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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045605
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】精米プラントシステム
(51)【国際特許分類】
   B02B 5/02 20060101AFI20220314BHJP
   A01M 29/34 20110101ALI20220314BHJP
【FI】
B02B5/02 Z
A01M29/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151280
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000151863
【氏名又は名称】東洋ライス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】雜賀 慶二
【テーマコード(参考)】
2B121
4D043
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121BB25
2B121BB27
2B121EA08
2B121FA12
4D043JF00
4D043KA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開放系の従来から公知の機器を用いつつも精米工場内に虫等が湧きにくく、製品にも虫が付くことがない精米プラントシステムを提供する。
【解決手段】精米工場P内に略密閉状の小部屋R01~R12を構築し、機器103~120をその小部屋R01~R12内に設置するとともに、その機器103~120に前工程と後工程との連絡路301~315を略密閉状に接続した。少なくとも精米機から包装機に至る一連の機器については、複数の小部屋内に設置するとともに、それら小部屋間を略密閉状の連絡路で接続する形態が好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精米工場内に略密閉状の小部屋を構築し、精米プラントに用いる機器をその小部屋内に
設置するとともに、その機器に前工程と後工程との連絡路を略密閉状に接続してなること
を特徴とする精米プラントシステム。
【請求項2】
精米工場内に複数の略密閉状の小部屋を構築し、精米機から包装機に至る一連の精米プ
ラントに用いる複数の機器の一部または全部を、上記複数の小部屋内に設置するとともに
、それらの小部屋間を略密閉状の連絡路にて接続してなることを特徴とする精米プラント
システム。
【請求項3】
精米工場内に小部屋を構築し、精米プラントに用いる機器をその部屋内に設置するとと
もに、該小部屋内の温度を所定温度に昇温させるための昇温手段を設けてなる精米プラン
トシステム。
【請求項4】
前記小部屋の内面の一部または全部に断熱材を用いている請求項3の精米プラントシス
テム。
【請求項5】
前記昇温手段として、前記小部屋内に配置される前記機器にヒータを設けてなる請求項
3又は4記載の精米プラントシステム。
【請求項6】
前記複数の小部屋を、工程順に次第に下方となる位置に設けてなる請求項2~5の何れ
か1項に記載の精米プラントシステム。
【請求項7】
前記包装機が配置される小部屋から包装された米が排出される排出口に、エアカーテン
を設けてなる請求項2~6の何れか1項に記載の精米プラントシステム。
【請求項8】
前記包装機が配置された小部屋の壁面または天井に、防虫アミを介して室外の空気を室
内に送り込む送風機を設け、その小部屋内を与圧にして包装された米が排出される排出口
より排気させる請求項2~7項の何れか1項に記載の精米プラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米工場に用いられる精米プラントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
精米工場における精米プラントシステムとしては、入荷ヤードに複数機の異物選別機が
配設され、入荷した玄米から異物を選別除去した後、多数の玄米タンクが装備される玄米
貯蔵ヤードに送り込み、入荷番号別に玄米タンクに貯蔵し管理し、精米ヤードに複数機の
精米機が配設され、玄米タンクから送り込まれた玄米をロット別に所定の条件で精米し、
各精米機の後段には破砕米選別機が配設され、精米機で精米された精白米に混入している
破砕米を選別除去し、多数の精白米タンクが装備された精白米貯蔵ヤードに送り込み、ロ
ット別に貯蔵し管理し、出荷ヤードには複数機の着色米選別機が配設されており、精白米
に混入している着色米を選別除去したうえ、包装機によって包装され、白米として出荷す
るものが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、このような精米プラントシステムでは、従来、玄米タンクから精米機、精米機か
ら出た白米を各種の選別機やブレンド装置などの他、各工程間の米の搬送に多数のチェー
ンコンベアやリフト等が用いられており、このようなコンベア等では装置が大型化してコ
スト高であるという問題に加え、隙間部分に米や糠が残留してカビや虫などが発生すると
いった問題があったが、これを解決する手段として、ブロワやコンプレッサを用いて送気
流を管内に発生させ、この送気流によって米を空気搬送する手段も提案されている(例え
ば、特許文献2、3参照。)。
【0004】
しかしながら、各工程で用いられる精米機や各種選別機、包装機などの各機器は、メン
テナンス等の理由から基本的に開放系の装置とされているため、精米工場内に虫の発生の
原因となる粉塵をまき散らすことや、さらに工場内にいる虫が機器内に侵入して米に付い
てしまう虞があり、上記のように空気搬送を採用しても結局のところ工場全体に防虫対策
を施す必要があり、このような防虫対策は衛生上の問題から殺虫剤を使用出来ず、掃除を
するにしても極めて困難でコストがかかり、また搬入される玄米に既に虫が付いている場
合も多く、一定の限界があった。そのためいずれの精米工場においても、製品に虫混入の
クレームに悩まされているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-275828号公報
【特許文献2】特開2002-316059号公報
【特許文献3】特開2004-267999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、開放系の従来から公
知の機器を用いつつも精米工場内に虫等が湧きにくく、製品にも虫が付くことがない精米
プラントシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前述の課題解決のために鋭意検討した結果、粉塵が出たり、虫の侵入の可
能性のある各機器を略密閉状の小部屋内に収納し、その機器に前工程と後工程との連絡路
を略密閉状に接続すれば、粉塵が出ても当該小部屋内に抑えることができ、逆に工場内に
虫がいても小部屋内の機器への侵入を防ぐことができ、工場全体に防虫対策を施すことに
比べて、きわめて低コスト且つ確実に製品への虫の付着を防止できることを見出し、第1
の発明を完成した。
【0008】
すなわち第1の発明は、精米工場内に略密閉状の小部屋を構築し、精米プラントに用い
る機器をその小部屋内に設置するとともに、その機器に前工程と後工程との連絡路を略密
閉状に接続してなることを特徴とする精米プラントシステムを提供する。
【0009】
さらに本発明者は、かりに玄米に虫が付着していたとしても、精米機で高圧で揉まれる
過程で虫が粉砕され、その死骸が糠と一緒に排出されて、処理された白米が一旦無虫の状
態になる点に着目し、少なくとも精米機から包装機に至る一連の機器について、上記のと
おり小部屋に収納して連絡路で略密閉に接続して構成すれば、同じく製品への虫の混入を
防止できることをも見出し、第2の発明を完成した。
【0010】
すなわち第2の発明は、精米工場内に複数の略密閉状の小部屋を構築し、精米機から包
装機に至る一連の精米プラントに用いる複数の機器の一部または全部を、上記複数の小部
屋内に設置するとともに、それらの小部屋間を略密閉状の連絡路にて接続してなることを
特徴とする精米プラントシステムをも提供する。
【0011】
これら発明における「略密閉状」とは、開放部分に虫が通過不能の防虫アミを設けたり
、或いはエアカーテン等によって虫の侵入を防止したりした状態を含み、その他、米や砕
粒、糠等を所定の場所に送るための配管及び配線や空調等の各ダクトの内部空間を除いて
略密閉となるものを含む。また、略密閉状の連絡路には、途中に略密閉状にタンクを介在
させたものも含む。
【0012】
また、第3の発明は、精米工場内に小部屋を構築し、精米プラントに用いる機器をその
部屋内に設置するとともに、該小部屋内の温度を所定温度に昇温させるための昇温手段を
設けてなる精米プラントシステムをも提供する。ここで、前記小部屋の内面の一部または
全部に断熱材を用いるものが好ましい。
【0013】
特に、前記昇温手段として、前記小部屋内に配置される前記機器にヒータを設けたもの
が好ましい。
【0014】
また、前記複数の小部屋を、工程順に次第に下方となる位置に設けたものが好ましい。
【0015】
また、前記包装機が配置される小部屋から包装された米が排出される排出口に、エアカ
ーテンを設けたものが好ましい。或いは前記包装機が配置された小部屋の壁面または天井
に防虫アミを設けた送風機を設け、その小部屋内を与圧にして上記排出口より排気するの
が好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上にしてなる本願発明に係る精米プラントシステムによれば、精米工場内に略密閉状
の小部屋を構築し、精米プラントに用いる機器をその小部屋内に設置するとともに、その
機器に前工程と後工程との連絡路を略密閉状に接続してなるので、それらの機器から粉塵
が出てもそれらの小部屋内で抑えられ、また前後の機器との間の米の受け渡しの際も連絡
路で略密閉状に接続しているので小部屋外に粉塵をまき散らすことが防止でき、それらの
小部屋から精米工場内に虫の発生の原因となる粉塵をまき散らすことを防止できる。また
、外部から機器への虫等の侵入についても小部屋によって防ぐことが出来、半製品または
製品に虫が入ることもない なお、小部屋内に粉塵が発生し、それによって虫が発生して
も工場全体ではなく小部屋内を一時的に加熱して殺虫するか、または掃除等の防虫対策を
施せばよいので、防虫対策がより容易且つ確実となり、コストも低減できる。また、この
ように機器を小部屋内に設置することで、僅かの人的または熱エネルギーで防虫対策が出
来るだけでなく、温度、湿度等の各種の環境を細かく最適に個別管理することも可能にな
る。
【0017】
また、精米工場内に複数の略密閉状の小部屋を構築し、精米機から包装機に至る一連の
精米プラントに用いる複数の機器の一部または全部を上記複数の小部屋内に設置するとと
もに、それらの小部屋間を略密閉状の連絡路にて接続してなるので、機器から粉塵が出て
も同じく小部屋内で抑えられ、また前後の小部屋間の米の受け渡しの際も連絡路で略密閉
状に接続しているので小部屋外に粉塵をまき散らすことが防止でき、精米工場内全体に虫
の発生の原因となる粉塵をまき散らすことを防止できる。
【0018】
また、外部から機器への虫等の侵入についても、小部屋によって防ぐことが出来、半製
品または製品に虫が入ることもない。なお、上記の如く小部屋内に粉塵が発生し、それに
よって虫が発生しても工場全体ではなく小部屋に防虫対策を施せばよいので、防虫対策が
より容易且つ確実となり、コストも低減できる。また、このように機器を小部屋に設置す
ることで、温度、湿度等の各種の環境を細かく最適に個別管理することが可能になる。ま
た、小部屋同士が略密閉の連絡路で接続されているので、機器同士を直接連絡路で接続し
なくても、小部屋の間で工場内に粉塵をまき散らしたり、逆に虫等が侵入することを確実
に防止できる。
【0019】
そして、本発明によれば玄米中に仮に虫がいたとしても、精米機で粉砕され、死骸は糠
と共に排出されるから精米機で加工された米は無虫となり、その後包装機に至るまで略密
閉状の小部屋及び連絡路にて各機器に接続されて加工されるため、製品(米)に虫が付く
ことを確実に防ぐことができる。また、各小部屋に防虫対策を施すことにより、内部の機
器は開放系でも粉塵のまき散らしや製品への虫等の侵入を防止できるので、設計の自由度
が増す。
【0020】
また、精米工場内に小部屋を構築し、精米プラントに用いる機器をその部屋内に設置す
るとともに、該小部屋内の温度を所定温度に昇温させるための昇温手段を設けたので、仮
に虫等が部屋内に侵入または発生しても一時的に且つ僅かのエネルギーにて殺虫効果を得
ることができ、工場全体ではなく限られた小部屋のスペースなので効率よく昇温すること
が可能となり、コストもきわめて低く、工場内の作業者の作業性に悪影響を与えることも
防ぐことができ、また工場全体では不可能であった高温度に上げることも可能であり、高
い殺虫効果を得ることができる。
【0021】
また、昇温手段として、小部屋内に配置される機器にヒータを設けたので、機器自体の
動力を利用でき、別途設備を設けるよりもコストを低減できるとともに、機器の筐体等を
伝熱してより直接的かつ高温で効果的に殺虫効果を得ることができる。
【0022】
また、包装機が配置される小部屋から包装された米が排出される排出口に、エアカーテ
ンを設けたので、或いは同小部屋内を与圧にし、包装された米が排出される排出口より排
気させるので、密閉しにくい当該排出口の外から小部屋内に虫等が侵入することを防ぐこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の代表的実施形態に係る精米プラントシステムを示す模式図。
図2】連絡路の例を示す模式図。
図3】連絡路の変形例を示す模式図。
図4】包装機の小部屋の排出口にエアカーテンを設けた様子を示す模式図。
図5】各小部屋の配置の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
本発明の精米プラントシステムSは、図1に示すように、精米工場P内に略密閉状の小
部屋R01~R12を構築し、機器103~120をその小部屋R01~R12内に設置
するとともに、その機器103~120に前工程と後工程との連絡路301~315を略
密閉状に接続してなることを特徴とする。具体的には、機器101は米粒より少し大きい
ものや粉塵を選別する粗選別機、機器102は原料計量機、符号201は玄米タンク(複
数の場合もある)である。また、機器103は玄米計量機、機器104は混米機、機器1
05は精米機、機器106は砕粒等を選別する粒選別機、機器107は磁石に付く金属を
除去する金属セレクター、符号202は白米タンクである。
【0026】
また、機器108は糠玉を選別する粒選別機、機器109は白米計量機、機器110は
無洗米加工機、機器111は石など比重の大きいものを選別する石抜き撰穀機、機器11
2は米粒より少し軽いものを選別する選別機、機器113、114は着色粒やガラスなど
の異物を選別するガラス・色彩選別機、機器115は砕粒等を選別する粒選別機、機器1
16は金属を選別する金属選別機、機器117は粉塵や虫など比重の軽いものを選別する
インセクトセパレーター、機器118は磁石に付く金属を除去する金属セレクター、符号
203は製品タンク(複数の場合もある)である。また、機器119は計量包装機、機器
120は袋詰めされた製品の金属を検知する金属探知機、機器121は袋詰めされた製品
をパレットに積みつけするはい積み機である。
【0027】
尚、それらの機器より個々に接続する配管、例えば異物、糠、砕粒、糠玉、石米、着色
粒、等を所定の個所に送る配管は図示を省略しているが、任意に設定出来る。また各機器
101~121は、従来から公知のものを含め、広く採用できる。また、図1に示した各
機器を用いるシステムに何ら限定されず、これら機器のうち一部のもののみで構成したシ
ステム、例えば無洗米加工機を用いないシステムや、他の機器を用いたシステムなども勿
論含まれる。また、各選別機や検出機の配列などについても他の形態が可能である。
【0028】
小部屋R01~R12は、精米工場Pのフロアの空間内に、別途機器を略密閉状に覆う
隔壁を有する小部屋であり、機器の収納スペースとメンテナンス作業スペースのみの必要
最小限の内部空間を有する略密閉状の部屋とされている。しかし小部屋の数を減らしたり
、各小部屋に収納する機器の数を多くしたり減らしたりは自由である。本発明は精米プラ
ントに用いるすべての機器を小部屋内に設置する必要はなく、本例でも、機器101、1
02、121は小部屋内に設置されていない。精米機以後の工程の機器や、粉塵が出やす
い機器のみ小部屋内に設置することも効果的であり、極端な例として小部屋が一つのみの
場合も含む。
【0029】
そのように、各機器をそれぞれ個別に小部屋内に設置する必要もない。本例でも小部屋
R01、R05、R09、R10、R11、R12において、複数の機器(本例では2つ
の機器であるが3つ以上の機器でもよい)を同じ一つの小部屋内に設置している。精米プ
ラントシステムに用いる複数の機器のうち、どの機器を小部屋内に設置するか、どの機器
を個別に、あるいは複数の機器をまとめて一つの小部屋内に設置するか或いは多数の機器
を少数の機器にまとめて少数の小部屋内に設置するか等の選択は、各種機器の適性やメン
テナンス性、搬送効率、温度管理等の種々の条件に応じて適宜選択することができる。
【0030】
ただし、少なくとも精米機105から後工程の計量包装機119に至る一連の機器につ
いては必要最少限の、複数の小部屋R02~R12内に設置するとともに、それら小部屋
間を略密閉状の連絡路303~314で接続する形態が好ましい(間にタンクが介在して
もよい)。玄米中に仮に虫がいたとしても精米機で加工された米は無虫となり、その後包
装機で包装されるまでの間、虫の侵入を防ぐことができれば製品(米)に虫が付くことを
確実に防ぐことができるからである。しかし小部屋R12の排出口54は、包装された米
袋9を排出するために開口しているので、他の小部屋のような密閉性を保つことができな
い。そこで包装機119が設置された小部屋R12の排出口54には、図4に示すように
虫の侵入を防ぐエアカーテン4が設けられており、または小部屋R12の壁面または天井
に防虫アミを設けた送風機(いずれも図示せず)によって小部屋R12内を与圧にするこ
とで、排出口54よりは排気するので、いずれの場合でも米袋9は内外のコンベア8A,
8Bにより排出口54から虫の侵入を防ぎ乍ら外部のはい積み機121まで搬送される。
【0031】
連絡路301~315は、例えばシュートや吸引方式又は圧送方式の空気搬送(例えば
上述の特許文献2、3や特開2005-306514号公報、特開2005-29671
6号公報など)で米を搬送できる送米ダクトやスクリューコンベアなど、従来から公知の
略密閉状の搬送手段を用いることができ、図2に示すように、機器(118)に直接接続
された送米ダクト自体を連絡路(313)として構成することもできるし、或いは図3
示すように、小部屋(R10、R11)間を略密閉状に連結する連絡路(312)の内部
に、別途搬送手段を内装したものでもよい。図3のように別途搬送手段を構成する場合、
搬送手段自体はコンベアや昇降機等の開放系のものを採用することができる。尚、同じ小
部屋内に設置された複数の機器間の米の搬送、例えば図1の例では108と109の間、
113と114の間などの米の搬送手段は、密閉系の方が望ましいが開放系でも勿論よい
【0032】
各小部屋R01~R12の内面の一部または全てを断熱材(図示せず)で構成されると
ともに、内部の温度を所定温度に昇温させるための昇温手段(図示せず)が設けられてい
る。例えば、虫が湧いても退治できる50℃くらいに昇温できるように電熱赤外線ストー
ブが設置され、さらに内部に設置されている機器自体にもヒータが設けられ、機器筐体を
通じて直接的に効率よく防虫対策を施すことができるように構成されている。これら昇温
手段は、自動温度調節機能を有するものが好ましい。
【0033】
このように精米工場P内の機器の一部または全部を小部屋内に設置することで利点が多
いが、各機器の運転操作やサンプリングする度に小部屋の扉を開閉して作業員が出入りす
るのが煩わしいとの問題が生じる。しかしそれをクリアする方法として、例えば精米工場
内を次の如くにしてもよい。即ち精米工場P内には、複数の機器101~121の動作を
遠隔制御するための制御装置を備える管理室を別途設け、その管理室内の作業者は、この
制御装置の操作部を操作して各機器101~121を遠隔操作する。その場合、管理室は
、各小部屋R01~R12と同様、外部から略密閉状に構成されることが望ましい。そし
て、各機器101~118にはそれぞれ管理室からの遠隔操作にて開閉するサンプル取出
装置を設け、その開閉口と管理室は送米ダクトによって接続されていて、管理室内の作業
者は、任意の機器から送米ダクトを通じて少量の米のサンプルを入手することができる。
【0034】
このサンプルの入手方法は、リアルタイムで非常に短い時間に取り出せることが望まし
く、したがって、送米ダクトは吸引方式または圧送方式の空気搬送(例えば上述の特許文
献2、3や特開2005-306514号公報、特開2005-296716号公報など
に開示の空気搬送方式)や上から下への自由落下を利用したシュート、これらの組み合わ
せなどが好適である。
【0035】
このように作業員は各機器が設置されている各小部屋に行くまでもなく管理室から遠隔
で、機器の操作、調整を行うことができるので、従来のシステムに比べて超高効率となり
、作業員を少なくできるとともに、小部屋R01~R12の配置についても作業者の行き
来を考慮することなく自由に設計でき、また作業者の入退室により小部屋から粉塵が出た
り小部屋内に虫等が侵入したり、或いは作業者の毛髪等が製品に混入したりするといった
ことも未然に防ぐことができる効果もある。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ること
は勿論である。
【符号の説明】
【0037】
P 精米工場
R01~R12 小部屋
S 精米プラントシステム
4 エアカーテン
8A,8B 搬送コンベア
54 排出口
101~121 機器
201~203 タンク
301~315 連絡路
図1
図2
図3
図4
図5