたことにより、表示板の係止を容易ならしめたことを特徴とする紙箱である。
【0009】
本発明に係る紙箱は、表示板を逆台形形状の単純な形状とし、その固定方法についても表示板の上部をスリットに係止させるだけの簡単な操作で可能としたことにより、汎用性、確実性が高まった。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、背面板、底面板、正面板、天面板、背面糊代を、この順序に、それぞれ折罫線を介して連設してなる直方体形状の紙箱であって、底面板から折罫線を介して連設された右下側面板と左下側面板を有し、天面板から折罫線を介して連設された右上側面板と左上側面板を有し、背面板と背面糊代を接着し、右下側面板と右上側面板を接着し、左下側面板と左上側面板を接着することにより、直方体形状が形成され、開封に当たっては、天面開封ミシン目線に沿って天面板を切り取ることによって開封することが可能であり、正面板には、左右の切込線と表示板谷折罫線とによって逆台形形状の表示板が形成されており、水平な表示板山折罫線に沿って表示板を2つ折りし、表示板谷折罫線を谷折りすることにより表示板の上部である表示板(表)を表示部として機能せしめることができ、前記左右の切込線から左右外側に向かって設けたスリットに、前記表示板の上部を係止させることによって表示板(表)を固定させることができ、さらに前記スリットの上部にスリット折罫線を設けたことにより、表示板の係止を容易ならしめたことを特徴とする紙箱である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記スリットを、前記表示板谷折罫線より高い位置に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の紙箱である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記スリットの下部に、スリット下折罫線を設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙箱である。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、天面板の4隅に、天面コーナー補強板を設けたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紙箱である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る紙箱は、正面板に、左右の切込線と表示板谷折罫線とによって逆台形形状の表示板を形成し、水平な表示板山折罫線に沿って表示板を2つ折りし、表示板谷折罫線を谷折りすることにより表示板の上部である表示板(表)を表示部として機能せしめることができる。
【0015】
表示板の固定方法としては、左右の切込線から左右外側に向かって設けたスリットに、前記表示板の上部を係止させるという極めて簡単な操作によって表示板(表)を固定させることができ、さらに前記スリットの上部にスリット折罫線を設けたことにより、表示板の係止が従来の差込み操作ではなく、上から下に向かって下すだけのワンアクションで可能となり、表示板の組み立てが極めて容易となった。
【0016】
請求項3に記載の発明のように、前記スリットを、前記表示板谷折罫線より高い位置に設けた場合には、表示板が前傾して設置されるため、視認性が向上する。
【0017】
表示板の形状が逆台形形状というシンプルな形状であり、従来あった差し込み孔を必要としない固定方法であるため、毟り取られるリスクが少ない。
【0018】
天面を天面開封ミシン目線によってほぼ全面に亘って開封することができるため、紙箱
を売り場において商品を展示する展示台としてそのまま使用することができる。さらに請求項5に記載の発明のように、天面板の4隅に、天面コーナー補強板を設けた場合には、天面を除去した場合の箱の剛性が高まる。
【0019】
また請求項4に記載の発明のように、スリットの下部に、スリット下折罫線を設けた場合には、表示板の組み立て操作がさらに容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明に係る紙箱の一実施態様を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の状態から天面板を除去して開封した状態を示した斜視説明図である。
【
図4】
図4は、
図3の状態から表示板山折罫線と表示板谷折罫線を折り、表示板を組み立てた状態を示した斜視説明図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した紙箱のブランクシートを示した平面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示した紙箱のブランクシートを示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明に係る紙箱について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る紙箱1の一実施態様を示した斜視図である。
図6は、
図1に示した紙箱のブランクシート(BL)を示した平面図である。
図2は、本発明に係る紙箱の他の実施態様を示した斜視図である。
図7は、
図2に示した紙箱のブランクシートを示した平面図である。
【0022】
本発明に係る紙箱1は、
図1に示した例では、底面板9、天面板5、正面板2、背面板12、右側面板7、左側面板8を有する直方体形状の紙箱である。この例では、背面板12、底面板9、正面板2、天面板5、背面糊代6が、この順序に、それぞれ折罫線f、c、k、lを介して連設されている。底面板9からは、折罫線e、dを介してそれぞれ糊代10´、11´が連設されている。天面板5からは、折罫線j、iを介して右側面板7と左側面板8が連設されている。
【0023】
背面板12と背面糊代6を接着し、右側面板7と糊代10´を接着し、左側面板8と糊代11´を接着することにより、直方体形状が形成される。
【0024】
図2に示した例では、背面板12、底面板9、正面板2、天面板5、背面糊代6を、この順序に、それぞれ折罫線f、c、k、lを介して連設してなる直方体形状の紙箱である。底面板9からは、折罫線e、dを介して右下側面板10と左下側面板11が連設されており、天面板5からは、折罫線j、iを介して右上側面板7´と左上側面板8´が連設されている。背面板12と背面糊代6を接着し、右下側面板10と右上側面板7´を接着し、左下側面板11と左上側面板8´を接着することにより、直方体形状が形成される。
【0025】
なおこれらの例では、正面板2から、折罫線a、bを介して正面左フラップ4、正面右フラップ3が連設されており、背面板12から、折罫線g、hを介して背面左フラップ14、背面右フラップ13が連設されており、左右それぞれのフラップを左右(下)側面板に接着することにより強固な構造体とすることができる。
【0026】
図3は、
図2の状態から天面板5を除去して開封した状態を示した斜視説明図である。
図4は、
図3の状態から表示板山折罫線21と表示板谷折罫線22を折り、表示板16を組み立てた状態を示した斜視説明図である。また
図5は、表示板16の拡大図である。開封に当たっては、天面開封ミシン目線15に沿って天面板5の中央部を切り取ることによって開封することが可能である。なおこの例では、天面板5の4隅に、天面コーナー補強板25が設けられており、天面板5が除去された後の、箱の剛性を保つ働きをしている。正面板2には、右切込線17、左切込線18と表示板谷折罫線22とによって逆台形形状の表示板16が形成されている。
【0027】
天面板5を開封除去した後、左右の切込線17、18を切断して表示板16を切出した後、水平な表示板山折罫線21に沿って表示板16を2つ折りし、表示板谷折罫線22を谷折りすることにより表示板16の上部である表示板(表)19を表示部として機能せしめることができる。左右の切込線17、18から左右外側に向かって設けたスリット23に、表示板16の上部を係止させることによって表示板(表)19を固定させることができる。この時、スリット23の上部に斜めにスリット折罫線24を設けたことにより、表示板16の係止が容易になったのである。
【0028】
なお、この例では、前記スリットは、前記表示板谷折罫線より高い位置に設けられている。スリットを表示板谷折罫線より高い位置に設けることにより、表示板が前傾した状態となるため、表示板の視認性が高まる。
【0029】
図5に示したように、表示板16は、逆台形形状であり、基部の幅Bよりも、上幅Aの方が大きい。また、表示板谷折罫線22から表示板山折罫線21までの高さ、すなわち表示板(裏)の高さH2よりも、表示板16の上端である天面開封ミシン目線15から表示板山折罫線21までの高さ、すなわち表示板(表)の高さH1の方が長くなっているので、表示板谷折罫線22を谷折りし、表示板山折罫線21を山折りした時に、表示板16の上端は長さが余り、箱の内部にまで到達することができる。
【0030】
この表示板16の上端の余った部分をスリット23に係止することにより、表示板16を固定することができる。本発明においては、スリット23の上部に斜めにスリット折罫線24を設けたことで、表示板16の上端をこのスリット23に挿入するのではなく、上から下方向に押し下げるだけで係止することが可能となったのである。
【0031】
図5に示したように、スリット折罫線24は、表示板16の上端を押し下げる時に、変形し易くするために、半切れ罫線とするのが良い。またこの例では、表示板谷折罫線22も折り易くするために、半切れ罫線となっている。なお、スリット23の下部にも斜めの折罫線(スリット下折罫線26)を設けることにより、表示板16の組み立てをさらに容易なものとすることができる。
【0032】
本発明に係る紙箱を構成する材料としては、マニラボール紙、白ボール紙、コートボール紙、チップボール紙、両面カード紙、裏白ボール紙、アイボリー紙等の厚紙や、段ボールを用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・紙箱
BL・・・ブランクシート
2・・・正面板
3・・・正面右フラップ
4・・・正面左フラップ
5・・・天面板
6・・・背面糊代
7・・・右側面板
7´・・・右上側面板
8・・・左側面板
8´・・・左上側面板
9・・・底面板
10・・・右下側面板
11・・・左下側面板
10´、11´・・・糊代
12・・・背面板
13・・・背面右フラップ
14・・・背面左フラップ
15・・・天面開封ミシン目線
16・・・表示板
17・・・右切込線
18・・・左切込線
19・・・表示板(表)
20・・・表示板(裏)
21・・・表示板山折罫線
22・・・表示板谷折罫線
23・・・スリット
24・・・スリット折罫線
25・・・天面コーナー補強板
26・・・スリット下折罫線
A・・・表示板上幅
B・・・表示板基部幅
H1・・・表示板(表)高さ
H2・・・表示板(裏)高さ
a~l・・・折罫線