(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046009
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】足踏み式噴霧装置
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20060101AFI20220315BHJP
A61H 33/00 20060101ALI20220315BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20220315BHJP
B05B 15/625 20180101ALI20220315BHJP
【FI】
B05B11/00 101E
A61H33/00 T
A61L2/26
B05B15/625
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151820
(22)【出願日】2020-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】520350328
【氏名又は名称】株式会社Cross Dimension
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】黒須 悟士
(72)【発明者】
【氏名】竹居 直人
【テーマコード(参考)】
4C058
4C094
4D073
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ06
4C058JJ24
4C094AA03
4C094BC11
4D073AA04
4D073BB03
4D073CB02
4D073CB16
(57)【要約】
【課題】保管や流通が容易な足踏み式噴霧装置を提供する。
【解決手段】足踏み式噴霧装置1は、台座11と、台座11から略鉛直上方に延びる筒状の支柱10と、支柱10の側部に台座11と略平行に固定されるトレイ12と、支柱10の基部に設けられた足踏みペダル13と、トレイ12に載置されるスプレー噴霧器20のポンプ部材22を押圧するための押圧機構14と、足踏みペダル13の動作を押圧機構14に伝達する伝達機構15と、を備える。支柱10は同一内径となる複数のサブ支柱101、102、103を連結して構成される。伝達機構15は、それぞれ、支柱10の空洞内において変位自在で、足踏みペダル13の動作により生じる応力を押圧機構14に向けて伝達する伝達材151、152、153により構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、前記台座から略鉛直上方に延びる筒状の支柱と、前記支柱の側部に前記台座と略平行に固定されるトレイと、前記支柱の基部に設けられた足踏みペダルと、前記トレイに載置されるスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧するための押圧機構と、前記足踏みペダルの動作を前記押圧機構に伝達する伝達機構と、を備え、
前記支柱は、同一内径となる複数のサブ支柱を連結して構成されており、
前記伝達機構は、前記支柱の空洞内において変位自在で、前記足踏みペダルの動作により生じる応力を前記押圧機構に向けて伝達する伝達材を含んで構成されていることを特徴とする、足踏み式噴霧装置。
【請求項2】
前記伝達材が、それぞれ、支柱の内径未満の幅を有する複数の金属板を含み、隣り合う金属棒が所定の連結部材を通じて連結されることを特徴とする、請求項1に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項3】
前記伝達材が、それぞれ、前記支柱の内径未満の外径を有する複数の金属棒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項4】
前記伝達材が、それぞれ、前記応力を隣り合う伝達材にリレー式に伝える複数の金属板、金属棒又は硬質部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項5】
前記伝達材は、所定サイズのワイヤにより構成されており、
前記ワイヤは、一端を前記足踏みペダルに接続され、他端を前記押圧機構に接続されて、前記複数のサブ支柱の空洞内を連通することを特徴とする、
請求項1に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項6】
前記トレイが取り付けられるサブ支柱に滑車が設けられており、
前記ワイヤは、前記滑車を介して前記他端が前記押圧機構に接続されており、前記滑車により、前記足踏みペダルの動作により変位する方向を下向きから上向きに変えることを特徴とする、請求項5に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項7】
前記ワイヤは、前記複数のサブ支柱が分離されると、前記足踏みペダルを前記台座に接続されていたサブ支柱の内部に引き込むことを特徴とする、
請求項5または6に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項8】
前記滑車が設けられるサブ支柱は、前記押圧機構を収容する収容空間が設けられており、
前記ワイヤは、前記複数のサブ支柱が分離されると、前記押圧機構を前記収容空間に引き込むことを特徴とする、請求項6または7に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項9】
前記台座は、放射状に拡がる複数の金属棒、あるいは、扇子状に折り畳まれる複数の金属面により構成され、設置場所に応じて大きさを変化可能であることを特徴とする、
請求項1から8のいずれか一項に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項10】
前記伝達機構は、前記足踏みペダルの踏み下ろし動作の動作量を前記スプレー噴霧器の1回の押動許容量以下に制限することを特徴とする、
請求項1から9のいずれか一項に記載の足踏み式噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所を選ばずに設置することができ、保管あるいは流通が容易でコスト的にも有利な組立式の足踏み式噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感染の予防策として、手指を除菌するための除菌液を噴霧するスプレー噴霧器が使用されている。この種のスプレー噴霧器は、樹脂製ボトル内の除菌液を手動操作で噴霧するが、操作部分を多くの人が手にするため、衛生上の問題がある。
【0003】
センサで人の掌を感知したときにスプレー噴霧器の操作部分を自動的に操作して、所定量の除菌液をその掌に向けて噴出する自動スプレー式の噴霧器が市販されている。しかし、センサ付の噴霧器は、センサの検知結果に基づく噴霧器の作動構成が複雑になり、コストも高くなりがちであるために広く普及するに至っていないのが現状である。そのため、手動操作しなくてもスプレー噴霧器に除菌液を噴霧させる噴霧装置として、足踏み式の装置が提案されている。
【0004】
特許文献1は、手指を消毒除菌し易い高さにスプレーボトルがセットできるボトル受け台が固定された足踏みスタンドを開示する。特許文献2は、スタンドフレームへの保持台の取付け高さ位置を変更可能とし、1台で大人用と子供用に対応できる足踏み式消毒液スタンドを開示する。特許文献3は、形態の異なる複数種類のボトルが載置可能なトレイを備える足踏み式の消毒液供給装置を開示する。特許文献4は、足への負担が少なく、踏み易く、液体が大量に出過ぎない足踏み式噴霧装置を開示する。特許文献5は、容器に手を触れることなく消毒剤を噴霧させることができ、衛生的で便利な消毒剤噴霧容器の作動装置を開示する。
【0005】
いずれの文献に開示される装置も、支柱の所定の高さに、除菌液を噴霧するスプレー噴霧器が載置されるトレイが取り付けられ、支柱の下部に足踏みペダルが設けられる構成である。また、支柱に沿って、足踏みペダルの動作による応力をスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧する押圧機構へ伝達する伝達材が設けられる。このような構成で足踏みペダルがユーザにより踏まれることで、押圧機構がスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧して、スプレー噴霧器から液体が噴霧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-229296号公報
【特許文献2】特開2011-182859号公報
【特許文献3】特開2011-110252号公報
【特許文献4】特開2011-110544号公報
【特許文献5】特許第3451521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のこのような足踏み式噴霧装置は、1メートル程度の長さの支柱が必要となる。また、噴霧装置の使用時の安定性を確保するために、底部が大きく且つ重くなりがちである。そのため、装置全体のサイズが大きくなり、設置できる場所も限られたものとなる。また、使用しないときの保管スペースを大きく取る必要があり、且つ流通時の運送を困難にする。
本発明は、保管や流通が容易な足踏み式噴霧装置を提供することを主たる目的とする。本発明の他の目的は、この明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の足踏み式噴霧装置は、台座と、前記台座から略鉛直上方に延びる筒状の支柱と、前記支柱の側部に前記台座と略平行に固定されるトレイと、前記支柱の基部に設けられた足踏みペダルと、前記トレイに載置されるスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧するための押圧機構と、前記足踏みペダルの動作を前記押圧機構に伝達する伝達機構と、を備え、前記支柱は、同一内径となる複数のサブ支柱を連結して構成されており、前記伝達機構は、前記支柱の空洞内において変位自在で、前記足踏みペダルの動作により生じる応力を前記押圧機構に向けて伝達する伝達材を含んで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支柱の組立/分解が可能となり、保管や流通が容易な足踏み式噴霧装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)、(b)は、第1実施形態の足踏み式噴霧装置の構成図。
【
図7】(a)、(b)は、第2実施形態の足踏み式噴霧装置の構成図。
【
図11】(a)、(b)は、使用時のサブ支柱及び足踏みペダルの説明図。
【
図12】(a)、(b)は、折り畳み時のサブ支柱及び足踏みペダルの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の足踏み式噴霧装置の構成図である。
図1(a)に示すように、足踏み式噴霧装置1は、台座11と、台座11から略鉛直上方に延びる筒状の支柱10と、支柱10の側部に台座11と略平行に固定されるトレイ12とを備える。支柱10の基部には、足踏みペダル13が配置される。トレイ12には、除菌液等の液体を噴霧するスプレー噴霧器20が載置される。
【0013】
スプレー噴霧器20は、液体が収容された収容部21の頭部に、操作ヘッドとして、ノズル23を有するポンプ部材22を備える市販品である。ポンプ部材22が押圧されて押し下げられることで、収容部21内部の液体がノズル23から噴霧される。
【0014】
足踏み式噴霧装置1は、ポンプ部材22を押圧するために、押圧機構14と、足踏みペダル13の動作により生じる応力を押圧機構14に伝達する伝達機構15とを備える。
伝達機構15は、支柱10の空洞内に変位自在に設けられており、足踏みペダル13の動作により変位することにより、押圧機構14をポンプ部材22側に変位させる。押圧機構14の変位によりポンプ部材22が押圧される。支柱10の頭部には、キャップ16が取り付けられる。キャップ16は、押圧機構14が嵌挿される開口が設けられている。押圧機構14は、キャップ16を介して支柱10内で伝達機構15に連結される。
【0015】
支柱10は、同一内径となる複数のサブ支柱101、102、103を連結して構成される。なお、本実施形態では3本のサブ支柱101、102、103により構成される支柱10の例を説明するが、サブ支柱の数は、適宜決定することができる。サブ支柱の本数が多くなるほど、支柱10を小さく収納することが可能となる。
伝達機構15は、サブ支柱の本数と同数の伝達材により構成される。本実施形態では、伝達機構15が3本の伝達材151、152、153により構成される。
【0016】
足踏みペダル13が踏まれることで伝達材151、152、153が下方へ移動すると、連動して押圧機構14が下方に移動する。押圧機構14は、下方に移動することでポンプ部材22を押圧する。ポンプ部材22の押圧により液体がノズル23から噴霧される。
【0017】
図1(b)は、足踏み式噴霧装置1を分解した状態を示す。足踏み式噴霧装置1は、台座11、3本のサブ支柱101、102、103、3本の伝達材151、152、153、トレイ12、足踏みペダル13、押圧機構14、及びキャップ16に分解可能である。足踏み式噴霧装置1は、各部材に分解されることで、収納時や運搬時に、コンパクトにまとめることができる。そのため、保管や運搬が容易である。使用時には、これらの部品が組み立てられる。
【0018】
本実施形態の支柱10について詳しく説明する。サブ支柱101,102,103の形状及びこれらの接続の仕方については、様々な態様がある。サブ支柱101,102,103の代表的な態様例を
図2(a)~(c)に示す。ここでは、便宜上、1本のサブ支柱の例を示すが、他のサブ支柱についても同様の態様であるものとする。また、各サブ支柱は、筒状であれば円筒に限らず、角筒であってもよい。
【0019】
図2(a)のサブ支柱は、一端が内径ねじ切りされ、他端が外径ねじ切りされている。サブ支柱を連結する際には、一方のサブ支柱の内径ねじ切りと他方のサブ支柱の外径ねじ切りとが螺合される。サブ支柱同士が螺合されるため、サブ支柱同士が抜けにくい構成となっている。
【0020】
図2(b)のサブ支柱は、一端が凹型に加工され、他端が凸型に加工されている。サブ支柱を連結する際には、一方のサブ支柱の凹型部分に他方のサブ支柱の凸型部分が嵌挿される。
図2(c)のサブ支柱は、一端が内径方向にテーパ状に凹型に加工され、他端が先端方向にテーパ状に凸型に加工されている。サブ支柱を連結する際には、一方のサブ支柱の凹型部分に他方のサブ支柱の凸型部分が嵌挿される。
図2(b)、
図2(c)のサブ支柱の場合、一方のサブ支柱が他方のサブ支柱に嵌挿されるため、サブ支柱の組み立てと分離が容易に行われる。
【0021】
なお、サブ支柱101は、一端にキャップ16が取り付けられる。キャップ16は、サブ支柱101が
図2(a)~
図2(c)のいずれの形状で構成されるかに応じて、ねじ切り、凹部、或いは凸部が形成される。サブ支柱103は、一端が台座11に取り付けられる。詳細は後述するが、台座11にはサブ支柱103が嵌挿される支持部材が設けられる。サブ支柱103は、
図2(a)~
図2(c)のいずれの形状で構成される場合であっても、一端が支持部材に嵌挿されることで台座11に取り付けられる。
【0022】
図3は、伝達機構15に含まれる伝達材151、152、153の連結構成の説明図である。伝達材151、152、153は、それぞれ、支柱10の内径未満の幅を有する複数の金属板や、支柱10の内径未満の外径を有する複数の金属棒を含む構成である。伝達材151、152、153は、それぞれ隣り合う伝達材と連結部材154を通じて連結される。また、伝達材151、152、153は、足踏みペダル13の動作により生じる応力を、隣り合う伝達材にリレー式に伝える複数の金属板、金属棒又は硬質部材を含む構成であってもよい。
【0023】
連結部材154は、伝達材151、152、153の連結と分離を容易にするために、取り外しが容易な構成が好適である。例えば、伝達材151、152、153が金属板の場合、端部に開口155a、155bを設け、連結部材154により開口155a、155b間を接続する。連結部材154は、板状部材に2つの突起156a、156bを有して構成され、一方の突起156aが開口155aに挿入され、他方の突起156bが開口155bに挿入されることで2つの伝達材を連結する。
【0024】
伝達材151、152、153は、金属棒や硬質部材の場合、
図2(a)で説明したサブ支柱と同様の構成で連結、分離が行われてもよい。すなわち、伝達材151、152、153は、端部にねじ切りが形成される。この場合、連結部材154は不要となる。
【0025】
図4は、足踏みペダル13の接続部分の説明図である。足踏みペダル13は、フック131を備えている。フック131は、サブ支柱103内に設けられる伝達材153の開口155に取り付けられる。サブ支柱103には、フック131を伝達材153に取り付けるための開口1031が設けられる。このような構成により、足踏みペダル13が踏み下ろされることで、伝達材153が下方に変位する。伝達材153の下方への変位により伝達材152、151も下方へ変位し、押圧機構14が下方へ移動する。このように足踏みペダル13の動作により生じる応力が押圧機構14へ伝達される。
【0026】
伝達材153の下方には、押圧機構14をある程度の高さで支持するために、伝達材153(伝達機構15)が載置される載置台17及び弾性体18が設けられる。弾性体18により伝達材153が上方へ付勢されることで、押圧機構14がスプレー噴霧器20のポンプ部材22上に支持される。
【0027】
伝達機構15は、足踏みペダル13の踏み下ろし動作の動作量をスプレー噴霧器20の1回の押動許容量以下に制限するように構成される。そのため、載置台17の下方の台座11上には、スペーサ19が配置される。
足踏みペダル13が踏み下ろされた場合、載置台17は、スペーサ19の高さまでしか移動しない。そのため、伝達機構15の移動量も、載置台17の元の高さからスペーサ19の高さまでに規制することができる。これにより、足踏みペダル13の踏み下ろし動作の動作量が制限される。
【0028】
図5は、台座11の構成例示図である。台座11は、1枚の平板で構成されてもよいが、本実施形態では、放射状に拡がる複数の金属棒や、扇子状に折り畳まれる複数の金属面により構成される。複数の金属棒や複数の金属面により台座11を構成する場合、台座11を1枚の平板で構成する場合よりも小さく折り畳むことが可能である。
また、足踏み式噴霧装置1の設置場所に応じて台座11の大きさを変化可能とすることができる。そのため、従来の台座では設置場所が十分に確保できないような場所であっても、足踏み式噴霧装置1を安定して設置可能となる。
【0029】
図5(a)~
図5(c)は、複数の金属棒111a~111eで構成される台座11を例示する。
図5(a)は、台座11を支柱10側から見た図である。
図5(b)は、台座11の斜視図である。
図5(c)は、台座11の折り畳み図である。
この台座11は、5本の金属棒111a~111eが、サブ支柱103が嵌挿される上述の支持部材112を中心に放射状に配置される。トレイ12は、中央の金属棒111cの上方に設けられる。これにより、トレイ12にスプレー噴霧器20が載置された場合であっても、足踏み式噴霧装置1がバランスを崩して倒れることを防止することができる。台座11を保管する場合には、
図5(c)に例示するようにすべての金属棒111を支持部材112に沿って倒立させる。金属棒111を倒立させることで、台座11をコンパクトに収納することが可能となる。
【0030】
図5(d)~
図5(f)は、複数の金属面113a~113cで構成される台座11を例示する。
図5(d)は、台座11を支柱10側から見た図である。
図5(e)は、台座11の斜視図である。
図5(f)は、台座11の折り畳み図である。
この台座11は、3つの金属面113a~113cが、支持部材112を中心に扇子状に配置される。トレイ12は、中央の金属面113bの上方に設けられる。これにより、トレイ12にスプレー噴霧器20が載置された場合であっても、足踏み式噴霧装置1がバランスを崩して倒れることを防止することができる。台座11を保管する場合には、
図5(f)に例示するように、すべての金属面113a~113cを支持部材112の一方向に折り畳む。金属面113を折り畳むことで、台座11をコンパクトに収納することが可能となる。
【0031】
図6は、トレイ12の取り付け構成の例示図である。トレイ12は、皿部120と取付部121とにより構成される。皿部120にはスプレー噴霧器20が載置される。取付部121は、サブ支柱101が嵌挿される開口121aを有する。サブ支柱101は、所定間隔で複数の溝1010が設けられる。溝1010には、一対のテーパ部材122a、122bが取り付けられる。一対のテーパ部材122a、122bは、それぞれの突起部分123a、123bが溝1010に嵌まることで位置決めされ、それぞれ嵌合してサブ支柱101の周囲に取り付けられる。テーパ部材122a、122bは、サブ支柱101に取り付けられた状態で、サブ支柱101の下方側が太くなるように構成される。
【0032】
トレイ12の取付部121は、サブ支柱101の上方からサブ支柱101にはめ込まれる。取付部121の開口121aは、テーパ部材122a、122bの上方側の外径よりも大きく、且つサブ支柱101に取り付けられたテーパ部材122a、122bの下方側の外径よりも小さい。そのため開口部121は、テーパ部材122a、122bの下方で固定される。
【0033】
このような構成では、トレイ12の取り付け位置を、溝1010の位置に応じて可変とすることができる。スプレー噴霧器20のサイズ(高さ)に応じてトレイ12の取り付け位置を適宜調整することで、スプレー噴霧器20のポンプ部材22と押圧機構14との位置関係が適切に保たれる。
【0034】
なお、トレイ12は、テーパ部材122a、122bを用いずにサブ支柱101に取り付けられてもよい。例えば、サブ支柱101の所定部位の外径を他の部位の外径よりも大きく構成し、トレイ12の取付部121を該所定部位に取り付けるようにしてもよい。また、支柱10を、台座11側の外径を大きくしたテーパ状に形成してトレイ12を取り付けるように構成してもよい。
【0035】
また、サブ支柱102、103についても、複数の溝1010が設けられていてもよい。この場合、トレイ12をサブ支柱102、103にも取り付け可能になる。サブ支柱102、103に取り付けられるトレイ12に載置されたスプレー噴霧器20は、足踏みペダル31により液体の噴霧を行うことはできないが、ユーザが自身の手で操作することで除菌を行うことができる。
【0036】
以上のような構成の足踏み式噴霧装置1は、支柱10及び伝達機構15を分離可能としたことで、従来よりも小さく折り畳むことができるために、保管スペースを小さくでき、且つ運送が容易になる。また、台座11を金属棒111a~111eや金属面113a~113eで構成するために、台座11を軽くし且つ小さく折り畳むことができる。このような台座11も保管スペースを小さくし、且つ運送を容易にする。
【0037】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の足踏み式噴霧装置の構成図である。
図7(a)に示すように、足踏み式噴霧装置2は、台座11と、台座11から略鉛直上方に延びる筒状の支柱30と、支柱30の側部に台座11と略平行に固定されるトレイ12と、を備える。支柱30の基部には、足踏みペダル31が配置される。トレイ12にはスプレー噴霧器20が載置される。台座11、トレイ12、及びスプレー噴霧器20の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。すなわち、台座11は、
図5に例示するような構成であり、トレイ12は、
図6で例示したような構成で支柱30に取り付けられる。
【0038】
足踏み式噴霧装置2は、ポンプ部材22を押圧するために、押圧機構33と、足踏みペダル31の動作により生じる応力を押圧機構33に伝達する伝達機構32とを備える。伝達機構32は、支柱30の空洞内に変位自在に設けられており、足踏みペダル31の動作により変位することで押圧機構33によりポンプ部材22を押圧する。押圧機構33は、サブ支柱301の内部で、軸受332によりサブ支柱301に支軸されおり、軸受332を中心に回動する。押圧機構33は、伝達機構32が接続される力点部331と、ポンプ部材22を押圧する押圧部334が設けられた作用点部333とを備える。
【0039】
支柱30は、同一内径となる複数のサブ支柱301、302、303を連結して構成される。第2実施形態のサブ支柱301、302、303は、角筒である。なお、本実施形態では3本のサブ支柱301、302、303により構成される支柱30の例を説明するが、サブ支柱の数は、適宜決定することができる。サブ支柱301、302、303の連結部分は、
図2(b)や
図2(c)に例示するように、一方のサブ支柱が他方のサブ支柱に嵌挿される構成である。
【0040】
伝達機構32は、所定サイズの1本のワイヤで構成される。伝達機構32は、一端が足踏みペダル31に接続され、他端が押圧機構33の力点部331に接続される。サブ支柱301には、伝達機構32が足踏みペダル31の動作により変位する方向を下向きから上向きに変えるための滑車304が設けられる。伝達機構32は、滑車304を介して押圧機構33の力点部331に接続される。
【0041】
足踏みペダル31が踏まれることで伝達機構32が下方へ移動すると、押圧機構33の力点部331が上方に移動する。これにより押圧機構33は軸受332を中心に回動するために、作用点部333が下方へ移動する。作用点部333が下方へ移動することで、押圧部334がポンプ部材22を押圧する。ポンプ部材22の押圧により液体がノズル23から噴霧される。
【0042】
図7(b)は、足踏み式噴霧装置2の折り畳み時の状態を示す。足踏み式噴霧装置2は、台座11及びトレイ12が取り外し可能であり、他の部位は一体のまま折り畳まれる。サブ支柱301、302、303は、第1実施形態のサブ支柱101、102、103と同様に分解可能であるが、伝達機構32により完全に分離されることはない。押圧機構33は、折り畳み時に、伝達機構32によりサブ支柱301に設けられる収容空間305に取り込まれる。足踏みペダル31は、折り畳み時に、伝達機構32によりサブ支柱303内に取り込まれる。支柱30が押圧機構33及び足踏みペダル31を取り込んで折り畳まれるために、足踏み式噴霧装置2は、収納時や運搬時にコンパクトにまとめることができる。そのため保管や運搬が容易である。また、サブ支柱301、302、303は、伝達機構32により完全に分離されることがないために、組み立てが容易になる。
【0043】
図8は、押圧機構33の説明図である。上記の通り、押圧機構33は、力点部331と、作用点部333と、押圧部334とを備える(
図8(a))。力点部331には、伝達機構32が接続される接続点336が設けられる。力点部331と作用点部333との間には、軸受332が挿通される穴335が設けられる。穴335は、力点部331が作用点部333及び押圧部334よりも重くなるような位置に設けられる。これは、足踏みペダル31が動作していないときに力点部331が下向きになることで、押圧部334がスプレー噴霧器20のポンプ部材22を誤って押圧しないようにするためである。
【0044】
作用点部333はU字形である。押圧部334は、U字形の開放端に接続される。押圧部334は、押圧機構33がサブ支柱301の収容空間305から取り出された状態では、ポンプ部材22の押圧時にポンプ部材22に当接する押圧面が水平になる位置で固定される。押圧部334は、押圧機構33がサブ支柱301の収容空間305に収容された状態では、作用点部333と同一面に収容される。
【0045】
図8(b)は、押圧機構33がサブ支柱301の収容空間305から取り出された状態を示す。
図8(c)は、押圧機構33が保管時に収容空間305に収容されている状態を示す。上記の通り穴335は、力点部331が作用点部333及び押圧部334よりも重くなるような位置に設けられるために、押圧機構33は、サブ支柱301がサブ支柱302側を下にして倒立されることで、収容空間305に収容される。使用時にユーザが手動で押圧機構33を収容空間305から取り出す。この際、足踏みペダル31の重さにより、力点部331が下向きにならず、且つ押圧部334がスプレー噴霧器20のポンプ部材22を誤って押圧しないようになっている。
【0046】
図9は、足踏みペダル31の説明図である。足踏みペダル31は、サブ支柱303の内部で伝達機構32に接続される。そのため足踏みペダル31は、ユーザにより踏まれる部分311が、伝達機構32が接続される接続部分312よりも大きく形成された凸型である。伝達機構32を接続するために、接続部分312には接続点313が設けられる。
【0047】
図10は、サブ支柱303の説明図である。
図10では、サブ支柱303の台座11側の形状を説明する。サブ支柱303は、保管時に足踏みペダル31が収容される収容空間3031と、使用時に足踏みペダル31が配置される挿入空間3032を備える。足踏みペダル31の接続部分312は、使用時に挿入空間3032に挿入されて、サブ支柱303の内部で伝達機構32に接続される。収容空間3031は、足踏みペダル31のユーザにより踏まれる部分311が収容できる大きさである。
【0048】
図11は、使用時のサブ支柱303及び足踏みペダル31の説明図である。
図11(a)は、収容空間3031側から見た図である。
図11(b)は斜視図である。図示の通り、伝達機構32は、足踏みペダル31が台座11に対して所定の角度になるような長さである。また、伝達機構32は、足踏みペダル31の踏み下ろし動作の動作量をスプレー噴霧器20の1回の押動許容量以下に制限する長さである。なお、足踏みペダル31の踏み下ろし動作の動作量をスプレー噴霧器20の1回の押動許容量以下に制限するために、足踏みペダル31の下部にスペーサが設けられる構成であってもよい。
【0049】
図12は、折り畳み時のサブ支柱303及び足踏みペダル31の説明図である。
図12(a)は、収容空間3031側から見た図である。
図12(b)は斜視透視図である。足踏みペダル31は、折り畳み時に、伝達機構32によりサブ支柱303内部に引き込まれることで、収容空間3031内に収容される。足踏みペダル31は、凸型の肩部が収容空間3031の上面に係止されるために、伝達機構32によりサブ支柱303の内部深くまで引き込まれることはない。
【0050】
このような構成の足踏み式噴霧装置2は、使用時に、サブ支柱301、302、303が連結されて、その空洞内を伝達機構32が連通する。伝達機構32は、一端が足踏みペダル31に接続され、他端が滑車304を介して押圧機構33の力点部331に接続される。足踏みペダル31の動作により生じる応力は、伝達機構32により押圧機構33の力点部331に伝達される。力点部331が伝達機構32により上方へ回動されるために、作用点部333が下方へ回動する。作用点部333が下方へ回動することで押圧部334が下方へ移動する。これによりポンプ部材22が押圧されて、ノズル23から液体が噴霧される。
【0051】
保管時には、サブ支柱301、302、303は、分離されて折り畳まれる。サブ支柱301、302、303は、伝達機構32が1本のワイヤであるために、ばらばらになることはない。そのためサブ支柱301、302、303を再度連結させる際の作業が容易である。伝達機構32は、サブ支柱301、302、303が分離されることで、足踏みペダル31をサブ支柱303の収容空間3031に引き込む。また、押圧機構33は、作用点部333及び押圧部334がサブ支柱301の収容空間305に収容される。そのため、足踏み式噴霧装置2の保管時には、
図7(b)に示すように、サブ支柱301、302、303、伝達機構32、足踏みペダル31、及び押圧機構33が一つに折り畳まれる。このように足踏み式噴霧装置2は、従来よりも小さくまとめることができるために、保管スペースを小さくでき、且つ運送が容易になる。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、前記台座から略鉛直上方に延びる筒状の支柱と、前記支柱の側部に前記台座と略平行に固定されるトレイと、前記支柱の基部に設けられた足踏みペダルと、前記トレイに載置されるスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧するための押圧機構と、前記足踏みペダルの動作を前記押圧機構に伝達する伝達機構と、を備え、
前記支柱は、同一内径となる複数のサブ支柱を連結して構成されており、
前記伝達機構は、前記支柱の空洞内において変位自在で、前記足踏みペダルの動作により生じる応力を前記押圧機構に向けて伝達する伝達材を含んで構成されており、
前記伝達材は、一端が前記足踏みペダルに接続され、他端が前記押圧機構に接続されて、前記複数のサブ支柱の空洞内を連通する1本のワイヤにより構成されており、
前記トレイが取り付けられるサブ支柱に滑車が設けられており、
前記ワイヤは、前記滑車を介して前記他端が前記押圧機構に接続されており、前記滑車により、前記足踏みペダルの動作により変位する方向を下向きから上向きに変えることを特徴とする、足踏み式噴霧装置。
【請求項2】
台座と、前記台座から略鉛直上方に延びる筒状の支柱と、前記支柱の側部に前記台座と略平行に固定されるトレイと、前記支柱の基部に設けられた足踏みペダルと、前記トレイに載置されるスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧するための押圧機構と、前記足踏みペダルの動作を前記押圧機構に伝達する伝達機構と、を備え、
前記支柱は、同一内径となる複数のサブ支柱を連結して構成されており、
前記押圧機構は、前記伝達機構が接続される力点部と、前記操作ヘッドを押圧する押圧部が設けられた作用点部とを有して1つのサブ支柱に設けられており、
前記伝達機構は、前記支柱の空洞内において変位自在で、前記足踏みペダルの動作により生じる応力を前記押圧機構に向けて伝達する伝達材を含んで構成されており、
前記伝達材は、一端が前記足踏みペダルに接続され、他端が前記力点部に接続されて、前記複数のサブ支柱の空洞内を連通する1本のワイヤにより構成されており、
前記ワイヤは、前記足踏みペダルの動作により変位することで前記作用点部を下方へ回動させて、前記押圧部に前記スプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧させることを特徴とする、足踏み式噴霧装置。
【請求項3】
前記トレイが取り付けられるサブ支柱に滑車が設けられており、
前記ワイヤは、前記滑車を介して前記他端が前記押圧機構に接続されており、前記滑車により、前記足踏みペダルの動作により変位する方向を下向きから上向きに変えることを特徴とする、請求項2に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記複数のサブ支柱が分離されると、前記足踏みペダルを前記台座に接続されていたサブ支柱の内部に引き込むことを特徴とする、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項5】
前記滑車が設けられるサブ支柱は、前記押圧機構を収容する収容空間が設けられており、
前記ワイヤは、前記複数のサブ支柱が分離されると、前記押圧機構を前記収容空間に引き込むことを特徴とする、請求項1または3に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項6】
前記台座は、放射状に拡がる複数の金属棒、あるいは、扇子状に折り畳まれる複数の金属面により構成され、設置場所に応じて大きさを変化可能であることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の足踏み式噴霧装置。
【請求項7】
前記伝達機構は、前記足踏みペダルの踏み下ろし動作の動作量を前記スプレー噴霧器の1回の押動許容量以下に制限することを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載の足踏み式噴霧装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の足踏み式噴霧装置は、台座と、前記台座から略鉛直上方に延びる筒状の支柱と、前記支柱の側部に前記台座と略平行に固定されるトレイと、前記支柱の基部に設けられた足踏みペダルと、前記トレイに載置されるスプレー噴霧器の操作ヘッドを押圧するための押圧機構と、前記足踏みペダルの動作を前記押圧機構に伝達する伝達機構と、を備え、前記支柱は、同一内径となる複数のサブ支柱を連結して構成されており、前記伝達機構は、前記支柱の空洞内において変位自在で、前記足踏みペダルの動作により生じる応力を前記押圧機構に向けて伝達する伝達材を含んで構成されており、前記伝達材は、一端が前記足踏みペダルに接続され、他端が前記押圧機構に接続されて、前記複数のサブ支柱の空洞内を連通する1本のワイヤにより構成されており、前記トレイが取り付けられるサブ支柱に滑車が設けられており、前記ワイヤは、前記滑車を介して前記他端が前記押圧機構に接続されており、前記滑車により、前記足踏みペダルの動作により変位する方向を下向きから上向きに変えることを特徴とする。