(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045707
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】引き戸装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20220314BHJP
E06B 3/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
E05D15/06 117
E06B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151442
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000125990
【氏名又は名称】株式会社くろがね工作所
(72)【発明者】
【氏名】田中 吾武路
【テーマコード(参考)】
2E013
2E034
【Fターム(参考)】
2E013BC03
2E013BE07
2E034EA00
(57)【要約】
【課題】 本発明は、従来の問題点に鑑みて、引き戸装置の点検作業等、メンテナンスパネルを取り外す場合であっても、作業者の作用性を考慮したメンテナンスパネル付きの引き戸装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 引き戸装置のメンテナンスパネルは、通常位置において、メンテナンスパネルを締結固定したもので、引き戸装置には、該締結を解除した時にメンテナンスパネルの落下を防止する落下防止係止片を出入口開口枠体側、メンテナンスパネル側のいずれかに備え、他方側に、落下防止係止片と係合する係合片を備え、メンテナンス位置でメンテナンスパネルを一時的に保持する係止保持片を出入口開口枠体側、メンテナンスパネル側のいずれかに備え、他方側に、係止保持片と係合する係合片を備える構成とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面などの出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置であって、引き戸装置は、出入口開口部に設置される出入口開口枠体と、少なくともレール部材と、レール部材にスライド開閉自在に吊り下げられる引き戸扉と、引き戸装置の調整などを行うメンテナンス開口部と、該メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルからなり、メンテナンスパネルの設置位置は、メンテナンス開口部を閉塞する通常位置と、メンテナンス開口部を露呈したメンテナンス位置で選択可能であり、該メンテナンス位置は、前記通常位置より下げた位置で、かつ、メンテナンス開口部に近接した位置で、一時的に引き戸装置内に設置可能としたことを特徴とする引き戸装置。
【請求項2】
メンテナンスパネルの通常位置において、メンテナンスパネルは締結固定されており、引き戸装置には、該締結を解除した時にメンテナンスパネルの落下を防止する落下防止係止片を出入口開口枠体側、メンテナンスパネル側のいずれかに備え、他方側に、落下防止係止片と係合する係合片を備え、メンテナンス位置でメンテナンスパネルを一時的に保持する係止保持片を出入口開口枠体側、メンテナンスパネル側のいずれかに備え、他方側に、係止保持片と係合する係合片を備えたことを特徴とする請求項1に記載の引き戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内で出入口として使用される開口部に設置される引き戸装置であって、主に引き戸装置のメンテナンスパネルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面などに設けられた出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置として、少なくとも固定部材であるレール部材と、レール部材に吊り下げられる吊り金具を介して吊り下げされる引き戸扉と、引き戸装置の吊り金具部などの機械的な部分を隠蔽し、かつ、引き戸装置をメンテナンスするために開放可能なメンテナンスパネルからなる引き戸装置が提供されている。
そして、このような引き戸装置の他、電気を利用して自動で引き戸扉を開閉させるものがあり、このような自動式の引き戸装置における電気モーターや制御基板なども、通常、メンテナンスパネルにて隠蔽されている。
【0003】
そして、このようなメンテナンスパネルは、メンテナンスパネルが容易に落下しない構成とした上で、引き戸装置の点検、部品交換、調整等の時に、通常使用時の状態から取り外したり、上部に跳ね上げて開放したりすることによって、通常隠蔽させている部分を露呈させる。
例えば、特許文献1のものは、メンテナンスパネル(点検カバー15)を取り外すものであり、特許文献2のものは、メンテナンスパネル(蓋板11)を上方に跳ね上げるものである。
そして、通常メンテナンスパネルは出入口開口部の上方に設置されていることから、取り外したメンテナンスパネルは、床面などに置きなおす必要があり手間がかかる。
また、メンテナンスパネルを上方に跳ね上げるものは、作業者の頭部上方に、跳ね上げられたメンテナンスパネルが位置することになるため、作業時に作業者が頭部をぶつけ易い。
また、天井面がすぐ近くの場合には、メンテナンスパネルを十分に開放できないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3627131号公報
【特許文献2】特許2927735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みて、引き戸装置の点検作業等、メンテナンスパネルを取り外す場合であっても、作業者の作用性を考慮したメンテナンスパネル付きの引き戸装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、壁面などの出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置であって、引き戸装置は、出入口開口部に設置される出入口開口枠体と、少なくともレール部材と、レール部材にスライド開閉自在に吊り下げられる引き戸扉と、引き戸装置の調整などを行うメンテナンス開口部と、該メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルからなり、メンテナンスパネルの設置位置は、メンテナンス開口部を閉塞する通常位置と、メンテナンス開口部を露呈したメンテナンス位置で選択可能であり、該メンテナンス位置は、前記通常位置より下げた位置で、かつ、メンテナンス開口部に近接した位置で、一時的に引き戸装置内に設置可能な構成とした。
【0007】
次に、上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段として構成したところに加え、メンテナンスパネルの通常位置において、メンテナンスパネルは締結固定されており、引き戸装置には、該締結を解除した時にメンテナンスパネルの落下を防止する落下防止係止片を出入口開口枠体側、メンテナンスパネル側のいずれかに備え、他方側に、落下防止係止片と係合する係合片を備え、メンテナンス位置でメンテナンスパネルを一時的に保持する係止保持片を出入口開口枠体側、メンテナンスパネル側のいずれかに備え、他方側に、係止保持片と係合する係合片を備える構成とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によると、メンテナンスパネルは、通常位置より下げた位置で、かつ、メンテナンス開口部に近接した位置で、一時的に引き戸装置内に設置可能であるため、引き戸装置のメンテナンス時に、メンテナンス者がメンテナンスパネルを取り外した後、そのままメンテナンス開口部が露呈した状態でメンテナンス位置にメンテナンスパネルを設置することが可能となる。そのため、メンテナンス者が外したメンテナンスパネルを床に置くような動作をする必要がなく、作業の段取りがし易い。
【0009】
請求項2に記載の発明によると、上記効果に加え、メンテナンスパネルの取り外しの際、メンテナンスパネルを固定している締結手段を解除した時に、メンテナンスパネルが不用意に落下することがない。また、落下防止機能は、落下防止係止片と係合片の係合で成され、保持機能についても落下防止係止片と係合片の係合で成されるから簡単構成で対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の引き戸装置の使用状態の室内側(メンテナンス側)からの正面図
【
図2】本発明の引き戸装置のメンテナンスパネルを取り外した状態の室内側からの正面図
【
図5】メンテナンスパネルの着脱過程の拡大鉛直断面図
【
図6】メンテナンスパネルの落下防止機能が働いた状態の拡大鉛直断面図
【
図7】メンテナンスパネルがメンテナンス位置の場合の拡大鉛直断面図
【
図10】メンテナンスパネルが簡易メンテナンス位置の場合の拡大鉛直断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
メンテナンスパネルを、メンテナンス開口部を閉塞する通常位置と、メンテナンス開口部が露呈したメンテナンス位置で選択可能とした引き戸装置を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0012】
以下実施例1を図面に基づいて説明する。
図1において、符号1は引き戸枠を示している。
引き戸枠1は、
図3、4に示すように、建物側の鉄骨11・・・にL金具12・・・を介して固定された戸尻側縦枠13および戸先側縦枠14と、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の上端間に、建物側の鉄骨11・・・にL金具12・・・を介して配設された上部補強材10と上部補強材10の下方部で、戸尻側縦枠13、戸先側縦枠14間に配設されたレール取付材15より門形に形成されている。
【0013】
そして、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14間で、室内側中枠3と室外側中枠30が、上部補強材10の室内側(実施例ではメンテナンス側)と室外側の両面に上端が固定され、室内側と室外側に所定間隔を有して配設されている。
尚、便宜上、一方側を室内側、他方側を室外側として説明しているが、メンテナンス等を行うメンテナンス側が、室内側、室外側のいずれであっても良いことは云うまでもない。
しかしながら、通常は建築側の意匠性を考慮して、メンテナンス側が室内側として設定されることが多く、以下の説明においても、メンテナンス側を室内側として説明する。
以下、戸尻側縦枠13と室内側中枠3間を戸袋室内側、戸尻側縦枠13と室外側中枠30間を戸袋室外側、戸袋室内側と戸袋室外側をあわせて戸袋側、戸先側縦枠14と室内側中枠3間を出入口室内側、戸先側縦枠14と室外側中枠30間を出入口室外側、出入口室内側と出入口室外側をあわせて出入口側と云う。
【0014】
図3において、符号5は、レール取付材15の室内側内面に着脱自在に連結されているレール材を示している。
符号6は、レール材5に吊り下げられた引き戸扉を示し、符号16は、点検、固定両戸袋側の床面全幅にわたって固定されたベース材を示し、符号17は、ベース材16の出入口側端部に回転自在に設けられ、 室外側中枠30、室内側中枠3間でやや出入口側に突出して取り付けられたガイドローラーを示している。
図1、
図2において、符号4・・・は、戸袋室内側及び戸袋室外側の両面上下方向に所定間隔を有して配設された下地桟を示している。
図1~3において符号7は、上部補強材10の出入口室内側に取り付けられる室内側上枠を示し、符号19は、上部補強材10の出入口室外側に設けられる室外側ランマ下地パネルを示している。
そして、符号20は、室外側ランマ下地パネル19の下端部に連結され、戸先側縦枠14と室外側中枠30間に設置される室外側上枠を示している。
【0015】
上記引き戸枠1(レール材5を含む。)、ベース材16、室内側中枠3、室外側中枠30、下地桟4・・・、室内側上枠7、室外側ランマ下地パネル19、室外側上枠19が、内装仕上げ(化粧ボード、クロス等の貼り付け)の行われるまでに施工され、内装仕上げが終了した後、室内側上枠7の下部のメンテナンス開口部から、引き戸扉6がレール材5に吊り込まれ、引き戸扉6の摺動確認、閉鎖スピードの調整作業等が行われる。以上が本件発明の引き戸装置の概要である。
【0016】
以下、各部材について詳述する。
戸尻側縦枠13は、
図4に示すように、出入口側面131と室内側面133と室外側面132と、室内側側面133及び室外側側面132の建築側の鉄骨11側の端部から互いに近づく方向に所定寸法突出する連結突片134、134より横断面略コ字形に形成されている。
そして、
図2に示すように、出入口側面131の上部にレール取付材固定座135が固定されている。
【0017】
戸先側縦枠14は、
図4に示すように、建物側の鉄骨11側の上下方向に所定間隔を有して固定用部材141・・・が設けられ、出入口の出入方向で室内側に突出して室内側の化粧ボード100の出入り口側端面を隠蔽する室内側戸先見付部145と、同じく出入方向で室外側に突出して室外側の化粧ボード100の出入口側端面を隠蔽する室外側戸先見付部146と、引き戸扉6の戸先側端部が位置する部分に閉鎖用凹部が上下方向に渡って設けられた戸当たり部147より扁平な略コ字形に形成されている。
室内側戸先見付部145の上端位置は、室外側戸先見付部146の上端位置に比べ、後述するメンテナンスパネル90の高さ相当分高い位置に設定されている。
【0018】
そして、
図2に示すように、室内側戸先見付部145の戸尻側縦枠13側を向く面に平面視L字側の目地材148が固定されている。
目地材148は、メンテパネルパネル90の高さ相当分の高さに設定され、メンテナンスパネル90を通常設置した場合に、室内側戸先見付部145とメンテナンスパネル90の側端部との隙間を隠すためのものである。
そして、目地材148の室内側面には、後述する落下防止係止部材8を取り付けるための固定孔が上下方向に2か所設けられている。
また、戸先側縦枠14の上部の室内側戸先見付部145と室外側戸先見付部146間にレール取付材固定座149が固定されている。
【0019】
レール取付材15は、
図3に示すように、上面板151と、上面板151の室内側端部が垂下した室内側垂下突片152と、上面板151の室外側端部が垂下した室外側垂下突片153と、室外側垂下突片153の下端に連結された断面L字形の下部支持部154と、上面板151の下面に密接する副上面板155と、副上面板155の室外側で垂下する垂下片156と垂下片156の下端に連結された断面L字形のレール材取付け部157で構成されている。
そして、レール材取付け部157の垂直面の室内側にレール材5が着脱自在に連結される。
【0020】
レール取付材15は、戸先側縦枠14と戸尻側縦枠13と上部補強材10が門型に組まれて、垂直、水平度などを確認しながら、戸先側縦枠14の固定用部材141・・・と、戸尻側縦枠13の連結突片134と、上部補強材10をL金具12・・・を介して、建物側の鉄骨11と溶接連結された後、両端部で戸先側縦枠14のレール取付材固定座149と戸尻側縦枠13のレール取付材固定座135にボルト、ナットにて固定される。
【0021】
ベース材16は、
図2、
図3に示すように、戸袋側の床面全幅に位置する固定面161と、固定面161の室内側(メンテナンス側)及び室外側(固定側)の端部に形成された立ち上がり面162、162と、立ち上がり面162、162から内方に突出して形成されたL字形の下地ボード受け面163、163と、固定面161の出入り口側端部に、出入り口側に突出し、引き戸扉6の下端面に形成されたガイド溝60内に嵌合するガイドローラー17を、その上面で回転自在に保持するガイドローラー取付部材164が固着されている。
そして、ガイドローラー取付部材164の出入り口側端部はアンカーボルトにて床面に固定されると共に、ベース材16の出入口側端部は室内側中枠3、室外側中枠30の内面と連結され、さらに、戸尻側端部が戸尻側縦枠13と連結され床面に固定される。
【0022】
室内側中枠3は、
図2~4に示すように、上端部が上部補強材10の室内側にネジ止め連結され、内面側に位置する補強枠31と、補強枠31の出入り口側の端部から室内側に位置する室内側外側枠36より構成されている。
そして、室内側外側枠36は、室内側に突出し、室内側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する室内側中枠見付部32と、室内側中枠見付部32の戸袋側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、室内側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる化粧ボード支持部33と、化粧ボード支持部33の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出し、下地桟4・・・の室内側中枠3側の端部の突き片43が差し込まれ連結される下地桟連結部34より形成され、下端部がベース材16と連結され立設される。
【0023】
そして、
図2、
図3に示すように室内側外側枠36の戸先側縦枠14側を向く面に平面視L字側の目地材37が固定されている。
目地材37は、メンテパネルパネル90の高さ相当分の高さに設定され、メンテナンスパネル90を通常設置した場合に、室内側外側枠36とメンテナンスパネル90の側端部との隙間を隠すためのものである。
そして、目地材37の室内側面には、目地材148と同様に後述する落下防止係止部材8を取り付けるための固定孔が上下方向に2か所設けられている。
【0024】
落下防止係止部材8は、
図8に示すように固定孔811、811を有する板状の固定片81と、固定片81の上端から室内側に一旦突出し、突出端で上方に突出して形成される落下防止係止片82からなる。尚、固定孔811が2か所設けられいるのは、落下防止係止部材8を戸先側と戸袋側で兼用できるようにするためである。
そして、落下防止係止部材8は、同型のものが4個用意され、戸先側縦枠14の目地材148、室内側中枠3の目地材37のそれぞれの室内側面に、固定片81を当接させ、固定孔881を使って、目地材148の固定孔(図示せず)、目地材37の固定孔37a、37aにねじ止め固定される。
固定された落下防止係止部材8は、
図3に示すように上下方向に離されて設置される。
【0025】
室外側中枠30は、
図3、
図4に示すように、上端部が上部補強材10の室外側にネジ止め連結され、その下方部で下地補強部155の下端部の室外側に室内側からネジ止め連結される内面側に位置する室外側補強枠301と、室外側補強枠301の出入り口側の端部から室外側に位置する室外側外側枠306より構成されている。
室外側外側枠306は、室外側補強枠301の出入り口側の端部から室外側に突出し、室外側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する室外側中枠見付部302と、室外側中枠見付部302の内面側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、室外側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる室外側化粧ボード支持部303と、室外側化粧ボード支持部303の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出し、下地桟4・・・の室外側中枠30側の端部の突き片43が差し込まれ連結される室外側下地桟連結部304より形成され、下端部がベース材16と連結され立設される。
【0026】
下地桟4は、
図2に示すように、基板表面部41と、基板表面部41の上下端部をL字形に折り曲げた上下のフランジ部42、42より構成され、室内側中枠3、室外側中枠30側の端部に突出した突き片43が設けられ、前記のように、フランジ部42、42と突き片43間に設けられた隙間に、室内側中枠3及び室外側中枠30の下地桟連結部34、室外側下地桟連結部304が差し込まれ、基板表面部41が戸尻側縦枠13とネジ止め連結され上下方向に所定間隔を有して配設されている。
【0027】
室外側ランマ下地パネル19は、
図3に示すように、室外側表面基板191の上端部に形成されたL字形の上部連結用突片192と、室外側表面基板191の下端部が室外側に突出して形成される下部突片193で構成される。
そして、下部突片193に室外側上枠20が連結され、室外側上枠20は、室外側に突出する断面コ字状の室外側上枠見付部21と、室外側上枠見付部21の下端部が室内側に延伸し、延伸端で上方に突出した形態であって、戸先側縦枠14と室外側中枠30間に納まる左右長さに形成されている。
【0028】
室内側上枠7は、
図3に示すように、室内側に突出する断面コ字状の室内側上枠見付部71と、室内側上枠見付部71の上端部から垂下する取付片72で形成され、戸先側縦枠14と室内側中枠3間に納まる左右長さに形成されている。
そして、室内側上枠見付部71の左右方向の中心付近にL字側のメンテナンスパネル押さえ板73が固定されている。
室内側上枠7は、上部補強材10の室内側面に取付片72を設置させ、ネジにて固定される。
【0029】
レール材5は、
図3に示すように、レール取付材15のレール材取付け部157の戸先側端近傍から戸袋部端近傍に渡って配設されるもので、主にアウターメンバー51、インナーメンバー54、ボールリテーナ52、複数個のボール53で構成されるボールベアリング式のスライドレールである。そして、レール材5のインナーメンバー54が戸先側から戸袋側にスライド移動するもので、該インナーメンバー54に吊りブラケット55が固着されている。
【0030】
以上のように構成される引き戸装置の戸先側縦枠14、室内側中枠3、室内側上枠7、室外側中枠30、室外側上枠20、メンテナンスパネル90で出入り口開口部を形成する出入口開口枠体が形成され、戸先側縦枠14と室外側中枠30間と、室外床面から室外側上枠20の下面までの開口部、戸先側縦枠14と室内側中枠30間と、室内床面からメンテナンスパネル90の下面までに開口部が出入り口開口部とされる。
そして、メンテナンスパネル90を取り外した状態で、戸先側縦枠14と室内側中枠3間に形成される開口部、室内側上枠7の下面から室外側上枠20の下面と同じ高さまでの間がメンテナンス開口部9として開放されている。
メンテナンス開口部9は、引き戸扉6の吊り下げ作業の他、引き戸扉6の閉止時のブレーキ装置の調整・交換、レール材5の着脱などに使用される。
また、
図10に示すように、引き戸扉6を電気モーターなどで自動的に開閉する自動開閉タイプの引き戸装置の場合、メンテナンス開口部9から臨む位置に、電気モーターなどの駆動ユニットや駆動ユニットを制御する制御ユニットなどが設置され、メンテナンス開口部9から、定期的な点検や、電気的な開閉調整を行ったり、部品交換を行ったりする。
メンテナンス開口部9は、通常、メンテナンスパネル90で隠蔽され、メンテナンス時にはメンテナンスパネル90が取り外される。
【0031】
吊りブラケット55に吊り下げられる引き戸扉6は、吊りブラケット55の吊り下げ部に対応する位置で、上端面に引き戸扉6の吊り下げ具である吊り下げ金具61、61が設けられたパネル形状を成し、下端面の開閉方向に前記ガイドローラー17が挿通するガイド溝60が形成され(
図3に示す。)、引き戸扉6の戸先側端面には、引き戸の閉鎖状態で戸先側縦枠14の戸当たり部147内に位置する戸当たり部材600(
図4に示す。)が、戸先側縦枠14方向に突出して設けられている。
そして、引き戸扉6は、メンテナンス開口部9より、吊り下げ金具61、61を、レール材5の吊りブラケット55の吊り下げ部に合わせ、吊りピン56、56を介して吊り下げる。
さらに、引き戸扉6を吊り下げた状態で、引き戸扉6の開閉速度を確認し、必要に応じて開閉速度を調節する。
その他、全開ストッパー62、ブレーキ装置63、フリーストッパー装置等のオプション部材がメンテナンス開口部9から取り付けられる。
【0032】
メンテナンスパネル90は、
図3、
図9に示すように、メンテナンス開口部9を隠蔽できる大きさの板状の正面閉塞部91と、正面閉塞部91の上端部で上方にL字型の突出する差し込み片92と、正面閉塞部91の下端部で室外側に突出し、突出端で上方の突出するようにL字型に形成される下部閉塞部93と、正面閉塞部91の両端から室外側の突出する側板94、94と、正面閉塞部91の裏面である室外側面の上端部両端に取り付けられる係合部材95、95で構成されている。
そして、下部閉塞部の下面両端部付近にメンテナンスパネル締結固定用の固定貫通孔931が設けられている。
【0033】
係合部材95は、下向きコ字状に形成されるもので、正面閉塞部91の裏面である室外側面側から室外側に離れた位置で、差し込み片92の下面から下方に向かって突出する係合片951を備えるものである。
【0034】
次に、メンテナンスパネル90の取り付け方法を説明する。
まず、戸先側縦枠14の目地材148、室内側中枠3の目地材37の下端部付近に、下面に螺孔を備えたパネル取付座96、96をねじ止めする。尚、目地材148、目地材37には該ねじ止めに対応した固定孔が開けられている。
そして、メンテナンスパネル90は、
図5の示すように、メンテナンス開口部9で、メンテナンスパネル90の上部をメンテナンス開口部9側に倒すようにし、差し込み片92を、室内側上枠7の室内側上枠見付部71とメンテナンスパネル押さえ板73間に差し込み、メンテナンスパネル90を垂直にするように押し上げていく。この時、上側の落下防止係止82、82と室内側上枠見付部71下面側との間が、差し込み片92、係合片951が挿入可能な程度あけられているので、前記差し込み片92の差し込みが可能となる。
そして、所定の高さまでメンテナンスパネル90を押し上げると、固定貫通孔931、931から、パネル取付座96の螺孔が臨むようになるので、止めネジ900、900にて固定する。この状態でメンテナンスパネル90は固定され、この状態がメンテナンスパネル90の引き戸装置における通常位置である。
【0035】
次に、引き戸装置のメンテナンス時のメンテナンスパネル90を取り外し方について説明する。
メンテナンスパネル90を固定している止めネジ900、900を緩めて取り外す。そして、メンテナンスパネル90を、メンテナンスパネル90の差し込み片92を室内側上枠7の室内側上枠見付部71とメンテナンスパネル押さえ板73間から抜き出すように下に引っ張っていく。
差し込み片92の差し込み状態が解除されると、メンテナンスパネル90は、取り付け手順と引き戸装置から外すことが可能となる。
しかしながら、メンテナンスパネル90を下に引っ張る過程で、勢いよく下すとメンテナンスパネル90を落下させることがある。
そのため、本発明品では、差し込み片92の差し込み状態が解除された状態から、メンテナンスパネル90を下ろしすぎると、
図6に示すようにメンテナンスパネルの係合片951が、上側の落下防止係止片82に係合し、メンテナンスパネル90が落下防止係止片82に引っ掛けられることとなる。したがって、メンテナンスパネル90の落下を防止することが可能となる。
また、止めネジ900、900を緩めると、メンテナンスパネル90の自重で下りてくることがある。その場合でも、落下防止係止片82と係合片951が係合するので、メンテナンスパネルが不用意に落下することがない。
【0036】
次に、引き戸装置のメンテナンス時のメンテナンスパネル90の設置方法について説明する。
前記のメンテナンスパネル90の取り付け手順と逆の手順でメンテナンスパネル90を一旦取り外す。
そして、戸先側縦枠14の目地材148、室内側中枠3の目地材37に上下方向に離して取り付けられた落下防止係止部材8、8の、下側の落下防止係止部材8と上側の落下防止係止部材8の間に、室内側から、メンテナンスパネル90の差し込み片92の左右両端部と係合片951、951を挿入する。
この状態で、メンテナンスパネル90を下ろすと、
図7に示すように下側の落下防止係止部材8の落下防止係止片82と、メンテナンスパネル90の係合片951が係合する。
したがって、メンテナンスパネル90は、メンテナンス開口部9が臨んだ状態で、戸先側縦枠14と室内側中枠3間に仮設置されることとなり、この状態がメンテナンスパネル90のメンテナンス位置である。
【0037】
このように、メンテナンス位置は通常位置に近く、メンテナンスパネル9がメンテナンス開口部9の下部付近から下方に向かって吊り下げられているので、通常位置に近接する下側であるから、作業者は、メンテナンスパネル90を取り外した後で、脚立などから降りることなくそのまま、メンテナンス位置に付け替えることが可能となるので作業性が良い。
また、落下防止係止部材8は上下とも同じ部材でよく、係合片951は、通常位置、メンテナンス位置のいずれにおいても同じ部材を使用するので、簡単な構成で、メンテナンスパネルの落下防止と、メンテナンス位置の機能を持たせることが可能である。
【0038】
特に、自動開閉タイプの引き戸装置の場合の定期的な点検が行われることが多く、一日に複数台の点検をすることもあることから、本発明品のようにメンテナンスパネル90を取り外した後に作業者がそのままの場所でメンテナンスパネル90をメンテナンス位置に設置できると、作業者の負担を軽減することが可能となる。
また、自動開閉タイプの引き戸装置の場合は調整として制御ユニットのみを操作することがあり、落下防止係止部材8を、
図10に示すように上下方向に複数段(
図10では3段)設け、中間部でメンテナンスパネル9を係止させることにより、制御ユニットのみがメンテナンス開口部9から臨む簡易メンテナンス位置にメンテナンスパネルを設置することが可能となる。このように、落下防止係止部材8は引き戸装置の仕様により適宜設定させることが可能である。
また、跳ね上げ式のメンテナンスパネルに比べ、作業者の頭上空間に余裕が生まれるため、作業者の負担を軽減することが可能となる。