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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045742
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】パーテーションスタンド
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
E04B2/74 561L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151498
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】597086117
【氏名又は名称】株式会社プレシード
(71)【出願人】
【識別番号】520349230
【氏名又は名称】松本 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松本 修一
(57)【要約】
【課題】パネル板をしっかりと固定しかつ着脱容易な係止機構を有し、様々な種類のパネル板を垂直に安定して立たせることができるパーテーションスタンドの提供。
【解決手段】パーテーションスタンド1は、パネル板が挿入される溝部21を有するスタンド本体10と、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向に突出している突起部分221を含む係止部22とを有し、係止部22は、パネル板が挿入される際に弾性変形して当該パネル板を押圧して固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル板が挿入される溝部を有するスタンド本体と、
パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向に突出している突起部分を含む係止部と、を有し、
前記係止部は、パネル板が挿入される際に弾性変形して当該パネル板を押圧して固定するパーテーションスタンド。
【請求項2】
前記係止部は、前記溝部の一部と一体形成される請求項1に記載のパーテーションスタンド。
【請求項3】
前記係止部は、前記溝部の一部と一体形成される支持部分を2箇所含み、かつ、ループ状に形成される請求項1に記載のパーテーションスタンド。
【請求項4】
前記溝部から近い方に位置する支持部分と、前記係止部のうち前記溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL1とし、
前記溝部から遠い方に位置する支持部分と、前記係止部のうち前記溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL2としたとき、
L1がL2より長い請求項3に記載のパーテーションスタンド。
【請求項5】
前記係止部は、パーテーションスタンドの出所を示す特定の形状である請求項1~4のいずれか1項に記載のパーテーションスタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に卓上で用いられ、空間を仕切るためのパネル板を立てるパーテーションスタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症対策のため、店や公共施設、会社などあらゆる場所で空間を仕切るパーテーションが設けられている。このようなパーテーションは、設置されている場所や用途によって、厚さやサイズ、形状などパネル板の種類も様々である。
【0003】
パネル板やパネル板を立てるスタンドに関する先行技術として、特許文献1~3に記載されているものがある。例えば、特許文献1には、下端に錘を取付けたポール状の外殻体に、対向してパネルを挟持し得る一対の挟持面を略全長にわたって設けたパネルスタンドが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、パネル材を取付けたフレームにおける左右1対の側部フレームの下端部の対向面に、後向き凸状に折曲された可動脚体の両側端部を、回動可能かつ後方を向いて接床する使用状態と、側部フレームとほぼ平行をなして上下方向を向く不使用状態とに、選択的に固定しうるようにして取付けたスタンドパネルが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、ウイルス等を防護する役割を有する透視可能なシールド具と、このシールド具の土台の役割を有する保持部材とで構成される対面用防護パネル本体が記載されている。シールド具は、対面販売や対面接客するための対面位置に載置可能に設けられ、対面位置を遮蔽する正面板と左面板と、右面板と、上面板とを有しており、正面側、左右両側、上面側の四方を囲う構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5-30310号公報
【特許文献2】特開2008-93073号公報
【特許文献3】実用新案登録第3152493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年では感染症対策のためパーテーションのニーズが増大し、あらゆる場所で様々な種類のパネル板が利用されるなど、パーテーションの多種多様化が進んでいる。そのため、特許文献1~3に記載されているパネル板を立てるスタンドに関する技術では、厚さやサイズ、形状など様々な種類のパネル板に対応できるものではない。つまり、パネル板を立てる際に最も重要視される、パネル板をしっかりと固定し一体となり、垂直に安定して立たせることは難しい。
【0008】
よって、本発明は、パネル板をしっかりと固定しかつ着脱容易な係止機構を有し、様々な種類のパネル板を垂直に安定して立たせることができるパーテーションスタンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパーテーションスタンドは、パネル板が挿入される溝部を有するスタンド本体と、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向に突出している突起部分を含む係止部とを有し、係止部は、パネル板が挿入される際に弾性変形して当該パネル板を押圧して固定する。これにより、係止部はパネル板が挿入される際に弾性変形するため、突起部分もパネル板が挿入される際には一時的に引っ込みパネル板が挿入される空間が生じる。また、パネル板が挿入された後は弾性変形した係止部が元の位置に戻るため、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向に突出している突起部分が挿入されたパネル板を押圧して固定する。
【0010】
また、係止部は、溝部の一部と一体形成されることが望ましい。これにより、別に製作した係止部を溝部の一部に溶接固定するよりも、耐衝撃強度を向上させることができる。
【0011】
また、係止部は、溝部の一部と一体形成される支持部分を2箇所含み、かつ、ループ状に形成されることが望ましい。これにより、係止部は弾性力を有しつつ、かつ無理な力での変形を防止することができる。
【0012】
また、溝部から近い方に位置する支持部分と、係止部のうち溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL1とし、溝部から遠い方に位置する支持部分と、係止部のうち溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL2としたとき、L1がL2より長いことが望ましい。これにより、係止部は、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向への弾性力をより有することができ、かつ強度を向上させることができる。
【0013】
また、係止部は、パーテーションスタンドの出所を示す特定の形状であることが望ましい。これにより、パーテーションスタンドは出所表示機能を備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明のパーテーションスタンドは、パネル板が挿入される溝部を有するスタンド本体と、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向に突出している突起部分を含む係止部とを有し、係止部は、パネル板が挿入される際に弾性変形して当該パネル板を押圧して固定する構造により、パネル板が挿入される際には突起部分が一時的に引っ込み、かつパネル板が挿入された後は突起部分が挿入されたパネル板を押圧して固定するため、パネル板の種類を問わず、パネル板を垂直にしっかりと固定することができる。
【0015】
(2)また、係止部は、溝部の一部と一体形成される構成により、強度を向上させることができ、壊れにくく、長期間使用することができるなど、パーテーションスタンドの品質が向上する。
【0016】
(3)また、係止部は、溝部の一部と一体形成される支持部分を2箇所含み、かつ、ループ状に形成される構造により、係止部は弾性力を有しつつ、かつ無理な力での変形を防止することができる。
【0017】
(4)また、溝部から近い方に位置する支持部分と、係止部のうち溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL1とし、溝部から遠い方に位置する支持部分と、係止部のうち溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL2としたとき、L1がL2より長い構造により、係止部は、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向への弾性力をより有することができ、かつ強度を向上させることができるため、より品質のよいパーテーションスタンドを提供することができる。
【0018】
(5)また、係止部は、パーテーションスタンドの出所を示す特定の形状である構造により、パーテーションスタンドは出所表示機能を備えることができため、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】発明の実施の形態に係るパーテーションスタンドを示す斜視図である。
図2】発明の実施の形態に係るパーテーションスタンドの使用例を示す説明図である。
図3】パーテーションスタンドの係止部付近の拡大図である。
図4】パーテーションスタンドの製造過程を示す説明図であり、(A)は製造過程の一例、(B)は製造過程の別の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、各図面において、共通の構成要素については同一符号を付し、その詳細な説明を一部省略する。
【0021】
[パーテーションスタンド]
図1は、発明の実施の形態に係るパーテーションスタンドを示す斜視図である。パーテーションスタンド1は、パネル板が挿入される溝部21を有するスタンド本体10と、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向に突出している突起部分221を含む係止部22とを有する。図1に示すように、突起部分221は溝部21に向かって飛び出る構造となっており、溝部21にパネル板が挿入される際、当該パネル板にぶつかる位置に存在している。また、パーテーションスタンド1は、板金に対してレーザー切断加工や折り曲げ加工などを施して製作される。
【0022】
本実施の形態では、係止部22は溝部21の一部と一体形成される。一体形成されるとは、例えば、係止部22が溝部21の一部と溶接固定されていないことである。また、係止部22は、パーテーションスタンドの出所を示す特定の形状とすることができる。例えば、図1に示す例では、係止部22は出願人のロゴを示す雲形の形状となっている。
【0023】
[パーテーションスタンドの使用例]
図2は、本実施の形態に係るパーテーションスタンドの使用例を示す説明図である。パーテーションスタンド1は、溝部21にパネル板が挿入され、係止部22で当該パネル板を固定して用いられる。
【0024】
突起部分221は溝部21に向かって飛び出る構造となっており、溝部21にパネル板が挿入される際、当該パネル板にぶつかる位置に存在しているが、係止部22は弾性変形する構造であるため、パネル板が挿入される際には突起部分221が一時的に引っ込み、かつパネル板が挿入された後は突起部分221が挿入されたパネル板を押圧して固定する。
【0025】
[係止部]
図3は、パーテーションスタンドの係止部付近の拡大図である。本実施の形態では、係止部22は、溝部21の一部と一体形成される支持部分C1,C2を含み、かつ、ループ状に形成される(空間Sを形成する)。具体的に係止部22は、板金から溝部21の部分をレーザーで切り抜き、さらに空間Sをレーザーで切り抜いて形成される。係止部22は支持部分C1,C2を含んでいるため、パネル板が挿入される方向に対して略直交する方向、つまり突起部分221がパネル板を押圧する方向への弾性力を有することができる。
【0026】
また、支持部分がC1,C2の2箇所であることにより、支持部分が1箇所である場合よりも強度が向上し、無理な力での変形を防止することができる。なお、係止部22は、ラグビーボールの形状など、突起部分221がパネル板を押圧する方向への弾性力を有することができる形状に形成されていてもよい。さらに、支持部分を補足して、係止部22を弾性を有する形状に形成することによっても、同じ作用効果を奏することができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、溝部から近い方に位置する支持部分(図3における支持部分C1)と、係止部のうち溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL1とし、溝部から遠い方に位置する支持部分(図3における支持部分C2)と、係止部のうち溝部の長手方向に向かって当該支持部分と反対方向に位置する部分との距離をL2としたとき、L1がL2より長くなっている。具体的には、L1は13.5mm、L2は11.5mmとしている。
【0028】
このような構造にすることにより、例えば、L1がL2と等しい場合よりも、係止部22の突起部分221がパネル板を押圧する方向への弾性力が向上する。また、L1,L2が等しいことにより、支持部分C1,C2が溝部21の一部と一体形成される部分がそれぞれ等しくなる場合よりも、強度が向上する。
【0029】
なお、上述したように突起部分221は溝部21に向かって飛び出る構造となっているが、溝部本実施の形態では、溝部21の幅の長さL3は3.2mm、L4は3.0mm、L5は4.7mmとしている。これに対して、パーテーションスタンド1に挿入されるパネル板の厚さは3.2mm~3.4mmである。そのため、パーテーションスタンド1は係止部22により、3mm幅を弾性でクランプ(固定)することができる。
【0030】
さらに、本実施の形態では、係止部22はパーテーションスタンドの出所を示す形状であるため、出所表示機能を備えることもでき、パーテーションスタンド1を製造、販売する際に便利である。
【0031】
なお、係止部22は、出所を示す以外の、識別力を有する特定の形状であってもよい。例えば、係止部22の形状は、パーテーションスタンドを使用する部屋や部署を区別することができるような形状であってもよい。これにより、席替えや引っ越し、備品管理などが容易となり、利便性が向上する。さらに、係止部22の形状は、審美性を有するものであってもよい。特に、パーテーションスタンドは使用者の目に入る卓上で使用する場面が多いため、審美性は利用者が求める重要な要素の一つである。
【0032】
[製造過程]
図4は、パーテーションスタンドの製造過程を示す説明図であり、(A)は製造過程の一例、(B)は製造過程の別の一例を示す説明図である。図4に示す例では、板金をレーザーで切断した後、折り曲げラインB1~B4で折り曲げて、図1に示すようなパーテーションスタンド1の形状とする。また、溝部21の長手方向の長さは一例として、L6:194mm(図4(A)参照)やL7:234mm(図4(B)参照)と、パーテーションスタンド1が設置される場所や用途に合わせたり、パーテーションスタンド1を折り曲げラインB1~B4で折り曲げて立てた時の曲げ部上面(B2~B3の部分)から地面までの深さ(例えば、30mm~35mm)を確保するために、適宜調整することができる。一方、溝部21の短手方向の長さは、溝部21の中心の部分がL8:4.2mm、溝部21の中心から左右にズレた部分がL9:5mmとすることができる。
【0033】
また、本実施の形態のパーテーションスタンド1は、上述したような係止機構を有するため、パーテーションスタンドの横幅や溝幅が従来のパーテーションスタンドよりも短かかったり、浅くてもしっかりとパネル板を垂直に安定して立たせることができる。なお、パーテーションスタンドの横幅は、9cmや20cm、またはそれ以上と自在にデザインすることができる。パーテーションスタンドの溝幅は、3mmや5mmとすることができる。
そして、パーテーションスタンド1およびパーテーションスタンド1に挿入されたパネル板を移動させる場合は、しっかりと固定されているため、パーテーションスタンド1またはパネル板のどちらか一方を持てば、一体で移動させることができる。
【0034】
なお、パネル板を交換する際や収納する際は、容易にパーテーションスタンド1からパネル板を取り外すことができるため、非常に利便性がある。つまり、パネル板が汚れたり、傷が入った場合でも、パネル板を買い替えるだけ(パネル板を交換するだけ)で済む。
【0035】
さらに、不使用時に収納する場合もスペースを取らないため、非常に利便性がある。例えば、従来の接着やビス構造の一体型のスタンドは、収納するためのスペースが大きいため、不使用時の収納に不向きである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、感染症対策のため、空間を仕切るためのパネル板を立てるパーテーションスタンドとして用いることができるため有用であり、特に、パネル板の種類を問わず、パネル板を垂直にしっかりと固定することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 パーテーションスタンド
10 スタンド本体
21 溝部
22 係止部
221 突起部分
B1~B4 折り曲げライン
C1,C2 支持部分
L1~L9 長さ
P パネル板
S 空間
図1
図2
図3
図4