(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045848
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】業務改善支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220314BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151685
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】596177043
【氏名又は名称】株式会社 ハンモック
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】若山 大典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 夏菜子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】 これまで、多くのコンサルタントが、RPA診断・RPA事前コンサル・RPA提案等と称して行ってきた既存の業務プロセスを把握・分解・分析し、RPA化を含めた業務改善すべき業務の抽出・選定をツール(システム)として提供することにある。
【解決手段】 業務改善の検討対象の業務に携わる作業者に対して当該業務の課題に関するヒアリング項目を表示して、その回答を促す課題ヒアリング画面表示機能と、作業者から回答された課題ヒアリング結果を整理する課題ヒアリング結果整理機能と、整理された課題ヒアリング結果を出力する課題ヒアリング結果出力機能と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RPA化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムであって、
業務改善する業務を抽出・選定するために、
業務改善の検討対象の業務に携わる作業者に対して当該業務の課題に関するヒアリング項目を表示して、その回答を促す課題ヒアリング画面表示機能と、
作業者から回答された課題ヒアリング結果を整理する課題ヒアリング結果整理機能と、
整理された課題ヒアリング結果を出力する課題ヒアリング結果出力機能と、
を備えることを特徴とした業務改善支援システム。
【請求項2】
課題ヒアリング画面表示機能は、選択又は入力された作業者の業務名又は業務内容からその業務に対応した課題ヒアリング項目が表示されることを特徴とした請求項1記載の業務改善支援システム。
【請求項3】
課題ヒアリング画面表示機能は、業務に関する課題を回答群の中から選択する形で課題ヒアリング項目を表示することを特徴とした請求項1又は2記載の業務改善支援システム。
【請求項4】
課題ヒアリング画面表示機能は、業務に関する頻度又は時間を選択又は入力する形で課題ヒアリング項目を表示することを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載の業務改善支援システム。
【請求項5】
課題ヒアリング結果整理機能は、回答された課題ヒアリング結果を表又は/及びグラフに出力可能に集計するとともに、業務の改善によって短縮する作業時間を算出することを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載の業務改善支援システム。
【請求項6】
算出・出力された短縮する業務時間について作業者に対して当該業務時間の短縮によって得られる時間・心のゆとりの活用に関するヒアリング項目を表示して、その回答を促す目標ヒアリング画面表示機能と、
作業者から回答された目標ヒアリング結果を整理する目標ヒアリング結果整理機能と、
整理された目標ヒアリング結果を出力する目標ヒアリング結果出力機能と、
をさらに備えることを特徴とした請求項5記載の業務改善支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、業務のRPA(Robotic Process Automation)化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
社会課題としての労働人口の減少、社会潮流としての働き方改革の推進、Withコロナによるテレワークの普及など組織における業務改善の必要性は高まっている。そして、業務改善の一例として、業務のRPA化がある。
【0003】
現在、ノンプログラミングでRPAシナリオの作成できるものが主流であるが、実態はプログラムコードを直接書かないだけで、フローチャート・変数・分岐条件・反復条件・エラー処理など、プログラミングの素養が必要となっている。
このような状況下で、プログラミングの素養がなくても、RPA化が可能なよりユーザフレンドリーなRPAツールが開発されている(特許文献1及び2など)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-74889号公報
【特許文献2】特許第6452882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、人間の操作をロボットがそのまま行ってもうまく期待通りにロボットは処理を完遂できないことが多い。例えば、
例1として、Webサービスのログインにロボット除けがある。
例2として、ボタンを押下して画面が切り替わったとき、人は認知して次の操作に移れるが、ロボットは人間相当の目を持たないため、認知できない。そのため、期待画像・待ち時間・リトライ回数などを登録し、期待画像になったかどうかを検知する仕組みをとる。
例3として、人間は、同時並行処理、判断処理、中断・再開を都度自然に判断し、処理を継続できるが、ロボットはあらかじめ設定されたシナリオ以外は動作しない。また、異常も検知できないため、期待以外の処理が実施されるリスクもある。
【0006】
そのため、現状では、既存の業務プロセスを把握・分解・分析し、ロボット向きの業務の抽出、ロボット向きの手順への置き換えが行われる。そして、多くのコンサルタントが対面で、RPA診断・RPA事前コンサル・RPA提案等と称してこれを実施している。
【0007】
これに対して、本願発明者は、これまでコンサルタントが対面で行っていたRPA化等のための業務の洗い出し(抽出)・選定をコンサル無しのツール(システム)として提供することで、RPA化のみならず広く業務改善にも資することを目的にして、本願発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために、本願発明者は、業務の洗い出し(抽出)・選定を行うためのツール(システム)として以下の発明をした。
第1の発明は、RPA化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムであって、業務改善する業務を抽出・選定するために、業務改善の検討対象の業務に携わる作業者に対して当該業務の課題に関するヒアリング項目を表示して、その回答を促す課題ヒアリング画面表示機能と、作業者から回答された課題ヒアリング結果を整理する課題ヒアリング結果整理機能と、整理された課題ヒアリング結果を出力する課題ヒアリング結果出力機能と、を備えることを特徴としたものである。
第2の発明は、課題ヒアリング画面表示機能が、選択又は入力された作業者の業務名又は業務内容からその業務に対応した課題ヒアリング項目が表示されることを特徴とした同業務改善支援システムである。
第3の発明は、課題ヒアリング画面表示機能が、業務に関する課題を回答群の中から選択する形で課題ヒアリング項目を表示することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第4の発明は、課題ヒアリング画面表示機能が、業務に関する頻度又は時間を選択又は入力する形で課題ヒアリング項目を表示することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第5の発明は、課題ヒアリング結果整理機能が、回答された課題ヒアリング結果を表又は/及びグラフに出力可能に集計するとともに、業務の改善によって短縮する作業時間を算出することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第6の発明は、算出・出力された短縮する業務時間について作業者に対して当該業務時間の短縮によって得られる時間・心のゆとりの活用に関するヒアリング項目を表示して、その回答を促す目標ヒアリング画面表示機能と、作業者から回答された目標ヒアリング結果を整理する目標ヒアリング結果整理機能と、整理された目標ヒアリング結果を出力する目標ヒアリング結果出力機能と、をさらに備えることを特徴とした同業務改善支援システムである。
【発明の効果】
【0009】
上記する本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)これまでは業務改善(RPA化を含めて)に対して、変化やリストラなどを恐れる現場から対象業務リストが挙がってこないおそれがあったが、ヒアリング(アンケート)を用いることで、ユーザ(作業者)の抵抗を軽減して業務のリストアップを促すことができるようになる。
(2)ユーザ(作業者)に対しては、業務に対する課題をヒアリングするだけでなく、ヒアリングの結果、当該業務が改善した場合(=作業時間の短縮によって得られる時間的・精神的な余裕)のヒアリングも実施されることで、ユーザ(作業者)のモチベーション向上、ひいては組織の活性化(生産性の向上)につながる。
(3)コンサル依存、外部への委託を前提としたRPA化では費用がかかるため、コスト効果が高い業務(単純で大量)が優先される傾向にあり、現場のメリットが大きい多種小ロットの「ミスの軽減」「現場の精神的負担を減らす」観点での選定がおろそかになりやすく、費用対効果の高いものしか外注されない。結果として、外注費を上回る効果の期待できる業務でないとRPA化が進められない状況にあるが、言語化されにくい業務の負担をヒアリングを用いて可視化することで、RPA化を含めた業務改善のメリットを感じてもらうことができるようになる。また、見えにくかった(可視化されにくかった)業務の課題がヒアリングによって明らかになる(業務の可視化)。
(4)ヒアリング形式や定型の下書き入力フォーマットによって、だれでもヌケモレなく作業者の暗黙知となりがちな業務の詳細を登録できる。
(5)業務の洗い出しの目的は、RPAだけとはかぎらず、広く業務改善対象業務の洗い出しが可能である。
(6)業務課題のヒアリングは、RPAの効果を知らない作業者でも迷わず回答できる。
(7)当該業務の前工程・後工程の課題の有無もヒアリングやテンプレートによって洗い出す。これにより、業務の変更は、当該業務だけではできないこともあり、その前後を可視化することにより、適切な改善が実現できる。
(8)別発明との連携、すなわち、PC操作ログ(ウェブブラウザ系の操作ログ及びソフトウェアアプリケーション等の非ウェブブラウザ系の操作ログの両方を含む)から生成した手順・入出力等の作業のフローや要所を整理した情報(業務分析発明)と組み合わせたレポート作成することにより、業務をわからない第三者が当該業務の内容を詳細に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(1)。
【
図2】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(2)。
【
図3】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(3)。
【
図4】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(4)。
【
図5】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(5)。
【
図6】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(6)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明(業務改善支援システム)の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、業務改善支援システムの概要を説明したものである。
RPA化を含めた業務改善によってもたらされる主な効果は次のようなものであるが、これらをヒアリング(課題ヒアリング)を使って実現していく。
(1)自動化による人件費の削除
(2)人的ミスの軽減
(3)「時間(工数)短縮」によるコア業務への注力
(4)担当者の精神的負担の軽減
(5)改ざんリスクの軽減
【0012】
まず、作業者から課題ヒアリング(例「もし誰かに代わってもらえたら(楽になるのに)(コア業務に集中できるのに)と思う仕事」)に回答してもらい業務を抽出する。
次に、抽出した業務の頻度・所要時間を表やグラフで可視化する。
更に、業務改善(RPA化を含む)によって獲得できた時間と心のゆとりを何に活用したいか等の目標ヒアリングに回答してもらい可視化する。これによって、業務に対する作業者のモチベーションを維持する。
【0013】
図2は、業務を抽出するための課題ヒアリングの画面(その1)である。
この画面では、C-2で作業者に業務名を登録してもらう。
「新規入力」に、作業者が入力する。例えば、業務の大分類・業務のサブ分類・具体的な作業名の下書きにそって入力する。
「入力済み業務名から選択」は、作業者が洗い出しリストを作成するとき、まず初めに作業を列挙し、その後業務ヒアリングを作成することができる機能である。
【0014】
図3は、課題(内容)を抽出するための課題ヒアリングの画面(その2)である。
図2の画面で業務名(業務内容)を選択又は入力すると、当該業務に関する課題となり得るヒアリング(課題ヒアリング項目)が表示される(ヒアリングは業務ごとに変えることも可能である)。作業者はこの課題ヒアリング項目の回答群の中から該当するものを選択する。選択肢形式なので、作業者に対する回答負担が軽減されるようになっている。なお、表示された課題ヒアリング項目にはないが、当該業務について気になることがあれば、それを入力できるようになっている(「その他気になることがあれば、教えてください」を選択すると文字入力できる)。
【0015】
図4は、課題(頻度・時間)を抽出するための課題ヒアリングの画面(その3)である。
図3の画面で課題ヒアリング項目に回答すると、次に、当該業務に関する頻度又は時間を選択又は入力する形の課題ヒアリング項目が表示される。
右下の「録画」ボタンを選択すると画面が変わり、当該画面から、業務名を選択して、当該業務の操作を録画できる。録画した内容で当該業務を分析し整理する機能(別発明:業務分析発明)につながる(連携する)。
【0016】
図5は、
図2~
図4の課題ヒアリングに作業者が回答した課題ヒアリング結果を整理しそれを出力した画面である。
図5では、課題ヒアリング結果を表で出力しているが、これをグラフ(円グラフ等)で出力してもよい(例えば、日・月・年単位で、各業務の全体の仕事時間に対する割合を円グラフで表示するなど)。また、画面の下段には、業務の改善によって短縮する作業時間を算出した結果(業務の「30%」改善で1日あたり「1.04時間」のゆとりが獲得)が出力されている。この出力に対しては、更に目標ヒアリングに回答する。
【0017】
図5に図示する課題ヒアリング結果を出力した表であるが、従来の業務改善では作業に対する所要時間が重視されていた。しかし、本願発明の業務改善支援システムでは、業務に対する課題の内容(結果)を重視している。これによって、これまでに無い業務の可視化が可能となり、改善すべき業務の内容が第三者にも明らかになるからである。
【0018】
図6は、目標を抽出するための目標ヒアリング画面である。
図5で出力された短縮する作業時間の活用について目標ヒアリングの回答群の中から該当するものを選択する。選択肢形式なので、作業者に対する回答負担が軽減されるようになっている。なお、表示された目標ヒアリングにはないが、当該目標について気になることがあれば、それを入力できるようになっている(「その他目標があれば、教えてください」を選択すると文字入力できる)。そして、目標が明確になれば、作業者もRPA化を含む業務改善について積極的に取り組むことが期待される。
【0019】
目標ヒアリング結果は、レポートとして出力される。レポートでは目標ヒアリング結果を集約した内容が表示される。このレポートはチームで共有化されることを想定しており、互いに個人の改善要望を理解して協力できる情報共有につながる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本願発明は、RPA化を含む業務改善を実施・実現する前段階として行う業務の洗い出し(抽出)・選定を行うためのツール(業務改善支援システム)として幅広く利用できるものである。