(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022045949
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220315BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20220315BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H05K1/02 R
H05K3/28 B
G06K19/06 037
G06K19/06 046
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151726
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 慶彦
【テーマコード(参考)】
5E314
5E338
【Fターム(参考)】
5E314AA24
5E314BB05
5E314BB10
5E314BB11
5E314BB12
5E314DD09
5E314FF01
5E314GG18
5E338AA01
5E338AA02
5E338AA03
5E338BB19
5E338BB80
5E338CC10
5E338DD16
5E338DD34
5E338EE42
(57)【要約】
【課題】二次元コードの可読性を向上させる。
【解決手段】プリント配線板10は、複数の導体層と絶縁層とが交互に設けられている下層11と、下層の最外絶縁層12上に形成された導体層14と、導体層上に形成されたソルダーレジスト層16と、ソルダーレジスト層と、ソルダーレジスト層の開口16aを介して露出した導体層14aと、からなる二次元コード(2DID)と、を含み、二次元コードの下側に位置する導体層が二次元コードを読み取り可能な残銅率を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板であって、
複数の導体層と絶縁層とが交互に設けられている下層と、
前記下層の最外絶縁層上に形成された導体層と、
前記導体層上に形成されたソルダーレジスト層と、
前記ソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口を介して露出した前記導体層と、からなる二次元コードと、を含み、
前記二次元コードの下側に位置する前記導体層が前記二次元コードを読み取り可能な残銅率を有する。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記二次元コードの下側に位置する前記導体層が80%以上の残銅率を有する。
【請求項3】
プリント配線板の製造方法であって、
複数の導体層と絶縁層とが交互に設けられている下層を形成することと、
前記下層の最外絶縁層上に導体層を形成することと、
前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することとと、
前記ソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口を介して露出した前記導体層と、からなる二次元コードを形成することと、を含み、
前記導体層が二次元コードを読み取り可能な残銅率を有する領域の上に、前記二次元コードを形成する。
【請求項4】
請求項3に記載のプリント配線板の製造方法であって、上側に前記二次元コードを形成する前記導体層が80%以上の残銅率を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板認識用の二次元コードを有するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC接続端子数が多くなり高密度化したICを実装する場合、基板側バンプ高さ等の情報をもとに個別に最適実装条件を把握する必要がある。そこで、実装に必要な製品の厚み、反り形状等の情報を含む二次元コードが、個々のプリント配線板に付与されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次元コードを読み取るリーダーでは、照明にリング照明を使用している。そのため、二次元コード(ここではQRコード(登録商標))を読み取るときに、
図6に示すように、二次元コードの下側の下層のデガスパターン(DP)が透けて二次元コードに写りこみ、二次元コードの読み取り不良が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線板は、複数の導体層と絶縁層とが交互に設けられている下層と、前記下層の最外絶縁層上に形成された導体層と、前記導体層上に形成されたソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口を介して露出した前記導体層と、からなる二次元コードと、を含み、前記二次元コードの下側に位置する前記導体層が前記二次元コードを読み取り可能な残銅率を有する。
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、複数の導体層と絶縁層とが交互に設けられている下層を形成することと、前記下層の最外絶縁層上に導体層を形成することと、前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することとと、前記ソルダーレジスト層と、前記ソルダーレジスト層の開口を介して露出した前記導体層と、からなる二次元コードを形成することと、を含み、前記導体層が前記二次元コードを読み取り可能な残銅率を有する領域の上に、前記二次元コードを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の二次元コードを有するプリント配線板を説明するための断面図である。
【
図2】本発明に係るプリント配線板の一実施形態におけるデガスパターンを説明するための図である。
【
図3】本発明に係るプリント配線板における二次元コードの構成の一実施形態を説明するための図である。
【
図4】本発明に係るプリント配線板の二次元コードの形成位置の一実施形態を説明するための断面図である。
【
図5】(a)~(c)は、それぞれ、本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を説明するための断面図である。
【
図6】従来の二次元コードを有するプリント配線板の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のプリント配線板の一実施形態が、図面を参照して説明される。
図1には、実施形態の二次元コード(2DID)を有するプリント配線板10の一部が拡大して示されている。プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と絶縁層とを交互に積層してなる下層を有するコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。
【0009】
いずれにせよ、二次元コード(2DID)を有するプリント配線板10は、
図1に示すように、複数の導体層と絶縁層とが交互に設けられている下層11と、下層11の最外絶縁層12上に形成された導体層14と、導体層14上に形成されたソルダーレジスト層16とを備えている。そして、ソルダーレジスト層16と、ソルダーレジスト層16の開口16aを介して露出した導体層14aと、から二次元コード(2DID)を形成している。
【0010】
本発明のプリント配線板10の特徴は、二次元コード(2DID)の下側に位置する導体層14が、二次元コード(2DID)を読み取り可能な残銅率を有する点である。ここで、「二次元コード(2DID)を読み取り可能な残銅率」とは、導体層14に存在するデガスパターンが、露出したソルダーレジスト層16の開口16aを介して透けて二次元コードに写りこまない残銅率のことをいう。また、「残銅率」とは、
図2に示すように二次元コードに対応する導体層14を上から見たとき、(デガスパターンありの面積)/(デガスパターンなしの面積)のことをいう。
【0011】
本発明のプリント配線板10において、「二次元コード(2DID)を読み取り可能な残銅率」の好適な範囲は、二次元コードの下層の導体層14において80%以上である。この残銅率が80%未満であると二次元コードを読み取れない場合があるため、導体層14の残銅率は80%以上の範囲が好適である。
【0012】
上述した構成の本発明に係るプリント配線板によれば、二次元パターンに対応する下層の導体層14において、デガスパターンの割合を少なくすることができ、二次元パターンへのデガスパターンの写りこみをなくすことができる。
【0013】
図3は、本発明に係るプリント配線板における二次元コードの構成の一実施形態を説明するための図である。
図3に示す例では、二次元コードの一例としてQRコード(登録商標)21を示している。QRコード(登録商標)21は、白色セルと黒色セルとの組み合わせから構成されており、JIS X 0510:2004で定められている。本発明では、
図3に示すように、黒色セルの部分をソルダーレジスト層16から形成し、白色セルの部分を導体層14のソルダーレジスト層16から露出した導体層14aから形成している。
【0014】
図3に示す二次元コードは、製品認識コード、製造認識コード、工程認識コードとして使用される。ここで、製品認識コードとは、会社名、製品名、製品特性などを判定、区別することができるコードを意味する。製造認識コードとは、製造日、管理番号、ロットナンバー、(コード形成前までの工程)検査結果などによる製造に関するデータ、結果を判定、区別することができるコードを意味する。工程認識コードとは、実装、検査工程の製品認識、アライメント用ターゲットなどの工程に関わる認識用のコードを意味する。
【0015】
図4は、本発明に係るプリント配線板の二次元コードの形成位置の一実施形態を説明するための断面図である。
図4に示す例において、ソルダーレジスト層16と、ソルダーレジスト層16の開口16aを介して露出した導体層14aと、からなる二次元コード(2DID)が、プリント配線板10の周辺領域、ここでは最縁部に存在する。本例では、
図4に示す状態から、二次元コードを有していない部品実装領域に存在する導体層14に例えばバンプを形成して部品実装を行う場合、プリント配線板10の周辺領域の二次元コードを読み取り、例えば、このプリント配線板10のロットなどの情報を、部品実装に役立てることができる。
【0016】
次に、本発明に係るプリント配線板の製造方法について、
図5(a)~(c)を参照して説明する。
図4に示すプリント配線板10を得るためには、公知の方法を用いて、下層11の最外絶縁層12上に所定の回路パターンを有する導体層14(2DIDの部分はベタパターン)およびソルダーレジスト層16を形成する(
図5(a))。次に、所定の位置のソルダーレジスト層16にレーザ加工を施して(
図5(b))、ソルダーレジスト層16と、ソルダーレジスト層16の開口16aを介して露出した導体層14aと、からなる二次元コードを形成する(
図5(c))。レーザ加工は、公知の条件で行うことができ、一例としてCO
2レーザを二次元コードのパターンに従ってソルダーレジスト層16の表面に照射して行うことができる。
【符号の説明】
【0017】
10 プリント配線板
11 下層
12 最外絶縁層
14 導体層
14a 露出した導体層
16 ソルダーレジスト層
16a 開口
21 QRコード(登録商標)
2DID 二次元コード
DP デガスパターン