(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045596
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】自動製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/045 20180101AFI20220314BHJP
F16F 1/12 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
F25C1/045 A
F16F1/12 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151268
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
(72)【発明者】
【氏名】石富 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】嘉藤 由秋
(72)【発明者】
【氏名】門脇 静馬
(72)【発明者】
【氏名】真田 智之
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059AD02
3J059BA01
3J059BC01
3J059BD02
3J059CA04
3J059CA20
3J059CB02
3J059CB18
3J059GA50
(57)【要約】
【課題】水皿を容易に取り外すことができる自動製氷機を提供する。
【解決手段】自動製氷機10は、水皿20を製氷室16に対する閉成位置から開放位置に傾動させる水皿傾動機構50に、アクチュエータモータAMの駆動に応じて回動するカム部材26と、カム部材26の回動端部および水皿20の傾動端部を上下に繋ぐコイルばね28とを備える。コイルばね28は、螺旋状の巻回部61より端側にフック62を備え、該フック62は、カム部材26または水皿20の外面から突出する保持部85の外周面に形成された保持溝部89に係合し、該保持部85のフランジ88で抜け止めされている。また、コイルばね28に設けられた操作対象部63に所定方向の力が加えられることで、フック62が開口62aの寸法を拡大するように変形する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(12)の内部に、下向きに開口する凹板状の製氷室(16)と、前記製氷室(16)の下方に配置された水皿(20)と、前記水皿(20)をその一端側を軸として上下に傾動させる水皿傾動機構(50)とを備えた自動製氷機において、
前記水皿傾動機構(50)は、アクチュエータモータ(AM)と、該アクチュエータモータ(AM)の駆動に応じて回動するカム部材(26F,26R)と、前記カム部材(26F,26R)の回動端部および前記水皿(20)の傾動端部を上下に繋ぐコイルばね(28F,28R)とを備え、
前記コイルばね(28F,28R)は、螺旋状の巻回部(61)より端側にフック(62)を備え、該フック(62)は、前記カム部材(26F,26R)または前記水皿(20)の外面から突出する保持部(85)の外周面に形成された溝部(89)に係合し、該保持部(85)のフランジ(88)で抜け止めされており、
前記コイルばね(28F,28R)に設けられた操作対象部(63)に所定方向の力が加えられることで、前記フック(62)における前記保持部(85)が係合する開口の寸法が拡大するように当該フック(62)が変形する
ことを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】
前記フック(62)は、前記コイルばね(28)の延在方向に沿って長い楕円形に形成されている請求項1記載の自動製氷機。
【請求項3】
前記コイルばね(28F,28R)を形成する素線(S)のうち前記フック(62)を形成する部分は、前記巻回部(61)に連なる一端部(Sa)から他端部(Sb)までが前記保持部(85)の周囲を1周分を越える長さで延在し、当該他端部(Sb)から外方に向けて前記操作対象部(63A)が延出するように設けられ、該操作対象部(63A)を前記巻回部(61)側に押圧することで前記フック(62)の前記開口(62a)の寸法を拡大可能に構成されている請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項4】
前記操作対象部(63A)の延出端部(67)が、前記素線(S)の折り返し部(65)により形成されている請求項3記載の自動製氷機。
【請求項5】
前記操作対象部(63A)は、途中位置で前記巻回部(61)側に折り曲がっている請求項3または4記載の自動製氷機。
【請求項6】
前記コイルばね(28F,28R)は、前記水皿(20)の荷重を受けている状態で前記フック(62)が前記保持部(85)の前記溝部(89)に係合しており、この状態で、前記素線(S)のうち前記フック(62)を形成する部分の前記他端部(Sb)が、前記溝部(89)の外側で前記一端部(Sa)と交差し、当該交差部分と、前記他端部(Sb)から延出する前記操作対象部(63A)とが、前記溝部(89)の外側に位置するように構成されている請求項3~5の何れか一項に記載の自動製氷機。
【請求項7】
前記操作対象部(63A)は、前記溝部(89)から外れた位置で前記保持部(85)の外周面に対向している請求項1~6の何れか一項に記載の自動製氷機。
【請求項8】
前記コイルばね(28F,28R)を形成する素線(S)における前記フック(62)を形成する部分は、前記巻回部(61)に連なる一端部(Sa)から他端部(Sb)までが前記保持部(55)の周囲を1周分を越えない長さで延在してその周方向に両端部(Sa,Sb)が対向すると共に、前記他端部(Sb)から前記一端部(Sa)と反対側に向けて前記操作対象部(63A)が延出するように設けられ、該操作対象部(63A)を前記巻回部(61)から離間する側に移動させることで前記フック(62)の前記開口(62a)の寸法を拡大可能に構成されている請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項9】
前記操作対象部(63B)は、前記コイルばね(28F,28R)を形成する素線(S)における前記フック(62)を形成する部分の一部として設けられて前記溝部(89)の周面との間に空間(69)を形成し、該操作対象部(63B)を前記フック(62)の径方向に引っ張ることで該フック(62)の前記開口(62a)の寸法を拡大可能に構成されている請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項10】
前記操作対象部(63B)は、前記素線(S)における前記フック(62)よりも端側の部分で設けられて該フック(62)の外周側に空間(69)を形成し、該操作対象部(63B)を前記フック(62)の径方向に引っ張ることで前記フック(62)の前記開口(62a)の寸法を拡大可能に構成されている請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項11】
前記コイルばね(28F,28R)は、前記素線(S)と、該素線(S)とは別の部材として前記フック(62)に接続される前記操作対象部(63C)とを有して構成され、
前記操作対象部(63C)を前記フック(62)の径方向に引っ張ることで、該フック(62)の前記開口(62a)の寸法を拡大可能に構成され、
前記フック(62)に対する前記操作対象部(63C)の位置を変更可能に構成されている請求項1または2記載の自動製氷機。
【請求項12】
前記コイルばね(28)として、前記水皿(20)の後側部分に下端部が保持される後コイルばね(28R)を備えると共に、前記カム部材(26)として、前記後コイルばね(28R)の上端部を保持する後カム部材(26R)を備え、
前記後カム部材(26R)は、前記後コイルばね(28R)の前後位置よりも前側から後側まで当該後カム部材(26R)の回動中心に沿って延在する円筒状の軸部(81)と、該軸部(81)の後端側から径方向に延出して前記後コイルばね(28R)の上端部を前面側に保持するアーム(82)とを有する請求項1~11の何れか一項に記載の自動製氷機。
【請求項13】
前記後カム部材(26R)は、前記アクチュエータモータ(AM)の駆動に応じて回転するカムシャフト(24)に固定されるカム基部(80)を備え、該カム基部(80)と前記アーム(82)とを前記軸部(81)が接続するよう構成されており、
前記軸部(81)は、前記カム基部(80)および前記アーム(82)に対して着脱可能な別部材であり、かつ当該カム基部(80)およびアーム(82)よりも摺動性が高い素材により形成されている請求項12記載の自動製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷室に対して水皿を傾動可能に枢支した自動製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
多量の氷塊を製造し得る自動製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設その他の厨房において好適に使用されている。自動製氷機としては、製氷室(製氷部)に設けられている製氷小室の開口を閉成する水皿から製氷小室に向けて対応的に製氷水を噴射供給して氷塊を製造し、この生成された氷塊を、水皿が製氷小室の開口を開放する状態で落下放出するよう構成した所謂クローズドセルタイプの製氷機構を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。例えば
図15および
図16に示すように、この製氷機構15は、製氷小室16aが設けられた製氷室16、製氷小室16aの開口を開閉可能な水皿20、該水皿20に供給される製氷水を貯留する製氷水タンク22等によって構成されており、筐体12の内側に配設されている。製氷室16は、製氷小室16aが下向きに開口する凹板状であり、その上面には冷凍回路を構成する蒸発管18が蛇行配置されて、下方には水皿20が配置されている。水皿20は、製氷水を貯留する製氷水タンク22を下側に一体的に備え、製氷水タンク22にはポンプモータPMが取り付けられている。すなわち、ポンプモータPMにより製氷水タンク22内の製氷水が吸入されて水皿20に供給される。
【0003】
水皿20は、支持機構30によって一端部(
図15では左端部)が枢支され、他端部(
図15では右端部)が水皿傾動機構50に連繋している。水皿傾動機構50は、水皿20の前記他端部を昇降させるものであって、電動モータに減速機を組み合わせたアクチュエータモータAMと、該アクチュエータモータAMの駆動により双方向に回動するカム部材26F,26Rと、該カム部材26F,26Rおよび水皿20を連繋するコイルばね(引張コイルばね)28F,28Rとを備えている。そして、自動製氷機では、製氷運転に入ると、アクチュエータモータAMの駆動によりカム部材26F,26Rを一方向に回動させて、水皿20を製氷室16から離間する開放位置からコイルばね28F,28Rを介して斜め上方へ引き上げて閉成位置へ到来させ、製氷室16を下方から閉成する。また除氷運転に入ると、アクチュエータモータAMの駆動によりカム部材26F,26Rを他方向に回動させ、水皿20を斜め下方へ強制的に下降させて製氷室16を全面的に開放し、水皿20を開放位置にコイルばね28F,28Rを介して保持する。
図15に示すように、水皿20は、閉成位置では上面が水平な水平姿勢となり、開放位置では上面が傾斜した傾斜姿勢となる。すなわち、水皿傾動機構50は、水皿20を閉成位置(水平姿勢)および開放位置(傾斜姿勢)の相互で移動させる。なお、水皿20の「傾動」とは、水皿20の水平姿勢(閉成位置)および傾斜姿勢(開放位置)の間の移動のことであって、傾斜姿勢から水平姿勢への移動を含む。また、以下の記載では、水皿20の前記一端部(支持機構30で枢支される側)を「軸側端部」と称し、前記他端部(水皿傾動機構50で支持される側)を「傾動端部」と称する。
【0004】
図16に示すように、水皿傾動機構50は、水皿20の傾動端部の2箇所、具体的には前側部位および後側部位を支持するように構成されている。すなわち、水皿傾動機構50は、水皿20の傾動端部のうち前側部位を支持するための前側のカム部材(前カム部材)26Fおよびコイルばね(前コイルばね)28Fと、水皿20の傾動端部のうち後側部位を支持するための後側のカム部材(後カム部材)26Rおよびコイルばね(後コイルばね)28Rとを備える。前カム部材26Fは、アクチュエータモータAMの駆動により回動するカムシャフト24の前端側に固定されており、後カム部材26Rは、カムシャフト24の後端側に固定されている。各カム部材26F,26Rは、カムシャフト24から径方向に延出する形状であり、アクチュエータモータAMの駆動によってカムシャフト24を中心に回動するので、カムシャフト24に固定される側の端部が軸側端部、カムシャフト24から離間する側の端部(延出端部)が回動端部となる。前コイルばね28Fは、その上端部のフック62が、前カム部材26Fの回動端部における前面から突出する保持部85の外周面に形成された保持溝部(溝部)89に引っ掛けられ、下端部のフック62が、水皿20の傾動端部における前面から突出する保持部85の外周面に形成された保持溝部89に引っ掛けられることで、前カム部材26Fおよび水皿20の間を連繋している。また、後コイルばね28Rは、その上端部のフック62が、後カム部材26Rの回動端部における前面から突出する保持部85の外周面に形成された保持溝部89に引っ掛けられ、下端部のフック62が、水皿20の傾動端部における後面から突出する保持部85の外周面に形成された保持溝部89に引っ掛けられることで、後カム部材26Rおよび水皿20の間を連繋している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水皿20は、製氷水として使用される水道水に含まれる不純物等に起因して経時的に汚れるため、清掃等のメンテナンスが随時行われる。ここで、筐体12から水皿20を取り外してメンテナンスを行う場合、コイルばね28F,28Rの下端部に設けられるフック62を水皿20から外すか、コイルばね28F,28Rの上端部に設けられるフック62をカム部材26F,26Rから外す必要があるが、一般的にコイルばね28F,28Rの両端部のフック62を外れないように変形させているため、この作業には非常に手間がかかる。
【0007】
そこで本発明は、従来の自動製氷機に内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、水皿を容易に取り外すことができる自動製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る発明は、
筐体の内部に、下向きに開口する凹板状の製氷室と、前記製氷室の下方に配置された水皿と、前記水皿をその一端側を軸として上下に傾動させる水皿傾動機構とを備えた自動製氷機において、
前記水皿傾動機構は、アクチュエータモータと、該アクチュエータモータの駆動に応じて回動するカム部材と、前記カム部材の回動端部および前記水皿の傾動端部を上下に繋ぐコイルばねとを備え、
前記コイルばねは、螺旋状の巻回部より端側にフックを備え、該フックは、前記カム部材または前記水皿の外面から突出する保持部の外周面に形成された溝部に係合し、該保持部のフランジで抜け止めされており、
前記コイルばねに設けられた操作対象部に所定方向の力が加えられることで、前記フックにおける前記保持部が係合する開口の寸法が拡大するように当該フックが変形することを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、コイルばねに操作対象部を設け、この操作対象部に所定方向の力を加えることでフックがその開口寸法を拡大するように変形する構成としたことにより、作業者が操作対象部を操作して保持部からフックを容易に外すことができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、
前記フックは、前記コイルばねの延在方向に沿って長い楕円形に形成されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、フックをコイルばねの延在方向に沿って長い楕円形に形成することで、当該フックの長手方向の内径寸法と同じ内径寸法の正円形状をなすフックと比べて、短手方向の内径寸法が小さい分だけフックの保持部に対する左右へのぐらつきを抑えることができる。また、当該フックの短手方向の内径寸法と同じ内径寸法の正円形状をなすフックと比べて、長手方向の内径寸法が大きい分だけフックの開口寸法を大きくすることが可能となるので、操作対象部に対する押圧操作によって保持部に対するフックの着脱を容易とすることができる。
【0010】
請求項3に係る発明では、
前記コイルばねを形成する素線のうち前記フックを形成する部分は、前記巻回部に連なる一端部から他端部までが前記保持部の周囲を1周分を越える長さで延在し、当該他端部から外方に向けて前記操作対象部が延出するように設けられ、該操作対象部を前記巻回部側に押圧することで前記フックの前記開口の寸法を拡大可能に構成されていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、保持部の周囲を1周分を越える長さで素線を延在させてフックを形成することで、フックの強度が高められる。また、操作対象部をフックの外周に沿う方向に押圧する操作によってフックの開口寸法を拡大させることができ、この際にフックが全体的に変形して開口を拡大するので、フックの開口を、保持部に対するフックの着脱がし易い形状とすることができる。
【0011】
請求項4に係る発明では、
前記操作対象部の延出端部が、前記素線の折り返し部により形成されていることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、操作対象部の延出端部を素線の折り返し部によって形成することで、操作対象部の端面が曲面となり、作業者の接触による怪我を防ぐことができる。
【0012】
請求項5に係る発明では、
前記操作対象部は、途中位置で前記巻回部側に折り曲がっていることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、操作対象部を巻回部側に押圧することでフックの開口寸法を拡大可能な構成において、操作対象部をその途中位置で巻回部側に折り曲げるようにする。すなわち、操作対象部を、作業者による押圧操作を受ける側とは反対側に延出端部が向くように折り曲げることにより、当該操作対象部の延出端部を作業者による押圧操作を受ける部分から離間させることができる。従って、操作対象部を押圧操作する作業者の手指が当該操作対象部の延出端部に接触し難くなり、作業者の怪我を防ぐことができる。
【0013】
請求項6に係る発明では、
前記コイルばねは、前記水皿の荷重を受けている状態で前記フックが前記保持部の前記溝部に係合しており、この状態で、前記素線のうち前記フックを形成する部分の前記他端部が、前記溝部の外側で前記一端部と交差し、当該交差部分と、前記他端部から延出する前記操作対象部とが、前記溝部の外側に位置するように構成されていることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、水皿の荷重を受けている状態のコイルばねは、素線におけるフックを形成する部分の両端部が溝部の外側で交差し、この状態で、当該交差部分および操作対象部が溝部の外側に位置する構成とすることで、このフックにおける厚み寸法の大きな部分(素線の重なり部分)が小さく、かつ溝部に嵌まり込むことがない。すなわち、溝部の内側でフックが摺動することによる保持部の削れやフックの変形等を防ぐことができる。
【0014】
請求項7に係る発明では、
前記操作対象部は、前記溝部から外れた位置で前記保持部の外周面に対向していることを要旨とする。
請求項7に係る発明によれば、保持部の溝部に係合した状態のフックの遊間を操作対象部および保持部の外周面の接触により規制して、フックが溝部の外側に突出するのを防ぎ、これによりフックが筐体側の構成部材と干渉する不具合を回避することができる。
【0015】
請求項8の発明に係る発明では、
前記コイルばねを形成する素線における前記フックを形成する部分は、前記巻回部に連なる一端部から他端部までが前記保持部(55)の周囲を1周分を越えない長さで延在してその周方向に両端部が対向すると共に、前記他端部から前記一端部と反対側に向けて前記操作対象部が延出するように設けられ、該操作対象部を前記巻回部から離間する側に移動させることで前記フックの前記開口の寸法を拡大可能に構成されていることを要旨とする。
請求項8に係る発明によれば、コイルばねの素線におけるフックを形成する部分の両端部を周方向に対向させることで、フックに素線の重なり部分が生じない。すなわちフックを薄く形成でき、溝部の内側でフックが摺動することによる保持部の削れやフックの変形等を防ぐことができる。また、操作対象部に対する操作によってフックが内径寸法を拡大するように変形する構成としたので、フックの開口寸法を容易に拡大させ得る。
【0016】
請求項9に係る発明では、
前記操作対象部は、前記コイルばねを形成する素線における前記フックを形成する部分の一部として設けられて前記溝部の周面との間に空間を形成し、該操作対象部を前記フックの径方向に引っ張ることで該フックの前記開口の寸法を拡大可能に構成されていることを要旨とする。
請求項9に係る発明によれば、操作対象部により形成される空間を利用して所定の操作具等を装着することができるようになり、操作具によって操作対象部を引っ張ることでフックの開口寸法が拡大されるので、フックを広げるための力をフックに付与し易い構成とすることができる。
【0017】
請求項10に係る発明では、
前記操作対象部は、前記素線における前記フックよりも端側の部分で設けられて該フックの外周側に空間を形成し、該操作対象部を前記フックの径方向に引っ張ることで前記フックの前記開口の寸法を拡大可能に構成されていることを要旨とする。
請求項10に係る発明によれば、素線のうちフックを形成する部分よりも端側の部分で操作対象部を形成することで、操作具を装着するための空間を溝部の外側に形成することが比較的容易となる。すなわち、空間を利用して操作具を操作対象部に装着したもとで、操作部によって操作対象部を引っ張ることで、フックの開口寸法が拡大されるので、フックを広げるための力をフックに付与し易い構成とすることができる。
【0018】
請求項11の発明に係る発明は、
前記コイルばねは、前記素線と、該素線とは別の部材として前記フックに接続される前記操作対象部とを有して構成され、
前記操作対象部を前記フックの径方向に引っ張ることで、該フックの前記開口の寸法を拡大可能に構成され、
前記フックに対する前記操作対象部の位置を変更可能に構成されていることを要旨とする。
請求項11に係る発明によれば、フックに対する操作対象部の位置を変更可能であるので、フックを広げる際の引っ張り方向についての自由度を高めることができる。
【0019】
請求項12に係る発明では、
前記コイルばねとして、前記水皿の後側部分に下端部が保持される後コイルばねを備えると共に、前記カム部材として、前記後コイルばねの上端部を保持する後カム部材を備え、
前記後カム部材は、前記後コイルばねの前後位置よりも前側から後側まで当該後カム部材の回動中心に沿って延在する円筒状の軸部と、該軸部の後端側から径方向に延出して前記後コイルばねの上端部を前面側に保持するアームとを有することを要旨とする。
請求項12に係る発明によれば、水皿を開放位置から閉成位置に移動させる際に、後コイルばねが後カム部材のアームに接触せず、軸部のみに接触する構成とすることができる。また、軸部を円筒状に形成することで、後コイルばねを平面で受けることがなく、接触面積を小さくすることができる。従って、後カム部材や後コイルばねに破損等が生じるのを防ぐことができる。
【0020】
請求項13に係る発明では、
前記後カム部材は、前記アクチュエータモータの駆動に応じて回転するカムシャフトに固定されるカム基部を備え、該カム基部と前記アームとを前記軸部が接続するよう構成されており、
前記軸部は、前記カム基部および前記アームに対して着脱可能な別部材であり、かつ当該カム基部およびアームよりも摺動性が高い素材により形成されていることを要旨とする。
請求項13に係る発明によれば、後カム部材における後コイルばねが接触し得る部分(軸部)だけを交換することができる。また、軸部をカム基部やアームよりも摺動性が高い素材により形成することで、後カム部材における後コイルばねが接触し得る部分(軸部)だけに高い摺動性を付与することができ、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る自動製氷機によれば、水皿を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例1に係る自動製氷機を前側から見た斜視図である。
【
図2】(a)は、筐体の内部構造を左側から見た斜視図であり、(b)は、(a)におけるA1領域の拡大図であり、(c)は、(a)におけるA2領域の拡大図であり、(d)は、枢支ピンの全体図である。
【
図3】(a)は、アクチュエータモータ、カムシャフト、前カム部材および後カム部材の接続関係に関する説明図(各部材を右側から見た状態)であり、(b)は、前カム部材の動作に関する説明図であり、(c)は、(a)における前カム部材の要部拡大正面図である。
【
図4】実施例1におけるコイルばねの要部拡大正面図である。
【
図5】(a)は、カム部材の回動端部についての側面図であり、(b)は、カム部材の回動端部を保持溝部の中間位置で切断してコイルばねのフックを示す正面図である。
【
図6】別例1-1におけるコイルばねの要部拡大正面図である。
【
図7】別例1-2におけるコイルばねの要部拡大正面図である。
【
図8】実施例2におけるカム部材およびコイルばねの接続部分の関係を示しており、(a)は、カム部材を保持溝部の中間位置で切断した正面図、(b)は、カム部材およびコイルばねの接続部分の斜視図である。
【
図9】実施例3におけるカム部材およびコイルばねの接続部分について、カム部材を保持溝部の中間位置で切断した正面図である。
【
図10】実施例4におけるカム部材およびコイルばねの接続部分について、カム部材を保持溝部の中間位置で切断した正面図である。
【
図11】別例4-1におけるカム部材およびコイルばねの接続部分について、カム部材を保持溝部の中間位置で切断した正面図である。
【
図12】実施例5におけるコイルばねの要部拡大正面図である。
【
図13】実施例6におけるカム部材の斜視図であって、(a)は、コイルばねが取り外された状態を示しており、(b)は、コイルばねが取り付けられた状態を示している。
【
図14】別例6-1におけるカム部材の構造についての説明図である。
【
図15】従来の自動製氷機の内部構造を正面側から見た状態を示している。
【
図16】従来の自動製氷機の内部構造を左側から見た状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る自動製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、
図15および
図16に示した自動製氷機と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。本発明に係る自動製氷機は、コイルばねに関する構成に特徴がある。従って、各実施例ではコイルばねに関する構成について説明を行うこととする。また、以下の記載において方向や位置を説明する際に用いる「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等は、自動製氷機を前側(
図1に示す筐体の手前側)から見た状態を基準としている。
【実施例0024】
実施例1の自動製氷機10は、略箱状の筐体12の内部に、製氷室16、水皿20および製氷水タンク22等からなる所謂クローズドセルタイプの製氷機構15と、水皿20の一端部(
図2では左端部、以下「軸側端部」という)を枢支するための支持機構30と、水皿20の他端部(
図2では右端部、以下「傾動端部」という)を支持して当該水皿20を上下に傾動させる水皿傾動機構50とを収容している(
図2(a)参照)。筐体12は、
図1に示すように、その前面を構成するフロントパネル12aおよび上面を構成する天板12bが、当該筐体12の骨格となる枠体12c(
図2(a)参照)に着脱自在に取り付けられて構成されている。筐体12の内側上部には、製氷機構15、支持機構30および水皿傾動機構50の各構成部材等が取り付けられる2本の取付柱体12d(
図2(a)参照)が、前後方向に離間して左右方向に延在するように枠体12cの上部に固定されている。また、水皿20は、製氷水タンク22やポンプモータPM等とユニット化されており、製氷室16とは別に取付柱体12dに取り付けられている。
【0025】
(支持機構30について)
支持機構30は、
図2(a)、
図2(b)および
図2(c)に示すように、各取付柱体12dに1つずつ固定された合計2つの軸受け金具32F,32Rと、水皿20の左側面(軸側端部)に固定されて互いに前後方向に離間する合計2つの水皿支持板34F,34Rとを備えている。具体的には、前側の取付柱体12dに固定された前側の軸受け金具32Fで、前側の水皿支持板34Fが枢支されており(
図2(c)参照)、後側の取付柱体12dに固定された後側の軸受け金具32Rで、後側の水皿支持板34Rが枢支されている(
図2(b)参照)。すなわち、支持機構30は、水皿支持板34F,34Rおよび軸受け金具32F,32Rの組み合わせ(以下「支持組」という)を2組備えており、この2組の支持組によって水皿20の軸側端部の前側部位および後側部位を支持している。
【0026】
ここで、従来においては、2つの支持組に対して個別に枢支ピンを差し込み、各枢支ピンの抜け止めを個別に抜け止めピンで行うようにしていたため、後側(筐体12の奥側)の支持組を組み付けたり分離したりする作業を筐体12の前側から行い難かった。これに対し、実施例1の自動製氷機10では、
図2(b)および
図2(c)に示すように、2つの支持組を構成する水皿支持板34F,34Rおよび軸受け金具32F,32Rを共通の枢支ピン36で相対移動(回転)可能に連結し、この枢支ピン36の前方への抜けを、筐体12内部の前寄り位置に配置される1つの抜け止め手段40(
図2(c)参照)で規制するようにしている。具体的には、2つの水皿支持板34F,34Rおよび2つの軸受け金具32F,32Rの夫々を前後方向に貫通する貫通穴38(軸受け金具32Rの貫通穴38のみ図示している)を挿通するように1つの枢支ピン36を前側から後側に向けて閂状に差し込むことで、各軸受け金具32F,32Rに対して各水皿支持板34F,34Rを、枢支ピン36を軸とする回転方向に移動可能に連結している。枢支ピン36は、
図2(d)に示すように細い円柱状の棒体であり、差し込み方向の先端部36aがテーパ状となっているため各貫通穴38への挿入がし易く、また、差し込み方向の末端部36bが他の部位よりも大径になっているため各貫通穴38を通過して後方に抜け出ることがない。なお、各軸受け金具32F,32Rの貫通穴38は、散水用の散水パイプP(
図2(b)参照)が挿通する位置の近傍に設けられているので、枢支ピン36を通す際に、各軸受け金具32F,32Rに対する散水パイプPの挿通位置を基準にして貫通穴38を見つけ易い。
【0027】
ここで、
図2(c)に示すように、枢支ピン36が前方に抜けるのを防止するための抜け止め手段(実施例1では給水弁取付板)40が前側の軸受け金具32Fの前面に取り付けられ、当該抜け止め手段40が枢支ピン36の末端部36bを軸受け金具32Fとの間に挟持して移動を規制している。このため、作業者が水皿20を取り外してメンテナンスを行う際、フロントパネル12aを開放して、筐体12の内部空間の手前側に位置している抜け止め手段40を取り外すようにすれば、1つの枢支ピン36を貫通穴38から手前側に抜き出すことができるようになり、これだけで、各支持組における軸受け金具32F,32Rと水皿支持板34F,34Rとの接続を解除することができる。すなわち、水皿20を取り外すために水皿20の軸側端部を筐体12側から分離する作業を、天板12bを開放することなく、筐体12の前側から容易に行うことができる。
【0028】
(水皿傾動機構50について)
以下、実施例1の自動製氷機10に備えられる水皿傾動機構50につき、
図2~
図5を参照して詳細に説明する。水皿傾動機構50は、製氷運転を行う場合には、製氷室16の製氷小室16a(
図15および
図16参照)の開口を塞ぐ閉成位置に水皿20を保持することにより、蒸発管18で冷却される製氷室16の製氷小室16aに対する水皿20からの製氷水の噴射供給を可能とする。また、製氷運転が終了し、蒸発管18で製氷室16を加熱する除氷運転に移行する場合には、水皿20を閉成位置から開放位置に傾動させて製氷小室16aを開放し、除氷運転において水皿20を開放位置に保持することで、製氷室16の製氷小室16aからの氷塊の放出を可能とする。そして、除氷運転が終了し、製氷運転に移行する場合には、水皿20を開放位置から閉成位置に傾動させて製氷小室16aを閉成する。ここで、水皿傾動機構50は、
図2(a)および
図3(a)に示すように、水皿20を傾動させる駆動源としてのアクチュエータモータAMと、水皿20の傾動端部における前側部位を支持するための前カム部材26Fおよび前コイルばね28Fと、水皿20の傾動端部における後側部位を支持するための後カム部材26Rおよび後コイルばね28Rと、前カム部材26Fおよび後カム部材26Rを接続するカムシャフト24とを備えている。
【0029】
図3(a)に示すように、筐体12の内側上部に前後に離間して設けられる2本の取付柱体12dの各下面に、カムシャフト24を回動可能に支持する回動支持部材23が夫々取り付けられている。各回動支持部材23は、取付柱体12dの下面から垂下するように設けられており、その下端部に、前後方向に開口する円筒状のシャフト支持部23aが設けられている。カムシャフト24は、2つのシャフト支持部23a(回動支持部材23)に挿通されて前後に離間する2箇所が回動可能に支持されている。そして、カムシャフト24の前端部が前カム部材26Fの後面に開口するシャフト固定穴52aに挿入されて、カムシャフト24および前カム部材26Fが相互に固定されている。また、カムシャフト24の後端部が後カム部材26Rの前面に開口するシャフト固定穴52aに挿入されて、カムシャフト24および後カム部材26Rが相互に固定されている。
【0030】
また、
図3(a)に示すように、前側の取付柱体12dの前面には、下方に開放するコ字状の取付基板13が固定されており、この取付基板13にアクチュエータモータAMが、回転軸AMa(
図3(a)参照)を後方に延出させた姿勢で取り付けられている。この状態で、アクチュエータモータAMの回転軸AMaは、カムシャフト24と同一線上に延在している。回転軸AMaは、前カム部材26Fの前面に開口する軸固定穴52bに挿入され、これにより回転軸AMaおよび前カム部材26Fが相互に固定されている。すなわち、前カム部材26Fおよび後カム部材26Rは、カムシャフト24によって連結され、アクチュエータモータAMの駆動による回転軸AMaの回転に応じて一体的に回動するように構成されている。なお、アクチュエータモータAMは、水皿20を開放する際に、回転軸AMaが前から見て左側に回転するように駆動し、水皿20を閉成する際に、回転軸AMaが前から見て右側に回転するように駆動する。そこで、以下の記載では、アクチュエータモータAMにおける回転軸AMaが左回転する駆動(水皿20を開放する駆動)を「正駆動」とし、回転軸AMaが右回転する駆動(水皿20を閉成する駆動)を「逆駆動」として説明する。また、カムシャフト24およびカム部材26F,26Rは、アクチュエータモータAMの駆動に伴い、回転軸AMaの回転方向と同方向に回動する。このため、カムシャフト24およびカム部材26F,26Rについては、左方向への回動(回転)を「正転」、右方向への回動(回転)を「逆転」と表現する。
【0031】
図3(a)の中央より左側には、前カム部材26Fについて、水皿20を閉成位置に引き上げた時の姿勢(
図3(b)における符号x1の姿勢)で示してある。これらの図示のように、前カム部材26Fは、一方向(当該図示の上下方向)に長細い板状の合成樹脂製部材であり、その長手方向の一端部(当該図示での下端部)の幅寸法が、他端部(当該図示での上端部)の幅寸法より大きく形成されている。そして、
図3(b)に示すように、前カム部材26Fのうち幅寸法の大きな前記一端部には、前述した回転軸AMaが固定される軸固定穴52bが前面に開口し、また後面には、前述したカムシャフト24の前端部が固定されるシャフト固定穴52aが開口するように形成されている。また、シャフト固定穴52aから離間する前記他端部には、前コイルばね28Fの上端部を保持する保持部85(後述)が前方に突出するように設けられている。すなわち、前カム部材26Fは、回動中心がカムシャフト24と同じで、かつ径方向にアーム状に延出した形状であり、その延出端側に前コイルばね28Fの上端部を保持するように構成されている。なお、以下の記載では便宜上、前カム部材26Fの回動中心側となる前記一端部を「軸側端部」と称し、回動中心から離間する延出端側となる前記他端部を「回動端部」と称する。
【0032】
図3(a)の中央より右側には、後カム部材26Rについて、水皿20を閉成位置に引き上げた時の姿勢で示してある。後カム部材26Rは、前カム部材26Fと同様に一方向(当該図示の上下方向)に長細い板状の合成樹脂製部材であり、その長手方向の一端部(当該図示での下端部)の幅寸法が、他端部(当該図示での上端部)の幅寸法より大きく形成されている。そして、後カム部材26Rには、幅寸法の大きな長手方向の前記一端部を前後に貫通するようにシャフト固定穴52aが形成されている。このシャフト固定穴52aには、前述のようにカムシャフト24の後端部が前面側から固定される。また、後カム部材26Rにおける長手方向の前記他端部(シャフト固定穴52aから離間する側)には、後コイルばね28Rの上端部を保持する円筒状の保持部85(後述)が後方に突出するように設けられている。すなわち、後カム部材26Rは、回動中心がカムシャフト24と同じで、かつ径方向にアーム状に延出した形状であり、その延出端側に後コイルばね28Rの上端部を保持するように構成されている。以下の記載では便宜上、後カム部材26Rの回動中心側となる前記一端部を「軸側端部」と称し、回動中心から離間する延出端側となる前記他端部を「回動端部」と称する。
【0033】
ここで、前後の両カム部材26F,26Rは、
図3(a)に示すように、その回動端部に設けられた保持部85(後述)でコイルばね28F,28R(後述)を保持し、このコイルばね28F,28Rを介して水皿20の傾動端部を支持する。前カム部材26Fは、その回動端部が軸側端部の上方に位置する起立姿勢(
図3(b)における符号x1の姿勢)の場合に、回動端部が最も高い位置となる。同様に、後カム部材26Rは、その回動端部が軸側端部の上方に位置する起立姿勢(
図3(a)に示す姿勢)の場合に、回動端部が最も高い位置となる。従って、両カム部材26F,26Rが起立姿勢の場合、水皿20は最も上方まで引き上げられた状態となり、この時に水皿20は、上面が水平な水平姿勢で製氷室16に対する閉成位置に位置する。すなわち、カム部材26F,26Rは、起立姿勢で水皿20を閉成位置に保持可能である。一方で、前カム部材26Fは、その回動端部が軸側端部の斜め下方に位置する傾倒姿勢(
図3(b)における符号x2の姿勢)の場合に、回動端部が最も低い位置となる。同様に、後カム部材26Rは、その回動端部が軸側端部の斜め下方に位置する傾倒姿勢(
図2に示す姿勢)の場合に、回動端部が最も低い位置となる。従って、両カム部材26F,26Rが傾倒姿勢の場合、水皿20は最も下方位置まで下がった状態となり、この時に水皿20は、上面が傾斜した傾斜姿勢で製氷室16に対する開放位置に位置する。すなわち、カム部材26F,26Rは、傾倒姿勢で水皿20を開放位置に保持可能である。
【0034】
両カム部材26F,26Rは、起立姿勢の時に回動端部が水皿20の上面と接する(
図3(a)参照)ように構成されており、その軸側端部には、径方向に膨出するカム部52cが形成されている(
図3(b)参照、後カム部材26Rについては図示省略)。このカム部52cの存在により、カム部材26F,26Rにおける軸側端部の外周面は、回動中心(シャフト固定穴52aの形成位置)からの離間寸法が一定ではなく、カム部52cの部分でシャフト固定穴52aから大きく離間している。そして、製氷運転から除氷運転への移行に際し、前カム部材26Fが起立姿勢から傾倒姿勢に向けて正転方向に回動することにより、前カム部材26Fにおける軸側端部の外周面(カム部52cの部分)が水皿20を下方に押圧し、製氷室16に生成された氷塊と水皿20の上面との氷結が強制的に解除されるようになっている。
【0035】
図3(a)および
図3(c)に示すように、前カム部材26Fの回動端部には、前コイルばね28Fの後述するフック62を保持する保持部85が、当該前カム部材26Fの前面から前方に向けて突出する円筒状に設けられている。この保持部85は、その突出方向の途中位置が小径になっており、この小径部分(以下「小径部86」という)の外周面が溝状に凹んで環状の保持溝部(溝部)89を形成している。なお、以下の記載では便宜上、保持部85における小径部86よりも基端側を「台座部87」と称すると共に、保持部85における小径部86よりも突出端側を「フランジ88」と称する。このように、保持部85は、前カム部材26Fの回動端部から前方に向けて台座部87が突出し、この台座部87の突出端面から、台座部87よりも小径の小径部86が突出して、この小径部86の突出端部に、当該小径部86より大径のフランジ88が位置している。これにより、凹状の保持溝部89を、小径部86の外周面と、台座部87およびフランジ88の対向面とが保持部85の外周面に形成している。
【0036】
図3(a)に示すように、後カム部材26Rは、前カム部材26Fとは形状が異なっており、軸側端部から後側上方に向けて斜めに延出する形状となっている。そして、この後カム部材26Rにおける回動端部の前面から前方に向けて突出するように、後コイルばね28Rの後述するフック62を保持する保持部85が円筒状に設けられている。この後カム部材26Rに設けられる保持部85は、前述した前カム部材26Fの保持部85と基本的に同じ構造であり、台座部87、小径部86およびフランジ88を有すると共に、後コイルばね28Rの上端部のフック62(後述)が係合する保持溝部89を形成している。この他、水皿20に設けられる保持部85も、カム部材26F,26Rの保持部85と基本的に同じ構造である(説明を省略する)。なお、後コイルばね28Rとしては、前述した前コイルばね28Fと同じ部材が用いられている。
【0037】
コイルばね28F,28Rは、金属製の素線Sを曲げ加工することで形成されている。
図4に示すように、コイルばね28F,28Rは、螺旋状の巻回部61より端側に、環状のフック62が形成されている。なお、
図4ではコイルばね28F,28Rの一端側のフック62のみを示しているが、他端側にも同様のフック62が設けられている。各フック62の形状は基本的に同じである。そして、コイルばね28F,28Rの一端側のフック62がカム部材26F,26Rの回動端部に接続しており、他端側のフック62が水皿20の傾動端部に接続している。各フック62は、巻回部61の延在方向(
図4では上下方向)に対して略直交する方向(
図4では水平方向)に開口62aが向くように形成されている。
【0038】
ここで、水皿20は、筐体12内部の水皿傾動機構50と支持機構30とによって傾動端部および軸側端部が支持されているので、作業者が水皿20を取り外してメンテナンスを行う際には、水皿20の傾動端部および軸側端部を筐体12から夫々分離させることになる。筐体12からの水皿20の軸側端部の取り外しは、前述した通りである。一方、筐体12から水皿20の傾動端部を分離する場合、コイルばね28F,28Rの上端部に設けられるフック62をカム部材26F,26Rの保持部85から取り外すか、コイルばね28F,28Rの下端部に設けられるフック62を水皿20の保持部85から取り外す必要がある。しかし、一般的には、フック62を保持溝部89に係合させた後に、工具等を使ってフック62を潰すことで開口62aを狭めているため、作業者がフック62を保持溝部89から取り外そうとする際にはフック62が潰れた状態で保持溝部89にしっかり係合しており、フック62を外す作業には手間がかかることになる。この場合に、フック62の開口62aを大きめに形成し、かつ、保持溝部89に引っ掛けた後に潰さないようにしておけば、フック62の取り外しは容易となるが、このようにすれば保持部85のフランジ88による抜け止めが効かずにフック62が保持溝部89から離脱してしまう可能性が高まる。なお、フック62が保持溝部89から離脱し得るタイミングとしては、例えば製氷運転から除氷運転への移行開始時がある。この場合は、閉成位置の水皿20の上面が製氷室16の氷塊と氷結している状態でカム部材26F,26Rが起立姿勢から傾倒姿勢に向けて正転方向への回動を開始するため、カム部材26F,26Rの保持部85と水皿20の保持部85との間の距離が次第に狭くなって、その結果、フック62による保持溝部89に対する引っ掛かりが弱くなり、保持溝部89からフック62が離脱する可能性が高まる。コイルばね28F,28Rのフック62は、このような保持溝部89からの離脱を防ぐため、保持溝部89にしっかり係合させてあるのが通常である。従って、フック62を保持溝部89から取り外す作業には手間がかかることになる。このような事情から、フック62の取り外しを容易とするため、コイルばね28F,28Rに操作対象部63を設け、この操作対象部63に所定方向の力を付与することで、
図4の状態でのコイルばね28F,28Rの上端側に設けられているフック62の内径寸法を拡大できるように構成している。実施例1では、操作対象部63として、作業者の手指で押圧操作できるレバー63Aを設けてある。
【0039】
具体的に、レバー63A(操作対象部63)は、コイルばね28F,28Rの素線Sのうち、巻回部61の端側に設けられる一方のフック62を形成している部分(フック形成部)よりも更に端側に位置する部位によって形成されている。ここで、素線Sのフック形成部は、巻回部61に連なる端部(一端部という)Saから他方の端部(他端部という)Sbまでが、保持部85(小径部86)の周囲を1周分を越える長さで延在するよう環状に設けられている。すなわち、フック62は、素線Sによる形成範囲の両端部Sa,Sbが何れも円弧状になっており、厚み方向(保持部85の突出方向)に互いに重なっている。そして、素線Sにおけるフック形成部よりも端側の部位を、巻回部61に対しやや離間した位置で折り曲げることで、レバー63A(操作対象部63)がフック形成部の他端部Sbから外方(フック62の径方向)に向けて延出するように設けられている。このような構成により、レバー63Aを巻回部61側に押圧する(矢印Y1方向への押圧力を加える)ことで、フック62の開口62aが全体的に外方へと拡大するようにフック62が変形する。
【0040】
このように、実施例1では、コイルばね28F,28Rの素線Sを、保持部85(小径部86)の周囲を環状に1周分を越える長さで延在させてフック62を形成することでフック62の強度を高めている。そして、コイルばね28F,28Rに操作対象部63を設け、この操作対象部63に所定方向の力が加えられることでフック62がその内径寸法(保持部85が係合する開口62aの寸法)を拡大するように変形する構成としたことにより、操作対象部63が設けられていない場合よりも簡単に、フック62を保持部85から外すことができるようになっている。この場合に、素線Sのフック形成部が保持部85(小径部86)の周囲を1周分を越える長さで延在するよう環状に設けられているので、操作対象部63としてのレバー63Aを巻回部61側に押圧する操作(フック62の外周形状に沿う方向に押圧する操作)によって、フック62の開口62aの寸法(内径寸法)が全体的に拡大される。従って、操作対象部63を操作することによってフック62の開口62aを保持部85に対するフック62の着脱がし易い形状とすることができる。
【0041】
図4および
図5(b)に示すように、コイルばね28F,28Rのフック62は、当該コイルばね28F,28Rの延在方向(
図4では上下方向)に長い楕円形に形成されている。このため、当該フック62の長手方向の内径寸法と同じ内径寸法の正円形状をなすようなフックと比べて、短手方向の内径寸法が小さい分だけフック62の保持部85に対する左右へのぐらつきを抑えることができる。また、当該フック62の短手方向の内径寸法と同じ内径寸法の正円形状をなすようなフックと比べて、長手方向の内径寸法が大きい分だけフック62の開口寸法を大きくすることが可能となるので、レバーAに対する押圧操作によって保持部65(保持溝部89)に対するフック62の着脱を容易とすることができる。
【0042】
(運転時における水皿傾動機構50の作用について)
実施例1の自動製氷機10は、製氷運転の際、水皿傾動機構50における前後のカム部材26F,26Rが起立姿勢にあり、水皿20は、当該水皿20の保持部85とカム部材26F,26Rの保持部85との間に介装されているコイルばね28F,28Rの弾力によって、製氷室16を下方から閉成する閉成位置に保持される。この状態で製氷運転が行われ、製氷室16に氷塊が生成されると、製氷運転が終了して除氷運転に移行する。除氷運転に移行する場合、アクチュエータモータAMの正駆動によってカム部材26F,26Rが正転方向に回動を開始する。この時カム部材26F,26Rのカム部52cによって水皿20が押し下げられることにより、製氷室16の氷塊と水皿20上面との氷結が解除される。水皿20が製氷室16の氷塊から完全に剥離すると、水皿20は自重により下がり、回動中のカム部材26F,26Rとの間のコイルばね28F,28Rの弾力により保持されながら傾動する。カム部材26F,26Rが所定角度回動して傾倒姿勢に変化すると、アクチュエータモータAMによる正駆動が終了し、カム部材26F,26Rの回動が停止して、水皿20が開放位置に保持される。この状態で除氷運転が進行し、製氷室16から全ての氷塊が落下すると、アクチュエータモータAMが逆駆動され、傾倒姿勢のカム部材26F,26Rが逆転方向に回動して起立姿勢に変化する。これにより、水皿20が上方に傾動して閉成位置に保持され、再び製氷運転が開始される。
【0043】
(水皿20のメンテナンスを行う際の作業について)
筐体12から水皿20を取り外してメンテナンスを行う場合には、水皿20を開放位置(傾斜姿勢)に傾動させた状態(除氷運転時の状態)として、運転を停止させ、筐体12からフロントパネル12aを取り外すことで筐体12の前面側を開放して、水皿20を取り外すための作業を筐体12前側から行う。水皿20を取り外しでは先ず、水皿傾動機構50によって支持されている水皿20の傾動端部を筐体12から分離させ、次に、支持機構30によって支持されている水皿20の軸側端部を筐体12から分離させるようにする。水皿傾動機構50は、前カム部材26Fおよび前コイルばね28Fによって水皿20の傾動端部における前側部位を支持すると共に、後カム部材26Rおよび後コイルばね28Rによって水皿20の傾動端部における後側部位を支持しているので、前コイルばね28Fにおける上下何れかのフック62を保持部85の保持溝部89から外し、かつ、後コイルばね28Rにおける上下何れかのフック62を保持部85の保持溝部89から外すことで、水皿20の傾動端部を筐体12から分離させることができる。
【0044】
水皿20の傾動端部を筐体12から分離させる際、一般的には、コイルばね28F,28Rの上端部に設けられているフック62を外方に向けて引っ張ることで開口62aを強制的に拡大するように変形させ、カム部材26F,26Rに設けられる保持部85(保持溝部89)から離脱させるようにする。この時、フック62は保持溝部89に係合しているため、フック62を外方に向けて引っ張る作業は容易ではなく、非常に手間がかかる。これに対し、実施例1の自動製氷機10は、コイルばね28F,28Rに、操作対象部63としてのレバー63Aを設けてある。コイルばね28F,28Rは、素線Sにおける巻回部61より端側の部分を保持部85(小径部86)の周囲に1周分を越える長さで延在させることで当該コイルばね28F,28Rの延在方向に沿って長い楕円形のフック62を形成し、このフック62を形成している部分(フック形成部)よりも端側の部位をフック62の外方に向けて折り曲げることでレバー63A(操作対象部63)を形成している。このため、レバー63Aを巻回部61側に押圧する(
図4における矢印Y1方向への押圧力を加える)ことで、
図4における下方および左方に向けてフック62の開口62aが広がることになる。すなわち、レバー63Aを操作することでフック62の開口62aを容易に拡大することができ、手間をかけずに保持溝部89からフック62を離脱させることができる。
【0045】
水皿20の傾動端部についての筐体12に対する分離作業が終了すると、次に水皿20の軸側端部を筐体12側から分離する作業を行う。ここで、支持機構30は、水皿20に設けられている前側の水皿支持板34Fが筐体12における前側の取付柱体12dに固定された前側の軸受け金具32Fで枢支されており、水皿20に設けられている後側の水皿支持板34Rが筐体12における後側の取付柱体12dに固定された後側の軸受け金具32Rで枢支されている(2組の支持組によって水皿20が枢支されている)が、前側の水皿支持板34Fおよび軸受け金具32Fからなる支持組と、後側の水皿支持板34Rおよび軸受け金具32Rからなる支持組とは、各部材の貫通穴38に1つの枢支ピン36を前側から閂状に挿通させることで一度に接続されており、その枢支ピン36の前方への抜けが抜け止め手段40で規制されている。このため、水皿20の軸側端部を筐体12側から取り外す場合には、筐体12内部の手前側に位置する抜け止め手段40を取り外して枢支ピン36の抜け止めを解除する。そして、枢支ピン36を手前側に抜き出すことで、軸受け金具32F,32Rと水皿支持板34F,34Rとの接続が解除される。これにより、水皿20が筐体12側から分離され、筐体12の外部での水皿20のメンテナンスが可能となる。
【0046】
(水皿20のメンテナンス終了後の取り付けについて)
筐体12の外部での水皿20のメンテナンスが終了すると、水皿20を筐体12の内部に取り付ける作業を行う。この場合には先ず、水皿20の軸側端部を支持機構30で支持するように組み付け、次に、水皿20の傾動端部を水皿傾動機構50で支持するように組み付けるようにする。水皿20の軸側端部を筐体12側に組み付ける場合には、前側の水皿支持板34Fと前側の軸受け金具32Fとで貫通穴38の位置を合わせるようにすると共に、後側の水皿支持板34Rと後側の取付柱体12dとで貫通穴38の位置を合わせるようにし、この状態で各部材の貫通穴38を通過するように枢支ピン36を前側から差し込む。この時、枢支ピン36の差し込み方向の先端部36aはテーパ状となっていることから、各貫通穴38を容易に通過させることができる。また、枢支ピン36の末端部36bが他の部位よりも大径となっているので、枢支ピン36が各貫通穴38を通過して前方に抜け出ることはない。そして、枢支ピン36を各貫通穴38に挿通させた状態で、抜け止め手段40を前側の軸受け金具32Fの前面に取り付けることで、当該抜け止め手段40が枢支ピン36の末端部36bに近接し、枢支ピン36の後方への抜けが規制される。これにより、水皿20の軸側端部が支持機構30によって支持された状態となる(筐体12に取り付けられる)。
【0047】
水皿20の軸側端部を筐体12側に取り付ける作業が終了すると、次に水皿20の傾動端部を筐体12側に取り付ける作業を行う。筐体12内部では、カム部材26F,26Rが傾倒姿勢で位置している。これに対し、水皿20の傾動端部には、後コイルばね28Rが接続されている。このため、水皿20側に接続されているコイルばね28F,28Rのレバー63Aを巻回部61側に押圧することで水皿20と反対側に位置するフック29bを広げて、この状態で前カム部材26Fの保持部85の保持溝部89に引っ掛けるようにして係合させる。これにより、水皿20の傾動端部のうち後側部位および前側部位の両方が筐体12側に組み付けられ、水皿傾動機構50によって水皿20の傾動端部が支持された状態となる。すなわち、水皿20が筐体12側に正しく組み付けられた状態となり、運転を再開させることができる。
【0048】
〔別例1-1〕
実施例1のコイルばね28F,28Rが有するレバー63A(操作対象部63)は、素線Sの直線部分によって形成されており、素線Sの端面がそのままレバー63Aの端面となっているため、このレバー63Aの延出端部には角が生じている。このため、レバー63Aを押圧操作する作業者が手指を怪我する可能性もある。このような懸念を解消するため、
図6に示すように、レバー63Aの延出端部を素線Sの折り返し部65によって形成することができる。この場合には、レバー63Aの端面が曲面となり、作業者の接触による怪我を防ぐことができる。
【0049】
〔別例1-2〕
また、
図7に示すように、レバー63(操作対象部)を巻回部61側に押圧することでフック62の開口寸法を拡大可能な構成の場合において、レバー63Aをその途中位置で巻回部61側に折り曲げるようにすれば、レバー63Aの延出端部が作業者による押圧操作を受ける側とは反対側に向くようになるので、当該レバー63Aの延出端部を作業者による押圧操作を受ける部分から離間させることができる。従って、レバー63Aを押圧操作する作業者の手指が当該レバー63Aの延出端部に接触し難くなり、作業者の怪我を防ぐことができる。なお、別例1の折り返し部65の構成と組み合わせて採用することで、レバー63Aを操作する際の安全性を更に高め得る。
このように、実施例2では、操作対象部63としてのレバー63Aを巻回部61側に押圧する操作(フック62の外周形状に沿う方向に押圧する操作)によって、フック62の開口62aの寸法(内径寸法)が全体的に拡大される。すなわち、レバーAの操作に応じて、フック62の開口62aを保持部85の保持溝部89に係合させ易い形に拡大させることができる。また、水皿20の荷重を受けているコイルばね28F,28Rは、素線Sにおけるフック形成部の両端部Sa,Sbが保持溝部89の外側で交差し、当該交差部分とレバー63Aとが保持溝部89の外側に位置する構成とすることで、このフック62における厚み寸法の大きな部分(素線Sの重なり部分)が小さく、かつフック62全体が保持溝部89に嵌まり込むようなことがない。すなわち、保持溝部89の内側でフック62が摺動することによる保持部85の削れやフック62の変形等を防ぐことができる。
なお、実施例2におけるレバー63Aは、その途中位置で折り曲がるように形成されている。これにより、巻回部61の内側から折り曲がり部分までの基端部66を巻回部61から離して、押圧操作による移動スペースを確保しつつ、折り曲がり部分よりも先端側の延出端部67を操作し易い位置に設けることができる。