(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045903
(43)【公開日】2022-03-22
(54)【発明の名称】電力伝送装置
(51)【国際特許分類】
H01F 38/18 20060101AFI20220314BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20220314BHJP
B60R 16/027 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
H01F38/18 Q
B62D1/04
B60R16/027 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133234
(22)【出願日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2020150936
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】秦 隆平
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB22
(57)【要約】
【課題】磁性体コアの構造的強度を十分に確保することが可能な電力伝送装置を提供する。
【解決手段】電力伝送装置100は、環状の第1磁性体コア31と送信コイル61とを有する環状の送信ユニット10と、環状の第2磁性体コア33と受信コイル62とを有する環状の受信ユニット20と、を互いに対向する配置で備え、送信ユニット10から受信ユニット20に電力を伝送するものである。
送信ユニット10と受信ユニット20とは、送信ユニット10及び受信ユニット20の内部の空洞を通る回転軸95を中心として相対的に回転可能となっており、第1磁性体コア31は、周方向において複数の第1分割コア32に分割された構造であり、第2磁性体コア33は、周方向において複数の第2分割コア34に分割された構造である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の第1磁性体コアと送信コイルとを有する環状の送信ユニットと、環状の第2磁性体コアと受信コイルとを有する環状の受信ユニットと、を互いに対向する配置で備え、前記送信ユニットから前記受信ユニットに電力を伝送する伝送装置であって、
前記送信ユニットと前記受信ユニットとは、前記送信ユニット及び前記受信ユニットの内部の空洞を通る回転軸を中心として相対的に回転可能となっており、
前記第1磁性体コアは、周方向において複数の第1分割コアに分割された構造であり、
前記第2磁性体コアは、周方向において複数の第2分割コアに分割された構造である電力伝送装置。
【請求項2】
前記送信ユニットは、前記第1磁性体コアを保持する樹脂製の第1ホルダ部材を備え、
前記受信ユニットは、前記第2磁性体コアを保持する樹脂製の第2ホルダ部材を備え、
前記第1ホルダ部材は、軸方向における前記第1磁性体コアの一方の面に沿って配置された環状のものであり、
前記第2ホルダ部材は、軸方向における前記第2磁性体コアの一方の面に沿って配置された環状のものである請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記第1ホルダ部材は、前記第1分割コアに対して係合する第1係合突起部を有し、前記第1係合突起部によって、周方向における前記第1分割コアの位置ずれが規制されており、
前記第2ホルダ部材は、前記第2分割コアに対して係合する第2係合突起部を有し、前記第2係合突起部によって、周方向における前記第2分割コアの位置ずれが規制されている請求項2に記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記第1ホルダ部材は、前記第1磁性体コアの外周面に沿って配置されている第1起立壁部を有し、前記第1起立壁部は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されており、
前記第2ホルダ部材は、前記第2磁性体コアの外周面に沿って配置されている第2起立壁部を有し、前記第2起立壁部は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されている請求項2又は3に記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記第1起立壁部は、前記第1磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第1係合爪部を有し、
前記第2起立壁部は、前記第2磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第2係合爪部を有する請求項4に記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記第1ホルダ部材は、前記第1磁性体コアの外周面に沿って配置されている第1起立壁部を有し、
前記第1起立壁部は、前記第1磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第1係合爪部を有し、
前記第2ホルダ部材は、前記第2磁性体コアの外周面に沿って配置されている第2起立壁部を有し、
前記第2起立壁部は、前記第2磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第2係合爪部を有する請求項2又は3に記載の電力伝送装置。
【請求項7】
前記第1磁性体コアの複数の前記第1分割コアのうち、互いに隣り合う2つの第1分割コアに対して、共通の前記第1係合爪部が係合しており、
前記第2磁性体コアの複数の前記第2分割コアのうち、互いに隣り合う2つの第2分割コアに対して、共通の前記第2係合爪部が係合している請求項5又は6に記載の電力伝送装置。
【請求項8】
前記送信ユニット及び前記受信ユニットは、金属製のハンドルシャフトの周囲に配置されるものであり、
当該電力伝送装置は、磁性体シールを更に備え、
前記磁性体シールは、前記ハンドルシャフトの外周面と前記送信ユニットの内周面との間隙から、前記ハンドルシャフトの外周面と前記受信ユニットとの内周面との間隙に亘って、前記ハンドルシャフトの外周面に沿って配置される請求項1から7のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電力伝送装置は、互いに対向して配置されている一対のコイル部を備えている。各コイル部は、円環状に形成されている磁性コアを備えており、各磁性コアは同心円状に複数の溝を有し、溝には巻線が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等の検討によれば、特許文献1の電力伝送装置は、磁性体コアの構造的強度について、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、磁性体コアの構造的強度を十分に確保することが可能な電力伝送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、環状の第1磁性体コアと送信コイルとを有する環状の送信ユニットと、環状の第2磁性体コアと受信コイルとを有する環状の受信ユニットと、を互いに対向する配置で備え、前記送信ユニットから前記受信ユニットに電力を伝送する伝送装置であって、
前記送信ユニットと前記受信ユニットとは、前記送信ユニット及び前記受信ユニットの内部の空洞を通る回転軸を中心として相対的に回転可能となっており、
前記第1磁性体コアは、周方向において複数の第1分割コアに分割された構造であり、
前記第2磁性体コアは、周方向において複数の第2分割コアに分割された構造である電力伝送装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、磁性体コアの構造的強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電力伝送装置の側面図である。
【
図2】実施形態に係る電力伝送装置の分解側面図である。
【
図3】実施形態における受信ユニットの分解斜視図である。
【
図4】実施形態に係る電力伝送装置の平面図である。
【
図5】実施形態における第1磁性体コア及び送信コイルの平面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は実施形態に係る電力伝送装置の第1磁性体コアの各特性の実測値を示している。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は第1変形例に係る電力伝送装置の第1磁性体コアの各特性の実測値を示している。
【
図10】第2変形例に係る電力伝送装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図8(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
図1から
図6のいずれかに示すように、本実施形態に係る電力伝送装置100は、環状の第1磁性体コア31と送信コイル61とを有する環状の送信ユニット10と、環状の第2磁性体コア33と受信コイル62とを有する環状の受信ユニット20と、を互いに対向する配置で備え、送信ユニット10から受信ユニット20に電力を伝送するものである。
図4及び
図6に示すように、送信ユニット10と受信ユニット20とは、送信ユニット10及び受信ユニット20の内部の空洞11、21を通る回転軸95を中心として相対的に回転可能となっており、第1磁性体コア31は、周方向において複数の第1分割コア32に分割された構造であり、第2磁性体コア33は、周方向において複数の第2分割コア34に分割された構造である。
【0011】
本実施形態によれば、第1磁性体コア31は複数の第1分割コア32に分割された構造であり、第2磁性体コア33は複数の第2磁性体コア33が分割された構造である。すなわち、第1磁性体コア31よりも個々の寸法が小さい第1分割コア32の集合体と、第2磁性体コア33よりも個々の寸法が小さい第2分割コア34の集合体と、によって所望の電力伝送効率を実現することができる。このため、第1磁性体コア31及び第2磁性体コア33の各々の全体がそれぞれ一体成形されている場合と比べて、第1磁性体コア31及び第2磁性体コア33の構造的強度(耐破壊性)並びに耐久性を十分に確保できるとともに、第1磁性体コア31及び第2磁性体コア33の製造容易性も向上する。
【0012】
送信ユニット10と受信ユニット20とは、仮想の平面である基準面130(
図1及び
図6参照)を間に挟んで互いに対向している。より詳細には、受信ユニット20は、送信ユニット10に対して非接触に配置されているとともに、送信ユニット10に対して近接して配置されている。
そして、回転軸95は、例えば、基準面130に対して直交しているとともに、環状の送信ユニット10の中心と環状の受信ユニット20の中心とをそれぞれ通過する仮想的なものである。
本実施形態の場合、受信ユニット20が回転軸95を中心として送信ユニット10に対して相対回転する。なお、送信ユニット10に対する受信ユニット20の相対回転は、本実施形態の場合、反時計回り方向及び時計回り方向のそれぞれに自在となっている。
以下では、説明を簡単にするため、回転軸95が上下方向(鉛直方向)に延在しているものと仮定して、各構成要素の位置関係を説明する。したがって、以下の説明では、回転軸95に対して直交する方向が水平方向であるものとする。また、上下方向のうち、送信ユニット10が配置されている側を下(下方)と称し、受信ユニット20が配置されている側を上(上方)と称する。
また、回転軸95に対して直交する面内において、回転軸95を通過する方向を、径方向と称する。更に、径方向において、回転軸95に近づく方向を径方向内側、回転軸95から遠ざかる方向を径方向外側と称する。
周方向は、回転軸95の軸周り方向である。
電力伝送装置100の各部の位置関係は、特に断りが無い限り、電力伝送装置100の各部が相互に組み付けられて電力伝送装置100が作製された状態での位置関係を説明したものである。
ただし、電力伝送装置100の使用時における回転軸95の方向は、上下方向に限らない。
【0013】
ここで、電力伝送装置100は、一例として、自動車等の車両のハンドル(ステアリング)及びその周辺の部分に取り付けて用いられ、ハンドルに搭載されている各種の負荷(不図示)に電力を供給する。すなわち、受信ユニット20の受信コイル62は、負荷に対して電気的に接続されており、送信ユニット10の送信コイル61から伝送された電力を負荷に供給する。
また、本実施形態の場合、送信ユニット10及び受信ユニット20は、金属製のハンドルシャフト110の周囲に配置されるものである。ハンドルシャフト110は、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されているシャフト115と、シャフト115の上端部に接続されている連結部材120と、を備えて構成されている。ここで、ハンドルシャフト110が金属製であるとは、シャフト115と連結部材120との少なくともいずれか一方が金属製であることであり、好ましくは、シャフト115と連結部材120との両方が金属製である。ハンドルシャフト110は、例えば、送信ユニット10の空洞11及び受信ユニット20の空洞21に挿通されている。ハンドルシャフト110の外周面110aは、送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aに沿って配置されており、内周面10a及び内周面20aと対向している。
また、ハンドルシャフト110は、回転軸95と同軸に配置されている。
そして、ハンドルは、例えば、ハンドルシャフト110の先端部(上端部)に連結されている。また、ハンドルシャフト110は、当該ハンドルシャフト110の軸周りに回転可能な状態で、ベース(不図示)により保持されている。
電力伝送装置100の構成のうち、送信ユニット10はベースに設けられ、受信ユニット20はハンドルに設けられる。
このため、車両の運転者がハンドルを回転操作すると、ハンドルに伴って負荷及び受信ユニット20は回転するが、ベースに設けられている送信ユニット10は回転しない。
【0014】
電力伝送装置100の取付対象は、車両のハンドル及びその周辺の部分に限らず、その他の機器に取り付けて用いられてもよい。その他の機器は、例えば、ゲーム機などのアミューズメント機器やシミュレータなどといったハンドルを有する機器を挙げることができる。ただし、その他の機器は、ハンドルを有していないが相対的に回転可能な2つの部分を有する機器であってもよく、ハンドルシャフト110を用いずに、2つの部分が相対的に回転可能に連結されている機器であってもよい。
【0015】
また、電力伝送装置100は、例えば、受信ユニット20が予めハンドルに組み込まれた構成のハンドル部品として提供されてもよい。
【0016】
図1及び
図6に示すように、送信ユニット10と受信ユニット20とは、基準面130を基準として、互いに上下対称に形成されている。
より詳細には、
図6に示すように、受信ユニット20は送信ユニット10の上方に配置されている。
以下では、先ず、送信ユニット10と受信ユニット20とのうち受信ユニット20について詳細に説明する。
図3、
図4及び
図6に示すように、本実施形態の場合、第2磁性体コア33は、例えば、平面視において、環状に形成されている。
より詳細には、第2磁性体コア33は、回転軸95を中心とした平面視環状の板状部37と、板状部37の内周縁部から下方に向けて突出している内周壁部35と、板状部37の外周縁部から下方に向けて突出している外周壁部36と、を有する。
板状部37の上面及び下面の各々は、例えば、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。
内周壁部35及び外周壁部36の各々は、例えば、上下方向を軸方向とする円筒状に形成されており、板状部37の下面から突出している。
本実施形態の場合、平面視において、板状部37、内周壁部35及び外周壁部36は、回転軸95を中心として互いに同心円状に配置されている。
板状部37の外径は、外周壁部36の外径と同等の寸法に設定されており、板状部37の内径は、内周壁部35の内径と同等の寸法に設定されている。
内周壁部35の下端面の高さ位置と外周壁部36の下端面の高さ位置とは互いに同等の高さ位置に設定されている。
本実施形態の場合、内周壁部35、外周壁部36及び板状部37によって、平面視環状の溝部38が構成されており、当該溝部38は、例えば、下方に向けて開放している。
また、第2磁性体コア33の一方の面(以下、第1面33aと称する場合がある)は、内周壁部35の下端面と外周壁部36の下端面とによって構成されており、第2磁性体コア33の一方の面33aに対する反対側の面(以下、第2面33bと称する場合がある))は、板状部37の上面によって構成されている。
【0017】
上述のように、第2磁性体コア33は複数の第2分割コア34に分割された構造である。
図3及び
図4に示すように、各第2分割コア34は、例えば、第2磁性体コア33を周方向において6等分した形状に形成されている。すなわち、各第2分割コア34の平面形状は、中心角が60度の扇面形状に形成されており、6つの第2分割コア34の集合体によって第2磁性体コア33が構成されている。
ただし、第2磁性体コア33が有する第2分割コア34の数は、上述の例に限定されず、少なくとも2つ以上であればよい。
第2分割コア34は、例えば、平面視において、回転軸95を中心とした円環を6等分した形状、すなわち中心角が60度の扇面形状に形成されている板状部34aと、板状部34aの内周縁から下方に向けて突出している内周壁部34bと、板状部34aの外周縁から下方に向けて突出している外周壁部34cと、を有する。
そして、各板状部34aの集合体が、第2磁性体コア33の板状部37を構成している。また、各内周壁部34bの集合体が、第2磁性体コア33の内周壁部35を構成しており、各外周壁部34cの集合体が、第2磁性体コア33の外周壁部36を構成している。
したがって、各内周壁部34bの下端面の集合体と、各外周壁部34cの下端面の集合体と、を合わせた部分が、第2磁性体コア33の第1面31aを構成している。また、各板状部34aの上面の集合体が、第2磁性体コア33の第2面33bを構成している。
ここで、周方向において、各第2分割コア34どうしの間には、間隙(ギャップ)が形成されていることが好ましいが、当該間隙は形成されていなくてもよい。
また、本実施形態の場合、各第2分割コア34の外周壁部34cには、一対の切欠形状部39が形成されており、各切欠形状部39には、それぞれ後述する第2係合突起部56が係合している。
各切欠形状部39は、例えば、外周壁部34cの周方向における一部分にそれぞれ形成されている。
各切欠形状部39は、例えば、外周壁部34cの上端から下端に亘って形成されており、外周壁部34cを厚み方向(径方向)に貫通している。
【0018】
ここで、本実施形態の場合、受信ユニット20は、第2磁性体コア33を保持する樹脂製の第2ホルダ部材51を備えている。
図2及び
図6に示すように、第2ホルダ部材51は、例えば、第2磁性体コア33の外周面33cに沿って配置されている第2起立壁部57を有し、第2起立壁部57は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されている。
より詳細には、第2ホルダ部材51は、例えば、平面視において、回転軸95を中心とした略円環状に形成されている第2環状部54を有する。
第2環状部54の上面及び下面の各々は、例えば、平坦に形成されており、且つ、水平に配置されている。
各第2起立壁部57は、例えば、第2環状部54の上面の外周縁部から上方に向けて起立している。
各第2起立壁部57は、例えば、互いに同一の寸法及び形状に形成されており、周方向において間欠的に配置されている。
各第2起立壁部57は、例えば、平面視において、回転軸95を中心とした円弧状に形成されている。
また、各第2起立壁部57の外周面は、第2環状部54の外周面と同一円筒面上にある。
各第2起立壁部57において、後述する第2係合爪部58を除く部分の上端の高さ位置は、第2磁性体コア33の第2面33bの高さ位置と略同等の高さ位置に設定されている。
【0019】
ここで、本実施形態の場合、第2起立壁部57は、例えば、第2磁性体コア33の第2面33bに対して係合する第2係合爪部58を有する。
より詳細には、第2磁性体コア33の複数の第2分割コア34のうち、互いに隣り合う2つの第2分割コア34に対して、共通の第2係合爪部58が係合している。
更に詳細には、各第2係合爪部58は、例えば、各第2起立壁部57の上端部に形成されている。各第2係合爪部58は、各第2起立壁部57において第2係合爪部58を除く部分の上端から径方向における内方に向けて突出しているとともに、周方向に延在している。
また、径方向において、各第2係合爪部58の先端は、各第2起立壁部57において第2係合爪部58を除く部分の内周面よりも内側に配置されている。
また、周方向における第2係合爪部58の寸法は、各第2起立壁部57において第2係合爪部58を除く部分の周方向における寸法よりも小さい寸法に設定されている。
第2係合爪部58の上面及び下面は、それぞれ略平坦に形成されているとともに水平に配置されている。ただし、第2係合爪部58における先端側の部分(突出方向における先端)には、例えば、面取形状部が形成されている。面取形状部の上側は、例えば、C面取形状となっている。これにより、第2係合爪部58を第2磁性体コア33の第2面33bに対してスムーズに係合させることができる。また、面取形状部の下側は、例えば、R面取形状となっている。これにより、第2係合爪部58の第2磁性体コア33に対する当たりをソフトにすることができる。
第2係合爪部58が第2磁性体コア33の第2面33bに対して係合している状態において、第2係合爪部58の下面が、第2磁性体コア33の板状部37の上面に面接触している。
【0020】
更に、第2ホルダ部材51は、例えば、第2磁性体コア33の外周面33cに沿って配置されているとともに、周方向において互いに隣り合う2つの第2起立壁部57どうしの間にそれぞれ配置されている複数の第2外周縁部52を有する。より詳細には、周方向において、第2外周縁部52と、第2起立壁部57と、が交互に配置されている。
各第2外周縁部52は、例えば、互いに同一の寸法及び形状に形成されている。
各第2外周縁部52は、例えば、平面視において、回転軸95を中心とした円弧状に形成されており、第2環状部54の上面の外周縁部から上方に向けて僅かに起立している。
各第2外周縁部52の外周面は、第2環状部54の外周面及び第2起立壁部57の外周面と同一円筒面上に配置されている。
また、各第2外周縁部52の厚み寸法(径方向における寸法)は、各第2起立壁部57の厚み寸法(径方向における寸法)と同等の寸法に設定されている。
各第2外周縁部52の上端面の高さ位置は、例えば、各第2起立壁部57の上端面の高さ位置よりも下方に配置されている。
周方向において、第2外周縁部52と第2起立壁部57とは互いに離間して配置されており、周方向における第2外周縁部52と第2起立壁部57との間の間隙には、それぞれスリット部54b(
図4参照)が形成されている。
スリット部54bは、例えば、径方向に延在している。スリット部54bは、第2環状部54を上下方向に貫通しているとともに、径方向における外方に向けて開放している。
更に、第2ホルダ部材51は、第2起立壁部57の内周面に沿って形成されている開口部57a(
図3参照)を有する。開口部57aは、例えば、周方向に延在しており、第2環状部54を上下方向に貫通している。周方向において、開口部57aの長さ寸法は、例えば、第2起立壁部57の長さ寸法よりも小さい。
上述の構成によれば、第2ホルダ部材51が、径方向において容易に弾性変形することができることとなるので、第2磁性体コア33を第2ホルダ部材51の内部に好適に収容することができる。より詳細には、第2磁性体コア33を第2ホルダ部材51に装着する際には、第2ホルダ部材51は径方向外側に容易に弾性変形(拡径)し、第2磁性体コア33の装着が完了した後には、第2ホルダ部材51は径方向内側に良好に弾性復帰(縮径)することとなる。
【0021】
また、第2起立壁部57の数は、一例として、6つである。一方、第2外周縁部52の数は、一例として、5つである。そして、
図3及び
図4に示すように、本実施形態の場合、周方向において互いに隣り合う2つの第2起立壁部57どうしの間隔のうち、いずれか一箇所には、第2外周縁部52が配置されておらず、代わりに後述する第2端子保持部72が当該間隔に配置されている。
【0022】
ここで、本実施形態の場合、第2ホルダ部材51は、例えば、第2分割コア34に対して係合する第2係合突起部56を有し、第2係合突起部56によって、周方向における第2分割コア34の位置ずれが規制されている。
より詳細には、各第2係合突起部56は、例えば、互いに同一の寸法及び形状に形成されている。
各第2係合突起部56は、第2環状部54の上面の外周縁部付近において、第2環状部54の上面から上方に向けて突出している。
各第2係合突起部56は、例えば、周方向における寸法よりも径方向における寸法の方が長尺な略直方体形状に形成されている。また、周方向において各第2係合突起部56の幅寸法は略一定に設定されている。また、各第2係合突起部56において、径方向における一方の面は、第2外周縁部52の内周面に対して連接している。
これにより、径方向において第2分割コア34の位置ずれが生じたとしても、第2分割コア34の切欠形状部39に対して第2係合突起部56が良好に係合することができる。
また、第2係合突起部56の上端の高さ位置は、例えば、第2外周縁部52の上端面の高さ位置よりも上方に配置されていることが好ましい。これにより、第2磁性体コア33に対する第2係合突起部56の係合が良好となる。
本実施形態の場合、一例として、1つの第2外周縁部52の両端部(周方向における両端部)に対して、それぞれ個別の第2係合突起部56が連接している。したがって、第2ホルダ部材51が有する第2係合突起部56の数は、一例として、10である。
ここで、上述のように、各第2分割コア34には、一対の切欠形状部39が形成されており、各第2係合突起部56は、対応する切欠形状部39に対してそれぞれ係合している。ただし、本実施形態の場合、第2ホルダ部材51が有する第2係合突起部56の数が10であるのに対して、第2磁性体コア33が有する第2分割コア34の数は6つである。よって、6つの第2分割コア34のうちいずれか1つの第2分割コア34の切欠形状部39に対しては第2係合突起部56が係合しておらず、代わりに、当該切欠形状部39を通して受信コイル62の引出配線部66(詳細後述)が第2磁性体コア33の外部に引き出されている。
【0023】
また、第2ホルダ部材51は、例えば、第2磁性体コア33の内周面に沿って配置されている第2内周縁部53と、第2内周縁部53の上端から上方に向けて起立している複数の起立部53aと、を有する。
第2内周縁部53は、例えば、第2環状部54の上面の内周縁部から上方に向けて僅かに起立しており、周回状に形成されている。
各起立部53aは、例えば、周方向において、間欠的に配置されている。
各起立部53aは、例えば、平面視において、回転軸95を中心とする円弧状に形成されている。
第2内周縁部53の内周面及び各起立部53aの内周面の各々は、例えば、第2環状部54の内周面と同一円筒面上に配置されている。
各起立部53aの上端の高さ位置は、例えば、第2磁性体コア33の第2面33bの高さ位置と略同等又は当該高さ位置よりも上方に配置されている。
起立部53aが形成されていることによって、送信ユニット10の空洞11にハンドルシャフト110を挿通する際に、ハンドルシャフト110は起立部53aによって案内されて、スムーズに電力伝送装置100に挿通されることとなる。また、起立部53aによって、ハンドルシャフト110と、第2磁性体コア33と、が互いに干渉してしまうことを抑制できる。
本実施形態の場合、第2ホルダ部材51が有する起立部53aの数は、一例として、6つである。
【0024】
更に、第2ホルダ部材51は、例えば、後述する端子部80を保持している第2端子保持部72を有する。
より詳細には、第2端子保持部72は、例えば、第2環状部54の外周縁部の上面から上方に向けて起立している円弧状の第4起立壁部75と、第4起立壁部75の上縁部から径方向における外方に向けて突出している平板状の第2板状部76と、を有する。
第4起立壁部75は、例えば、平面視において、回転軸95を中心とした円弧状に形成されている。
また、周方向において、第4起立壁部75と第2起立壁部57との間には、切欠形状部77(
図4参照)が形成されている。
本実施形態の場合、第4起立壁部75の外周面は、第2外周縁部52の外周面と同一円筒面上に配置されている。
また、第4起立壁部75の厚み寸法(径方向における寸法)は、例えば、各第2外周縁部52の厚み寸法(径方向における寸法)と同等の寸法に設定されている。
第2板状部76は、例えば、平面視において、略矩形状に形成されている。
第2板状部76の上面及び下面は、例えば、それぞれ水平に配置されている。また、第2板状部76の上面の高さ位置は、例えば、第2起立壁部57において第2係合爪部58を除く部分の上端の高さ位置と同等に設定されている。
また、第4起立壁部75の内周面は、例えば、6つの第2分割コア34のうちいずれか1つの第2分割コア34の外周面に沿って配置されている。より詳細には、6つの第2分割コア34のうち、上述の第2係合突起部56が係合していない第2分割コア34が、径方向において、第4起立壁部75と並んで配置されている。
【0025】
上述のように、送信ユニット10は、基準面130を基準として、受信ユニット20と上下対称に形成されている。したがって、送信ユニット10の第1磁性体コア31は、第2磁性体コア33と同様に、板状部37と、内周壁部35と、外周壁部36と、を有する。
そして、第1磁性体コア31の一方の面(以下、第1面31aと称する場合がある)は、第1磁性体コア31の内周壁部35の上端面と外周壁部36の上端面とによって構成されており、第1磁性体コア31の一方の面(第1面31a)に対する反対側の面(以下、第2面31bと称する場合がある)は、第1磁性体コア31の板状部37の下面によって構成されている。
また、各第1分割コア32は、第2分割コア34と同様に、例えば、第1磁性体コア31を周方向において6等分した形状に形成されており、板状部34aと同様の板状部32aと、内周壁部34bと同様の内周壁部32bと、外周壁部34cと同様の外周壁部32cと、を有する(
図5参照)。
そして、第2分割コア34と同様に、各第1分割コア32の外周壁部32cには、一対の切欠形状部39が形成されており、第1ホルダ部材41(後述)の各第1係合突起部46(後述)は、対応する第1分割コア32の切欠形状部39に対してそれぞれ係合している。また、6つの第1分割コア32のうちいずれか1つの第1分割コア32の切欠形状部39に対しては第1係合突起部46が係合しておらず、代わりに、当該切欠形状部39を通して送信コイル61の引出配線部66(詳細後述)が第1磁性体コア31の外部に引き出されている。
更に、送信ユニット10は、第2ホルダ部材51と同様の第1ホルダ部材41を備えている。したがって、第1ホルダ部材41は、第2環状部54と同様の第1環状部44と、第2係合突起部56と同様の第1係合突起部46と、第2起立壁部57と同様の第1起立壁部47と、第2外周縁部52と同様の第1外周縁部42と、第2内周縁部53と同様の第1内周縁部43と、起立部53aと同様の起立部43aと、を備えている。
また、第1ホルダ部材41は、端子部80を保持している第1端子保持部71を更に有する。第2端子保持部72と同様に、第1端子保持部71は、例えば、第4起立壁部75と同様の第3起立壁部73と、第2板状部76と同様の第1板状部74と、を有する。
そして、第3起立壁部73の内周面は、例えば、6つの第1分割コア32のうちいずれか1つの第1分割コア32の外周面に沿って配置されている。より詳細には、6つの第1分割コア32のうち、上述の第1係合突起部46が係合していない第1分割コア32が、径方向において、第3起立壁部73と並んで配置されている。
【0026】
このように、送信ユニット10は、第1磁性体コア31を保持する樹脂製の第1ホルダ部材41を備え、受信ユニット20は、第2磁性体コア33を保持する樹脂製の第2ホルダ部材51を備えており、第1ホルダ部材41は、軸方向における第1磁性体コア31の一方の面(第1面31a)に沿って配置された環状のものであり、第2ホルダ部材51は、軸方向における第2磁性体コア33の一方の面(第1面33a)に沿って配置された環状のものである。
これにより、第1磁性体コア31と第2磁性体コア33との離間距離を一定に保つことができるので、電力伝送装置100のより安定した特性を実現することができる。
また、上述のように、第1磁性体コア31は複数の第1分割コア32に分割された構造であり、第2磁性体コア33は複数の第2分割コア34に分割された構造である。これにより、例えば、電力伝送装置100の周囲の環境に温度変化が生じた際に、第1磁性体コア31及び第1ホルダ部材41の各々の熱膨張係数の差によって、第1ホルダ部材41の熱変形に起因する第1磁性体コア31に対する熱応力が発生したとしても、第1分割コア32どうしの間隙が拡大又は縮小することにより、当該熱応力を吸収できる。同様に、第2ホルダ部材51の熱変形に起因する第2磁性体コア33に対する熱応力が発生したとしても、第2分割コア34どうしの間隙が拡大又は縮小することにより、当該熱応力を吸収できる。よって、電力伝送装置100のより安定した特性を実現することができる。また、第1磁性体コア31及び第2磁性体コア33の耐破壊性を向上させることができる。
【0027】
また、第1ホルダ部材41は、第1分割コア32に対して係合する第1係合突起部46を有し、第1係合突起部46によって、周方向における第1分割コア32の位置ずれが規制されており、第2ホルダ部材51は、例えば、第2分割コア34に対して係合する第2係合突起部56を有し、第2係合突起部56によって、周方向における第2分割コア34の位置ずれが規制されている。
【0028】
また、第1ホルダ部材41は、例えば、第1磁性体コア31の外周面31cに沿って配置されている第1起立壁部47を有し、第1起立壁部47は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されており、第2ホルダ部材51は、例えば、第2磁性体コア33の外周面33cに沿って配置されている第2起立壁部57を有し、第2起立壁部57は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されている。
また、第1起立壁部47は、第1磁性体コア31の一方の面(第1面31a)に対する反対側の面(第2面31b)に対して係合する第1係合爪部48を有しており、第2起立壁部57は、例えば、第2磁性体コア33の一方の面(第1面33a)に対する反対側の面(第2面33b)に対して係合する第2係合爪部58を有する。
すなわち、第1ホルダ部材41は、第1磁性体コア31の外周面31cに沿って配置されている第1起立壁部47を有し、第1起立壁部47は、第1磁性体コア31の一方の面(第1面31a)に対する反対側の面(第2面31b)に対して係合する第1係合爪部48を有し、第2ホルダ部材51は、第2磁性体コア33の外周面33cに沿って配置されている第2起立壁部57を有し、第2起立壁部57は、第2磁性体コア33の一方の面(第1面33a)に対する反対側の面(第2面33b)に対して係合する第2係合爪部58を有する。
これにより、第1ホルダ部材41によって第1磁性体コア31を良好に保持することができるとともに、第2ホルダ部材51によって第2磁性体コア33を良好に保持することができる。
【0029】
更に、第1磁性体コア31の複数の第1分割コア32のうち、互いに隣り合う2つの第1分割コア32に対して、共通の第1係合爪部48が係合しており、第2磁性体コア33の複数の第2分割コア34のうち、互いに隣り合う2つの第2分割コア34に対して、共通の第2係合爪部58が係合している。
これにより、より少ない数の第1係合爪部48によって、各第1分割コア32が第1ホルダ部材41によって保持されている状態を良好に維持することができるとともに、より少ない数の第2係合爪部58によって、各第2分割コア34が第2ホルダ部材51によって保持されている状態を良好に維持することができる。
また、互いに隣り合う第2分割コア34の上面どうしの高さ位置(上下方向における位置)を揃えることができる。同様に、互いに隣り合う第1分割コア32の下面どうしの高さ位置(上下方向における位置)を揃えることができる。
【0030】
本実施形態の場合、第1磁性体コア31及び第2磁性体コア33の各々の内径は、第1内周縁部43及び第2内周縁部53の各々の外径よりも大きい。また、第1磁性体コア31及び第2磁性体コア33の各々の外径は、第2外周縁部52及び第2内周縁部53の各々の内径よりも小さい。
第2内周縁部53及び第2外周縁部52の各々の上端の高さ位置は、第2磁性体コア33の板状部37の上面の高さ位置よりも下方に配置されている。また、第1内周縁部43及び第1外周縁部42の各々の下端の高さ位置は、第1磁性体コア31の板状部37の下面の高さ位置よりも上方に配置されている。
そして、
図6に示すように、第2磁性体コア33は、第2外周縁部52と第2内周縁部53との間に配置されている。より詳細には、第2磁性体コア33の外周面33cは第2外周縁部52の内周面に沿って配置されており、第2磁性体コア33の内周面は第2内周縁部53の外周面に沿って配置されている。すなわち、第2磁性体コア33と、第2外周縁部52及び第2内周縁部53とは、互いに近接して同心状に配置されている。また、第2磁性体コア33の第1面33aは、第2環状部54の上面と面接触している。
同様に、第1磁性体コア31は、第1外周縁部42と第1内周縁部43との間に配置されている。より詳細には、第1磁性体コア31の外周面31cは第1外周縁部42の内周面に沿って配置されており、第1磁性体コア31の内周面は第1内周縁部43の外周面に沿って配置されている。すなわち、第1磁性体コア31と、第1外周縁部42及び第1内周縁部43とは、互いに近接して同心状に配置されている。また、第1磁性体コア31の第1面31aは、第1環状部44の下面と面接触している。
【0031】
また、本実施形態の場合、送信ユニット10の内部の空洞11は、送信ユニット10の内周面10aによって画定されており、送信ユニット10の内周面10aは、第1環状部44の内周面、各第1内周縁部43の内周面及び各起立部43aの内周面によって構成されている。
同様に、受信ユニット20の内部の空洞21は、受信ユニット20の内周面20aによって画定されており、受信ユニット20の内周面20aは、第2環状部54の内周面、各第2内周縁部53の内周面及び各起立部53aの内周面によって構成されている。
また、送信ユニット10の外周面は、第1環状部44の外周面、各第1起立壁部47の外周面及び各第1外周縁部42の外周面によって構成されており、受信ユニット20の外周面は、第2環状部54の外周面、各第2起立壁部57の外周面及び各第2外周縁部52の外周面によって構成されている。
ここで、第1内周縁部43及び起立部43aの各々の厚み寸法(径方向における寸法)は、例えば、第1外周縁部42の厚み寸法(径方向における寸法)よりも小さい。同様に、第2内周縁部53及び起立部53aの各々の厚み寸法(径方向における寸法)は、例えば、第2外周縁部52の厚み寸法(径方向における寸法)よりも小さい。
これにより、送信ユニット10の外径及び受信ユニット20の外径の各々を変えずに、空洞11、21の直径を十分に確保することができる。
【0032】
本実施形態の場合、送信コイル61と受信コイル62との各々は、例えば、絶縁被覆された金属製の線材により構成されている。送信コイル61と受信コイル62との各々は、線材を内周壁部35の周囲に巻回することにより構成されている巻回部65と、線材の両端部によりそれぞれ構成されている一対の引出配線部66と、を有する。
受信コイル62の巻回部65は、第2磁性体コア33の溝部38の内部に収容されており、当該溝部38の開口は第2環状部54によって閉塞されている。同様に、送信コイル61の巻回部65は、第1磁性体コア31の溝部38の内部に収容されており、当該溝部38の開口は第1環状部44によって閉塞されている。
そして、受信コイル62の各引出配線部66は、例えば、上述の第2端子保持部72と対向して配置されている第2分割コア34の切欠形状部39を通して外周壁部36の外部に引き出されている。
同様に、送信コイル61の各引出配線部66は、例えば、上述の第1端子保持部71と対向して配置されている第1分割コア32の切欠形状部39を通して外周壁部36の外部に引き出されている。
ここで、受信コイル62と第2磁性体コア33とは、例えば、両面粘着テープ(不図示)によって互いに固定されていてもよい。
また、両面固定テープは、例えば、平面視において、第2磁性体コア33の板状部37と略同一の円環状に形成されている。そして、各第2分割コア34は、当該固定テープ上に沿って周回状に配置されていることも好ましい。このようにすることにより、第2分割コア34どうしが互いに相対的に変位してしまうことを抑制できる。
同様に、送信コイル61と第1磁性体コア31とは、例えば、両面粘着テープ(不図示)によって互いに固定されていてもよい。
【0033】
本実施形態の場合、
図1、
図2、
図3及び
図4に示すように、電力伝送装置100は、端子部80として、例えば、第1端子部81と、第2端子部82と、第3端子部83と、第4端子部84と、を有する。
第1端子部81及び第2端子部82の各々は、第1ホルダ部材41の第1端子保持部71によって保持されており、送信コイル61と電気的に接続されている。第3端子部83及び第4端子部84の各々は、第2ホルダ部材51の第2端子保持部72によって保持されており、受信コイル62と電気的に接続されている。
第1端子部81~第4端子部84は、例えば、長尺な板状の金属部材を折り曲げ形成することにより(例えば90度折り曲げられて)構成されている。
より詳細には、第3端子部83の形状は、正面視において、L字形状となっており、第3端子部83は、上下方向に延在している鉛直部と、当該鉛直部の下端から水平方向に延在している水平部と、を有する。そして、上記鉛直部が、電力伝送装置100の実装時に外部接続される外部端子85であり、上記水平部が、受信コイル62の引出配線部66が固定されている圧着端子86である。
第3端子部83の外部端子85の下部は、第2端子保持部72の第2板状部76に埋設されており、外部端子85の上部は、第2板状部76の上面から外部に露出している。
一方、圧着端子86は、当該第2板状部76の下面に沿って水平に延出している(概ね、平面視における第2環状部54の外周に対する接線方向に延出している)。
更に、本実施形態の場合、第2板状部76の下面には、第3端子部83の圧着端子86と対応した形状の溝部(不図示)が形成されている。第3端子部83の圧着端子86の一部分は、当該溝部に収容されており、溝部の底面に沿って水平に配置されている。
また、圧着端子86の先端部(外部端子85側とは反対側の端部)は、水平且つ圧着端子86の延出方向に対して直交する方向を軸方向とする略円筒状に湾曲されている嵌合部87を構成している。
そして、受信コイル62の一対の引出配線部66の一方の引出配線部66を嵌合部87の内腔に挿通した状態で、嵌合部87の先端と嵌合部87の基端とを閉じることよって、当該引出配線部66を嵌合部87に対して嵌合させることができる。すなわち、嵌合部87をかしめることによって、引出配線部66を嵌合部87の内腔に挿通された状態で圧着端子86に対して固定することができる。この状態で、例えば、更に溶接固定又は半田による固定を行う。
【0034】
例えば、第4端子部84は、回転軸95から第2端子保持部72に向かう第2ホルダ部材51の半径方向と、回転軸95と、を含む平面を基準として、第3端子部83と対称形状に形成されている。よって、第3端子部83と同様に、第4端子部84は、外部端子85と、圧着端子86と、嵌合部87と、を有する。
そして、受信コイル62の一対の引出配線部66のうち他方の引出配線部66(第3端子部83と接続されていない方の引出配線部66)が、第3端子部83と同様に、嵌合部87において圧着端子86に対して固定されている。
また、第2板状部76の下面には、第4端子部84の圧着端子86と対応した形状の溝部(不図示)が形成されている。第4端子部84の圧着端子86の一部分は、当該溝部に収容されており、溝部の底面に沿って水平に配置されている。
【0035】
例えば、第1端子部81は、第3端子部83と上下対称の形状に形成されている。よって、第3端子部83と同様に、第1端子部81は、外部端子85と、圧着端子86と、嵌合部87と、を有する。
そして、送信コイル61の一対の引出配線部66のうち一方の引出配線部66が、第3端子部83と同様に、嵌合部87において圧着端子86に対して固定されている。
同様に、例えば、第2端子部82は、第4端子部84と上下対称の形状に形成されている。よって、第2端子部82は、外部端子85と、圧着端子86と、嵌合部87と、を有する。
そして、送信コイル61の一対の引出配線部66のうち他方の引出配線部66(第1端子部81と接続されていない方の引出配線部66)が、第3端子部83と同様に、嵌合部87において圧着端子86に対して固定されている。
【0036】
第1分割コア32及び第2分割コア34の各々は、それらの全体が磁性材料によって一体成形されている。
第1ホルダ部材41及び第2ホルダ部材51の各々は、例えば、その全体が樹脂等の絶縁材料により一体成形されている。
【0037】
本実施形態の場合、送信ユニット10は、電源(不図示)と接続されており、送信コイル61には電源から電流が印加されるようになっている。送信コイル61に電流が印加されることによって、送信コイル61の周囲に磁界が生じるので、受信コイル62において、誘導起電力が発生する。すなわち、電力伝送装置100は、送信ユニット10の送信コイル61から、受信ユニット20の受信コイル62へと、電磁誘導方式によって電力が伝送される。
【0038】
ここで、本実施形態の場合、電力伝送装置100は、磁性体シール90を更に備えている。
磁性体シール90は、ハンドルシャフト110の外周面110aと送信ユニット10の内周面10aとの間隙から、ハンドルシャフト110の外周面110aと受信ユニット20との内周面20aとの間隙に亘って、ハンドルシャフト110の外周面110aに沿って配置される。
これにより、ハンドルシャフト110の周囲に磁性体シール90が配置されることとなるので、ハンドルシャフト110が金属材料によって構成されている場合であっても、ハンドルシャフト110の外周面110a表層における渦電流の発生を抑制し、電力伝送装置100の電力伝送効率を向上させることができる。
より詳細には、電力伝送装置100において、電力伝送効率は、送信コイル61と受信コイル62と間の結合度と、送信コイル61及び受信コイル62の各々のQ値(quality factor)の積で示される。このため、電力伝送効率を向上するためには、当該Q値を高くすることが求められる。そして、上述の構成によれば、渦電流の発生を抑制することにより、送信コイル61の抵抗値をより小さくすることができるので、送信コイル61のQ値を上昇させることができる。
更に、磁性体シール90によって、ハンドルシャフト110の外周面110a表層における渦電流の発生が抑制されるので、送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aの各々を、よりハンドルシャフト110に対して近接して配置したとしても、良好な電力伝送装置100の電力伝送効率を実現することができる。よって、電力伝送装置100をより小型化することができる。
【0039】
ここで、
図8(a)及び
図8(b)は、本実施形態に係る電力伝送装置100を用いて計測された送信コイル61の各特性の実測値の一例を示しており、
図9(a)及び
図9(b)は、後述する第1変形例に係る電力伝送装置100(磁性体シール90を有していない電力伝送装置100)を用いて計測された送信コイル61の各特性の実測値の一例を示している。このうち、
図8(a)及び
図9(a)は、電源の各周波数[kHz]における、送信コイル61のインダクタンスの実測値(
図8(a)及び
図9(a)におけるL[uH])と、送信コイル61の抵抗の実測値(
図8(a)及び
図9(a)におけるR[mohm][Ω])と、送信コイル61のQ値の実測値(
図8(a)及び
図9(a)におけるQ)と、をそれぞれ表で示している。そして、
図8(b)は、
図8(a)における送信コイル61の抵抗の実測値[mohm][Ω]と送信コイル61のQ値の実測値と、をそれぞれプロットしたプロファイルを示している。
図9(b)は
図9(a)における送信コイル61の抵抗の実測値[mohm][Ω]と送信コイル61のQ値の実測値とをそれぞれプロットしたプロファイルを示している。また、
図8(b)及び
図9(b)においては、右側の縦軸が送信コイル61のQ値、左側の縦軸が抵抗値[mohm]、横軸が周波数[kHz]である。
【0040】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、後述する第1変形例に係る電力伝送装置100を用いた場合(
図9(a)及び
図9(b)参照)と比較して、本実施形態に係る電力伝送装置100を用いた場合、送信コイル61の抵抗の実測値がより減少している一方で、送信コイル61のQ値の実測値がより上昇している。
より詳細には、例えば、電源の周波数が100kHzである場合、本実施形態に係る電力伝送装置100を用いて計測された送信コイル61の抵抗の実測値の一例は107mohmであり、当該送信コイルのQ値の一例は100である。
一方、例えば、電源の周波数が100kHzである場合、磁性体シール90を有していない電力伝送装置100を用いて計測された送信コイルの抵抗の実測値の一例は200mohmであり、当該送信コイルのQ値の一例は39である。
このように、ハンドルシャフト110の周囲に磁性体シール90を配置することによって、送信コイル61のQ値を上昇させることがでるので、電力伝送装置100の電力伝送効率を向上させることができる。
【0041】
図7に示すように、磁性体シール90は、例えば、シート状の基材91と、基材91の一方の面に配置されている複数の磁性体92と、基材91の他方の面に形成されている粘着層93と、を備えている。なお、
図7は、径方向に沿った断面図である。
基材91は、例えば、軟質の樹脂材料によって構成されている。
複数の磁性体92は、例えば、それぞれ薄板状に形成されており、個々の磁性体92の形状は、特に限定されないが、例えば、略矩形状であることが挙げられる。複数の磁性体92は、例えば、基材91の上記一方の面の略全体にアレイ状に配置されている。
複数の磁性体92は、一例として、透磁率が高い焼結体フェライトである。このため、磁性体シール90は、送信コイル61の周囲に生じる磁束の漏れを良好に抑制することができる。
磁性体シール90は、例えば、粘着層93を介して、ハンドルシャフト110の外周面110aに対して固定されている。より詳細には、粘着層93が形成されている基材91の反対側の面が、ハンドルシャフト110の外周面110aに沿って配置されている。また、複数の磁性体92が配置されている基材91の一方の面が、送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aの各々に沿って配置されている。磁性体シール90は、例えば、ハンドルシャフト110の外周面110aに沿って巻き付けられた状態で、粘着層93を介してハンドルシャフト110に対して固定されている。ここで、磁性体シール90をハンドルシャフト110に巻き付けるに際して、複数の磁性体92がアレイ状に配置されているので、磁性体シール90をハンドルシャフト110の外周面110aに沿った形状に容易に変形させることができる。
ただし、磁性体シール90は、例えば、送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aの各々に沿って配置されていてもよい。この場合、粘着層93が形成されている基材91の反対側の面が、送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aの各々に沿って配置されている。
【0042】
ここで、ハンドルシャフト110は、上述のように円筒状のシャフト115を有し、このシャフト115の上端部には、例えば、連結部材120(
図1及び
図2等参照)が装着されている。連結部材120には、例えば、ハンドルが装着されており、ハンドルは、連結部材120を介して、シャフト115の上端部に連結されている。なお、
図1及び
図6では、送信ユニット10の空洞11及び受信ユニット20の空洞21に連結部材120が挿通されている状態を示している。
そして、ハンドルに対して回転操作が行われると、ハンドル及び連結部材120に伴って、シャフト115が当該シャフト115の軸周り(ハンドルシャフト110の軸回り)に回転する。
より詳細には、連結部材120は、上下方向を軸方向とする円柱状に形成されている円柱部121と、円柱部121を上下方向に貫通している貫通孔123と、円柱部121の上縁から周囲に張り出しているフランジ部124と、を有する。
本実施形態の場合、ハンドルの一部分が連結部材120の貫通孔123に嵌入することによって、ハンドルが連結部材120に装着されている。
また、円柱部121の下部がシャフト115に嵌入することによって、連結部材120がシャフト115の上端部に装着されている。
より詳細には、連結部材120の円柱部121の下部は、段差状の嵌合部122を構成しており、連結部材120の外径は、下方に向けて2段階に縮径している。嵌合部122がシャフト115の上端部の内腔に嵌合することによって、連結部材120及びハンドルがシャフト115に装着されている。また、円柱部121の上部は、シャフト115の上端部よりも上方に位置しており、当該上部の外周面は、受信ユニット20の内周面20aと対向している。また、円柱部121の上部の外周面は、シャフト115の外周面と同一円筒面上に配置されている。
また、連結部材120の円柱部121は、送信ユニット10の空洞11及び受信ユニット20の空洞21に挿入されている。
【0043】
図6に示すように、本実施形態の場合、磁性体シール90は、例えば、円柱部121の上部からシャフト115の上端部にかけての部分を覆うようにして、円柱部121の上部の外周面とシャフト115の上端部の外周面とに沿って周回状に配置されている。
これにより、磁性体シール90が、円柱部121の上部とシャフト115の上端部とをまとめて包んでいるので、シャフト115の上端部に連結部材120が装着されている状態を良好に維持することができる。
また、上述のように、ハンドルシャフト110の外周面110aは送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aに沿って配置されている。より詳細には、円柱部121の上部の外周面が受信ユニット20の内周面20aに沿って配置されており、シャフト115の上端部の外周面が送信ユニット10の内周面10aに沿って配置されている。よって、磁性体シール90の外周面は、送信ユニット10の内周面10aに沿って配置されているとともに、受信ユニット20の内周面20aに沿って配置されている。
本実施形態の場合、磁性体シール90の外周面と、送信ユニット10の内周面10a及び受信ユニット20の内周面20aの各々と、の間には間隙が形成されている。
本実施形態の場合、磁性体シール90は、例えば、ハンドルシャフト110の外周面110aに1周回以上巻き付けられている。
【0044】
<第1変形例>
次に、
図9(a)及び
図9(b)に実施形態の第1変形例を示す。本変形例に係る電力伝送装置100は、磁性体シール90を備えていない点で、上記の実施形態に係る電力伝送装置100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態に係る電力伝送装置100と同様に構成されている。
上述のように、電源の周波数が100kHzである場合、磁性体シール90を有していない電力伝送装置100を用いて計測された送信コイルの抵抗の実測値の一例は200mohmであり、当該送信コイルのQ値の一例は39である。
【0045】
<第2変形例>
次に、
図10を用いて実施形態の第2変形例を説明する。本変形例に係る電力伝送装置100は、それぞれ以下に説明する点で、上記の実施形態及び第1変形例に係る電力伝送装置100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態及び第1変形例に係る電力伝送装置100と同様に構成されている。
【0046】
本変形例の場合、第1ホルダ部材41は、周方向において、互いに隣り合う2つの第1分割コア32どうしの間にそれぞれ配置されている第1突出部(不図示)を有し、第2ホルダ部材51は、周方向において、互いに隣り合う2つの第2分割コア34どうしの間に配置されているそれぞれ第2突出部59(
図10参照)を有する。
これにより、周方向において、第1分割コア32が変位してしまうことを抑制できる。また、周方向において、第2分割コア34が変位してしまうことを抑制できる。
【0047】
本変形例の場合、一例として、第2ホルダ部材51は、第2係合突起部56の代わりに第2突出部59を有する。また、互いに隣り合う2つの第1分割コア32どうしの間に切欠形状部39が形成されており、当該切欠形状部39に対して第2突出部59が係合している。
より詳細には、各第2突出部59は、例えば、第2係合突起部56とは異なり、各第2起立壁部57の内周面から径方向内側に向けて延在している突出部である。
また、周方向における各第2分割コア34の両端には、それぞれ切欠形状部39a、39bが形成されている。切欠形状部39aは、例えば、第2分割コア34を上下方向に貫通しているとともに、周方向における一方に向けて開放しており、切欠形状部39bは、第2分割コア34を上下方向に貫通しているとともに、周方向における他方に向けて開放している。
そして、隣り合う2つの第2分割コア34のうち、一方の第2分割コア34が有する切欠形状部39aと、他方の第2分割コア34が有する切欠形状部39bとが合わさって、切欠形状部39が形成されている。
第2ホルダ部材51と同様に、第1ホルダ部材41は、一例として、第1係合突起部46の代わりに第1突出部を有する。また、互いに隣り合う2つの第1分割コア32どうしの間に切欠形状部39が形成されており、当該切欠形状部39に対して第1突出部が係合している。
【0048】
本変形例の場合も、第2ホルダ部材51が有する第2起立壁部57の数は、一例として、6つである。したがって、第2ホルダ部材51が有する第2突出部59の数も、一例として、6つである。ただし、第2突出部59の数は特に限定されない。
同様に、第1ホルダ部材41が有する第1起立壁部47の数は、一例として、6つである。したがって、第1ホルダ部材41が有する第1突出部の数も、一例として、6つである。ただし、第1突出部の数は特に限定されない。
【0049】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0050】
例えば、上記においては、送信ユニット10から受信ユニット20に電力を伝送する方式が電磁誘導式である例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、磁界共鳴方式を用いてもよい。
【0051】
また、例えば、上記においては、第1起立壁部47は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されており、第2起立壁部57は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されている例を説明した。ただし、本発明において、例えば、第1起立壁部47が第1環状部44の外周縁に沿って周回状に形成されており、第2起立壁部57が第2環状部54の外周縁に沿って周回状に形成されていてもよい。
【0052】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)環状の第1磁性体コアと送信コイルとを有する環状の送信ユニットと、環状の第2磁性体コアと受信コイルとを有する環状の受信ユニットと、を互いに対向する配置で備え、前記送信ユニットから前記受信ユニットに電力を伝送する伝送装置であって、
前記送信ユニットと前記受信ユニットとは、前記送信ユニット及び前記受信ユニットの内部の空洞を通る回転軸を中心として相対的に回転可能となっており、
前記第1磁性体コアは、周方向において複数の第1分割コアに分割された構造であり、
前記第2磁性体コアは、周方向において複数の第2分割コアに分割された構造である電力伝送装置。
(2)前記送信ユニットは、前記第1磁性体コアを保持する樹脂製の第1ホルダ部材を備え、
前記受信ユニットは、前記第2磁性体コアを保持する樹脂製の第2ホルダ部材を備え、
前記第1ホルダ部材は、軸方向における前記第1磁性体コアの一方の面に沿って配置された環状のものであり、
前記第2ホルダ部材は、軸方向における前記第2磁性体コアの一方の面に沿って配置された環状のものである(1)に記載の電力伝送装置。
(3)前記第1ホルダ部材は、前記第1分割コアに対して係合する第1係合突起部を有し、前記第1係合突起部によって、周方向における前記第1分割コアの位置ずれが規制されており、
前記第2ホルダ部材は、前記第2分割コアに対して係合する第2係合突起部を有し、前記第2係合突起部によって、周方向における前記第2分割コアの位置ずれが規制されている(2)に記載の電力伝送装置。
(4)前記第1ホルダ部材は、前記第1磁性体コアの外周面に沿って配置されている第1起立壁部を有し、前記第1起立壁部は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されており、
前記第2ホルダ部材は、前記第2磁性体コアの外周面に沿って配置されている第2起立壁部を有し、前記第2起立壁部は、周方向における複数箇所にそれぞれ配置されている(2)又は(3)に記載の電力伝送装置。
(5)前記第1起立壁部は、前記第1磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第1係合爪部を有し、
前記第2起立壁部は、前記第2磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第2係合爪部を有する(4)に記載の電力伝送装置。
(6)前記第1ホルダ部材は、前記第1磁性体コアの外周面に沿って配置されている第1起立壁部を有し、
前記第1起立壁部は、前記第1磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第1係合爪部を有し、
前記第2ホルダ部材は、前記第2磁性体コアの外周面に沿って配置されている第2起立壁部を有し、
前記第2起立壁部は、前記第2磁性体コアの前記一方の面に対する反対側の面に対して係合する第2係合爪部を有する(2)又は(3)に記載の電力伝送装置。
(7)前記第1磁性体コアの複数の前記第1分割コアのうち、互いに隣り合う2つの第1分割コアに対して、共通の前記第1係合爪部が係合しており、
前記第2磁性体コアの複数の前記第2分割コアのうち、互いに隣り合う2つの第2分割コアに対して、共通の前記第2係合爪部が係合している(5)又は(6)に記載の電力伝送装置。
(8)前記送信ユニット及び前記受信ユニットは、金属製のハンドルシャフトの周囲に配置されるものであり、
当該電力伝送装置は、磁性体シールを更に備え、
前記磁性体シールは、前記ハンドルシャフトの外周面と前記送信ユニットの内周面との間隙から、前記ハンドルシャフトの外周面と前記受信ユニットとの内周面との間隙に亘って、前記ハンドルシャフトの外周面に沿って配置される(1)から(7)のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【符号の説明】
【0053】
10 送信ユニット
10a 内周面
11 空洞
20 受信ユニット
20a 内周面
21 空洞
31 第1磁性体コア
31a 第1面(一方の面)
31b 第2面(反対側の面)
31c 外周面
32 第1分割コア
32a 板状部
32b 内周壁部
32c 外周壁部
33 第2磁性体コア
33a 第1面(一方の面)
33b 第2面(反対側の面)
33c 外周面
34 第2分割コア
34a 板状部
34b 内周壁部
34c 外周壁部
35 内周壁部
36 外周壁部
37 板状部
38 溝部
39 切欠形状部
39a、39b 切欠形状部
41 第1ホルダ部材
42 第1外周縁部
43 第1内周縁部
43a 起立部
44 第1環状部
44b スリット部
46 第1係合突起部
47 第1起立壁部
48 第1係合爪部
51 第2ホルダ部材
52 第2外周縁部
53 第2内周縁部
53a 起立部
54 第2環状部
54b スリット部
56 第2係合突起部
57 第2起立壁部
57a 開口部
58 第2係合爪部
59 第2突出部
61 送信コイル
62 受信コイル
65 巻回部
66 引出配線部
70 端子保持部
71 第1端子保持部
72 第2端子保持部
73 第3起立壁部
74 第1板状部
75 第4起立壁部
76 第2板状部
77 切欠形状部
80 端子部
81 第1端子部
82 第2端子部
83 第3端子部
84 第4端子部
85 外部端子
86 圧着端子
87 嵌合部
90 磁性体シール
91 基材
92 磁性体
93 粘着層
95 回転軸
100 電力伝送装置
110 ハンドルシャフト
115 シャフト
120 連結部材
121 円柱部
122 嵌合部
123 貫通孔
124 フランジ部
130 仮想の基準面