IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリックス不動産株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-クラゲ観賞用水槽 図1
  • 特開-クラゲ観賞用水槽 図2
  • 特開-クラゲ観賞用水槽 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022046014
(43)【公開日】2022-03-23
(54)【発明の名称】クラゲ観賞用水槽
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20220315BHJP
【FI】
A01K63/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020151831
(22)【出願日】2020-09-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトの掲載日:令和1年12月12日 ウェブサイトのアドレス:https://www.orix-realestate.co.jp https://www.orix-realestate.co.jp/news/pdf/press_191212_2.pdf (2)公開日:令和2年7月16日 公開場所:すみだ水族館(東京都墨田区押上一丁目1番2号 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F)
(71)【出願人】
【識別番号】500309285
【氏名又は名称】オリックス不動産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】村木 健治
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 智広
(72)【発明者】
【氏名】釼持 祐介
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA38
2B104CA04
2B104CB04
2B104CB08
2B104CB22
2B104CB23
2B104CB25
2B104CB34
(57)【要約】
【課題】水槽内を水流に任せて悠然と漂うクラゲの生態や生育状況を、水槽の上からも横からもより身近で観賞し観察できるようにしたクラゲ観賞用水槽を提供する。
【解決手段】上部が開放された、平面視楕円形状をした水盤型状に形成する。周縁部より水槽1内の水面上に張り出すデッキ5を設ける。デッキ5の床5aと手摺り5bは透明なアクリル板または強化ガラスで形成する。水槽1の周囲に床スラブ2より嵩上げされた嵩上げ床4を設ける。嵩上げ床4によって水槽1の周方向に沿って連続するスロープ4aと4c、ホール4bと4dおよび階段4eを形成する。階上階の床にあっては水槽1の一部を梁の上に設置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラゲ観賞用水槽であって、上部が開放された、平面視楕円形状をした水盤型状に形成され、かつ周縁部より水槽内の水面上に張り出すデッキが設けられていることを特徴とするクラゲ観賞用水槽。
【請求項2】
請求項1記載のクラゲ観賞用水槽において、前記水槽の周囲に、前記水槽が配置された床から前記デッキを備えたホールにかけて前記水槽の周方向に沿って連続するスロープを形成する嵩上げ床が設けられていることを特徴とするクラゲ観賞用水槽。
【請求項3】
請求項1または2記載のクラゲ観賞用水槽において、前記水槽は、階上階にあっては建物の柱間をつなぐ梁の上に配置されていることを特徴とするクラゲ観賞用水槽。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のクラゲ観賞用水槽において、前記デッキの床は透明であることを特徴とするクラゲ観賞用水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクラゲ観賞用水槽に関し、水槽内を水流に任せて悠然と漂うクラゲの生態や生育状況を、水槽の上からも横からもより身近で観賞し観察できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、水族館における観賞用水槽は大型化が進み、これに伴い水槽の壁面は水圧に耐えられるだけの強度を備えた、厚みのあるアクリル樹脂などで形成され、また、視界を妨げる柱などをなくして、来館者に広大な水槽内の様子を可能な限り広角で観賞できるように形成されている。
【0003】
また特に、クラゲが水槽内を水流に任せて悠然と漂う姿を水槽の壁面を通して観賞できるように工夫されたクラゲ専用の水槽も知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、水槽内の水を循環させるポンプと、当該ポンプの上側に位置する底部プレートの上に設置されたクラゲ観賞効果具を備えたクラゲ観賞用水槽の考案が開示されている。
【0005】
クラゲ観賞効果具は、周辺部から中央に近づくに従って底部プレートに近づくように傾斜する面を備えた傾斜部材を有している。傾斜部材は略正四角錐形状に形成され、その全体に水が上下方向に通過可能な多数の第1の貫通穴が略均一の間隔で形成されている。また、傾斜部材の中央あるいは中央付近に第1の貫通穴より面積の大きい第2の貫通穴が形成され、当該第2の貫通穴にポンプの噴射口用穴が連結される。
【0006】
そして、ポンプが稼働すると、水槽内の水がポンプの吸引口に吸引され、ポンプの噴射口から水槽内に噴射される。このとき、水槽内の中央付近において、ポンプの噴射口からの水がクラゲ観賞効果用具の第2の貫通穴を通って水槽の水面に向けて噴射され、水槽内の壁面付近において、水面から底部に向けて水流が生じ、水がクラゲ観賞効果用具の第1の貫通穴を通過してポンプの吸引口に吸引される。
【0007】
これにより、水槽内に上下方向の水の流れが生じ、当該水の流れに応じて、クラゲが水槽内の中央において水面に向けて上昇し、水槽内の壁面付近において水面から底部に向けて下降し、クラゲ観賞効果用具の傾斜部材に当たり、その傾斜に沿って第2の貫通穴に向けて移動し、ポンプの噴射口からの水によって水面に向けて上昇するという動作を繰り返すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3194177号公報
【特許文献2】特開平06-000167号公報
【特許文献3】特開2011-135796号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「お椀水槽(海月銀河)のおはなし」ブログ「回遊館日記」 2019.06.19、株式会社海遊館[2020年06月25日検索]、インターネット〈URL:https://www.kaiyukan.com/connect/blog/2019/06/post-1761.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、水族館の観賞用水槽の多くは、大型に形成されているだけで、水槽内を浮遊するクラゲを水槽の一側面から平面的にしか観賞できないため、斬新性と新鮮味に欠け来館者を必ずしも満足させるものではなくなってきた。
【0011】
また、大型化に伴い壁やスラブ等の建物の構造体と一体に設置されたものが多く、このため、設置後の移動等はほぼ不可能であり、また階上階への設置に際しては、床、梁、柱等の構造体を別途補強するか、或いは、水槽の設置に対応できるように建設当初から計画しておく必要があった。
【0012】
また、特許文献1に開示されたクラゲ観賞用水槽は、水槽の透明な側壁面を通して水槽内を上下方向に漂うクラゲを観賞するものであるため、やはり斬新性と新鮮味に欠け来館者を必ずしも満足させるものではなかった。
【0013】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、特に水槽内を水流に任せて悠然と漂うクラゲの生態をより身近で観賞し観察することができ、また、建物の階上階にも比較的容易に設置できるようにしたクラゲ観賞用水槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はクラゲ観賞用水槽の発明であり、上部が開放された(オープンエア)、平面視楕円形状の水盤型状に形成され、かつ周縁部より水槽内の水面上に張り出すデッキが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
水槽の平面形状は、壁面が水流を妨げないで、クラゲが壁面に沿ってスムーズに浮遊できる形状であれば、特に限定されるものではなく、一般的に楕円形が好ましい。
【0016】
また、水槽の周縁部より水槽内の水面上に張り出すデッキを設けることで、来館者がデッキの上に立ったとき、あたかも水面に立っているかのような浮遊感を感じ、またクラゲとの一体感を感受することができる。特に、デッキの床が透明なアクル樹脂板や強化ガラス等で透明にすれば、その効果は倍増する。
【0017】
また、前記水槽の周囲に前記水槽が配置された床より嵩上げされた嵩上げ床を設け、当該嵩上げ床によって前記水槽の周方向に沿って連続するスロープとホールを形成することで、来館者は水槽内を浮遊するクラゲを水槽の回りを移動しながら、水槽の上からも横からも観賞し観察することができる。なお、嵩上げ床は床を床束で支える束立て床でよい。
【0018】
また、水深の浅い水盤型状に形成されているため、所定の積載荷重のもとで設計された建物であれば、平面視楕円形状の場合、長軸と短軸の長さがそれぞれ概ね7m、3m、水深が概ね60cm程度であれば、一部を梁の上に載せる程度で階上階の床にも設置することができ、また、クラゲも支障なく生息することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のクラゲ観賞用水槽であれば、水槽内を水流に任せて悠然と漂うクラゲの生態をより身近で観賞することができ、特に、水槽内に張り出す透明なデッキの上に立ったとき、あたかも水面に立っているかのような浮遊感とクラゲとの一体感を来館者に与えることができる。
【0020】
また、前記水槽の周囲に前記水槽が配置された床より嵩上げされた嵩上げ床が設けられ、当該嵩上げ床によって前記水槽の周方向に沿って連続するスロープとホールが形成されていることで、来館者は、水槽内を浮遊するクラゲを水槽の回りを移動しながら、水槽の上からも横からもより身近で観賞し観察することができる。
【0021】
また、水深の浅い水盤型状に形成されているため、所定の積載荷重のもとで設計された建物であれば、一部を梁の上に載せる程度で、原則特別な補強が無くても階上階の床にも設置することができる。
【0022】
さらに、建物の壁や床などの構造体とは独立した構造で、単に床の上に置くタイプの水槽であるため、設置後でも比較的容易に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態であって、平面視楕円形の水盤型に形成されたクラゲ観賞用水槽の平面図である。
図2図1におけるイ-イ線矢視図である。
図3図1におけるロ-ロ線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図3は、本発明の一実施形態であって、クラゲ観賞用水槽(以下「水槽」)を図示したものである。
【0025】
図において、水槽1は平面視楕円形状(長軸概ね7m程度、短軸概ね3m程度)に形成され、また、水深が概ね60cm程度と浅い水盤型状に形成されている。
【0026】
また、水槽1の壁面1aは、水槽1内の水流を妨げないように水槽1の周方向に連続する曲面状に形成され、壁面1aの上端部には手摺り1bが設けられている。
【0027】
また、水槽1は床スラブ2の上に直接設置され、特に一定値以上の積載荷重のもとで設計された建物の階上階に設置される場合は、一部を梁(図省略)の上に設置することで、水槽1の荷重を支えるための特別な補強は原則省略可能か、もしくは簡単な補強で対応できるように形成されている。この場合、水槽1の荷重は柱3,3間を繋ぐ梁を介して水槽1の両側に配置された柱3,3に伝達される。
【0028】
また、水槽1の周囲に床スラブ2より嵩上げされた床(以下「嵩上げ床」)4が水槽1の周方向に連続して設けられ、当該嵩上げ床4によって水槽1の長軸方向の一端側(図1において左側端部)から他端側(図1において右側端部)の途中にかけて、床スラブ2より緩い上り勾配のスロープ4aが形成されている。
【0029】
また、スロープ4aの先端より先の部分に水槽1の長軸方向の他端側にかけて比較的広いホール4bが設けられ、さらにホール4bより先の部分に比較的緩い上り勾配のスロープ4cが設けられ、これらスロープ4a、ホール4bおよびスロープ4cは水槽1の周方向に連続して形成されている。
【0030】
そしてさらに、スロープ4cの先の部分にホール4dと床スラブ2の上に降りる数段の階段4eが連続して設けられている。特に、ホール4dは、水槽1の壁面1aと同じ高さに嵩上げされ、かつホール4dの水槽1と接する部分に水槽1内の水面上に水平に張出すデッキ5が設けられている。
【0031】
デッキ5は、柱3を中心軸とする平面視円弧状に形成され、その先端部に床5aの周縁に沿って円弧状に連続する手摺り5bが設けられている。
【0032】
また、デッキ5は、デッキ5の床荷重が水槽1の壁面1aに作用しないように水槽1と独立した構造になっている。この場合、水槽近くの床スラブ2の上に複数の支柱5cを建て付け、当該支柱5cより床5aを片持ち梁形式で張り出す構造とすることで、デッキ5は水槽1と構造的に独立した構造になっている(図3参照)。
【0033】
また、デッキ5の床5aと手摺り5bは、透明なアクリル板または強化ガラス等によって形成され、これにより、来館者がデッキ5の上に立ったとき、あたかも水面上に立っているかのような浮遊感と、水槽内を悠然と浮遊するクラゲとの一体感を感受することができるようになっている。
【0034】
また、嵩上げ床4によってスロープ4a,4cとホール4bが水槽1の周方向に連続して設けられていることで、この上を移動する来館者は、水槽1内を浮遊するクラゲを水槽の回りを移動しながら多方向から観察し観賞できるようになっている。
【0035】
また、階段4eに面する水槽1の壁面1cは、透明なアクリル板または強化ガラス等によって透明に形成されている。これにより、来館者は壁面1cの前に立ち止まり、壁面1cを通して水槽1内を浮遊するクラゲを横からも観賞することができるようになっている。
【0036】
なお、スロープおよびホールの位置、形状、勾配等は限定されるものではなく、水槽1の平面形状や規模等に応じて任意に設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、水槽内を水流に任せて悠然と漂うクラゲの生態や生育状況を、水槽の上からも横からもより身近で観賞し観察することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 水槽(クラゲ観賞用水槽)
1a 水槽の壁面
1b 水槽の手摺り
1c 水槽の壁面
2 床スラブ
3 柱
4 嵩上げ床
4a スロープ
4b ホール
4c スロープ
4d ホール
4e 階段
4f スロープの手摺り
5 デッキ
5a デッキの床
5b デッキの手摺り
図1
図2
図3