(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045857
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】ロープ引き留め具
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20220314BHJP
【FI】
B60C19/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020166366
(22)【出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】520381997
【氏名又は名称】西林 真雄
(72)【発明者】
【氏名】西林 真雄
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131LA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タイヤホイールに台付ワイヤ等を固縛しなくても、タイヤを利用した複数のロープ等の結着が可能な引き留め具を提供する。
【解決手段】タイヤTと地面の間をすり抜けない太さのある棒状のもので、タイヤTの表と裏とを挟み、また、タイヤTの前後は輪止めを兼ねたハの字状に取り付けた桁部材4で挟み、タイヤTの接地部の周囲を囲える枠を形成したものであって、複数の結着用穴5を備えた、ロープ等を迅速に結着出来る引き留め具1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの接地部の表側及び裏側を挟むように、表側部材及び裏側部材が配置されており、前記表側部材と前期裏側部材とが2つの輪止め兼用桁部材で結合されおり、その2つの前記桁部材が離間し、配置されている枠状のロープ引き留め具。
【請求項2】
2つの桁部材がハの字に配置されている、請求項1記載のロープ引き留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの接地部に配置するロープ引き留め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を引き留め支持物として利用する場合には、タイヤホイールに繊維ベルトや台付ワイヤ等を直接固縛して引き留め点を作成する。
しかし、これだとホイールの形状によっては台付ワイヤが通せないものや、鋭利な断面構造のものでは、繊維ベルトが破断する恐れがある。また、ホイール内部の制動装置等の損傷に注意を要するため手間がかかるものである。
また、引き留め点に滑車や専用資機材等を結着する必要がある場合には、複数の結着用穴を有するプレート状のリギング金具を追加して対応する。
しかし、それを引き留め点に追加すると、余分な空間が必要となり、また、ロープ等の張力が無くなった場合には、リギング金具や結着された資機材等の重量で垂れ下がり、タイヤに直接固縛した台付ワイヤ等が緩む恐れがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】[令和2年8月28日検索]インターネット<URL:http://www.cityofloveland.org/home/showdocument?id=32844>
【非特許文献2】[令和2年8月28日検索]インターネット<URL:http://instantanchor.com/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来のタイヤホイールに台付ワイヤ等を固縛しなくても、タイヤをロープ等の引き留め支持物に出来る部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するために、タイヤと地面の間をすり抜けない太さのある棒状のもので、タイヤの表と裏とを挟み、また、タイヤの前後は桁部材で挟むようにして表側部材と裏側部材を接合することで、タイヤの接地部の周囲を囲える枠を形成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、枠形状であるためタイヤで枠を踏み越えて、中央にタイヤが配置されれば、表側部材に結着されたロープ等に張力が加わっても、裏側部材がタイヤの裏面に当たり、その張力を支持することが出来る。よって、タイヤホイール自体に台付ワイヤ等を固縛しないで、迅速にロープ等を引き留めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0009】
図1は、ロープ引き留め具の表面から見た俯瞰図で、タイヤとの関連を示す。
タイヤTの接地部を囲うため、実施するための形態であるロープ引き留め具1を地面に置き、タイヤTが枠の桁部材4を転がり、乗り越えて、枠の中央に位置することで、ロープ引き留め具1を引き留め具とすることが出来る。
【0010】
図2は、ロープ引き留め具の平面図で、タイヤ接地部を囲う枠形状で有ることと、結着用の平面穴を示す。
枠の二辺を構成する表部材2と裏部材3は、タイヤTの側面に当たるため、パンクを誘発する突起物の無い面を有し、同じ長さである。表部材2と裏部材3は、タイヤTの前後で桁部材4によって枠状に結合する。また、タイヤTの側面に触れない側に平面穴5を備えるための羽根状の部分を設けている。もう二辺の枠を構成する桁部材4は、ハの字に取り付けられる。この方法により、タイヤTの接地面積が車体重量や封入空気圧によって変わる接地面積の増減に対応出来、且つ、ロープ引き留め具1をタイヤTで地面に押しつける機能を兼ねる。
【0011】
図3は、ロープ引き留め具の正面図で、表側部材の正面と結着用の縦面穴および、表裏部材結合用桁部材の取り付け状況を示す。
表部材2と裏部材3の長さは、タイヤTに影響を与えない位置で表部材2と結合する桁部材4を取り付けられる長さである。表部材2の両端部には、縦面穴6を備える。桁部材4は、表部材2と裏部材3をタイヤTの幅を隔てて、ハの字の形状に枠を構成する部材であるが、タイヤTが桁部材4を乗り越えて中央に位置した時にロープ引き留め具1を地面に押しつける目的のため、桁部材4はタイヤTで乗り越えやすく、且つ、圧力を受け止めやすい断面構造を持つ。
【0012】
図4は、ロープ引き留め具の側面図で、表裏部材結合用桁部材の取り付けおよび、表側部材と裏側部材の断面状況と結着用の縦面穴状況を示す。
桁部材4は、表部材2と裏部材3をタイヤTの幅を隔てて内部に収まる長さであって輪止めを兼ねる。表部材2と裏部材3は、タイヤTの側面に当たる面と、タイヤTに触れない側に平面穴5を備えるための羽根状の部分を設けた面の断面構造を持つ。表部材2の表側には、縦面穴6を備えるための縦穴プレート7が取付けられる。縦穴プレート7は縦面穴6が垂直方向の張力にも使えるように突起している。その突起部が使用の際に支障がある場合は、ロープ引き留め具1を180度回し、表部材2をタイヤTの裏側に配置して使用出来る。
【0013】
実施するための形態の表部材2、裏部材3、桁部材4の断面形状は便宜上2つの面からなるL型(山形)であるが、上記記載の条件を満たせば、重量や材質の強度によって断面形状を、円形、矩形等であっても差し支えない。
【実施例0014】
ロープ引き留め具1にロープ等を結着して支持物として使用する場合、ロープ引き留め具1に直接ロープ等を結着するのではなく、カラビナと呼ばれる接続器具(コネクタ)等を介して接続される。この方法により、カラビナ等で接続可能な滑車や専用資機材等は、ロープ引き留め具1に設けられた平面穴5や縦面穴6を使用して取り付けられ、支持物として引き留めて使用出来る。
本発明は、ロープ等を使用した現場作業や救助活動において、最も重要な支持点を車両に設置出来るものである。特に秒単位の活動が要求される救助現場では、任意の場所へ迅速に支持点を構築出来ることの利点は大きい。