(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045729
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】袋体開口方法及び袋体開口装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/30 20060101AFI20220314BHJP
B65B 43/36 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B65B43/30 A
B65B43/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151472
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 高広
(72)【発明者】
【氏名】中村 純也
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030CA01
3E030CA02
3E030CA07
3E030CB01
3E030CB02
3E030EA02
3E030EB01
3E030EB02
3E030FA04
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】袋口を開口し難い袋体であっても確実に開口することができる、袋体開口方法及び袋体開口装置を提供する。
【解決手段】準備工程S02、及び開口工程S03を備え、準備工程S02は、載置台10に載置された袋体Bの裏面を吸着する第一吸着ステップS21と、袋体Bにおける幅方向(左右方向)の両側縁部B2・B2を、一対の把持手段40・40によって把持する把持ステップS22と、袋体Bにおける表面に吸着手段50を近接させて、吸着手段50によって表面を吸着する第二吸着ステップS23とを有し、開口工程S03は、一対の把持手段40・40を互いに近接する方向に移動させる第一移動ステップS31と、一対の把持手段40・40を袋体Bに対して載置台10側との反対側に移動させる第二移動ステップS32と、吸着手段50を袋体Bに対して載置台10側との反対側に移動させる第三移動ステップS33とを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の長尺シート状に形成された、長手方向の一端側に袋口を有する袋体の、当該袋口を開口する袋体開口方法であって、
袋口の開口動作の準備を行う準備工程と、
前記準備工程の終了後に実行され、袋口の開口動作を行う開口工程とを備え、
前記準備工程は、
袋口を閉じた水平姿勢の状態で載置台に載置された袋体に対して、当該載置台側である裏面を吸着する第一吸着ステップと、
前記袋体における前記長手方向と直交する幅方向の両側縁部を、一対の把持手段によって把持する把持ステップと、
前記袋体における前記裏面とは反対側の表面に吸着手段を近接させて、当該吸着手段によって前記表面を吸着する第二吸着ステップとを有し、
前記開口工程は、
前記一対の把持手段を互いに近接する方向に移動させる第一移動ステップと、
前記一対の把持手段を前記袋体に対して前記載置台側との反対側に移動させる第二移動ステップと、
前記吸着手段を前記袋体に対して前記載置台側との反対側に移動させる第三移動ステップとを有する、
ことを特徴とする袋体開口方法。
【請求項2】
前記開口工程において、
前記第一移動ステップ及び前記第二移動ステップを、互いに同時に実行する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の袋体開口方法。
【請求項3】
前記第二吸着ステップにおいて、
前記吸着手段は、
前記袋体における前記袋口側の表面であって、前記幅方向の中央部に位置する吸着領域の範囲内にて、前記袋体を吸着する、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の袋体開口方法。
【請求項4】
前記吸着領域における前記袋体の前記幅方向の寸法は、
前記袋体の前記幅方向の全長の20%に設定される、
ことを特徴とする、請求項3に記載の袋体開口方法。
【請求項5】
前記準備工程の終了後に実行され、
前記袋口を通じて、前記袋体の内部に向かって圧縮空気を噴出する噴出工程をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の袋体開口方法。
【請求項6】
前記準備工程の開始前に実行され、
前記載置台に載置された前記袋体を所定位置に規制する規制工程をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項1~請求項5の何れか一項に記載の袋体開口方法。
【請求項7】
前記袋体は、
前記表面を形成する第一シート部材と、前記裏面を形成する第二シート部材とを備え、
前記第一シート部材及び前記第二シート部材の何れか一方はプラスチックフィルムからなり、且つ
前記第一シート部材及び前記第二シート部材の何れか他方は不織布からなる、
ことを特徴とする、請求項1~請求項6の何れか一項に記載の袋体開口方法。
【請求項8】
矩形の長尺シート状に形成された、長手方向の一端側に袋口を有する袋体の、当該袋口を開口する袋体開口装置であって、
袋口を閉じた水平姿勢の状態で袋体を載置するとともに、当該袋体の載置側である裏面を吸着する載置台と、
前記袋体における前記長手方向と直交する幅方向の両側縁部を把持する一対の把持手段と、
前記袋体における前記裏面とは反対側の表面を吸着する吸着手段と、
前記袋体の前記表面に対して、近接及び離間する方向に向かって前記吸着手段を移動可能とする吸着手段移動機構と、
前記一対の把持手段を、互いに近接及び離間する方向に向かって移動可能とする第一把持手段移動機構と、
前記一対の把持手段を、前記袋体に対して前記載置台側、及び前記載置台側との反対側に向かって移動可能とする第二把持手段移動機構とを備える、
ことを特徴とする袋体開口装置。
【請求項9】
前記袋口を通じて、前記袋体の内部に向かって圧縮空気を噴出する噴出手段をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項8に記載の袋体開口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体開口方法及び袋体開口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロール状に巻回された長尺のプラスチックフィルムを引き出しながら連続的に袋体を作製し、作製された袋体に順次物品を挿入した後、当該袋体の袋口を封止して物品を包装する連続包装機や、複数の袋体を予め収容棚に集積しておき、当該収容棚から順に袋体を取り出して、取り出された袋体に順次物品を挿入した後、当該袋体の袋口を封止して物品を包装する給袋包装機などのような、袋体によって物品を包装するための様々な包装機が従来から知られている。
このような包装機においては、袋体に物品を挿入する前段階において、当該袋体の袋口を開口する必要があり、例えば、一対の吸着手段によって袋体の表面及び裏面を各々吸着し、その後、吸着状態を維持しつつ、一対の吸着手段を互いに離間させることで、袋体の袋口を開口させる方法や、袋体の袋口に圧縮空気を噴出して当該袋口を開口させる方法などが知られている。
例えば、特許文献1においては、主に垂直姿勢の状態で懸吊された袋(袋体)に対して、一対の吸盤(吸着手段)によって袋の表面及び裏面における袋口の近傍を各々吸着し、これら一対の吸盤を互いに離間させることで袋口を開口させる方法や、袋の幅方向の両側縁部における袋口の近傍を一対のグリッパー(把持手段)によって把持し、その後、これら一対のグリッパーを互いに上記幅方向の中央部に向かって近接させることにより、袋口を開口させる方法や、これらの方法における様々な動作に合わせて、袋の袋口に向けて圧縮空気を噴出し、袋口の開口動作を支援する方法等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、袋体の材質、厚み、外形サイズ等によっては、袋口を開口し難いものもあり、例えば、互いに硬度の異なる異種材料によって表面及び裏面が各々形成された袋体などの場合、袋口が開口する際の表面及び裏面の各挙動が互いに大きく異なることから、前述したような従来の方法では、一対の吸盤(吸着手段)を互いに離間させる際に、一方の吸盤が袋(袋体)から剥がれる(即ち、吸着状態が解除される)などして、袋口の開口動作ミスが発生し易い。
その結果、次工程である、袋体に物品を挿入する物品送入工程に悪影響を及ぼし、装置全体としての稼働率の低下を引き起こす要因となり得る。
【0005】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、袋口を開口し難い袋体であっても確実に開口することができる、袋体開口方法及び袋体開口装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係る袋体開口方法は、矩形の長尺シート状に形成された、長手方向の一端側に袋口を有する袋体の、当該袋口を開口する袋体開口方法であって、袋口の開口動作の準備を行う準備工程と、前記準備工程の終了後に実行され、袋口の開口動作を行う開口工程とを備え、前記準備工程は、袋口を閉じた水平姿勢の状態で載置台に載置された袋体に対して、当該載置台側である裏面を吸着する第一吸着ステップと、前記袋体における前記長手方向と直交する幅方向の両側縁部を、一対の把持手段によって把持する把持ステップと、前記袋体における前記裏面とは反対側の表面に吸着手段を近接させて、当該吸着手段によって前記表面を吸着する第二吸着ステップとを有し、前記開口工程は、前記一対の把持手段を互いに近接する方向に移動させる第一移動ステップと、前記一対の把持手段を前記袋体に対して前記載置台側との反対側に移動させる第二移動ステップと、前記吸着手段を前記袋体に対して前記載置台側との反対側に移動させる第三移動ステップとを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る袋体開口装置は、矩形の長尺シート状に形成された、長手方向の一端側に袋口を有する袋体の、当該袋口を開口する袋体開口装置であって、袋口を閉じた水平姿勢の状態で袋体を載置するとともに、当該袋体の載置側である裏面を吸着する載置台と、前記袋体における前記長手方向と直交する幅方向の両側縁部を把持する一対の把持手段と、前記袋体における前記裏面とは反対側の表面を吸着する吸着手段と、前記袋体の前記表面に対して、近接及び離間する方向に向かって前記吸着手段を移動可能とする吸着手段移動機構と、前記一対の把持手段を、互いに近接及び離間する方向に向かって移動可能とする第一把持手段移動機構と、前記一対の把持手段を、前記袋体に対して前記載置台側、及び前記載置台側との反対側に向かって移動可能とする第二把持手段移動機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る袋体開口方法及び袋体開口装置によれば、袋口を開口し難い袋体であっても確実に開口することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の開口方法を具現化する各工程の全体的な流れを示した工程図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る袋体開口装置の全体的な構成を示した図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る袋体開口装置の全体的な構成を示した正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る袋体開口装置の動作を経時的に示した図であって、(a)は袋体が投入された直後の状態を示した平面図であり、(b)は位置決め装置の規制バーが規制位置に変位した直後の状態を示した平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る袋体開口装置の動作を経時的に示した図であって、(a)は載置台の吸着部が作動した直後の状態を示した正面図であり、(b)は把持部が閉位置に変位した直後の状態を示した正面図であり、(c)は吸着パッドが下降して袋体を吸着した直後の状態を示した正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る袋体開口装置の動作を経時的に示した図であって、(a)は把持部が所定の第一上昇位置に変位した直後の状態を示した正面図であり、(b)は吸着パットが所定の第二上昇位置に変位した直後の状態を示した正面図であり、(c)はエアー噴出部が噴出動作を開始した直後の状態を示した正面図である。
【
図7】検査工程を実施する検査装置の全体的な構成を示した図であって、(a)はその概略平面図であり、(b)はその概略側面図である。
【
図8】袋体開口装置に投入された袋体の全体的な構成を示した図であって、(a)はその概略平面図であり、(b)はその概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態について、
図1乃至
図8を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、
図1乃至
図6に示した矢印の方向によって、袋体開口装置1の上下方向、前後方向、及び左右方向を規定して記述する。
また、
図7に示した矢印の方向によって、袋口検査装置101の上下方向、前後方向、及び左右方向を規定して記述する。
さらに、
図8において、載置台10に載置された状態に基づき、矢印の方向によって、袋体Bの上下方向、前後方向、及び左右方向を規定して記述する。
【0011】
[袋体開口方法]
先ず、本実施形態によって具現化される袋体開口方法について、
図1及び
図8を用いて説明する。
本実施形態における袋体開口方法は、連続的に供給される袋体Bの袋口B1(
図8を参照)を開口する方法であって、後述する袋体開口装置1(
図2を参照)によって実施される。
【0012】
ここで、
図8(a)に示すように、本実施形態において、開口動作の対象とする袋体Bは、例えば矩形の長尺シート状に形成された、長手方向の一端側(例えば、本実施形態においては、前端側)に袋口B1を有した構成からなる。
具体的には、袋体Bは、各々略同形状の矩形長尺シート状に切断された第一シート部材Ba及び第二シート部材Bb(
図8(b)を参照)を重畳させた構成からなり、幅方向(本実施形態においては左右方向)の両側縁部B2・B2、及び長手方向の他端側(例えば、本実施形態においては、後端側)の側縁部B3に亘って連続的に熱圧着されることにより、袋状に形成されている。
【0013】
そして、
図8(b)において、袋体Bの上側の面である表面を形成する第一シート部材Baは、硬度の低い軟性のプラスチックフィルムを素材とし、且つ袋体Bの下側の面である裏面を形成する第二シート部材Bbは、プラスチックフィルムに比べてやや硬度が高い、腰のある不織布を素材とする。
【0014】
なお、第一シート部材Ba及び第二シート部材Bbの材質については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、袋体Bの表面を下側に向け、且つ裏面を上側に向けた状態で、当該袋体Bを載置台10に載置した場合のように、上側の面を形成する第一シート部材Baが不織布を素材とし、且つ下側の面を形成する第二シート部材Bbがプラスチックフィルムを素材としていてもよい。
【0015】
このように、互いに硬度の異なる異種材料によって表面(即ち、第一シート部材Ba)及び裏面(即ち、第二シート部材Bb)が各々形成された袋体Bにおいては、袋口B1が開口する際の表面及び裏面の各挙動が互いに大きく異なることから、水平姿勢の状態で載置された袋体Bの袋口B1の開口動作を行う際、表面(第一シート部材Ba)及び裏面(第二シート部材Bb)は重力の影響を受けるため、例えば当該開口動作を行う吸着パッドの吸着箇所が外れ易くなる。
特に、腰のあるシート部材からなる場合は、その影響を受け易く、開口動作ミスが発生し易い。
【0016】
また、袋体Bが水平姿勢の状態で載置されている場合には、袋体Bを載置する載置部(例えば、後述する載置台10)によって袋体Bの裏面を吸着しつつ、当該載置部自身を上下方向に移動させることが困難なため、上記吸着パッドによって当該載置部と反対側の袋面を上記吸着パッドで吸着し、その後、離間する方向に吸着パッドを移動させて、袋口B1を開口させることとなる。
しかしながら、このように、上記載置部は移動させずに固定載置部とし、片片の吸着側のみを移動させると、袋体B自身が移動方向に引っ張られ易く、上記載置部によって吸着された裏面(第二シート部材Bb)が剥がれ易くなる。
特に、上記載置部の吸着する面(裏面)が弾性変形し難い剛体(吸着パッドのように、容易に弾性変形しないもの)からなる場合は、その吸着箇所が剥がれ易くなる。
また、上記載置部側に腰のあるシート部材が配置される袋体Bを開口する場合は、当該載置部から、より剥がれ易くなる。
【0017】
本実施形態における袋体開口装置1においては、後述するように、載置台10に載置された安定した水平姿勢の状態で、袋体Bの裏面を吸着することで当該袋体Bを確実に保持するとともに、袋口B1の開口動作を行う際には、袋体Bの表面を吸着した吸着手段50(
図2を参照)のみを、載置台10側との反対側(即ち、上側)に移動させることで、このような袋口B1を開口し難い袋体Bであっても、確実に開口することができる。
【0018】
図1に示すように、本実施形態における袋体開口方法は、主に、経時的に順に行われる規制工程S01、準備工程S02、開口工程S03、及び噴出工程S04等を備える。
但し、以下の説明においては、各工程S01~S04における各ステップ(S21~S23、及びS31~S33)について、経時的に行われる流れで説明しているが、状況に合わせて、各ステップは同時に行われてもよく、特に限定されない。
【0019】
規制工程S01は、載置台10に載置された袋体Bを、所定位置に規制する工程である。
ここで、袋体Bは、袋体開口装置1に対して1枚毎に供給され、袋口B1を閉じた水平姿勢の状態で載置台10に載置された後、規制工程S01によって、載置台10上の所定位置に規制される。
【0020】
準備工程S02は、規制工程S01の終了後に実行される工程であって、袋口B1の開口動作の準備を行う工程である。
準備工程S02は、経時的に順に行われる第一吸着ステップS21、把持ステップS22、及び第二吸着ステップS23を有する。
【0021】
第一吸着ステップS21は、袋口B1を閉じた水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して、当該載置台10側である裏面(より具体的には、第二シート部材Bb(
図8を参照)の裏面における、袋口B1の近傍)を、後述する第一固定載置部11の有底穴部11a(
図2(a)を参照)を介して吸着するステップである。
【0022】
また、把持ステップS22は、袋体Bにおける長手方向(前後方向)と直交する幅方向(左右方向)の両側縁部B2・B2(
図8を参照)を、後述する一対の把持手段40・40(
図3を参照)によって把持するステップである。
【0023】
さらに、第二吸着ステップS23は、袋体Bにおける、裏面とは反対側の表面(より具体的には、第一シート部材Ba(
図8を参照)の表面における、袋口B1の近傍)に、後述する吸着手段50(
図2(b)を参照)を近接させて、当該吸着手段50によって、袋体Bの表面を吸着するステップである。
【0024】
そして、これらの第一吸着ステップS21、把持ステップS22、及び第二吸着ステップS23が実行され、準備工程S02が終了すると、続いて開口工程S03が実行される。
【0025】
開口工程S03は、袋体Bに対して、袋口B1の開口動作を実行に移す工程である。
開口工程S03は、互いに同時に実行される第一移動ステップS31及び第二移動ステップS32、並びにこれらの両ステップS31・S32の終了後に実行される第三移動ステップS33を有する。
【0026】
第一移動ステップS31は、上記把持ステップS22によって、袋体Bの両側縁部B2・B2を把持した一対の把持手段40・40を、互いに近接する方向に移動させるステップである。
【0027】
また、第二移動ステップS32は、同じく、袋体Bの両側縁部B2・B2を把持した一対の把持手段40・40を、当該袋体Bに対して載置台10側との反対側、即ち上方側に移動させるステップである。
【0028】
さらに、第三移動ステップS33は、上記第二吸着ステップS23によって、袋体Bの表面における袋口B1の近傍を吸着した吸着手段50を、当該袋体Bに対して載置台10側との反対側、即ち上方側に移動させるステップである。
【0029】
そして、後述するように、第一移動ステップS31及び第二移動ステップS32が同時に実行されることにより、先ず始めに、袋体Bの表面(第一シート部材Ba)とともに、裏面(第二シート部材Bb)が下方に向かって湾曲され、続いて、第三移動ステップS33が実行されることにより、袋体Bの表面(第一シート部材Ba)のみが上方に向かって湾曲されて、袋体Bの袋口B1が開口される。
なお、開口工程S03が終了すると、続いて噴出工程S04が実行される。
【0030】
ところで、第一移動ステップS31及び第二移動ステップS32が実行されるタイミングについては、本実施形態のように、同時である場合に限定されることはなく、例えば、第一移動ステップS31(または、第二移動ステップS32)を実行した後に、第二移動ステップS32(または、第一移動ステップS31)を実行することとしてもよい。
また、第三移動ステップS33が実行されるタイミングについては、第一移動ステップS31及び第二移動ステップS32を実行した後に実行することとしているが、これらの第一移動ステップS31、第二移動ステップS32、及び第三移動ステップS33を同時に実行するようにしてもよい。
【0031】
しかしながら、後述するように、第一移動ステップS31及び第二移動ステップS32を同時に行うことで、袋体Bの裏面(第二シート部材Bb)が、下方に突出するように徐々に湾曲されるのに従い、適切に載置台10を袋体Bから相対的に遠ざけることが可能となり、袋体Bの裏面における吸着状態が剥がれる(解除される)ことを防止することができるため、より好ましい。
【0032】
噴出工程S04は、袋口B1を通じて、袋体Bの内部に向かって圧縮空気を噴出し、袋口B1の開口動作を支援するステップである。
ここで、本実施形態においては、開口工程S03の終了後に噴出工程S04が実行されが、これに限定されることはなく、準備工程S02の終了後であれば、何れのタイミングによって実行されてもよい。
【0033】
以上に示した、袋体開口方法を構成する各工程(規制工程S01、準備工程S02、開口工程S03、及び噴出工程S04)は、袋体開口装置1が経時的に順に実行する各動作によって、具現化される。
【0034】
[袋体開口装置1]
次に、袋体開口装置1の全体構成について、
図2、
図3、
図7、及び
図8を用いて説明する。
本実施形態における袋体開口装置1は、連続的に供給される袋体Bに順次物品W(
図7(b)を参照)を挿入し、その後、当該袋体Bの袋口B1を封止して物品Wを包装する包装機に備えられる装置であって、物品Wの挿入前に袋体Bの袋口B1を開口する装置である。
袋体開口装置1は、
図2(a)に示すように、主に、載置台10、位置決め装置20、固定ガイド30、把持手段40、吸着手段50(
図2(b)を参照)、吸着手段移動機構60(
図2(b)を参照)、第一把持手段移動機構70、第二把持手段移動機構80(
図3を参照)、及び噴出手段90等を備える。
【0035】
載置台10は、袋体開口装置1の所定位置において、袋体Bを水平姿勢の状態で載置して保持するものである。
載置台10は、例えば、直方体形状の第一固定載置部11、第一固定載置部11の後側面より後方に向かって延出する側面視逆「L」字状の第二固定載置部12、及び第二固定載置部12に対して後方側に離間して位置し、前後方向に移動可能に設けられる直方体形状の移動載置部13等を備え、これら第一固定載置部11、第二固定載置部12、及び移動載置部13の上面は、共通の仮想水平面L(
図2(b)を参照)上に位置するように各々設定されており、袋体Bの載置面を構成する。
【0036】
なお、これら第一固定載置部11、第二固定載置部12、及び移動載置部13の形状については、本実施形態に限定されるものではなく、共通の仮想水平面L上に位置する上面を有する限り、何れのような形状であってもよい。
また、第一固定載置部11及び第二固定載置部12からなる分割構造についても、本実施形態に限定されるものではなく、共通の素材からなる一体構造としてもよい。
【0037】
さらに、移動載置部13が前後方向に移動可能に設けられるのは、外形サイズ(長手方向の寸法)が異なる多品種の袋体Bに対応するためであり、少なくとも、袋体開口装置1による開口動作の対象とする袋体Bの長手方向の寸法が一種類に規定されている場合には、移動載置部13の移動機能を設ける必要はない。
【0038】
第一固定載置部11の上面において、左右方向中央部の前側には、平面視にて左右方向に延出する長円形状の有底穴部11aが設けられている。
有底穴部11aの底面は、
図2(b)に示すように、貫通通路11bを通じて第一固定載置部11の外部と連通されており、当該貫通通路部11bには、図示せぬ配管部材や電磁弁等を介して第一真空ポンプ2が接続されている。
【0039】
そして、袋体Bを所定位置にて水平姿勢の状態で載置台10に載置した後、第一真空ポンプ2が作動することにより、有底穴部11aの内部が真空状態となり、載置台10に載置された袋体Bは、当該載置台10側である裏面を吸着される。
なお、本実施形態においては、第一真空ポンプ2を用いて有底穴部11aの内部を真空状態にすることで、袋体Bの裏面を吸着することとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、エジェクター効果を利用した市販の負圧発生手段を用いて、袋体Bの裏面を吸着することとしてもよい。
【0040】
また、移動載置部13の後側面には、当該移動載置部13の上面を超えて上方に延出する後部ガイド部材14が固定されており、当該後部ガイド部材14は、移動載置部13の移動に追従して前後方向に移動するとともに、載置台10に載置された袋体Bに対して、当該袋部Bの後端部と当接し、袋体Bの長手方向(前後方向)の位置を規制可能な構成となっている。
【0041】
位置決め装置20は、上記の後部ガイド部材14とともに、載置台10に載置された袋体Bの長手方向(前後方向)の位置を、所定の位置に規制するものである。
位置決め装置20は、例えば、上下方向に延出し、後側面の上端部に当接面21a・21aを有した一対の規制バー21・21、及び左右方向に延出し、これら一対の規制バー21・21の下端部をともに貫通する回転軸22などを備える。
また、
図2(a)に示すように、これら一対の規制バー21・21は、載置台10(より具体的には、第一固定載置部11)の前方、且つ左右方向の両側に離間して各々配置され、第一固定載置部11の前側面の上端部に対して、当接面21a・21aが近接可能に設けられている。
【0042】
そして、
図2(b)に示すように、図示せぬ駆動モータ等によって、回転軸22が軸心を中心にして回動されることにより、一対の規制バー21・21は、当接面21a・21aが第一固定載置部11に近接した規制位置(
図2(b)中の実線によって示された規制バー21Xの位置)と、当接面21a・21aが第一固定載置部11から離間した退避位置(
図2(b)中の二点鎖線によって示された規制バー21Yの位置)との間を変位可能に設けられている。
【0043】
このような構成からなる位置決め装置20によって、袋体Bの前端部が規制され、且つ移動載置部13に設けられる後部ガイド部材14によって、袋体Bの後端部が規制されることにより、載置台10に載置された袋体Bの前後方向の位置は、所定の位置に規制される。
具体的には、袋体Bが水平姿勢の状態で載置台10に載置された後、一対の規制バー21・21が上記退避位置から上記規制位置に変位する。
これにより、載置台10上の袋体Bは、規制バー21の当接面21aによって、前端部を介して後方側へと押出され、その後、袋体Bの後端部が後部ガイド部材14と当接することにより、袋体Bの長手方向(前後方向)の位置が所定の位置に規制される。
【0044】
固定ガイド30は、載置台10に載置された袋体Bの幅方向(左右方向)の位置を、所定の位置に規制するものである。
固定ガイド30は、載置台10の左右両側に設けられ(
図2(a)を参照)、載置台10に沿って前後方向に延出し、且つ当該載置台10の上面を超えて上方に延出する一対の側部ガイド部材31・31、及びこれら一対の側部ガイド部材31・31を支持する支持部材32・32などを備える。
【0045】
そして、後述するように、図示せぬ移載機によって、袋体Bが袋体開口装置1に供給される際、袋体Bは、水平姿勢の状態で、一対の側部ガイド部材31・31の間を通過しつつ、上方から載置台10に載置される。
この際、袋体Bの幅方向(左右方向)の少なくとも一端は、一対の側部ガイド部材31・31の何れかと当接され、袋体Bの幅方向(左右方向)の位置が所定の位置に規制される。
【0046】
把持手段40は、後述する吸着手段50とともに、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して、袋口B1(
図8を参照)の開口動作を行うものである。
把持手段40は、例えば、上下方向に回動可能な一対のチャック爪41・41を有する市販のエアチャック等により構成され、
図2(a)に示すように、載置台10(より具体的には、第一固定載置部11)の左右方向の両側に各々配置される。
【0047】
具体的には、
図3に示すように、これら一対の把持手段40・40は、チャック爪部41・41を第一固定載置部11側に各々向けた状態で、当該第一固定載置部11の上面を間に挟んで、互いに左右方向に対向して配置される。
また、各把持手段40は、一対のチャック爪41・41が、互いに離間する方向に回動された開状態、及び互いに近接する方向に回動された閉状態に変位可能に設けられている。
【0048】
そして、これら一対の把持手段40・40は、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して、長手方向(前後方向)と直交する幅方向(左右方向)の両側縁部B2・B2(
図8を参照)であって、袋口B1の近傍(即ち、袋体Bの前端部)を把持可能に構成されており、袋体Bを把持した後に、後述する第一把持手段移動機構70及び第二把持手段移動機構80によって、これら一対の把持手段40・40が所定方向に移動されることにより、袋体Bにおける袋口B1の開口動作が行われる。
【0049】
吸着手段50は、上述した把持手段40とともに、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して、袋口B1の開口動作を行うものである。
吸着手段50・50は、例えば市販の吸着パッド等により構成され、複数個(本実施形態においては、2個)設けられるとともに、載置台10の上方、且つ左右方向中央部において、吸着面を下方に向けつつ、互いに左右方向に離間した状態で各々配置される。
また、
図2(b)に示すように、側面視において、これら一対の吸着手段50・50は、第一固定載置部11に設けられる有底穴部11aの、略直上の位置に各々配置される。
【0050】
吸着手段50は、後述の図示せぬ移載機に連結されており、当該移載機が袋体Bを載置台10に移載する動作と同時に、後述する吸着待機位置P12に吸着手段50が位置するように設定されている。
このため、上記移載機とは別に単独で吸着手段を設ける場合に比べ、サイクルタイムを短縮することができる。
なお、このような、吸着手段50における上記移載機と連結された構成については、特に限定されるものではなく、袋体Bの移載手段の構成などに合わせて適宜決めればよい。
【0051】
なお、吸着手段50の個数については、本実施形態に限定されるものではなく、1個でもよいし、3個以上であってもよい。
【0052】
これら一対の吸着手段50・50は、図示せぬ配管部材や電磁弁等を介して、ともに第二真空ポンプ3と接続されている。
ここで、第二真空ポンプ3については、上述した、第一固定載置部11の有底穴部11aと接続される第一真空ポンプ2を共有して用いてもよいし、第一真空ポンプ2とは別に、別途設けることとしてもよい。
但し、第一真空ポンプ2を共有して用いる場合、例えば、有底穴部11aによる吸着動作を行うタイミングと、吸着手段50による吸着動作を行うタイミングとが異なることから、それぞれ別の制御回路を設けることが必要である。
なお、第二真空ポンプ3についても、これに限定されるものではなく、例えば、エジェクター効果を利用した市販の負圧発生手段を用いて、袋体Bの表面を吸着することとしてもよい。
【0053】
吸着手段50は、後述するように、吸着手段移動機構60によって上下方向に移動(昇降)可能な構成となっており、当該吸着手段移動機構60によって下方に移動(下降)することにより、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して近接し、当該袋体Bの裏面とは反対側の表面における、平面視にて上記有底穴部11aの左右両端部の近傍箇所と当接するように構成されている。
そして、袋体Bの裏面が上記有底穴部11aによって吸着された状態において、当該袋体Bの表面に吸着手段50が当接した後、第二真空ポンプ3が作動することにより、吸着手段50は、袋体Bの当該表面を吸着し、その後さらに、吸着手段移動機構60によって上方に移動(上昇)することにより、袋体Bの袋口B1を開口する。
【0054】
吸着手段50は、載置台10の有底穴部11aの近傍箇所に当接することにより、物理的に袋体Bを有底穴部11aに押し当て、袋体Bと有底穴部11aとの隙間を無くすことで、吸着状態をより確実にすることができる。
特に、腰のある袋体Bの場合、水平姿勢で載置するだけでは、袋体Bのクセ等により、有底穴部11aとの間に隙間が生じ易く、吸着不良を引き起こす可能性があるため、より効果的である。
【0055】
ところで、吸着手段50は、袋体Bにおける袋口B1側の表面、即ち長手方向の一端側(前端側)の表面であって、幅方向(左右方向)の中央部に位置する吸着領域Sa(
図8を参照)の範囲内にて、当該袋体Bを吸着するように設定されている。
具体的には、
図8(a)に示すように、一対の吸着手段50・50が袋体Bの表面と当接する当接箇所50a・50aは、当該袋体Bの幅方向(左右方向)に対して、吸着領域Saの範囲内に位置するように設定されている。
【0056】
そして、吸着領域Saにおける袋体Bの幅方向(左右方向)の寸法は、当該袋体Bの幅方向(左右方向)の全長Sの20%に設定されている。
【0057】
従って、本実施形態における袋体開口装置1においては、例えば、袋体Bの幅方向(左右方向)の中央部を外れて、吸着手段50が吸着した場合、当該吸着手段50が吸着したまま上方に移動する時に、袋体Bの両端部に近いほど、吸着手段50の上方への移動に追従し難いため、吸着箇所が剥がれ易く、開口動作ミスが発生し易くなることを、極力防止する構成となっている。
【0058】
吸着手段移動機構60は、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bの表面に対して、近接及び離間する方向に向かって吸着手段50を移動可能とするものである。
吸着手段移動機構60は、
図3に示すように、例えば、市販の電動式または空気圧式のアクチュエータ等によって構成され、第一可動部61の可動方向が上下方向となるように配置されるとともに、当該第一可動部61を介して、上記一対の吸着手段50・50をともに支持する。
【0059】
そして、吸着手段移動機構60が作動して、第一可動部61が下方に移動(下降)することにより、上記一対の吸着手段50・50は、当該第一可動部61とともに下降し、載置台10上の袋体Bに対して近接する吸着位置P11(
図5(c)における吸着手段50の上下位置)へと移動される。
また、第一可動部61が上方に移動(上昇)することにより、上記一対の吸着手段50・50は、当該第一可動部61とともに上昇し、載置台10上の袋体Bに対して上方に離間した所定の吸着待機位置P12(
図5(a)における吸着手段50の上下位置)へと移動される。
【0060】
第一把持手段移動機構70は、上記一対の把持手段40・40に各々設けられ、これら一対の把持手段40・40を、互いに近接及び離間する方向に向かって移動可能とするものである。
各第一把持手段移動機構70は、例えば、市販の空気圧式のアクチュエータ等によって構成され、第二可動部71の可動方向が左右方向、且つ載置台10(より具体的には、第一固定載置部11)に向かって近接、及び離間する方向となるように配置されるとともに、当該第二可動部71を介して、各把持手段40を支持する。
【0061】
そして、一対の第一把持手段移動機構70・70が同時に作動して、第二可動部71・71がともに載置台10に向かって近接する方向に移動することにより、一対の把持手段40・40は、互いに近接する第一開口位置P21(
図6(a)における一対の把持手段40・40の左右位置)へと移動される。
また、第二可動部71・71がともに載置台10に対して離間する方向に移動することにより、一対の把持手段40・40は、互いに離間した所定の第一開口待機位置P22(
図5(a)における一対の把持手段40・40の左右位置)へと移動される。
【0062】
第二把持手段移動機構80は、一対の把持手段40・40に各々設けられ、これら一対の把持手段40・40を、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して載置台10側(即ち、下方側)、及び載置台10側との反対側(即ち、上方側)に向かって、各々移動可能とするものである。
各第二把持手段移動機構80は、例えば、市販の空気圧式のアクチュエータ等によって構成され、第三可動部81の可動方向が上下方向となるように配置されるとともに、当該第三可動部81を介して、上記の第一把持手段移動機構70とともに各把持手段40を支持する。
【0063】
そして、一対の第二把持手段移動機構80・80が同時に作動して、第三可動部81・81がともに上方に移動(上昇)することにより、一対の把持手段40・40は、第一把持手段移動機構70・70とともに、袋体Bに対して載置台10側との反対側(即ち、上方側)に位置する所定の第二開口位置P31(
図6(a)における一対の把持手段40・40の上下位置)へと移動される。
また、第三可動部81・81がともに下方に移動(下降)することにより、一対の把持手段40・40は、第一把持手段移動機構70・70とともに、袋体Bに対して載置台10側(即ち、下方側)に位置する所定の第二開口待機位置P32(
図5(a)における一対の把持手段40・40の上下位置)へと移動される。
【0064】
噴出手段90は、水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して、袋口B1(
図8を参照)を通じて、当該袋体Bの内部に向かって圧縮空気を噴出するものである。
噴出手段90は、例えば、市販のエアノズル等により構成され、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、載置台10(より具体的には、第一固定載置部11)の前方、且つ左右方向中央部において、噴出し口を第一固定載置部11の上面に向けた状態で配置される。
また、噴出手段90は、図示せぬ配管部材や電磁弁等を介して、コンプレッサ4と接続されている。
【0065】
そして、上述した把持手段40及び吸着手段50による、袋体Bにおける袋口B1の開口動作が開始すると、コンプレッサ4から圧縮空気が供給され、噴出手段90より袋体Bの内部に向かって圧縮空気が噴出される。
【0066】
[袋体開口装置1の動作]
次に、袋体開口装置1の動作について、
図2、及び
図4乃至
図6を用いて説明する。
先ず始めに、
図2(b)において、第一真空ポンプ2及び第二真空ポンプ3は、ともに作動状態となっているが、図示せぬ電磁弁等によって、載置台10(より具体的には、第一固定載置部11)の有底穴部11aを介した吸引動作、及び吸着手段50を介した吸引動作は、ともに停止した状態となっている。
また、コンプレッサ4も同様に作動状態となっているが、図示せぬ電磁弁等によって、噴出手段90からの圧縮空気の噴出動作が、停止した状態となっている。
【0067】
そして、位置決め装置20は、一対の規制バー21・21が、ともに上記退避位置にて停止した状態となっている。
また、
図3に示すように、一対の把持手段40・40は、第一開口待機位置P22且つ第二開口待機位置P32の位置にて、各々上記開状態で停止した状態となっている。
さらに、一対の吸着手段50・50は、吸着待機位置P12の位置にて停止した状態となっている。
【0068】
このような初期状態における袋体開口装置1において、図示せぬ移載装置によって1枚の袋体Bが供給され、
図4(a)に示すように、当該袋体Bは、載置台10に水平姿勢の状態で載置される。
この際、袋体Bは、幅方向(左右方向)の少なくとも一端を側部ガイド部材31に当接させつつ、上方から載置台10に載置されることとなり、これにより、載置台10上における袋体Bの幅方向(左右方向)の位置が、予め定められた所定位置に規制される。
【0069】
そして、載置台10に袋体Bが載置されると、規制工程S01が実行される。
具体的には、
図4(b)に示すように、位置決め装置20において、一対の規制バー21・21が、直ちに上記待機位置から上記規制位置へと変位する。
これにより、袋体Bは、一対の規制バー21・21によって、長手方向(前後方向)の一端(前端)を介して後方へと押しやられ、その後、長手方向(前後方向)の他端(後端)を介して後部ガイド部材14と当接することとなり、載置台10上における袋体Bの長手方向(前後方向)の位置が、予め定められた所定位置に規制される。
【0070】
規制工程S01が終了すると、続いて準備工程S02が実行される。
具体的には、
図5(a)に示すように、第一真空ポンプ2と、載置台10の有底穴部11aとの間に設けられる電磁弁(図示せず)が切替わり、当該有底穴部11aによる吸引動作が開始される(第一吸引ステップS21)。
これにより、袋体Bの裏面は、有底穴部11aを介して載置台10に吸着され、当該載置台10上における袋体Bの位置が保持される。
【0071】
また、有底穴部11aによる吸引動作が開始すると、
図5(b)に示すように、一対の把持手段40・40が、ともに上記開状態から上記閉状態に変位する(把持ステップS22)。
これにより、袋体Bは、一対の把持手段40・40によって、幅方向(左右方向)の両側縁部B2・B2(
図8を参照)を把持された状態となる。
【0072】
さらに、一対の把持手段40・40が、ともに上記閉状態に変位すると、
図5(c)に示すように、吸着手段移動機構60が作動して、一対の吸着手段50・50が、吸着待機位置P12から吸着位置P11へと移動される。また、一対の吸着手段50・50が、吸着位置P11に到達して袋体Bの表面と当接すると、第二真空ポンプ3と、これら一対の吸着手段50・50との間に設けられる電磁弁(図示せず)が切替わり、一対の吸着手段50・50による吸引動作が開始される(第二吸引ステップS23)。
これにより、袋体Bにおける長手方向(前後方向)の一端(前端)は、一対の吸着手段50・50によって、載置台10に押し付けられるとともに、当該袋体Bの表面は、一対の吸着手段50・50によって吸着され、準備工程S02が終了する。
【0073】
準備工程S02が終了すると、続いて開口工程S03が実行される。
具体的には、
図6(a)に示すように、一対の第一把持手段移動機構70・70、及び一対の第二把持手段移動機構80・80が同時に作動して、一対の把持手段40・40が、第一開口待機位置P22から第一開口位置P21へと移動されるとともに(第一移動ステップS31)、第二開口待機位置P32から第二開口位置P31へと移動される(第二移動ステップS32)。
これにより、袋体Bは、長手方向(前後方向)の一端(前端)が、一対の吸着手段50・50によって載置台10に押し付けられた状態で、幅方向(左右方向)の両端が、互いに上昇しながら近接されることとなり、表面を形成する第一シート部材Ba、及び裏面を構成する第二シート部材Bb(
図8を参照)がともに、下方に向かって湾曲された状態となる。
【0074】
また、一対の把持手段40・40が、ともに第一開口位置P21且つ第二開口位置P31へと移動されると、
図6(b)に示すように、吸着手段移動機構60が作動して、一対の吸着手段50・50が、吸着位置P11から上方側の所定位置へと移動(上昇)する(第三移動ステップS33)。
なお、上記の「上方側の所定位置」は、吸着待機位置P12と同等の位置に設定してもよいし、また吸着位置P11と吸着待機位置P12との間の任意の位置に設定してもよい。
これにより、袋体Bは、載置台10の有底穴部11aを介して裏面を吸着された状態で、一対の吸着手段50・50によって、表面を形成する第一シート部材Baが、上方に向かって引き上げられて湾曲し、袋体Bの袋口B1が開口される。
そして、一対の吸着手段50・50によって、袋体Bの袋口B1が開口されることにより、開口工程S03が終了する。
【0075】
開口工程S03が終了すると、続いて噴出工程S04が実行される。
具体的には、
図6(c)に示すように、コンプレッサ4と、噴出手段90との間に設けられる電磁弁(図示せず)が切替わり、当該噴出手段90からの圧縮空気の噴出動作が開始される。
これにより、噴出手段90から噴出される圧縮空気が、袋口B1を介して袋体Bの内部へと吹き込まれ、当該袋口B1の開口動作が支援され、袋体Bは、より確実に袋口B1を開口されることとなる。
そして、上記噴出動作の開始から所定時間が経過すると再び電磁弁が切替わり、噴出手段90からの圧縮空気の噴出動作が停止した状態となる。これにより、噴出工程S04は終了し、袋体Bにおける袋口B1の開口動作が完了する。
【0076】
噴出工程S04が終了すると、袋口B1が開口された状態にある袋体Bに対して、物品W(
図7(b)を参照)が、当該物品Wの幅方向(左右方向)を規制する図示せぬ規制ガイドとともに、袋口B1の前方から移動してきて、開口状態の袋口B1から挿入される。
その後、上記規制ガイドが袋口B1から退くことで物品Wの充填が完了し、袋体Bは、次工程へと送られる。
但し、物品Wの充填については、次工程で行ってもよく、特に限定されない。
そして、袋体Bは、熱圧着等によって袋口B1を封止され、後述する袋口検査装置101によって、当該袋口B1の封止状態を検査される。
【0077】
一方、袋体開口装置1から袋体Bが搬出されると、当該袋体開口装置1は、再び上述した初期状態に復帰し、図示せぬ移載装置によって、1枚の袋体Bが供給されるのを待機した状態となる。
【0078】
[袋体Bの袋口検査装置101]
次に、所定の物品Wが挿入され、袋口B1を封止された袋体Bに対して、当該袋口B1の封止状態を検査する袋口検査装置101について、
図7を用いて説明する。
【0079】
上述したように、袋体開口装置1(
図2を参照)によって袋口B1を開口された袋体Bは、その後、所定の物品Wを挿入されて、熱圧着等により袋口B1を封止された後、後述する袋口検査装置101によって、当該袋口B1の封止状態が検査される。
ここで、袋口B1の封止状態の検査については、一般的に、袋体Bの裏面側(または表面側)に配置された照明手段と、表面側(または裏面側)に配置された撮像手段と、当該撮像手段によって取得した画像データに基づき、袋口B1の封止状態の位置ズレや、シワ、毛羽等の発生や、熱圧着による袋口B1の溶解などの有無を判別する制御手段とを備えた検査装置によって実施される。
【0080】
しかしながら、このような一般的な検査装置を用いた、袋口B1の封止状態の検査方法においては、袋体Bの表面及び裏面を形成するシート部材が、ともにプラスチックフィルム等の透明な素材からなる場合には、略適正に上記封止状態を把握することができるものの、本実施形態のように、袋体Bの表面及び裏面の内、少なくとも何れか一方を形成するシート部材が、不透明の不織布を素材とする場合には、照明手段による光の透過が妨げられて、撮像手段によって鮮明な画像データを取得し難く、適正に上記封止状態を把握することが困難である。
また、シート部材が不織布である場合には、表面の繊維により、異物や毛羽などの区別が付きにくいという課題もある。
【0081】
このようなことから、本実施形態においては、以下に示す袋口検査装置101を用いることで、たとえ、不透明の不織布を素材とするシート部材を有した袋体Bであっても、当該袋体Bにおける袋口B1の封止状態を、略適正に把握することを可能としている。
【0082】
本実施形態における袋口検査装置101は、上述した袋体開口装置1と同じく、連続的に供給される袋体Bに順次物品Wを挿入し、その後、当該袋体Bの袋口B1を封止して物品Wを包装する包装機に備えられる装置であって、所定の物品Wが挿入されて袋口B1を封止された袋体Bに対して、当該袋口B1の封止状態を検査する装置である。
【0083】
袋口検査装置101は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、主に、水平姿勢の状態で袋体Bを載置する載置台110、載置台110の一端(本実施形態においては前端)の直上に配置される撮像手段120、載置台110の一端(前端)の上面を間に挟んで互いに対向して配置され、当該一端(前端)の上面を照明する一対の第一照明手段130・130、載置台110の上方であって、撮像手段120に対して前記一対の第一照明手段130・130の対向方向と直交する方向の一方側(本実施形態においては前方側)及び他方側(本実施形態においては後方側)に各々配置され、上記載置台110の一端(前端)の上面を照明する一対の第二照明手段140・140、並びに撮像手段120が取得した画像データに基づき、袋体Bにおける袋口B1の封止状態を判定する制御部150などを備える。
また、袋口検査装置101は、載置台110に載置された袋体Bの袋口B1を確実に保持するために、例えばアクリル板やガラス板等からなる透明の押さえバー160を備える。
【0084】
撮像手段120は、例えば、市販のデジタル式高画質カメラ等により構成することができ、撮像素子としてCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等、何れのものが備えられていてもよい。
また、第一照明手段130及び第二照明手段140は、例えば、市販のLED照明等により構成することができる。
【0085】
制御部150としては、撮像手段120と接続するインターフェイス、ROM・RAM・HDD等の記憶装置、CPU(演算装置)、及び表示装置などを備え、所定の画像処理プログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータを使用することができる。
【0086】
そして、このような構成からなる袋口検査装置101によって、所定の物品Wが挿入され、袋口B1を封止された袋体Bは、以下の手順に従い、袋口B1の封止状態が検査される。
【0087】
即ち、先ず始めに、袋口検査装置101に袋体Bが搬入され、当該袋体Bは、長手方向を前後方向とし、且つ袋口B1が撮像手段120の直下に位置するようにして、載置台110に水平姿勢の状態で載置されるとともに、押さえバー160によって、当該袋口B1の位置を保持される(検査準備工程S101)。
この際、袋体Bは、表面(第一シート部材Ba)を形成するプラスチックフィルムを上側に向け、且つ裏面(第二シート部材Bb)を形成する不織布を下側に向けた状態で、載置台110に載置される。
【0088】
上記検査準備工程S101が終了し、載置台110に袋体Bが載置されると、一対の第一照明手段130・130が所定時間(およそ数千分の1秒~数万分の1秒)点灯し、水平方向(本実施形態においては、左右方向)から袋口B1の周囲を照明する。
また、一対の第一照明手段130・130が点灯するのと同時に、撮像手段120は、袋体Bにおける袋口B1を含んだ前端部を撮像する。
そして、撮像手段120によって撮像された第一画像データは、電気信号に変換されて制御部150へと送信され、当該制御部150は、受信した第一画像データに基づき、袋口B1の封止状態の位置ズレや、シワの発生の有無等を判別する(第一検査判定工程S102)。
【0089】
上記第一検査判定工程S102が終了すると、続いて、一対の第二照明手段140・140が所定時間(およそ数千分の1秒~数万分の1秒)点灯し、斜め上方(本実施形態においては、斜め前上方及び斜め後上方)から袋口B1の周囲を照明する。
また、一対の第二照明手段140・140が点灯するのと同時に、撮像手段120は、袋体Bにおける袋口B1を含んだ前端部を撮像する。
そして、撮像手段120によって撮像された第二画像データは、電気信号に変換されて制御部150へと送信され、当該制御部150は、受信した第二画像データに基づき、袋口B1における毛羽等の発生の有無等を判別する(第二検査判定工程S103)。
【0090】
上記第二検査判定工程S103が終了すると、押さえバー160が袋体Bから離間して保持状態が解除され、当該袋体Bは袋口検査装置101から搬出される(搬出工程S104)。
これにより、袋口検査装置101による袋口B1の封止状態の検査は終了する。
【0091】
このように、本実施形態における袋口検査装置101おいては、ともに載置台110の上方に位置する一対の第一照明手段130・130、及び一対の第二照明手段140・140によって、袋体Bの袋口B1を照明し、撮像手段120によって取得した画像データに基づき、袋口B1の封止状態の検査を行う構成となっている。
【0092】
従って、上述したような一般的な検査装置とは異なり、たとえ表面及び裏面の内、少なくとも何れか一方を形成するシート部材が、不透明の不織布を素材とするような、本実施形態に用いられる袋体Bであっても、袋口B1の封止状態を、略適正に把握することができる。
【0093】
[効果]
以上のように、本実施形態における袋体開口方法は、矩形の長尺シート状に形成され、長手方向の一端側(前端側)に袋口B1を有する袋体Bの、当該袋口B1を開口する袋体開口方法であって、袋口B1の開口動作の準備を行う準備工程S02と、当該準備工程S02の終了後に実行され、袋口B1の開口動作を行う開口工程S03とを備える。
ここで、準備工程S02は、袋口B1を閉じた水平姿勢の状態で載置台10に載置された袋体Bに対して、当該載置台10側である裏面(第二シート部材Bb)を吸着する第一吸着ステップS21、袋体Bにおける長手方向(前後方向)と直交する幅方向(左右方向)の両側縁部B2・B2を、一対の把持手段40・40によって把持する把持ステップS22、並びに袋体Bにおける裏面(第二シート部材Bb)とは反対側の表面(第一シート部材Ba)に吸着手段50を近接させて、当該吸着手段50によって表面(第一シート部材Ba)吸着する第二吸着ステップS23を有する。
また、開口工程S03は、一対の把持手段40・40を互いに近接する方向に移動させる第一移動ステップS31、一対の把持手段40・40を袋体Bに対して載置台10側との反対側に移動させる第二移動ステップS32、並びに吸着手段50を袋体Bに対して載置台10側との反対側に移動させる第三移動ステップS33を有する。
【0094】
また、本実施形態における袋体開口装置1は、矩形の長尺シート状に形成された、長手方向の一端側に袋口B1を有する袋体Bの、当該袋口B1を開口する袋体開口装置1である。
ここで、袋体開口装置1は、袋口B1を閉じた水平姿勢の状態で袋体Bを載置するとともに、当該袋体Bの載置側である裏面(第二シート部材Bb)を吸着する載置台10、袋体Bにおける長手方向(前後方向)と直交する幅方向(左右方向)の両側縁部B2・B2を把持する一対の把持手段40・40、並びに袋体Bにおける裏面(第二シート部材Bb)とは反対側の表面(第一シート部材Ba)を吸着する吸着手段50を備える。
また、袋体開口装置1は、袋体Bの表面(第一シート部材Ba)に対して、近接及び離間する方向に向かって吸着手段50を移動可能とする吸着手段移動機構60、前記一対の把持手段40・40を、互いに近接及び離間する方向に向かって移動可能とする第一把持手段移動機構70・70、並びに一対の把持手段40・40を、袋体Bに対して載置台10側、及び前記載置台10側との反対側に向かって移動可能とする第二把持手段移動機構80・80とを備える。
【0095】
このように、本実施形態における袋体開口方法及び袋体開口装置1によれば、従来のように、垂直姿勢の状態で懸吊された袋(袋体)に対して一対の吸盤(吸着手段)を互いに離間(対称的に離間)することなく、載置台10に載置された安定した水平姿勢の状態で、袋体Bの裏面(第二シート部材Bb)を吸着することで当該袋体Bを確実に保持し、袋口B1の開口動作を行う際には、袋体Bの表面(第一シート部材Ba)を吸着した吸着手段50のみを、載置台10側との反対側(即ち、上側)に移動させるだけで、袋体B1を安定的に開口することができる。
【0096】
また、水平姿勢の状態で保持された袋体Bの袋口B1を開口する際には、袋体Bの表面は上方に突出するように湾曲され、且つ袋体Bの裏面は下方に突出するように湾曲されることから、当該裏面が湾曲されるのに伴い、袋体Bから相対的に載置台10を遠ざける必要がある。
この点、本実施形態における袋体開口方法及び袋体開口装置1によれば、開口工程S03において、袋体Bの両側縁部B2・B2を把持する一対の把持手段40・40を、互いに近接する方向に移動させるとともに、載置台10側との反対側(上側)に向かって移動させることで、袋体Bから相対的に載置台10を遠ざけることができる。
【0097】
これらのことから、本実施形態における袋体開口方法によれば、例えば、互いに硬度の異なる異種材料によって表面(第一シート部材Ba)及び裏面(第二シート部材Bb)が各々形成された、袋口Bを開口し難い矩形長尺シート状の袋体Bであっても、確実に開口することができる。
【0098】
また、本実施形態における袋体開口方法は、開口工程S03において、第一移動ステップS31及び前記第二移動ステップS32を、互いに同時に実行することとしている。
【0099】
ここで、袋体Bの両側縁部B2・B2を把持する一対の把持手段40・40を、互いに近接する方向に移動させた(第一移動ステップS31)後に、載置台10側との反対側(上側)に向かって移動させた(第二移動ステップS32)場合、第一移動ステップS31の実行に伴い、袋体の表面(第一シート部材Ba)及び裏面(第二シート部材Bb)がともに上方に突出するように湾曲され、袋体の裏面における吸着状態が剥がれる(解除される)虞がある。
一方、袋体Bの両側縁部B2・B2を把持する一対の把持手段40・40を、載置台10側との反対側(上側)に向かって移動させた(第二移動ステップS32)後に、互いに近接する方向に移動させた(第一移動ステップS31)場合であっても、第二移動ステップS32の実行に伴い、袋体Bの表面(第一シート部材Ba)及び裏面(第二シート部材Bb)が強制的に上方に向かって移動され、袋体Bの裏面における吸着状態が剥がれる(解除される)虞がある。
【0100】
このようなことから、本実施形態における袋体開口方法においては、袋体Bの袋口B1の開口動作を行う際、第一移動ステップS31及び第二移動ステップS32を同時に行うことで、袋体Bの裏面(第二シート部材Bb)が、下方に突出するように徐々に湾曲されるのに従い、適切に載置台10を袋体Bから相対的に遠ざけることが可能となり、袋体Bの裏面における吸着状態が剥がれる(解除される)ことを防止することができる。
【0101】
また、本実施形態における袋体開口方法は、第二吸着ステップS23において、吸着手段50は、袋体Bにおける袋口B1側の表面(第一シート部材Ba)であって、幅方向(左右方向)の中央部に位置する吸着領域Saの範囲内にて、袋体Bを吸着することとしている。
【0102】
このような構成を有することにより、袋体Bにおける袋口B1側の表面(第一シート部材Ba)であって、幅方向(左右方向)の中央部から大きくずれて、熱圧着された当該幅方向(左右方向)の両側の何れかに吸着手段50が吸着し、袋口B1の開口動作ミスが発生するのを防止することができる。
【0103】
また、本実施形態における袋体開口方法は、吸着領域Saにおける袋体Bの幅方向(左右方向)の寸法は、袋体Bの前記幅方向(左右方向)の全長Sの20%に設定されることとしている。
【0104】
このような構成を有することにより、袋体Bにおける袋口B1側の表面(第一シート部材Ba)であって、幅方向(左右方向)の中央部から大きくずれて、熱圧着された当該幅方向(左右方向)の両側の何れかに吸着手段50が吸着し、袋口B1の開口動作ミスが発生するのを、より確実に防止することができる。
【0105】
また、本実施形態における袋体開口方法は、準備工程S02の終了後に実行され、袋口B1を通じて、袋体Bの内部に向かって圧縮空気を噴出する噴出工程S04をさらに備えることとしている。
【0106】
また、本実施形態における袋体開口装置1は、袋口B1を通じて、袋体Bの内部に向かって圧縮空気を噴出する噴出手段90をさらに備えることとしている。
【0107】
このような構成を有することにより、吸着手段50、及び一対の把持手段40・40による袋体Bの袋口B1の開口動作を支援し、当該袋口B1をより確実に開口することができる。
【0108】
また、本実施形態における袋体開口方法は、準備工程S02の開始前に実行され、載置台10に載置された前記袋体Bを所定位置に規制する規制工程S01をさらに備えることとしている。
【0109】
このような構成を有することにより、常に予め規定された所定位置にて、袋体Bの袋口B1の開口動作を実施することができ、吸着手段50、及び一対の把持手段40・40等の予期せぬ動作不良を防止し、より確実に袋口B1を開口することができる。
【0110】
また、本実施形態における袋体開口方法において、袋体Bは、表面を形成する第一シート部材Baと、裏面を形成する第二シート部材Bbとを備え、第一シート部材Ba及び第二シート部材Bbの何れか一方はプラスチックフィルムからなり、且つ第一シート部材Ba及び第二シート部材Bbの何れか他方は不織布からなることを特徴とする。
【0111】
このような、互いに硬度の異なる異種材料(プラスチックフィルム及び不織布)によって表面(第一シート部材Ba)及び裏面(第二シート部材Bb)が各々形成された、袋口B1を開口し難い矩形長尺シート状の袋体Bであっても、本実施形態における袋体開口方法によれば、確実に開口することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 開口装置
10 載置台
40 把持手段
50 吸着手段
60 吸着手段移動機構
70 第一把持手段移動機構
80 第二把持手段移動機構
90 噴出手段
B 袋体
B1 袋口
B2 両側縁部
Ba 第一シート部材Ba(表面)
Bb 第二シート部材Bb(裏面)
S 全長
S01 規制工程
S02 準備工程
S03 開口工程
S04 噴出工程
S21 第一吸着ステップ
S22 把持ステップ
S23 第二吸着ステップ
S31 第一移動ステップ
S32 第二移動ステップ
S33 第三移動ステップ
Sa 吸着領域