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特開2022-45868データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045868
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20220314BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20220314BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205042
(22)【出願日】2020-12-10
(62)【分割の表示】P 2020547247の分割
【原出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA11
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】新規の証憑データに対し、複数の部署への按分に対応した仕訳データを作成できるようにする。
【解決手段】データ処理装置1は、証憑データを取得するデータ取得部151と、証憑データから、テキスト情報を抽出する抽出部152と、過去に発行された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する按分率決定部154と、決定された按分率を出力する仕訳データ作成部155と、を有する。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
証憑データを取得するデータ取得部と、
前記証憑データから、テキスト情報を抽出する抽出部と、
過去に取得された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する按分率決定部と、
決定された前記按分率を出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記過去テキスト情報には、商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とが含まれており、
前記按分率決定部は、前記テキスト情報に含まれる商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記過去テキスト情報には、日付情報が含まれており、
前記按分率決定部は、前記テキスト情報に含まれる日付に対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報に対応する取引先に関する情報と、前記仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部と、前記テキスト情報に対応する取引先に関する情報とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報と、前記仕訳データの入力者に関する情報と、前記仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部と、前記テキスト情報に対応する前記仕訳データの入力者とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して前記データ処理装置に過去に登録された前記仕訳データとを含む教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報に含まれる商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記出力部が出力した前記按分率に対応して会計システムに登録された仕訳データの少なくとも一部と、当該仕訳データに対応する前記過去テキスト情報の少なくとも一部とを含む教師データにより前記学習を行う学習部をさらに有する、
請求項6のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記按分率決定部は、抽出された前記テキスト情報が、予め設定されている按分率を決定するためのルールに対応していない場合、教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定し、抽出された前記テキスト情報が前記ルールに対応している場合、前記ルールに基づいて前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項6又は7に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報と、前記過去テキスト情報を複数の部署に按分するか否かを示す情報とを含む第2教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対して前記テキスト情報を複数の部署に按分するか否かを判定し、前記テキスト情報を複数の部署に按分すると判定した場合に、前記教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報の複数の部署それぞれへの按分率を決定する、
請求項6から8のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
証憑データを取得するステップと、
前記証憑データから、テキスト情報を抽出するステップと、
過去に取得された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定するステップと、
決定された前記按分率を出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
証憑データを取得するデータ取得部、
前記証憑データから、テキスト情報を抽出する抽出部、
過去に取得された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する按分率決定部、及び、
決定された前記按分率を出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証憑データを処理するデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書等の証憑データの画像データから商品名及び金額を読み取り、読み取った商品名及び金額に基づいて仕訳データを作成する会計処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-173935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの証憑データから仕訳を行う場合に、読み取った金額を、複数の部署に按分することがある。これに対し、従来の会計処理システムでは、証憑データに対し、複数の部署で按分する仕訳ルールを設けておき、当該証憑データから仕訳データを作成する場合に、仕訳ルールに基づいて仕訳データを生成している。しかしながら、証憑データがこれまで仕訳データを登録したことのない新規の証憑データである場合には、仕訳ルールが存在しない。このため、従来の会計処理システムでは、新規の証憑データに対して、複数の部署に按分する仕訳データを作成することができず、経理担当者が手動で複数の部署への按分に対応した仕訳データを作成する必要があり、業務効率が低下していた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、新規の証憑データに対し、複数の部署への按分に対応した仕訳データを作成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るデータ処理装置は、証憑データを取得するデータ取得部と、前記証憑データから、テキスト情報を抽出する抽出部と、過去に取得された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する按分率決定部と、決定された前記按分率を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記過去テキスト情報には、商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とが含まれており、前記按分率決定部は、前記テキスト情報に含まれる商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0008】
前記過去テキスト情報には、日付情報が含まれており、前記按分率決定部は、前記テキスト情報に含まれる日付に対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0009】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報に対応する取引先に関する情報と、前記仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部と、前記テキスト情報に対応する取引先に関する情報とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0010】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報と、前記仕訳データの入力者に関する情報と、前記仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部と、前記テキスト情報に対応する前記仕訳データの入力者とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0011】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して前記データ処理装置に過去に登録された前記仕訳データとを含む教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報に含まれる商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とに対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0012】
前記データ処理装置は、前記出力部が出力した前記按分率に対応して会計システムに登録された仕訳データの少なくとも一部と、当該仕訳データに対応する前記過去テキスト情報の少なくとも一部とを含む教師データにより前記学習を行う学習部をさらに有してもよい。
【0013】
前記按分率決定部は、抽出された前記テキスト情報が、予め設定されている按分率を決定するためのルールに対応していない場合、教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定し、抽出された前記テキスト情報が前記ルールに対応している場合、前記ルールに基づいて前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0014】
前記按分率決定部は、前記過去テキスト情報と、前記過去テキスト情報を複数の部署に按分するか否かを示す情報とを含む第2教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対して前記テキスト情報を複数の部署に按分するか否かを判定し、前記テキスト情報を複数の部署に按分すると判定した場合に、前記教師データにより学習した結果に基づいて、前記テキスト情報の複数の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様に係るデータ処理方法は、コンピュータが実行する、証憑データを取得するステップと、前記証憑データから、テキスト情報を抽出するステップと、過去に取得された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定するステップと、決定された前記按分率を出力するステップと、を有する。
【0016】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、証憑データを取得するデータ取得部、前記証憑データから、テキスト情報を抽出する抽出部、過去に取得された証憑の証憑データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、前記テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の前記一以上の部署それぞれへの按分率を決定する按分率決定部、及び、決定された前記按分率を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、新規の証憑データに対し、複数の部署への按分に対応した仕訳データを作成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】データ処理装置の概要を説明するための図である。
図2】被請求者が受領する請求書の一例を示す図である。
図3】データ処理装置の機能構成を示す図である。
図4】仕訳データベースの一例を示す図である。
図5】出力部が出力した登録画面の一例を示す図である。
図6】データ処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[データ処理装置1の概要]
図1は、データ処理装置1の概要を説明するための図である。データ処理装置1は、スキャナ又はデジタルカメラ等の読取装置2が証憑を読み取ることによって生成された証憑データに含まれる文字列を解析した結果を用いて仕訳データを生成し、会計システム3に登録するための装置であり、例えばコンピュータである。データ処理装置1は、1台のコンピュータにより構成されていてもよく、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。証憑は、例えば、請求書や発注書等の、商品名、商品の金額等の商品に関する情報が示された証憑である。本実施形態では、証憑が、被請求者としてのデータ処理装置1のユーザが受領する請求書である場合を例として説明を進める。
【0020】
図2は、被請求者が受領する請求書の一例を示す図である。図2に示す請求書には、請求書を発行した事業者、すなわち取引における代金を請求する請求者の名称、住所、連絡先が記載されている。また、請求書には、件名(図2に示す2020年1月分)、請求の対象となる商品の購入日、品名、商品の金額(すなわち小計)、複数の商品の合計金額(すなわち請求額)が記載されている。データ処理装置1は、読取装置2が請求書を読み取ることにより生成した請求書データからOCR処理を行うことによりテキスト情報を抽出し、抽出したテキスト情報に基づいて一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データを作成する。
【0021】
請求書データがこれまで仕訳データを登録したことのない取引先等に対応する新規の請求書データである場合には、当該請求書データに対応する仕訳ルールが存在しない。これに対し、データ処理装置1は、過去に取得された請求書データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データの少なくとも一部とを含む教師データにより学習した結果に基づいて、テキスト情報の少なくとも一部に対応する一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。このようにすることで、データ処理装置1は、新規の請求書データに対し、複数の部署への按分に対応した金額と、按分先の部署情報とを含む仕訳データを作成することができる。
【0022】
[データ処理装置1の機能構成及び動作]
図3は、データ処理装置1の機能構成を示す図である。データ処理装置1は、通信部11と、操作部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。制御部15は、データ取得部151と、抽出部152と、勘定科目決定部153と、按分率決定部154と、出力部としての仕訳データ作成部155と、登録部156と、学習部157とを有する。
【0023】
通信部11は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、読取装置2からデータを受信したり、他のコンピュータとの間でデータを送受信したりするための通信コントローラを有する。
【0024】
操作部12は、データ処理装置1が請求書データから作成した仕訳データを登録する操作を行ったり、仕訳データにおける一以上の部署への按分率を訂正したりするためのキーボード、マウス及びディスプレイ等のデバイスを有する。
表示部13は、情報を表示するディスプレイである。表示部13は、制御部15の指示に基づいて情報を表示する。
【0025】
記憶部14は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部14は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成された請求書データを記憶する。記憶部14は、さらに、請求書データから作成された仕訳データを格納する仕訳データベースを記憶する。
【0026】
図4は、仕訳データベースの一例を示す図である。仕訳データベースには、例えば、会計システムに登録された情報と同じ情報又は会計システムに登録された情報のうち一部の情報が格納される。仕訳データベースは、後述する勘定科目決定モデル、按分判定モデル、按分率決定モデルの学習に用いられる。図4に示すように仕訳データベースでは、仕訳に対応する取引が行われた日付と、借方勘定科目と、借方補助科目と、借方金額と、貸方勘定科目と、貸方補助科目と、貸方金額とが関連付けられている。仕訳データベースにおいては、請求書等の証憑を特定するための証憑識別情報(例えば請求書番号等)がさらに含まれていてもよい。
【0027】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、データ取得部151、抽出部152、勘定科目決定部153、按分率決定部154、仕訳データ作成部155、登録部156、及び学習部157として機能する。
【0028】
データ取得部151は、読取装置2が証憑としての請求書を読み取ることによって生成された請求書データを取得する。データ取得部151は、読取装置2から請求書データを直接取得してもよいし、データ処理装置1と通信可能に接続されている端末から請求書データを取得してもよい。
【0029】
抽出部152は、データ取得部151が取得した証憑データからテキスト情報を抽出する。抽出部152は、例えばOCR処理を実行することにより、請求書データが示す請求書に含まれている文字列を抽出する。抽出部152は、請求書データが示す請求書に含まれているテキスト情報として、請求書の発行日を示す日付情報と、商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とを抽出する。抽出部152は、請求書データが示す請求書に含まれている複数の商品名又はサービス名と取引金額とを行ごとに抽出することにより、商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とを抽出する。
【0030】
勘定科目決定部153は、抽出部152が請求書データから抽出したテキスト情報の少なくとも一部に対応する勘定科目を決定する。勘定科目決定部153は、勘定科目を出力する勘定科目決定モデルを用いて勘定科目を決定する。勘定科目決定モデルは、抽出部152が抽出したテキスト情報の一部を入力すると借方勘定科目及び貸方勘定科目を出力するモデルである。
【0031】
勘定科目決定モデルは、当該モデルへの入力情報と、当該入力情報に対応する出力情報とをセットにした第1教師データを用いて予め学習することにより生成される。第1教師データに含まれる入力情報は、例えば、過去に取得された請求書データから抽出された日付情報と、商品又はサービス名と、当該商品又はサービス名に対応する取引金額とを組み合わせた情報である。出力情報は、当該入力情報に対応する借方勘定科目及び貸方勘定科目である。生成された勘定科目決定モデルは記憶部14に記憶されている。
【0032】
勘定科目決定部153は、抽出部152が抽出した複数の商品名又はサービス名から、一つの商品名又はサービス名を選択するとともに、選択した商品名又はサービス名に対応する取引金額を特定する。
【0033】
勘定科目決定部153は、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額との組み合わせを入力情報として勘定科目決定モデルに入力する。勘定科目決定部153は、勘定科目決定モデルから出力される借方勘定科目及び貸方勘定科目を取得することにより、借方勘定科目及び貸方勘定科目を決定する。勘定科目決定部153は、抽出部152が抽出した複数の商品名又はサービス名それぞれを順次選択し、勘定科目決定モデルを用いて借方勘定科目及び貸方勘定科目を決定する。
【0034】
なお、勘定科目決定部153は、請求書データから抽出されたテキスト情報が、予め設定されている勘定科目を決定するための勘定科目ルール情報に対応している場合には、勘定科目ルール情報に基づいて勘定科目を決定してもよい。そして、勘定科目決定部153は、予め設定されている勘定科目ルール情報に対応していない場合に、勘定科目決定モデルを用いて勘定科目を決定してもよい。
【0035】
この場合、記憶部14は、請求書データから抽出されたテキスト情報の少なくとも一部と、借方勘定科目及び貸方勘定科目と関連付けた勘定科目ルール情報と、を記憶する。テキスト情報の少なくとも一部は、例えば、請求書に対応する取引先を示す取引先情報と、請求書の日付を示す日付情報と、請求書に含まれる商品又はサービスとの組み合わせである。
【0036】
勘定科目決定部153は、請求書データに対応する取引先情報と、抽出部152が抽出した請求書の日付情報と、選択した商品名又はサービス名とが関連付けられて、記憶部14に記憶されている勘定科目ルール情報に記憶されているか否かを判定する。勘定科目決定部153は、勘定科目ルール情報に記憶されていると判定すると、これらの取引先情報、日付情報、商品名又はサービス名に関連付けられている借方勘定科目及び貸方勘定科目を、当該商品名又はサービス名に対応する借方勘定科目及び貸方勘定科目に決定する。このようにすることで、勘定科目決定部153は、過去に取引したことがある取引先から受領した請求書に対して、勘定科目を精度良く特定することができる。
【0037】
按分率決定部154は、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部に対応する一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。按分率決定部154は、過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、テキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。
【0038】
具体的には、按分率決定部154は、過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に取得された仕訳データの少なくとも一部とを含む教師データにより学習した結果に基づいて、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。ここで、過去テキスト情報は、データ取得部151が過去に取得した請求書の請求書データから抽出された少なくとも一部の情報である。仕訳データは、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データである。
【0039】
具体的には、按分率決定部154は、過去テキスト情報と、過去テキスト情報を複数の部署に按分するか否かを示す情報とを含む第2教師データにより学習した結果に基づいて、テキスト情報の少なくとも一部に対してテキスト情報を複数の部署に按分するか否かを判定する。そして、按分率決定部154は、テキスト情報を複数の部署に按分すると判定した場合に、過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された仕訳データの少なくとも一部とを含む第3教師データにより学習した結果に基づいて、テキスト情報の複数の部署それぞれへの按分率を決定する。
【0040】
より具体的には、按分率決定部154は、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部を入力すると、複数の部署のそれぞれに按分するか否かを判定する按分判定モデルと、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部を入力すると、複数の部署のそれぞれに対応する按分率を出力する按分率決定モデルとを用いて按分率を決定する。
【0041】
按分判定モデルは、当該モデルへの入力情報と、当該入力情報に対応する出力情報とをセットにした第2教師データにより予め学習することにより生成される。第2教師データに含まれる入力情報は、例えば、過去に取得された請求書データから抽出された過去テキスト情報である。出力情報は、当該入力情報に対し、複数の部署に按分するか否かを示す判定情報である。生成された按分判定モデルは記憶部14に記憶されている。
【0042】
按分率決定モデルは、当該モデルへの入力情報と、当該入力情報に対応する出力情報とをセットにした第3教師データにより予め学習することにより生成される。第3教師データに含まれる入力情報は、例えば、過去テキスト情報である。出力情報は、当該入力情報に対応する複数の部署のそれぞれに対応する按分率である。生成された按分率決定モデルは記憶部14に記憶されている。
【0043】
按分率決定モデルの学習に用いる教師データに含まれる過去テキスト情報には、過去に取得された請求書の請求書データから抽出された、商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額と、請求書の日付を示す日付情報とが含まれている。
【0044】
按分率決定部154は、抽出部152が抽出した複数の商品名又はサービス名から、一つの商品名又はサービス名を選択するとともに、選択した商品名又はサービス名に対応する取引金額を特定する。按分率決定部154は、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額とを、記憶部14に記憶されている按分判定モデルに入力し、按分判定モデルから出力される判定結果に基づいて、按分を行うか否かを判定する。
【0045】
按分率決定部154は、按分を行うと判定すると、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額とを、記憶部14に記憶されている按分率決定モデルに入力する。そして、按分率決定部154は、按分率決定モデルから出力される、複数の部署のそれぞれに対応する按分率を取得することにより、選択した商品名又はサービス名と、当該商品名又はサービス名に対応する取引金額とに対応する一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。
【0046】
なお、按分率決定部154は、過去テキスト情報と、過去テキスト情報に対応する取引先に関する情報と、仕訳データとを含む教師データにより学習した結果に基づいて、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部と、当該テキスト情報に対応する取引先に関する情報とに対応する一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0047】
この場合、按分判定モデル及び按分率決定モデルは、過去テキスト情報と、過去テキスト情報に対応する取引先に関する情報とを入力情報として学習することにより生成される。按分率決定部154は、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額と、請求書に対応する取引先に関する情報とを按分判定モデルに入力し、判定結果を取得する。
【0048】
按分率決定部154は、判定結果に基づいて、特定した取引金額を複数の部署に按分すると判定すると、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額と、請求書に対応する取引先に関する情報とを按分率決定モデルに入力し、按分率決定モデルから出力される一以上の部署それぞれへの按分率を取得することにより、一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。このようにすることで、按分率決定部154は、新規の取引先に対応する請求書データに対し、適切である蓋然性が高い按分率を決定することができる。
【0049】
また、按分率決定部154は、過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応する仕訳データの入力者に関する情報と、仕訳データとを含む教師データにより学習した結果に基づいて、テキスト情報の少なくとも一部と、当該テキスト情報に対応する仕訳データの入力者とに対応する一以上の部署それぞれへの按分率を決定してもよい。
【0050】
過去テキスト情報に対応する仕訳データの入力者に関する情報は、例えば、当該入力者を識別するためのユーザ識別情報、当該入力者が所属する部署を識別する部署コード、当該入力者が担当するプロジェクトを識別するためのプロジェクトコードである。按分判定モデル及び按分率決定モデルは、過去テキスト情報と、過去テキスト情報に対応する仕訳データの入力者に関する情報とを入力情報として学習することにより生成される。
【0051】
按分率決定部154は、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額と、当該テキスト情報を入力する入力者のユーザIDとを按分判定モデルに入力し、判定結果を取得する。按分率決定部154は、判定結果に基づいて複数の部署に按分すると判定すると、請求書の日付を示す日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額と、データ処理装置1を操作しているユーザを識別するためのユーザIDとを按分率決定モデルに入力し、按分率決定モデルから出力される一以上の部署それぞれへの按分率を取得することにより、一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。このようにすることで、按分率決定部154は、仕訳データの入力者、所属部署、所属プロジェクトと、テキスト情報との関係に対応して複数の部署への按分率を決定することができる。
【0052】
また、按分率決定部154は、請求書データから抽出されたテキスト情報が、予め設定されている按分率を決定するための按分率決定ルールを示す按分率ルール情報に対応している場合には、按分率ルール情報に基づいて按分率を決定し、按分率ルール情報に対応していない場合に、按分判定モデル及び按分率決定モデルを用いて按分率を決定してもよい。
【0053】
この場合、記憶部14は、請求書データから抽出されたテキスト情報の少なくとも一部と、一以上の部署それぞれへの按分率とを関連付けた按分率ルール情報を記憶する。テキスト情報の少なくとも一部は、例えば、請求書に対応する取引先を示す取引先情報と、請求書の日付を示す日付情報と、請求書に含まれる商品又はサービスとの組み合わせである。
【0054】
按分率決定部154は、請求書データに対応する取引先情報と、抽出部152が抽出した請求書の日付情報と、選択した商品名又はサービス名とが関連付けられて、記憶部14に記憶されている按分率ルール情報に記憶されているか否かを判定することにより、これらの情報が按分率決定ルールに対応しているか否かを判定する。
【0055】
そして、按分率決定部154は、取引先情報と、日付情報と、選択した商品名又はサービス名が按分率決定ルールに対応している場合、按分率ルール情報に基づいて、一以上の部署それぞれへの按分率を決定する。按分率決定部154は、按分率ルール情報において、請求書データに対応する取引先情報、日付情報、及び、選択された商品名又はサービス名に関連付けられている一以上の部署への按分率を、当該商品名又はサービス名に対応する一以上の部署への按分率に決定する。このようにすることで、按分率決定部154は、過去に取引したことがある取引先から受領した請求書に対して、按分率を精度良く特定することができる。
【0056】
仕訳データ作成部155は、勘定科目決定部153が決定した勘定科目と、按分率決定部154が決定した按分率とを出力する。例えば、仕訳データ作成部155は、抽出部152が抽出した一以上の商品又はサービスのそれぞれに対して、抽出部152が抽出した日付情報と、勘定科目決定部153が決定した勘定科目と、按分率決定部154が決定した按分率と、按分先の部署名とを含む仕訳データを作成する。
【0057】
仕訳データ作成部155は、作成した仕訳データの会計システムへの登録を受け付ける登録画面を表示部13に出力する。図5は、仕訳データ作成部155が出力した登録画面の一例を示す図である。図5に示す仕訳データは、図3に対応する請求書に基づいて生成された仕訳データである。図5に示す例では、仕訳データの他に、登録者として、ユーザの氏名が表示されているとともに、仕訳データの会計システムへの登録を受け付ける登録ボタンとが表示されていることが確認できる。
【0058】
登録部156は、登録画面に表示された仕訳データを会計システムに登録する。登録部156は、登録画面に表示されている仕訳データの修正をユーザから受け付けてもよい。登録部156は、登録画面において登録ボタンが押下されたことに応じて、登録画面に示されている仕訳データを会計システム3に登録するとともに、当該仕訳データを仕訳データベースに格納する。
【0059】
学習部157は、仕訳データ作成部155が出力した按分率に対応し、登録部156により会計システム3に登録された仕訳データの少なくとも一部と、当該仕訳データに対応する過去テキスト情報の少なくとも一部とを含む教師データにより、勘定科目決定モデル、按分判定モデル、按分率決定モデルの学習を行う。例えば、学習部157は、登録部156が仕訳データベースに情報を格納したことに応じて、新たに格納された情報を教師データとして、勘定科目決定モデル、按分判定モデル、按分率決定モデルの学習を行う。このようにすることで、データ処理装置1においては、仕訳データが会計システム3に登録されればされるほどモデルが学習することができるので、モデルから出力される勘定科目、按分するか否かの判定結果、及び按分率の精度を高めることができる。
【0060】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図6は、データ処理装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部151は、読取装置2が請求書を読み取ることによって生成した請求書データを取得する(S1)。
続いて、抽出部152は、データ取得部151が取得した請求書データからテキスト情報を抽出する(S2)。
【0061】
続いて、勘定科目決定部153は、抽出部152が抽出したテキスト情報に含まれる複数の商品又はサービスの中から、一度も選択されていない商品名又はサービス名を選択する(S3)。また、勘定科目決定部153は、抽出部152が抽出したテキスト情報に含まれる複数の取引金額の中から、選択した商品名又はサービス名に対応する取引金額を特定する(S4)。
【0062】
続いて、勘定科目決定部153は、請求書の日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額とを勘定科目決定モデルに入力し、勘定科目決定モデルから出力された勘定科目を取得することにより、勘定科目を決定する(S5)。
【0063】
続いて、按分率決定部154は、請求書の日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額とに対応する按分率を決定する(S6)。具体的には、按分率決定部154は、請求書の日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額とを按分判定モデルに入力し、按分判定モデルから出力された判定結果が按分を行うか否かを判定する。按分率決定部154は、按分を行うと判定すると、請求書の日付情報と、選択した商品名又はサービス名と、特定した取引金額とを按分率決定モデルに入力し、按分率決定モデルから出力された複数の部署へのそれぞれの按分率を取得することにより、複数の部署のそれぞれへの按分率を決定する。
【0064】
続いて、制御部15は、抽出部152が抽出したテキスト情報に含まれる複数の商品又はサービスを全て選択したか否かを判定する(S7)。制御部15は、複数の商品又はサービスを全て選択したと判定すると、S8に処理を移し、複数の商品又はサービスを全て選択していないと判定すると、S3に処理を移す。
【0065】
続いて、仕訳データ作成部155は、抽出部152が抽出した一以上の商品又はサービスのそれぞれに対応して、抽出部152が抽出した日付情報と、勘定科目決定部153が決定した勘定科目と、按分率決定部154が決定した按分率と、按分先の部署名とを含む仕訳データを作成し、当該仕訳データの会計システムへの登録を受け付ける登録画面を表示部13に出力する(S8)。
【0066】
続いて、登録部156は、登録画面に表示された仕訳データの修正をユーザから適宜受け付けた後、登録画面に示されている仕訳データを会計システムに登録する(S9)。
続いて、学習部157は、登録部156により会計システム3に登録された仕訳データの少なくとも一部と、当該仕訳データに対応する過去テキスト情報の少なくとも一部とを含む教師データにより、勘定科目決定モデル、按分判定モデル、按分率決定モデルのさらなる学習を行う(S10)。
【0067】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、データ処理装置1は、過去に取得された証憑としての請求書の請求書データから抽出された少なくとも一部の過去テキスト情報と、当該過去テキスト情報に対応して過去に作成された、一以上の部署それぞれへの金額の按分率が指定された仕訳データとに基づいて、抽出部152が抽出したテキスト情報の少なくとも一部に対応する金額の一以上の部署それぞれへの按分率を決定し、決定した按分率を出力する。このようにすることで、データ処理装置1は、新規の請求書データに対し、複数の部署への按分に対応した仕訳データを作成することができる。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、按分率決定部154は、按分判定モデルと按分率決定モデルとを用いて一以上の部署のそれぞれへの按分率を決定したが、これに限らない。例えば、按分率決定部154は、抽出部152が抽出したテキスト情報の入力に対して一以上の部署への按分率を出力する按分率決定モデルを用いて、一以上の部署のそれぞれへの按分率を決定してもよい。
【0069】
また、例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0070】
1 データ処理装置
2 読取装置
3 会計システム
11 通信部
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 制御部
151 データ取得部
152 抽出部
153 勘定科目決定部
154 按分率決定部
155 仕訳データ作成部
156 登録部
157 学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6