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特開2022-45722ポリオレフィン系合成繊維用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045722
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系合成繊維用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/292 20060101AFI20220314BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20220314BHJP
   D06M 15/647 20060101ALI20220314BHJP
   D04H 1/4291 20120101ALI20220314BHJP
   D04H 1/54 20120101ALI20220314BHJP
【FI】
D06M13/292
D06M13/17
D06M15/647
D04H1/4291
D04H1/54
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151462
(22)【出願日】2020-09-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森田 昌武
【テーマコード(参考)】
4L033
4L047
【Fターム(参考)】
4L033AA05
4L033AB01
4L033AB07
4L033AC07
4L033BA14
4L033BA39
4L033CA60
4L047AA14
4L047BA09
4L047DA00
(57)【要約】
【課題】不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制する。
【解決手段】リン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、ポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有する。アニオン界面活性剤(A)を25~80質量部、ノニオン界面活性剤(B)を10~50質量部、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部の割合で含有する。リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のリン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、下記のポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有するポリオレフィン系合成繊維用処理剤であって、
前記アニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、及び前記ポリエーテル変性シリコーン(C)の含有割合の合計を100質量部とすると、前記アニオン界面活性剤(A)を25~80質量部、前記ノニオン界面活性剤(B)を10~50質量部、及び前記ポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部の割合で含有することを特徴とするポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。
ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
【請求項2】
前記リン酸エステル化合物(A1)が、炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
【請求項3】
前記ポリエーテル変性シリコーン(C)が、質量平均分子量1000~100000のものである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
【請求項4】
さらに、下記のポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D):縮合度3~12のポリグリセリンと、炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物。
【請求項5】
前記アニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計を100質量部とすると、前記アニオン界面活性剤(A)を20~80質量部、前記ノニオン界面活性剤(B)を5~50質量部、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)を5~50質量部、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を1~20質量部の割合で含有する請求項4に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とするサーマルボンド不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系合成繊維用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不織布の原料繊維として、ポリオレフィン系合成繊維が用いられている。例えば、不織布は、ポリオレフィン系合成繊維の短繊維であるステープルを作製した後、ステープルをカード機に通してウェブを作製する。ウェブに対して熱風処理を行い短繊維同士を結合させるサーマルボンド法によって不織布は製造される。
【0003】
また、ステープルにポリオレフィン系合成繊維用処理剤を塗布することによって、不織布に対して、未使用状態での親水性(以下、初期親水性ともいう。)や複数回使用した状態での親水性(以下、耐久親水性ともいう。)等の機能が付与される。これらの機能が付与された不織布は、衛材分野、医療分野、土木分野等、幅広い分野で活用されている。
【0004】
特許文献1には、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを含有するポリオレフィン系合成繊維用処理剤としての繊維処理剤が開示されている。アニオン界面活性剤として、炭素数6~10のアルキル基を有するリン酸エステル塩が開示されている。ノニオン界面活性剤として、炭素数6~22のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/002476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、不織布の初期親水性や耐久親水性は、経時的に低下する場合があった。そのため、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することが課題として挙げられる。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することを可能にしたポリオレフィン系合成繊維用処理剤を提供することにある。また、このポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維、このポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着したサーマルボンド不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのポリオレフィン系合成繊維用処理剤は、下記のリン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、下記のポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有するポリオレフィン系合成繊維用処理剤であって、前記アニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、及び前記ポリエーテル変性シリコーン(C)の含有割合の合計を100質量部とすると、前記アニオン界面活性剤(A)を25~80質量部、前記ノニオン界面活性剤(B)を10~50質量部、及び前記ポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部の割合で含有することを要旨とする。
【0009】
リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。
【0010】
ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
【0011】
上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤について、前記リン酸エステル化合物(A1)が、炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0012】
上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤について、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)が、質量平均分子量1000~100000のものであることが好ましい。
上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤について、さらに、下記のポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することが好ましい。
【0013】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D):縮合度3~12のポリグリセリンと、炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物。
上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤について、前記アニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計を100質量部とすると、前記アニオン界面活性剤(A)を20~80質量部、前記ノニオン界面活性剤(B)を5~50質量部、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)を5~50質量部、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を1~20質量部の割合で含有することが好ましい。
【0014】
上記課題を解決するためのポリオレフィン系合成繊維は、上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを要旨とする。
上記課題を解決するためのサーマルボンド不織布は、上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明に係るポリオレフィン系合成繊維用処理剤(以下、単に処理剤ともいう。)を具体化した第1実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態の処理剤は、下記のリン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、下記のポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有する。
【0018】
リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。
【0019】
ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
【0020】
また、アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)の含有割合の合計を100質量部とすると、アニオン界面活性剤(A)を25~80質量部、ノニオン界面活性剤(B)を10~50質量部、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部の割合で含有する。
【0021】
処理剤が、上記アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を、上記の割合で含有することにより、後述のように、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。
【0022】
上記炭素数6~12のアルキル基は、直鎖状のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。また、飽和アルキル基であってもよいし、不飽和アルキル基であってもよい。
【0023】
上記ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルは、例えば、脂肪族アルコールとアルキレンオキサイドがエーテル結合したポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、リン酸とのエステル化合物を挙げることができる。
【0024】
脂肪族アルコールは、一価脂肪族アルコールであってもよいし、多価脂肪族アルコールであってもよい。また、直鎖脂肪族アルコールであってもよいし、分岐鎖を有する脂肪族アルコールであってもよい。また、飽和脂肪族アルコールであってもよいし、不飽和脂肪族アルコールであってもよい。
【0025】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに供されるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を挙げることができる。アルキル基1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは1~50モル、より好ましくは1~30モル、さらに好ましくは1~10モルである。
【0026】
上記アルキルリン酸エステルや、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルを構成するリン酸は、特に制限はなく、オルトリン酸であってもよいし、二リン酸等のポリリン酸であってもよい。
【0027】
また、上記アルキルリン酸エステルの塩や、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩としては、例えば、アミン塩、金属塩が挙げられる。
アミン塩を構成するアミンは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのいずれであってもよい。アミン塩を構成するアミンとしては、例えば、(1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N-N-ジイソプロピルエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-メチルブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルラウリルアミン等の脂肪族アミン、(2)アニリン、N-メチルベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン、(3)モノエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、(4)N-メチルベンジルアミン等のアリールアミン、(5)ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、(6)アンモニア等が挙げられる。
【0028】
金属塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としては、第2族元素に該当する金属、例えば、カルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0029】
上記リン酸エステル化合物(A1)は、炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0030】
上記リン酸エステル化合物(A1)の具体例としては、例えば、へキシルリン酸エステルカリウム塩、オクチルリン酸エステルカリウム塩、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、オクチルリン酸エステルナトリウム塩、ブロックポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ランダムポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ブロックポリオキシエチレン(8モル)オキシプロピレン(2モル)オクチルリン酸エステルカリウム塩、オクチルリン酸エステルトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0031】
上記リン酸エステル化合物(A1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アニオン界面活性剤(A)は、上記リン酸エステル化合物(A1)以外のその他のアニオン界面活性剤(A2)を含有してもよい。リン酸エステル化合物(A1)以外のその他のアニオン界面活性剤(A2)としては、例えば、ジドデシルスルホサクシネートナトリウム塩等が挙げられる。
【0032】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)において、炭素数22~50の1価脂肪族アルコールは、直鎖脂肪族アルコールであってもよいし、分岐鎖を有する脂肪族アルコールであってもよい。また、飽和脂肪族アルコールであってもよいし、不飽和脂肪族アルコールであってもよい。
【0033】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)において、炭素数2~4のアルキレンオキサイドの具体例としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を挙げることができる。これらの中でも、エチレンオキサイドであることが好ましい。重合配列としては、特に限定されず、ランダム付加物であっても、ブロック付加物であってもよい。アルキル基1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは5~100モルである。
【0034】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレン(10モル)テトラコシルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)オクタコシルエーテル、ポリオキシエチレン(35モル)オクタコシルエーテル、ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(25モル)オクタコシルエーテル、ポリオキシエチレン(48モル)ドトリアコンチルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)オクタテトラコンチルエーテル、ポリオキシエチレン(6モル)テトラコシルエーテル、ポリオキシエチレン(80モル)テトラコシルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)トリアコンチルエーテル等が挙げられる。
【0035】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ノニオン界面活性剤(B)は、上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)以外のその他のノニオン界面活性剤(B2)を含有してもよい。ポリオキシアルキレン誘導体(B1)以外のその他のノニオン界面活性剤(B2)としては、例えば、ポリオキシエチレン(20モル)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりベヘン酸ステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル等が挙げられる。
【0036】
上記ポリエーテル変性シリコーン(C)の質量平均分子量は、特に限定されないが、1000~100000であることが好ましく、3000~60000であることがより好ましい。
【0037】
質量平均分子量が1000~100000であることにより、後述のように、不織布の初期親水性の低下、及び不織布の経時後の初期親水性の低下を好適に抑制することができる。また、質量平均分子量が3000~60000であることにより、後述のように、処理剤が付着した合成繊維のカード通過性が良好になる。
【0038】
ポリエーテル変性シリコーン(C)の質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、「GPC法」ともいう。)により求められる。GPC法の詳細については後述する。
【0039】
処理剤は、さらに、下記のポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D):縮合度3~12のポリグリセリンと、炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物。
【0040】
処理剤が上記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することにより、後述のように、不織布の耐久親水性における経時的な低下を好適に抑制することができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリン中の全水酸基が完全にエステル化された完全エステルであってもよいし、ポリグリセリン中の全水酸基のうち一部がエステル化された部分エステルであってもよい。
【0041】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の具体例としては、例えば、テトラグリセリンモノオクタデカネート、ヘキサグリセリンジオクタデカネート、ヘキサグリセリンモノオクタデカネート、デカグリセリンジドデカネート等が挙げられる。
【0042】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
処理剤中のアニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合に特に制限はない。アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計を100質量部とすると、アニオン界面活性剤(A)を20~80質量部、ノニオン界面活性剤(B)を5~50質量部、ポリエーテル変性シリコーン(C)を5~50質量部、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を1~20質量部の割合で含有することが好ましい。
【0043】
アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合が上記数値範囲であることにより、後述のように、不織布の耐久親水性における経時的な低下を好適に抑制することができる。
【0044】
処理剤は、アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外のその他化合物(E)を含有してもよい。
【0045】
その他化合物(E)としては、例えば上記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外のエステルや、無機リン酸塩等を挙げることができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外のエステルの具体例としては、例えば、ブチルステアート、ステアリルステアート、グリセリンモノオレート、グリセリントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。
【0046】
上記その他化合物(E)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
その他化合物(E)の含有割合に特に制限はない。アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計100質量部に対して、その他化合物(E)を、1~10質量部の割合で含有することが好ましい。
【0047】
(第2実施形態)
本発明に係るポリオレフィン系合成繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態のポリオレフィン系合成繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している。
【0048】
ここで、ポリオレフィン系合成繊維とは、オレフィンやアルケンをモノマーとして合成された合成繊維を意味するものとする。以下、ポリオレフィン系合成繊維を単に合成繊維ともいう。
【0049】
合成繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリブテン系繊維が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。さらにポリプロピレン系繊維としては、種々のモノマーを共重合した改質ポリプロピレン繊維、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合ポリプロピレン繊維等が適用されてもよい。
【0050】
また、芯鞘構造の複合繊維であって、芯、鞘部のいずれか又は両方がポリオレフィン系繊維である複合繊維、例えば鞘部がポリエチレン繊維であるポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維であってもよい。
【0051】
合成繊維の長さは特に限定されないが、繊維長が約30mm~約70mmの短繊維であるステープルであることが好ましい。
第1実施形態の処理剤を合成繊維に付着させる割合に特に制限はないが、処理剤(溶媒を含まない)を合成繊維に対し0.1~2質量%となるように付着させることが好ましく、0.3~1.2質量%となるように付着させることがより好ましい。
【0052】
処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、例えば、第1実施形態の処理剤、及び水を含有する水性液又はさらに希釈した水溶液を用いて、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー法、計量ポンプを用いたガイド給油法等によって付着させる方法を適用できる。
【0053】
(第3実施形態)
本発明に係るサーマルボンド不織布(以下、単に不織布ともいう。)を具体化した第3実施形態について説明する。本実施形態の不織布は、第2実施形態の合成繊維を用いて、サーマルボンド法によって製造される。
【0054】
サーマルボンド不織布の製造方法は、以下の工程1~5を経ることが好ましい。
工程1:合成繊維を紡糸し、延伸する紡糸・延伸工程。
工程2:前記工程1で得られた合成繊維に、第1実施形態の処理剤を付着させる付着工程。
【0055】
工程3:前記工程2で得られた合成繊維を、切断機を用いて切断し、ステープルを作製する切断工程。
工程4:前記工程3で得られたステープルを、カード機に通してウェブを形成するウェブ形成工程。
【0056】
工程5:前記工程4で得られたウェブに熱風処理を行い、繊維同士を結合させる結合工程。
以上の工程を経ることにより、本実施形態の不織布を製造することができる。各工程は、適宜順番を入れ替えて行ってもよい。
【0057】
第1実施形態の処理剤、第2実施形態の合成繊維、及び第3実施形態の不織布によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)処理剤が、アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を所定の割合で含有することにより、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。
【0058】
(2)処理剤が付着した合成繊維の制電性が良好になる。処理剤が付着した合成繊維を用いて不織布を作製する際に、発生する電気を少なくすることができるため、合成繊維の取扱性が向上する。
【0059】
(3)処理剤が付着した合成繊維をカード機に通してウェブ形成する際に、合成繊維がカード機を通過しやすくなる。言い換えれば、処理剤が付着した合成繊維のカード通過性が良好になる。
【0060】
上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態、及び、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・第3実施形態において、処理剤が付着した不織布は、サーマルボンド不織布であったが、この態様に限定されない。サーマルボンド不織布以外の不織布に処理剤を付着させてもよい。サーマルボンド不織布以外の不織布とは、サーマルボンド法以外の方式で繊維同士が結合された不織布を意味するものとする。
【0061】
サーマルボンド法以外の結合方式としては、例えば、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
また、不織布の原料繊維は、ステープルに限定されず長繊維であってもよい。原料繊維が長繊維の場合において、ウェブの形成方法としては、メルトブローン法やフラッシュ紡糸法が挙げられる。
【0062】
・処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、帯電防止剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤(シリコーン系化合物)等の通常処理剤に用いられる成分を含有してもよい。
【実施例0063】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、%は質量%を意味し、部は質量部を意味する。
【0064】
試験区分1(ポリオレフィン系合成繊維用処理剤の調製)
(実施例1)
表1に示されるリン酸エステル化合物(A1)25gと、ポリオキシアルキレン誘導体(B1)12.5gと、ポリエーテル変性シリコーン(C)10gと、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)2.5gとをビーカーに加えた。これらを撹拌してよく混合した。撹拌を続けながら固形分濃度が5%となるようにイオン交換水950gを徐々に添加して、実施例1のポリオレフィン系合成繊維用処理剤の5%水性液を調製した。
【0065】
(実施例2~21及び比較例1~11)
実施例2~21及び比較例1~11の各ポリオレフィン系合成繊維用処理剤は、表1に示される各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。
【0066】
なお、各例の処理剤中におけるアニオン界面活性剤(A)の種類と含有量、ノニオン界面活性剤(B)の種類と含有量、ポリエーテル変性シリコーン(C)の種類と含有量、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の種類と含有量、及びその他化合物(E)の種類と含有量は、表1の「アニオン界面活性剤(A)」欄、「ノニオン界面活性剤(B)」欄、「ポリエーテル変性シリコーン(C)」欄、「ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)」欄、及び「その他化合物(E)」欄にそれぞれ示すとおりである。
【0067】
【表1】
表1の種類欄に記載するA1-1~A1-8、A2-1、Ra-1、Ra-2、B1-1~B1-9、B2-1、B2-2、Rb-1~Rb-4、C-1~C-18、Rc-1、D-1~D-4、Rd-1、Rd-2、E-1、E-2の各成分の詳細は以下のとおりである。
【0068】
(リン酸エステル化合物)
A1-1:へキシルリン酸エステルカリウム塩
A1-2:オクチルリン酸エステルカリウム塩
A1-3:ドデシルリン酸エステルカリウム塩
A1-4:オクチルリン酸エステルナトリウム塩
A1-5:ブロックポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩
A1-6:ランダムポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩
A1-7:ブロックポリオキシエチレン(8モル)オキシプロピレン(2モル)オクチルリン酸エステルカリウム塩
A1-8:オクチルリン酸エステルトリエタノールアミン塩
Ra-1:プロピルリン酸エステルカリウム塩
Ra-2:オクタデシルリン酸エステルカリウム塩
上記リン酸エステル化合物の種類、アルキル基の炭素数、塩の種類、ポリオキシアルキレン基の種類について、表2の「リン酸エステル化合物(A1)の種類」欄、「アルキル基の炭素数」欄、「塩」欄、「ポリオキシアルキレン基」欄にそれぞれ示す。
【0069】
【表2】
(その他のアニオン界面活性剤)
A2-1:ジドデシルスルホサクシネートナトリウム塩
(ポリオキシアルキレン誘導体)
B1-1:ポリオキシエチレン(10モル)テトラコシルエーテル
B1-2:ポリオキシエチレン(10モル)オクタコシルエーテル
B1-3:ポリオキシエチレン(35モル)オクタコシルエーテル
B1-4:ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(25モル)オクタコシルエーテル
B1-5:ポリオキシエチレン(48モル)ドトリアコンチルエーテル
B1-6:ポリオキシエチレン(10モル)オクタテトラコンチルエーテル
B1-7:ポリオキシエチレン(6モル)テトラコシルエーテル
B1-8:ポリオキシエチレン(80モル)テトラコシルエーテル
B1-9:ポリオキシエチレン(10モル)トリアコンチルエーテル
Rb-1:ポリオキシエチレン(10モル)オクタデシルエーテル
Rb-2:ポリオキシエチレン(10モル)ヘキサコンチルエーテル
Rb-3:ポリオキシエチレン(3モル)オクタコシルエーテル
Rb-4:ポリオキシエチレン(60モル)ポリオキシプロピレン(60モル)オクタコシルエーテル
上記ポリオキシアルキレン誘導体の種類、1価脂肪族アルコールの炭素数、アルキレンオキサイドの付加モル数について、表3の「ポリオキシアルキレン誘導体(B1)の種類」欄、「1価脂肪族アルコールの炭素数」欄、「アルキレンオキサイドの付加モル数」欄にそれぞれ示す。
【0070】
【表3】
(その他のノニオン界面活性剤)
B2-1:ポリオキシエチレン(20モル)ドデシルエーテル
B2-2:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりベヘン酸ステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル
(ポリエーテル変性シリコーン)
表1のポリエーテル変性シリコーン(C)の種類、変性基、ポリエーテル変性基の末端、シリコン含有量、エチレンオキサイドのモル比、質量平均分子量について、表4の「ポリエーテル変性シリコーン(C)の種類」欄、「変性基」欄、「ポリエーテル変性基の末端」欄、「Si%」欄、「EOのモル比(%)」欄、「質量平均分子量」欄にそれぞれ示す。
【0071】
【表4】
ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量(Mw)の測定方法について説明する。
【0072】
ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、GPC法に基づき以下の測定条件で測定した。
装置:東ソー社製HLC-8320GPC
カラム:TSK gel Super H4000
:TSK gel Super H3000
:TSK gel Super H2000(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出装置:示差屈折率検出器
試料溶液:0.25質量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液流速:0.5mL/分
溶液注入量:10μL
標準試料:ポリスチレン(東ソー社製TSK STANDARD POLYSTYRENE)
標準試料を用いて検量線を作成し、各ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量(Mw)を求めた。
【0073】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
D-1:テトラグリセリンモノオクタデカネート
D-2:ヘキサグリセリンジオクタデカネート
D-3:ヘキサグリセリンモノオクタデカネート
D-4:デカグリセリンジドデカネート
Rd-1:モノグリセリンモノオクタノエート
Rd-2:ペンタデカグリセリンモノドコサネート
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類、脂肪族モノカルボン酸の名称、炭素数、エステル1分子中のモル数、ポリグリセリンの名称、縮合度、エステル1分子中のモル数について、表5の「ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の種類」欄、「脂肪族モノカルボン酸」欄、「ポリグリセリン」欄にそれぞれ示す。
【0074】
【表5】
(その他化合物)
E-1:ソルビタンモノステアレート
E-2:無機リン酸カリウム塩
試験区分2(ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布の製造)
試験区分1で調製したポリオレフィン系合成繊維用処理剤を用いて、ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布を製造した。
【0075】
まず、鞘部がポリエチレンであり、芯部がポリエステルである複合繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)に対して固形分付着量が0.35質量%(溶媒を含まない)となるように、試験区分1で調製した処理剤を付着させた。処理剤の付着は、スプレー法(スプレー給油法)により実施した。次に、80℃の熱風乾燥機で1時間乾燥して、ポリオレフィン系合成繊維としてのポリオレフィン系合成繊維綿を作製した。
さらに、ポリオレフィン系合成繊維綿をローラー式のカード機に通して、目付20g/mのウェブを形成した。次にウェブに対して、約140℃の熱風を10秒間吹き付けて熱風処理を行い、繊維同士を結合させてサーマルボンド不織布を作製した。
【0076】
試験区分3(評価)
実施例1~21、及び比較例1~11に記載の各処理剤について、工程性の評価項目として、制電性、カード通過性を評価した。また、不織布の評価項目として、初期親水性、耐久親水性、経時後初期親水性、経時後耐久親水性を評価した。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表1の「制電性」欄、「カード通過性」欄、「初期親水性」欄、「耐久親水性」欄、「経時後初期親水性」欄、「経時後耐久親水性」欄にそれぞれに示す。
【0077】
(制電性)
実施例、及び比較例に記載の各処理剤を付着させたポリオレフィン系合成繊維5gを、20℃で相対湿度45%の恒温室内にて24時間調湿した。その後、公知の抵抗測定装置を用いてポリオレフィン系合成繊維の電気抵抗を測定し、下記の評価基準で評価した。
【0078】
・制電性の評価基準
◎(良好):表面抵抗が1.0×10Ω未満である場合
〇(可):表面抵抗が1.0×10以上1.0×1010未満である場合
×(不良):表面抵抗が1.0×1010以上である場合
(カード通過性)
実施例、及び比較例に記載の各処理剤を付着させたポリオレフィン系合成繊維20gを、20℃で相対湿度65%の恒温室内にて24時間調湿した。その後、公知のローラー式のカード機に通した。カード機への投入量に対してカード機からの排出量の割合を算出し、下記の評価基準で評価した。
【0079】
・カード通過性の評価基準
◎(良好):排出量が80%以上の場合
○(可):排出量が60%以上80%未満の場合
×(不良):排出量が60%未満の場合
(初期親水性)
試験区分2で作製したサーマルボンド不織布を、20℃で65%の恒温室内にて24時間調湿した。調湿した不織布を水平板上に置き、ビューレットを用いて10mmの高さから不織布に対して0.4mlの水滴を滴下した。水滴が吸収される状態を目視で観察した。水滴が完全に吸収されるまでの時間を測定して、下記の評価基準で評価した。以下、水滴が完全に吸収された状態を透水ともいう。
【0080】
・初期親水性の評価基準
◎(良好):透水までに要する時間が1秒未満である場合
○(可):透水までに要する時間が1秒以上2秒未満である場合
×(不良):透水までに要する時間が2秒以上である場合
(耐久親水性)
試験区分2で作製したサーマルボンド不織布を、10cm×10cmの小片に裁断した。この小片状の不織布を、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間調湿した。調湿した不織布を、5枚積層された濾紙上に置いた。さらに、不織布上の中央部に、両端が開放された内径1cmの円筒を、軸方向が鉛直方向となるように載置した。
【0081】
この円筒の内部に、0.9%生理食塩水10mlを注入した。生理食塩水が不織布に吸収される状態を目視で観察して、生理食塩水が完全に吸収されるまでの時間を測定した。
その後、不織布を取り出して、不織布に対して40℃の温風を90分間吹き付けて送風乾燥を行った。送風乾燥を行った後、再度、不織布を調湿して生理食塩水を吸収させる試験を3回繰り返して行った。3回目の結果を下記の評価基準で評価した。
【0082】
・耐久親水性の評価基準
◎(良好):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒未満の場合
〇(可):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒以上7秒未満の場合
×(不良):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が7秒以上の場合
(経時後初期親水性、及び経時後耐久親水性)
試験区分2で作製したサーマルボンド不織布を、70℃の恒温室内で2週間保管した。その後、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間調湿した。調湿した不織布を、上記の初期親水性、及び耐久親水性と同じ評価方法、評価基準で評価した。
【0083】
表1の結果から、本発明によれば、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。また、処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維の制電性が良好になる。また、処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維のカード通過性が良好になる。
【手続補正書】
【提出日】2020-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のリン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、下記のポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有するポリオレフィン系合成繊維用処理剤であって、
さらに、下記のポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有し、
前記アニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計を100質量部とすると、前記アニオン界面活性剤(A)を30~80質量部、前記ノニオン界面活性剤(B)を~50質量部、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を1~20質量部の割合で含有することを特徴とするポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。
ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D):縮合度3~12のポリグリセリンと、炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物。
【請求項2】
前記リン酸エステル化合物(A1)が、炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
【請求項3】
前記ポリエーテル変性シリコーン(C)が、質量平均分子量1000~100000のものである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とするポリオレフィン系合成繊維。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とするサーマルボンド不織布。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系合成繊維用処理剤、ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不織布の原料繊維として、ポリオレフィン系合成繊維が用いられている。例えば、不織布は、ポリオレフィン系合成繊維の短繊維であるステープルを作製した後、ステープルをカード機に通してウェブを作製する。ウェブに対して熱風処理を行い短繊維同士を結合させるサーマルボンド法によって不織布は製造される。
【0003】
また、ステープルにポリオレフィン系合成繊維用処理剤を塗布することによって、不織布に対して、未使用状態での親水性(以下、初期親水性ともいう。)や複数回使用した状態での親水性(以下、耐久親水性ともいう。)等の機能が付与される。これらの機能が付与された不織布は、衛材分野、医療分野、土木分野等、幅広い分野で活用されている。
【0004】
特許文献1には、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを含有するポリオレフィン系合成繊維用処理剤としての繊維処理剤が開示されている。アニオン界面活性剤として、炭素数6~10のアルキル基を有するリン酸エステル塩が開示されている。ノニオン界面活性剤として、炭素数6~22のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/002476号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、不織布の初期親水性や耐久親水性は、経時的に低下する場合があった。そのため、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することが課題として挙げられる。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することを可能にしたポリオレフィン系合成繊維用処理剤を提供することにある。また、このポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維、このポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着したサーマルボンド不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのポリオレフィン系合成繊維用処理剤は、下記のリン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、下記のポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有するポリオレフィン系合成繊維用処理剤であって、さらに、下記のポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有し、前記アニオン界面活性剤(A)、前記ノニオン界面活性剤(B)、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計を100質量部とすると、前記アニオン界面活性剤(A)を30~80質量部、前記ノニオン界面活性剤(B)を~50質量部、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部、及び前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を1~20質量部の割合で含有することを要旨とする。
【0009】
リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。
【0010】
ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D):縮合度3~12のポリグリセリンと、炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物。
【0011】
上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤について、前記リン酸エステル化合物(A1)が、炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0012】
上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤について、前記ポリエーテル変性シリコーン(C)が、質量平均分子量1000~100000のものであることが好ましい
【0013】
上記課題を解決するためのポリオレフィン系合成繊維は、上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを要旨とする。
上記課題を解決するためのサーマルボンド不織布は、上記ポリオレフィン系合成繊維用処理剤が付着していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明に係るポリオレフィン系合成繊維用処理剤(以下、単に処理剤ともいう。)を具体化した第1実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態の処理剤は、下記のリン酸エステル化合物(A1)を含むアニオン界面活性剤(A)、下記のポリオキシアルキレン誘導体(B1)を含むノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を含有する。
【0017】
リン酸エステル化合物(A1):炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルの塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩から選ばれる少なくとも1つ。
【0018】
ポリオキシアルキレン誘導体(B1):炭素数22~50の1価脂肪族アルコール1モルに対し、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを合計で5~100モルの割合で付加させた化合物。
【0019】
また、アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)の含有割合の合計を100質量部とすると、アニオン界面活性剤(A)を25~80質量部、ノニオン界面活性剤(B)を10~50質量部、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を10~50質量部の割合で含有する。
【0020】
処理剤が、上記アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を、上記の割合で含有することにより、後述のように、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。
【0021】
上記炭素数6~12のアルキル基は、直鎖状のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。また、飽和アルキル基であってもよいし、不飽和アルキル基であってもよい。
【0022】
上記ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルは、例えば、脂肪族アルコールとアルキレンオキサイドがエーテル結合したポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、リン酸とのエステル化合物を挙げることができる。
【0023】
脂肪族アルコールは、一価脂肪族アルコールであってもよいし、多価脂肪族アルコールであってもよい。また、直鎖脂肪族アルコールであってもよいし、分岐鎖を有する脂肪族アルコールであってもよい。また、飽和脂肪族アルコールであってもよいし、不飽和脂肪族アルコールであってもよい。
【0024】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに供されるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を挙げることができる。アルキル基1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは1~50モル、より好ましくは1~30モル、さらに好ましくは1~10モルである。
【0025】
上記アルキルリン酸エステルや、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルを構成するリン酸は、特に制限はなく、オルトリン酸であってもよいし、二リン酸等のポリリン酸であってもよい。
【0026】
また、上記アルキルリン酸エステルの塩や、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルの塩としては、例えば、アミン塩、金属塩が挙げられる。
アミン塩を構成するアミンは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのいずれであってもよい。アミン塩を構成するアミンとしては、例えば、(1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N-N-ジイソプロピルエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-メチルブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルラウリルアミン等の脂肪族アミン、(2)アニリン、N-メチルベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン、(3)モノエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、(4)N-メチルベンジルアミン等のアリールアミン、(5)ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、(6)アンモニア等が挙げられる。
【0027】
金属塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としては、第2族元素に該当する金属、例えば、カルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0028】
上記リン酸エステル化合物(A1)は、炭素数6~12のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数6~12のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0029】
上記リン酸エステル化合物(A1)の具体例としては、例えば、へキシルリン酸エステルカリウム塩、オクチルリン酸エステルカリウム塩、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、オクチルリン酸エステルナトリウム塩、ブロックポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ランダムポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ブロックポリオキシエチレン(8モル)オキシプロピレン(2モル)オクチルリン酸エステルカリウム塩、オクチルリン酸エステルトリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0030】
上記リン酸エステル化合物(A1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アニオン界面活性剤(A)は、上記リン酸エステル化合物(A1)以外のその他のアニオン界面活性剤(A2)を含有してもよい。リン酸エステル化合物(A1)以外のその他のアニオン界面活性剤(A2)としては、例えば、ジドデシルスルホサクシネートナトリウム塩等が挙げられる。
【0031】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)において、炭素数22~50の1価脂肪族アルコールは、直鎖脂肪族アルコールであってもよいし、分岐鎖を有する脂肪族アルコールであってもよい。また、飽和脂肪族アルコールであってもよいし、不飽和脂肪族アルコールであってもよい。
【0032】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)において、炭素数2~4のアルキレンオキサイドの具体例としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を挙げることができる。これらの中でも、エチレンオキサイドであることが好ましい。重合配列としては、特に限定されず、ランダム付加物であっても、ブロック付加物であってもよい。アルキル基1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは5~100モルである。
【0033】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレン(10モル)テトラコシルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)オクタコシルエーテル、ポリオキシエチレン(35モル)オクタコシルエーテル、ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(25モル)オクタコシルエーテル、ポリオキシエチレン(48モル)ドトリアコンチルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)オクタテトラコンチルエーテル、ポリオキシエチレン(6モル)テトラコシルエーテル、ポリオキシエチレン(80モル)テトラコシルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)トリアコンチルエーテル等が挙げられる。
【0034】
上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ノニオン界面活性剤(B)は、上記ポリオキシアルキレン誘導体(B1)以外のその他のノニオン界面活性剤(B2)を含有してもよい。ポリオキシアルキレン誘導体(B1)以外のその他のノニオン界面活性剤(B2)としては、例えば、ポリオキシエチレン(20モル)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりベヘン酸ステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル等が挙げられる。
【0035】
上記ポリエーテル変性シリコーン(C)の質量平均分子量は、特に限定されないが、1000~100000であることが好ましく、3000~60000であることがより好ましい。
【0036】
質量平均分子量が1000~100000であることにより、後述のように、不織布の初期親水性の低下、及び不織布の経時後の初期親水性の低下を好適に抑制することができる。また、質量平均分子量が3000~60000であることにより、後述のように、処理剤が付着した合成繊維のカード通過性が良好になる。
【0037】
ポリエーテル変性シリコーン(C)の質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、「GPC法」ともいう。)により求められる。GPC法の詳細については後述する。
【0038】
処理剤は、さらに、下記のポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D):縮合度3~12のポリグリセリンと、炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物。
【0039】
処理剤が上記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を含有することにより、後述のように、不織布の耐久親水性における経時的な低下を好適に抑制することができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリン中の全水酸基が完全にエステル化された完全エステルであってもよいし、ポリグリセリン中の全水酸基のうち一部がエステル化された部分エステルであってもよい。
【0040】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の具体例としては、例えば、テトラグリセリンモノオクタデカネート、ヘキサグリセリンジオクタデカネート、ヘキサグリセリンモノオクタデカネート、デカグリセリンジドデカネート等が挙げられる。
【0041】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
処理剤中のアニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合に特に制限はない。アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計を100質量部とすると、アニオン界面活性剤(A)を20~80質量部、ノニオン界面活性剤(B)を5~50質量部、ポリエーテル変性シリコーン(C)を5~50質量部、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)を1~20質量部の割合で含有することが好ましい。
【0042】
アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合が上記数値範囲であることにより、後述のように、不織布の耐久親水性における経時的な低下を好適に抑制することができる。
【0043】
処理剤は、アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外のその他化合物(E)を含有してもよい。
【0044】
その他化合物(E)としては、例えば上記ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外のエステルや、無機リン酸塩等を挙げることができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)以外のエステルの具体例としては、例えば、ブチルステアート、ステアリルステアート、グリセリンモノオレート、グリセリントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。
【0045】
上記その他化合物(E)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
その他化合物(E)の含有割合に特に制限はない。アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、ポリエーテル変性シリコーン(C)、及びポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の含有割合の合計100質量部に対して、その他化合物(E)を、1~10質量部の割合で含有することが好ましい。
【0046】
(第2実施形態)
本発明に係るポリオレフィン系合成繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態のポリオレフィン系合成繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している。
【0047】
ここで、ポリオレフィン系合成繊維とは、オレフィンやアルケンをモノマーとして合成された合成繊維を意味するものとする。以下、ポリオレフィン系合成繊維を単に合成繊維ともいう。
【0048】
合成繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリブテン系繊維が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。さらにポリプロピレン系繊維としては、種々のモノマーを共重合した改質ポリプロピレン繊維、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合ポリプロピレン繊維等が適用されてもよい。
【0049】
また、芯鞘構造の複合繊維であって、芯、鞘部のいずれか又は両方がポリオレフィン系繊維である複合繊維、例えば鞘部がポリエチレン繊維であるポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維であってもよい。
【0050】
合成繊維の長さは特に限定されないが、繊維長が約30mm~約70mmの短繊維であるステープルであることが好ましい。
第1実施形態の処理剤を合成繊維に付着させる割合に特に制限はないが、処理剤(溶媒を含まない)を合成繊維に対し0.1~2質量%となるように付着させることが好ましく、0.3~1.2質量%となるように付着させることがより好ましい。
【0051】
処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、例えば、第1実施形態の処理剤、及び水を含有する水性液又はさらに希釈した水溶液を用いて、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー法、計量ポンプを用いたガイド給油法等によって付着させる方法を適用できる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明に係るサーマルボンド不織布(以下、単に不織布ともいう。)を具体化した第3実施形態について説明する。本実施形態の不織布は、第2実施形態の合成繊維を用いて、サーマルボンド法によって製造される。
【0053】
サーマルボンド不織布の製造方法は、以下の工程1~5を経ることが好ましい。
工程1:合成繊維を紡糸し、延伸する紡糸・延伸工程。
工程2:前記工程1で得られた合成繊維に、第1実施形態の処理剤を付着させる付着工程。
【0054】
工程3:前記工程2で得られた合成繊維を、切断機を用いて切断し、ステープルを作製する切断工程。
工程4:前記工程3で得られたステープルを、カード機に通してウェブを形成するウェブ形成工程。
【0055】
工程5:前記工程4で得られたウェブに熱風処理を行い、繊維同士を結合させる結合工程。
以上の工程を経ることにより、本実施形態の不織布を製造することができる。各工程は、適宜順番を入れ替えて行ってもよい。
【0056】
第1実施形態の処理剤、第2実施形態の合成繊維、及び第3実施形態の不織布によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)処理剤が、アニオン界面活性剤(A)、ノニオン界面活性剤(B)、及びポリエーテル変性シリコーン(C)を所定の割合で含有することにより、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。
【0057】
(2)処理剤が付着した合成繊維の制電性が良好になる。処理剤が付着した合成繊維を用いて不織布を作製する際に、発生する電気を少なくすることができるため、合成繊維の取扱性が向上する。
【0058】
(3)処理剤が付着した合成繊維をカード機に通してウェブ形成する際に、合成繊維がカード機を通過しやすくなる。言い換えれば、処理剤が付着した合成繊維のカード通過性が良好になる。
【0059】
上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態、及び、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・第3実施形態において、処理剤が付着した不織布は、サーマルボンド不織布であったが、この態様に限定されない。サーマルボンド不織布以外の不織布に処理剤を付着させてもよい。サーマルボンド不織布以外の不織布とは、サーマルボンド法以外の方式で繊維同士が結合された不織布を意味するものとする。
【0060】
サーマルボンド法以外の結合方式としては、例えば、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スティッチボンド法等が挙げられる。
また、不織布の原料繊維は、ステープルに限定されず長繊維であってもよい。原料繊維が長繊維の場合において、ウェブの形成方法としては、メルトブローン法やフラッシュ紡糸法が挙げられる。
【0061】
・処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、帯電防止剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤(シリコーン系化合物)等の通常処理剤に用いられる成分を含有してもよい。
【実施例0062】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、%は質量%を意味し、部は質量部を意味する。
【0063】
試験区分1(ポリオレフィン系合成繊維用処理剤の調製)
(実施例1)
表1に示されるリン酸エステル化合物(A1)25gと、ポリオキシアルキレン誘導体(B1)12.5gと、ポリエーテル変性シリコーン(C)10gと、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)2.5gとをビーカーに加えた。これらを撹拌してよく混合した。撹拌を続けながら固形分濃度が5%となるようにイオン交換水950gを徐々に添加して、実施例1のポリオレフィン系合成繊維用処理剤の5%水性液を調製した。
【0064】
(実施例2~12、参考例1~9、及び比較例1~11)
実施例2~12、参考例1~9、及び比較例1~11の各ポリオレフィン系合成繊維用処理剤は、表1に示される各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。
【0065】
なお、各例の処理剤中におけるアニオン界面活性剤(A)の種類と含有量、ノニオン界面活性剤(B)の種類と含有量、ポリエーテル変性シリコーン(C)の種類と含有量、ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の種類と含有量、及びその他化合物(E)の種類と含有量は、表1の「アニオン界面活性剤(A)」欄、「ノニオン界面活性剤(B)」欄、「ポリエーテル変性シリコーン(C)」欄、「ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)」欄、及び「その他化合物(E)」欄にそれぞれ示すとおりである。
【0066】
【表1】
表1の種類欄に記載するA1-1~A1-8、A2-1、Ra-1、Ra-2、B1-1~B1-9、B2-1、B2-2、Rb-1~Rb-4、C-1~C-18、Rc-1、D-1~D-4、Rd-1、Rd-2、E-1、E-2の各成分の詳細は以下のとおりである。
【0067】
(リン酸エステル化合物)
A1-1:へキシルリン酸エステルカリウム塩
A1-2:オクチルリン酸エステルカリウム塩
A1-3:ドデシルリン酸エステルカリウム塩
A1-4:オクチルリン酸エステルナトリウム塩
A1-5:ブロックポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩
A1-6:ランダムポリオキシエチレン(5モル)オキシプロピレン(5モル)ドデシルリン酸エステルカリウム塩
A1-7:ブロックポリオキシエチレン(8モル)オキシプロピレン(2モル)オクチルリン酸エステルカリウム塩
A1-8:オクチルリン酸エステルトリエタノールアミン塩
Ra-1:プロピルリン酸エステルカリウム塩
Ra-2:オクタデシルリン酸エステルカリウム塩
上記リン酸エステル化合物の種類、アルキル基の炭素数、塩の種類、ポリオキシアルキレン基の種類について、表2の「リン酸エステル化合物(A1)の種類」欄、「アルキル基の炭素数」欄、「塩」欄、「ポリオキシアルキレン基」欄にそれぞれ示す。
【0068】
【表2】
(その他のアニオン界面活性剤)
A2-1:ジドデシルスルホサクシネートナトリウム塩
(ポリオキシアルキレン誘導体)
B1-1:ポリオキシエチレン(10モル)テトラコシルエーテル
B1-2:ポリオキシエチレン(10モル)オクタコシルエーテル
B1-3:ポリオキシエチレン(35モル)オクタコシルエーテル
B1-4:ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(25モル)オクタコシルエーテル
B1-5:ポリオキシエチレン(48モル)ドトリアコンチルエーテル
B1-6:ポリオキシエチレン(10モル)オクタテトラコンチルエーテル
B1-7:ポリオキシエチレン(6モル)テトラコシルエーテル
B1-8:ポリオキシエチレン(80モル)テトラコシルエーテル
B1-9:ポリオキシエチレン(10モル)トリアコンチルエーテル
Rb-1:ポリオキシエチレン(10モル)オクタデシルエーテル
Rb-2:ポリオキシエチレン(10モル)ヘキサコンチルエーテル
Rb-3:ポリオキシエチレン(3モル)オクタコシルエーテル
Rb-4:ポリオキシエチレン(60モル)ポリオキシプロピレン(60モル)オクタコシルエーテル
上記ポリオキシアルキレン誘導体の種類、1価脂肪族アルコールの炭素数、アルキレンオキサイドの付加モル数について、表3の「ポリオキシアルキレン誘導体(B1)の種類」欄、「1価脂肪族アルコールの炭素数」欄、「アルキレンオキサイドの付加モル数」欄にそれぞれ示す。
【0069】
【表3】
(その他のノニオン界面活性剤)
B2-1:ポリオキシエチレン(20モル)ドデシルエーテル
B2-2:ポリオキシエチレン(20モル)カスターワックスのマレイン酸縮合物の水酸基1モル当量あたりベヘン酸ステアリン酸1モル当量で封鎖したエステル
(ポリエーテル変性シリコーン)
表1のポリエーテル変性シリコーン(C)の種類、変性基、ポリエーテル変性基の末端、シリコン含有量、エチレンオキサイドのモル比、質量平均分子量について、表4の「ポリエーテル変性シリコーン(C)の種類」欄、「変性基」欄、「ポリエーテル変性基の末端」欄、「Si%」欄、「EOのモル比(%)」欄、「質量平均分子量」欄にそれぞれ示す。
【0070】
【表4】
ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量(Mw)の測定方法について説明する。
【0071】
ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、GPC法に基づき以下の測定条件で測定した。
装置:東ソー社製HLC-8320GPC
カラム:TSK gel Super H4000
:TSK gel Super H3000
:TSK gel Super H2000(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出装置:示差屈折率検出器
試料溶液:0.25質量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液流速:0.5mL/分
溶液注入量:10μL
標準試料:ポリスチレン(東ソー社製TSK STANDARD POLYSTYRENE)
標準試料を用いて検量線を作成し、各ポリエーテル変性シリコーンの質量平均分子量(Mw)を求めた。
【0072】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
D-1:テトラグリセリンモノオクタデカネート
D-2:ヘキサグリセリンジオクタデカネート
D-3:ヘキサグリセリンモノオクタデカネート
D-4:デカグリセリンジドデカネート
Rd-1:モノグリセリンモノオクタノエート
Rd-2:ペンタデカグリセリンモノドコサネート
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類、脂肪族モノカルボン酸の名称、炭素数、エステル1分子中のモル数、ポリグリセリンの名称、縮合度、エステル1分子中のモル数について、表5の「ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)の種類」欄、「脂肪族モノカルボン酸」欄、「ポリグリセリン」欄にそれぞれ示す。
【0073】
【表5】
(その他化合物)
E-1:ソルビタンモノステアレート
E-2:無機リン酸カリウム塩
試験区分2(ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布の製造)
試験区分1で調製したポリオレフィン系合成繊維用処理剤を用いて、ポリオレフィン系合成繊維、及びサーマルボンド不織布を製造した。
【0074】
まず、鞘部がポリエチレンであり、芯部がポリエステルである複合繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)に対して固形分付着量が0.35質量%(溶媒を含まない)となるように、試験区分1で調製した処理剤を付着させた。処理剤の付着は、スプレー法(スプレー給油法)により実施した。次に、80℃の熱風乾燥機で1時間乾燥して、ポリオレフィン系合成繊維としてのポリオレフィン系合成繊維綿を作製した。さらに、ポリオレフィン系合成繊維綿をローラー式のカード機に通して、目付20g/mのウェブを形成した。次にウェブに対して、約140℃の熱風を10秒間吹き付けて熱風処理を行い、繊維同士を結合させてサーマルボンド不織布を作製した。
【0075】
試験区分3(評価)
実施例1~12、参考例1~9、及び比較例1~11に記載の各処理剤について、工程性の評価項目として、制電性、カード通過性を評価した。また、不織布の評価項目として、初期親水性、耐久親水性、経時後初期親水性、経時後耐久親水性を評価した。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表1の「制電性」欄、「カード通過性」欄、「初期親水性」欄、「耐久親水性」欄、「経時後初期親水性」欄、「経時後耐久親水性」欄にそれぞれに示す。
【0076】
(制電性)
実施例、参考例、及び比較例に記載の各処理剤を付着させたポリオレフィン系合成繊維5gを、20℃で相対湿度45%の恒温室内にて24時間調湿した。その後、公知の抵抗測定装置を用いてポリオレフィン系合成繊維の電気抵抗を測定し、下記の評価基準で評価した。
【0077】
・制電性の評価基準
◎(良好):表面抵抗が1.0×10Ω未満である場合
〇(可):表面抵抗が1.0×10以上1.0×1010未満である場合
×(不良):表面抵抗が1.0×1010以上である場合
(カード通過性)
実施例、参考例、及び比較例に記載の各処理剤を付着させたポリオレフィン系合成繊維20gを、20℃で相対湿度65%の恒温室内にて24時間調湿した。その後、公知のローラー式のカード機に通した。カード機への投入量に対してカード機からの排出量の割合を算出し、下記の評価基準で評価した。
【0078】
・カード通過性の評価基準
◎(良好):排出量が80%以上の場合
○(可):排出量が60%以上80%未満の場合
×(不良):排出量が60%未満の場合
(初期親水性)
試験区分2で作製したサーマルボンド不織布を、20℃で65%の恒温室内にて24時間調湿した。調湿した不織布を水平板上に置き、ビューレットを用いて10mmの高さから不織布に対して0.4mlの水滴を滴下した。水滴が吸収される状態を目視で観察した。水滴が完全に吸収されるまでの時間を測定して、下記の評価基準で評価した。以下、水滴が完全に吸収された状態を透水ともいう。
【0079】
・初期親水性の評価基準
◎(良好):透水までに要する時間が1秒未満である場合
○(可):透水までに要する時間が1秒以上2秒未満である場合
×(不良):透水までに要する時間が2秒以上である場合
(耐久親水性)
試験区分2で作製したサーマルボンド不織布を、10cm×10cmの小片に裁断した。この小片状の不織布を、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間調湿した。調湿した不織布を、5枚積層された濾紙上に置いた。さらに、不織布上の中央部に、両端が開放された内径1cmの円筒を、軸方向が鉛直方向となるように載置した。
【0080】
この円筒の内部に、0.9%生理食塩水10mlを注入した。生理食塩水が不織布に吸収される状態を目視で観察して、生理食塩水が完全に吸収されるまでの時間を測定した。
その後、不織布を取り出して、不織布に対して40℃の温風を90分間吹き付けて送風乾燥を行った。送風乾燥を行った後、再度、不織布を調湿して生理食塩水を吸収させる試験を3回繰り返して行った。3回目の結果を下記の評価基準で評価した。
【0081】
・耐久親水性の評価基準
◎(良好):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒未満の場合
〇(可):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒以上7秒未満の場合
×(不良):生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が7秒以上の場合
(経時後初期親水性、及び経時後耐久親水性)
試験区分2で作製したサーマルボンド不織布を、70℃の恒温室内で2週間保管した。その後、20℃で相対湿度60%の恒温室内にて24時間調湿した。調湿した不織布を、上記の初期親水性、及び耐久親水性と同じ評価方法、評価基準で評価した。
【0082】
表1の結果から、本発明によれば、不織布の初期親水性と耐久親水性の両方において経時的な低下を抑制することができる。また、処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維の制電性が良好になる。また、処理剤が付着したポリオレフィン系合成繊維のカード通過性が良好になる。