(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045849
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】業務改善支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220314BHJP
G06F 11/34 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06F11/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151686
(22)【出願日】2020-09-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 本願発明に係る「業務改善支援システム」を公開した情報 1.配布物:製品チラシ 配布年月日:2020年6月15日~7月3日 2.掲載年月日:2020年6月15日 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=IxQkOcDQBq8&t=6s
(71)【出願人】
【識別番号】596177043
【氏名又は名称】株式会社 ハンモック
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】若山 大典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 夏菜子
【テーマコード(参考)】
5B042
5L049
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MA14
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】 これまでコンサルタントが対面で行っていたRPA化等のための業務分析を、コンサル無しのツール(システム)として提供することで、RPA化のみならず広く業務改善にも資することにある。
【解決手段】 RPA化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムであって、業務改善する業務を分析するために、業務改善の検討対象の業務に携わる作業者のコンピュータ端末操作ログから当該業務に係るハード情報を自動収集する情報収集機能と、自動収集したハード情報を、テンプレート(下書きなども含む)又は/及びヒアリングから作業者の選択又は入力したソフト情報で加工し、当該業務の分析に必要な情報へ整理する情報整理機能と、整理された情報を出力する情報出力機能と、を備えることを特徴とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RPA化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムであって、
業務改善する業務を分析するために、
業務改善の検討対象の業務に携わる作業者のコンピュータ端末操作ログから当該業務に係るハード情報を自動収集する情報収集機能と、
自動収集したハード情報を、テンプレート又は/及びヒアリングから作業者の選択又は入力したソフト情報で加工し、当該業務の分析に必要な情報へ整理する情報整理機能と、
整理された情報を出力する情報出力機能と、
を備えることを特徴とした業務改善支援システム。
【請求項2】
情報整理機能は、当該業務の操作手順を理解できるように整理することを特徴とした請求項1記載の業務改善支援システム。
【請求項3】
情報整理機能は、当該業務のインプット・アウトプットを理解できるように整理することを特徴とした請求項1又は2記載の業務改善支援システム。
【請求項4】
情報整理機能は、当該業務の目的・概要を理解できるように整理することを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載の業務改善支援システム。
【請求項5】
情報整理機能は、当該業務の前工程・後工程を理解できるように整理することを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載の業務改善支援システム。
【請求項6】
情報整理機能は、当該業務の失敗・遅延の影響を理解できるように整理することを特徴とした請求項1から5のいずれかに記載の業務改善支援システム。
【請求項7】
情報整理機能は、当該業務の既存のやり方又は課題を理解できるように整理することを特徴とした請求項1から6のいずれかに記載の業務改善支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、業務のRPA(Robotic Process Automation)化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
社会課題としての労働人口の減少、社会潮流としての働き方改革の推進、Withコロナによるテレワークの普及など組織における業務改善の必要性は高まっている。そして、業務改善の一例として、業務のRPA化がある。
【0003】
現在、ノンプログラミングでRPAシナリオの作成できるものが主流であるが、実態はプログラムコードを直接書かないだけで、フローチャート・変数・分岐条件・反復条件・エラー処理など、プログラミングの素養が必要となっている。
このような状況下で、プログラミングの素養がなくても、RPA化が可能なよりユーザフレンドリーなRPAツールが開発されている(特許文献1及び2など)。
なお、特許文献1及び2では、ウェブブラウザの操作を伴う業務プロセスを自動化するためにウェブブラウザの操作ログを取得するものであるが、それ以前から操作分析・作成をするためにアプリケーションの操作ログを取得する技術は存在していた(特許文献3及び4など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-74889号公報
【特許文献2】特許第6452882号公報
【特許文献3】特開平10-171844号公報
【特許文献4】特開2014-164560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、人間の操作をロボットがそのまま行ってもうまく期待通りにロボットは処理を完遂できないことが多い。例えば、
例1として、Webサービスのログインにロボット除けがある。
例2として、ボタンを押下して画面が切り替わったとき、人は認知して次の操作に移れるが、ロボットは人間相当の目を持たないため、認知できない。そのため、期待画像・待ち時間・リトライ回数などを登録し、期待画像になったかどうかを検知する仕組みをとる。
例3として、人間は、同時並行処理、判断処理、中断・再開を都度自然に判断し、処理を継続できるが、ロボットはあらかじめ設定されたシナリオ以外は動作しない。また、異常も検知できないため、期待以外の処理が実施されるリスクもある。
【0006】
そのため、現状では、既存の業務プロセスを把握・分解・分析し、ロボット向きの業務の抽出、ロボット向きの手順への置き換えが行われる。そして、多くのコンサルタントが対面で、RPA診断・RPA事前コンサル・RPA提案等と称してこれを実施している。
【0007】
これに対して、本願発明者は、これまでコンサルタントが対面で行っていたRPA化等のための業務分析をコンサル無しのツール(システム)として提供することで、RPA化のみならず広く業務改善にも資することを目的にして、本願発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために、本願発明者は、コンサル無しの業務分析(=専門家を必要とせずに作業現場のチームや管理者などの当事者による業務分析)を可能とするためのツール(システム)として以下の発明をした。
第1の発明は、RPA化を含めた業務改善を支援するための業務改善支援システムであって、業務改善する業務を分析するために、業務改善の検討対象の業務に携わる作業者のコンピュータ端末操作ログから当該業務に係るハード情報を自動収集する情報収集機能と、自動収集したハード情報を、テンプレート(下書きなども含む)又は/及びヒアリングから作業者の選択又は入力したソフト情報で加工し、当該業務の分析に必要な情報へ整理する情報整理機能と、整理された情報を出力する情報出力機能と、を備えることを特徴としたものである。
第2の発明は、情報整理機能が、当該業務の操作手順を理解できるように整理することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第3の発明は、情報整理機能が、当該業務のインプット・アウトプットを理解できるように整理することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第4の発明は、情報整理機能が、当該業務の目的・概要を理解できるように整理することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第5の発明は、情報整理機能が、当該業務の前工程・後工程を理解できるように整理することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第6の発明は、情報整理機能が、当該業務の失敗・遅延の影響を理解できるように整理することを特徴とした同業務改善支援システムである。
第7の発明は、情報整理機能が、当該業務の既存のやり方又は課題を理解できるように整理することを特徴とした同業務改善支援システムである。
【発明の効果】
【0009】
これまでも、RPA化の検討対象の業務に携わる作業者のコンピュータ端末操作を録画して、操作手順書、マニュアルの自動化を実現するツールは存在していた(上記特許文献1~4等)。一般的なマニュアルツールは、標準化された作業手順(人間が実施するための手順)をPC録画によって、キーボード・マウス操作のタイミングでスクリーンショットを収集し、キーボード・マウス操作を日本語で記載する(例:クリックする)。しかし、これであると次のような問題が生じやすい。
(1)スクリーンショットとキーボード・マウス操作から生成される説明文では、足りない要素が多い。
(2)録画操作が時系列で記述されるが、マウスの全ての操作が記載されるため、冗長で不要な操作記録が多い。
(3)見出し・小見出しがないため、業務概要を把握しづらい。
(4)手順以外の情報の整理の機能が無い(業務マニュアルの用途が広いため、RPA化検討・業務改善検討の目的の機能が無い)ため、RPA化を含めた業務改善を目的とした検討の意図が分からないユーザからの情報収集が適切にできない。属人化した情報のままで、第三者(当該業務を知らない人)が把握できない。
【0010】
これに対して、上記する本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)業務作業者のコンピュータ端末操作ログ(ウェブブラウザ系の操作ログ及びソフトウェアアプリケーション等の非ウェブブラウザ系の操作ログの両方を含む)から当該業務に係るハード情報を自動収集するだけでなく、自動収集したハード情報を、テンプレート又は/及びヒアリングから作業者の選択又は入力したソフト情報で加工することで、ハード情報とソフト情報とが融合し、当該業務の分析に真に必要な情報へ整理される。このため、業務のRPA化の判断をコンサル無しで的確に行えるだけでなく、事業者の業務改善にも資するものとなる。
(2)業務分析に必要な「業務の作業手順」「業務におけるINPUT/OUTPUT」「業務の目的・概要」「業務の前工程・後工程」「失敗・遅延の影響」「既存のやり方や業務の課題」等を理解できるように整理・出力されるので、当該業務に関わる者だけでなく、当該業務をよく知らない者であってもコンサルタントの助けを借りずに業務分析(RPA化の判断を含む業務改善)ができる。
(3)例えば、当該業務の前工程・後工程の課題の有無もヒアリングやテンプレートによって洗い出す。これにより、業務の変更は、当該業務だけではできないこともあり、その前後を可視化することにより、適切な業務改善が実現できる。
(4)また、失敗・遅延のヒアリングなど、正常に業務が完了しない場合の連絡先、一時対応、リカバリ対応などを、下書きつきのフォーマットで記入できるようにすることで、失敗・遅延の影響と対処が把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(1)。
【
図2】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(2)。
【
図3】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(3)。
【
図4】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(4)。
【
図5】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(5)。
【
図6】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(6)。
【
図7】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(7)。
【
図8】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(8)。
【
図9】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(9)。
【
図10】本願発明の業務改善支援システムを説明する説明図(10)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明(業務改善支援システム)の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至
図9は、業務改善支援システムの「業務分析」に必要な機能を画面等を使って説明したものである。
【0013】
まず、
図1乃至
図5では、「業務の操作手順」について説明する。
図1及び
図2に図示するように、作業者のキーボード操作をトリガーにUI要素取得と全画面ショットを取得し、その全画面ショットからアクティブ画面ショットを抽出、操作説明要素を抽出し、画面と説明文を自動生成される。なお、キー押下は、3アクションあるが、1Stepにまとめる。
【0014】
また、
図3では、見出しの生成と所要時間の算出について説明する。
大見出しは、アプリケーション名(Web操作の場合は「ホスト名」)から、中見出しは、ファイル名(Web操作の場合は、パス名)から、小見出しはタイトル名(取得できたとき)から自動生成する。
なお、特定の条件で、見出しを立てないこともできる。例えば、メモ帳からのコピー&ペーストの時などである。
また、大見出し・中見出し単位で所要時間の算出ができる。
【0015】
見出しの生成については、
図4及び
図5でさらに詳しく説明する。
図4は、アプリケーションの一覧を表示する画面である。
業務分析をする場合、一般的に業務を時系列(時間軸)で整理することになる。しかし、業務分析に関して専門的知識の無い者や作業者以外の第三者は、時系列で整理された業務内容(作業内容)を見ても、理解するのは極めて困難である。これに対して、本願発明に係る業務改善支援システムでは、登場人物たるアプリケーション(主体軸)でまとめ、それをベースに時間軸で整理することとした。これにより、効率の良い見出し付けや用途となり、データフローが明確になり、業務分析に関して専門的知識の無い者や作業者以外の第三者でも業務内容(作業内容)を理解しやすくなる。その結果、コンサル無しの業務分析、すなわち、専門家を必要とせずに作業現場のチームや作業管理者などの当事者のみによる業務分析が可能となる。
【0016】
図5は、作業者が利用したアプリケーション毎の操作の整理画面である。作業者は、画面に表示されたテンプレートで、当該アプリケーションを利用した用途として「作成」を選択する。すると、用途の表記が「○×ライセンス管理台帳の
作成」と反映される(下線部が新たに加わる)。これによって、作業者のみならず、作業者以外の者も作業手順を認識(理解)しやすくなる。
【0017】
また、
図6乃至
図8では、「業務の目的・概要」「業務におけるINPUT/OUTPUT」について説明する。
図6に図示するように、代表画面検出およびインプット/アウトプットの自動検出から業務概要の生成機能を実施する。中見出しは、ファイル名(Web操作の場合は、パス名)、塊は、TimeStampのまとまりの画面群を抽出し、同じWindowで複数の画面群の中から平均的な画像を画像分析して決める。
【0018】
図7に図示するように、塊検出は、録画ステップのStep番号の塊であり、塊で同じ画面に紐付くクリップボードへのコピー(コピー元画面)と、クリップボードからのペースト(コピー先画面)、テキスト確定、入力、などの文字入力操作(入力操作・演算操作の画面とする)から、インプット・アウトプット・インプット&アウトプットを解析して、自動で操作の内容を検出する。ユーザは画面から、インプット(参照・チェック)、アウトプット(転記、入力、演算、報告)などの画面に対する操作概要を登録できる。
【0019】
図8Aに図示するように、
図7の操作によって、インプット/アウトプットの抽出と、「参照・転記・チェック・入力・報告」などの業務内容に変換され整理される。
図8Bに図示するように、Aで整理された内容から、業務の説明が生成される。
図8Cに図示する「代表画面の項目集約機能」は、操作画面群の操作対象項目座標を集約して、入力対象項目一覧を自動生成する。
【0020】
さらに、
図9では、「業務の前工程・後工程」「失敗・遅延の影響」「既存のやり方や業務の課題」について説明する。
操作ログに現れない言語化されていないノウハウ・暗黙知・不満・懸念などを、作業者へのヒアリングやテンプレートにより、第三者が理解できる情報に整理する。
業務はそれ単独で存在するのではなく、前工程や後工程を有するものも少なくない。そうした場合、当該業務の前工程や後工程をも認識・理解した上で当該業務の分析をしなければ、間違えた分析或いは無駄な分析になる場合もある。
また、業務は必ずスムーズにいくとは限らない。そうした場合、当該業務の失敗や遅延の影響をも認識・理解した上で当該業務の分析をすることで、イレギュラーな状況下でも柔軟に対応できてリスク回避となる。
【0021】
最後に、
図10で、業務分析支援システムのデータフローを図示する。なお、図示したデータフローはあくまで一例であって、本願発明に係る業務分析支援システムのデータフローはこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本願発明は、作業者の業務をRPA化を含めた業務改善するためにコンサル不要で業務分析を行うツール(システム)として幅広く利用できるものである。