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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045594
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】棚用ブラケット
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/06 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
A47B96/06 K
A47B96/06 B
A47B96/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151265
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】593006010
【氏名又は名称】株式会社ロイヤル
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】堤 公平
(72)【発明者】
【氏名】上田 康博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲矢
(57)【要約】
【課題】 この発明は、棚板の着脱を容易に行えるとともに、載置された棚板の位置ずれを抑制することができる棚用ブラケットを提供する。
【解決手段】 支柱102の前面にそれぞれ上下多段に設けられたスリットに、後端部に設けられた係止フックが挿入され、片持ち状に支持され、上面に棚板が載置される棚用ブラケットであって、棚用ブラケット1の先端部に可撓性の棚板保持部材20が取り付けられ、棚板保持部材2は、棚用ブラケット1の上面に載置される棚板104の前面と当接することにより変形し、棚板104を支柱102の前面側に押し付けて固定する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の前面にそれぞれ上下多段に設けられたスリットに、後端部に設けられた係止フックが挿入され、片持ち状に支持され、上面に棚板が載置される棚用ブラケットであって、
前記棚用ブラケットの先端部に可撓性の棚板保持部材が取り付けられ、
前記棚板保持部材は、上面に載置される前記棚板の前面と当接することにより変形し、前記棚板を前記支柱の前面側に押し付けて固定する、
棚用ブラケット。
【請求項2】
前記棚板保持部材は、前記ブラケットの先端部に装着する本体部と、前記本体部の上部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有し、
前記立ち上がり部は、前記係止フック側に向かって、前記立ち上がり部の中央部から前記棚用ブラケットの前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、前記支柱に取り付ける側に近づく翼部が形成されている、
請求項1に記載の棚用ブラケット。
【請求項3】
前記立ち上がり部は、前記中央部から前記翼部の端部に向かって、前記支柱の前面基準となる位置との間が載置する前記棚板の奥行きより漸次短くなっている、
請求項2に記載の棚用ブラケット。
【請求項4】
前記翼部の前記端部より中央側に突出部が設けられている、
請求項2または請求項3に記載の棚用ブラケット。
【請求項5】
前記棚板保持部材は、軟質性樹脂材料により形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の棚用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面に取り付けた左右の支柱のスリットに、それぞれ片持ち状に支持され、上面に棚板が載置される棚用ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱に取り付けられた棚用ブラケットの上面に棚板を載置した棚装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された棚装置は、支柱に取り付けられる棚用ブラケットの上面にねじ孔が設けられ、棚板の当該ねじ孔に対応する位置に係合孔が設けられている。そして、係合孔及びねじ孔にねじを嵌め込むことによって、棚用ブラケットに対して棚板を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-345609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された棚板の支持方法においては、棚板を棚用ブラケットに対して強固に固定することができる。しかし、この支持方法では、棚板の左右両端部それぞれについて、ねじ止めを行うため、棚板を固定するための作業に手間がかかるとともに、棚板の着脱を容易に行うことができない。
【0006】
また、棚用ブラケットを取り付ける支柱の間隔は、棚装置を設置する場所などにより、色々と変化する。上記した特許文献1の構成によれば、支柱の間隔に対応して棚板を用意する必要がある。このため、様々な支柱の間隔に対応するには、棚板の種類が多く必要となり、棚板の在庫が多くなるなどの問題があった。
【0007】
そこで、この発明は、棚板の着脱を容易に行え、載置された棚板の位置ずれを抑制することができるとともに、棚板の種類に左右されない棚用ブラケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施形態に係る棚用ブラケットは、支柱の前面にそれぞれ上下多段に設けられたスリットに、後端部に設けられた係止フックが挿入され、片持ち状に支持され、上面に棚板が載置される棚用ブラケットであって、前記棚用ブラケットの先端部に可撓性の棚板保持部材が取り付けられ、前記棚板保持部材は、前記棚用ブラケットの上面に載置される前記棚板の前面と当接することにより変形し、前記棚板を前記支柱の前面側に押し付けて固定する。
【0009】
上記の構成によれば、前記棚板を前記棚用ブラケットの上面に載置すると、前記棚板の前面は前記棚板保持部材と当接し、前記棚板保持部材からの加圧力が加わり、前記棚板が前記支柱側に押しつけられることにより、前記棚板が固定されるとともに、前記棚板の位置ずれも防止できる。
【0010】
また、この発明の実施形態は、次のように構成することができる。前記棚板保持部材は、前記ブラケットの先端部に装着する本体部と、前記本体部の上部から上方に立ち上がる立ち上がり部と、を有し、前記立ち上がり部は、前記支柱に取り付ける係止フック側に向かって、前記立ち上がり部の中央部から前記棚用ブラケットの前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、前記支柱に取り付ける側に近づく翼部が形成されている。
【0011】
上記の構成によれば、前記棚用ブラケットの上面に前記棚板を載置すると、前記立ち上がり部の前記翼部は、押し広がるように変形されるので、前記翼部は、前記棚板を前記支柱方向へ押圧することになり、前記棚板を固定するとともに、前記棚板の位置ずれを防止することができる。
【0012】
また、この発明の実施形態は、次のように構成することができる。前記立ち上がり部は、前記中央部から前記翼部の端部に向かって、前記支柱の前面基準となる位置との間が載置する前記棚板の奥行きより漸次短くなっている。
【0013】
上記の構成によれば、前記立ち上がり部の前記翼部は、スムーズに押し広がるように変形される。
【0014】
また、この発明の実施形態は、前記翼部の前記端部より中央側に突出部が設けられている。
【0015】
上記の構成によれば、前記突出部により、前記棚板との接触面積が大きくなり、前記棚板を前記立ち上がり部にしっかりと保持させることができる。
【0016】
また、この発明の実施形態は、前記棚板保持部材は、軟質性樹脂材料により形成されている。
【0017】
前記棚板保持部材を軟質性樹脂材料で形成することにより、人が当接した際にクッション性を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、前記棚板を前記棚用ブラケットの上面に載置すると、前記棚板の前面は前記立ち上がり部と当接し、前記立ち上がり部からの加圧力が加わり、前記棚板が固定されるとともに、前記棚板の位置ずれも防止できる。
【0019】
さらに、前記棚板保持部材の加圧力により、前記棚板を保持することができるので、棚板にねじ孔を設ける必要がなく棚板の種類に左右されずに棚用ブラケット上に棚板を取り付けることができる。
【0020】
また、前記棚板保持部材を変形させて前記棚板の後面と前記棚板保持部材とを離間させることにより、前記棚板を外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す上面図である。
図2】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す側面図である。
図3】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す分解斜視図である。
図4】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板保持部材を取り付ける状態を示す拡大断面図である。
図5】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板保持部材を取り付けた状態を示す拡大断面図である。
図6A】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す斜視図である。
図6B】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す正面図である。
図6C】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す左側面図である。
図6D】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す右側面図である。
図6E】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す上面図である。
図6F図6DのF-F線断面図である。
図7】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを支柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
図8】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す拡大上面図である。
図9】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板を載置した状態を示す拡大上面図である。
図10】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板を載置した状態を示す側面図である。
図11】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板を載置した状態の先端部分を拡大した側面図である。
図12】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板を載置した状態の先端部分を拡大した上面図である。
図13】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを用いた棚装置を示す斜視図である。
図14】この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットに棚板を設置する状態を示す斜視図である。
図15】この発明の実施形態2に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す上面図である。
図16】この発明の実施形態3に係る棚用ブラケットに用いられる棚板保持部材を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0023】
この発明の実施形態1の棚用ブラケット1について、図1図3を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す上面図、図2は、この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す正面図、図3は、この発明の実施形態1に係る棚用ブラケットを示す分解斜視図である。
【0024】
図1図3に示すように、棚用ブラケット1は、金属板製で形成され、後端部に上下一定間隔をおいて2段以上、この実施形態においては、2段の逆L字形に垂れ下がる係止フック10が形成されている。この係止フック10の基端部には、支柱102のスリット107(図7参照)に嵌め込むための矩形状の切り込み11が設けられている。
【0025】
図7に示すように、支柱102のスリット107に係止フック10が挿入され、係止フック10の基端部の切り込み11をスリット107の端部にはめ込まれ、棚用ブラケット1が支柱102に取り付けられる。スリット107に係止フック10を係止することにより、棚用ブラケット1が支柱102に片持ち状に支持される。
【0026】
棚用ブラケット1は、上面に棚板載置面1aが設けられる。この棚板載置面1aに棚板104へのクッション材と滑り止めとの機能を有する樹脂製滑り止め材110が嵌め込まれている。この棚用ブラケット1は、例えば、2.6mm~3.2mmの板厚の鋼材を打ち抜き加工により形成される。この実施形態では、棚用ブラケット1は、2.6mmの板厚のものを用いた。
【0027】
この実施形態においては、樹脂製滑り止め材110はEVA樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)により形成されている。
【0028】
尚、棚用ブラケット1は、この板厚のものに限らず、用途により、色々な厚みの鋼材が用いられる。また、樹脂製滑り止め材110は、必ずしも用いる必要はなく、棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に直接、棚板104を載置してもよい。
【0029】
図3に示すように、この実施形態においては、棚用ブラケット1には、下段の係止フック10の上面に連接して、抜け止め部材4が取り付けられる矩形状の切り欠き部14が設けられている。すなわち、係止フック10、10間に抜け止め部材4を装着するための切り欠き部14が設けられている。この切り欠き部14に抜け止め部材4が装着される。
【0030】
抜け止め部材4は、先端に係止フック10の上面と支柱102の間の隙間にはめ込まれる突起41を有する。切り欠き部14に取り付けられた抜け止め部材4は、棚用ブラケット1が支柱102に取り付けられた後、スリット107と係止フック10との隙間に、突起41を差し込み、棚用ブラケット1が支柱102から抜け落ちることを防止する。
【0031】
この発明においては、棚用ブラケット1の先端部13に、可撓性の棚板保持部材2が取り付けられる。後述するように、この棚板保持部材2は、棚用ブラケット1上に載置される棚板104により変形し、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止する。
【0032】
図3図4及び図5に示すように、棚用ブラケット1の先端部13の下方には先端から後端に向かって深さが浅くなるテーパー状凹部12が設けられている。このテーパー状凹部12の先端側は上下方向に直交している。このテーパー状凹部12は、後述するように、棚板保持部材2に設けられた抜け止め用テーパー部25が嵌まり込む形状に形成されている。
【0033】
次に、棚板保持部材2につき、図6A図6Fを参照して説明する。図6A図6Fは、この発明の一実施形態に係る棚装置に用いられる棚板保持部材を示し、図6Aは、斜視図、図6Bは、正面図、図6Cは、左側面図、図6Dは、右側面図、図6Eは、上面図、図6Fは、図6DのF-F線断面図である。
【0034】
この棚板保持部材2は、可撓性の材料で形成され、棚板104の前面104aが当接することにより変形可能に構成されている。棚板保持部材2は、例えば、軟質性樹脂で形成される。この実施形態1においては、軟質性樹脂として、EVA樹脂が用いられる。尚、軟質性樹脂は、EVA樹脂に限らず、図9及び図12に示すように、棚板104の前面104aに当接して変形し、棚板104を支柱102方向に押圧する力が加わるものであればよく、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、軟質塩化ビニル(PVC)、スチレン系エストラマー、シリコンゴムなどを用いることができる。
【0035】
図1図2図6A図6F図8及び図9に示すように、棚板保持部材2は、棚用ブラケット1の先端部13に装着する本体部21と、載置面21aから上方に立ち上がる立ち上がり部22が設けられている。立ち上がり部22は、棚板104を棚用ブラケット1の上面に載置した際に、棚板104を支柱102側へ押し付けるように作用する。
【0036】
本体部21の棚用ブラケット1の先端部13と対向する面には、矩形状の挿入部26が設けられている。
【0037】
本体部21の底面には、棚用ブラケット1に形成されたテーパー状凹部12と係合する抜け止め用テーパー部25が設けられている。この抜け止め用テーパー部25は、棚用ブラケット1の先端部13が挿入される挿入口26aから立ち上がり部22の方向に向かって高さが高くなるように形成されている。抜け止め用テーパー部25の立ち上がり部22側の端部25aは底面から直交するように形成されている(図6F参照)。
【0038】
棚板保持部材2の本体部21は、挿入口26aから先端に向かって拡がるように形成され、載置面21aも先端に向かって拡がる台形形状に形成されている。
【0039】
この実施形態では、ブラケット1の板厚が2.6mmなので、挿入部26は、幅2.6mmの矩形孔で構成されている。
【0040】
立ち上がり部22は、支柱102に取り付ける係止フック10側に向かって円弧状に曲がって形成されている。この実施形態においては、立ち上がり部22は、図2の図中dで示すように、載置面21aから9mm程度立ち上がり、先端まで5.5~6.0mm程度長さを有している。そして、立ち上がり部22の先端並びに側面は面取り形状に形成され、人にエッジが当たることを防いでいる。
【0041】
この立ち上がり部22は、支柱102に取り付ける係止フック10側に向かって立ち上がり部22の中央部22bから棚用ブラケット1の前面の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、支柱102に取り付ける側に近づく翼部22aが形成されている。この実施形態1においては、翼部22aは、円弧状に曲がって形成されている。すなわち、立ち上がり部22は、翼部22aの端部22cに近づくほど、棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面との距離が小さくなるように構成されている。
【0042】
図1に示すように、立ち上がり部22の中央部22bと棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面基準となる位置1cとの間の寸法aは、棚用ブラケット1上に載置する棚板104の奥行きより少し大きく形成されている。すなわち、立ち上がり部22の中央部22bから棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面基準となる位置1cとの間の寸法aは、棚用ブラケット1上に載置される棚板104の奥行きに対応する寸法に形成されている。
【0043】
この実施形態1では、棚用ブラケット1上に載置される棚板104の奥行きは300mmである。棚板104の奥行きが300mmの場合、棚用ブラケット1が支柱102に取り付けられた時に支柱102の前面基準となるに位置1cから立ち上がり部22の中央部22bまでの寸法aが301mm程度になるように寸法が設定されている。すなわち、棚板保持部材2を棚用ブラケット1の先端部13に取り付けた時に、中央部22bは、棚板104の奥行きに対応してわずかに長くなる寸法に設定されている。
【0044】
立ち上がり部22の端部22c間の幅寸法は、この実施形態においては、40mmである。
尚、立ち上がり部22の端部22c間の幅寸法及び立ち上がり部22の載置面21aからの高さは、これに限らず、載置する棚板104の大きさ、棚板104に加える押し付け力などを考慮して適宜設定される。
【0045】
本体部21の載置面21aは、棚板保持部材2を棚用ブラケット1の先端部13に取り付けた時に、樹脂製滑り止め材110と面一になるように形成されている。そして、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、棚板保持部材2の載置面21aと樹脂製滑り止め材110は、面一になるように取り付けられているので、棚板104が棚用ブラケット1上に安定よく載置される。
【0046】
立ち上がり部22には、空隙部23が設けられ、立ち上がり部22の先端部のクッション性を向上させている。
【0047】
立ち上がり部22の翼部22aは、中央部22bから棚用ブラケット1の係止フック10から先端部13に向かう方向に対して直交する方向に円弧状に延びる。立ち上がり部22の翼部22aの端部22cは、中央部22bより係止フック10側に近づくように形成されている。この実施形態1では、係止フック10側に近づく寸法b(図1参照)は、4mm程度に形成されている。すなわち、立ち上がり部22は、中央部22bから翼部22aの端部22cに向かって棚板104の奥行きより、支柱102の前面基準となる位置1cとの間が漸次短くなっている。これにより、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、立ち上がり部22の翼部22aを外側へスムーズに押し広げるように変形させて棚板104が設置されることになる。
【0048】
図4及び図5に示すように、棚用ブラケット1の先端部13に棚板保持部材2の挿入口26aを合わせて、棚板保持部材2の挿入部26内に棚用ブラケット1の先端部13を挿入する。この時、棚板保持部材2の底面には、抜け止め用テーパー部25があるが、抜け止め用テーパー部25は挿入口26a側から先端に向かってテーパー状に形成されているので、棚用ブラケット1の先端部13が挿入部26に挿入される。
【0049】
図5に示すように、棚板保持部材2の挿入部26内に棚用ブラケット1の先端部13が完全に挿入されると、棚用ブラケット1の凹部12に、抜け止め用テーパー部25が嵌まり込む。一旦、棚用ブラケット1の凹部12に抜け止め用テーパー部25が嵌まり込むと、テーパー形状により、ブラケット1から棚板保持部材2が外れることはない。
【0050】
図8に示すように、棚用ブラケット1の上面に棚板104を載置していない状態と、図9に示すように、棚用ブラケット1の上面に棚板104を載置している状態を比べると、円弧状の立ち上がり部22の翼部22aは、棚板104の前面104aに当接することにより、支柱102から遠ざかる方向に押し広がれて変形される。翼部22aの端部22cの棚板104と対向する面は、立ち上がり部22の中央部22bの略延長上に位置することになる。
【0051】
棚板104を棚用ブラケット1上に載置する場合、図14に示すように、棚板104の奥側を支柱102に沿わせて、上から棚板104を図中矢印方向へ押し下げて行く。この時、立ち上がり部22は、軟質性樹脂で形成されているので、棚板104の前面104aに当接することにより、立ち上がり部22が変形し、棚板104が棚用ブラケット1上に載置される。このように、立ち上がり部22の翼部22aは、押し広がるように変形されているので、翼部22aは、棚板104を支柱102方向へ押圧することになり、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
【0052】
図10及び図11に示すように、棚用ブラケット1上の樹脂製滑り止め材110と棚板保持部材2の載置面21aに密接して棚板104が載置され、棚板104の先端面104aは立ち上がり部22と当接し、立ち上がり部22からの加圧力が加わり、棚板104が固定されるとともに、棚板104の位置ずれも防止できる。
【0053】
さらに、この実施形態1においては、翼部22aの端部22cより中央側に半球状の突出部22dが設けられている。半球状の突出部22dの先端から支柱102の前面に対応する位置までの距離が端部22cと同じかそれより僅かに支柱102の前面側に位置するような大きさに形成されている。この半球状の突出部22dにより、棚板104との接触面積を大きくし、棚板104を立ち上がり部22にしっかりと保持させるように構成している。尚、半球状突出部22dを設けない場合においても棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
【0054】
実施形態1においては、突出部22dは、半球状に形成されているが、突出部22dの形状は半球状以外でもよい。例えば、矩形状、楕円形状など棚板104との接触面積を大きくするものであれば、その形状は問わない。
【0055】
また、棚板保持部材2は、軟質性樹脂で形成されている。このため、金属製の先端部に比べて柔らかいので、人が当接した際にクッション性を得ることが可能である。さらに、この実施形態では、クッション性を向上させるために、立ち上がり部22に空隙部23を形成し、前方からの力に対して立ち上がり部22が撓みやすくしている。
【0056】
図13及び図14に示すように、壁面150に所定の間隔、例えば、900mm間隔で取り付けられた左右一対の支柱102、102に、棚用ブラケット1、1をそれぞれ片持ち状に支持させる。支柱102に片持ち状に係止された棚用ブラケット1、1には、それぞれ樹脂製滑り止め材110と棚板保持部材2が取り付けられている。図14に示すように、棚板104の奥側を支柱102に沿わせて、上から棚板104を図中矢印方向へ押し下げて行くと、棚板104の前面104aに当接することにより、立ち上がり部22が変形し、棚板104が棚用ブラケット1上に載置される。このように、立ち上がり部22の翼部22aは、押し広がるように変形されているので、翼部22aは、棚板104を支柱102方向へ押圧することになり、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
【0057】
棚板104は、棚板保持部材2の立ち上がり部22と当接することにより固定される。このように、棚板104を支柱102前面と棚板保持部材2の立ち上がり部22に嵌め込むだけで、棚板104の固定が行える。棚板104は、棚板保持部材2の立ち上がり部22と当接しているので、棚板104の位置ずれ抑制できる。
【0058】
このように、この実施形態1においては、棚板を固定するためのビス留め等は不要となり、作業性が向上する。また、支柱102の間隔が変わっても棚板104を支柱102前面と棚板保持部材2の立ち上がり部22で固定するので、支柱の間隔に関係なく棚板の固定が行える。
【0059】
また、棚用ブラケット1、1の先端側は棚板104の前面104a側で固定されることになる。このため、棚用ブラケット1、1の左右の振れも抑制することができる。
【0060】
また、棚板104を取り外す時には、棚板104を立ち上がり部22の加圧力に抗して棚用ブラケット1の下方から上に持ち上げることにより、棚板104を取り外すことができる。これにより、棚板104を設置する高さなどを容易に変更することができる。
【0061】
さらに、支柱102、102の間隔は、棚板104の幅方向内であれば変更可能であり、支柱102、102の間隔に応じて棚板104を用意することはなくなる。
【0062】
また、棚板104の幅と支柱102、102の間隔との関係に余裕ができ、棚装置を設置する場所の自由度を増すことができる。
【0063】
この棚用ブラケット1は、出荷の際には、ブラケット1の先端部13に棚板保持部材2が装着された状態にすればよい。そして、一度装着した棚板保持部材2は脱着できないように構成しているので、棚板保持部材2が外れることもなく、安全性を確保することができる。
【0064】
上記した実施形態1においては、棚用ブラケットの先端部13に取り付けられる可撓性の棚板保持部材2の立ち上がり部22には、円弧状の翼部22aが設けられている。翼部22aは、円弧状に限らず、翼部22aの端部が棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面との距離が小さくなるよう形成されればその形状は問わない。図15に棚板保持部材20aの実施形態2を示す。
【0065】
図15に示す棚板保持部材20aは、立ち上がり部220が実施形態1の立ち上がり部22と相違する。他の構成は実施形態1と同様である。
【0066】
立ち上がり部220は、支柱102に取り付ける係止フック10側に向かって立ち上がり部220の中央部220bから棚用ブラケット1の前面の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、支柱102に取り付ける側に近づく翼部220aが形成されている。この実施形態2においては、翼部220aは、直線状に斜めに支柱102側に近づくように形成されている。そして、翼部220aの端部220cに近づくほど、棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面との距離が小さくなるように構成されている。
【0067】
立ち上がり部220は、中央部220bから翼部220aの端部220cに向かって棚板104の奥行きより、支柱102の前面基準となる位置との間が漸次短くなっている。これにより、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、立ち上がり部220の翼部220aを外側へスムーズに押し広げるように変形させて棚板104が設置されることになる。
【0068】
上記した実施形態1及び実施形態2においては、立ち上がり部22(220)は、支柱102に取り付ける係止フック10側に向かって立ち上がり部22(220)の中央部22b(220b)から棚用ブラケット1の前面の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、支柱102に取り付ける側に近づく翼部22a(220a)が形成されている。図16に示す実施形態3は、棚板保持部材20bの立ち上がり部220dの翼部220eの端部220f部分が棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面との距離が小さくなるように構成されている。他の構成は実施形態1と同様である。
【0069】
翼部220eは、棚板104の前面104aが当接した際に撓みやすいように、肉厚を薄くしている。
【0070】
立ち上がり部220dは、翼部220eの端部220fは、支柱102の前面基準となる位置との間が短くなっている。これにより、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、立ち上がり部220dの翼部220eを外側へスムーズに押し広げるように変形させて棚板104が設置されることになる。
【0071】
尚、上記した実施形態においては、棚板保持部材20、20a、20bは、軟質性樹脂材料で形成しているが、可撓性がある材料であれば、軟質性樹脂材料には限らない。例えば、板バネ鋼材などの金属材料を用いてもよい。
【0072】
上記した実施形態においては、棚板保持部材20、20a、20bの色については、適宜選択すればよいが、例えば、棚板104と同じ色合いのものを用いれば、棚板104と一体化され、棚板保持部材20、20a、20bを目立たなくすることができる。更に、複数の色の棚板保持部材20、20a、20bを用意し、棚板104を配置する場所により、棚板保持部材20、20a、20bの色を変えて、棚板104上に載置する物品の種類を識別できるように構成することもできる。同様に、棚板保持部材20、20a、20bに数字、記号、文字等を付加し、棚板104上に載置する物品の種類を識別できるように構成することもできる。
【0073】
上記した実施形態においては、棚用ブラケット1の棚板載置面1aに棚板104へのクッション材と滑り止めとの機能を有する樹脂製滑り止め材110が嵌め込まれているが、樹脂製滑り止め材110を設けずに、棚用ブラケット110の棚板載置面1a上に棚板104を載置してもよい。
【0074】
また、この発明の棚板ブラケットは、例えば、住宅等に備え付けられるクローゼット、シューズクローク、シューズボックスなどの棚装置に用いることができる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 :棚用ブラケット
2 :棚板保持部材
4 :抜け止め部材
10 :係止フック
13 :先端部
21 :本体部
21a :載置面
22 :立ち上がり部
22a :翼部
22b :中央部
22c :端部
22d :突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
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図16