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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045697
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20220314BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220314BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20220314BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20220314BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 D
H01L27/06 311B
H01L27/092 A
H01L21/82 W
H01L21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151424
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 英俊
(72)【発明者】
【氏名】塚本 麻衣
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5F048
5F064
【Fターム(参考)】
5F033MM29
5F033NN34
5F033QQ48
5F033UU03
5F033UU04
5F033VV07
5F038BE09
5F038BH04
5F038BH05
5F038BH12
5F038BH13
5F038CD05
5F038CD11
5F038EZ20
5F048AA07
5F048AC03
5F048CC06
5F048CC15
5F048CC18
5F064EE10
5F064EE23
5F064EE52
5F064EE53
(57)【要約】
【課題】配線層の損傷を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、パッド部と、平面視で前記パッド部から離れた位置に配置された保護回路と、N個の配線層と、積層方向で隣り合う前記配線層同士を接続する複数の導電ビアと、を有し、平面視で、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを繋ぐ第3領域と、を有し、前記N個の配線層は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域にわたって配置され、前記パッド部側の第1配線層は、前記第1領域において前記パッド部に接続され、前記保護回路側の第N配線層は、前記第2領域において前記保護回路に接続され、前記第2領域及び前記第3領域内で、前記N個の配線層のうちで上から第i番目に位置する第i配線層と、第i+1番目に位置する第i+1配線層とを接続する第i導電ビアの総断面積をSとしたとき、SはSのいずれよりも小さい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド部と、
平面視で前記パッド部から離れた位置に配置された保護回路と、
前記保護回路と前記パッド部との間に積層され、前記パッド部と前記保護回路とを接続するN(Nは2以上の整数)個の配線層と、
積層方向で隣り合う前記配線層同士を接続する複数の導電ビアと、
を有し、
平面視で、
第1領域と、
第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域とを繋ぐ第3領域と、
を有し、
前記N個の配線層は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域にわたって配置され、
前記積層方向で前記N個の配線層のうちで前記パッド部側から第1番目に位置する第1配線層は、前記第1領域において前記パッド部に接続され、
前記積層方向で前記N個の配線層のうちで前記パッド部側から第N番目に位置する第N配線層は、前記第2領域において前記保護回路に接続され、
前記第2領域及び前記第3領域内で、前記N個の配線層のうちで上から第i番目に位置する第i配線層と、第i+1番目に位置する第i+1配線層とを接続する第i導電ビアの総断面積をS(iは1以上N-1以下の整数)としたとき、SはS(jは2以上N-1以下の整数)のいずれよりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の導電ビアの間で径が等しく、
前記第2領域及び前記第3領域内で、前記第i導電ビアの総数をAとしたとき、AはAのいずれよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記N個の配線層は、それぞれ、電気的に前記パッド部及び前記保護回路に接続される信号線を有し、
前記第1配線層に含まれる第1信号線は、前記第i+1配線層に含まれる第i+1信号線よりも細いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記パッド部は、
電極パッドと、
前記積層方向で前記電極パッドと前記第1配線層との間に配置された複数のパッドコンタクト層と、
を有し、
平面視で、前記複数のパッドコンタクト層のうちで前記電極パッドに最も近く位置する第1パッドコンタクト層は、前記信号線が並ぶ方向で、前記第1配線層に最も近く位置する第2パッドコンタクト層の一部のみに重なり、
平面視で前記第1信号線のうちで前記第1パッドコンタクト層と重なる第1信号線は、平面視で前記第1信号線のうちで前記第1パッドコンタクト層と重ならない第1信号線よりも細いことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
平面視で、前記第1信号線のうちで前記第1パッドコンタクト層と重ならない第1信号線は、前記第1パッドコンタクト層に近く位置するものほど細いことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記N個の配線層は、それぞれ、電気的に前記パッド部及び前記保護回路に接続される信号線を有し、
前記第1配線層に含まれる第1信号線は、前記第2領域において、前記第1領域よりも細いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1信号線の幅は、前記第1信号線が延びる方向で、複数段階に変化していることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第i+1配線層に含まれる第i+1信号線は、前記第2領域において、前記第1領域よりも細いことを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第i+1信号線の幅は、前記第i+1信号線が延びる方向で、複数段階に変化していることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
平面視で、前記第i信号線は、前記第i+1信号線よりも細いことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記N個の配線層は、それぞれ、電気的に前記パッド部及び前記保護回路に接続される信号線を有し、
前記パッド部は、
電極パッドと、
前記積層方向で前記電極パッドと前記第1配線層との間に配置された複数のパッドコンタクト層と、
を有し、
平面視で、前記複数のパッドコンタクト層のうちで前記電極パッドに最も近く位置する第1パッドコンタクト層は、前記信号線が並ぶ方向で、前記第1配線層に最も近く位置する第2パッドコンタクト層の一部のみに重なり、
前記複数の導電ビアのうちで前記第1配線層に接続される導電ビアの数は、前記第1パッドコンタクト層と重なる範囲の前記信号線が並ぶ方向における中心に近い部分ほど少ない請求項1又は2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極パッドと、内部回路を静電気放電(electro-static discharge:ESD)から保護するための保護回路とを備えた半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-236044号公報
【特許文献2】特開2018-200916号公報
【特許文献3】特開2018-195775号公報
【特許文献4】特開2013-120797号公報
【特許文献5】特開2007-250965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、配線微細化にともなって、保護回路が設けられていても、電極パッドに静電気が入力されたときに、電極パッドと保護回路との間の配線層が損傷することがある。
【0005】
本開示の目的は、配線層の損傷を抑制することができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、パッド部と、平面視で前記パッド部から離れた位置に配置された保護回路と、前記保護回路と前記パッド部との間に積層され、前記パッド部と前記保護回路とを接続するN(Nは2以上の整数)個の配線層と、積層方向で隣り合う前記配線層同士を接続する複数の導電ビアと、を有し、平面視で、第1領域と、第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを繋ぐ第3領域と、を有し、前記N個の配線層は、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域にわたって配置され、前記積層方向で前記N個の配線層のうちで前記パッド部側から第1番目に位置する第1配線層は、前記第1領域において前記パッド部に接続され、前記積層方向で前記N個の配線層のうちで前記パッド部側から第N番目に位置する第N配線層は、前記第2領域において前記保護回路に接続され、前記第2領域及び前記第3領域内で、前記N個の配線層のうちで上から第i番目に位置する第i配線層と、第i+1番目に位置する第i+1配線層とを接続する第i導電ビアの総断面積をS(iは1以上N-1以下の整数)としたとき、SはS(jは2以上N-1以下の整数)のいずれよりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線層の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る半導体装置のレイアウトを示す図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置に含まれる入出力セル領域の構成を示す回路図である。
図3】入出力セル領域のレイアウトを示す図である。
図4】第1実施形態における入出力セル領域の構成を示す断面図である。
図5】第1実施形態における配線層と、入出力パッドと、保護回路との位置関係を示す模式図である。
図6】ダイオードの平面構成の一例を示す模式図である。
図7】第2実施形態に係る半導体装置における配線層と、入出力パッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
図8】第3実施形態に係る半導体装置における配線層と、入出力パッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
図9】第4実施形態に係る半導体装置における配線層と、入出力パッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
図10】第5実施形態に係る半導体装置における配線層と、入出力パッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
図11】第6実施形態に係る半導体装置における信号線を示す模式図である。
図12】第7実施形態に係る半導体装置における配線層と、入出力パッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
図13】本開示が適用可能な回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、以下の説明において、基板の表面に平行で互いに直交する2つの方向をX方向、Y方向とし、基板の表面に垂直な方向をZ方向とする。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置のレイアウトを示す図である。図2は、第1実施形態に係る半導体装置に含まれる入出力セル領域の構成を示す回路図である。図3は、入出力セル領域のレイアウトを示す図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置1は、複数の内部回路領域10及びその周辺に配置された入出力(I/O)セル領域20を含む。なお、内部回路領域10の配置数は1でもよいし、3以上であってもよい。
【0012】
図2に示すように、I/Oセル領域20は、VSSパッド31と、VDDパッド32と、I/Oパッド33とを有する。VSSパッド31に、内部回路領域10にVSSの電源電位を供給するVSS配線が接続される。VSSの電源電位は、例えば接地電位である。VDDパッド32に、内部回路領域10にVDDの電源電位を供給するVDD配線が接続される。I/Oパッド33に、内部回路領域10の信号線が接続される。I/Oセル領域20は、例えば、NチャネルMOSトランジスタ401とPチャネルMOSトランジスタ402とを含むインバータを有する。例えば、NチャネルMOSトランジスタ401のゲートとPチャネルMOSトランジスタ402のゲートとがI/Oパッド33に接続される。例えば、NチャネルMOSトランジスタ401のソースがVSSパッド31に接続され、PチャネルMOSトランジスタ402のソースがVDDパッド32に接続される。VSS配線は接地配線とよばれることもあり、VDD配線は電源配線ともよばれることがある。
【0013】
図2に示すように、I/Oセル領域20は、ダイオード200とダイオード300とを含む保護回路400を有する。ダイオード200のアノードがVSSパッド31に接続され、カソードがI/Oパッド33に接続される。ダイオード300のアノードがI/Oパッド33に接続され、カソードがVDDパッド32に接続される。
【0014】
図3に示すように、I/Oパッド33はパッシベーション膜579から露出するように設けられ、保護回路400はパッシベーション膜579に覆われる。保護回路400は、平面視で、I/Oパッド33から離れた位置に配置される。I/Oパッド33に内部回路領域10の信号線11が接続され、信号線11に保護回路400が接続される。
【0015】
次に、第1実施形態におけるI/Oセル領域20の詳細について説明する。図4は、第1実施形態におけるI/Oセル領域20の構成を示す断面図である。図5は、第1実施形態における配線層と、I/Oパッドと、保護回路との位置関係を示す模式図である。図4は、図3中のIV-IVに沿った断面図に相当する。
【0016】
図4及び図5に示すように、保護回路400は、平面視で、I/Oパッド33から離れた位置に配置される。I/Oセル領域20は、平面視で、第1領域51と、第2領域52と、第1領域51と第2領域52とを繋ぐ第3領域53とを有する。
【0017】
図4に示すように、保護回路400は基板101の表面に形成されている。保護回路400を覆うように絶縁膜549が形成され、絶縁膜549の表面に第4配線層540が形成されている。第4配線層540は、第1領域51、第2領域52及び第3領域53にわたって形成されている。絶縁膜549には、第4配線層540と保護回路400とを接続する複数の導電ビア640が設けられている。導電ビア640は第2領域52に形成されている。第4配線層540は第2領域52において保護回路400に接続されている。
【0018】
第4配線層540を覆うように絶縁膜539が形成され、絶縁膜539の表面に第3配線層530が形成されている。絶縁膜539には、第3配線層530と第4配線層540とを接続する複数の導電ビア630が設けられている。第3配線層530を覆うように絶縁膜529が形成され、絶縁膜529の表面に第2配線層520が形成されている。絶縁膜529には、第2配線層520と第3配線層530とを接続する複数の導電ビア620が設けられている。第2配線層520を覆うように絶縁膜519が形成され、絶縁膜519の表面に第1配線層510が形成されている。絶縁膜519には、第1配線層510と第2配線層520とを接続する複数の導電ビア610が設けられている。第1配線層510、第2配線層520及び第3配線層530は、第1領域51、第2領域52及び第3領域53にわたって形成されている。導電ビア610、620及び630も、第1領域51、第2領域52及び第3領域53にわたって形成されている。
【0019】
第1配線層510を覆うように絶縁膜559が形成され、絶縁膜559の表面に第2パッドコンタクト層550が形成されている。絶縁膜559には、第2パッドコンタクト層550と第1配線層510とを接続する複数の導電ビア650が設けられている。第2パッドコンタクト層550を覆うように絶縁膜569が形成され、絶縁膜569の表面に第1パッドコンタクト層560が形成されている。絶縁膜569には、第1パッドコンタクト層560と第2パッドコンタクト層550とを接続する複数の導電ビア660が設けられている。第2パッドコンタクト層550及び第1パッドコンタクト層560は、第1領域51に形成されている。導電ビア650及び導電ビア660も、第1領域51に形成されている。
【0020】
第6配線層及び絶縁膜569を覆うようにパッシベーション膜579が設けられている。パッシベーション膜579には、第1パッドコンタクト層560の一部を露出する開口578が形成されている。開口578の内側にI/Oパッド33が設けられている。I/Oパッド33、第1パッドコンタクト層560、導電ビア660、第2パッドコンタクト層550及び導電ビア650がパッド部34に含まれる。第1配線層510は第1領域51においてパッド部34に接続される。
【0021】
第1領域51内で、導電ビア610の総断面積と、導電ビア620の総断面積と、導電ビア630の総断面積とが等しい。一方、第2領域52及び第3領域53内では、導電ビア610の総断面積Sが、導電ビア620の総断面積S、導電ビア630の総断面積Sのいずれよりも小さい。例えば、導電ビア610、導電ビア620及び導電ビア630の個々の径及び断面積が等しく、第2領域52及び第3領域53内で、導電ビア610の総数Aが、導電ビア620の総数A、導電ビア630の総数Aのいずれよりも小さい。なお、本開示において、導電ビアの断面積とは、当該導電ビアの基板の主面に平行な面での断面積である。すなわち、半導体装置1の厚さ方向に垂直な面での断面積である。導電ビアの断面積が高さ方向(厚さ方向)で変化している場合は、最も径が小さい部分での断面積とする。なお、断面積が等しいとは、製造ばらつきなどにより個々の導電ビアの径および断面積に変動が生じたものを含み、総断面積が等しいとは、各層において個々の導電ビアの断面積の変動により製造された導電ビアの断面積の合計に変動が生じたものを含む。また、導電ビア610、導電ビア620及び導電ビア630の個々の径及び断面積が異なっていてもよい。
【0022】
図5に示すように、第1配線層510は、信号線511と、電源線512とを含む。電源線512は、例えば、VSSパッド31又はVDDパッド32に接続される。信号線511は、導電ビア650、第2パッドコンタクト層550、導電ビア660及び第1パッドコンタクト層560を介してI/Oパッド33に接続される。図5では、信号線511に隠れているが、信号線511と等しい幅の信号線が第2配線層520、第3配線層530及び第4配線層540にも含まれる。これら信号線が信号線11(図3参照)を構成する。また、図5では、電源線512に隠れているが、電源線512と等しい幅の電源線が第2配線層520、第3配線層530及び第4配線層540にも含まれる。なお、等しい幅とは、製造ばらつきなどにより配線幅に変動が生じたものを含む。
【0023】
第1実施形態では、第2領域52及び第3領域53において、第1配線層510と第2配線層520との間の電気抵抗が、第2配線層520と第3配線層530との間の電気抵抗及び第3配線層530と第4配線層540との間の電気抵抗よりも高い。また、第1領域51において、第1配線層510と第2配線層520との間の電気抵抗と、第2配線層520と第3配線層530との間の電気抵抗と、第3配線層530と第4配線層540との間の電気抵抗とは同等である。従って、導電ビア610の総断面積Sが、導電ビア620の総断面積S及び導電ビア630の総断面積Sと同等である場合と比較して、I/Oパッド33に流入したESD電流が第2配線層520及び第3配線層530に流れやすい。このため、第1配線層510へのESD電流の集中を緩和し、第1配線層510の損傷を抑制することができる。
【0024】
ここで、ダイオード200及び300の一例について説明する。図6は、ダイオード200及び300の平面構成の一例を示す模式図である。
【0025】
図6に示すように、ダイオード200とダイオード300とがX方向に並んで配置されている。複数の、ここでは3個の信号線93がダイオード200とダイオード300とに共通に設けられている。
【0026】
ダイオード200は、主部201と、平面視で主部201を取り囲むガードリング部202とを有する。
【0027】
主部201では、Y方向で隣り合う2個の信号線93の間に、4個のN型フィン211と、4個のP型フィン221と、4個のN型フィン211とが、この順で設けられている。上記のように、3個の信号線93が設けられている。従って、主部201は、4個のN型フィン211と、4個のP型フィン221と、4個のN型フィン211との組を2組有する。そして、ローカル配線212及び222と、疑似ゲート電極210及び220と、コンタクトホール193及び181と、電源配線81とが設けられている。
【0028】
ガードリング部202内には、複数のP型フィン221が環状に配置されている。また、ガードリング部202は、P型フィン221に接続されるローカル配線222と、ローカル配線222に接続される電源配線81とを有する。ガードリング部202内の電源配線81の一部が、主部201内の電源配線81の一部と共通であってもよい。
【0029】
ダイオード300は、主部301と、平面視で主部301を取り囲むガードリング部302とを有する。
【0030】
主部301では、Y方向で隣り合う2個の信号線93の間に、4個のP型フィン311と、4個のN型フィン321と、4個のP型フィン311とが、この順で設けられている。上記のように、3個の信号線93が設けられている。従って、主部301は、4個のP型フィン311と、4個のN型フィン321と、4個のP型フィン311との組を2組有する。そして、第1の実施形態と同様に、ローカル配線312及び322と、疑似ゲート電極310及び320と、コンタクトホール193及び182と、電源配線82とが設けられている。
【0031】
ガードリング部302内には、複数のN型フィン321が環状に配置されている。また、ガードリング部302は、N型フィン321に接続されるローカル配線322と、ローカル配線322に接続される電源配線82とを有する。ガードリング部302内の電源配線82の一部が、主部301内の電源配線82の一部と共通であってもよい。
【0032】
例えば、信号線93が信号線11(図3参照)を介してI/Oパッド33に接続される。また、ダイオード200がガードリング部202を含み、ダイオード300がガードリング部302を含むため、主部201及び301から外部への電流の漏れを抑制することができる。
【0033】
なお、ダイオード200及び300は、フィンを含んで構成されている必要はなく、プレーナ型のダイオードなどであってもよい。また、保護回路400が、ダイオード200及び300に代えてトランジスタを含んでいてもよい。
【0034】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態に係る半導体装置における配線層と、I/Oパッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
【0035】
第2実施形態では、図7に示すように、第1配線層510に含まれる信号線511が、第2配線層520に含まれる信号線521よりも細い。図7では、信号線521に隠れているが、信号線521と等しい幅の信号線が第3配線層530及び第4配線層540にも含まれる。
【0036】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0037】
第2実施形態では、第2領域52及び第3領域53において、第1配線層510と第2配線層520との間の電気抵抗が、第2配線層520と第3配線層530との間の電気抵抗及び第3配線層530と第4配線層540との間の電気抵抗よりも更に高い。従って、I/Oパッド33に流入したESD電流が第2配線層520及び第3配線層530により流れやすい。このため、第1配線層510へのESD電流の集中を更に緩和し、第1配線層510の損傷を更に抑制することができる。
【0038】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態に係る半導体装置における配線層と、I/Oパッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
【0039】
第3実施形態では、図8に示すように、I/Oパッド33のY方向の寸法が、第2パッドコンタクト層550のY方向の寸法よりも小さい。また、平面視で、第1パッドコンタクト層560はI/Oパッド33と同等の範囲に設けられており、Y方向で、第1パッドコンタクト層560は、第2パッドコンタクト層550の一部のみに重なる。平面視で第1パッドコンタクト層560と重なる信号線511は、平面視で第2パッドコンタクト層550と重なる信号線511よりも少ない。そして、平面視で第1パッドコンタクト層560と重なる信号線511は、平面視で第1パッドコンタクト層560と重ならない信号線511よりも細い。また、平面視で第1パッドコンタクト層560と重ならない信号線511のうちで、第1パッドコンタクト層560に近く位置するものほど細い。
【0040】
他の構成は第2実施形態と同様である。
【0041】
第3実施形態では、複数の信号線511の間で、平面視で第1パッドコンタクト層560に近い信号線511ほど細くなっている。このため、複数の信号線511の間において、平面視で第1パッドコンタクト層560と重なる信号線511等へのESD電流の集中を更に緩和し、第1配線層510の損傷を更に抑制することができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。図9は、第4実施形態に係る半導体装置における配線層と、I/Oパッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
【0043】
第4実施形態では、図9に示すように、第1配線層510に含まれる信号線511が、第2領域52において、第1領域51よりも細い。また、信号線511の幅は、信号線511が延びる方向で、複数段階、ここでは2段階に変化している。図9では、信号線511に隠れているが、信号線511と等しい幅の信号線が第2配線層520、第3配線層530及び第4配線層540にも含まれる。
【0044】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
第4実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1配線層510、第2配線層520、第3配線層530及び第4配線層540を形成する際に化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing:CMP)が行われることがあり、CMPの際に厚さを均一に調整しやすい。
【0046】
なお、第1配線層510のみ幅に変化を持たせ、第2配線層520、第3配線層530及び第4配線層540の幅は、第1実施形態と同様に均一としてもよい。
【0047】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。図10は、第5実施形態に係る半導体装置における配線層と、I/Oパッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
【0048】
第5実施形態では、図10に示すように、第1配線層510に含まれる電源線512が、第2領域52において、第1領域51よりも太い。図10では、電源線512に隠れているが、電源線512と等しい幅の電源線が第2配線層520、第3配線層530及び第4配線層540にも含まれる。
【0049】
他の構成は第4実施形態と同様である。
【0050】
第5実施形態によっても第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。図11は、第6実施形態に係る半導体装置における信号線を示す模式図である。
【0052】
第6実施形態では、図11に示すように、第1配線層510に含まれる信号線511の幅が、第3領域53及び第2領域52において、2段階で狭くなるように変化している。同様に、第2配線層520に含まれる信号線521の幅が、第3領域53及び第2領域52において、2段階で狭くなるように変化し、第3配線層530に含まれる信号線531の幅が、第3領域53及び第2領域52において、2段階で狭くなるように変化している。
【0053】
信号線511は、幅がW1Aの第1部分511Aと、幅がW1Bの第2部分511Bと、幅がW1Cの第3部分511Cとを有する。幅W1Aは幅W1Bよりも大きく、幅W1Bは幅W1Cよりも大きい。第2部分511Bが第1部分511Aと第3部分511Cとの間に位置する。
【0054】
信号線521は、幅がW2Aの第1部分521Aと、幅がW2Bの第2部分521Bと、幅がW2Cの第3部分521Cとを有する。幅W2Aは幅W2Bよりも大きく、幅W2Bは幅W2Cよりも大きい。第2部分521Bが第1部分521Aと第3部分521Cとの間に位置する。
【0055】
信号線531は、幅がW3Aの第1部分531Aと、幅がW3Bの第2部分531Bと、幅がW3Cの第3部分531Cとを有する。幅W3Aは幅W3Bよりも大きく、幅W3Bは幅W3Cよりも大きい。第2部分531Bが第1部分531Aと第3部分531Cとの間に位置する。
【0056】
平面視で、第1部分511A、521A及び531Aが重なっている。幅W1A、W2A及びW3Aは等しい。平面視で、第2部分511B、521B及び531Bが重なっている。幅W1Bは幅W2Bよりも小さく、幅W2Bは幅W3Bよりも小さい。平面視で、第3部分511C、521C及び531Cが重なっている。幅W1Cは幅W2Cよりも小さく、幅W2Cは幅W3Cよりも小さい。
【0057】
このように、第6実施形態では、信号線511~531の幅が第1領域51から離れるほど小さく、かつ、積層方向でパッド部34から保護回路400に近づくほど大きい。
【0058】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
第6実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果及び第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。図12は、第7実施形態に係る半導体装置における配線層と、I/Oパッドと保護回路との位置関係を示す模式図である。
【0061】
第7実施形態では、図12に示すように、I/Oパッド33のY方向の寸法が、第2パッドコンタクト層550のY方向の寸法よりも小さい。また、平面視で、第1パッドコンタクト層560はI/Oパッド33と同等の範囲に設けられており、Y方向で、第1パッドコンタクト層560は、第2パッドコンタクト層550の一部のみに重なる。平面視で第1パッドコンタクト層560と重なる信号線511は、平面視で第2パッドコンタクト層550と重なる信号線511よりも少ない。そして、導電ビア610の数は、第1パッドコンタクト層560と重なる範囲のY方向における中心に近いほど少ない。
【0062】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0063】
第6実施形態では、第1領域51において、第1配線層510と第2配線層520との間の電気抵抗は、第1パッドコンタクト層560と重なる範囲のY方向における中心に近い部分ほど高い。従って、I/Oパッド33に流入したESD電流は、第1パッドコンタクト層560と重なる範囲のY方向における中心から離れた信号線511にも流れやすい。このため、特定の信号線511へのESD電流の集中を更に緩和し、第1配線層510の損傷を更に抑制することができる。
【0064】
なお、いずれの実施形態においても、配線層の数及びパッドコンタクト層の数は限定されない。
【0065】
また、保護回路が接続される電極パッドはI/Oパッドに限定されない。例えば、図13に示すように、VSSパッド31とVDDパッド32との間に、ESDトリガー回路36と保護回路としてのNチャネルMOSトランジスタ37とが並列に接続された半導体装置において、VSSパッド31又はVDDパッド32とトランジスタ37との間に上記実施形態の構成が適用されてもよい。
【0066】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0067】
1:半導体装置
10:内部回路領域
20:I/Oセル領域
31:VSSパッド
32:VDDパッド
33:I/Oパッド
34:パッド部
36:ESDトリガー回路
37:NチャネルMOSトランジスタ
51、52、53:領域
510、520、530、540:配線層
511、521、531:信号線
550、560:パッドコンタクト層
610、620、630、640、650、660:導電ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13